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作者注

この中には露骨な性描写が多分に含まれています。
18歳未満の方、或いはそういった表現に嫌悪感を抱かれる方は
この第19話を読まれない事をお勧めします。
今回の話を飛ばしても、これからの小説の続きを楽しむには
ほとんど支障はありません。



ゴクッ・・・・ゴクッ・・・・。 「・・・・・・・。」 コン。 ミサトはビールを飲み干すと、空になった缶をテーブルの上に置いた。 自宅の、リビング。 一人で酒を飲む、というのは誰でもあまり楽しくはない事だろう。 しかしその夜のミサトはそれをせずにはいられなかった。 無論長年の飲酒に馴らされた身体が、アルコールを欲したという事も あるだろうが、今回はむしろ精神的な部分が大きかった。 静寂の中を、深海の如くゆったりとバラードが響く。 酔えなかった。 アルミ缶をぐしゃりと握り潰し、ミサトはしばらく動かなかった。 「・・・・・・。」 道を歩めば誰もが振り返るであろう美しい容貌と肢体を有した女性は、 静かに椅子から立ち上がった。 リビングを出て廊下を進み、一つのドアの前で立ち止まる。 寝室ではない。 そこは彼女が普段はけして使わない部屋。 例え如何なる客が来ようとも、シンジであろうと、アスカであろうと、断固として 中へ入れる事を拒んできた部屋。 しかしもうじきアスカが使う事となる部屋。 ドアを、ゆっくりと開けた。 その手が震えていたのがアルコールのためではない事は言うまでも なかろう。 ・・・・・・。 何もない部屋だった。 6畳ほどの空間。 正面に窓があるが、カーテンも引かれてはいない。 床には淡い色合いのカーペットが敷かれている。 そのカーペットのところどころに残る窪み。 ベッドや机の足の跡ででもあったろうか。 それのみがかつてこの部屋に人が住んでいた事を表していた。 ミサトは複雑な・・・・あまりに、複雑な想いでそれを見つめた。 「また一つ・・・・あなたの思い出が消えて行く・・・・。」 哀しみとは、かくも人を苦しめるものか。 彼女はそんな想いを抱く。 「日向君・・・・。」


僕のために、泣いてくれますか(第拾九話)

    葛城ミサト・日向マコト・その2


 

