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チルドレンINワールドカップ・優勝への長い道のり その8

 
日常




 「……これが特務機関ネルフの三佐葛城ミサトとしては最後の報告です。これまでの諜報戦では、ネルフ側は14人、ゼーレ側は4113人、一般人34人の死亡者が出ました。ゼーレの確認できた生存者は全て処置しました」




 ミサトは言葉を切る。ここはネルフ研究所の所長室。既に研究機関となっているネルフであった。昼休みに他の研究員をシャットアウトしてリツコ、ミサト、マコトが集まっていた。ゼーレとの諜報戦の報告である。




 「そうか、情報自体はどうなっている。赤木博士」
 「MAGIとイロウル型ウィルスによって世界中のデータベースの99.9%はおさえています。またオンラインで繋がっているコンピュータも同様に操れます。ただその途中で世界中でコンピュータ制御の誤動作、データベースの誤情報により、約2000人が死傷しています」
 「そうか。二人とも報告ご苦労。まさに我々こそが悪魔だな。ゼーレ側よりずっと人を殺しているようだ。私の地獄行きは決っているようだな」




 複雑な表情をしてゲンドウを見るリツコ、ミサト、マコトの三人。




 「これで特務機関ネルフの職務は解除する。三人ともご苦労。しかしエバ、チルドレン、使徒の機密を守る時のみは特務機関としての権限は使用出来る事となっている。その時は現在の階級どおりの職務となる。日向君、青葉夫妻にも伝えておいてくれたまえ。現在の職務である、葛城君は広報室室長、日向君は人型汎用装置保全課課長、伊吹君は人型汎用装置保全課主任、赤木博士はネルフ副所長、は変更をしない事とする。それでは解散」



 ミサトとマコトはソファより立ち上がり一礼して所長室より去っていく。




 「司令」
 「なんだね赤木博士」
 「地獄行き、お供させてもらってよろしいですか」
 「かまわん」




 ゲンドウはソファに近づくとリツコの髪を掴み立たせる。荒々しい口付けをリツコに与える。




 「嬉しいですわ」
 「そうか」




 ゲンドウはリツコを突き飛ばすようにソファに押し倒した。




















 学校は昼休みだった。シンジ、アスカ、ケンスケ、レイ、トウジ、ヒカリ、カヲルの七人は屋上にいた。今日も天気は日本晴れである。皆はヒカリが作って来たお弁当をぱくついていた。山盛りのおにぎりと鳥の空揚げ、卵のだし巻き、タクワン、のりで巻いて食べ易くしたサラダ、よく一人で作ったものだと感心するほどの量であった。
 トウジは早速目をギラギラさせむさぼっていた。




 「か〜〜いいんちょのべんとは最高やな。たまらへんわ」




 トウジの台詞を聞き耳を真っ赤にしながらヒカリはアスカとおしゃべりをしている。




 「よく晴れてよかったわ」
 「ほんとね。こうやって皆でお弁当食べるのも久しぶりね」
 「そうねアスカ。今日はどんどん食べてね。たっぷり作って来たから」
 「遠慮なく頂いてるわ。この卵焼き絶品ね。また腕上げたわね」
 「よかった。いっぱい練習したんだから」
 「練習相手は鈴原ね。なんせあんな事やってる仲ですもんね」
 「ア、アスカ。病院での事は誤解よ。あれは鈴原がズボンふんずけて転んだだけよ」
 「ふぅ〜〜〜〜ん。ふふふ、そういう事にしておいてあげるわ」
 「だから誤解だってばぁ」
 「まあ避妊だけはしっかりね」
 「ちがうのよ〜〜」




