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 バスルームから上がった少女は、そのまま姿見の前に立った。
 バスタオル一枚を身体に巻いたその姿は美しかった。普段、病的なまでに白
い肌は湯上りの為にうっすらと桜色に染まり、濡れた髪が頬に貼りついている。
 だが、その紅の瞳には感情の色は浮かんでは来ない。
 ただ目に映る物を、無感動に見つめているだけなのだ。
 ハラリ、と落ちるバスタオル。
 一糸纏わぬ姿になった少女は、そのままカーテンの引かれていないリビング
に立つ。
 時間は深夜の2時。時計の針は既に日付を変更している。
 月光がリビングに射し込み、昼間とは違った明るさが部屋を満たしている。
 少女はじっとその月を見つめ続ける。
 まるでそれは何かの儀式のような真摯さで、少女は暫し空を見つめていた。
 数十分、それを続けていた少女は不意に踵を返し、ベッドの上に横になった。
 月明かりに照らされた場所にベッド置いた少女は、そのまま眠りつづける。
 それはあたかも、美しい女神像の姿にも見えた。










 透明な夜。
 そんな言葉が浮かぶ。
 雲が月の光に照らされて、蒼く光っている。
 じっと見つめるその先に、『彼女』がいるような気がする。
「……………どうして、だろう」
 呟いてみた言葉が、空に吸い込まれていくような気がする。
 誰もいない夜の公園の、さらに人気の無い湖の傍で、少年は寝転びながら夜
空を見上げている。
「………どうして………」
 呟きは問いかけ。
 何に向けての問いなのか、それは多分自分にもわからない。
 風が吹き、水面が揺れた。
 静かに身を起こした僕の眼前に彼女がいた。
 水面に浮かぶようにして、そこに『彼女』は立っていた。
 ただ無言で僕を見つめているその彼女の目に、僕は見つめ返す以外できない。
 何も、言う必要はないような気がしたから。
 その紅い瞳は何を伝えようとしているんだろう。
 静かな、波立たない水面のように、彼女はただじっと僕を見つめる。
 そして僕はそれをただじっと見つめ返す。
 それだけが、僕らを繋ぐ糸のようだから。













『残月』   朧月 - Fourth Impression -















 手をのばした先に、彼女の微笑みがあった。
 重ねたその手の温もりに、彼女を実感できた。
 そう、思っていた。
 風が彼女を掻き消した後に残る、僕の想いがそれをそう実感させる。
 彼女と共に在りたい、と。
 音が僕らを繋ぐ。
 でも、それだけじゃない。
 それだけじゃ、ないんだ。
 ふと見れば彼女の瞳が問うように、じっと僕を見つめている。
「…なんでも無いよ」
 そっと手を離し、僕は地面に座り込む。そしてチェロを構える。
 そんな僕をじっと見つめ、彼女はゆっくりと踊り始める。
 僕の弾き出す音に合わせて。




 しなやかに伸びるその繊手や、その流れるような髪が月に照らされる。
 舞は何処の国の物とも分からないけれど、何故か懐かしい。
 彼女を見つめている内に、僕は懐かしさと、そして歓喜を覚えるのだ。
 どうしてかは、分からない。けれど、何故か懐かしい。




 月の光が少女を照らす。
 その下で、少女はただ踊る。無心に、何かに祈るように。
 その旋律を描くのは少年。
 少年はただひたすらに旋律を描く。何かを思い出そうとするように。
 何かを、見つけ出そうとするように。
 月の光の途切れる頃、少女は一礼を残して消える。
 少女のいた事を示す物は何も無い。ただ、少年の心の中を除いて。
 そして少年はチェロを片付け、家へと戻る。







 朝。それはどんな場所に居ても、どんな気持ちでいようとも必ず来るもので
ある。だがまだ太陽すら昇らぬ時刻に、一人の少年がマンションの屋上へと出
てきていた。
 吹きぬける風にその銀色の髪をなぶらせても、その顔には表情は浮かばない。
ただ、じっと空を見上げているだけである。
 不意に彼は振り向いた。
 じっと彼が見つめる先に、一人の少女がいる。
 蒼銀色の髪に、同じ深紅の瞳の少女。
 少女は無言で彼を見つめていた。
「……やあ」
 小さく、だがはっきりと彼は少女に向け、そう挨拶する。まるで少女がそこ
にいる事が当然の事のように。













 FROM NEON GENESIS EVANGELION (C)GAINAX/TV TOKYO
 PRESENTED BY Kei(tee-laden)












