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ネルフ村の平和な日常

第22話

「決戦前夜」


 

闇に浮かび上がる男の顔は、明らかに感じるはずのない疲労に彩られていた。

無数の触手にも似た配線が集まる中心部に設置されている巨大な水晶。その中に単なる映像として浮かび上がっているのは、これといって特徴のない20歳ほどの男である。王侯貴族の家にあるような趣味のいい椅子とテーブルに腰掛け、テーブルについた両肘の上に顎を乗せた姿勢をわざわざ立体映像として投射させている彼の本体は、膨大な情報でしかない。

無論、この世界に存在する全ては情報によって形作られている――たとえ生物であったとしてもだ。しかし、他とは明らかに違う意味で彼は情報によって構成されていた。

魔力演算装置管理システム『Zephyr』と呼ばれるその男は、いかにも気怠そうな空気を立体映像の表情によって器用に醸し出していた。 

その彼の向かいでは、アフロ頭の男が巨大な体を折り畳むように座り込んで先ほどから何やらぶつぶつと愚痴っている。それこそがまさにシステムである『Zephyr』にすら疲労を感じさせている原因なのだが。

「畜生、みんな俺を置いてけぼりにしやがって……頭もオオツキも、どうせ俺のことなんか忘れてるんだ! いや、それだけじゃなくてきっと読者も作者もすっかりわすれてたに決まってるんだ! そうだ、そうに決まってる! だいたい置いてけぼりって言葉の語源は置いてけ堀で民話から生まれた物だから、本当はファンタジーでは使えないんだぞ、馬鹿野郎!」

「何を意味不明なことを……」

既に2時間近く、ずっとこの調子のアフロ男――グラシアスに付き合わされている『Zephyr』は、陰鬱なため息をついた。

すでにトキタとエヴァと暗黒三兄弟、そして少し遅れて他のメンバーがネルフ村へと向かってから半日ほど過ぎている。勝負がつけば、魔法ですぐに帰還してくるはずだから、恐らくはまだ手間取っているのだろう――あるいは、既に敗れたか。

いや、それはない。『Zephyr』は頭の中に浮かんだ思考を振り払った。人の体ではその力を出し切れないとはいえ、『エヴァンゲリオン』の能力はあまりに圧倒的だ。たとえどんな強靱な人間が何人集まったとしても、本気になった『エヴァンゲリオン』を倒すことは不可能だろう。

「いや、しかし――」

出発前に彼女の見せた、微かな違和感が『Zephyr』の思考に引っかかっていた。感情の芽生えのようにも見えたそれは、彼に蓄えられたデータの範疇を越える物であり、そのわずかなノイズだけが彼の予測を100パーセントから遠ざけている。

「汎用人型決戦魔法兵器……『エヴァンゲリオン』か……」

目の前でなお愚痴り続けているグラシアスは無視して、『Zephyr』は呟いた。

「なかなか……面白いかも知れないね?」

 

 


 

 

「これでよし……っと」

呪文を唱え終わったシンジが手を離した。アスカは自分の頭をさすり、そこに出来ていたたんこぶが消えているのを確認する。

「痛くない?」

「うん……大丈夫。あんたは怪我ないの?」

「ないことはないけど……かすり傷程度だし、ほっとけば治るよ」

わずかに微笑みを浮かべるシンジに、アスカは内心呆れてため息をついた。たった今自分のほっとけば治るようなかすり傷まで完全に治療したのは一体誰だと思っているのだろうか――まあ、確かにシンジの場合、大抵の負傷ならば本気で放っておくだけでも治るのだが。

そう言えば昔からそうだった、とアスカはふと思い出した。

彼女の幼なじみは、小さい頃から自分が傷つくよりも他人が傷つくことを恐れる少年だった。アスカが怪我でもしようものなら、まるで自分が大怪我を負ったかのようにわんわんと泣きわめくため、幼い日のアスカは自分の怪我の痛みに耐えながら彼を慰めなければならなかった。そんな彼が最初に覚えた――そして今も最も得意とする精霊魔法が治癒系の魔法であったのは、当然といえば当然のことだったのかも知れない。

些細な怪我でもすぐに大げさに心配して癒そうとしてくる彼はたまにうっとおしくもあるが、それでも不快ではなかった。シンジを心配させるためにわざと危ないまねをしたこともある。そんなとき、その気の弱そうな黒い瞳が自分にだけ向けられることがアスカは好きだった。

