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うちのバナーがが・ん・そ!


 
山道を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい───。

おそるべき事に、フユツキは20世紀の日本の純文学を読みながら微笑み、抹茶をすすっていた。

注:この小説は新世紀エヴァンゲリオンと新スタートレックをベースにしたファンフィクションであり、登場する人物、マイマイカブリ等は全て架空の物です。繰り返しますが以下略。
 


―宇宙。そこは最後のボランティア(意味不明)。これは、宇宙戦艦エバンゲリオン号が、新世代のクルーの下に、24世紀において概ね任務を続行し、未知の世界を探索して、新しい生命と文明を求めるふりをしつつ、人類未踏の宇宙に、アバウトに航海したりしなかったりする小話である―

えう゛ぁんとれっく・ら・ふぃいぇっと・れう゛ぉりゅーしょねる
Evan Trek The Next Generation
新エヴァントレック

Recreation
第十六話「ゼレンゴン帝国の危機」              



 
航星日誌、宇宙暦44995.3。我々はゼレンゴン帝国の次期宰相、ジブロンの就任セレモニーに出席するため、ゼレンゴンの母星、ゼロノスに向かっている。ところで自動販売機でたまに缶のラベルが「?」になってて、「何が出るかお楽しみ」とか書いてるのがあったりすると、絶対買うバカっているよね。どうせ余りもの適当に入ってるだけなんだけどね。
 

航星日誌を記録し、艦長室からブリッジにやって来たフユツキ・コウゾウ・ピカード艦長は、どこかいつもと雰囲気が違う。クルー達の変化に敏感なカウンセラー・ミサト・トロイはフユツキに声をかけた。

「艦長。何か最近、変わった事ありましたぁ?」

「ん? 何だねカウンセラー。私はいつもどおり快調そのものだよ。」

「…ならいっすけどぉ。」やや怪訝そうな表情で、ミサトは一角の「ミサトの領地(はぁと)」にしつらえたビール風呂でのびをする。既に誰も突っ込まない。
 

フユツキは後方のゲォーフの肩に手を置いた。
「ゲォーフ。…どうだ、今回のジブロンの就任を機に、そろそろ一族の名誉を取り戻しても良いのではないか。」

ゲォーフは眼鏡を上げた。
「構わん。…私は連邦の士官だ。帝国での名誉は重要な事ではない。」

フユツキは軽く溜め息をつく。艦長のまともな反応に不思議そうなクルー達。
「…そうか。」

「艦長、前方にゼレンゴン船を確認、通信が入っています。」

艦長は眉を潜めた。
「分かったシンジ君。宇宙チャンネル、オン。」
 

メインモニタに現われたのは、老獪なタヌキフェイスのゼレンゴン人だった。
「久しぶりだなピカード。お前を迎えに来た。」

「ジブロン! わざわざ出迎えに来て貰えるとはありがたい。さっそくゼロノスへ向かおう。」

ピカードの外交的な笑顔に比べ、ジブロンの顔は苦虫を噛み潰した(A.K.A.カヲルを喰うカヲル)ような表情だ。
「どうしたジブロン? …まさか「2日目」?」

今度はいつも通りの艦長の反応に安心するエバンゲリオンのクルー達。

「…いやそれはまだだ。って言うか一回死ね。そうではない。」
一応ノリ突っ込みをするジブロンは身を乗り出した。
 

「急いで来てくれ。現在、帝国は内戦の危機にあるのだ。」

「そうか、月の物が遅れているとはいかんな…」深刻に頷いている艦長。
 



 
エバンゲリオンに転送されて来たジブロンはクルー達に説明をしていた。

「つまりだな、あれだけ好き勝手な事をしていたガイナラスでも、帝国には未だに狂信的なシンパが残存しているのだ。」

レイタは呟いた。何故かサンバの衣装である。
「と言うより、帝国での民衆レベルの人気は今も彼の方が上ね。」

ムッとしながらも頷くタヌキ。
「まあ、そうかもしれん。民衆達は、奴がロミュラスカと通じていたという事は知らないからな。奴等の継承勢力の中でも特に厄介なのが、ガイナラスの姉妹達だ。」

「彼に姉妹がいたんですか。」

ジブロンは聞いて来たオタキング風の男を怪訝そうに見上げた。
「お前は見慣れない顔だな。」

男臭い笑みを浮かべ、手を軽く上げるオタキング。
「一度会った人間をお忘れになるとは、次期宰相らしくもない。俺はリョウジ・ライカーですよ。」

何か異常が起きたのか、表情が凍結しているジブロン。
「……………………ああ、君か。悪かったな。少し、変わったな。」

「そんな。以前お会いしたのはたかだか2話前ですよ。」
笑うオタキング(株)。手には第二次中間報告のエヴァチップス。

「そ、そうか…ともかく。奴には姉妹がいる。ノリーサとナディトアだ。

「どこかで見覚えのある人選ですね…」ライカーの声に頷くピカード。

「…奴等は今、ゼレンゴンの民衆に怪しげな教えを広めているらしい。たしか…」

「青梅珍味教。」

「そうだ、「青梅珍味教」とかいう教えだ。民衆ども、くだらん教えに引っ掛かりおって!」
レイタの声に苦々しく頷くジブロン。
 

もう一度注:この小説は新世紀エヴァンゲリオンと新スタートレックをベースにしたファンフィクションであり、登場する人物、マイマイカブリ等は全て架空の物です。繰り返しますが以下略。

「もう2、3度位は出しそうですね。繰り返しの面白さを狙うつもりでしょうか…」嫌な突っ込み方をする副長。
 

ジブロン(以下中居ジブロン)はピカードに向き直った。
「艦長。助けて欲しい。艦長の力が無いと、このままでは奴等に宰相の座を奪われてしまう。」

「帝国と連邦の平和の為には、協力すべきだろう。」ジブロンに加勢するゲォーフ。
 

難しい表情の艦長は、ジブロン(以下木村ジブロン)に言った。

「分かった。私に出来る事があれば、可能な限り私達はあなたをサポートしよう。しかしこれは、基本的にゼレンゴンの内政問題だ。我々惑星連邦としては、必要以上の干渉をする訳には行かない。その事は分かってくれ給え。」

「承知した。」
ミーティングは終了した。


「気を悪くしないで欲しい。これでも、艦長は最善を尽くしている。」
転送室へ戻る廊下で、ゲォーフはジブロン(以下ジブロン)に話していた。

ところで何でこういったシーンの廊下は極端にカーブが続いているのだろう? いくら円盤型の宇宙船だとは言え、どういう構造になっているというのか?

ゲォーフはジブロンの返事にそんないつもの考えを中断した。

「まあ、こんな物だろう。地球人にも色々しがらみがあるのは、分かっている。」
 

ゲォーフはジブロンに聞く。
「…私と居て、不愉快ではないのか。」

「不愉快なものか! お前は帝国の裏切り物、ガイナラスを殺したのだぞ。その意味ではお前は誇るべきゼレンゴン戦士だ。」

「(アレクツァンフェンがやったに等しいがな…まあそんな事は構わん。)」
さっきのピカードの言葉に思う所のあったゲオちゃんは、思い切ってジブロンに言ってみた。

「あー、そこでだが…この際、帝国追放の身分を、その…解除してもらうというのは…」

タヌキは歩みを止め、胡散臭げにゲォーフを見る。

「い、いや、未練という訳ではないのだが、その…身分証明が無いと、色々面倒でな…免許も、ビデオ屋も、「無人君」も…」

「…お前にとっての帝国は、まずビデオか…」引くタヌキ。

「ま、まあそれも含むという事だ。」

ジブロンは難しい表情になった。
「お前の問題では無いのは分かっている。しかしお前の父親の罪を…」

「その事は問題無い。」ゲォーフはジブロンを遮った。
「あれは濡れ衣だ。真相は、ロミュラスカと内通したガイナラスによる物だったのだ。…ユイはあの時それを知って、奴に殺されたのだ。」

「本当か!」

「誓って真実だ。」

ジブロンはゲォーフの目を見る。見つめ会う2人。そして接近する唇と唇…
 

ぽっ ぽっ

「そ、そうか。」

「うん、あたい辛かったよ。」

「(…誰?)しかし駄目だ。回復は今は出来ん。」

(何故か3つ編みリンゴホッペの)ゲォーフは詰め寄った。
「何故だ!」

「分かってくれ、ゲォーフ。私はまだ、帝国での位置を確保しているわけではないのだ。今、派手な動きは出来んよ。」

「そうか。」

気落ちするリンゴホッペを見て、ジブロンはふと思い付いた。
「そうだ。ゲォーフ、少なくともお前にまだゼレンゴン戦士としての誇り、帝国への忠誠心が欠けていないのなら、私の所で働く気はないか?」

リンゴホッペは顔を上げた。
「…戦士としての誇り、帝国への忠誠心は、誰にも劣るつもりは無い。」

「それなら話は早い。」

「しかし…」
ジブロンは遮るゲォーフに眉を上げた。
「ここでやっている仕事を放棄する訳にはいくまい。(それにゼレンゴン艦には、女装クラブは無いだろうしな…)」

ジブロンは大人の余裕で、ゲォーフの肩を叩いた。
「今すぐにとは言わん、数日じっくり考えてみろ。…地球人の軍隊は、所詮お前の居場所ではないぞ。」

ジブロンは転送室に消えて行った。
 

「(…って、少しは突っ込めよ…)」3つ編みのかつらを取りながらゲォーフは溜め息をついた。


スー、カチャ。

ゲォーフは標的にフェイザーを構える。

へなへなー。

光線は力学的に有りえないへろへろな曲がり方で標的を外れる。

カチャ。

またフェイザーを構えるゲォーフ。

くるくるー。

彼の放つ光線はことごとく的から外れてしまっている。
「ふん。」
眼鏡を不機嫌そうに上げるゲォーフ。

カチャ。

次の標的が現われた時、彼の隣からフェイザーの光線が放たれた。光線は標的の中央に正確にマークを付ける。

「うふ、大当たりですね。」
 

驚くゲォーフが隣を向くと、ズズに乗ったマユミ・ガイナンが「うふふ」と笑っていた。

♪太鼓、安全、差額にー誤読ぅー(これ分かる人何人いるかな)