 夏の陽射しが作り出していた陽射しも和らぎ、今は風が秋の匂いを運んでい
た。
 だが、そんな爽やかな朝にも関わらず、今日も碇家では年中行事と化した少
女の怒声が響いていた。
「バカシンジィッ!! いい加減に起きなさい!!!!」
 そんな声を背後に、女性はキッチンに立っていた。
「…アスカちゃん。今日も元気ね」
「…ああ」
 碇家の夫婦。碇ゲンドウと碇ユイ夫妻である。
 ユイは微笑みながら料理を続け、ゲンドウはその後無言で新聞をめくってい
た。
 いつもの事なのだ。
 だから二人は何もしない。
 手を出そうものなら、アスカがここぞとばかりにシンジがいかに起きないか
をせつせつと語られてしまうからだ。
 一度やって以来、ゲンドウですらその事には触れなくなっている。
「…………そう言えば、シンジが女の子を家に連れてきた、と言っていたな」
 本当に思い出したようにゲンドウが呟く。
 いや、呟きではなく問いかけなのだろうが、それは傍から見れば呟きとしか
言いようの無い、小さな声だった。
「ええ。綾波さんと言ったかしら。可愛いお嬢さんでしたよ?」
 振り向きもせずにユイが答える。それに気を悪くした風も見せず、ゲンドウ
は新聞を無意味に畳み直している。
「……気になるんですか?」
 笑いを含んだ声で尋ねるユイに、ゲンドウは無言で新聞を置いた。
 そして一言。
「まさか」
 そう答える夫にユイは苦笑する。
 なんだかんだ言っても、シンジは一人息子であり、ゲンドウは傍目にはそう
見えずとも、シンジの事を人一倍気にかけてはいるのだ。
 問題はそれを周囲の人間からは理解できない、というだけであり、それが最
大の問題でもある。
 だがユイは、さすがにそれを理解していた。
「良い子みたいでしたよ? …すぐに帰りましたけど」
 ユイが独り言のようにそう言うと、暫くの間の後に再び新聞が開く音がした。
 くすり、と笑うとユイは再び朝食の準備に戻った。
 ドタン、バタン、と大きな音がシンジの部屋から響く。
 ユイはその手を止めることは無い。
 いつもの事なのだ。







「………痛い」
 ぼそり、とシンジが呟く。
 その前を、何事も無かったようにアスカが歩いている。
「…………痛い」
 もう一度、シンジが呟く。
 その前を、本当に何事も無かったような顔をしたアスカが歩いている。
 その足はいつもよりもゆっくりと歩いているようにも見える。
「…………すごく、痛かったんだけど」
 シンジが自分の後頭部に出来たコブに触れ、顔をしかめる。
 アスカはと言えば、どこか遠くを見ていたりする。
「…アスカ」
「ああ、もう! いつまでもグジグジグジグジと!! 男でしょ!? それく
らいさっさと忘れなさいよ!!!」
 シンジのジトっとした視線と、呟かれる声にいい加減堪えきれなくなったの
だろう。アスカが振り向き、そう怒鳴りつける。
「……アスカ、遅刻するって言って、僕をベッドから蹴落としたんだよね」
 シンジが芝居がかった動作で、自分の腕時計を見る。
「……どうして僕らは歩いてるんだろうね」
 彼にしては猛烈に不機嫌な声で尋ねる。アスカはと言えば、遠くを見てる。
「早朝の空気って気持ちいいと思わない?」
 すうっ、と深呼吸してアスカが爽やかに笑う。
 恐らく、並の男ならその笑顔だけで虜になるだろう程の、である。が、シン
ジはそれに何の感慨も抱かなかったようである。
 先ほどからの視線をアスカに向け、ため息をつく。
「…そうだね。頭にコブなんか無きゃ、もっと気持ち良いと思うよ」
 実に刺々しい口調になっているシンジに、アスカの口元が引きつった。
「悪かったわよ。だからさっき謝ったじゃないの」
「……あれだけ盛大な起こし方しておいて、『時間、間違えちゃった、ゴメン
ね』の一言しか無かったけど、『あれ』がそうだったの?」
 視線に猛烈な棘があるのをアスカは自覚していた。
 そう。今朝、いつものように目を覚ましたアスカは、目覚し時計を見て驚愕
してしまったのだ。
 いつもの時間よりも、1時間も過ぎている。
 シンジが、自分が起こしに行く前に起きている可能性は低い。
 アスカは自己新記録の速度で身支度を済ませ、隣の碇家に駆け込んだのだ。
そして幼馴染の寝ぼすけをベッドから蹴り落とし、起こした所で気付いた。
 彼の目覚し時計が、まだいつも起こしに来る1時間前を指している事に。
 そしてユイがゆっくりと部屋に入ってきて、にこりと笑い、こう言ったのだ。
「あら、アスカちゃん。今朝は早いのね?」
 シンジの猛烈に不機嫌そうな視線と、ユイのにこやかな笑顔に挟まれたアス
カはそのまま碇家で摂りそこなった朝食を摂り、いつもより30分早く登校し
たのである。
「…もう、良いじゃないの! そもそもシンジが遅刻寸前に起きなきゃ、これ
くらいの時間に登校できるのよ!」
 開き直った言い方で言いくるめ、アスカ達は歩いているのである。が、それ
でも寝不足のところをさらに凶悪な起こされ方をしたシンジは機嫌が悪かった。
「……穏やかな朝を迎えたかったな、僕」
 遠くを見て、一言。
 アスカはそんなシンジに、これ以上は何を言っても無駄だ、と理解した。
 伊達に幼馴染はやっていない。

