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気になるあの子・第伍話

 
−あの子と遊園地 後編−


バナー







 がちゃっ




 ワンボックスの助手席のドアが開いた。




 「…………」




 シンイチはおもわず息を飲んだ。




 リツコが助手席から降りて来た。




 とたとたとたとた




 シンイチに向かって歩いてくる。




 スリムでぴっちりとしたジーンズのパンツにニッキーマウスのTシャツ、あかるい緑色の絹のスカーフ、普段のまん丸眼鏡の代わりにしゃれたサングラス。少し高めのヒールの靴、左手首には婚約腕輪、右手首にはブレスレットをしていた。両方の耳には小さい星のイヤリングがあった。ほんのりと赤いルージュ。微かにさわやかな柑橘系の香水の香りも漂ってくる。
 はっきり言ってきまっている。普通の子供がやれば単なるませガキになってしまう格好であったが、金髪にスリムな体つきをし天性の美貌を持つリツコがするとあまりにもさまになっていた。文字どおりお子様であるシンイチが見ても見とれてしまうほどであった。
 リツコはおしゃれな手つきでサングラスを上にあげ、美しい緑の瞳を持つ左目でウインクしながら言った。




 「シンちゃんおはよう」




 ポケッとしていた、シンイチは顔を赤くしながら答えた。




 「りっちゃんおはよう」




 挨拶をした後もシンイチはリツコの顔を眺めていた。
 リツコはやったねと思いつつもシンイチが顔を赤くしたのを見てとっても嬉しかった。




 「うわぁりっちゃんきれい。まるでふぁしょんもでるさんみたい」




 ミキが挨拶も忘れて言う。




 「ありがとうミキちゃん。これ昨日お母さんと買いにいったの」




 ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ




 ミキとリツコは服装の事について話し始めた。女性は何歳でもファションについて話はきりがないようである。
 挨拶のタイミングを失ったコウイチはワンボックスの運転席側にまわった。丁度エンジンを止めナオコが降りて来た。ナオコのファションはリツコとお揃いのようであった。
 スリムでぴっちりとしたジーンズのパンツに男物のシャツ、こちらはピンクの絹のスカーフ、リツコと同じデザインのしゃれたサングラス。少し高めのヒールの靴、右手首にはブレスレットをしている。このあたりはリツコとそっくりだ。両方の耳にはリツコのものより大きい星のイヤリングがあった。ただルージュはくっきりと赤く、香水も甘い濃い香りがした。上から86、60、88のないすばでぃを上記の格好で包んだナオコの姿は長く一人身をやっているコウイチには目の毒だった。




 「お、おはようございますナオコさん」
 「おはようございます、え〜と……」
 「コウイチ、西田コウイチです」
 「失礼しました。おはようございますコウイチさん」




 なんとなく照れ臭くなって二人は勢いよくおじぎをした。




 ごつん




 ふたりは頭のてっぺんをぶつけてしまった。




 あいたったたたた
 いててててててて




  二人は痛がっていたがその内どちらともなく吹き出してしまった。




 うふふふふふふふ
 あははははははは




 「ごめんなさいコウイチさん」
 「こちらこそ、痛くありませんでした?」
 「いいえ。結構私石頭ですの」
 「そうですか。それはそれは」
 「今日は、娘ともどもお誘いいただき有り難うございました」
 「いえ。遊園地とかは多人数で行った方が面白いものですよ。こちらこそ車を用意していただき有り難うございました」
 「では子供達も早く遊園地に行きたいでしょうから早速出発としましょうね」
 「そうですね」




 二人はワンボックスの助手席側にまわった。




 リツコとミキは相変わらずファッション談義をしている。今は二人ともポーズが入って、ミキはやたらとミニスカートを翻し、リツコは腰に手をあててポーズを決めている。シンイチとケンジはあきれぎみにそれを見ている。




 「お嬢さん達は、将来が楽しみですね」
 「家のリツコも田中さんちのミキちゃんもきっと将来は引く手数多ですわ。ただこの様子だともうもらい手は決まっているみたいですけど」
 「すると美男子美女のカップルが2組誕生と言う事ですね」




 こちらはこちらで親馬鹿の会話が始まる。
 シンイチとケンジは後ろで話しはじめた大人達に気がついた。




 「「ナオコおばおねえさんおはようございます」」
 「シンイチ君ケンジ君おはよう」
 「へぇ〜〜ナオコさんのことお姉さんって呼んでるんだ」
 「そうなのよこの子達ったらお姉さんって呼んでくれるのよねぇ〜〜」




 たらり




 シンイチとケンジはにこにことしながら冷や汗を垂らしていた。触らぬナオコに祟りなしである。




 「じゃリツコ、ミキちゃんそろそろ出発よ」
 「「はぁ〜〜〜い」」




 とやっと気が付いたちびレディーふたり。




 「リツコおねえさんおはようございます」




 ミキはナオコに挨拶をする。




 「みきちゃんおはよう」
 「うわぁ〜〜ナオコおねえさんきれい。さすがりっちゃんのおかあさんね」
 「そういうミキちゃんもとっても可愛いわよ。これでケンジ君もばっちりね」
 「ど、どうしてそれを……」
 「まあ大人のカンってやつね。しっかり頑張るのよ」
 「はい。頑張ります」