何処からか流れ出す珍妙なテーマソング。
 

「き、君がうたっのか?」
驚きで小さい「つ」の位置を間違えるゲォーフ。

「ええ、中々楽しいホログラムですね。射撃訓練ですか?」

「あ、ああ。(待て、かたつむりは何処に行った?)」
辺りを不安気に見回すゲォーフ。

「射撃は良いですね。心の状態が良く分かります。…ゲォーフさん、不安なんでしょう?」

「(お前がな…)そんな事は無い。」

「いえ、隠されても分かります。ゲォーフさんは今、心に大きな迷いを抱えていますね。」
どーん、と持っている三才ムックで指差すマユミ。

「そうだろうか…」

「ゲォーフさんは、これから初めて「ゼレンゴンとしてどう生きるか」を本当に考えなければならない事になるのだと思います。」

「うむ…」
 

腕を組み考え込むゲォーフに、マユミはしとやかに微笑んだ。
「よろしい。今日は特別に、私がゲォーフさんの為に占いましょう。」

「占い?」

知らない間に再び現われたズズの口から、何やらタロットのようなカードを取り出す。

シャカシャカシャカシャカシャカ…

「はっ!」1枚抜き取った。
「むむむ…」顔をしかめるガイナン。

「ど、どう出ている。」思わず聞くゲォーフ。

「それでは、お伝えします…」マユミはカードの意味をゲォーフに伝えた。


「そんな物は、ゼレンゴン戦士は気にはしない。」言いながら、こめかみがピクピク、肩がふるふる震えているゲォーフ。

「そ、そうですよ。占いなんて、非科学的ですもの、は、ははは、は。」
笑いが乾いているマユミは、ゲォーフに提案した。
「も、もう一度やってみましょうか?」

「あ、ああ…」

数秒後

「良くないですね…」「もう一度!」「は、はい…」

数秒後

「え、そんな…」「もう一度おぉ!」「はい!」(以下7800億回リピート)



 
(殆ど嫌がらせとしか思えない)占いにショックを受けつつ、ゲォーフは、エバンゲリオンとランデブー状態にあるゼレンゴン戦艦の一つに転送されていた。

ゼレンゴン船内部は徹底して戦闘の為の装備のみが配置され、連邦艦隊の船のような無駄な設備(競馬場、競艇場、パチンコ、植物園エトセトラ)は見られない。光は薄暗く、何故か下からの間接照明ばかりである。

ゲォーフに一人のゼレンゴン人がやって来た。この船の艦長のようだ。

「兄さん!」そのゼレンゴン人は貫禄のある、しかし端正な顔を歪めて笑った。
「ゲンシューン!」弟を抱きしめるゲォーフ。そしてヒゲ面の2人は熱いキスを…(どこからか流れ出すワム!の「ラスト・クリスマス」。)

よろめくようなキスの余韻で、吐息も熱いゲォーフが弟に尋ねた。
「(はぁ)しかしお前は、何時からバード・オブ・プレイの艦長になったのだ。」

「(ふぅ)半年前からさ。私は一族の名誉を回復するチャンスを常に伺っていた。」汗臭く微笑むゲンシューン。

「そうか!」ゲンドウはまた弟を抱きしめる。戦士の民族、ゼレンゴン人は友愛の表現も又情熱的なのだ。

ゴリゴリ、ゴリゴリ、ゴリゴリ…

見つめ合いながら、互いの髭をただひたすらにこすり会わせる2人。


数時間後

正装(紋付き袴)のピカード艦長は、ゼロノス星の首都にある評議会場で自らの進言を終えようとしていた。

「―であるからして、帝国の新宰相にはジブロン氏がふさわしいと考える。」
ハイフンで省略した部分は君達一人一人が自分の胸で考えて欲しい。っていうか今週色々あって、先生には枝葉末節まで長々と書く時間が無い。

評議会会場は中央に議長を始め長老達が座り、右手と左手にそれぞれジブロン派、ガイナラス派が座っている。ジブロン派に座るのは本人やピカード(ゲォーフ達はまだゼレンゴンの公式の場所には顔を出せないらしい)であり、ガイナラス派に座っているのはゼレンゴンらしいピチピチのボンデージファッションに身を包んだ例の姉妹である。

ゼレンゴンの長老達はピカードの演説に感銘を受けたらしく、ざわめきながら、頷きあったりしている。
 

ガイナラス派の席に座る2人は、評議会の雰囲気に納得が行かないようだった。
「ノリーサ、地球人がこの場にいるなんてやっぱりおかしいよね。」
褐色の肌の小柄な方の女性がもう一人の比較的大柄の女性に声をかけた。

「そうです! ピカードさんは良い人かもしれませんけど、でも、やっぱり、ここにいてはいけないと思うんです!」バンダナにブルマ姿で両手から汗をほとばしらせて話す、悪役なのに丁寧語のノリーサ。

「それに何か頭光ってるしさ。地球人でも怪しい部類よね。」フフン、と鼻で笑って付け足す妹。

「こら! ナディトア、そういう失礼な事を言っては駄目だと言っているでしょう? 「歩く燈台」とか、「生体ミニマグ・ライト」とか、「ピカチュウ」とか、「人間発電所」とか、「ヤシマ作戦用電源」とか、決して思っても口に出してはいけないものなのよ!」長女らしく妹をいさめるノリーサ。

「はーい。」口をふくらませるナディトア。
 

評議会議長、キョウイチ・クタルは左手の女性達を一瞥した。
「静粛に!」

キョウイチの声に静かになる姉妹と、何やら首に輪っか状に結ばれた縄を巻こうとしているピカチュウ艦長。

「それではこれより、ガイナラス派の話を聞こう。」
 

「「ふふふふ…」」姉妹は胸を揺らし、ニヤリと笑った。
「私達は、時期宰相への最も有力かつ正当な候補者を推薦します。」ノリーサがそう言うと、影から一人のセレンゴン男性が現われた。

その男性はどちらかと言うと気弱そうで、ゼレンゴン戦士としての迫力には欠けているよう見える。しかし人は良さそうだ。

「彼こそキール前宰相の実の息子、ケイタ・トラールよっ!」腕組みをして、自分の事のように誇らしげに言うナディトア。

「よ、よろしく…」
 

「何? 前宰相に息子がいただと! それは本当なのか?」

「本当です、議長。彼は正真正銘、前宰相の血筋をそのまま引き継ぐ子供ですっ。」ぎゅ、と手を握り締め語るノリーサ。

「は、はい…」木訥とした青年、ケイタ・トラールが議長に頷く。どう見ても上京した途端にキャッチセールスに引っ掛かった地方出身者である。

長老達は突然の「正当な後継者」の出現にざわめいているようだった。
 

その時、ゼレンゴン国歌、「錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう」(by WANDS、ああ、何と格好良いタイトルなのだろうか!)が流れ出した。
「(錆びついては仕方がなかろうに。)」首を傾げるピカチュウ。

キョウイチ議長は時計を確認した。
「(む、もう「目撃! ドキュン」の時間か!)それでは、これにて議会を一旦休止する。全員解散。」
議長の声で、評議会場の参加者達は各々の場所へ戻って行った。



 
ゲンシューンは自分の艦隊について報告をしていた。
「4つある部隊の内3つは掌握した。しかし1部隊程、言う事を聞かん部隊が…」

ゲォーフは口を曲げた。
「何をやっている。お前の部隊だろう。」

ゲンシューンは軽く汗をかく。
「い、いや、その…兄さんのサングラスが怪しく、付いて行けないという奴等が…」

「何だと?」ギロ。

「い、いや、問題無い。」

「そうか。」
恐怖に足がすくんで立てなくなっているゲンシューンの前で、ゲォーフは一旦外した眼鏡を掛け直した。

「…先ほどから言っている通り、我々はジブロンを支援する。下らん宗教もどきを利用して民心を惑わす奴等など御免だ。」

「ああ、分かっているよ兄さん。」ゲンシューンとゲォーフは再び抱き合い、髭をしばらく擦り合わせた後、今度は舌を(以下略)


翌日

例によって紋付き袴のピカードはゼロノス星でこまごまとした手続きをしていた。
観光ビザの延長手続き、コレラ予防接種、両替、飼っているシェトランド・シープドッグの訓練、ロボトミー手術、公共料金の支払い、エトセトラ…

脳を露出したシープドッグに注射をしようとしているピカードの前に、例のサービスな衣装のゼレンゴン人姉妹が立ちはだかった。

「ピカードさんっ。少し話があるんです。」

ノリーサの声にピカードは顔を上げた。
「何だね。」

「そんなの、次期宰相の話に決まってるじゃない。」

「それもそうだな。」胸の前ケツが見え隠れする彼女達の服に多少目を奪われながらピカードが同意する。

「ええ、ピカードさん、次期宰相には、ケイタ君がなるべきなんです。」

「何故だね。」

「そんなの当然じゃない、彼はキール前宰相の子供なのよ。」ナディトアは苛立ち気に声を上げる。

「仮にそうだとしても、それだけでケイタ氏を宰相とする訳にはいかん。」

「そうでしょうか? 私達ゼレンゴン人にとっては、家柄はとても重要な要素ですが。」
 

しばらく難しい顔で考え込んでいたピカードは、ふいに笑いだした。
「そうか、そういう事か! 君達には恐れ入るな、全く。」

「何の話よ。」

「いやナディトア君、簡単な事さ。もし私達が君達に賛同すれば、ケイタ氏は宰相になるだろう。異星人の私がわざわざ評議会に呼ばれているのは、それだけ評議委員達も前宰相の私との繋がりを無視できないからだ。民衆の支持もある君達を私が支持すれば、何の問題もなく選出は終わる。」