 お弁当を囲んでのおしゃべりは続く。




 「それにしてもアスカ、綾波さん変わったわね」
 「そうねレイは変わったわ」




 レイはケンスケにぴとっとひっついておにぎりを頬張りながら談笑していた。今日早速友達になった子達の話をしている。




 「綾波さんほんとに楽しそう。それにしてもあんな美人だったとは思わなかったわ」
 「レイは元々美人だったけど暗かったのよね。あんまり表情も無かったし。まぁ恋をすると女の子は美人になるの典型ね」
 「綾波さんが施設にいたのって知らなかったわ。彼女ほとんど昔のこと話してくれなかったから」
 「そうね。実は私も最近知ったのよ。だから時々とんちんかんな事してたのよ。そうそう今私とレイ一緒に住んでるの」
 「え。アスカ、ミサトさんと碇君と住んでたんじゃないの」
 「と言うかレイは隣に住んでいるの。ミサトと私とシンジがネルフの宿舎の一緒の部屋に住んでるの。隣の部屋にマコト、ミサトの部下の男の人よ、とカヲルとケンスケとレイが住んでるわ。今は私とミサトでレイに女性としての一般常識しこんでるの」
 「そお。綾波さんに変な事教えちゃ駄目よ。ところでアスカ愛しのシンジ様とはどうなってるの。アスカも花嫁修業そろそろ始めないとね。アスカも結構知識に偏りがあるし」




 ヒカリ反撃開始。




 「な、なに言ってるのよ。シンジとは何でも無いのよ」
 「なぁに。アスカ呼んだ?」
 「なんでもないわよ。アンタはナルシスと話してたら」
 「ナルシスとは酷いなアスカ君。僕には渚と言う名前があるんだよ」
 「自己紹介の時にいちいちポーズを付ける奴はナルシスで十分よ」




 恋敵に容赦無いアスカである。




 「あれはリツコさんに一般常識だと聞いたからだよ。そういえば洞木さん詳しい自己紹介がまだだった。渚カヲルです。歳からいうと皆さんより一つ上なんですが学力やその他の総合力でこの学年に編入されました。綾波さんと同じ施設に入っててやっと一般の学校に入れるようになったんです。よろしく。洞木さんの事はシンジくんやアスカさんからよく聞いています。ちなみ僕はシンジくんを巡ってアスカさんと恋敵です」
 「そ、そ、そうなの。碇君ってアスカだけじゃなく男の子とも…………う〜〜ついていけないわ」




 ヒカリには刺激が強いようだ。




 「え、僕は別にそのそりゃアスカはそのだけどカヲル君もだから……」




 シンジは何を言っているんだか。




 「ヒカリ、一言、言っとくわ。シンジは私の下僕よ」
 「う、アスカ酷いなぁ。ハンバーグ作ってあげないよ」
 「え、あいかわらず葛城家のシェフは碇君だけ?」
 「うん。アスカとミサトさんの料理はあいかわらずなんだ。そう言えば綾波は最近料理始めたんだけど、めきめき腕を上げてるんだ。ただ綾波って肉料理アレルギーで出来ないんだ」
 「へぇ〜〜。綾波さん料理するようになったんだぁ。じゃあ明日からお弁当作ってくるの」
 「たぶんそうだね。ケンスケと仲良くお弁当だね」
 「ねえ碇君、ケンスケ君と綾波さんいきなり仲良くなっちゃったわね。何があったの?」
 「えっと、実は詳しくは機密にかかわるから言えないけど、ケンスケが命がけで綾波を助けたんだ。それで仲良くなったみたいだよ」
 「すごいわね。まさにケンスケ君白馬の王子様ね。ところで何でケンスケ君も一緒に住んでるの」
 「それも詳しくは言えないけど、綾波を助ける時怪我をしたんだ。それでネルフの病院に入院してて、そのままネルフに住みついちゃったんだ。ケンスケのお父さんにも話はついているみたいだよ」
 「そうなの。とにかく綾波さん嬉しそうだし明るくなってよかったわ」
 「そうだね」
 「ねえ。ヒカリとシンジだけでぺらぺら話しちゃってなによもう」
 「アスカ焼き餅焼かないの。アスカも料理始めれば。碇君とも共通の話題が出来るし」
 「そうだね。アスカも少しは料理すると僕も楽になるのになぁ。それに料理がうまい女性ってやっぱり魅力的だし。トウジがうらやましいよ。ともかくぼく達はカオル君とアスカ、ミサトさん以外は料理できるんだ。日向さんやケンスケも料理結構うまいし。ご飯は七人でぼく達の部屋で食べてるんだ。なんせ隣の部屋だしご飯っていっぱいいる方が楽しいし」
 「そうなの。結局アスカって碇君から離れられない体なのね」
 「ヒカリ。それって誤解生む発言よ」
 「そうだアスカ、ペンペンどうする?」
 「そうそうペンペンどうしようか?」
 「ノゾミになついちゃってというかノゾミがなついちゃって一緒に寝てるのよ」
 「そうペンペンも熱くて大変ね」