 理解者のもとミキは気合いのポーズをしていた。
 一方リツコは




 「お父さんおはようございます」
 「おはようりっちゃん。今日はお母さんとお揃いだね」
 (やったわ。お父さんと呼んだの気付いてないわ)「うん。遊園地だから動き易い格好にしようってお母さんと決めたの。」
 「ほんとに母子共に奇麗だね。これじゃ家のシンイチにはりっちゃんもったいないぐらいだ」
 「そんな事ありません。お父さんふつつかながらよろしくお願いします」




 と訳のわからない話になっていた。すでにリツコの頭の中は、西田家の嫁となり朝ごはんをシンイチとコウイチに作っている絵が浮かんでいた。思わずうっとりするリツコ。実に可愛い乙女心である。う〜〜〜〜んらぶりぃ




 「じゃそろそろ行きましょうね」




 ナオコが言う。




 「ケンジ君とミキちゃんは一番後ろの席ね。リツコとシンちゃんは真ん中の席。運転は私がしますわ」
 「僕がしましょうか?」




 コウイチが言う。




 「私が運転しますわ。結構くせのある車ですので」




 そうこう言っているあいだに子供達はワンボックスに乗りこむ。三列に成っているシートのニ列目を後ろに向かせ子供達を向かい合わせにする。子供達は素直にシートベルトを装着する。ただリツコはその前に背負っているリュックを降ろし中から紙袋を四つ出す。紙袋の口は可愛いモールで縛ってある。何か印があるのか迷わずに一つの紙袋をコウイチに渡す。




 「ハイお父さん」
 「これなんなんだい?」
 「私が作ったの」




 コウイチは紙袋を開けてみる。そこにはハート、スペード、クラブ、ダイヤの形をしたクッキーが入っていた。ただハートは一つしか入っていなかった。あとグミキャンディーも一緒だ。大人用なのか一杯入っていた。




 「ほうクッキーか。りっちゃんが焼いたの?」
 「うんそうなの」
 「りっちゃんすご〜〜い」
 「どれどれ」




 ばき




 イングランド風なのかものすごく固いが味はとてもよかった。




 「なかなかいい味だね。ただこれだけ固いとお茶が欲しくなるね」
 「それもあります」




 リツコは小さいリュックから、どう見ても入らないような大きい魔法瓶を取り出す。




 (ん?なんだ)




 コウイチは少し不思議に思ったが元々アバウトな性格な為気にしなかった。
 リツコは魔法瓶から砂糖を少な目にした紅茶を紙コップ(これもリュックから出たのだが)に入れコウイチに渡す。




 「お茶もいい味だ」
 「よかった。皆の分もあるわ」




 リツコはケンジとミキに袋を渡す。




 「りっちゃん、僕には?」
 「シンちゃんは……一緒に食べよ」




 頬を赤く染めながら残りの袋の口を開ける。中身はハートのクッキーだらけであった。




 「ありがとう」




 シンイチは笑顔で答えた。リツコはハートの意味わかっているのかしらと思ったが喜んでくれているのでそれでもいいとも思った。




 「じゃそろそろ行くわよ」




 ナオコが言う。ワンボックスは静かにスタートした。




 「へぇ〜〜〜〜出足いいですねぇ」
 「ええ。おもいっきり改造してますの。外見は普通のワンボックスですけど、エンジンはWRCのレガシィ用水平対向DOHCターボエンジンをフルチューンして600馬力まで出してますわ。もちろん足周りも強化してますの。ベースにはパリダカで使われるクロカン用の物を使ってますが油圧で固さの調整が出来ますの。今日は子供達もいますし柔らかめですわ。ブレーキも16インチ4ポットのベンチレーテットディスクをフロントとリヤに使ってます。駆動方式はファーガッソンシステムの四輪駆動、ただしリヤのLSDは機械式を使ってますわ。安全装備もばっちり、ドアや車体はパチョム装甲板の10倍以上の防御力を誇りますの。ガラス部分も完全単一結晶型水晶ガラスをスーパーエンジニアリングプラスチックで張り合わせているので78ミリ無反動砲にも耐えますわ。しかも…………」




 このあとナオコのコウイチに対する説明は10分以上続いた。コウイチは少し呆れながらも、ナオコの美しい横顔を見つつ話を聞いていた。この人は薄化粧だと相当の美人だ。なのにいつも白衣に濃い化粧なのはどうしてなのか。何か理由でもあるのかな。