 ……ま、明日になればいつもの通りに笑ってくれるだろうし……。

 シンジの怒りなど、持続時間はこれくらいだと、経験的に知っているアスカ
はそう考え、そのまま歩き出した。






「あ、綾波」
 不意に少年の声が響いた。
 少女にとって、聞き慣れた、心地良い声が。
 それに答えるように、少女が振りかえる。
「………碇君」
 そしてその視線の先に、想像どおりの少年を見つける。
「おはよ、綾波」
 少年が自分に駆け寄る。そして微笑んでくれる。
 それはいつもの通りで、そして少女にとって唯一の楽しみな事なのかもしれ
ない。
 そして彼女はいつものように、少年と連れ立って歩くもう一人の少女に視線
を向ける。
 金色の髪をなびかせる、美しい少女。
 太陽に愛されていると思わせる、その快活さを彼女は羨ましくも思う。
「……おはよう。惣流さん」
「おはよ。綾波さん」
 いつまで経っても、この呼び方は変わらない。
 どこか別なものを見ているような視線も。
「…さ、行こう?」
 それに気付かないように、少年がそう言って彼女に笑いかける。
 それを、嬉しく思う。
 それを、少し寂しく思う。
 彼女にとって、それは初めての戸惑い。









 翌日。
 アスカがいつものように隣家の幼馴染を起こしに行った時、それは起こった。
 珍しくユイが玄関先に出てきてアスカを出迎え、そしてこう告げたのだ。
 シンジはいない、と。
 一時期シンジが一人先に家を出る事があったので、またそれかと思ったアス
カに対し、ユイはさらに言葉を続けた。
 これから一週間、シンジは家にはいないので迎えに来なくても良い、と。
「それって…どういう事ですか!?」
 アスカの声に、ユイは戸惑ったような表情を浮かべた。万事微笑を絶やさな
い彼女にしては珍しいことである。
「もしかして…シンジ、何も言わなかったの? アスカちゃんに」
 そのユイの表情にアスカも戸惑った顔になる。
「何も…って、何も聞いてませんけど」
「シンジね、コンクールに出る事になったの」
 ユイの言葉に、アスカは呆然となった。







 一人歩く登校路。だがアスカは無言で、俯き加減で歩いていた。
 いつも隣にいるはずの少年の姿は無い。
 彼は、今、この街にすらいないのだ。
「…………なにも………教えてくれなかったんだ……」
 ユイが教えてくれた事は、アスカの耳には殆ど入っていなかった。
 ただ、シンジが暫く留守にする事。
 それしか聞こえなかった。
 後はただ、シンジが自分にそんな大切な事を何一つ言わなかった事だけが、
彼女の頭の中を駆け巡っているだけだった。

 いつだって、教えてくれた。
 いつだって、自分の大切な事を、一番に教えてくれてた。

 それがアスカの拠り所であり、シンジとの繋がりを実感させてくれる事だっ
たのだ。
 自分が隠し事をしてても、シンジは何も言わない。
 でも、シンジは教えてくれる。
 まるで秘密を共有する事が当然のように。
 それが、自分がシンジにとって『特別』である証だったのだ。
 なのに。
 シンジは教えてくれなかった。
 自分が暫く留守にする事を。
 本来なら、喜ぶべき事なのかもしれない。
 チェロを続けていたシンジが、それまでは全然コンクールに興味を示さな
かったシンジが、初めて自分の意思でそれに参加したのだから。
 本来なら、喜んで応援してあげるべきなのだろう。
 けれど…。
 シンジがそんな風になった事に、戸惑ってる自分がいる。
 シンジはいつだって私に手間をかけさせる、駄目な奴で、出来の悪い弟みた
いで………。
 だから……戸惑う。
 シンジが変わっていく事に。
「教えて……くれなかったんだ…」

 あたしには。

 不意に思う。

 じゃあ、他の人達は知っているの?
 あたしは知らなかった。教えても、もらえなかった。
 じゃあ、他の人達は知っているの? 教えてもらっていたの?