薄暗い部屋だった。 天井の照明は、オレンジ色の小さな灯りだけが灯っている。 「はあ・・・・・・・はあ・・・・・・。」 部屋の、真ん中。 テレビ等AV機器の正面に位置する様に置かれた三人掛けのソファ。 その上で、二つの人影が絡み合っていた。 片方は、青年。 グレーの背広を身につけた、優しげな眼差しの青年。 片方は、少女。 どこかの学校の制服らしきものを着込んだ、まだ幼い黒髪の少女。 青年はソファの真ん中に足を開いて深く腰掛け、少女はその足の間に、 青年に背中を向けて座っている。 その体格の違いから、少女は青年に抱っこされている様に見える。 「ん・・・・・・。あふ・・・・・・。」 少女が、耐え切れぬ様に声を漏らす。 青年の左手は少女の口元に置かれ、人差し指が唇を割る仕種を見せる。 青年の右手は少女の胸元へ廻されていた。 制服の上着の裾と、白の半袖の下から潜り込み、まだ未発達な膨らみを 直に愛撫する。 愛撫というよりも、ただ触れるだけ。 滑らかな肌の上を、触れるか触れないかの微妙な位置で指が動いた。 少女は身体を俯かせ、青年の手から逃れようと抵抗を見せるが、 それが本気の力でない事は明らかだった。 青年の束縛はきついものではない。 いかに腕力の差はあろうとも、本気になれば青年の腕から逃れる事は 少女に容易い事である筈だった。 「んんっ・・・・ひうんっ。」 少女がぴくりと身体を震わせた。 青年の手が、少女の胸の最も敏感な所に触れた。 制服はほんの僅かに乱れた程度であり、その下を青年の手が蠢く。 少女の肌は露にされた部分はほとんど無かったが、それがかえって 淫猥さを強める。 まだまだ性などと縁遠い様に見える少女が全身をピンクに染め、 羞恥と快感に震える姿は、倒錯的な魅力を醸し出していた。 「んっ・・・・あっ・や・・・・・。」 青年が少女のうなじに唇を這わせた。 2008年。 大学卒業を目前に控えた葛城ミサトは、いつもの様に学院”GEHIRN”へと 足を運んだ。 本来ならば就職活動に目の色を変えねばならない時期であろう。 事実彼女の周辺の友人達は足を棒にして会社訪問、OB訪問を行い、 楽しくも無い経済新聞に毎日目を通し、まだまだ様になっていない スーツ姿を見せていた。 そんな中、以前から世話になっていた”学院”に就職が決まっていた ミサトは、そんな彼らを横目で見ながら悠々と生活していた。 魔法使いは数が少なく、殊に彼女の様な優秀な者はなおさらである。 いとも簡単に就職が決まったのも当然の事であったろう。 学院の入り口をくぐったミサトは、そこに親友の姿を認めて声をかけた。 「やっほー。リツコ。」 「あらミサト。何しに来たの?」 ”黒髪”の、ミサトと優るとも劣らない美貌の女性が返事を返した。 「何しに、とは失礼ねえ。 リツコこそ、藤沢先生の研究室占領して、毎日毎日何やってんだか。」 「聞かせてあげましょうか?」 「遠慮しとく。」 「昨夜はどうだったの?」 「どう、って?」 「学院(うち)の皆で飲んで来たんでしょ?」 「ああ。まあね。でも全然駄目よ。つまらなかったわ。 まともな男は一人もいなかったもの。」 「この時期一人身は寂しいでしょうねえ、ミサト? 彼と別れた事、後悔してるかしら?」 「するわけないでしょうが。あんな甲斐性なし。」 「あ・・・・あのー。」 遠慮無しの会話を続けるミサトに、声が掛けられた。 振り向いた彼女の前で、一人の少年がぺこりと頭を下げる。 「昨夜は、どうも。」 「?」 ミサトは当惑する。 彼女はその少年に見覚えがなかった。 歳の頃は十代の後半。 眼鏡の奥に、優しげな光を秘めた瞳がある。 「・・・・・。」 好みじゃ、ないわね、とミサトは考える。 なかなか背も高く、スタイルもいいが、彼女は年下に興味はなかった。 また坊ちゃん気な佇まいと容貌も気に入らない。 この状況ではミサトの好みがどうこうと言うより、彼が何者であるか 思い出すべく努力するのが筋であろうが、そこがミサトのミサトたる 所以かもしれない。 少年は困った様に頭を掻いた。 「え・・・・っと・・・・覚えて、ませんか?僕の事?」 「誰だったかしら?」 「昨夜・・・一緒にお酒を付き合った一人なんですけど・・・・・。」 ああ、そう言えばこんな奴もいたかも知れない、とミサトは思い出す。 飲み会に一人遅れてきた少年だ。 彼が来た時には既に出来上がってしまっていたせいで、彼の事は 記憶にほとんど残っていなかった。 お酒はあまり・・・・と遠慮する彼に、無理矢理飲ませまくってしまった様な 記憶も、あるような、ないような・・・・。 納得した顔を見せるミサトに、少年は笑顔を見せる。 「で、これお借りしてたんでお返しします。洗っておきましたから。 昨夜はご迷惑おかけして申し訳ありません。」 少年はハンカチを取り出してミサトに渡した。 紺色のそれは、ミサトの物に間違いなかった。 どういう状況で彼にそれを渡したのか思い出し、ちょっと気分が悪くなる。 朝っぱらから思い浮かべて楽しい情景ではないだろう。 「そ。ありがと。」 ミサトは礼と共にハンカチを受け取った。 それじゃ、と会釈して立ち去ろうとする少年に、ミサトは聞いた。 