 「……という仕様です。コウイチさん、聞いてます?」
 「あ、聞いてます」




 ぼけっとナオコの顔を眺めていたコウイチは慌てて言葉を返した。どうやら西田家は親子揃って赤木家に見入られてようだ。
 一方子供達は後ろの席ではしゃいでいた。




 「わぁ〜〜〜〜い。このグミよく伸びる」




 びろ〜〜〜〜ん




 ケンジが咥えていたグミをミキが引っ張る。




 ぱし




 ミキが離したグミがケンジに命中。




 「わ〜〜い。漫才みたい」




 びろ〜〜ん




 今度はリツコがグミを咥えて伸ばした。少しはしたないリツコ。




 まぐ




 リツコが伸ばしたグミの端シンイチが咥える。その時ついでにリツコの指も咥えてしまう。




 「きゃ〜〜〜〜」




 びしばしびしばし




 リツコの往復ビンタ炸裂。




 「りっちゃん……いたひ。ガク」




 シンイチ完黙。




 「あ、シンちゃん。大丈夫」
 「あまり大丈夫じゃない」




 再起動なるも真っ赤なほっぺのシンイチ。自業自得である。
 そうこうしている内にワンボックスは首都高速に入っていく。




 「あ〜〜ら結構すいてるわね。じゃ飛ばすわよ」




 カチ




 ナオコがコントロールパネルのスイッチをひねる。車高が少し下がる。別のスイッチもひねった。




 「ナオコさん今のスイッチは何ですか」
 「初めのは足周りの切り替えよ。一段固めにしたんですの。二つめはターボのブースト圧切り替えスイッチ。大体これで350馬力程出る状態ですわ。この車と私の腕があれば公道では世界の誰にも負けないわ」




 ナオコの美しい瞳が若干すわって来た。妖艶といえば妖艶だがいささか恐い。ワンボックスのスピードがどんどん上がって来る。コウイチがスピードメーターを見ると160Km/Hを超えている。




 「な、ナオコさん160出てますよ」
 「大丈夫ですわ。以前首都高一周6分切ったことありますわ」
 「オービス引っ掛かりますよ」
 「大丈夫表面はステルス加工してありますからドップラーレーダーや赤外線レーダーには引っ掛かりませんわ」




 右へ左へ。ワンボックスは次々と他の車をぶち抜いていく。後ろの座席では子供達がはしゃいでいた。




 「すっご〜〜〜〜い。ジェットコースターなんかよりはくりょくある」




 とシンイチが言うと、




 「さすがお母さん、いい腕だわ」




 とリツコが突っ込む。




 「さっきからくるま10だいはぬいてるね」




 とケンジ。




 「もっとよ。100だいはかたいわ」




 とミキ。とかく子供はどんなことでも楽しんでしまうものである。
 とにかくナオコのパワフルな運転のおかげで都内から1時間もかからず東京でずねーらんどに到着した。移動途中何故浦安にあるのに東京でずねーらんどと言うのかを子供達が盛んに気にしていたが誰も知らなかった。ワンボックスは駐車料金を払い駐車場に入っていく。開きスペースを見つけると静かにそこに止まった。




 コウイチが助手席から降りワンボックスの横の戸を開くと待ちきれなくなった子供達が飛び降りてきた。




 「わ〜〜い、でずねーらんどだぁ」




 みんな騒いでいる。運転席からナオコも降りて来た。




 「じゃ私がチケット買ってきますわ。しばらくの間面倒をお願いします」




 スタスタスタスタ




 ナオコの歩く姿はそのへんのモデルよりずっと美しい。スーパーモデルも真っ青である。特に後ろ姿は生唾ものである。コウイチはつい後ろ姿を追ってしまっていた。




 「おとうさんどうしたの?」




 シンイチが不思議がる。




 「あ、なんでもないよ。ほんと今日は晴れてよかったなぁ。はははは」




 ごまかすコウイチ。




 「それにしても大人が二人に子供が四人だとどの様に廻ろうか。組み合わせが難しいな。それにはぐれたら困るし。雨もふりそうだし」
 「それならいい物があるわ」




 リツコが答える。リュックからブレスレットを出す。ブレスレットは弾力がある柔らかい銀色の金属で出来ていた。1と2と書いてあるボタンがある。そのそばには刻み目のようなノッチが付いていた。




 「これ遭難防止兼雨避けブレスレットなの。1のボタンを押すと2メートル以上離れたこのブレスレットをつけた人の方へ自動的に連れていってくれるの。2のボタンを押すとバリヤが出来るの。雨は体に触れなくなるわ。この刻み目はボリュームになっているの。今は最弱なので雨を防ぐだけになってるの。最強にすればピストルの弾だって通さないわ。ただそうすると10分で電池切れちゃうけど」
 「すごいね。これどうしたの。ナオコさんが作ったの?」




 コウイチが聞く。




 「ううん。私が作ったの。まだ試作品だから六個しか作れなかったの」
 「すごいやりっちゃん」
 「さすがぁ〜〜」
 「さすがね」




 子供達も賞賛する。リツコは赤くなって照れている。う〜〜んらぶりぃ




 「じゃあそのブレスレットを着ければ皆迷子にはならないね。でもさすがに大人一組と子供二組で自由行動というわけにはいかないね。まぁその場で適当に考えようね」




 コウイチが言った。リツコはブレスレットをみんなに配った。ちょうどナオコが戻って来た。




 「あ、ブレスレット配ってた所ね。ちょうどよかったわ。これはでずねーらんどのフリーパスチケット。このチケットは一日中乗り物乗り放題なのよ。これも腕につけておいてね」