 もし自分だけが知らなかったのだとしたら……。

 それは、認めたくない事。
 胸に痛みが走る。
 そう、考えただけで。






「なんや、惣流。シンジはおらんのかいな」
 登校一番、アスカにそう尋ねたのは鈴原トウジだった。
 その一言にアスカは、何故かほっとした表情を浮かべる。
 それに首をかしげながら、トウジは重ねて問いかける。
「シンジ、どないしたんや?」
「なんだか、どっかに行くって。あんた、何も聞いてないの?」
「…別に、なーんも聞いてへん」
 トウジが隣にいる相田ケンスケに視線を向けた。
「俺も、何も聞いてないぜ」
 その視線に答えるケンスケ。そして今度は二人の視線がアスカに向けられた。
「あたしも…聞いてなかったのよ」
 ちょっと憮然とした表情のアスカ。それに応え、今度は三人の視線が委員長
である洞木ヒカリに向けられた。
「あ、あたし? 何も聞いてないけど…」
 そう答えたヒカリ。それから思いついたように口にした。
「綾波さん…知ってたのかな」
「……ちゅーか、そもそもシンジは何処行ったんや?」
 それすらも知らないクラスメートである。
 シンジは自分がチェロを習っている事を、あまり人に話さなかった。
 理由は言わなかったが、シンジが自分のやっている事を自慢する趣味が無い
事から、アスカも何も言わなかったのである。
「コンクール…だって」
「なんの?」
 ヒカリが重ねて尋ねる。
「…チェロの」
 アスカの言葉に、トウジ達は軽く目を見張った。
「チェロって…あいつ、そんなん弾けたんか」
「小さい頃からやってたから……。多分人並みにはね」
「なんだよ。多分って」
「あたしも…あんまりちゃんと聞いた事、無かったから」
 アスカが自信無さげに言う言葉。
 その時、背後のドアが開いた。
 無言で教室に踏み込み、そして一直線に自分の席へと向かう少女。
 綾波レイである。
 すとん、と席に座るといつものように窓の外を眺め始める。
 いつもと、変わらない。
 そこにシンジがいない事など、まったく気付いていないように。
「あ、綾波さん」
 ヒカリが恐る恐る声をかける。
 レイが転入してから半年が経過していると言うのにも関わらず、レイに声を
かけるのには、まだ緊張を伴う。
 ヒカリの声に反応し、レイがゆっくりと振り向いた。
 真紅の瞳に見つめられ、ヒカリは射竦められるような錯覚すら感じる。
「…あの…」
「………なに…?」
 二人の口が開いたのは同時だった。
 それから、レイは口をつぐみ、ヒカリの言葉の続きを待つ。
「あの、碇君、今日いないんだよね」
「……そう」
 ちらり、と視線が動いて教室の中を見渡すのが見える。
「…そうみたいね」
 さして驚いた風も見せないレイに、ヒカリは眉をひそめる。
「もしかして、知ってたの?」
「なにを?」
「…碇君が今日からいない事」
 ヒカリの言葉にレイは首を横に振った。
「……私は知らないわ」
 そう答えるレイに、ヒカリはただ頷いただけだった。
 ヒカリが傍から去った後、レイは一人呟いた。
「…そう………『私』は……知らない」
 それは誰にも聞こえない呟き。









 碇シンジはゆっくりと、あてがわれた部屋を見まわしていた。
 木材をふんだんに使い、防音効果と音の反射に気を配った壁面。古いアン
ティーク調に統一された調度品。
 スプリングが良く効いたベッド。
「……ホテルみたいだ」
 呟いた言葉に、背後に立っていた男が頷いた。
「ええ。まあ、今回は万全の態勢で皆さんに演奏して欲しいですからね」
 男はにこやかに笑う。
「…必要な物は一階にいる水瀬さんに言って下さい。それと、今回のコンクー
ルでは外部の人間とは一切連絡が取れませんから、そのつもりでお願いしま
す」
 パンフレットに書いてあった事を確認するように、男がそう告げる。
 シンジは黙ってうなずいた。
「…それでは、これから一週間、頑張ってください」
「やれる限り、やってみます」
 男の笑みに、シンジは微笑み返した。



 男が立ち去った後、シンジはドアを閉めて一息ついた。
 自分が持ちこんだスポーツバッグが、部屋の調度品の中で浮いているように
見える。
 ただ一つ、チェロのケースだけが、以前からそこにあったように鎮座してい
る。
「……やれるだけの事を……か」
 シンジはそう呟いた。


 そもそもシンジがこのコンクール、スタンウィッツ・オーケストラ主催のコ
ンクールに応募したのは、彼の師匠とも言える老人の薦めがあったからであっ
た。
 いつものように練習に行くと、老人が一枚の紙を差し出してきたのだ。
 それはコンクールの応募要項だった。
「…これ?」
「出てみんかね」
 老人が優しい声で尋ねる。
「…でも…僕は……」
「音楽の道で生きていこうと思うなら、こういう物にも出ないといかんよ」
 老人の声には、真摯さと、そして苦味があった。
「……お前さんなら、良いところまで行ける。そう思うんだがね」
 同時にこうも付け足す。
「とは言っても、それだけに凝り固まるのも、つまらん生き方なのかも知れん
がな」
 と。
 そんな事を言う時の老人は、遠い目をしていた。
 シンジはじっと老人を見つけ、そして紙に視線を移した。
「…考えさせてください」
 シンジの言葉に、老人はうなずいた。
「かまわんよ。無理強いはせんし、するつもりも無い」
 老人は好々爺な笑みを浮かべたかと思うと、不意に厳しい顔つきになった。
「さて、それでは始めるとするかな?」
「はい」


