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新銀河世紀特務警察エヴァンゲリオン! #5
ASUKA STRIKES!
自己中娘の狂詩曲<ラプソディ>

1

「総監。」

「NERV」総監、惣流・A・タカヒロは冬月から渡された分厚い報告書を、いつものようにパラパラと早読していた。

毎日の日課。
しばらく何の気も無しにページをめくっていたが、 ある部分に気が付いて2、3枚ページを戻す。

「…ほう。これは凄いな。」

思わず笑みがこぼれてれてしまう。
それを見た冬月が小声でつけ足した。

「今日、御帰還になるそうです。」
「……そうか。」

惣流タカヒロは、報告書を放りつけて席を立ち、後ろのウィンドウの前に立った。

ウィンドウの外には、群を成す連絡船を間に挟んで、赤く輝く、火星がある。


「あの子が…帰って来るか……。」












WOO〜〜wwWWOO〜〜wwWWOO〜〜

『警戒警報発令。警戒警報発令。総員、第一種警戒体制に移行してください。 O-124エリアを閉鎖いたします。閉鎖区域にいる要員は………』



プシュー……………ガコン





「お、おい!シャッター降りちまったぞ。これじゃあ通れねえじゃねえか。」
「仕方ないだろ?非常事態なんだからさ。」
「でも…もうすぐ着いちまうぞ。あの人、時間にうるさいからなぁ……。」








ドォン!
ドォン!
ガァン!





「ああっ!しまった!!壁に穴開けちゃった!」

「あれぐらいなら大丈夫!ほら、来るよ!」
「くっ!」

バン!
















『コンタクト完了。着艦プログラムをロードします。 ……alap setr z… 了解。ブリッジは、5右に決定。………』


「…んもう。せっかくいいところだったのに。 オートなんだから少しは黙って動きなさいよ。」

ヘッドホンを外し、手元のキーボードをたたたっと打ち込む。
音声が消え、モニター表示になった。

「ふう。これで少しはのんびりできるわね。」

再びヘッドホンをつけると、彼女は横になった。
















バァン!



「シンジ君!左へ回って!!」
「了解!」

『ギュロロロロ………!!』

ガン!



「よし!行ける!」

「あっ待ってシン…

ドォン!
















『着艦完了。システムオールグリーン。 到着いたしました。到着いたしました。到着いたしました。……』

「よいしょっと。」

ヘッドホンをわきへ放りつけて、鏡台の前に座る。 手前のテーブルに置いてあったポーチからルージュを取り出そうとして…ふと思い留まる。

「……久々の再会だし、娘らしいトコ見せてあげようかな。」

考え直してポーチの中からリップを取り出した。



鏡台の引き出しからブラシを取り出し、 ひとまとめに結んでいたゴムをはずして念入りに髪をとかす。


「あっっ!ヤダ!枝毛っ!」


最後にムースで全体的にしっとりと濡らしたあと、 再びポーチの中から今度は赤い2つの髪留めを取り出す。

最後の…思い出の品。


しばらく眺めていたが、あんまり待たせると可哀相なので手早く結ぶ。

立ち上がって衿と前髪を少々直し、ポーズを取ってにっこりと笑って見せる。

「…うん、よし、Perfect!」
















シュウウウウゥゥゥ………



ぶボン!



「え?…えええっ!!う、うそぉ!増えちゃったあっ!」

「あああ〜〜〜やっぱり分裂したかぁ〜〜」

『キュロロロロロロ……!!』
『シュロロロロロロ……!!』
















プシュ……ン


ハッチが開くと温度差の為か、白い煙が上がる。これもまた一興だ。

心の中でBGMを流しつつ、足を1歩外に踏み出す。
心地よい風が、ふぁさっと自慢の金茶色の髪を丁度良くなびかせてくれる。
……もっとも、ここを出る時には散々悩ませてくれた風だったが。

「よし!」

満面の笑みを浮かべて意気揚々とステップに降り立つ。

風に髪をなびかせて、高台に凛と立つ、古の戦乙女の姿。そのままだ。


(『お帰りなさいませ、アスカさま!!』)


……………。




「………あら?」

しかし、それを見上げる人々はあまりに少ない。


ぐるっと見渡してみたが、艦の整備員達が数人いるほかはほとんど見当たらない。

「…変ね。パパは忙しいからともかくとして、こんなに少ないなんて。」

少々機嫌を損ねたのか、カンカンと高い音を立てて階段を駆け降りていく。


「お帰りなさいませ。」

と、声を掛けられたのは数人。それも全員艦の方へと回っていってしまう。

彼女はプリッジにぽつんと1人残された。


……………


…………………


…………………………



「……んんんんもおっっ!!!何てことっ!! 出迎えも案内人もいないなんてっっ!!!!!」












ガァン!!