 ナオコはブレスレットについてリツコより前もって聞いていた為、特に問題が無いようだ。ナオコは皆に腕に輪ゴムで付けるようになっているチケットを渡した。皆はブレスレットを右手にチケットを左手に付けた。




 「で今後の予定だけど」




 ナオコは腰に手をやりサングラスを擦りあげて言う。さすがにポーズがきまっている。




 「初め1〜2個なにかの乗り物とかに乗ったらご飯にしましょう。お昼時は混むし、そおいう時は逆に乗り物とかに乗るのがチャンスだから。その時多めに食べて、昼ご飯は4時ごろ、その間は乗りまくりましょう。最後ご飯を食べ終わったらナイトパレードを見てお土産買って終わり。こんな感じね。コウイチさんどうですか」
 「そうですね問題無いでしょう。みんなもいいね」
 「「「「いいでぇ〜〜す」」」」




 元気な声が上がった。




 「そうだ。はぐれにくくするように二人で一組にし手をつないだら」




 ナオコが言う。ミキにウィンクする。




 「さんせい」




 ミキがすかさず言うとむんずとケンジの腕を取り、腕をくむ。




 「みきちゃん。なんだよ」
 「なあに。それともわたしといっしょじゃいやなの」




 柳眉を逆立てるミキ。なかなか可愛い。




 「そおいうわけじやないけど」




 ケンジは何とも言えない妙な表情で言う。




 「じゃいいの」




 なぜかミキに勝てないケンジであった。一方シンイチとリツコはもじもじしながらも手をつなぐ。お互い真っ赤な顔である。




 「さてと。私達も」




 といってすかさずナオコがコウイチに寄り掛かるようにして腕を組む。ナオコのナイスバディが直に感じられてシンイチは少しどぎまぎする。




 「な、ナオコさん。あの少し離れませんか」
 「おいやかしら?」
 「いやじゃないんですが、動きにくそうですし」
 「いいじゃないの」




 バチ




 コウイチの顔を覗き込み音の出るようなウインクをするナオコ。それにしても熱々なカップル達である。




 「じゃレッツゴー」
 「「「「お〜〜」」」」




 ナオコの掛け声と共に一行はでずねーらんどの入り口に向かった。




 でずねーらんどの入り口の廻る扉から中に入るとまず広場になっている。その先には左右にでずねーキャラクター達が経営する可愛いお土産の店が大規模にある。




 「うわぁ〜〜〜〜おみせがいっぱいだぁ〜〜。にっきーまうすやとなるとだっくのぬいぐるみとかがいっぱいある〜〜〜〜」
 「あ、あっちにはでずねーきゃらのペロペロキャンディーのやたいがある」
 「あほんとだわ。お母さんあのペロペロキャンディー買って」
 「ぼくもほしいな」




 子供達の意見が一致した。




 「じゃあそうしようか」




 コウイチがそう言うと子供達はキャンディー売りのワゴンに走り出した。それはちょうど花売りの色とりどりのワゴンの花の代わりに色とりどりのペロペロキャンディーが咲いているようなワゴンである。




 「お嬢ちゃん達何がいいのかな?」




 胸に「いずみ」と書いた名札を付けているキャンディーの売り子が、シンイチとケンジを引きずるように飛んで来たリツコとミキに向かって言った。




 「えっとね、えっとね」
 「う〜〜〜〜ん」




 二人ともあまりにも種類がある為迷っている。横でシンイチとケンジも迷っている。一分ぐらい迷った後リツコが言う。




 「私この傘の柄の様な形のキャンディー。シンちゃんもこれね」




 どうやらシンイチに選択権はなさそうだ。




 「じゃわたしこのにっきーとににーのえがはいったぐるぐるキャンディー。けんちゃんのも」




 こちらケンジも同様みたいだ。コウイチは苦笑しつつ売り子に言う。




 「じゃその絵の入ったのと傘の柄の形のを三個ずつください」
 「はい。ありがとうございます」




 売り子はまず絵が入ったペロペロキャンディーをミキとケンジに渡す。




 「「わ〜〜い」」




 ミキとケンジはユニゾンで喜んでいる。売り子は傘の柄形のキャンディーの根元を紙で包むとリツコとシンイチに渡す。




 「「わ〜〜い」」




 似たような反応である。あと根元を紙で包んだ傘の柄形のキャンディーとペロペロキャンディーをコウイチの連れであろう横の美人に渡した。




 「ありがとう」




 ぱち




 ナオコのお礼のウィンクで真っ赤になってしまう売り子のいずみである。




 「じゃお金ちょうどね」
 「ありがとうございます」




 コウイチがコインで代金を払うと一行は移動を始めた。




 「へぇ〜〜美人の親子だなぁ〜〜」




 売り子はボーと一行を見送った。




 ナオコは傘の柄キャンディーをコウイチに渡すと自分はペロペロキャンディーを文字どうりペロペロと舐め始めた。すごく色っぽい。コウイチは腕を組んでいるナオコのそんな姿を見て嬉しいやら困ったやら複雑な心境であった。いっぽうさっそくキャンディーをゲットした子供達はペロペロと舐めつつ入り口でもらった地図を見てやいのかいの言っていた。意見がまとまったらしくリツコが言う。