「あなた、名前は?」 「日向です。日向、マコト。 ・・・・葛城さんって、噂通りの人でしたね。昨夜は参りましたよ。」 「噂って?」 「・・・・・ウワバミ、っていう噂ですよ。」 マコトは悪戯っぽい笑みを浮かべた。 ミサトの口元が、ひく、と動く。 背後では親友が笑いを堪えていた。 「くう・・・・・・んっ・・・・・。」 サヤは自分の口から漏れる声を聞いた。 マコトの手が自分の肌に優しく触れる。 特別な個所でなくとも、それだけで敏感な少女の全身を快感が襲った。 当然の事ではあるが、サヤは相当の羞恥を覚えていた。 自分の身体に触れられている。大事な部分を見られている。 実際サヤの目にはうっすらと涙すら光っていた。 繊細な様でいて逞しい指が胸をまさぐる。 今度は多少の力がこもっていた。 「ん・・・・・・。」 幼い膨らみは快感よりも痛みを訴えた。 「痛かった?」 マコトが優しく囁く。 「・・・い、いいえ・・・・・。」 「・・・・無理、しないでね。サヤちゃん・・・・。」 恥ずかしい。そして、怖い。 それがサヤの心だった。 しかし抵抗はしない。 愛されているから。 今彼女の身体を支配している青年は、間違いなく彼女を愛して くれているから。 そして、彼女を必要としてくれているから。 家庭でも、学校でも、灰色にしか見えなかった世界が、彼と二人きりに なった瞬間、美しく光り輝いた。 マコトは、優しかった。 サヤは彼に出会って初めて愛される、という事を知ったのかも知れなかった。 だから、サヤはマコトに身を委ねた。 自分の全てを包み込んでくれる喜びがあった。 「・・・・・・あっ・・・・・・。」 サヤは人差し指を噛み、喘ぎを堪える。 例え全てを任せている人の前でも、いやだからこそ、はしたない姿を 晒すのは耐えられなかった。 必死で声をあげまいと耐えてはいるが、サヤの身体を知り尽くした マコトの指は、唇は、いとも簡単に柔な砦を突き崩す。 幾度抵抗しようとも、その度にサヤは敗北した。 「あっ・・・・・・あっ・・・・・・。」 小さな身体の中にも”女”の部分は間違いなく育っていた。 満たされて行く心と共に、身体の奥底で熱い物が胎動する。 マコトはそれを導き、やがて表面に顕さんと責め続けていた。 「愛してる・・・・・。」 サヤの耳に、この世で最も美しい響きが届いた。 日向マコトと葛城ミサトとが男と女の関係に至るまでに、さほどの時間は いらなかった。 共に魔法使いである二人にとって、学院で顔を合わせる事は日常であり、 また話題に事欠く事も皆無。 ミサトはその性格に多少の問題はあったものの、間違いなく人間的に 魅力深い女性であったし、マコトもまた異性を魅了するに十分な 存在であった。 それでも彼らを知る周囲の人間達は二人が恋人という関係である事に 多少の驚きを隠せなかった。 マコトの方はともかくとして、ミサトの方がマコトの様な”育ちの良い”感じの 男性と付き合いを続けられるという事実は小さな、また一部の人間達には 大きな事件として噂に登った。 口に遠慮の無い者の中には二人の関係は恋人などという甘いものではなく、 いわば主人と奴隷のそれである、としたり顔で自分の説を語る者もあった。 どちらかと言えばその説の方が学院の中で立場を確立していたとも言える。 マコトは学院の中ではさほど目立ってはいなかったが、凡百の魔法使い達 とは一線を画した才能をその内に秘めている事は明らかだった。 ミサトはそこに惹かれたというわけではなかろうが、それがマコトに年齢に 相応しからぬ余裕を与えている事は疑うべくもなく、その余裕はミサトが 魅了される理由の一端を果たしていた。 『彼の、目が一番好き。』 ミサトは友人にのろけを聞かせる際には、必ずこのフレーズを用いた。 ミサトにとって、これほど一人の男性の虜となる事は初めての事だった。 彼女はそれをある種の戸惑いと共に知り、非常な心地良さと共に それを受け容れた。 やがて、ミサトが大学を卒業して学院で勤めを始め、マコトが高校を 卒業して大学に入学した事をきっかけとして、二人は同棲を始めた。 蜜月の日々、と呼んでも良かった。 若い二人は毎晩の様に身体を重ねた。 マコトは年齢と外見とは裏腹に、そちらの経験はかなり豊富の様だった。 ミサトは身持ちは堅い方であったが、さすがに乙女というわけではなく、 それなりの経験は積んでいた。 そのミサトが、彼の手によって失神を迎える事しばしばであった。 女の肉体を知り尽くしているらしいマコトの業は、いとも容易くミサトを 遥か高みへといざなう。 ベッドのシーツは乱れ、そして濡れた。 もともと情熱的な性格であるミサトは、彼と愛を交歓する度に自分の中の 女が大きく育って行く事を感じた。 自分が”日向マコト”という色に染められて行く事をはっきりと理解し、 さらにミサトは彼と愛し合う。 全てがうまく行っている様に見えた。 しかしその幸せな日々も、たった一つの綻びを内包していた。 それが二人の関係に影を落とし、やがてその影は徐々に大きく 育って行く事となる。 「くううっ・・・・・あ・あ・・・・・・。」 