『キュロロロロロロ………!!』


「か、カヲル君!もしかしても1回攻撃したらまた分裂する!?」
「わからないけど!そうなる可能性は高いね!!」


バァン!!


「ちっ!ATフィールドを展開してなかったのはこういう理由だったのか!」
「どうしよう、カヲル君。このままだと……あっ!!」

ガゴォ…ン!!


『シュロロロロロロ………!!』

ガシャ ガシャ ガシャ ガシャ ガシャ ………



「あああっ!!外へ出てっちゃったあっ!!」

「シンジ君!追って!!こっちは僕が何とかするから!!」












「んもう、全く!なんでこのアタシが1人で歩かなきゃなんないのよ!」

彼女は頬を膨らませながらずんずんと廊下を歩いていた。

床や壁には進路表示が示してあるので、 別に案内が無くとも無事に目的地に行けるのだが、

「あったまきちゃうっ!パパは一体どんなしつけしてんのよ!」

大股で角を左に曲がると、


ドォン‥‥


「え?」


‥ガゴォン‥‥



「………何かしら?」
















2








「……ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、………」

走りつかれてシンジは壁に手をついて息を整えた。

「…あいつ……すばしっこい……でも…このままだと他の人に被害が…。」


シンジは最初に出会った『使徒』のことを思いだした。

あれからまだ数ヶ月しか経っていない。

今回で4回目だがやっと『使徒』と対面するのに慣れてきたばかり。
最初の邂逅のことは今でもはっきりと覚えている。

自分たちとは違う未知なる生物への興味。畏怖の混じった好奇心。


……そして、―恐怖―。



顔前に向けられた閃光の形を今でも鮮明に描き出せる。

あんなこと、もう他の誰にも味わって欲しくない。


シンジは顎の汗を手の甲でぬぐうと、重い銃をしっかりと抱え直した。

そのとき、

ドォン………


「うわあああっ!」
「ひいいいっ!!」


「! しまった!」

慌ててシンジは声のした方向へと走り出した。












「人の悲鳴!?何かあったの?」

声がしたのはQブロックの方。そんなに遠くなかった。
彼女はフロアへ向かって走り出した。

何よ、私のいない間に一体、何が起こってるのよ!


彼女は2段とばしで階段を駆け上った。
正面にQブロックの表示を見て駆け出そうとした途端、 手前の横道から誰かが飛び出した!!

「!!!!!」

急停止しようとしたが、間に合わない!!


☆☆☆ガチン!☆☆☆



「きゃあっ!」
「うわあっ!」


ガシャン


反動で2人とも床に尻餅をつく。

「痛つつつ………」

シンジは左後頭部を押さえつつうめいた。

「あっ、す、すいませ……?!」

涙目で顔を上げてみると、


「いっっつー―――――っ……」

右頭部を押さえている人物はシンジの知らない少女だった。

流れるような茶金髪を赤い髪留めで2つに結んでいる。
その髪留めと同じく染められたクリムソンレッドの制服。
頭を押さえている右手の薬指には、 大きなラズライトのはまった指輪が嵌められている。

痛さにうめきながら上げられたその顔に、シンジは思わず見とれてしまった。


最初に浮かんだ言葉は、「カワイイ」

形の良い茶色の眉、
すらりとした鼻、
そしてほんのりと赤いその唇。
色白のその肌に均整良く並べられたそれらが、 今まで見たことのない可憐さをかもし出している。
長いまつげの下から現れたのは、指輪に負けじ劣らずの深い青の瞳。

しばらくぼーっと痛みも忘れてあ然とみていたが、 少女の方は早々と立ち直り、シンジをキッと睨み付けた。

「ちょっとアンタ! このアタシとぶつかっといて謝りもしないなんてどーゆーつもりよ!!」

「え?あ、ご、ごめん……」

シンジは慌てて頭を下げた。あれ?さっきも謝ったはずなんだけどなあ…?