 楽しい会話は続いていた。のどかな空は青く澄み渡っていた。




 (これがリリンの学校か。悪くないな)




 タクワンをつまみながらカヲルは思った。




















 「赤木博士」
 「なんでしょうか」




 リツコはまだ上気した顔で、ほつれた髪を直しながら答えた。




 「ここや、研究室で抱き合うのはもうお終いにしよう」
 「え…………」




 リツコの顔がゆがむ。




 「それは、もう私は……用済みと言う事ですか」




 リツコは放心したように呟く。




 「誤解をするな。私も歳だ。ソファや仮眠用ベットでは疲れる。こういう事はベットの上でしたい。私の宿舎の部屋のカードキーのコピーを用意した。渡しておこう。自由に使うがいい」




 ゲンドウはソファに座り込み手を足の上にそろえて置いていたリツコの掌に、カードキーを握らせた。リツコは俯くとカードキーを眺める。




 ぼたぼた




 「嬉しい……」




 唇からは言葉が、瞳からは涙がすべり落ちていた。




 「さあ。赤木博士そろそろ昼休みもお終いだ。午後の職務も頑張ってやりたまえ」
 「は、はい所長」




 リツコは白衣の裾で顔を拭い一礼をすると所長室を出ていった。ゲンドウはすでに机の前に座りいつものポーズをしていた。




















 「ミサトさんやばいですよ。覗きは」
 「何言ってんのよ。うわあんな事もこんな事もしてる。所長まだまだ若いわね。リツコったら色っぽいわぁ〜〜〜〜。スリムながら結構出てるとこ出て引っ込んでるとこ引っ込んでるし」
 「ほ、ほんとだ。下手するとミサトさんよりないすばでぃかも。最近ミサトさんビール腹だし。スリム好みならリツコさんもなかなか……」




 ばき




 「ったく。なんで私に惚れるのって浮気者が多いのかしらねぇ〜〜」
 「冗談なのに本気で叩かなくても」




 ミサトとマコトは所長室を覗いていた。




 「あ、終わった。う、服を直すのが素早い。さすがリツコ慣れてるはね。それにしても色っぽいわね。ないすばでぃでは私も自信あるけど、色気ではリツコの方が上だわ。ほつれ毛撫でつけたりして、女の私でも襲いたいぐらいだわ」
 「同感ですね」




 ばき




 「ったく。あんた私の下僕じゃなかったの」
 「だからって一々叩かないでくださいよ」
 「あれどうしたんだろ。リツコぼんやりして。何かカード渡された。泣き出しちゃった。もしかして手切れ金!!!!声が聞こえないのが何ね」
 「えっでも、今は所長とリツコさんって損得抜きでつき合っているんではないんですか?」
 「いや、あのタヌキオヤジの事だからね」
 「たしかに、あっリツコさん立ち上がった」
 「陰に隠れましょう」




 二人は所長室のドアから見えない所に隠れ様子をうかがう。
 リツコはドアを出ると白衣で涙を拭いつつ立ち去って行った。




 「リツコやっぱりあのタヌキに……よくもリツコをもて遊んでくれたわね」




 ミサトは大股で進み勢いよく所長室のドアを開ける。マコトは仕方なく付いてゆく。ミサトはゲンドウの机に近づくとバンと机を叩きタンカを切る。




 「所長……言わせてもらいます」
 「なんだね」




 とくに驚いた様子も無くゲンドウは応じる。




 「あんたよくもあれだけ尽くしたリツコにあんなまねしたわね」
 「あんなとは」
 「手切れ金渡してどっか行けって言ったんでしょ。昔なら人類の為とか言ってごまかされたけど今は違うわ。まだリツコを泣かせ足りないの。え。どうなの。リツコを不幸せにするつもりならこの場で叩きのめすわよ」
 「誤解があるようだな」
 「誤解もへったくれもないわ」
 「それでは説明しよう。彼女に渡したのは私の部屋のカードキーだ。子供達がまともな生活をおくれる様になったら私と彼女で一緒に暮らす為の準備だ。それに今の私は今までEVAやネルフに関係して不幸にになった人々を救う為に存在しているつもりだ。ただ赤木博士は別だ。救う為だけでは無くほんとに惚れてしまったようだ。私は惚れ込むたちなんでね。これでいいかね」
 「そ、そうなの…………そうでありますか。し、失礼しました」