「……どうしたの? アスカ」

「え?」

「いや、さっきから僕の顔じっと見てさ……何か付いてる?」

自分の頬を撫でるようにして聞いてきたシンジに、アスカは反射的に顔を逸らした。いつの間にかじっと見つめていたらしい。顔面に体中の血液が昇ってくるのが分かって、アスカはそれを隠すために怒声をあげた。

「べ、別にあんたを見てたわけじゃないわよ!」

「……そう? それならいいんだけど……」

シンジは少し訝しげな顔をしたが、すぐに笑みを浮かべると、「じゃ、僕はちょっとカヲル君のとこ行って来るから」と言って立ち上がった。

「あ……」

アスカは呼び止めようと手を出しかけたが、その時には既にシンジは向こうの木の下のカヲルの元へと駆け寄っていた。

「…………」

前に出しかけた手を決まり悪げにつかみ、胸に添える。微かな後悔を感じながら俯き、口の中で馬鹿、と小さく呟いた。

「アスカぁ〜〜〜〜〜」

不意に背後から聞こえた声に、ぎょっとして彼女は振り返った。そこには、どんよりとした空気をまとわりつかせたレイが陰鬱な表情でぷかぷか浮かんでいる。

「この私がこんなにブルーなのに、あんたはそうやってラブコメしてるわけね? あーもういいわよ、所詮あんたなんてそんなやつだったのよね」

「だ、誰がラブコメしてるってのよ!?」

「あんなベタベタなことやっといて言い逃れが聞くとでも思ってるわけ? ああ、誰か私の悲しみを理解してくれる人はいないのかしら……」

顔を両手で覆い、オーバーなアクションで空を仰ぐレイ。顔の赤みが収まらないアスカは、それを隠すようにあさっての方向を向いて言った。

「うっさいわねー……ちょっと体が半透明になったぐらいでぐちぐち言ってるんじゃないわよ」

「何よ! どうせあんたにはわかんないでしょうね、このショックは!」

レイは、アスカの目の前に出るように回り込んだ。アスカの言うとおり、その華奢な体は薄布のように透けていて、うっすらと向こう側の景色が見えている。

「強力な魔法の使いすぎで精神力が足りなくなって、精神体としての存在が希薄になってるんでしょ? そんな一晩寝れば治るようなことでいちいちショックなんて受けなくたっていいじゃない」

「そりゃあ精神力は休めば回復するけど……こんなんじゃ本気で幽霊みたいじゃないの……」

何やら落ち込んだように指を組み合わせているレイを見て、確かに幽霊みたいではあるとアスカは思った。もともと色素が薄いため、半透明の体で夜中にたたずんででもいれば、相当に似合うだろう。