「なによその言い方!!キチンと謝んなさいよ!」
「ご、ごめんなさい…。」
「全く…なんでいきなり飛び出してくんのよ……」

少女が自分を上から下まで睨みまわしている間、シンジは再びあ然としていた。

その容姿から想像された雰囲気と言葉づかいのギャップが余りにも大きかった。
おまけでものすごい声量だ。

そんな事を考えているうちに視線がシンジの目の前でストップした。

「ちょっと……どっから見ても新入りのアンタがどうしてこんな所で1人でいるの よ、訓練はどうしたの?」
「え?いや、今日は僕は……」
「やってないのォ!?全く!今年の監督係はたるんでるわね!! どーせミサトが細工でもしてのし上がったんじゃないの?」
「え?葛城一尉がどうかしたの?」
「げ、マジ!?ったくあの女は…ってそれよりもアンタ!!」
「!?」

ずずずいと恐い顔を近づけられてシンジは思わず後さずった。

「こんな所で、1人で、一体何してたのよ!!」

自分を凝視する、青い輝き。


「な、何って…………あ……ああああっっっ!!!! いけないっ!こんな事してる場合じゃないんだった!!」

シンジは慌ててたち上がった。弾みで少女を突き飛ばすような形になる。

「キャッ!…何すんのよ!!」
「あっ…ご、ごめん、急いでるんだっ!」

ええと、と辺りを見回して シンジは廊下の端に転がっていた銃を拾って駆け出していった。

「待ちなさいっ!コラ!!」

慌てて少女も立ち上がって後を追う。

足はシンジの方が速い。 少女はどんどんと引き離されたがそれでも走るのを止めようとしなかった。

さっきアイツが持ってったライフル。
品名は分からないけど多分Rー78αタイプのポジトロンライフル。 それも改式されてる。
何であんなハタ目見て新米の奴があんな物騒なモン持ってんのよ!!







息せき切って駆けつけたのはQ-8フロア。 正面入り口までの廊下のいたる所に沢山のへこみが出来ている。
シンジは走り込んで思わず顔をしかめた。

フロアは無残なまでにボロボロになっている。
壁や床だけでなく天井にまで破壊された後が残り、 窓も割られたらしく閉じられた緊急用シャッターにまでも無数のへこみが出来ている。


ガタン


シンジはライフルを構えて音のした方を向いた。

『シュロロロロロロ………!!』


金色のボディで腹部に赤い球の収まった『使徒』。 最初の奴にも似ていなくも無いその姿。
違うのは体の色とそのいでたちだった。
まるで万歳をしているようなそのフォルム。 それがすばしっこくぴょんぴょんと走り回ってまるで遊んでいるかのようだ。

ガタン

足元のガレキにつまずいて壁にぶち当たり、穴を増やす壁。 『使徒』の方は平然と踊り続けている。

「あ!」
シンジは目を凝らした。

変な形に曲げられた金属パイプの柱の陰に、2人の男が座り込んでいる。
1人は気絶しているのか、それをもう一人の男が支えて青ざめている。
シンジと目が合うと必死ですがりつくような顔をした。

シンジはもう一度しっかりとライフルを構え直した。
シンジの射撃は名手とはいえない。もし外せば2人まで巻き込んでしまいそうだ。
おまけでまたうかつに攻撃すると分裂してしまうかもしれない。

