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きーの鉄人師匠、御苦労様でした。
これからも、別の名前の活動を、応援しています。

きー鉄よ永遠なれ!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ところで根室教授はもうウテナに出ないんですね…

フラン研




医療日誌、44012.3。現在USSエバンゲリオンは先のペング戦での損傷の修理の為、マッキンレー宇宙基地に停泊中だ。クルー達は全員休暇を取っている。先の戦闘で負傷したクルー達も、マズい感じのクランケ達は即冷凍保存したり、ハヌマンラングール達の餌にしたりしてしまったので、現在生きている人間に関しては、健康上の問題は殆ど無いと言って良い。
ピカード艦長の回復は非常に順調だ。もう包帯も取れ、外傷は完全に消えた。ただ一つ気がかりなのは、ペングに襲われた事による精神的ショックからか、最近いつも息子のシンジにべったりと付いて回っている事である。そのべったり具合ときたらまるで小室にくっつく久保こーじ(ローマ字ではCozy)だ。
このままでは艦長の職務に影響があるばかりか、シンジにも悪影響が出かねない。もしくは、私がシンジで遊ぶ時間が取れない。かかる事態に対処すべく、カウンセラー・トロイと至急連絡を取るべきだと考える。

ドクター・リツコ・クラッシャーはそこまで口述して、(未来の人間はまとまりのある文章をその場で口に出来るのだ。)ふと窓の外を見下ろした。

そこには青い地球と、廃棄処理されたミサトのカレーが漂っていた。
 


―宇宙。そこは最後のボランティア(意味不明)。これは、宇宙戦艦エバンゲリオン号が、新世代のクルーの下に、24世紀において概ね任務を続行し、未知の世界を探索して、新しい生命と文明を求めるふりをしつつ、人類未踏の宇宙に、アバウトに航海したりしなかったりする小話である―

EvanTrek The Next Generation
新エヴァントレック

Famishin'
第十三話「戦士の給食」          



 
「レーイーちゃーん!!」だきっ

今や向かう所敵無し、ラブラブファイヤー@君に首ったけor dieなフユツキ・コウゾウ・ピカード艦長は、今日も今日とてエバンゲリオン内の廊下で満面笑顔でレイちゃんに抱き付いている。

「か、か、か、艦長、だから僕は、シンジ・クラッシャーだって言ってる」「こら! レイちゃんたら照れちゃってぇー! お仕置きだぞっ!」
ぶちゅ。

「む、むー、むー!」
ごぼごぼごぼ。

まるでマイルーラを入れた漫湖公園@那覇市のように泡を吹くシンジ・クラッシャー。(まあ、破廉恥だわっ!)
 
と言う一文の為だけに、日本語の検索が出来ないパソコン環境下で4時間かけて「漫湖公園」の漢字を調べた作者。

最近シリアスキャラ化の著しいカウンセラー・ミサト・トロイはシベリア超特急と化した艦長(今度から館長でもある)の肩を止めた。
「艦長。やはりお疲れのようですね。」

「そ、そうか?」

ごぼごぼごぼ…

「ええ。体の傷は直せても、心の傷は容易には治せませんわ。」

「いやあ、その…」

……(呼吸停止)

「地球軌道上に停泊しているんですもの。折角ですから、休暇中に帰郷されてみては?」

「うむ…」

……(死後硬直)

2人の横で、まるでこのページのサーバの如くぴくりとも動かず置いてけぼりのクラッシャー少年。
(豆知識:原作のクラッシャー少年の声はカヲル君の声優だからややこしい。)


ゲォーフは、トウジ・オブライエンを睨み付けた。
「そ、そないな顔で見んでもええやないですか。ご両親が転送されるんでしょう?」
「…地球人の養父母だ。そもそもゼレンゴンは親子の関係を重視しない。戦士にそのような束縛はむしろ邪魔だ。」

きらきらききららいちごしんぶん…

忌忌し気に話すゲォーフが立ち合う中、転送室に2人の地球人の男女が転送されて来た。

「まあゲォーフ! こんなに大きくなっちゃって。」転送が済むなりゲォーフの頭を胸に抱きがっしゅぐあっしゅ叩く少女。

「あ、あの…」口を開いたままのオブライエン。

「いや、何時もの事だよ。あまり気にしないでくれ。」その、一見可憐そうで実はかなり強靭であるらしい少女の隣には、どうやらロシア人であるらしい男性が立っている。

「エリザベス・ロクブンコさんとレイコ・ハマナミ・ロクブンコさんですよね。」パネルを何度も確認するジャムおじさん。

がしっがすっごすっぐわっしゃ

「ああ。私がエリザベス。それからこいつがレイコ。可愛いゲォーフが地球に居るかと思うと、いてもたってもいられなくなってな。」エリザベス(オヤジ)は、何か赤い液体で拳を濡らしながらもゲォーフの背中を叩き続けるレイコを見て、顔を綻ばせた。