自分の下にいる少女が、苦痛の声を漏らす。 マコトはサヤのつややかな黒髪をそっと撫でた。 「苦しい?サヤちゃん。 あんまり痛い様なら、この辺で止めても・・・・。」 サヤは首を振る。 じっと堪えた表情を浮かべる彼女に、マコトはいっそうの愛おしさを感じる。 彼はさらに腰を進めた。 「ああっ!・・・・・くう・ん・・・・・!」 少女は油汗さえ浮かべていた。 無理もない、とマコトは思う。 まだ三度目であり、破瓜の痛みも完全には抜け切れてはいないだろう。 そもそもそれ以前に、この間13歳を迎えたばかりの身体に、 マコトの男性自身は受け容れ難いものであろう。 結構な時間を前戯に費やしたつもりではあったが、少女の秘部はまだ幼く、 雫も十分には顕れない。 かなりの抵抗があった。 「・・・・・く・・・・。」 マコトは思わず声を出した。 サヤの身体の最も奥深い場所までマコトは辿り着いた。 屹立する彼の部分の内、埋没しているのはせいぜいが半分程度であったが、 それでも気を失いそうな程の快感が全身を貫く。 瞼を閉じ、唇を噛んだサヤ。 彼女の両手はマコトの両肩に添えられている。 マコトはサヤの額にくちづけた。 ミサトは彼と愛し合い、そして満足しない時はなかった。 一晩の内に何度も何度も絶頂を迎え、自分の中の獣が解放を喜び 駆け巡る。 しかし彼女の満足には常にほんの僅かの苦しさがあった。 肉体は十分に、十分過ぎる程に満たされている。 しかし心は苦痛を訴えていた。 マコトに抱かれるのが嫌だ、という事ではない。 ミサトは、彼こそ自分の生涯の伴侶であるとさえ固く信じる程マコトに 陶酔していた。 ミサトが苦痛を感じる部分。 それは、マコトが一度として自分の肉体に満足してはくれないという事 であった。 何度も夜を迎え、何度もミサトが天国の扉を叩こうとも、マコトはけして 果てる事はなかった。 マコトはミサトの肉体に反応はするものの、快感の最終地点までは 到達しないのである。 常に満足するのはミサトのみであり、マコトは終始奉仕に勤めるのみだった。 自分の体は魅力的ではないのか。 ミサトは何度となく彼に問うた。 その度にマコトは優しく微笑み、それを否定する。 その瞳から、ミサトは彼が自分を愛してくれている事を信じ、 そして次の夜には再び抱き合う。 セックスとは、自分のみが達すれば満足出来るというものではない。 相手も共に果てを迎えてこそ満たされるというものだ。 男性の方はともかく、女性においてそれは顕著である。 喜びの中で続けていた行為は、やがて苦痛のみを訴えはじめる。 そしてミサトが、マコトの過去を知り、そして彼の心の中に潜む闇を 見てしまった時、彼女は彼に別れを告げた。 逃げたのね、とミサトは思う。 ミサトは、マコトの心から目を背けた。 つまり、それは逃げたという事だ。 でも、どうしようもない事だ、とも思う。 自分には彼を救う事は出来ない。 自分にはとてもそれだけの力はない。 だから。 逃げたのだ。 「・・・・・・!」 マコトは全身を震わせた。 どくっ・・・・どくっ・・・・・! 一気に引き抜いた分身は、二、三度脈打ち、白濁した液体を吐き出した。 それは服が捲くれ上がり、露になったサヤの胸から腹にかけて点々と 散らばる。 「はあ・・・・・・はあ・・・・・・。」 マコトは荒く息を吐いた。 身体の下で、サヤはゆっくりとその薄い胸を上下させていた。 激しい行為のなごりで、全身が熱くほてっている。 気だるさが全身を包み、マコトはゆっくり互いの顔を近づけた。 「マコト・・・さん・・・・・・。」 うっとりとした瞳でサヤがマコトを見つめていた。 そっと、マコトはサヤとくちづけを交わした。


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ver.-1.00 1997-11/12公開
ご意見・感想・誤字情報などは kawai@mtf.biglobe.ne.jp まで。

後書き

皆さん、こんにちは。河井継一です。
今回は私の我が侭から、話の中に過激な描写を含ませて頂きました。
これは”絶対に”必要であると言うわけではありませんが、
日向マコトという人間の人格、そして葛城ミサトとの関係を
より深く感じて頂くためにどうしても入れたかった部分です。
御了承下さい。


 河井さんの『僕のために、泣いてくれますか』第拾九話、公開です。
 

 中学生とマコト。

 子供としか達しない
 

 ”ミサトが感じた彼の闇”

 これがそれなのでしょうか。
 

 ミサトと恋人同士だった時は、
 ミサトという大人としていたんですよね。

 でも、達しなかった・・
 

 興味が子供だけというわけではない?
 何か他の目的で近づいた?
 達しないのは他の訳?

 

 ああああ!

 次回が待ち遠しい〜

 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 深い!!河井さんに感想メールを送りましょう!


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