食パンの上にころがっている小さな人、それはまさしくシンジだった。
大きさはほとんど手の平サイズである。
「・・・・・シンジ?・・・・・」
しばらくした後、我に返ったアスカはその上にかがみこんで、シンジのシャツをつまんで持ち上げてみる。小さくなった上にぐったりして動かないので、まるで良くできた人形のようだった。
「ちょっと!これはどーゆーことよ!
アンタ、シンジに何したのよ!。」
あまりのことに気が動転したのだろう、レイにつめよりながら、アスカはシンジを振り回し始めた。
「ちょっと、死んじゃうわよ!そんなにしたら」
レイに言われてハッとする。そして今度はプランプランと揺さぶり始めた。
「こら、起きろ!
起きなさいよ!
・・・起きてってばぁ・・・」
最後はもう涙声であった。
シンジはおかしな感じと自分を呼ぶ声に目覚めつつあった。
(なんか揺れてる・・・地震かな・・・?・・・)
おかしな感覚に戸惑いながら頭をあげると、自分をのぞき込んでいる、自分の体より大きいアスカと知らない女の子の顔があった。
「わ、う、うわぁ!」
あまりの状況に吊されたまま硬直するシンジ、とりあえず目を覚ましたことでホッとするアスカ、何が何だかわかってないレイ。
すでに三人の頭には学校のことなどなかった・・・・・
10分後
とりあえずざっと状況説明をし終ったところでシンジはぶつかった女の子に謝っていた。こんな状況なのに、シンジらしい行動である。
「えっと、大丈夫だったかな?怪我とかない?」
「えぇ、なんともないわ。それより、碇君の方が大変でしょ。」
「そうよ!アンタは人の心配してる場合じゃないでしょ。って、どうしてアンタがシンジの名前を知ってるのよ!」
驚いた顔で問いかけるアスカに、レイはきれいな笑顔で答える。それは、驚きの答であった。
「惣流アスカさんと碇シンジさんでしょ。兄からよく話を聞くから。
私は綾波レイといいます。よろしくお願いします。」
「その兄さんって誰?綾波なんて姓の人知らないけど・・・」
疑問の顔でお互い顔を見合わせる。
「兄は渚カヲルです。」
「えぇー。カ、カヲル君・・・」
何故か、顔に縦線の入っているシンジ。
「そういえば、瞳の色とか似てるとこあるわね。でも、姓が違うじゃない。」
「私達、異母兄弟だから・・・」
ちょっと気まずい雰囲気がただよう。それをふっきるように、レイは口を開いた。
「それより、碇君、どうなってるの?」
その言葉に今の状況を思い出す。
「そうよ!アンタがやったんじゃないとすると・・・。ねぇ、なんか思い当たることないの?おじさまに何か飲まされたとか。」
「うーん。父さんにも母さんにも別に何もされなかったけど・・・」
なんかとんでもないことを言っている二人組に、ふとレイが口をはさむ。
「碇君。そういえば、昨日保健室から出てくるの見かけたんだけど。」
「それよ!それしかないわ!こんなことするのは、あのいかれ女しかいないわよ。急いで、保健室にいくわよ!」
シンジをつかんだまま走り出すアスカを、シンジの鞄を拾いあげて追いかけながら、レイは考えていた。
(また、遅刻だわ・・・)
ーーーー薬品棚にはドクロマークの張ってある不気味な色の液体が
一杯並んでいるーーーー
(薬品?毒薬じゃないの。)
(変な色・・・)
博学で、
ーーーー部屋の奥の方に動物のハクセイが並んでいるーーーー
(ちょっと、ワシントン条約に引っかかってんじゃないの!?)
(ネコ科ばっかり・・・)
ちょっと、少女趣味なところもあるみたいだけど、
ーーーーガラスの大きな水槽の中に人形の家が置いてあるーーーー
(まさか、ここにシンジを・・・)
(もしかして、ここで碇君を・・・)
こんなにすごい企画を作る人なのよ。」
そう言って、持っていた書類をアスカに手渡す。受けとった書類を見て、マヤの陶酔の瞳にちょっと引きつっていたアスカの表情が真剣なものへと変わっていった。
表題にはこう書かれていた。
『ペット保管計画』
結構ふざけているが、これがマヤの目の届くところにあったのなら
きっとシンジに関係しているに違いない。
中を開いて読み始めるアスカと横からのぞき込むレイ。
中には、ペットをちっちゃくすれば餌代が少なくなるし場所もとらないから得、といったようなことが書いてあった。そんなのの実験台にシンジを使うなんてと憤慨しつつ読み進めていく。そして、一通り読み終り、最後のページを見た所で、二人の時間が止まった。
そこには、
『参考文献 ス○ーンおばさん』
と書かれていた。
体中の力が抜けるような脱力感。確かにこんなものから実際に実行できる薬を作ってしまうところはすごいかも知れないが・・・。
(なんなのよ、これ。これだから、セカンドインパクト世代は・・・)
(懐かしい・・・、けど、みんな知ってるかしら?)
気力の残ってなさそうな二人に、初めて気がついたようにマヤが声をかけた。
「そういえば、あなたたち、何しにここに来たの?授業とかは?」
その言葉に、我に返るアスカとレイ。
「あ、あの、そこでレイとぶつかって、」
「そうなんです。アスカさんとぶつかって、それで」
「大丈夫なの?」
心配げに尋ねるマヤに、冷汗を浮かべつつ撤退をはかる。
「だ、大丈夫です。」
「失礼します。」
慌てて出ていく二人を見送り、マヤはまた憧れの先輩を待ち始めるのだった。
「ふぅ、危なかったわ。でも、これで犯人があのマッドサイエンティストなのがはっきりしたわ。」
とりあえず、落ち着いた所でレイに話しかけ振り替えると、レイが変な目でこっちを見ていた。
「ねぇ、アスカさん。」
「何よ。」
「碇君は?」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
【またも、追伸】
さて、シンジがこうなっている事の原因の人物はと言うと・・・・
「ちょっとケバイけど、美人なのにねぇ。」
「とりあえず、回収して保護寮につれていこう。」
どうやら、通報されて警察に保護されたようである。
それにしても、本来なら拘留されてもおかしくない人物が保護されてるなんて、世の中不条理出ある・・・・・
こんちは。jr-sariです。後編お送りいたします。
結局1日が終らないまま1話終了。長いっていっても、他の人
に比べると全然短いですね。もっとうまく書けるようにがんばらなく
ては。
ここはこうした方がいいよ、っていうような御意見がありました
らメールください。
それでは、また次の話でお合いしましょう。
[jr-sari]さんの『Child Child』第1話(後編)、公開です!
ペットを小さくする実験のために人を使う・・・・・やっぱりリツコさんは常人には計り知れない深遠な考えをお持ちなんですね(^^;
マヤちゃんには可哀想ですが、リツコさんにはこのまま壊れていてもらうのが世の為でしょう。
・・・・・・嫌われっ子世にはばかる。復活は早いでしょう(^^;
これからシンジ君はどうなるのでしょう?
空飛ぶアヒルに乗ってラップランドを目指すのでしょうか?
トランプの兵隊と追いかけっことか?
(^^;・・・とにかく、リツコに見つかればただでは済まないでしょうし、
このままアスカの元にいるのもそれはそれで危険でしょうし・・・
私にできるのは祈る事だけです。
訪問者の皆さんも私と一緒に祈って、
そしてjr-sariさんの元にいるシンジ君エールを送ってくださいね。