「それじゃ、後の事はお願いね。」

「はい。」
医療室で今日最後の定期検診を終えたドクター・リツコ・クラッシャーは、ナース・アリサ・ハルナに残った仕事を押しつけ、自分はプライベートルームに戻った。

ここ数日間は休みである。リツコは実験道具や実験動物で足の踏み場も無い部屋を何とかする事にした。
「こちらドクター・クラッシャー。シンジ、聞こえる?」

数秒後、何やらひび割れた声が聞こえて来た。
「…な゛に゛、があ゛ざん゛…」

「今すぐ部屋に来て。やって欲しい事があるの。」
ドクターは面倒な家事で自分の手を煩わせる事は一切しない。有無を言わせない口調で言うクラッシャー母。

「…わ゛がっだ。」
どこまでも従順な蒸気人間シンジ君。


ゴツゴツの突起のあるデコを血で染めたゲォーフは、そのまま自分の養父母にエバンゲリオン内を引き回されていた。
 
「まあ! お父さん、ここが展望室よ!」

「おお、そうだな。さっそくメダルでも買うか。」

「…」ゲォーフは、心なしか首が座っていないように見えるが、多分気のせいだ。

「駄目よお父さん、やっぱりこの金箔のエバンゲリオン像…」

「いやいや、このテナントも捨てがたいぞ。」

「あ、あの…」
ゲォーフは、およそ彼とは思えない情けない声を上げた。
「手を離してくれないか。」

「まあ! 何を照れちゃってるのかしら。ゲォーフったら、水臭いわねえ。」
髭に擦り寄るレイコ。

「う、ち、ちょっと」
何とか引き離した。

「仕事を思い出した。おい、マコト。」
何故かその場で浴衣を着て綿菓子を食べていたマコト・ラ=フォージに声をかける。

「彼等に、エバンゲリオンを案内してくれ。」一目散にダッシュするゲォーフ。

「あ、ああ…」
呆気に取られているマコト。
 


フユツキ・コウゾウ・ピカード艦長は生まれ故郷のフランスはバルベール地方に赴いていた。

もう一度言うが、彼の生まれ故郷はフランスである。賢明な読者諸兄は今までの彼の知的かつ情熱的なキャラクターで充分推測はしていた事と思うが。ここはテストに出るので、先生としてはしっかりノートにとっておいて欲しい。後から「聞いてませんでした」等と言われても困る。

一面にポマト畑が広がるバルベールの農道。艦長は例の全身にフィットする艦隊の恥ずかしいユニフォームで農道を歩いていた。

「何も変わっていない…20年前から、ここは時が止まってしまったかのようだ…」呟くフユツキ。
 

艦長はふと立ち止まり、灌木に目を据えた。
「居るのは分かっているんだ。出て来なさい。」

灌木の影から、バツの悪そうにしている男の子が出て来た。
「…ごめんなさい。」

「…」ピカードは冷たい視線で一瞥すると、そのまま道を歩きだした。男の子にねっから目が無い彼だが、船以外の場所で過ちを起こす事は避けなければならない。ここは敢えて冷たい態度で通さなければならないのだ。

しかしその子供は無毛症の老人に付きまとう。
「ね、ねえ、おじさん、フユツキ・コウゾウ・ピカード艦長でしょ?」

艦長の表情が、やや穏やかなものに変わった。
「…そうだ。」

「僕、僕ね、モチツキ・シンイチ・ピカード。おじさんは、えっと、僕の…下僕、だよね?」
笑顔満面で問い掛けるシンイチ君。

「ち、違うと思うが…」

「あれ、違ったっけ? あ、そうだ、僕の婚約者だ。」

「違うと思うぞ。」
縦線が額に入るフユツキ。

「あれえ、何だったっけ…」

「おそらく、私は君の叔父だ。」

「あ、そうか、叔父って言うんだった。」

「(全く、これだから分別の無い子供は困る。やはり恋愛対象になるのは11才からだな。)」
良く分からないポリシーを自己確認して一人頷く艦長。

無毛症とその甥は、一軒の土壁の農家の前に着いた。

そこでは、花壇のウツボカズラに蝿をやる妙齢の女性がいた。

彼女は無毛症のまばゆい輝きに気がつき、顔を上げた。
「…あなたは! フユツキさん!」

フユツキの、えーっと、何て言うんだっけ、義理の姉、になるんだよな、確か、のウソツキ・マリー・ピカードは、眩しそうに目の前で手をかざした。
 
 