 ミサト顔中冷や汗だらけ。




 「さて二人は私の部屋を覗いていたようだが、面白かったかな?」
 「いえ、さすが所長凄い……いえなんにも」
 「そうか」




 ニヤリ




 久々のゲンドウ笑いは実に恐かった。




 「葛城君、日向君……給料二割カット三ヶ月。」




 ひえ〜〜




 ミサトとマコトの悲鳴が響いた。




















 シンジ達にとって久しぶりの学校での時はたちまち過ぎていく。久しぶりなので普段は退屈な授業まで楽しかった。一方…………




 「ねえマユミ」
 「なにマナ」




 6時間目二人はチャットで会話をしていた。




 「どうやらやはり碇って子は惣流って子とできているらしいわ。噂だけどロボットのパイロットとして共に死線をくぐった仲だって」
 「そう。それは中々難敵ね。どうやって排除しようかしら」
 「それにあの子ドイツからの帰国子女で向こうでは飛び級で大学も卒業しているんだって」
 「ますます大変だわ。するとやはり腕力しか無いわね」
 「そうかもね」
 「それはそうとアンタの方はどうなのよ」
 「悔しいけどケンスケ君はあのアルビノとそうとう深い仲らしいの。なんかケンスケ君があの子の命を助けたって話で、それからあの子がめろめろになったらしいわ。さすがケンスケ君と言いたい所だけどね。これは早めの処分が必要だわ。まぁアルビノって体が弱いって言うし怪我もし易いんじゃない」
 「アンタほんと恐い子ね。大概にしときなさいよ」
 「分かってるわよ。取り敢えずあの子達まとまって帰るみたいだから皆をあの喫茶店に誘ってみない」
 「賛成ね。ただその前に例の作戦を実行してから様子を見ましょ」




 すごぉ〜〜く恐い会話が続いていた。




 一方対象のシンジはボケっとしていた。ネルフでのゴタゴタが片付く間、シンジはアスカ、リツコ、マヤの天才美人三人組に勉強を叩き込まれていた。その為ボケっとしてても十分授業についていける様になった。それについてはケンスケ、レイ、カヲルも同じ事である。もっともレイとカヲルは一度聞いた事を忘れない為あまり勉強は必要ないみたいである。
 と言う訳でぼけっとしたまま授業は終了し下校の時刻となった。シンジ、アスカ、レイ、ケンスケ、カヲル、ヒカリ、トウジは揃って玄関まで行く。下駄箱で靴を履き変える。








 バサバサバサバサ








 なんとアスカ、レイ、カヲルの下駄箱からは数十枚のラブレターが流れ落ちた。情報が実に素早く伝わっている。




 「ふ、ラブ米はいいね。これがリリンの得意技ラブレターか」
 「転校してすぐこれだもの。やっぱり超絶美少女やってるのはつらいわぁ」
 「ケ、ケンスケ君これどうしよう」




 三者三様の対応である。




 「「あれ」」




 横でシンジとケンスケも変な声をあげていた。
 二人の下駄箱にも一杯手紙が入っていた。が、どう見てもラブレターには見えない。おどろおどろしい色のものがほとんどである。
 シンジが勇気を出して一枚読んでみた。




 「あっ、これ脅しだ」
 「なんの?」




 ケンスケが聞く。




 「僕の場合アスカから手を引けって。ケンスケは綾波からって書いてあるんじゃない」
 「ほんとだ」
 「なぁ〜〜にバカな事を書いてんだろねぇ〜〜。シンジは私の下僕だって言うのに。手を引けも何もないわ」
 「ひどいなぁ〜〜アスカ。そんな事ばっかり言うと、ばらすよ」
 「何をよ」