シンジは手近にあったガレキをつかんだ。
そのまま2人とは反対の方向に思いっきり投げる。

ガッ

さほど大きな音はしなかったが、 『使徒』はその音がした方向へぴょこぴょこと走っていく。

2人との距離が離れた。

その間にシンジは2人の元へ駆けつける。

「大丈夫ですか?」
「オ、オレは何とか……で、でもレンゼフが!!」

シンジはハンカチを取り出して 頭から血を流している気絶した男の額を押さえた。

「押さえててください。とにかく『あいつ』を何とかしなければ。」

シンジは2人を背にして立ち上がった。 これならば誤射で傷つくことはない。
ライフルを腰にしっかりと据えて、狙いを定める。

『使徒』は先程の場所からまたさこさこと動き回っている。

………コアに当てれば、分裂しないかもしれない。

シンジは狙いを定めるがせわしなく動き回る上に、 目標のコアはひどく小さい。


『使徒』は今度は入り口近くにあった柱にぶつかる。
衝撃でパイプの柱が天井から抜け、ガレキがバラバラと落ちてくる。

ガン

ものの見事に大きいのに直撃した 『使徒』は思わず頭を押さえてうずくまるような格好になった。

「今だ!」

シンジはトリガーを引こうとした、その時、

「な……何よコレぇー――――――っっ!!!」



奇声のした方を見れば先程の少女が入り口に立ち尽くしている。

「なっ…何で!?」

シンジはあ然としたがすぐにはっと気がついて駆け出した。

まだ痛がっていた『使徒』は突然立ち上がったかと思うと 両腕をぶんぶんと振り回した。

「キャアッ!!」

左腕が少女に伸びる!!

「危ないっ!!」

とっさにシンジは少女を覆う様に身を伏せた。


ぶうん!


大きく腕を振った『使徒』はその反動でずでんと転んでしまう。

「ふう…」
「……ちょっと、早く退きなさいよ!」
「え?あ、ああっごめんっ!」

慌ててシンジは横に降りた。

「ケガはない?」
「アンタが押し倒したせいで背中が痛い。」
「ええっ!?ご、ごめんっ。」
「もうい
少女は倒れてもがいている『使徒』に目を向けた。

「一体何なの!?『アイツ』」

「あ…え…と…し、『使徒』だよ。」
「『シト』?何よそれ?」

「え?え……と…」

シンジは考え込んでしまった。そういえば『使徒』って何なんだろう!?

「…わかんないならいいわよ!要するに『敵』ってことでしょ!?」
「え、あ、まあそうだね…。」
「ドンくさい奴ねぇ……。だったらさっさと倒しなさいよ。武器持ってんだから。」

言われてシンジはおたおたと立ち上がった。
しかし、どう攻撃したものか。
うかつに手を出せばまた分裂してしまうかもしれない。
コアを狙えば何とかなるかもしれないが、 この距離からではコアに当てることは難しい。
接近すれば何とか当てられるかもしれないが、 あの暴れようでは下手に近づけない。

どうしよう………どうしたらいい??




「………なあにぐずぐずしてんのよ!!もう、貸しなさいよ!」
「えっ?あっ!!」

あっという間にシンジの手からライフルがなくなる。
少女は奪い取った武器をあちこち点検し始めた。

「あ、危ないよ、返してよ!」
「うるっさいわね!アンタよりマシよ!!どいて。」

少女はシンジを押しのけると『使徒』に向かってライフルを構えた。

「だ、だめだよ、うかつに攻撃すると分裂しちゃうんだ、多分。」
「分裂ぅ!?そう。…だったら」

おもむろに少女はライフルのトリガーを逆に動かした。

ヒュイイイイイ………ン、と怪しげな機械音がライフルから発せられる。

「体を残さなきゃいいのよ!!」

少女はトリガーを思いっきり引いた。

ガチン


ズドオオオオオ……ン!!!





「うわああっ!!」


大出力で放射されたエネルギーが『使徒』に直撃する!!

『シュヤアアアァァァァ………!!!』


悲鳴と共に『使徒』の身体は蒸発するように光に掻き消えていく。


凄まじい光の中でシンジは少女の顔に釘付けになっていた。


少女はまるで戦いに歓喜しているかのように、笑っている。

そして、勝利に満ちているその顔は、とても、輝いていた。









3



「ふうっ。」

少女はライフルを降ろすと大きく息をついた。


『使徒』のいた場所からは蒸気だか煙だかが立ち昇っている。
跡形も残っていない。

シンジは思わず身震いをした。

「ホラ、これ返すわよ。」

ガシャンとライフルをを投げ渡される。
少女を見るときっと目を釣り上げてシンジを睨んでいた。

「で?一体何だったのよ?あの『使徒』っていうのは!?」
「え…?」

「何であんな化け物がここにいるのよ!?」
「あ、え……と…」

「どうしてアンタみたいのが銃持って戦おうとしてたのよ!!?」


シンジは回答に詰まって押し黙ってしまった。

何か前にもこんな事があったような………
しかし目の前の蒼い瞳は今度は見逃してくれそうもない。
おまけで彼女の質問は全部シンジには答えられないものだった。

(ああう…どうしよう……このまま黙ってるわけにもいかないし……… どうしよ〜〜〜誰か助けてぇ〜〜カヲルく〜〜ん(;_;))

「やあ、シンジ君。」
「え?…うっわあっ!!!