フユツキ・無毛症・艦長・館長(略してスマップ)は、20年ぶりに帰って来た実家で歓待を受けていた。

「フユツキさん。本当にお目に掛かるのは今日が初めてですけど、あなたの艦隊での活躍はいつも耳にしておりますわ。」

ポマト・テキーラを振る舞うマリー。
「有難うございます。ところで、兄は…」

「あ、ええ…」マリーは、ややぎこちなく言った。
「ええ、今は、ポマト園にいるはずですが、そろそろ帰って来る頃だと思いますわ。」

開けっ放しの玄関から、土で白いシャツを汚した老夫が入って来た。
「ガダルカナル!」立ち上がる艦長。
 

彼は数秒、驚いたかのように黙っていたが、すぐに口を開いた。
「何だ、お前か。」
彼は首からかけている手拭で汗を拭いながら、自室に歩いて行く。

「マリー!」

「はい。」

「おランチ(le ranchi)を頼むよ。」

「はい(oui)。」
 
 
フユツキは、難しい表情で座り直し、ウツボサラダを食べていた。
 
 
フユツキの兄、キツツキ・ガダルカナル・ピカードは、すぐに食卓に戻って来た。シャツだけ替えたようだ。
「しかし、いきなりお前が帰って来るとはな。」

キツツキの口調にはどこか刺があった。

「エバンゲリオンが修理の為、しばらく地球に停泊しているのだよ。」頂上に旗の立ったオムライス(le okosama)を攻略しているフユツキ。

「おじさん、僕将来、おじさんみたいに宇宙船で世界を飛び回ってみたいな。」
モチツキは目を輝かせる。

「こらシンイチ。おじさまに失礼な事言わないの。…すいません、うちの子、艦隊に憧れているんです。」
謝るウソツキ。

「いえいえ、光栄な事です。」答えるフユツキ。

キツツキはふん、と鼻を鳴らした。
「全く、お前が艦隊に行くからこいつまで宇宙に行きたい等と言うようになった。…お前達は、目の前の自然、伝統の大切さが分かっておらんのだ。ピカード家の人間は代々、フランスの伝統たるおポマト農園(le pomato noen)を継ぐのが慣わしなのだ。」

「やだよ、こんなどっちつかずの植物育てるのなんか。」
モチツキは口をとがらせる。「僕は宇宙に行きたいんだ。」

フユツキはモチツキの頭を撫でた。
「艦隊は決して楽な所ではないぞ。しかし、また素晴らしい仕事でもある。一方、お前(le mae)のお父さん(le tosan)のポマト農園も、又大切な仕事だ。どういった道を選ぶか、これからゆっくり考えなさい。(le matome)」
 

キツツキの右隣のウソツキはフユツキとモチツキを暖かく見つめた。


エリザベス・ロクブンコとレイコ・ハマナミ・ロクブンコは、ゲォーフから逃げられ、実はユミ・シノハラ・ゴメスとデート中だったらしいマコトからも土下座で逃げられ、バー・テン・フォワードで落ち込んでいた。

「「…はあぁー。」」肩を落とす2人。

「私達は、やはりゲォーフに慕われていないのだろうか…」

「あるいは、この前ゼレンゴン帝国から追放の身分になった事で、あの子もやはり落ち込んでいるのかもしれませんわ。」

「そうかもしれんな。…しかし、ああも邪険に扱わなくても、良いではないか。」
エリザベスはヴォトカを一気に飲み干した。
「ケチの付き始めは、マサルさんの終了だ。それと時を合わせるように、きー鉄の突然の引退宣言。」

「両方とも、唐突でしたわね…」
黄昏流星症候群な2人。
 

「天才は、引き際を常に考えているものなのです。」
キョダツムリに乗って登場して来たマスター、マユミ・ガイナン(le unchiku nesan)。

「…そういうものですかねえ。」

「そういうものですよ。」エリザベスに微笑む。

「でも、最期章の「弟子になった人」って、一体誰だったのかしら? 失礼というか、怖いもの知らずな人も居たものね。」
独り言のように言うレイコ。

「そうですね…(それはともかく、「18禁エヴァ小説界の超大物」って気になります…)」
マユミはズズから降りた。

「御二人は、ゲォーフさんの御両親ですよね。」

「ああ…しかし、奴の態度がつれないんだ。…やはり私達が地球人だからだろうか。」

「そんな事はありませんよ。」マユミは優しく答えた。

「ゲォーフさんは、地球の方のように感情を表に出す事に慣れていないだけです。本当は、何時も御両親の事をとても気にかけていますよ。」

「…そうか、ありがとう。」
ロクブンコ夫妻は微笑んだ。


リツコは、自分達の部屋で甲斐甲斐しく働くシンジを眺めながら、物思いに耽っていた(つまり自分は働いていない)。

「(やんちゃな子猫も、よいこっち(今頃リンクを見付けたようね)も、もはや秘密の楽しみではなくなってしまったわ…新しい手術が必要ね…)」
コーヒーを味わうドクター。