 結局、シンジはこのコンクールに応募する事になった。
 それが3ヶ月前の話である。
 それから予選があり、そしてシンジは本選に残る事が出来た。
 このコンクールに優勝すれば、それ以降の道は開かれたも同然である。そう
語る主催者の声が耳によみがえる。
「………道……か」
 呟きは、壁に消えた。



「それでは皆さん揃ったようですので、自己紹介といきましょうか」
 男(飯塚さん、と言った)がそう言って皆をホールに集めた。
 僕はたった一人、14歳という事で、なんとなく居づらいものを感じていた
けれど。
「…水瀬タカコと言います。皆さんのお世話をさせていただきます」
 ゆっくりと頭を下げたのは、30歳くらいのふっくらした感じの女の人。
 なんとなく、『お母さん』といった感じを受ける。
 それも『ママ』じゃなくて『お袋さん』といった感じの。
「山崎コウジです。大学でチェロを弾いています」
 20代前半くらいの男の人。なんとなく、モデルみたいな感じがある。
「遠山シヲリです。よろしくお願いします」
 20代後半くらいの女性。ミサト先生とは正反対な感じだった。
「鳴島ナオ」
 僕よりも年上だけど、他の人達よりも若いみたい。なんだか突き放したよう
な喋り方をする人だった。
「狭山タカオです。……こういうコンクールはいつ出ても緊張しますね」
 人のよさそうな笑顔を浮かべた人。
「碇…シンジです。よろしくお願いします」
 そして僕。
 ぺこり、と頭を下げると皆なんだか変な表情をしていた。
「……こんな少年が本選まで残るとはね……」
 山崎さんがそう言って頭を抱えていた。妙に芝居がかった動きで、どこまで
本気なのか分からないけれど。
 どうやら、僕みたいな子供がここにいる事が、それ程変らしい。そういう事
に遅まきながら僕もようやく気がついた。
 確かに、ここにいる人達は皆それなりのキャリアを持っている人達だと思う。
いくつものコンクールに参加している人もいる。
 山崎さんなんて、コンクール荒らしみたいな言われ方をしていた事を僕も
知っている。
 鳴島さんは、初めて見たけど、自信の塊みたいな人に見えた。
 そんな人達の中では、確かに僕は異彩を放っていると言える。
「……予選の演奏聞いていたけれど…あんたより上手かったかもよ?」
 鳴島さんが挑発するような言い方で、山崎さんをからかう。それを聞いて僕
は冷や汗をかく。
 どうして、演奏するだけでもあれだけ緊張するのに、こんな所で緊張しなく
ちゃいけないんだろう。
「そいつは凄いなぁ」
 にやにやと笑う山崎さん。大人の余裕って奴なのかな。全然堪えていないみ
たいだし。
「ふん」
 鼻を鳴らしてそっぽを向いた鳴島さん。…どうしてこんなに仲が悪いのか。
「…彼女、以前に別のコンクールで山崎さんに優勝をもって行かれた事がある
のよ」
 そっと僕の耳元に囁きかけてきたのは、遠山さんだった。
「そうなんですか?」
「ええ。それからと言うもの、鳴島さん、山崎さんをライバル視してるの」
 楽しそうに微笑む遠山さん。その笑顔に、僕は少し紅くなった。
 近くで見ると、本当に綺麗な人だから。
 それに髪からふんわりと、良い匂いもする。
「碇シンジ君。あなたの演奏、聞いていたわ」
「ありがとうございます……。僕も、遠山さんの演奏、聞いていました」
「あら、ありがとう」
 ふふっ、と笑う遠山さん。
「シンジ君…で良いよね? なんだか弟みたいだから…」
「僕、一人っ子なんですけど」
「良いじゃないの。弟みたいで可愛いんだもの」
 そう言って笑う遠山さん。なんだか、徹底的にからかわれているみたいだっ
た。






 初日は挨拶と、夕食。
 それだけで皆自室に引きこもっていった。
 それは当然とも言える。ここに居る人達は、別に友誼を深めに来た訳じゃな
い。たった一つの『優勝』という栄誉を手に入れる為に、競うためにここに集
まったのだから。
 
 だがシンジにとっては、それはまだ良くわからない事でもあった。理解はし
ている。だが、認識は付いて行ってはいないのだ。
 彼にとって音楽とは競う物では無いのだ。常に、己への問いかけであり、外
の世界への問いかけである。
 だから、認識できない。
 『音楽』という物を争う対象にする事が。