「ええ。」険しい表情のノリーサが促す。

「一方もし私達がジブロンに賛同すれば、君達はそれを惑星連邦の内政干渉だとしてジブロンに宣戦を布告するはずだ。いずれにしても君達に有利な展開となるのだな。さすがにロミュラスカの支援を受ける陣営は、戦略が巧妙だな。」

何か言いたげなナディトアを制し、ノリーサが微笑んだ。
「ふっ。そこまで分かってらっしゃるんでしたら、もう何も言う事はありませんね。協力していただけますね。」

「…何の話だ?」

「むっ」

バチバチ、バチバチ…

視線を戦わせるピカードとノリーサの横で、飽きたらしいナディトアはピカードの鞄からかつらとプラグスーツを
「のわーっ! 人の持ち物を勝手に覗くなーっ!」

ピカードの鞄から出て来るかつらとかつらとかつらとプラグスーツとセーラー服と鳩の群れ。


評議会は再開された。

ピカードは演説を終える。
「―であるからして、やはりケイタ氏は宰相には役不足だと考える。以上だ。」

「ハイフンであるからしてって、どういう事、姉さん?」

「しーっ、そこは突っ込まないの。…ほら、次は私達の番よ。」

キョウイチ・クタル議長が咳払いをする。

「それではこれよりガイナラス派の話を聞こう。」
 

ナディトアは立ち上がった。
「話も何も無いわ。正当なケイタ・トラール候補を地球人達は妨害しようとしているのよ! 我がトラール陣営は売国奴ジブロンへの宣戦を布告するわ!」

「ええーっ」驚いて立ち上がるケイタ。
「同じゼレンゴンなのに何で戦わなきゃならないんですか!」

「ケイタぁ、分かってぇ。私も辛いの。」ナディトアはケイタの前に立ち、首筋を撫でる。
「でもぉ、帝国を連邦に売り渡す輩を放っておく訳にはいかないでしょう?(サワリサワリ)」

「(ごくっ)そ、そうなんだ。」

「そうよ、今は亡きグル・キールの正しい遺志を貫くためには、ポアしなければならない分子も出て来るわ。お願いケイタ、私を信じて。」
どうやらナディトアの目を見るうちに催眠をかけられたらしいケイタは頷くと、ジブロン(いたんかい)を指差した。

「ジブロン。君の悪い魂は、浄化が必要だ。首を洗って待っていろ。」
 

ジブロンはゆっくりと立ち上がった。
「正義は我々の側にある。どんなにガイナラス派があがこうとも、私の詩には勝てまい。全帝国の興業新記録を打ち立てた事、忘れるな。」

「フン。記録が何よ。本気でアレで世界進出するつもり? ディズニーの株が下がるのがオチよ。」

「何だと!? (ぷるぷる)ぴ、ピカード、かか帰るぞ。」
立ち去るジブロン陣営、ガイナラス陣営。


数時間後、ジブロンはゲンシューンの船を訪れていた。

「私の弟だ。」

「ほう。君は、ゲォーフと兄弟だったのか!」

「ええ!」

ゼレンゴン人の慣習に従い、熱く抱擁し互いの舌を絡めるゲンシューンとジブロン。
 

「私達はあなたを支援したい。出来る限りの事はするつもりだ。」

2人のキスシーンを何故か悔しそうに見ながら話すゲォーフ。

「それは有難い。時にゲォーフ、君が私を支持するという事は、即ち連邦の助けが得られると解釈して良いのだな?」
ジブロンの問いにゲォーフは詰まった。

「(うっ)あ、あたいは…」

「女装でごまかすな。」

「に、兄さん!」

「ちっ」

ジブロンはリンゴホッペの口を押さえた。
「ん? 「ちっ」って言ったのはこの口か? 全くオヤジどもの舌打ち位ムカつくもんってないよな。この世からオヤジどもがいなくなればどれだけせいせいする事か! 汚ないし、態度はデカいし…あいつら全員ポアだ、ポア! ガイナラス姉妹どもの言う事もあながち間違ってはいないのではないか?」

「あんたもオヤジだっちゃ。」あくまで女言葉を貫くゲォーフ。戦士である。

「な、何だとぅ! 私はお兄様であり薔薇の花嫁だ! オヤジなどと呼ばれる筋合は無い!」

バチバチ、バチバチ…

「兄さん…」(*''*)
 
 

その時ゼレンゴン船の非常警報が鳴った。
「どえりゃあ事だがや。どえりゃあ事だがや。」無機的な合成音声が響く。

「状況は!」叫ぶゲンシューン艦長。

「敵機2機現われました、右舷Dブロックに破損!」スクリーンに現われる2機のゼレンゴン船。ビームが何本も発射されている。

「直ちに反撃だ!」
 
 

マギデッキの和室で坐禅を組んでいたフユツキは呟いた。
「始まったっちゃね。」


「私達はあなたを支援し、あなたを宰相とする。構わんな?」
後方の機械システムパネルの前で、ゲォーフはジブロンに聞いた。

「分かった。今から君達は私の部下だ。…ゲォーフ。」
タヌキはゲォーフを呼び付ける。
 

「お前を部下とするにあたって、まず最初にやっておきたい事がある。お前の一族の栄誉を、今ここに回復する。」

驚いている(らしい)ゲォーフの肩に手をかけ、ジブロンはゼレンゴン語の宣誓をする。
「ハシ・ダスガ・コ・ドラ・マ。」

ゲォーフは涙を拭いながらそれに答える。
「バン・チャモデ・バナーッ!」
 

「ゲォーフ、お前は立派なゼレンゴン人だ。今までの経歴を見ればそれは一目瞭然だ。」裏ビデオに剛力君。ゲォーフの偉大な仕事の記録を思い返すジブロン。

「あたい、あたい…」

しかし感傷にひたる間もなく、ガイナラス派2船の激しい砲撃は続く。

「兄さん頼む、右の船を!」

「分かった。」3つ編みは急いでパネル前に戻り、操作を始める。
「カワシマナオミ砲、発射!」

発射されたビームは見事命中、2機の内1機は撃墜された。
 

ジブロンはピカードに通信を入れていた。
「ピカード艦長。私から正式に頼む。どうか、助けて欲しい。」

通信の向こうのピカードは困った顔を見せた。
「残念ながらそれは出来ない。私はあなたに勝って欲しい、しかしこれは全くの内政問題であって、私達が口出しする事は一切出来ないのだ。」

「艦長!」声を上げるゲォーフ。

「申し訳ないが、そういう事だ。」ゲォーフはモニタの向こうの真面目な艦長の顔を見て、やや不思議に思った。何故艦長はこんなおいしい場面で何のボケもかまさないのか?
 
 

ゲォーフは、眼鏡を曇らせた。
「…そういう事なら、仕方あるまい。私は連邦艦隊を脱隊する。」
 
 

「ゲォーフ!」「兄さん!」驚くジブロンとゲンシューン。
「あ、いいよ別に。」

「え、え゛ええーっ」
 

ゲォーフの声に、ピカードは面倒臭そうに顔を上げた。
「(全く、こっちは今「終焉の果てに」を読んでて良いトコなのだ! 邪魔しないでくれ給え!)ゲォーフ。君がゼレンゴン人として、本当にその選択が正しいと考えるのなら、私は何も言う事は無いよ。(とか何とか言っときゃ良かろう。)」

「…艦長…」感動した面持ちのゲォーフ。

「(くーっ、シンジ君、後は君さえ元に戻れば良いんだ、これ以上アスカ君を苦しめるのは止め給え! …しかしこれ程の物を毎日更新とは、どこぞの作家も見習って欲しいものだな。)」
ピカードはモニタを見ながらしきりに頷いた。

「分かった。私はこれよりこの船で勤務する。」

「( …佐門氏は全く素晴らしいな。MEGURU氏の後継者、新たな「ラ・マジン・ドゥ・めぞん」の称号を得るにふさわしい…うむ? ゲォーフが何か言ったか?)…ああ、頑張ってくれ。」
ピカードは生返事で通信を切った。


赤で統一された内装、ハンバーグ臭の立ち込める空気。ここはロミュラスカ戦艦内のブリッジである。

奇怪な、左手で書いたような(あるいは左利きの人が右手で書いたような)形のロミュラスカ文字が並ぶモニタを前に、数人が話し合っていた。
 

「連邦の人達は、ジブロンさんを支援するつもりは無いようですね。」ノリーサが言う。

ナディトアとケイタは何も言わず、彼女の隣のロミュラスカ人を見た。

「連邦の奴等しっぽを巻いて逃げ出すつもりね。まあ、所詮あいつらはその程度のモンよ。」
彼等の視線に答えるかのように、ラングレフは言った。

「さあ、どうかしら。」ラングレフは自分の隣の声に眉を上げた。

「どういう意味よ。」

「連邦をなめると、痛い目に合うわよ、ラングレフ。特にあのピカードとかいう男…何を考えているか分からない男よ、油断は出来ないわ。」

「な、何よ…」
ラングレフが睨み付ける先には、亜麻色のショートヘアのロミュラスカ人女性がいた。彼女の顔は何処となく地球人に似ていた。
 
 

「(進んでないな、リレー小説…)」その頃ピカードはまだエヴァ小説を読んでいた。
 



航星日誌、宇宙暦45020.4。ここ数日間、ジブロン派とガイナラス派の内戦は続いている。ガイナラス派はどうやらロミュラスカの援助があるらしく、勢いでジブロン派を徐々に押しつつあるようだ。ところで昔、当たりが出るともう1本ジュースが出て来るという自動販売機が良くあったが、1回、4回連続で当たりが出た事があってあの時は嬉しかった。すぐに、それが500円玉を入れたからで、釣銭返却レバーを回さないと釣銭が出ないタイプの自販機だったからだという事に気付き5本のジュースを抱えながら絶望したのは言うまでもない。
 