 「まずスペースツアーズ行ってその次ホラーマンションに行く事に決定したの」
 「わかったわ。コウイチさん行きましょう」
 「そうだね。じゃ皆移動しようか」




 さて一行はスペースツアーズにいそいだ。さすがに開園直後の為さほど待たずにどんどん順番が近づいていく。スペースツアーズはNANAの技術を使ったフライトシミュレーターだ。まるで自分がスペースウォーズの映画の中に入ったような気分にしてくれる。アトラクション迄の通路もまるで宇宙基地の通路の様だ。




 「うわぁ〜〜すごぉ〜〜い。あR3D3だ」
 「ほんとだ」
 「あこっちはXファイターだ」




 子供達ははしゃいでいる。コウイチやナオコも子供達に負けず劣らずきょろきょろしはしゃいでいる。やがて順番がやって来た。コウイチ、シンイチ、リツコ、ミキ、ケンジ、ナオコの順で座席に着く。安全ベルトを締めると前のパイプにつかまる。やがて人型のロボットが出て来て説明を始めた。アトラクションが始まる。




 「うわぁ〜〜〜〜」
 「きゃ〜〜〜〜」




 油圧で座席が動きそれに合わせて画像が動く。まるで宇宙船で飛び回っているようだ。子供達はというと、ミキはきゃーきゃーいいながらケンジの腕をとって振り回している。ケンジは頭ががくがくと左右に揺れてダウン寸前である。リツコは目をまん丸にしながらもさり気なくパイプを掴んでいるシンイチの手に自分の手をぴとっとくっつけている。う〜〜んらぶりぃ
 大人達はというと結構本気で宇宙船を運転している気になっている。パイプを掴んでハンドルを切ろうとしていた。




 宇宙船は無事目的地に着きアトラクションは終了した。皆にこにこしていたが一人ケンジだけ目を廻しかけていた。




 「やっぱりりっちゃんがいい」
 「なんかいった!!」




 ケンジがぼそっと呟いたが、むんずと腕を掴んでいるミキの迫力に負けて黙ってしまった。




 「もう夫婦喧嘩やってますわ」
 「そうみたいですね」




 と後ろで無責任な大人が話している。コウイチもナオコがべたっと引っ付くのは慣れたというか、もう開き直ったというか気にしなくなっている。




 「じゃ。ホラーマンションに向かってレッツゴー」




 とリツコが親子でよく似た掛け声を出した。




 てくてくてくてく ぺろぺろぺろぺろ




 キャンディーを舐めつつ一行はホラーマンションがある会場に移動した。ここもさほど並ばずに順番が廻ってくる。ここの通路はおどろおどろしくも可愛いお化け達でいっぱいだ。すでにミキ&ケンジペアはキャーキャーとはしゃいでいる。シンイチは急にリツコが手を強く握り出したのに気がついた。リツコの顔を見てみると真っ青になっている。どうやらお化けは苦手の様である。その割には悪魔を呼び出したりと変な娘ではある。




 「りっちゃんだいじょうぶ?やめようか?」
 「ううん。大丈夫。シンちゃん手離さないでね」




 一方コウイチもナオコに同じような事を聞いていた。どうやらこの母娘は変なとこが似ているらしい。ナオコはよけいコウイチにびたっとひっついた。青い顔のナオコと対照的にコウイチの顔は真っ赤になっていた。さて通路が終わりやっと乗り物の乗り場に着く。3人ずつトロッコみたいな乗り物に乗っていくのだが、係員が気を利かせてケンジとミキ、シンイチとリツコ、コウイチとナオコの二人ずつに割り当ててくれた。動きぱなしのトロッコに一行が乗り込んだ。




 「きゃ〜〜〜〜」




 ぐるんぐるんぐるんぐるん




 またもやケンジはミキに手を掴まれて振り回されているらしい。頭があっちこっちへ動く。不憫だ。




 トロッコが進む先に次々と立体的な光るお化けが出てくる。よおく見ると案外可愛かったりするのだが、女性陣にその余裕は無い様だ。




 「きゃ〜〜〜〜」




 ナオコは悲鳴をあげつつコウイチにしがみつく。結構恐がっているみたいだ。ナオコの豊かな胸が押し付けられコウイチはお化けどころじゃなくなっていた。その上悲鳴の為荒くなった息遣いが耳元で聞こえる。コウイチがナオコの方を見ると、恐かったのか少し潤んだ瞳とぶつかってしまった。悲鳴を上げたせいか少し唇が開いていた。魅入られてしまった。コウイチは状況も考えずナオコを抱きしめるとナオコの唇を自分の唇で塞いでしまった。