「……結局、アスカには言わずに来ちゃったな……」
 ベッドに腰掛け、シンジはそう呟いた。
 怒っているだろうか。
 それとも、なんとも思っていないだろうか。
「…言うほどの事でも、無いと思うけど……」
 奇妙にひっかかる。
「綾波……どうしてるかな」
 不意にそう呟いた。
 どさっ、と座っていたベッドに倒れこみ、シンジは天井を見上げる。
 何も見えない。木目以外は。
 だがシンジはじっと見つめていた。
 逢えない事が寂しかった。
 それがアスカと会えないからなのか。
 それともレイと会えないからなのか。
 まだ、分からない。













 月は見えない。
 そっと見上げた空に、月は昇ってはいなかった。
 細い、細い月が空に在ったのはつい昨夜の事。
 新月の夜。空はただひたすらに暗かった。
 リビングからじっと空を見上げていた少女は、酷く悲しそうな、寂しそうな
表情を浮かべる。
 まるで、何か大切な物がそこに無いかのように。
 真紅の瞳が、物言わず揺れる。
 ゆっくりと背を向け、そして座り込んだ少女はそのまま膝を抱え、じっと空
を見上げた。
 何も無い其処に、何かを見つけ出そうとするかのように。
 そっと吐いた息。それも、どこかこの静けさを破る事を恐れるように静かな
吐息だった。












 アスカはベッドに横になりながら、ぼんやりと天井を見上げていた。
 じっと、ただ無言で。
 ラジカセから聞こえてくるお気に入りのラジオ番組のDJの声も、今のアス
カの耳には入ってはいない。
 ただ、ぼんやりと寝転んでいる。
「………シンジの……バカ」
 呟かれる言葉。そこにこめられた感情は、言葉とは裏腹の物。
「……………黙って行っちゃうなんてさ」
 ごろり、と身体を倒す。さらさらの髪が頬をかすめる。
「…あたしに何も言わないで…」
 視線の先には一つのフォトスタンドがある。
 その四角いフレームの中で、アスカとシンジが笑っていた。
 アスカはいつものように、強気に。シンジはそんなアスカに苦笑して。
「………馬鹿シンジ………の……バカ」
 スピーカーから流れる音楽もフェードアウトしていく。
 アスカの吐息も、フェードアウトしていく。
 眠りが、彼女を包んでいた。










 一週間の時が過ぎて行く。
 アスカの日常は、シンジがいない事を除けば今までとなんら変わらないまま
だった。
 レイの日常は、傍目には、まったく変わらないように見えた。
 だが、確かに違うのだ。
 そこに彼がいない、という事が。
 いつもの席に彼がいない。
 いつもの視線の先に、誰もいない。
 そこで微笑み返してくれる筈の彼が、いない。


「え?」
「だから、シンジのコンクールの本選。アスカちゃんも見に行かない?」
「良いんですか?」
「ええ。アスカちゃんにも黙って行っちゃった愚息の晴れ舞台、見てあげてく
れない?」
 ユイの微笑みにアスカは一も二も無く頷いた。
「行きます! 連れてってください!」
 その笑顔にユイは嬉しそうに微笑んだ。


「…………そう…ですか」
「君は行かんのか?」
「……行きたい…んでしょうか」
「…自分の心に素直にならんといかんよ」
「……行きたいの?………私……」
 老人の言葉に少女はそう自問する。
「……当日は儂も行く。…なんなら、車に乗って行くと良い」
 暫しの沈黙。老人は何も言わずにただじっと、少女の答えを待つ。
「……連れて行って…下さい」
 そう答えた少女に、老人は優しい眼差しを向けた。






 緊張しているんだろうか。
 不意に僕は思った。
 手が思うように動かないし、視線も定まらない。
 何より、心臓の動悸がおさまらない。
 この控え室から外に出れば、そこはもう、沢山の観客のいるステージだ。
「……うーん」
 思わず唸ってしまう。
 カチンコチンに固まっている自分が自覚できる。けれど、それをどうする事
も出来ない。
「こういうのって、本当にあるんだなぁ」
 僕は思わず、そう呟いてしまった。






「…すごい…」
 アスカはそう呟いた。この人の数にも驚いたが、何よりも他の演奏者達の技
巧に驚く。
 あのシンジが、あの幼馴染が、この演奏者達と競う立場にある事がどうして
も信じられない。
「……本当に、上手ねえ」
 ユイがそう言ってため息をつく。
 彼らの演奏に聞きほれているのだ。
 特に先ほどの演奏者、遠山シヲリは群を抜いて上手だった。それこそ審査員
全員が喝采を送る程に。
「……シンジ、しかも最後なのよねぇ」
 ユイがそう言いながら、けれどしっかりと息子を信じている微笑を浮かべて
いるのをアスカは不思議そうな目で見つめていた。





