四話
「はい、入って」
シンジは、今お風呂に入っている、もちろんレイが入れているのだが。シンジは、
あの後レイの作ったお粥を口にした。とても食べたとは言えないまでもシンジ
の胃袋には入った。その後は、シンジはただベットに座り壁に、もたれ掛かった
状態でなにかを、見ているのか瞳は開いている。レイはシンジの横に座りシンジ
を見ていた。レイの手には、シンジの手がしっかりと握られている。時々シンジ
は、立ち上がり外に出ようとしているのか、ドアに向かって歩き出す、その足取
りはおぼつかない。レイはシンジを支えドアまで付いていくが、そんのシンジを、
外に出せるわけもなく、その度ベットに連れていっていた。そんな事をやってる
うちに、レイはシンジの着てる物の汚れにきづくとシンジの顔も汚れていた
レイはシンジの、服を脱がせ今お風呂に入っている。
「碇君」
「・・・・」
シンジとレイは今二人で湯舟に入っている。浴槽はそんなに広いわけではないの
で、二人は密着してお互いを見ている。
・・・こころが、いたいの?・・・
「・・・・」
・・・・そう、壁があるのね・・・・
「・・・・」
・・・・・だいじょうぶ、あなたは私が守るもの・・・・・
レイはシンジの胸に手を当て、シンジの心に問いかけるように目を閉じる。
・・・いかりくん・・・
「シンジくん来てないわよね・・・・」
ミサトの表情からは、ありありと疲れの色がでている。
「ええ」
「そう・・・アスカはどう?」
「静かなものよ、かわりないわ」
「まったく、何処にいるのよ!あのばか!!」
ミサトは頭を、かきむしりながら言う。リツコはそんなミサトにコーヒーを差し
だしながら声をかける。
「まあまあ、はい」
「ん、ありがとでも本当どこ行ったのかしら」
「シンジ君、それとも加持君?」
「茶化さないで!!シンジくんに、決まってるでしょ!!」
「そうね、あの状態だから、そんなに動けるとは、思わないけど・・・」
「あと、シンジくんの行きそうな所なんて、知らないもの・・・」
「まったく手がかりなしか・・・」
「・・・・・」
二人はモニタ−を見ながら、コーヒーを飲む音だけが響く。
「まさか!!」
「なにいきなり」
リツコは耳元でいきなり大きな声を出した、ミサトに怪訝そうに顔を向ける。
「拉致されたんじゃ!?」
「それはないわ、私の推測が正しければね・・・」
「じゃあ、何でどこにもいないのよ!!」ミサトは、不機嫌そうに言う。
「シンジ君の事よ?ミサトが知らないもの,私がわかるわけないでしょ」
「つめたいわねー」
「はいはい、それよりアスカに、会いに行ったら」
「そうね、あやまんなきゃね約束・・・」
そう言ってミサトは、重い足取りで部屋を出る。
ミサトは部屋の前で大きく息をはく、そして無理に笑顔を作る。
「アスカー入るわよ」答えはないまあいつもの事だ、でも今のミサトにはいつ
も以上に苦しく感じていた。そのドアの向こうで、少女の瞳が少年を、見ている気
がしたからだ。それでも足を進め部屋の中に入る。
「アス・カ・・・」
部屋にいた少女の姿はミサトの胸を押しつけた、アスカはあの椅子を見ているの
だ。ミサトはなにも言えなかった。言える筈もないその少年はここにいないの
だから。
しばらく呆然としていたミサトはアスカに近づく、でもけしてあの椅子には、座ら
ない。
「・・・ごめんなさい・・・」
ミサトはアスカを見詰めて言う、だが蒼い瞳はなにも語らない。ミサトは目線を、
外したかった、見ていられないのだ、だがそれは許されない。
「シンジくんね、今戦っているの」
「・・・・・」
「自分の心と、アスカ、わかるでしょ」
「・・・・・」
「そう、あなたと、同じ」
「・・・・・」
「でもシンジくんは・・・・・」
ミサトはそこまで言うと、涙が出てなにも言えなくなる。
「・・・・・」
「ごめんね、また明日来るわ」
ミサトはこれ以上、何も言えなくなり部屋を後にする。そして自分の力のなさに、
自分を責める。
ベットに二人は寝ている、二人とも裸だその少女は、少しでも少年に触れていたい
ように少年に肌をはわす。少年はただ眠っているようだ。
「・・・碇君・・・」
繰り返す言葉、少年が目覚めるおまじないのように・・・・・
そして少年が怖い夢を、見ないように少年を強く抱きしめ優しくくちずけをする
・・・・・・あたたかい・・・・・・
[にしおか]さんの『涙』第一章 四話、公開です。
心を閉ざしたシンジを守ろうとするレイ。
彼女の思いは彼に伝わっているのでしょうか?
彼女の思いは彼の心を開かせることが出来るのでしょうか?
そして、そんなシンジを待ち続けるアスカ・・・・・
彼らに開放の時は訪れるのでしょうか?
訪問者のみなさん。
貴方の感じていることを[にしおか]さんに伝えてあげて下さい!