いきなり後ろに立っていたカヲルを見てシンジは思わず飛び退いた。

「かっカヲル君…いつからそこに……」
「いや、ついさっきさ。しかしシンジ君凄いねえ。 1人でイスラフの片割れを倒すなんて。えらいえらい。」

カヲルはにこにこと笑ってシンジの頭をなでている。

「いや…あの…実は、彼女が……」

シンジはおずおずとカヲルの手をどけて横にずれた。

シンジの陰に立っていた少女の睨み付けるような視線がカヲルのものと合わさる。

「あれ?」
「おや?」





三秒間の沈黙。





「…っあああああっ!!!アンタ確かリツコの所の!!?」
「やあ、君は確か惣流総監のお嬢さんじゃないか。」
















「帰ってきてたのね。火星での仕事はどうだった?」


シンジ達は第2船A4ステージ第19ラボラトリ、 Secret firstの作戦会議室へ戻ってきていた。

「まあまあよ。バカな政治家が2人いて仕事が1つ増えちゃったけどね。」
「そう。大変だったわね。」

一緒に付いてきた少女はリツコの出したブラックコーヒーを受け取ると 一気にあおった。
その姿を向かいの席に座ったシンジが上目遣いでちらりと見ている。

「……コーヒーの銘柄変えた?」
「あら、わかる?ちょっと年代物をブレンドしてるのよ。 前のやつはミサトが気に入って持って行ってしまったから。」
「ふーん。」



「誰なんですか…?あのコ。」

シンジは隣に座っていたカヲルに小声でそっと尋ねた。
カヲルはおかしそうに微笑んでから、

「ああ、シンジ君は新入りだから知らなかったんだっけね。
彼女の名前は惣流・アスカ・ラングレー。
日系クウォーターでシンジ君と同じ14歳。 10歳でEUのハウゼル経済大学を卒業して「NERV」に就職。 今の階級はCommodre。社会公安機構2課の切り込み准将だよ。 ちなみに惣流・A・タカヒロ総監の愛娘でもある。」


「ええええっ!!」

シンジは思わずまじまじと少女を見た。そんなに凄い人だったんだぁ…


視線に気付いたのかアスカと呼ばれた少女はコーヒーカップを置くと シンジを一睨みしてリツコに振り向いた。。

「リツコ、それにしてもどうしてアンタほどの人物がSecret firstなんて 変な名前の役職を掛け持ちしてるのよ。おまけで渚カヲルまで入れて。」

「あら、Secret firstはれっきとした部所よ。設置されたのが10年前。 私が配属されたのもその時よ。」
「その割には極秘じゃない。」

「あんな『もの』と戦ってることを公にはできないでしょう? 見たんでしょ?」
「まあ…ね。じゃあもうひとつ!」

いきなりビシッと指差されてシンジは当惑した。

「どーしてこんなペーペーのド新米が銃持って戦ってんのよ! アンタでしょう!あの物騒なライフル作ったのは!!」

「あら、あのシステムに気がついたのはあなただけよ。」

リツコはコーヒーを一啜りすると言った。

「それにシンジ君は優秀なのよ。ここと新人訓練とでめきめきと腕を上げているわ。 そして、シンジ君も一応私達と同じなのよ。」

「私達と!?…って……まさか!?コイツが??」

今度は驚愕の顔で見られてシンジは訳が分からない。
隣のカヲルは面白そうに成り行きを見つめているばかりだ。

リツコはフフッと笑って、

「そう。彼の名は『碇』シンジ。…間違いなく『彼女』の子供よ。」










ガンガン

乱暴に総監室のドアが叩かれる。


「誰だね。アポイントも無しに。」

急の客人に冬月は眉をしかめてモニターを見た。

「私よ。パパ。」

その声に惣流タカヒロは書類から目を上げた。

開かれたドアから現れた娘のそのいでたちに少々笑みを見せたが、 その表情を見て再び真面目な顔つきに戻る。

「何のようだね、アスカ。再会の挨拶ではなさそうだが。」
「それは後回しよ。パパ、教えて頂戴。知っていること全てを。」
「…何のことだね?」

少女はつかつかと机に歩み寄り、バンとその机を両手で叩いた。

「『Secret first』。そして、あの『使徒』についてよ。」

「アスカ……」


父は、妻譲りのその蒼い瞳を見つめながら、 これから起ころうとしているものに対して思いを巡らせた…。







Continued!
ver.-1.00 1997-06/30公開
ご意見・ご感想・質問などなど、 こちらまで!