ゲォーフは突然の衝撃に身構える。
「状況を説明しろ!」

「後部リアクターに損傷! シールド出力23%までダウン!」

「フン。」ゲォーフは眼鏡を上げた。

「敵機は?」ゲンシューンがクルーに聞く。

「2機健在、追って来ます!」

ゲォーフは艦長席の弟に近付く。
「ゲンシューン、このままあの星に限界まで近づき、ワープしてかすめろ。」

「え? 兄さん、そんな無茶なコース! それに何の意味が…」

「良いからやれ!」

ゲンシューンは前方のクルーと目を合わせ、頷いた。

「コース257にセット完了。」

「良いか、最も星の表面に近付いた時にワープ9まで出力を上げろ。」

「了解。」

2機のゼレンゴン船から逃げる彼等の船は、その恒星に限界まで近づく。
「今だ!」

彼等の船がワープをすると同時に、星からプラズマが放出し2機のゼレンゴン船は爆発した。
 

「おお!」どよめくクルー達。

「凄いじゃないか! どういう事だ、兄さん!」

「フッ…たいした事はない。たまたま目の前の恒星が、不安定なミサト系グミ物質で構成されていたのを利用しただけだ。」
 
 

「へぇーっくし」

「大丈夫かカウンセラー。長湯は体に毒だぞ?」

「なぁに言ってんのライカー。あんたこそ少しダイエットしなさいよぉ。」

「何だって? 俺はいつも健康的な体形だぞ?」

「何処がよ! ほら、ちょっとこっち来て、少し「運動」しなさい!」

「ああ、こら、トロイ、今は勤務中…」

「ぐへぐふ、ぐふふふふ…」
 

ぞぞぞ…
「ねぇレイタ、後ろの人達どうにかならないの…」

「無理よクラッシャー君。気にしないで任務を続行するのが最も推奨されるわ。」

「気持ちわ゛る゛い゛…」見ているだけで吐き気を催すモヤシっ子のシンジ・クラッシャー。


艦長室でフユツキは通信をしていた。

「…ふぅ。」シリアス至極な顔で自分の打った文面をチェックするピカード。
「…いかんいかんこんな事を通信している場合ではない。」
ピカードは画面を切り替えた。
 

「ノゾミ提督、お話があります。」

画面の向こうのノゾミ・タカハシ・ションティ艦隊提督は突然の亜空間通信に眉を上げた。
「どうしたんだピカード君。」

「ここ数日のゼレンゴンの内乱の事です。現在帝国では2つの宰相候補が互いを攻撃しあい、事実上の内戦状態になっている事は御存知かと思います。もちろんこれは厳密には帝国の内政問題ですが、私達はこれ以上状況を静観する訳にはいかないと思うのです。」

「これは又ピカード君も唐突だな。何だいやぶから棒に。」

「ガイナラス派は、ここ数日ジブロン派の船を攻撃し、ことごとく勝利を収めています。しかし彼等は、明らかにロミュラスカと内通しているのです。もし彼等が帝国の実権を握ったら、どうなるか…」

「かと言って、表立ってガイナラス派を攻撃する訳にもいくまい。」

「ええ、そこで提案があるのですが、ゼレンゴンとロミュラスカの国境付近に艦隊の船を集めては頂けないでしょうか?」

「どういう事だ?」
ノゾミはかけそばを食べる箸を止めた。

「我が艦の技術部が開発した「鳩センサー」を集まった全ての艦隊船に取り付け、常に伝書鳩光線を張り巡らせ、いわば電波のネットを作るのです。」

「なるほど。それでロミュラスカとガイナラス派の接触を防ぐ訳だな。」

「はい、そうすれば遮蔽装置で姿を隠したロミュラスカ船の活動も押さえる事が可能です。」

「分かった、やって見給え。」
通信は切れた。
 

「…おっと忘れた、さっそく送信、と。」マヨマヨはパネルを操作した。


「この付近は艦隊の船は多くないわ。集められたのは20機程ね。」レイタはフユツキに報告する。

「まあ3時間で集められるのはこれ位だろう。君達クルーはこれから主要な船の指揮をして欲しい。副長、君はUSSテイクザットへ行ってくれ。」

「了解。」
結局カウンセラーと一緒にビール風呂に入っているライカーは頷いた。

「マコト君、君はUSSソバンチャだ。」

「はい。」
いつも通り包帯に松葉杖のマコトが頷く。

「ドクター、君も行ってくれ、USSラトーヤだ。」

「(キュイーン、ギコギコギコ…)え、私も行くの?(キュイキュイ、キュイーン…)」
医療室から、あからさまに嫌そうな声(と何か嫌な音)が通信で届く。

「人手が足りんのだ、頼むよ。」
 

ピカードは前に向き直り、目の前に立ちはだかるレイタに気付いた。
「ど、どうしたレイタ。」

「私は。」

「な、何だね?」

「私は派遣されないの。」

「…ああ、その、しかし…(彼女だけは派遣すると面倒だからな…およそ人に合わせない性格だし…)」

「…命令なら、そうするわ。」
レイタはそう言いながら、自分の懐から何やら写真を取り出した。

「これ、何かしら?」

「どわーっ! 命令する! する! 行ってくれ! えーっと、じゃあUSSリックアストリー号!(何で私とシンちゃんの写真を持っている! 連続体だけではなかったのか?)」

「分かったわ。」
レイタは(多分)満足気に頷いた。
 

「ねぇ艦長、私はどこか行かないんですかぁ?」

「「「「「…」」」」」

「うっ」
クルー全員の白い目に恐怖して、ミサトは思わず風呂に潜った。


ゲンシューンとジブロンはゼロノス星の酒場で盛り上がっていた。
「それでその「セント・コスプレ・スクール」は何回行ったのだ。」

「ええと…もう10回は行ってますね。いや、凄いんですよ、最近の子は。性格も良いし、何より本当にアニメ体形ですからね。」

「ほう。」ゲンシューンの言葉に目を細めるジブロン。

「本当に綾波似で、激萌えですよ。特にお勧めは「サ○ちゃん」「ア○イちゃん」に「ア○オちゃん」ですか。皆人気があるので、要予約ですが。」

「それは一回行ってみる必要があるな。」

「ええ。」

業務連絡:○○さん、実際に行った事も無いままネタにしちゃって御免なさい! お子様の私にはやっぱリアル系風俗は無理っすぅ!

「(フン、下らん事を…女装もしない人間が何を語っている…)」ゲォーフは彼等の隣で一人ガーグ酒をあおる。
 

「どうぞ。」マスターがゲォーフの前に養命酒のロックを置いた。

「こんな物は注文していないぞ。」

「あちらの方から、あなたにとの事です。」

カウンターの向こう側でノリーサとナディトアが手を振っていた。
 

「何故あいつらがいるのだ!」顔をしかめるゲォーフ。2人に気付いたゲンシューンは豪快な笑みを見せ2人に近付いた。
「おお! これはガイナラスの剛胆な姉妹ではないか! 調子はどうだ?」

「はい、悪くないと思いますっ。」「あなた大分酔ってるでしょ。」それぞれ答える2人。

「お兄さんは、あまり楽しそうではないですね。」ノリーサはゲォーフに近付いた。

「…寄るな。お前の80年代アイドル風の顔を見ると、虫酢が走る。」ゲォーフの声にムッとするノリーサ。
 

「兄さん。地球人の感覚ではどうなのか知らないが、私達はお互い誇り高きゼレンゴン戦士だ。今は敵味方忘れ、楽しく飲もうじゃないか!」
ゲンシューンとナディトアは持っている杯で乾杯をする。

「そ、そうか…それでは、乾杯。」「かんぱーい。」
ぎこちなくノリーサと乾杯をするゲォーフ。
 

「ぅ王様っゲーーぇム!!」1発で酔っ払ったらしいナディトアがやおらカウンターの上に立ち上がり、叫ぶ。

「敵だというのに、そんな事までするのか!(ちょっち良いかもしれんが!)」驚くゲォーフ。


レイタはUSSリックアストリーの艦長を、冷たい目で見つめた。
「正直納得行きません。何故我々が、アンドロイドのあなたの命令を受けなければならないんですか。」

「私があなたの上官だからよ、ヘル・コウダ・ホブソン副長。」

ホブソンは口をきっと結ぶ。
「私は艦長だ。」

「艦隊命令にのっとり、今からこの船は私が艦長となり指揮します。と35秒程前に言ったわ。」

「どうしてもあなたが指揮するとおっしゃるんですか。」

「そうよ。」

レイタの冷たい口調に怒り心頭のコウダは、ブリッジを立ち去ろうとする。
「それなら私が艦隊を辞めるまでです!」

「ATフィールド全開。」

「ぶぎゅぁあーっ」壁に押し潰され、肉塊と化すコウダ。

「却下します。この船の構造をよく知る助手が必要ですから。」
レイタ艦長はホブソンに冷静に伝えた。恐怖に見て見ぬ振りをするリックアストリーのクルー達。


「ったく、遅いわねえ。運搬班の奴等、何やってるのかしら。」ラングレフはハンバーガーを貪りながら苛立たし気に呟いた。

「…何か問題があるのかもしれないわ。」

ラングレフは隣のショートカットのロミュラスカ女性を胡散臭げに見る。
「どんなよ?」

「…さあね。」
彼女は冷静に答える。
 

「そんな! 何かあるの?」何故か首や頬にキスマークをたくさん付けたナディトアが彼女に聞いた。

「別に気にしなくても大丈夫よ。貨物の積み込みがちょっと遅れてるだけでしょ。」答えたのは彼女ではなくラングレフだった。

「何も無ければ良いですけど…」
ノリーサが呟いて間もなく、通信を知らせる電子音が鳴った。
 

「どうしたの?」

「連邦艦隊が、USSエバンゲリオンを始めとして集結しているとの情報です!」ラングレフに答えるクルー。

「ちっ。」舌打ちをするラングレフ。
 

「まさか!」「地球人にそんな度胸がある訳無いわ!」
ラングレフはゼレンゴン姉妹を軽蔑した目で一瞥した。彼女は隣のロミュラスカ人は目を合わせ、頷く。

「ラングレフ、あなたは至急ロミュラスカ星に帰って編隊を組んで。こっちは私が処理するわ。」

「…しょうがないわね。分かったわセーラ。あんたも頑張んのよ。」

「お互いね。」セーラと呼ばれたロミュラスカ人は不敵に微笑んだ。
 

ラングレフとガイナラス姉妹がブリッジを出て行ってから、セーラはクルーに尋ねた。

「連邦艦隊は何をしようとしているか、分析できる?」

クルーは彼女のにこやかな微笑にどぎまぎしながら答える。
「は、はい…どうやらそれぞれの船が伝書鳩光線を発射し、一種のネットで我々の貨物船の運航を妨害しようとしている模様です。」

