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どうやらあの綺麗な教師は『葛城 ミサト』というらしい。
なかなかさっぱりとした軽い感じの人のようだ。
今、この教室では葛城先生の自己紹介から、
「質問には何でも答えるわよん(はぁと)」
という、葛城先生の発言により『しつもんたいむ』となった。
「かつらぎせんせー」
「ミサトでいいわ。」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
と、このようにあまりにノリがよくて本当に先生なのか?と僕は思ってしまった。
教室は今すごい熱気(主にトウジとケンスケ)に包まれている。
この調子では明日から....いや、今からこのクラスのカラーが変わってしまうだろう。
―――――もりあがってるなぁ―――――
だがこのようなノリについていけない人はどんな所にも必ずいる。
「はぁー」
先ほどから聞こえる――本日十数回目の――ため息の主はすでに何かを諦めたような表情で教室を見回す。
―――いいんちょーもたいへんだなー―――
洞木さんも最初のうちは、
「静かにしてください!!」
っていってたけど......あの先生......何考えてんだろ?
「いいじゃなーい。べ・つ・にぃ。」
ふつうの教師は教室がうるさくなったら静かにさせるぞ?
「まぁまぁ、いいんちょーも大変だろうけど...」
「はぁー」
すでにいいんちょーは僕の慰めの言葉が届かないところまで来てしまった。
こうなったら僕にはどうしようもない。
女の子の気持ちってよくわかんないんだよなぁ。いまいち。
ファッション雑誌とか見ていて何か楽しいことってあるのかなぁ。
「............よ。」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
雄叫びは主に男子。
「どうでもいいけどね....」
――――それにしても......――――
朝の女の子、可愛かった......外見は。
ずいぶん明るそうな子だった。でも.........
―――――どこかで、会ったような....―――――
その思いが消えない。
どうしたんだろう?僕は。
見たこともない人だったのに。でも.........
―――――懐かしい気がした....―――――
―――新世紀エヴァンゲリオン―――
新約聖書偽典
第壱話 歌う、こころ
Last−part
「......くん?」
.........もう一度...会いたいな.....
「.....りくん?どう.....」
.......せめて名前だけでも.......いや、そんな度胸は僕にはない。それは自分が一番よく知っている。
「....かりくん!」
まぁそーゆーもんだよなぁ。人生なんて。
「はぁー」
「....ため息つきたいのは私の方なんだけど、碇君。」
「へ?」
な、なに。いったいなんなんだ?
辺りを見回す。何でみんな僕を見て笑ってるんだ?
「「へ?」じゃないでしょー。今、あなたの自己紹介の時間よ。」
僕がつい出してしまった間抜けな声をまねしつつ、僕に状況説明をしてくれた。でも何で葛城先生まで笑っているんだろう?
「僕が何かしましたか?葛城先生。」
......ひとが原因を調査してるのに教室のあちこちから失笑ともとれる噛み殺した笑い声が聞こえる。なんなんだよ....いったい。
「ま、まあ、と、とりあえず自己紹介を......うぷぷ....」
先生まで......そんな失態を気づかぬうちに僕は見せてしまっていたのだろうか?は、恥ずかしい。
思わず顔が赤くなる。と、とりあえず....
「い、碇シンジです。よ、よろしく.......」
思わず声がうわずる。
「......それだけ?」
「えっ.....は、はい。」
ふふふふ
口元が笑いをこらえてる。どうしてなんだ?
「....あの..」
「あ、そうそう、わたしから聞きたいことがあったの。」
とってつけたような笑み。これはわざとだな。きっと大声で笑うまい、と堪えているんだろう。
「はい。なんでしょうか。」
冷静な僕。
「さっき言ってた女の子ってシンジ君のこれ?」
といって小指をたてる。
はぁ?と明らかに何のことですそれ、という顔になる僕。あの子の名前なんて言ってたのかなぁ?さっきまで考えていたことってそれだけだし...............
でも、僕は知らないから....あの子の名前。
......じゃ誰のことを言っていたんだ?僕は。
「何も言ってませんよ。僕は。」
冷静を装う....というか最初から冷静だ。
「またまたまたぁー、すっとぼけちゃってぇー。」
だから僕は言ってないって。その前に何を言ったかすら分からないというのに.....っと、そうか聞けばいいのか。
ぽんっと手をたたいて納得した様子の僕にみんなは笑いを堪えている模様。
......どうしてなんだろう......