次回予告!

「…『Guaredian』?」
ときは、螺旋の如く
「Sカスパーの…ね。」
ひとの想いは砂の如く
「移動した!?まさか!??」
永劫の旅人は故郷の前で何を想うのか…

「拒絶したか………彼を。」


Go to NEXT!
#6 Barcarole

第3新東京市内某喫茶店ティフェレトにて


駆夏「あ、こちらです。」

惣流タカヒロ「や、待たせてしまったかな。はじめまして。」

駆夏「こちらこそはじめまして。 今日は本当お忙しい中御足労下さって有り難うございます。」

タカヒロ「いやいや、今日はオフだから堅いことは抜きで。」

駆夏「そうですね。それじゃあ今回のお話について、」

タカヒロ「今回は変わった始まり方だったな。」

駆夏「ええ、何か思わせぶりな感じでいいな、と思って。ミステリー系のドラマとかで結構使われている物を自分なりにやってみたんですけど。」

タカヒロ「ほう、ではあの使徒の鳴き声は?」

駆夏「あ、あれは一応オリジナルです。 分裂した奴の見分けをつける為にこんな風に鳴くんじゃないかなって。(笑) 本編では鳴いてなかったですけど。」

タカヒロ「なるほど。(ウェイトレスに)あ、カプチーノを一つ。」

駆夏「最愛の(?)アスカさんについてはどうでしたか?」

タカヒロ「そうだな…あの子には母親のことでかなり苦労を掛けてしまったからな…」

駆夏「……あ、あ、あの…ネタばれになりますんで追憶モード入らないでください(^^;)」

タカヒロ「何を言ってるかね。 君が出した伏線になぜ私が合わせないといけないのかね。」

駆夏「そんな事言わないでくださいよ。(;_;) パーソナルだけは私のオリジナルなんですから。」

タカヒロ「そう言えば何故今回のゲストは私なのかね? アスカがメインの話ではないのか?」

駆夏「え?でも主役はシンジ君ですよ? 予告フォローしてくれたのはありがたいですけどそんな事振れ回ってたんですか?」

タカヒロ「『彗星の如く現れて圧倒的強さで使徒を倒し世界の大いなる謎に挑む!!』 とかいうようなことを言っていたよ。」

駆夏「ずべ。(つっ伏した音)…ま、まあ登場したばかりですし、 そういう風になるかはこれからの頑張りによるということで…(^^;)」

タカヒロ「気をつけてな。あの子の事だから脅迫もしくは憑依しに来るかもしれんよ。」

駆夏「じ、自分の娘を……それではこの辺で。今日はどうも有り難うございました。」

タカヒロ「いやはや、こちらこそ。」

駆夏「次回はサンダルフォンですね。それではみなさん、 #6でまた御会いしましょ〜。」

タカヒロ「そう言えばさっきの話だが、なぜ今日は私なんだね?」

駆夏「え?あ、実はタイトルに『自己中娘』と書いてしまったので、 もーしかしたら怒りにくるんじゃないかな… と思いまして場所も変えたんですけど。まあ、杞憂みたいでしたね。」

タカヒロ「来てるぞ。『彗星の…』の頃から。君の後ろに。」

駆夏「わあああっっっ!!」

 飛羽駆夏さんの『新銀河世紀特務警察エヴァンゲリオン!』#5、公開です。
 

 騒動の中、その騒動に負けないけたたましさでやって来たアスカ。
 来た早々いきなりゴタゴタの中心に突っ込んできましたね(^^
 

 そう、アスカ・・・

 もうエヴァ小説では圧倒的にシンジとラブっちゃう彼女ですが、
 ここには”カヲルくん”がいるぞ。

 何だかシンジくんも、”カヲルく〜ん”状態だし・・・

 危ない、楽しみ(^^)
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 宇宙を舞台にする飛羽駆夏さんに貴方の感想を届けましょう!


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