「ふん、洒落くさい。狡猾な地球人の考えそうな事だわ。」セーラは眉を潜める。
「これはやっぱり、一度あのミニマグオヤジと話す必要がありそうね…USSエバンゲリオンに接近します。コースをとって。」

「了解しました。」
 

「…ちゃんと片付けなさいよね…」ラングレフの残したハンバーガーをゴミ箱に捨て、トレイを上に載せるセーラ。結構真面目な性格らしい。


「とうとう姿を現わしたか…」袴のミニマグオヤジことピカードは、目の前のメインモニタに映し出された、ロミュラスカ戦艦が遮蔽装置を切ってその姿を見せる様を見ながら呟いた。

「通信が入っています。」

「分かったシンジ君。宇宙チャンネル、オン。」

画面に出て来たのは美しいロミュラスカ女性のセーラだった。

驚くエバンゲリオンのクルー達(実働艦長とシンちゃんの2人だけ)。
 
 

「き、君は…マナ君…」画面の向こうのロミュラスカ女性は、マナ・ヤーと瓜2つだった。
 
 

セーラは冷静にピカードを見ながら言った。
「違います、私はマナ・ヤーではありません。私はセーラ・アサギリ。そしてマナ・ヤーは私の母です。」


Evan Trek TNG Episode 16:Recreation

「…何変なの挟んでるんですか。」こめかみに出来た十字路を押さえるセーラ。

「あ、いや、最近驚くポイントでアイキャッチ風を入れるのが楽しくてな。」へらへらと笑うピカード。

「それって「碇○の家庭の○情」のパクリなんじゃ…」

無意識の作用だと言ってくれ。」呆れたらしいシンジに真顔で答えるフユツキ。

「その言い方もどっかからのパクリでしょ…止めた方が良いですよ、最近日刊は著作権がうるさいらしいですから…」

「話を続けてよろしいかしら?」アサギリが漫才を遮った。
「私達ロミュラスカは、あなた方の帝国領域への侵入にこれ以上我慢出来ません。24時間以内に退去される事を希望します。以上です。」

通信は切れた。


「…でも、そんなのおかしいですよ。マナさんに子供がいたなんて話聞いた事無いし、仮にいたとしても、まだ小さい子供のはずじゃないですか!」

ピカードはクラッシャーに頷く。
「そうだな。セーラは自分がマナ君に似ているのを利用して、我々を撹乱しているつもりなのか…」

「でも、艦長。彼女が嘘をついている感じはしませんでしゅたよぉ。」長風呂(というか年中無休24時間風呂)でお目目がクルクルしているミサトが言う。

「そうか…」

「艦長はお忘れになられたのですか?」
 

「「「うわーーーっっ」」」3人の目の前には、何の前触れもなくエヴァトレの説明ばあさんことマユミ・ガイナンが

「ばあさん?」
あ、あの、すいません、言葉のアヤって奴で、その…お姉様! お嬢様! 姫! 姐御!

「まあ、それ位で良い事にしますね。(姐御は却下。)うふふふ。」マユミは作者の首から手を離した。

「誰と話しているのかね、マユミ君?」

「(ぎく)ああ、いえ、こちらの話です。…ところで、セーラ・アサギリさんの事。皆さんは本当に分からないのですか?」

「マナ君に子供がいたなどという話は、聞いた事が無いよ。」

マユミはズズから降り、軽く溜め息をついた。
「この船、エバンゲリオン四号機の前の船、エバンゲリオン参号機の最後は御存知ですか。」

「確か、ナレンドラ3での戦闘で破壊されたんじゃ…」

「そうだ。」シンジの言葉に頷く艦長。

「その時に生存者がいたのです。マナ・ヤーさんはその中の一人です。」

「そんな馬鹿な事が有るものか! 何を根拠に!」

「そう感じるだけです。」マユミはピカードに厳しい目を向けた。
「そして艦長。彼女を参号機に送ったのは、あなたです。」

どーん。

「どうでも良いが文庫本を投げ付けるのは止め給え…」痛みに鼻を押さえるピカード。


ゲォーフ達はまた酒場で飲んでいた。
「なあ、ゲンシューン。そろそろ船に戻ってだな…」

酔っ払っている弟は幻覚を見たらしく、突然叫び走って行った。
「おぉ! あっちでナディトアがパイオツポロリを!」

「ぬぁにぃいいいい」
思わず身を乗り出すゲォーフに、見知らぬゼレンゴン人達が突然殴りかかった。簡単にボコボコになるゲォーフ。彼は意識を失った。


数時間後

エバンゲリオンに乗船したセーラ・アサギリはピカードと対談していた。

「つまらない話はこれ位で。…あなた方が聞きたかった話を始めましょう。」セーラは話し始めた。
「私の母、マナ・ヤーはエバンゲリオン参号機に乗船していました。皆さんは覚えていないかも知れませんが、参号機は時空の歪みを越えてこの四号機と遭遇しています。遭遇時両機はパラレルワールドに入り、既に死んでいたはずの母は再び四号機に居たのです。母は自分がこの世界にいてはいけない事を悟り、参号機に乗って過去の世界へと旅立ちました。そしてそれを許したのは、ピカード艦長、あなたです。」

ずーん。

「一々指差すな!」セーラの持っているマジックハンドをうっとうしそうにどける艦長。

「その後、マナちゃんはどうしたの?」湯上がりバスタオル姿のカウンセラーがイチゴ牛乳を飲みながら聞く。

「…母を乗せた参号機はロミュラスカ帝国との戦いに破れ、船は大破しました。生き残った母は帝国の捕虜収容所で檻に入れられたり、弁当を作らされたり、「だきっ」を強要されたりしていました。」

「何ですか、最後の?」セーラは質問のあった方を見て、マスコットのような可愛い坊やを発見した。

にこ。

「君には、後で私が個人的に教えてあげるわ。」

「は、はい…」(*''*)

「(私のシンちゃんをたぶらかそうとするとは、小娘…)それで?」

ピカードの声にややムッとするセーラ。
「ええ。ある日母は………まロミュラスカ人看守だった父とどうのこうのあって、今の私が居る訳です。」

ずるっ

「省略してるねー」

「ざっとこんな物ですわ。」
既にシンジの方に意識が集中しているセーラ。しきりにウインクをかましている。

「それで…今、マナちゃんはどうしてるの?」

セーラは穏やかな表情でミサトの方を向いた。
「死にました。私が4才の時、ガラガラ声の出し過ぎと、トーンの貼り過ぎで…」

「それでは、最後までヤヲイ本は書き続けていたのか…」痛ましげに呟く艦長。

「そしてその日から、地球人としての私も死にました。」セーラは続けた。
「今の私は、完全にロミュラスカ人です。」
 

セーラは立ち上がった。
「これ以上言う事はありませんね。それでは失礼します。もう指定の時間まで何時間もありません。先ほどから何度も言いましたが、改めて一刻も早い連邦の撤退を、要求しますわ。」

「…検討する。それから頼むから、マジックハンドをこっちに一々向けないでくれ給え。」
 

「君、シンジ君よね。」艦長を無視してアサギリはクラッシャーに近付く。

「は、はい。」

「きゃっ! 本物に会えるなんてか・ん・げ・きだわぁ! 私ね、小さい頃からあなたを使って来たの!」

「…本物? 使う?」顔をひきつらせながら繰り返すシンちゃん。

「やだー、知ってるでしょぉ? ロミュラスカの女の子であなたを使ってない子の方が珍しい位よ! まあだいたいの家庭は動きもショボい廉価版だけど、ウチはお父様が気張ったから、喋る事も出来るDX版だったわ!」

「そ、そうなの…(母さん、何をやった…)」

「ねえねえ。本物のあなたも、あんなに…激しいの?」顔を赤らめながらも、興味津々といった様子で聞くセーラ。

「(母さんんんん!!!)」
 

ミサトが真面目に答える。
「いやあ、本物は淡泊なものよ。」

「「「何でミサトさん/あなた/カウンセラーが知ってるんですか!/の!/のかね!」」」


「何だ、ここは…」

「あら、お目覚めのようね。」ナディトアはベッドにくくり付けられたゲォーフを見てニヤリと笑った。

「お、お前等…」思わず何か想像をして、赤くなっているゲォーフ。結構純(R)である。

「私達は、あなたの助けが必要なの。」ノリーサが近付いて来た。

「フン、笑わせるな。」

「ゲオちゃん…」ナディトアがデコを撫でるのに、ビクッと反応するゲォーフ。ケイタといいこいつといい、お約束ではある。

「な、何だ。」

「頼れるのは、あなただけなの…ゲオちゃんの為なら、私、口で…」

「ええええおおおおええええええ」期待に叫ぶゲォーフの視界に、ナディトアの顔が覆い被さる。

「(コホン)ナディトア君…」「ゲオちゃん…」

彼女の唇が近付く。30cm、20cm、10cm、5cm…
 

「うわぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
突然ゲォーフは拘束具をもろともせずナディトアを突き飛ばした。