 少女はじっと見つめていた。
 息も殺して、ただじっと。
 何かを祈るように。




「本当は…あまり良い事じゃないんだけどね」
 少年は軽く呟くと、そう言って笑う。
「……君がそれを望むのかい?」
 頷く少女に肩を竦め、少年は皮肉な笑みを浮かべる。
「わかった………けれど、その時は僕の頼みも聞いてくれるね?」
 もう一度、頷く少女。
 それを見て満足げに頷くと、少年は手を挙げた。
「それじゃ、そういうことで」
 少女がその言葉に踵を返す。
 それを見送り、少年は微笑みを浮かべた。先ほどの、皮肉な笑みではない、
優しげな笑みを。
「………君はもう、見つけていたんだね」
 そう言って少年は空を見上げる。
「…少し、羨ましいな」
 その呟きは、風に掻き消された。







「5番。碇シンジさん」
 その声に僕は立ちあがった。
 舞台袖からゆっくりと歩き出し、そして中央の椅子の横でチェロを置く。
 観客席を見、そして一礼する。
 それらを機械的にする僕。多分今なら、僕の耳元で爆弾が爆発したってびっ
くりしないだろう。
 それくらい、僕は極限まで緊張しているから。

 カタン。

 構えた弓が引っかかって、下に落としてしまう。
 慌てて拾い上げるけれど、僕はもう顔を上げる事も出来ないほどに真っ赤に
なってしまった。




「…何やってるのよ。あのバカ」
 口の中でその言葉を飲みこみ、アスカはじっとシンジを見つめていた。
 あまり、変わっていない。
 自分が知っているシンジと、こんなステージの上に立つシンジにギャップを
感じていた。けれど、今のシンジはアスカの知っている、いや、それ以上にド
ジでグズなシンジだった。
「……何やってるのよ、あのバカシンジ」
 ふっと口元に浮かぶ笑み。
 見知らぬ他人のように思えたシンジが、また自分の幼馴染に戻ってきたよう
に思えたから。
「すぐ緊張するんだから」
 アスカは声をかけたい思いを、必死に押さえてそう呟いた。
 さも、しょうがなさそうに。





 課題曲を弾こうとする。
 けれど緊張のせいか、思うようにそれが思い浮かばない。
 どんな風な弾き出しだったか。
 それすらも思い出せない。
 どんどん、どんどん心拍数が上がって行くのが分かる。
 そしてそれに合わせて、頭の中から楽譜が抜け出して行くような気がする。

 不意に風が吹いたような気がした。

 弾かれたように顔を上げ、僕はその風を感じた場所を見上げる。
 そこに『彼女』はいた。
 舞台の天井に張り巡らされた鉄骨の上に、そっと腰掛けて。
 僕を見ている。
 その真紅の瞳。
 それに、吸い込まれそうになる。

 何かを待っているその瞳。
 じっと、僕を見つめてる、その瞳。

 僕はゆっくりと目を閉じ、そして弓を引いた。

 それまでの、これ以上無いくらいの緊張も忘れて。
 そして弾き出された音は、僕と、そして彼女を包んだ。






 シンジが不意に顔を上げた。
 まるで何かを探しているかのように。
 そして上を見、それからゆっくりとにチェロを弾き始めた。
 今の今までの、緊張しきったシンジとは思えない、今までの演奏者達の演奏
と比べても遜色の無い、ううん、ずっと、ずっと優しい音。
 シンジがこんな音を出せるだなんて、私はずっと知らなかった。
 なんだか、シンジが私の知らない人に見える。
 ……なんだか、怖い。






 音は途切れない。
 ゆっくりと、そして優しく音色は会場を包んでいた。
 それは本当は、たった一人に向けられた音。
 けれどその音色は、確かに会場の一人一人を包んでいた。
 そして、少年にだけは聞こえていた。
 少女の、小さな歌声が。
 小さな、本当に小さな歌声が。


 それは何処か遠い国の言葉のようにも聞こえる。
 けれど、懐かしい。


 最後の音色が弾き出され、そしてシンジは目を開いた。
 ゆっくりと見上げたそこに『彼女』はいなかった。
 けれど、ゆっくりと下って行く視線のその先に、『彼女』はいた。
「……綾波……来て…くれたんだ」
 そう呟いた。
 そして微笑む。
 自然に。
 それは、来てくれた事への感謝なのか。それとも、逢えた事への歓喜なのか。
 それはまだ、わからない。

 シンジは立ちあがり、そして深く一礼をした。
 少女のいる席に向けて。

 そして少年が顔を上げた時、会場を割れんばかりの拍手が包んだ。
 たった一人の、14歳の少年に向けられた、それは盛大な拍手だった。






「…ふん」
 鳴島ナオは鼻をならしてチェロのケースを持った。
 くやしいけれど、でも、認めざるを得ないだろう。
 確かに、あの少年は自分よりも巧い演奏をした、と。