「いいじゃないの、空間転移なんて魔法を我流で使って消滅しない方が奇跡みたいなもんだってカヲルも言ってたじゃない。生きてるだけでももうけもんと思わなきゃ」

そう声をかけてみたものの、レイはまだ何やらぶつぶつと文句をたれている。彼女に関してはとりあえず無視することに決めて、アスカはシンジの姿を目で探した。

シンジは、少し離れたところの木の下で、何やら真剣な表情でカヲルと話し合っていた。カヲルの方が少し驚いているようにも見える。

「……何話してんのかしら」

何となくシンジに癒してもらったばかりの頭を押さえながらその近くによって、二人の会話に耳を傾けてみた。

カヲルの真剣な声が聞こえてくる。

「……本気なのかい? シンジ君」

「うん……自分でもよく分からないけど……そうしたいんだ」

シンジの声はやけに静かで、彼女が今まで聞いたこともないほど決意に満ちあふれているように思えた。

「分かっているだろうけど、危険だよ……?」

「知ってる。けど……やっぱり、放っておけないよ。あんなに……哀しそうな目をしてたのに」

「……わかった。それじゃあ僕は準備をしよう」

カヲルは諦めたように少し息をつくと、またいつも通りの薄い微笑みを浮かべて見せた。礼を言うシンジに軽く手をあげて、その場に背を向ける。

彼が立ち去ったのを確認してから、アスカは――とりあえず後ろからシンジの足を払った。

「うわっ!?」

予想外の攻撃にバランスを崩し、なすすべもなく仰向けに地面に転ぶシンジ。その顔を覗き込みながら、アスカは何事もなかったかのように、

「何話してたの? シンジ」

「……とりあえずもう少し普通に話しかけて欲しかったけど……」

「細かいこと気にすんじゃないわよ。それより何話してたの?」

「う、うん……」

地面に寝ころんだまま、シンジは言いにくそうに言葉を濁した。その気配を敏感に感じ取ったアスカは、さらに腰を曲げてシンジに顔を近づける。

「……なんか言いにくいことなの?」

「いや……そうじゃないけど……」

「けど?」

「なんか……言ったらアスカ怒るような気がして……」

「なんであたしが怒るのよ」

「わかんないけど……なんとなく」

アスカはふぅと息をつき、

「言ってみなさいよ。怒らないから」

「……あのさ、あのエヴァを助けられないかなって……」

「……エヴァを?」

「うん……なんか、彼女の目がすごく哀しそうに見えて……忘れられないんだ。きっとあの槍がなければ、彼女はもっと感情を持てるはずだよ……人間みたいに。だから……彼女を助けたい……」

ぶみ。

「……あれ?」

思わず足でシンジの顔を踏んでしまってから、アスカは慌ててその足をどかした。シンジは上体を起こして、鼻の頭をさすりながら涙目で、

「……やっぱり怒ったじゃないかぁ」

「い、いや、別に踏むつもりはなかったんだけど……なんか気がついたら」

気がついたら、踏んでいた。

エヴァのことを語っているときのシンジの目が、そうさせたのかもしれない。自分以外の女のことを考えているシンジを見ると、胸が痛くなった。

その感情の正体がわからないほど彼女は子供ではなかったが、その気持ちをどう制御すればいいのかわかるほど大人でもなかった。

決まり悪げに立ったまま足を組み替えて、アスカはシンジから少し目をそらして言った。

「……だいたい、あれを助けるって言ったってどうするつもりなのよ。愛の力ででも改心させる気?」

「あ、愛の力?」

素っ頓狂な声をあげるシンジ。それにはかまわず、アスカはさらに続けた。

「もしも改心させたって、あいつが入ってるのはレイの体なのよ? 実の姉を見捨ててあいつと仲良くするの?」

「ア、アスカ……」

「結局、あいつの色仕掛けにはまってるだけじゃないの。実の姉に入ってる魔法生物に欲情するなんて、バッカみたい」

違う。

こんなことを言いたいんじゃない。

頭ではわかっているが、彼女の口は彼女の思いとは反対に滑らかに動く。

「せいぜいあれと仲良くしてればいいじゃないの。向こうもあんたのことはお気に入りみたいだしね」

「べ、別にそんなんじゃないよ!」

「もういいわよ、勝手にすればいいじゃない!」

そう言って、アスカはシンジに背を向けた。

激しい自己嫌悪が、痛みとなって胸の中で荒れ狂う。アスカは俯いたまま、背中に感じるシンジの視線から逃げるように足を早めた。これ以上彼のそばにいると、余計にひどい言葉を投げつけてしまいそうな自分が怖かった。

助けを求めている者を見捨てることの出来ない性格だとわかっているのに、感情がそれを認められない。その優しさも、笑顔も、思いやりも、全てが自分だけに向いていて欲しいという身勝手な、それだけに切実な欲求が彼女の心を満たしていた。

「バカシンジ……」

口に出して呟いてはみても、わかっていた。本当にバカなのは誰なのか……

 

 


 

 

 

「……さて」

呟いたその言葉には、それほどの意味はなかったのかも知れない。ただ、なんとなく口をついて出ただけであって、何か他の言葉から続いたわけでも他の言葉に続くわけでもない。