「な、何よ!」

「うわぁああああ、御免よユイ、御免よユイ、御免よユイ、御免よユイ、御免よユイ、御免よユイ、御免よユイ、御免よユイ、御免よユイ」
譫言のように繰り返すゲォーフ。今は亡きユイ姐に何かインプラントで洗脳されていたものが反応したらしい。ゲォーフいと哀れなり。
 

「むぅぅぅこのヒゲオヤジ、私だって任務の為に吐き気を押さえて頑張ってるのにいい!」

「アサギリさん、どうしましょう?」

メインモニターに映ったセーラはノリーサに冷静に伝える。
「仕方無いわね、彼は独房に入れておきなさい。」

再び姉妹の部下に呆気無くやられたゲォーフは、また意識を失った。


ピカードはジブロンとの通信を終えようとしていた。
「分かったピカード。それでは直ちに攻撃を開始しよう。」

「頼む。そうすれば、ロミュラスカ船は我々の網のエリアまで後退してくれるだろう。」

「それからピカード、一つ悪い知らせだ。ゲォーフが行方不明だ。恐らく向こうに捕らえられているものと考えられるな。」

「何だと!」

「まあそういきりたつな。必ず取り戻してみせる、奴は今は、私の、大切な部下だからな。」
不安気なピカードとは対照的に、ジブロンは豪快に笑った。

「…ああ、そうしてくれだっちゃ。」不安から、思わず国の訛が出るピカード。
「(奴に貸したプラグスーツは、まだ返してもらっていないのだ…何としてでも生きて帰ってくれ、ゲォーフ!!」
 
 

ピカードはもう一つの方の画面に向き直った。

「ロミュラスカ船を網まで追い詰めた後は、どうされるおつもりですか。」

「そうだなオタキ…副長。うむ…やはり網の一点に「穴」を作り、そこに敵艦をおびき寄せた後エバンゲリオンで捕える、というのが妥当な線だろう。」

「なるほど。穴と言えば…」

「下らんボケはかまさんでくれ給え。」

ムッとした様子でライカーは答えた。
「…さっそく全艦に連絡をとります。」画面の向こうの副長(正確にはUSSテイクザットの臨時艦長)は、体重があってヒゲ面、とおよそ清潔感には程遠い。

「そうしてくれ。」ピカードはライカーの顔をなるべく見ないようにしながら通信を切った。余り長く見続けると船酔いするらしい。



 
「攻撃を開始しろー! あの姉妹を網まで追い詰めろ、いや、隙さえあらば迷わずポアしてしまえ!」
ジブロンが命令を下した。

ジブロンのバード・オブ・プレイから続々と発射される暴れカンガルー砲。

ガイナラス姉妹の船は衝撃に揺れていた。
「どうします、アサギリさん!」

モニタの向こうのセーラは緊迫した表情で答える。
「ちょっと待って、ここの掃除終ってから考えるわ!」
 
「「あのねーっ!」」
 

どうやら一段落したらしいセーラ。
「ふう。…で、用って何?」

「見れば分かるでしょ!」

ナディトアの声に面倒臭そうにパネルを見る。
「どれどれ…と、あなた達攻撃を受けているじゃない!」

「さっきからそう言ってます!」
 

「ラングレフ!」

セーラの声で、もう一つの通信画面がセーラの船に映し出された。場所はロミュラスカ星か、セーラとは別のロミュラスカ船か。

ラングレフはコンピュータをチェックしているようだ。
「どうやら「網」の1点、どの船からも死角になっている部分があるわ。いわば網の穴。どう思う?」

考え込むセーラ。
「…臭いわね。」

「あたしも同感だわ。臭い。「松本市並に臭い」とか言いたい所だけど、ちょっと怖いから言えないけどね。」

「充分言ってるわ。」
 

「どういう事ですか?」

セーラはノリーサに簡潔に説明する。
「罠かもしれないって事よ。で、どうする?」2つの通信画面を睨むセーラ。

「…良い考えがあるわ。」ラングレフは「ちゃーんす」と言わんばかりに笑みを漏らした。
「網の特定のポイント、つまり船に、重点的に伝書鳩光線を浴びせるのよ。」

「なるほど! そうすれば連邦側の網の機能が一時的に停止する、か…冴えてるわラングレフ!」

「ふふーん。あたしにかかれば、これ位お茶の水よ。」

「女子大行ってどうすんのよ。…そうね、照準は…ここが近いわね、良い? ノリーサ、ナディトア。今から一斉に、USSリックアストリーに伝書鳩光線を放射なさい!」

「良く分からないけど…そうすれば良いのね?」

「そうよ!」

「分かったわ!」

遮蔽装置に隠れたセーラのロミュラスカ船と、ガイナラス姉妹のゼレンゴン船。それらからUSSリックアストリーにたくさんの宇宙伝書鳩(光線)が飛んで行く。24世紀の科学なので、20世紀の感覚の諸君は何が何だか良く分からなくても気にしないように。
 
 

エバンゲリオンのピカードは墨をすっていた手を止め、声を荒げた。
「どうなっている! シンジ君、状況を!」

「分かりませんが、急速に網が壊れています!」

「いかんな…全艦に告ぐ! 一旦結集し、網を再結成する!」
 
 

「…という事です、艦長!」

「妙ね…」レイタはコウダ・ヘル・ホブソン副長の声がまるで耳に入らないかのように、ボソボソ呟いた。
「…やはり彼女はロミュラスカ人ね。簡単に穴にかかりはしない。」

レイタはパネルから目を上げると、ぬぼーっと命令を下した。
「当艦は動かず現状維持。全方位で伝書鳩光線他の異常を再チェック。」

「艦長! エバンゲリオンの命令が聞こえなかったんですか!」一旦肉塊になったにも関わらずまたレイタに抗議できる、コウダは結構気概のある男である。

「聞こえたわ。」不思議そうにレイタが答える。

「じゃあ何故!」

「彼の判断が間違っている可能性が93.42128%だからよ。それに彼、(ピー)だし。」

「えっ、(ピー)なんですか!」

「そうよ。」

「レイタ、何を言っている!」慌ててピカードが通信で割り込んで来る。

「かっこピーかっことじると言ったわ。」

「…へ?」

「(ふっ)引っ掛かったわ。何かやましい事があるのね。」再び忙しそうにセンサーをチェックするレイタ。

「(ムカ)とにかく、私の言う事を聞け! 一旦撤収だ!」
 

「その必要は無いわ。」レイタはパネルを打つ手を止め、満足気にピカードを見た。
「残存した光線から、ロミュラスカ船の位置が特定されたから。」


「妙ね…」他の全ての連邦艦隊の船は一点に集まりだしたのだが、USSリックアストリーのみが動く気配が無い。
「…まずい!」セーラ・アサギリは立ち上がり、前方のクルーに言った。

「撤収よ! 全艦撤収、ワープ9!」
数秒で姿を完全に消すロミュラスカ船。

「地球人め、覚えてなさいよ! ばいばいきーん」
 

ふっ。

「今回も、私の活躍によって連邦はその危機を脱したわ。」思いっきり鼻の穴を脹らませるレイタ艦長。


ケイタ・トラールは途方に暮れた様子で、ゲォーフの独房にやって来ていた。
「ゲォーフさん、僕はどうしたら良いんでしょうか?」

「何だケイタ君、一体どうした。」態度だけは常にふてぶてしいゲォーフ。

ケイタは深い溜め息をついた。
「…最初は軽い気持ちだったんですよ。エヴァ系のページ見てたら、掲示板とかに書き込みがあって、で、興味本位で行ってみたら意外と皆普通の人達だったんですよ。まあ、こんな事言うのもあれですけど、僕ってエヴァにはまって色々ページ見る位な訳で、あんまり人と話すの苦手って言うか、正直、友人も決して多いほうじゃなかったし。」

真面目な、本当に人の良さそうな顔でケイタは苦笑した。

「ほう。」

「…でも、あそこでは皆が僕に優しくしてくれて。何て言うのかな、「自分が他の皆に必要とされている」って言うか…で、そのうち皆が、僕がガイナラスさんの息子だって噂しだして。…僕、両親の事、知らないんですよ。色々事情があって。」

「それは、大変だったな…」

「別にたいした事じゃ。で、気付いたら珍味教の準教祖のような扱いになってて…でも、僕は何の実権も無かったんですけどね! そんな柄じゃないし。」

「まあ、こっちに来て座り給え。」

「…ええ。」ケイタはスイッチを切り、ゲォーフの隣に座った。
「ゲォーフさん、僕はこれからどうしたら良いんでしょうか…ついさっき、連邦の攻撃が避けきれないとかで、ノリーサさんもナディトアさんもこの船から逃げ出してしまいました…」

「そうか…」ゲォーフは、純朴そうな青年を多少気の毒そうに眺めた。
「ケイタ君、私は君に多くの事はアドバイス出来ん。ただ一つ言える事は…」

「はい…」

「お前バカだろ。」

「へ?」

ケイタが振り返ると、ジブロンとゲンシューンがフェイザーを構えていた。


航星日誌、補足。連邦艦隊の船は帰路につき、各船の指揮を終えたエバンゲリオンのクルー達は戻ってきた。これから私達はゼロノス星の官邸で、晴れてゼレンゴン帝国の新宰相となったジブロンと会見を行なう。ところで缶のコーンスープって(以下略)