とりあえずみんなを無視。
「ぼくは.....」
「..............」
無言だけども僕の言うことの耳を傾ける葛城先生......とその他大勢。
「僕はなんて言ってたんですか?」
「........」
こめかみに手をやる先生。
「ま、いいわ。うわの空だったから自分で何言ってたか思い出せないんでしょ。」
うんうん、と頷くその他大勢。
「あなたはね.......」
何って言ってたんだろ?
「―――って―――会いた.......」
えっ?
ふっ、と力が抜ける。
視界はブラックアウトしていった。
「....タブリス?」
黒髪の少女は羽を広げ自分を迎えに来た少年の名を呼んだ。
「..........あんまりその名前で呼ばれるのもなぁ。」
口調はやや不満気味だが、顔には優しい笑みを浮かべたままの少年は言う。
「分かったわよ..カヲル。」
「そのほうがしっくりくるからねぇ。」
「それで?」
「ん?」
「だぁかぁらぁ、今からなにすんのか、って聞いてるの。」
「とりあえずそこから出て来てよ。」
先ほどから少女は空色の窓の縁で座ったまま、一方少年は翼を広げてホバリングしたままである。
「しかたないなぁ......」
そういうと少年は少女を抱きかかえる。
「うふ。えらい、えらい。」
頭を撫でてあげる少女。
「ありがとう。」
ありがとう....それは感謝の言葉........か.......
少女はふと、そう思うと目を閉じて少年に問いかけた。
「どこへゆくの?」
「君の気に入るところ。」
そういって少年は再び笑みを少女に捧げる。しかし少女は目をつぶっていたが。
.............どこだ。
目が覚めた。頭が痛い。ここはどこだろう?
「あら、目が覚めたの。」
そういって、えっと.....かつ、そう葛城先生が入ってきた。
僕がいる状況を確かめる。縛られていないことを確認すると誘拐ではないらしい。
ベット.........窓からは校庭が見える。どうやら保健室らしい。
「心配したのよー。急に倒れて。」
全然心配したというそぶりのない口調。イインチョーがため息つきたくなるのも分かるような.........そうだ!
「先生、今何時ですか。」
「えっ?今?もう五時半よ。」
「あっ、それじゃもう帰ります。さようなら。葛城先生。」
「だからミサトでいいってば。」
屈託のない笑顔で僕を見る。困ったな.....。
「えっと、それじゃ、えー、その、」
くすっと笑う。
「かつら.....ミサト先生、さようなら。」
「はい。さようなら。」
たったったったったったったっ......
急いで教室に戻り、鞄をとって昇降口へと走る。
「ふぅー」
まぁなんか、担任の先生がいきなり替わったりなんかしたりして、いろいろあったなぁ.........
「そういえば..........」
すでに家路につく僕は大事なことを思いだした。
――――何で僕は保健室にいたんだろう?――――
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思い出せない.......
体も痛いって訳でもないから大したことじゃないのかなぁ?
大丈夫..........かなぁ?
不安げに空を見上げると白い粒が降ってきたのが分かる。
「........ゆ.......き......?」
そうして、空からのプレゼントが舞い降りる中、僕は家路を急いだ。
だがこのとき僕はもっとも大事であったはずのことを思い出すことが出来なかった。
もしかするとそれが僕の運命変えたのかもしれない。
第壱話 −了−
あとがきたいすけ
どうもぉー
お久しぶりです。泉水です。今回はあとがきから書いてみました。
どぉでしょ。ラストパートは。
いやー、やっぱりケンスケはあれでした(ってまだ何も書いてないって)
それでは、次回予告!っていきたいとこですが時間の都合上省かせてもらうかも。
そうそう、初めて神田さん以外にメールをもらいました(
;o;)ありがとほ。
僕は君の勇気をわすれないっっ!!....など言いつつ名前は出さない(許可無く人の名前出すのって失礼ですよね?)おいら。
さぁ、きみもあの人のように勇気を出しておいらにメールをっっ!!
....その思いはきっと届く....(なにがだ)
ではではでは
実は予定がだいぶ狂ってる泉水より
(ほんとはあの人を出したかったのに.......)
泉水さんの『新約聖書儀典』第壱話LastPart、公開です。
掛けられる声に気が付かなかったり、
直前の行動を忘れたり、
考え抜いていた事を失念したり・・・
シンジに何が起こっているんでしょうね。
動き出しそうで動かないキャラクター達。
展開がありそうでないストーリー。
ヤキモキです・・・
カヲルは。
アスカは。
何が起こるんでしょうね。
さあ、訪問者の皆さん。
貴方の声を泉水さんに届けましょう(^^)
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