それでも、隣を歩く仲間の注意を引くことぐらいはできたようではあった。痩せぎすな体を黒ローブに包んだ彼の仲間は、彼の言葉に続けるかのように言った。

「もうそろそろですね。予想外の事態により少し遅れてしまいましたが……」

「……そだね」

単にお前が道に迷っただけだろーが、という言葉は胸の中にだけしまって、彼は面倒くさそうに相づちを打った。

木々の合間を縫うような山道の先では、うっすらと人家の明かりのようなものが見える。そろそろ夕食の時間らしく、どこの家からも細い煙がたなびいていた。

「あそこがネルフ村です……あなたは来るのは初めてでしたね?」

「まあ、ね。別にアダムがどーなろうと知ったこっちゃないんだけど、グラシアスの頼みでもあるし……あれ? そーいえばあいつはどこ行ったんだ?」

「さあ? 本部で留守番でもしてるんじゃないですか?」

「そうか……まあ、いたところで大して役に立つわけでもないからいいけど」

小さなあくびを一つ漏らして、彼はあたりを見回した。ところどころ岩の露出した地面から、無数の照葉樹が天に向かって伸びている。大きく伸びた枝が彼らの頭上を塞いでおり、時間がたつごとに山道は暗さを増していくようだった。

そろそろ魔法で明かりを灯そうかと思ったその時。

「……あれ?」

彼は思わず素っ頓狂な声をあげていた。

「どうしました?」

「いや……あれはあんたらの総帥じゃないか?」

そう彼が指さした先は、山道から少し外れたところだった。暗いために近づくまで気付かなかったが、確かに一本の大木にもたれかかるようにして黒ローブの男が立っている。その隣では氷のように表情を凍らせた少女が、何をするでもなくただ佇んでいた。その視線はこちらを向いているが、けして彼らを見ているわけではない。何か、もっと遠いものを見通すかのような視線だった。

黒ローブの男もこちらに気付いたらしく、手に持っていた赤い長槍をすこし揺らして合図してくる。ふたりは足下に気をつかいながら、男の元へと近づいた。

「……オオツキにツキオカか。ずいぶんと遅かったな」

男は、なにやら疲れ切ったような表情をしていた。オオツキと呼ばれた彼の仲間は慇懃に一礼すると、遅れてきたことに対する詫びと軽い言い訳をした。ふたりはなおも何か話しているようだったが、特にそれに興味も覚えなかった彼は、なおもどこか遠くを見ているような少女に近づいていった。

そのいかなる感情も読みとれない白い顔を見て、彼は素直に美しいと思った。全体の輪郭、薄い青色の頭髪、すこし大きめの深紅の瞳、横一文字に結ばれた口元も、鼻筋のラインも、顎先も、まるで腕のいい彫刻家の最高傑作であるかのように完璧な造形美を誇っていた。

それでも、彼はやはりその美しさには何か足りないような気がした。例え作品として完璧な美しさを持っていたとしても、それは決してイコールで人間の美しさにはならない。所詮魔法生物の魂では、人間の美しさを完成させることは出来ないのだろう。

彼は腕を伸ばし、少女の頬に触れてみた。少女はちらりと彼に視線を向けたが、特にそれ以上何かをするわけでもなく、また何らかの感情がその顔に浮かぶこともなかった。

その反応に特に失望もせずに、頬を少し摘んでこすりあわせたり引っ張ったりとしてみた。やはりそれはまぎれもなく人間の体だった。

「……本来の魂が入っている状態で会ってみたかったな」

何気なく呟いた言葉だったが――その言葉に、少女はぴくりと反応したかのように見えた。

彼は手を離し、眉間にしわを寄せながら彼女の顔を覗き込んだ。しかし、少女は無表情の張り付いた顔のまま、先ほどまでと同じ方向を見つめているだけであり、その顔からも、雰囲気からも何も感じることはなかった。

「……気のせいか」

なんとなく決まり悪げに頭をかいて、彼はまだ何か話し合っているふたりの方へと向き直った。

 

 


 

 

天空の王がその位置を月へと明け渡してから、すでに大分たった。

時計がないので詳しい時間は分からないが、おそらくもう真夜中に近いだろう。

レイは、何かに腰掛けるような姿勢のまま、空中で月を見つめていた。大分元の濃さを取り戻してきたとはいえ、まだ透明度のなくならない体を月光がすり抜けていく。地面に影を作らない自分の姿を見ると、嫌でも自分が肉体を持っていない存在であるということを思い出してしまう。

最初のうちは違和感すらも新鮮に感じてむしろこの状態を楽しんですらいたのだが、さすがに精神体での状態が長く続くと心のどこかが不安定になってくる。肉体という拠り所のない自分の存在がひどくあやふやなものに思え、今この瞬間にも、淡い夜霧のようにふっと消えてしまいそうな気さえする。