「艦長。」レイタは歩きながら声をかける。

「何だね、レイタ。」

「私は艦長の命令を無視したわ。艦隊規則によれば謹慎が必要よ。」

「とんでもない。君の判断のお陰で今回は危機から脱せたのだ。…常に上官の言う事を聞く者が優れた戦士だとは限らんよ。」

「…そう。良かったわね。」

クルー達は椅子に座るジブロンの前で立ち止まった。

「宰相就任、おめでとうございます。」

「ありがとう、ピカード。皆。君達の力と勇気が、私の大きな助けになったよ。」
ジブロンはピカードと握手を交わした。
 
 

「ゲォーフ、話がある。」

ゲォーフは顔を上げた。
「何だ。」

「これをお前にやる。」

ゲォーフの前に、簀巻にされたケイタ君が運ばれて来た。

「…」何だかなあ、という(感じの)表情で見下ろすゲォーフ。

「こいつの命をお前にやろう。お前の一族への罪は、こいつが命をもってはらすだろう。」

「むー、むー」

ゲォーフは無関心そうに顔を上げた。
「…フン、下らん。(女でも美少年でもない奴に興味など無い。)勝手に生きろ。」

「…(ウルウル)」感動した目で見つめるケイタ。

「ゲォーフ、正気か!」

「別に構わんのだろう。」

「まあ、お前が良ければ私は言う事は無いが…」口篭もるジブロン。

「問題無い。私はやはり艦隊に残るつもりだからな。こいつの命など興味は無い。」
ゲォーフは思い出したように付け加えた。
「ああ、しかしお前の場合エセ宗教に洗脳されているらしいからな。一旦ドクター・クラッシャーの再洗脳手術を受けろ、それが条件だ。」

「むー!(がーん)」

シンジは呟いた。
「…それって殺されるよりキツいんじゃ…」

あんたが言う事じゃないだろ。(←全員の心の声)
 
 

「しかし、最近の艦長は以前と違って言動がまともですね。」ライカーは気を取り直して艦長に言った。

「ああ、前の私は死んだからな。」

「「「「「「「えええええーっ」」」」」」」


Evan Trek TNG Episode 16:Recreation

「一々挟むな!」艦長に迫るゲォーフ。

「えっ? 上のって私のせいか?」

「艦長、どういう事?」

にこやかに話すフユツキ。
「簡単な事さレイタ。この前頭の水芸を止めようと手術した際、手術が失敗してな。クローンが起動されたのさ、それが私だ。まあ、カウンセラーと同じだな。」

かっはっは。

「(がーん)」目が死んでいるケイタ。

「厳密に言うと前の私は死んだ訳ではなく、ただ宇宙に廃棄処分になっただけなのだがな。全くドクターには恐れ入るよ。」

「(本当に良いのか、こんな船で? やっぱずっと帝国に居たほうが良かったか?)」深刻に悩みだすゲォーフ。
 
 

カメラ目線のレイタ。
「今日はこんなところ。」

「こら! 勝手に閉めるな! まだ私の結論がー!」

つづく


次回に続くよどこまでも
 
ver.-1.00 1997-11/04公開
 
感想・質問・誤字情報・鳩情報・ゴム相場・抗議(どんとこい)等は こちらまで!

次回予告

シンジは部屋にこもり続けていた。自分が力になれない事にショックを受けたアスカもまた閉じこもってしまう。レイも、ミサトも状況は好転していなかった。休み続ける4人は次第に学校の噂になって行く。ミサトを見舞いに来たリツコは彼女の譫言から、彼女が怪我をした原因を知る。話を聞いた加持はシンジの部屋に行く。止めに入るアスカを振り払い、彼はシンジを殴った。次回「真夏の子供達」第17話、「漆黒の先に」。御期待下さい。

本当の次回予告:実に17話目にして新レギュラーです。
 



 
後書きコーナー

「長いよ…」(;;)
「どうしたんですか、作者さん?」
「(やべ)あ、や、ヒカリちゃん。エヴァトレも書いてて結構大変だな、ってテヘヘ、今日なんか朝の4時から書き出して、今、夜の9時だからね。」
「それは大変ですね。…それはともかく。」
「…な、何かな?」(^^;
「何ですか? もう一つの連載。」
「や、やっぱりその話?」
「私、いつから近親相姦願望で女の子からの告白もまんざらでもない人になったのかしら?」(^^##
「は、はははは…」
「うふ、うふふふ…」
「そ、それはやっぱり、前回のエヴァトレでヒカリちゃんが「耽美なのを頼む」って言ってたから…」
「こっちの連載も。私、いつから食中植物マニアのサンバダンサーになったのかしら?…」
「…」(^^;
「うふふふ…」
「(キャラ変わってるよ…)あ、あのあの、とと取り敢えずその中華包丁を降ろしてくれないかな。」
「……分かりました。私は優しい女の子ですから、今回は許しますね。」
「(自称な…)あ、ありがとね…そう、こないだね、面白いメールが来たんですよ。今まで頂いた中でも群を抜いて「難解」な奴で。」
「はい…」
「この前めぞんに入居された砂漠谷麗馬っていう方からなんだけど…一部抜粋で紹介しますね。…スゴいですよ。

とまあ、こんな具合なんですけど。これでも一部です。」
「…(呆然)」
「あ、一つコメント。ずるいですけど、私は砂漠谷さんの意見に賛成でも反対でもないですからね。だって話が高度で、とてもじゃないけど私には理解不能なんだもん。それに私、やおいも高○さんも好きだし。」
「綾波さんが好きだって事を言うために、ヘーゲル哲学からPLOまで出て来るんですね…何て暇な」
「ぬわーっ! そういう失礼な事言わない!」
「あ、御免なさいね、砂漠谷さん!」
「(取り敢えず素直なのは良いトコだね。)でも確かに、一人の読むメールに終わらせるには余りに惜しい迫力があったので、載せちゃいました。あ、さすがに事前に了承は得ましたからね、今回は(笑)。」
「海辺の生活の砂漠谷さんバージョン…面白いですね。もちろんOKですよね? 良く分からないけれど、これだけ難しい事が書ける砂漠谷さんなら、フラン研さんみたいな不潔な話にはならないんじゃないかしら。」
「(ムカ)あ、もちろんオマージュは全然OKです。今まではっきり言って来ませんでしたけど、私の小説は全て著作権フリーです。(大家さんのコメントとか、私以外の人による文の部分はもちろん別ね。)パロディ引用どんとこい。連絡してくれるに越した事はないですが、別に無断でも良いですよん。」
「でもここでネタにされる危険性は高そうですね。」
「(ぎく。)…そ、それはともかく、砂漠谷さんの海辺AFTER、楽しみですね。実はメールの載せなかった部分とかでネタは読んだんですけどね…かなり面白いです。あくまで砂漠谷さんの連載の後書きの一部ですが…これは本当にチェックですよ。」(^^)
「フラン研さんが面白いって言うと、何か嫌な感じがする…」
「何故ーっ! あ、そうだ!」
「(ぞぞぞ)何ですか。」
「やっぱりわざわざオマージュを書いて頂くんだから、私も感謝の意を示さなきゃ駄目ですよね! うんうんっ!!」

かきかきかき…

「でけた!」
 
 

 
やられる前にやってまえ! 
 砂漠谷さん書いてくれてありがとう、っていうかこれ位は覚悟してたでしょ企画!
   

エヴァンゲリオン・リヴァーシブル(あびせ倒し)「パターン・ヒカリアン」  
  
  

ACT−2 「零号機出動」 

「お母さんの仕事、知りたいかい?」 

レイは加持の言葉にふと顔を上げた。赤い瞳は期待と不安が入り交じり、なかなか彼女に口を開かせる事を許さない。 
レイはしばらくして、絞り出すように一言つぶやいた。 

「とりあえず…失敗でしたね、軽トラで来るの…」 

永遠に続くかと思われる階段状のカートレインは、エスカレーターのように自動車を地表から地下900mのジオフロントまで間断無く輸送する。ただ問題は、予算不足の為結構運搬できる車のサイズに限りがある事だった。 

ギギギギーコ、ガチャン。グアチャ、ギギギギ… 

天井に鳴り続ける嫌な音に首をすくめるレイと加持。 

「俺のビートルでも結構ぎりぎりだったからなあ。ま、まあ、人間誰にも失敗はあるさ! カハハ。」 

レイは心の中で一しきり同乗者への悪態をついてから、体をちぢこませて暗いトンネルの車窓を眺めていた。 

「ママの仕事…地球の平和とショタと木綿豆腐を守る、重要な仕事だと聞きました…」 

レイの口調に加持は顔を引き締めた。 

「中でも重要なのは木綿豆腐だ。」 

あんのババァ!! レイは母親の想像通りの暴走っぷりにこぶしをきつく握り締めた。 

加持はおもむろにマルボロを取り出し、百円ライターで火を 
「あれ? ここって火気厳禁ってさっき 

ぼーん。 

「そうそう…硫黄ガスがたまりがちだから…絶対火は使っちゃダメだ…よ…」 

「ひ…ひゃい…」 
  
  
  
  
  

「ん? ええと…どっちだったかな…これだから難しいんだよな、ジオフロントは…」 

アフロ2人衆(レイと加持)は巨大な動く歩道の迷路をさまよっていた。一つ足を踏み外せば怪我ではすまないような高さを、歩道一つが横断している。レイには全てが冗談、絵空事としか思えなかった。そう、自分の体も含めて。 

加持はレイを見ると優しく微笑み、ハープを奏でるような美しい声で励ました。 

「安心してくれ。システムは利用する為に有るものだからな。」 

「何で…何で私と加持さんの体が入れ換わらなきゃならないんどぇすかぁ!!」 

レイ(見た目アフロ加持)は男臭い顔をうるうるさせ、内股で加持(見た目アフロレイ)に迫る。 

「多分、爆発のショックっていうか、お約束で…」 
  
  
  
  

ひゅーーーーーーすた。 

「何やってるの加持一尉。時間もなければ、人手もないのよ。」 

「「うわーーっ」」 

飛び退く2人(のアフロ)の前に、長いストレートヘアの美しい女性が現われた。 

レイ(アフロ加持)は思わずぽーっとした。サラサラなびくキューティクル、りりしいお顔立ち。こんな美しいお姉様なら、私、全てを預けても…きゃっ、いやだ、何言ってるの私! 