 「むぐむぐ」




 少しナオコはじたばたしたが、すぐにおとなしく静かになり目をつぶった。結構時間がたった後二人は唇を離した。すこしぼーっとしていたが、二人とも年甲斐も無く真っ赤になり俯いてしまった。そしてナオコはまたコウイチの腕にしがみつくと肩の辺りに顔を埋めた。




 「きゃ〜〜〜〜。うわぁ〜〜〜〜ん」




 どうしようもない親達が不埒な事をしている時、リツコは本当に恐がっていた。悪魔は呼び出すは、化け猫?は飼ってるはで慣れていそうだが、種類が違うのだろう。ほんとは乗りたくなかったリツコであったがシンイチが楽しみにしてたのでしようが無く乗ったのである。初め悲鳴を上げていたリツコであったが、そのうちシンイチにしがみつき目をつぶりぶるぶると震え何も言わなくなって来た。シンイチもそうなると心配になって来た。




 「りっちゃん。だいじょうぶ」
 「大丈夫じゃない。ぐすん。早く出たいよ〜〜」
 「もうちょっとのしんぼうだからね」




 シンイチはそう言うとリツコの耳を手で塞ぎ恐い音が聞こえないようにしてあげた。




 こうして三者カップル三様で西洋お化け屋敷は終わった。




 建物から出て来た時、ミキはにこにこし、ケンジは半分目を廻しふらふらしていた。リツコはべそをかき、シンイチが慰めていた。バカな親達は何事も無かったようにしていたが、少しぼーっとし赤い顔をしていた。




 「あらリツコ大丈夫」




 やっと気が付いたナオコが聞く。




 「くすん。もう大丈夫。ありがとうシンちゃん」
 「どういたしまして」




 リツコはハンカチをポケットから取り出しごしごしと顔を拭くと気を取り直しにこりと笑った。




 う〜〜〜〜ん。らぶりぃ




 リツコの少しウルウルとした瞳の笑顔の直撃を受けシンイチの顔は真っ赤になった。




 「じゃあ朝ごはんにしましょうか」




 もう照れなくなったコウイチががっちりとナオコと腕を組み言う。ナオコはまだ少しぼっとしているようだ。




 「あそこのレストランがいいな。今の時間帯はにっきーまうすやににーまうすが廻ってくるそうだ」
 「「「「にっきーとににー」」」」




 子供達がハモった。やはりにっきーとににーは人気があるようだ。そのレストランは屋内と屋外に席がある。注文を済ませた一行は野外の大きな円卓に席を取った。やがて注文の品が届く。にっきーの焼き印をあしらったパンケーキとミルクティー、大人達にはコーヒー。あとハムエッグのおかずである。




 「「「「「「いただきまぁ〜〜す」」」」」」




 もぐもぐぱくぱく




 泣いたり、なだめたり、振り回されたり、騒いだり、キスしたりとなかなか体力を使った一行は凄い勢いで食べ始めた。普段なら2人前ぐらいあるパンケーキをあっという間に平らげてしまった。




 「「「「「「ごちそうさまでした」」」」」」
 「さすがにおなかいっぱいね」




 ミキがお腹をさすりながら言う。妙に似合う。




 「そうね」




 リツコは結構ぴったりしたにっきーのTシャツな為、胃がふくらんでないか心配みたいである。大丈夫そうだ。
 一行はぺちゃくちゃと会話をしてにっきーとににーを待っていたがなかなかあらわれなかった。




 「今日はなかなかあらわれないみたいだね」
 「そうね。しょうがないわ。リツコ。みんなも残念だけどにっきーとににーはまた今度ね」
 「え〜〜〜〜」
 「もうちょっとまとおよぉ〜〜」




 ぶーぶー




 と不満も上がったが、他の乗り物も乗りたい子供達はしぶしぶレストランを後にした。
 一行はどんどん他の乗り物にチャレンジした。ジェットコースター、カヌー、海賊船。乗り物以外にもミュージカル、でずねーの絵、射撃。瞬く間に時間は過ぎていく。楽しい時間の中で子供達はより仲良く、大人達はより親密になっていった。最後にアリスのミュージカルを見て一休みする事となった。もう時間は4時になっていた。皆はでずねーらんどの中心にある泉の周りのベンチで休んでいた。大人達は子供達のペースにつき会わされてへとへとになっていた。




 「ねえミキちゃん。アリスの踊り奇麗だったね」
 「そうねりっちゃん。わたしもあんなにきれいにおどれたらいいのに。あいするひととかれいなすてっぷでおどるのはおんなのロマンよねぇ〜〜」




 うっとり




 ミキは視線がどこかへ行っていた。




 「ありすのあいてやくのひともかっこうよかったわね」
 「そうよね。あの相手役の人とても格好がよかったわね」
 「ぼ、ぼくだってあれぐらいおどれるよ」




 おもわぬ婚約者の一言にヒートアップするシンイチである。ケンジはミキの頭ぐらぐら攻撃で目を廻してベンチで寝ていた。




 「ふぅ〜〜ん。じゃ踊ってみせて。プチ、パチ、来て」




 リツコがそう言うと普段よりずっと小さい普通サイズの猫になって、プチとパチがどこからともなく現れた。周りの人達が不思議そうに見ているところを見ると今日は見えるらしい。