「……まいったねぇ」
 山崎コウジはそう呟くと苦笑した。
 今回はライバル目白押しだったって訳だ。
 そう考え、肩を竦める。
 まあ良いさ。次がある。
 彼はそう呟くと、そのまま立ち去った。


「………凄い…ですね」
 狭山タカオは素直に感動していた。
 自分がチェロをやっている理由は、他人に感動を与えたいと思ったから。
 そしてそれが出来る人間を、彼は素直に凄いと認められた。
「……やっぱり、音楽をやっていて正解だったんだ」
 彼はまた、新たなる目標を得る事が出来た。
 求めつづける事が出来る。
 これで、また。


「すごいじゃないの!」
 遠山シヲリはそう言うと、少年の身体を抱きしめる。
「あの……ちょっと…」
 戸惑う少年に構わずに、シヲリはそういって抱きしめる。
 たった一週間の間の弟だった彼に、最大限の賞賛を惜しまないように。
 そして、少し泣きそうな自分の顔を見られないようにする為に。



「……シンジ!」
 その呼び声はどんな喧騒の中からでも届く。
 そう思える。
 振り向いたその先に、少女がいた。
 多分、自分の顔よりも見なれた顔。
「アスカ?」
 それは大切な幼馴染の少女の姿。
「やったじゃないの!! おめでとう!」
 そう言って抱きついてくる少女に、ちょっと困った顔を浮かべるシンジ。
「…おめでとう。シンジ」
 そしてゆっくりと歩み寄り、優しく微笑んでくれるユイを見て、シンジは初
めてその意味を知る。
「…ありがとう、アスカ。ありがとう…母さん」
 多分、優勝できた事よりも、彼女達に喜んでもらえた事が嬉しいのだ。
 そう思えた。





「逢っていかんのかね?」
 老人の問いに、少女は首を横に振って答えた。
「………もう、十分ですから」
 その答えに老人は首を傾げる。
「まあ、お前さんがそう言うなら構わんが…」
「だって……」
 その先は言葉にはならなかった。
 ただ、少女は満足そうな笑みを浮かべている。

 だって……あの演奏は……私と彼の物だったんだから…。

 少女はそう呟いた。
 心の中で。








 シンジが空を見上げた。
 そこには白い月が浮かんでいた。
 不意に思う。
 彼女が、あそこにいた訳を。
「…どうしたの?」
 アスカに問いかけられ、シンジは何も言わずに笑った。
「何でも無いよ」
「何よぉ」
「なんでも無いったら」
 そう言って笑うシンジに、アスカはさらに問い詰める。
「大体、なーんであたしに一言も無く、こんなコンクールに出てたのよ!」
「い、言うほどの事じゃないだろ!?」
「なんですってぇ!? このバカシンジ!!」
 またいつものように言い争う二人の声を、ユイはにこやかに聞き流していた。






 月が昇る。
 また、夜空に。
 見上げた先に、銀の光がある。
「………こんばんわ」
 少女が呟く。
「…………ありがとう」
 少年が囁く。
 その言葉に、少女は微笑む。微かに。
 けれど、確かに。

 踊る少女。月の光の下で。
 音色を紡ぐ少年。月の光の下で。

 いつ終わるとも知れぬ、それはたった二人の逢瀬。

 月の輝く夜に、また二人は出逢う。

 ゆっくりと重ねられた手が、約束を生む。

 それはとても大切な、二人だけの秘密の逢瀬だから。








FIN




NEXT
ver.-1.00 1998+9/3公開
ご意見・ご感想、誤字脱字情報は tk-ken@pop17.odn.ne.jp まで!!
私のHP、『tee−laden』にも一度おいで下さい。


ども、覚えていてくださった方、お久しぶりです。覚えていない、もしくは「そもそもお前
なんか知らない」な方、はじめまして、Keiです。

約4ヶ月以上のご無沙汰をしていたKeiですが、久しぶりの投稿です。
いや、まあ、自分の所の更新で手一杯だっただけなんですが(苦笑)

今回のお話は、既に発表済みの『朧月』、『月光』、『月天』に連なるお話です。
これは実に、ほんっとーに久しぶりの更新になりました。
なんだか、どんな話だか忘れてるしな、私(苦笑)

感想、お待ちしております。

で、ここで少し宣伝をば。
こちらで公開して頂いている『翼音』の続編を、私のページ、『tee−laden』にて
公開中です。こちらは現在(9/2)連載中になります。

それでは、これからもよろしくお願いします。

1998.9.2 Kei NineLives-エアロスミス-を聞きながら



 Keiさんの『残月』、公開です。





 いつまでも同じだと思っていても、

 ちーっとずつ、
 でも確実に、

 変わって行くんですよね。



 無くなっていっちゃう物とか
 新たに生まれてきている物とか、


 不安もあるけど、
 その他にも。。




 3人の
  今、
  これから、
 とてもとても








 さあ、訪問者の皆さん。
 お久しぶりのKeiさんをメールで歓迎しましょう!





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