 早速夫婦喧嘩が始まる。一方……




 「ケンスケ君」




 ぴと




 レイがケンスケの手を握りウルウルとした目で見つめる。




 「大丈夫だよ、綾波さん。こんな手紙関係無いって」
 「ケンスケ君、嬉しい」




 こちらもラブラブフィールド全開。




 「いいんちょ。こいつら昔よりずっとパワーアップしてんな」
 「そ、そうね。まさか綾波さんまでこう来るとは……うらやましいわ
 「何やいいんちょ」
 「な、なんでもないわよ」




 少し離れて冷静なカヲルは




 「これが生ラブ米。ん〜〜学校に来た甲斐があった」




 最近どんどんお軽い性格になっている。とはいえ一番落ち着いている彼が言った。




 「アスカさん、レイくん、取り敢えずかたずけたほうがいいと思うよ。シンジ君とケンスケ君も」
 「それもそうね」




 アスカは自分の分を集めるとごみ箱に叩き込む。レイは自分の分を無理矢理鞄に詰め込む。




 「あんたそんなもの持って帰るの?」
 「うん。私他人に好意を持ってもらうのとっても嬉しいの。だから全部読んでからお断りしようと思うの。私には今つき合っているケンスケ君がいるって」
 「そう。まあアンタの場合情操教育に丁度いいかもね。それにしてもはっきりケンスケの名は出さないほうがいいわよ、いかにケンスケが合気術の達人でも、徒党を組んで襲われたらやばいからね」
 「うんそうする」
 「カヲル。アンタはどうすんのよ」
 「僕は全部持ち帰って読んでみるよ。なんせこういう事は初めてなんで面白そうだ。リリンの女の子とつき合ってみるのも面白そうだ」
 「そう。使徒のくせに色ぼけな奴。まあシンジへの関心が減ってくれるのは嬉しいけど
 「アスカさん。なにか?」
 「いいえなんにも。詰め込むの手伝ってあげるわよ」




 アスカはカヲルへのラブレターを拾い集めると荒っぽくカヲルの鞄に詰め込んだ。
 シンジはアスカに見習い脅迫状はまとめてごみ箱に捨てた。一方ケンスケは鞄から取り出したビニール袋に脅迫状を入れ鞄に戻す。




 「ケンスケそれどうするの」




 シンジが聞く。




 「ネルフに持って帰ってリツコさんや諜報部に協力してもらって出した奴等を突き止める。なんせシンジのオヤジさんに直接レイを頼むって言われてるから、こういう奴等は警戒したほうがいいからね」
 「え、お父さんがケンスケ君に頼んだの」