 「あ、プチ、パチ、こんにちは」




 にゃ〜〜
 にゃ〜〜




 「あ、ミキちゃん。この2匹プチとパチって言うの。私のお友達」
 「よろしく。プチ、パチ」




 にゃ〜〜
 にゃ〜〜




 「プチ、パチ。私シンちゃんと踊るから歌お願いね」




 にゃ〜〜
 にゃ〜〜




 判った様だ。ミキが呆気に取られて見ていると2匹が歌い始めた。




 にゃにゃにゃにゃんにゃ にゃにゃにゃ にゃにゃにゃにゃんにゃ にゃにゃにゃ




 名曲「雨に歌えば」である。




 リツコは手でズボンのわきの方をつまむと膝を折って挨拶した。あわててシンイチは手を胸にやり挨拶する。二人は少しその後動きが止まったが不思議に頭の中にどうやって踊っていいかがわかった。二人とも手を腰にあて靴をこつこつ鳴らす。腕を組んでくるくる廻る。二人を見ていたミキはケンジを叩き起こし踊りに加わる。唖然として見ていた大人達もお互いの手を取り踊り始める。三組が三組とも魔法がかかったようにうまく踊れた。そのうち周りに人だかりが出来てきた。




 が




 いきなりの雨がふり始める。周りの群集は雨宿り場所を探して避難したが、三組は落ち着いてブレスレットを使った。バリアの為水滴が周りに散らばり光を乱反射する。三組は雨に濡れず光の乱反射によって出来た虹に包まれ踊り続ける。やがて雨宿りをしている人達から歓声が上がる。




 一組は金髪の美しい幼女と可愛い少年
 一組は黒髪の可愛い幼女と元気な少年
 一組は妖艶な女性に誠実そうな青年




 三組が似通っているようで違う踊りを虹の中で軽やかに踊っていた。そのそばでは黒白2匹の猫が首をふりふり歌を鳴いている。やがて三組は踊り終えた。雨もちょうど止んでいた。




 ぶらぼー
 すごぉ〜〜い
 きゃ〜〜




 歓声と拍手がわき上がった。一行は今更気がついたように驚くと皆におじぎをし照れ臭そうにお土産を売っている店の方へそそくさと去っていった。プチとパチはリツコとシンイチの肩の上に乗った後、ふっと消えた。だれもがこれをアトラクションだと思っていた。拍手はいつまでも鳴り止まなかった。




 「うまくいったみたいだ」




 いっぽう広場の泉の中では10センチぐらいの体長の潜水服を着た男が一行を見送っていた。フラン研である。リツコの初デートが心配で密かに付いて来た彼は、得意の魔法を使ったのであった。




 「さてと帰るか」




 フラン研の姿は消えた。








 さて一行はこそこそと指名手配犯の様に出口に向かっていた。すごぉ〜〜く照れ臭い。




 「シンちゃん。とっても踊りうまかったわ。ミュージカルのアリスの相手役よりずっと格好よかったわ」




 ポッ




 言いながら、踊っている自分達の姿を想像して赤くなるリツコであった。




 う〜〜ん、らぶりぃ




 「うん。うまく踊れてよかった」




 とシンイチ。




 一方




 「ケンちゃんなかなかじゃない」
 「それ程でも」




 と謙遜しつつ自慢するケンジである。




 「う〜〜ん。さっきは何故踊ってしまったんだろう。しかも自分で考えてもあんなにうまく踊れるとは。何が何やら?」
 「そうですわ。まるで魔法にかかったようでしたわ」




 大人達はいささかあせっていた。とにかく恥ずかしい。今日は帰ろう。そう決った。




 「あの。今日はとにかく帰る事にしましょう。またすぐ連れて来てあげるからね」
 「「「「え〜〜〜〜〜〜〜〜」」」」




 子供達の反対は激しかったがすぐまた連れてくると言う事でなんとか説得に成功した。ただお腹が減っているのでアイス売りのワゴンでアイスを買う事にした。なんとなくこそこそと一行はワゴンに近づいた。




 「お嬢ちゃん達どれがいいかなぁ。あ、朝にキャンディー買っていったお嬢ちゃん達だ。あっあれ?さっき広場で踊っていませんでしたか?」




 朝はキャンディーを売っていた売り子のいずみだった。




 「し、誰にも言わないで。ね。お願い」




 ナオコがいずみの手を取りウィンクして頼んだ。




 ごくん




 いずみは生唾を飲み込んだ。




 「わ、わかりました」
 「じゃチョコレートアイス四つね」
 「はい」




 ナオコは代金を払うともう一度ウィンクをして言う。




 「じゃお願いね」
 「は、はい」




 この後5分間いずみはぼけっとして立ち尽くしていた。








 一行はその後、にっきーのぬいぐるみをこそこそと買った後、どうにか誰にも見つからずワゴンまでたどりついた。子供達を乗せるとすぐに出発した。車は往路と違って静かに走った。子供達は初め騒いでいたが疲れたらしくすぐに静かになった。全員よく寝ている。