昼間に空間移動の魔法を使ってから、その思いは更に強くなっていた。自分自身の存在が消える寸前にまでいったという事実には、さすがのレイも戦慄を覚えたのだ。

「……らしくないな」

誰にともなく呟く。カヲルたちは何やらエヴァと戦うための準備をしていて、彼女だけが少し離れたところへとひとり抜け出してきたのだ。

らしくない、ともう一度呟いて、レイは自分の膝に顔を埋めた。肉体を持っていたときのような感触はない。

大体今回は、まったくいいところがない。なんだかヘマばかりやらかしているような気もする。ましてや捕らえられたあげくに自分の体を追い出されてしまうなど、彼女にとっては最大級の不祥事だった。

そもそも、こんな風にひとりで思い悩むこと自体自分らしくないのだ。

しかし、心の中に芽生え始めた不安は、徐々に広がっていく。何よりも自分自身の存在の不安定さこそが、彼女の心を蝕んでいた。

――怖い。恐ろしい。寂しい。

自分では認めたくない感情が、いくら抑え込んでも次から次へと湧きだしてくる。ひとりでいることが辛かった。しかし、それ以上にこんな姿をシンジたちには見られたくなかった。

レイは、生まれて初めての凍えるような無力感と恐怖感に包まれていた。肉体を持っていたなら、それは震えとなって現れただろう。

空気が澄んでいるのか、空に見える星々は妙に明るい。無意味なことだと分かりながらもその数を数えたくなる。

幼い頃に本で読んだ星座の形を探しながら、レイはゲンドウの言葉を思い出していた。

――奴らがこの山の反対側の中腹に私たちがいることを見つけだすのは、それほど難しくはないはずだ。来るとすれば明日の夜明けか早朝だな。

明日の準備をしているカヲルとゲンドウ、そしてシンジ以外はもう皆明日に備えて眠りに入ったのだろう。レイは、もう少し月を見つめて落ち着いたら帰ろうと思った。

月の光は不思議な安らぎを与えてくれる。そんなものしか今の彼女にはすがる物がなかった。

「ほんっとにらしくないんだから……」

わずかに見せる苦笑も、自分に対する強がりでしかない。

それでも、強がれるのならまだ大丈夫。自分を騙すことが出来るのなら、まだ追いつめられてはいないはず。

音もなく静かに舞い降りる月光に照らされて、レイは静かに微笑んだ。

大丈夫。私はまだ大丈夫。

風が木々を優しく揺らす音が辺りを包み、星々もそれに合わせるかのように瞬く。月と星の明かりによって生じる闇の濃淡も、その音に耳を澄ましているかのように見える。優しさを増した空気の中で、少女の魂は穏やかに揺れていた――決戦は明日。

 

 

 


つづく
ver.-1.00 1999_11/20 公開
ご意見・ご感想・誤字情報などは gyaburiel@anet.ne.jpまで。

4ヶ月ぶりの公開です。
なんかもう、さんざん間をおいた割に質はこれだったりまだ完結を見なかったりとさんざんですが、とりあえずこれからはもう少し気合いを入れて書こうかなと思わないこともないのではないかと(をい)思いますので、とりあえず暇つぶし程度には目を通していただけると幸いです(ひたすら低姿勢)。
ああもう、本当にちゃんと書かんと……
そういうわけで、次の話は本当に早く出せるように努力しますので、どうか見捨てないでやって下さいm(_ _)m
ではでは。

PS.今回でオリキャラの募集は終了です。初登場のオリキャラ元ネタの方、見ていたら連絡求む(笑)





 ぎゃぶりえるさんの『ネルフ村の平和な日常』第22話、公開です。







 くー

 苦悩していますね

 女の子陣が、みんな、それぞれに・・・


 アスカ様も
 姉レイさんも
 エヴァレイちゃんも。。



 アスカとエヴァレイは、やっぱり、これ、
 シンジにかかっているしなぁ・・


 がんばれ、ふんばれ、シンジ。なのれす〜



 姉レイさんもその流れできっと助けられるぞっとっ

   ついでみたいな言い方で、姉レイさんに怒られそう(^^;




 みんな、みんな、死なない程度に、でも、死ぬ気でがんばって欲しいのよ〜



 ネルフ村の明るい未来のために☆





 さあ、訪問者の皆さん。
 次話は早いぞ!?ぎゃぶりえるさんに感想メールを送りましょう!











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