目をつぶってイヤイヤしているレイ(アフロ加持)を、上空推定30mから降って来たその女性は怪訝そうに見つめた。 

「どうしたの、リョウちゃん。」 

「ぽえ?」 

加持(アフロレイ)が慌てて割って入る。 

「あーっ、俺が説明する! ある事故による爆発のショックで、俺とこの子、綾波レイちゃんのパーソナルが入れ換わってしまったんだ!」 

「そんな非科学的かつベタな話…」 

「本当だ!」「本当です!」 

「うっ、わ、分かったわ。とにかく彼女が、ファーストチルドレンね?」 

「それって、私の事ですか?」野太い声で聞くアフロ加持。 

「あ、そ、そうよ。(面倒臭いわね。)」 
  
  
  
  

「それじゃ頼んだわよ、ばあさん。」 

「い、いつたばで(訳:言ったわね)、マッド博士。」 

「あーら、それはお互い様じゃないの。うふふふ…」 

「ふふ、ふふふふ…」 

普段通りの夫婦(?)喧嘩をしながら、ユイはリフトで司令塔を降りて行った。 

「3年振りの対面か…14歳…そろそろおいしいお年頃ね。」 

じゅるじゅる… 

思わず顔のゆるむナオコ嬢。 
  
  
  
  

レイ(アフロ加持)はうつろな目で不思議な赤い色の水面を見つめていた。加持(アフロレイ)と長髪の女性(その後の彼等の会話で彼女が「あおばしげみ博士」という人らしい事は分かった)は何か専門的な事を話している。 

レイは自分はここにいてはいけないのではないかと直感的に感じていた。自分は、何故ここにいるのだろう。ママ、どうして3年もたって、急に私を呼び出したの? 私はいらない子供じゃなかったの? 私の体、元に戻るの? …………っていうかおしっこしたいんだけど… 

「うぐぐぐ…」 

「あら、どうしたの綾波?さん。」 

「(疑問符付けるな!)い、いえ、何でもないです。」 

「…そう。」 
  
  
  

3人は巨大なプールに浮かぶ橋のような部分にボートを止めた。ブリッジに立つ3人。周囲は突然漆黒の闇に包まれた。 

「…あれ? 真っ暗ですよ!」 

再び照明が付き、3人の前に巨大な物体が現われた。 
その姿は、まるで人間の顔そのものだった。 

「か、顔? 巨大ロボット?」つぶやくレイ(アフロ加持)。 

「汎用人型決戦兵器、マヤンゲリオン、その零号機よ。建造は極秘裏に行なわれた。」 

「そりゃこんな格好のは、秘密に作るでしょうねー…」見下ろすレイ(アフロ加持)。どう見ても目の前の巨大ロボは、巨大な全裸の猫耳の女性だ。 

「これって、やっぱりママの仕事なんですか…」心底嫌そうにつぶやくレイ(アフロ加持)。 

「そうよ。」レイ(アフロ加持)は声のした方を見上げた。 

「…ママ!」 

「久しぶりね。」ユイは「ひさしぶり」が、ほんの数時間の事をさすかのように穏やかに微笑んだ。 

がーん。 

「「何で司令は平気なんだー!/なのー!」」 

ショックを受ける加持(アフロレイ)とシゲミ。 

ニヤリ。 

「出撃。」 

加持(アフロレイ)は顔をややしかめた。シゲミに問いただす。 

「出撃? 初号機はまだ凍結中だろう? …つまり、零号機か。」 

「他に道は無いわ。」 

淡々と答える青葉シゲミ博士。 

「しかし…彼は、怪我をしているし…パイロットがいないだろう。」 

「さっき届いたわ。」 

「…(どっちが乗るんだ?)」どうも訪れて来たらしいピンチに冷や汗をかく加持(アフロレイ)。 

「(あぁ、えーっとぉ…)綾波レイさん、あなたが乗るのよ。」 

相当迷いつつ、シゲミはレイ(アフロ加持)に告げた。 

「ほえ?」「(よぉっしゃあ!)」 
  

加持(アフロレイ)はレイ(アフロ加持)に声をかける。 

「…乗るんだ。」 

「な、何か凄く省略してる気がするんだけど…」 

「レイちゃん、四の五の言わずに乗ってくれると、ママ嬉しいわ。(はぁと)」 

「ま、ママ…(絶対コロス…)」 

ややチビりつつ、レイ(アフロ加持)は唇を噛み、ユイを反抗的な目で見上げた。 

「いやよ! 見た事も聞いた事も無いのに、出来る訳無いわよ! …大体どこから乗るのよ、これ!」 

巨大マヤを指差すレイ(アフロ加持)。 

「仕方無い子ねぇー…ナオコさん、初号機パイロットを起こして頂戴。」 

画面の向こうのナオコは、ユイを咎めるかのように聞く。 

「使えるの?」 

「死んだ訳ではないわ。」 
  
  
  

ガラガラガラ… 

ブリッジに医療ベッドが運ばれて来る。ベッドの上には、プラグスーツのまま苦しそうに肩で息をする少年が横たわっている。 

こ、こんな子がアレ(←名前も言いたくないらしい)に乗ると言うの… 

その様子をただ呆然と見つめるレイ(アフロ加持)。 

「レイちゃん危ない!」 

「ほえ?」 

ごちーん。 

ぼーっとしていたレイ(アフロ加持)は運ばれて来た医療ベッドに当然のようにぶつかった。かばおうとして駆け寄る加持(アフロレイ)もぶつかる。 

「あれ? ここはだれ、あたしは…ママ、ママ、治ったわ!」 

「(えーっと…)良かったわね。(まだあの実験を彼等に漏らす訳にはいきませんからね。)」 

何故かレイの心が他人と簡単に入れ換わる事に知らん振りをし続けるユイ。少し事情の読めて来た加持(アフロ加持)とシゲミは顔が引きつり出している。 

ふとレイは、目の前のパイロットを見た。 

点滴を受け、体のあらゆる部分に包帯が巻かれている。「痛々しい」などという言葉では到底形容しきれない壮絶な姿に、レイは言葉を失った。 

と同時にレイは、少年がそーっと自分のスカートの中身をビデオで隠し撮りしている事に気付いた。 
 

「零号機のパーソナルデータを、至急ケンスケ君に書き換えて!」遠くでシゲミの声が響く。 

レイは自分にしか聞こえない小さな声で、つぶやき始めた。 

「逃げちゃ駄目、逃げちゃ駄目、逃げちゃ駄目、逃げちゃ駄目、逃げちゃ駄目よ、そこの少年!」 

レイはニヤリとママ譲りの笑いを見せた。 

「やります。彼が乗ります!」 
  

(色々略) 
  

ついに初実戦を迎えるマヤンゲリオン、意識不明のパイロットを乗せたまま、第3使徒マコトゥエルの前にその勇姿を表わした。 

「みぃーさぁーとぉーさぁーん」 

「ふけつですぅー」 

巨大な音が第3新東京市に響く。 
  

レイは祈るようにつぶやいた。 

「ケンスケ君(とかいう人)、死なないでよ。」 

死ぬって絶対。 

その場の全員が無言で(何故かいる)レイに突っ込んだ。 
  
  
  
 

 
「…」
「んー、レイちゃんやっぱり可愛いわ。」
「…」
「まあこの後もちろんケンスケ君は死んで、人類は滅亡するんですけどね。」(^^)b
「ああのね。」
「いやー加持とレイちゃんが入れ換わって、一時はどうなるかと思いましたよ!」
「ふーっ。」(--##
「ん?」
「私の、私の綾波さんを、よくもこんなクルクル娘に…」
「ど、どうしたのヒカリちゃん。」
「本当は暴力は嫌いなんですけど、やっぱりどうしても正義の鉄鎚を下されたいようですね…」
「め?」

グサグサグサグサグサ

「ゴブゴブゴブゴブ! やっぱり出たか、プログレッシブ、中華包丁…(ガク)」1秒後作者死亡。(死因ドリフトのしすぎ。

以下次回


 フラン研さんの『新エヴァントレック 』第16話、公開です。

 

 

 ジブロン・・・

 ノリツッコミをしたときは、
 「コイツ大阪人だ!」   ←関西人ではない。
               奈良や京都、神戸の人間は
               「ボケない・突っ込まない」
               ふっ、大阪人は孤独なのさ・・・

               って、なんやそれっ

                ひとりツッコミをする私は当然大阪人〜(^^;

 と喜んだのですが、
 ゲォーフのボケを無視したときはちょっと悲しかったです・・

 いや、「つっこめよっ!」という
 2つ目のボケを引き出す中級テクニックだたっのかも。

 ”大阪人初段”に認定してあげよう。

 「ごっつ」が消える今、
 大阪の笑いを世に広めてほしいものです。

 

 

 『新エヴァントレック 』を読んでいると、
 TVのスタートレックも見たくなってきます。

 大阪では火曜深夜。
 明日で・・・今日ですね(^^;
   投稿爆発でUPするのが遅れているから・・(^^;;;

 あの話がこうなっているのか〜
 が、とっても楽しいです(^^)/

 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 【めぞんEVA】バナーを作ってくれたフラン研さんに感想メールを送りましょう!

 

 

 「占いの結果:オブジェクトエラー」な神田でした・・



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