 「ナオコさん」




 無言で車を走らせるナオコにコウイチが言う。




 「なんですか」




 ナオコは静かに答える。




 「あんな事してすみませんでした」
 「…………」
 「…………」
 「いいですわ。あれは私も悪かったんです。あんな挑発するような事してしまったのですもの」




 また車内は無言になる。




 「「あの」」




 二人は同時に口を開く。




 「どうぞナオコさんから」
 「ええ。あの私こちらに来てから誰も知り合いがいなくて困っていたんです。いろいろこれから相談に乗ってもらいに行くかもしれません。よろしくて?」
 「ええ。もちろんいいですよ。僕で出来る事ならなんでも」
 「ほんとうですか。嬉しい」




 ほんとに嬉しいらしく微笑むナオコである。その横顔を見て見惚れるコウイチである。




 「で、コウイチさんは?」
 「あ、僕の話はいいです。今度で」
 「変なコウイチさん」




 また車内は静かになる。車は家へと急いだ。




 こうしてリツコとシンイチの初デート・プラスαは終わったのであった。










 「どれどれ。ありゃ、りっちゃんもう寝ちゃったのか」




 その日の夜リツコの枕許にうごめく10センチぐらいの黒い影。潜水服姿のフラン研である。今日の首尾なんかを聞きに来たのである。




 「じゃ、しょうがないな。帰るとするか」
 「う〜〜ん」




 その時リツコが寝返りをうった。




 ばちん




 リツコの平手がフラン研にヒット。




 むんず




 そのまま掌でフラン研の胴体を握る。頭だけ出るフラン研。カヲル君状態である。リツコはフラン研を口に持っていく。




 まぐ




 フラン研の頭を口に咥えると胴体を引っ張る。どうやら寝ぼけてフラン研をグミキャンディーと間違えているようだ。びろ〜〜んと伸びるフラン研の首。さすが魔道士、芸が達者だ。リツコは口を開いた。




 ひゅ〜〜 ばちん びよよよよん




 フラン研の首は元に戻った。が、さすがに目を廻しているようだ。




 ぽい




 リツコはフラン研を投げ棄てた。








 翌朝




 リツコが朝目を覚ますと枕許で黒い物体がうごめいていた。




 「きゃ〜〜ごきぶりよぉ〜〜」




 べしべしべしべし




 リツコは定規で何回も叩いた。やっと動かなくなったその物体を見て驚いた。




 「あっフラン研さん。大丈夫?」
 「大丈夫な訳がない。ガク」
 「きゃ〜〜しっかりしてぇ〜〜」




 さすがのフラン研も三日間は動けなくなりリツコのリカちゃんハウスに泊ったそうである。




つづく






ver.-1.00 1997-10/14公開
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 あとがき




 「もしもし、フランソワさん。まっこうと申しますが」
 「もしもし、まっこうさんですか。いつも兄がお世話になっています」
 「こちらこそお世話になっています」
 「ところで、どうしたんですか」
 「実はフラン研さん『気になるあの子』に出演中怪我されたので連絡したんですけど」
 「気にしないでください。兄の事ですからたとえ首がとれたって三日で生えてきますわ」
 「そ、そうですか」
 「え〜〜と、ふむふむ、確かに怪我しているようですね。まあほっといても大丈夫ですわ。あらまたみなさん踊られてますね」
 「そうなんですよ職場の同僚が宝塚のビデオ貸してくれたんですけど、見たら感動してしまいまして、また皆に踊ってもらったんです」
 「あ、『いずみ』さん出演されているんですね」
 「そうです売り子がいいって言われてたものですから、でずねーらんどの売り子として出演してもらいました」
 「出演と言えば最近アスカちゃんがすごく機嫌よくって家にも遊びに来ましたわ。なんでも『めそめそ』とか言ういい役もらったって」
 「へぇ〜〜そうですか」
 「だからフラン研さんとも仲直りするんだってルンルンしながら帰っていきましたよ」
 「かわいそうに」
 「え。なぜ?」
 「だって『めそめそ』って最後が…………ですよ」
 「そうなんですか…………ですか」
 「はい」



 まっこうとフランソワの話はまだまだ続くみたいである。




 つづく




 次回は




 「あの子の大ピンチ」





 合言葉は「らぶりぃりっちゃん」





 ではまた




 まっこうさんの『気になるあの子』第伍話後編、公開です。

 
 シンイチくんxりっちゃん。

 ケンジくんxミキちゃん。
 可愛く微笑ましいカップル二組(^^)

 
 そして更に、
 妖艶ナオコさんに吸い込まれたコウイチさん・・・
 オ・ト・ナ、の行動(^^;
 いきなりの動きでしたが、

 何となくやっぱり可愛いですよね。

 
 雨に踊った楽しい、先も楽しみな休日でした(^^)


 

 
 さあ、訪問者の皆さん。

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 「めそめそ」、どうなるんだ?!(^^;
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