 レイが聞く。




 「うん。あのブリィーフィングの後直接に頼まれたんだ」
 「それって、私ケンスケ君のお嫁さんになっていいって事かしら」




 ぽっ




 レイの顔が真っ赤っかになった。それを見てケンスケも真っ赤っかになる。




 「あの〜〜」




 ヒカリが言う。




 「おとりこみの所済まないけどそろそろ帰らない」




 下駄箱の所に降りて来てから30分はたっている。周りでは見物客も出来ていた。
 七人はさすがに靴を履き変え校庭へと出た。










 「ちっ。脅迫状作戦は失敗ね。マナ」
 「そうね、マユミ」
 「あの脅迫状ばれない?」
 「大丈夫よ。ネルフの技術力でもバレないわ。なんせ私の父さんじこみよ」




 物陰で見ていたスケバン副番コンビである。ちなみにマナの父は戦自の諜報部の一佐である。




 「じゃ次の作戦ね」
 「そうね」




 二人は靴を履き変えるとシンジ達一行を追いかけた。










 「ケンスケ君ひさしぶり」




 談笑しながら歩いていくケンスケ達を呼び止める。マナである。横にはマユミも立っている。




 「あ、お久しぶり霧島さん」
 「ほんとに。こんにちは皆さん。私霧島マナって言います。よろしく。クラスのはじっこの方の席に座ってまぁ〜〜す」




 にこ




 なかなかの笑顔である。カヲルを覗く男性軍の顔がでれっとなる。




 「こちらこそよろしく」
 「よろしく」




 シンジとカヲルは挨拶を返した。
 一方本能的に疑いを感じたアスカとレイは黙っていた。とはいえずっとそうもしていられず挨拶を返す。




 「よろしく霧島さん」
 「よろしく霧島さん」




 ふたりとも顔はにっこり心は疑いでいっぱいだった。




 「あの〜〜」




 いかにも気弱そうにマユミが横から声を出す。もちろん演技である。




 「あ、紹介するわ。私のお友達で山岸マユミさん。文学少女よ」
 「やっやだわ。マナ」




 恥ずかしそうに顔を赤くし俯く。豊かな黒髪が揺れる。しつこいようだが演技である。シンジの顔がまたでれっとする。シンジは長髪が好みである。その上実は黒髪が好みだったりする。ただそれを言うとアスカに延髄蹴りを食らう為言ったことは無かった。
 マユミは冷静にシンジの反応を観察した後挨拶をした。




 「みなさんよろしく山岸です」
 「よろしく山岸さん」
 「よろしく山岸さん」




 シンジとケンスケは即座に応じる。カヲルもシンジにならい挨拶をする。




 いっぽうアスカはヒートアップしていた。なんでこんな子の演技に騙されるのよ。ったくシンジってむっつりなんだから。さすがあの司令の息子ね。この女も女よ。見え見えの演技でシンジの気を引いちゃって。なんでシンジなんかに。気が知れないわ。




 自分の事は棚に上げアスカはそんな事を考えていた。単に嫉妬からとはいえ見事に的中している。とは言え顔はにっこりと挨拶を返した。




 「よろしくね」
 「よろしく」




 レイも続く。




 「でみなさんお近づきの印に、いい喫茶店があるのでそこでお茶でもどうです」




 マナがそう言う。特に皆からの反対は無い。一行はかたまって歩いていく。とりあえずアスカもケンカを売る気はなさそうだ。
 学校から二〜三分ですぐその喫茶店には到着した。まだ真新しいこじんまりとしたその店は皆で入るといっぱいになってしまいそうだった。看板は【コーヒーハウス ギターボーイ】とある。




 「マスターお客さん連れて来たわよ」
 「いらっしゃいマナちゃん」




 その声につられる様にシンジからその喫茶店に入った。




 「あっ」




 シンジはマスターを見て驚いた。









つづく







NEXT
ver.-1.00 1997-10/19公開
ご意見・感想・誤字情報・りっちゃん情報などは akagi-labo@NERV.TOまでお送り下さい!


 あとがき


 と言う訳で本格的に学園ラブ米編に突入です。といっても大人達のラブ米も半分ぐらい入ってますが。次回はやっとサッカーの話が出てきます。といっても導入部です。それにしてもワールドカップの最終予選誰か何とかしてくれ〜〜これじゃ気になってこの話が書けないよぉ〜〜。って書いたら自力2位復活。やれいけ、「チルドレンINワールドカップ」の訂正をさせないでくれぇ〜〜〜〜。



 それにしてもワールドカップ優勝への道のりはまだまだ遠いです。





 まっこうさんの『チルドレンINワールドカップ・優勝への長い道のり』その8、公開です。
 

 ワールドカップに行くチルドレン。

 今は学園生活を満喫していますね(^^)

 

 

 そうそう。
 最終予選、気になりますよね(^^;

 カザフスタンなんか(失礼(^^;)と引き分けて、
 もうほとんど絶望! て状況でしたが・・

 そのカザフスタンがUAEに勝ってくれました(^^)/
 

 これで日本は2位UAEに勝ち点1差。
 次の直接対決に勝てば日本が2位になるぞ!
 

 その次に韓国戦はアウェーと言うこともあるし、
 厳しいけど・・・

 たとえここで負けても、
 UAEも韓国には星を落とすだろうし。

 最後のカザフスタン戦も勝てば、
 2位確保は出来るでしょう。

   韓国が反日からわざとUAEに負けるなんて事はしないでしょうし(^^;

 

 

 よしよし、
 希望が見えてきたぞ〜!

 

 リツコさんを愛するまっこうさんの思いが通じたのかな(^^)

 

 勝利の3女神が本当に現るかも・・
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 予選の結果に一喜一憂するまっこうさんに感想メールを送りましょう!


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