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シンジは買ったばかりの愛車FIAT Barchettaを入念に洗車していた。
中古だけど、真っ赤のオープンカーだ。今のシンジの宝物になっている。
明日はアスカが日本に3年ぶりに帰ってくる日だからだ。
シンジは今年の4月から第三東京大学に通うことになっている。

アスカはというと、親の仕事の関係で
ドイツに中学卒業と同時に帰ってしまった。
シンジは中学を卒業して、どうにか第三東京高校に進学していた。
トウジもケンスケも洞木さんも綾波も同じ高校だった。

アスカのいない高校生活は考えられなかったが、
レイやトウジたちに「アスカがいないとねぇ」と
からかわれながも淡々とした生活を送っていた。
ハリがない生活を送っていたようなものだった。

大学受験もどうには乗り越えて
やっと生徒から学生になるのだった。

今の時代、自動車免許を取る年齢が18歳から17歳に引き下げられた。
子供の成長が早いので、引き下げても問題ないだろうということらしい。
そんなわけでシンジも他に漏れず17歳で免許を取得する。


来月から大学生として生活を始めるシンジに前日の夕食時に
母親のユイはシンジに話しかけた。

「今度ねぇ、アスカちゃんが日本にくるんだって。
 だからシンジ迎えにいってほしいんだけど...」
「どうしてボクが迎えに行かなくてはいけないんだよう」
「なに言っているの、アスカちゃんに助手席に乗ってほしくて
 車かったんでしょ。しかも2シーターの車を」
「いや、それは...」

「シンジ」
「なに、父さん」
「責任はとれよ」
「なにを言うんだよ、いきなり」

「まぁ来週の水曜日に来るから、ちゃんと迎え行きなさいよ」
「はい...」

と、いうことがあって、しょうがなく洗車をしていたのだった。
とはいうものの、顔のどこかがにやけてしょうがないシンジだった。

そんなところに洞木さんとトウジが通りかかった。

「よう、シンジ。なに車を熱心にあらっとんのじゃ」
「そういえば明日ってアスカが帰って来る日よね」
「な、な、何で知っているの?」
「だって連絡あったもの」

シンジは
「アスカは、洞木さんには連絡していたのか。
 だったらボクにも連絡してきてくれてもよかったのに」
と、内心そう思っていた。
策略にはめられているということに気がつかないシンジは
昔と変わっていなかった。

「なんやシンジ、愛する人を迎えに行くために
 愛車を洗車しとるのか。ええ話やなぁ」
「なんだよ、2人とも。からかうのはよしてくれよ。
 誰がアスカを迎えに行くからって洗車しなくてはいけないんだよ。
 たまたま、晴れていたから洗車していただけだよ」

図星をつかれてとっさの言い訳がこれなのか(^^;;

「またまた。だってさっきからシンジの顔、ニヤニヤしていたりしれたぞ」
「そんなことないよ。
 そっちこそ、2人きりでどこにいくんだよう」

シンジは形勢逆転を狙ったみた。

洞木さんとトウジは同棲していたのだった。
と、いってもトウジの妹さんも一緒なのだが。
いうなれば母親代わりというのが正解かもしれない。

「いやちょっとな、買い物や」
「いやいや、お熱いことで」
「そ、そんなこと...」
「何を言っているんじゃ、シンジ。
 ほ、ほな、いくわ」

と、動揺を隠しきれずに言い残して去っていった。
取り残されたボクはアスカが
「こんな汚い車で迎えにくるなんていい度胸してるわね」と
言われないように、細かいところまで気を使って掃除をしていた。



翌日、早起きするつもりで目覚まし時計をかけていたが
鳴ったのに止めてしまったようで、案の定寝坊してしまった。

「シンジ、迎えに行くんでしょ。早く起きなさい」
「う〜ん。
 えっ、こんな時間なの!なんで起こしてくれなっかんだよぅ」
「何度も起こしたのに起きなかったのよ。
 やっぱりアスカちゃんじゃないとダメなのかしらねぇ」
「なにを言っているんだよう」

すでに顔が真っ赤なシンジだった。
確かに明日、アスカに会えるということから
なかなか寝付けなかったのは事実だ。
逆な見方をすれば「アンタ、運転ヘタじゃん」と言われないかという
プレッシャーと戦っていた。

「まったく、アスカちゃんを迎えに行くのに寝坊するなんて。
 だめよ、女の子を待たせちゃ」

と言い残して母さんは部屋を出ていった。
用意していた服に着替え、車のキーを取って出ていった。


シンジの車の運転はミサトさん仕込みだった。
どこから聞きつけたか分からないが、
中学の時の担任のミサトさんが高校2年の時に免許取り立ての
シンジにこういてきたのだった。

「シンジ君、車の免許取ったんだって。そうなんだ。
 誰のためにとったのかなぁ。」
「誰のためって...」
「今はドイツに行ってしまった愛しのアスカのためかなぁ」
「なんでアスカのためなんですか!
 車の免許ぐらい持っているのが常識だったからじゃないですか!」
「じゃぁ私が運転を教えてあ・げ・る」
「い、いいです」

ミサトさんの運転はとにかく荒いのだ。
助手席に乗れたものではない。
加持さんはよく乗っていられると感心すらできる。

ミサトさんはシンジをからかうことに生き甲斐を感じていたらしい。
卒業してもそのことは変わらなかった。

「でもシンちゃん、車持っていないでしょ。
 私の車で運転の練習しておかないと、アスカが帰ってきたときに
 バカにされちゃうわよ」

などと言いくるめられて、結局運転を習うことになった。
もちろんミサトさんの愛車アルピーヌA310だ。
身の危険を感じてはいたので、加持さんにも同乗してもらいながら
運転を学んだ。加持さん曰く

「葛城に習ったから、運転も似てしまったかもなぁ」

なんて言われた。
実際のところ、そんなフシはある。

「遅刻してるからなぁ。かなり飛ばさないとマズイか」

と思いながら、アスカが到着する第三新東京国際空港に向かった。

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ver.-1.00 1997-06/20公開
ご意見・感想・誤字情報などは lager@melody.netまで。

 本日二人目の御入居者、

 めぞんEVAに37人目の住人がやって参りました。

 LAGERさん、ようこそ(^^)/


 アスカのために愛車を磨くシンジ君、可愛いですね。

 友人たちに冷やかされ、
 両親にからかわれ、
 それでもニヤ付いてしまう・・・・。

 次回、アスカとの再会どうなるんでしょうね。
 シンジの気持ちは変わっていないようですが、
 アスカの心は?


 さあ、訪問者の皆さん。
 めぞんEVAの新たなる仲間、LAGERさんに感想を送って下さいね。

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