シンジは、実験機材の山の中から一枚の埃まみれのディスクを取り出した。
「ねえ、母さん。」

「(母さんって呼ぶなって言ってんだろ、このモルモットが…)何。」

「これ、何なの。」手に持ったディスクを振る。
 

リツコは目を落とした。ポトリと。それは嘘。
「ああ…そんな所にあったの…」

「え?」

「あなたの、お父さんの記録よ。…あなたが生まれて間もない時のね。」

シンジはリツコ(仮面)の顔をまじまじと見た。
「こ、こに僕の父さんの映像が…父さんの顔、今まで見た事無かった…」

「私もそんな記録が、残っているとは思わなかったわ。」
ヴァージニアスリムウルトラスーパーライトメンソールマイルドピアニッシモを指で挟みながら、柄にもなく感傷的な面持ち(仮面)のリッちゃん。
 

「(…って言うか、父さんいないって設定だったんじゃ?)」
冷や汗をかくシンジと作者。

「(そうね…やっぱり、「陽気なこびと」モードかしら…)」


普段は滅多に表情を顔に出さないゲォーフだが、例の凸凹養父母を見た途端に「げえ」という顔つきになった。

「(「錬金術師」最終話では300k以上出ずっぱりだったのだ。少しは休ませて貰っても良かろう。)」2人に見つからないように戻ろうとするゲォーフ。

「ああ、ゲォーフ。やはり、このエバンゲリオンは素晴らしい宇宙船だな。コンピュータに聞けば、お前の部屋がどこにあるかすぐに教えてくれた。」にこやかに立ち塞がるエリザベス。

「そ、そうか…」諦めて、部屋に戻るゲォーフ、ロクブンコ夫妻も後に続く。
 
 

椅子に腰掛ける3人。
「ゲォーフ。今日は、母さん達は邪魔だったかもしれない。でもね。これだけは言えるわ。お前は、私達のかけがえのない息子よ。」

「母さん…」口篭もるヒゲメガネ。

毛深いロシア人(エリザベス)は、ヒゲメガネを抱きしめた。暖房効果抜群だ。
「お前が、ゼレンゴン帝国から追放されても、声優に振られても、実写に失敗しても、私達はいつもお前の味方だ。」

「な、何故それを…」驚くゲォーフ。

ちなみにゲォーフがゼレンゴン内の政敵の策略によって無実の罪を着せられ、帝国を追放処分になった話の詳細は、エヴァトレ第10.5話(日本未公開)で語られているのでそちらを参照されたい。

ゲォーフは泣きそうになりながら、2人の肩に手を延ばした。
「父さん、母さん!」
 

エリザベスは、レイコに声をかけた。
「母さん。少しの間だけ、悪いが外してくれないか。ゲォーフと、男同士の話がしたいんだ。」

「分かりました。」
レイコは既に織り込みずみといった雰囲気でゲォーフの部屋を出た。

「ゲォーフ、今日お前に会いに来たのは、これの為だと言っても良い。」エリザベスは、履いていたタータンチェックのスカートの中から何やらディスクを取り出した。

「裏だよ。しかも今度は本番だ。」

「と、父さん…父さん!」ついに感動の余り泣きじゃくるゲオちゃん。


バルベールの実家で、(フユツキ・コウゾウ・)ピカードは本を読んでいた。電子画面でなく、紙の本で読むアンソロコミックもまた格別な物である。
 

やっぱり開けっぱなしの玄関から、余りに懐かしい顔が飛び込んで来た。
「君は…サキ君!」
数十年ぶりに再開した旧友は、今も変わらない美しい黒髪の美女だった。

「ああ、やっぱりコウゾウ君、来てたのね! 艦隊の方はどう?」

サキ・アラシはピカードの高校(le coco)までの同級生だった。現在は確か建築関係に進んでいるはずだ。

フユツキはやや肩を落とした。
「うん、まあ、今は少し疲れたかもしれないな。」

「そう…」

サキ・アラシは脇に抱えていた円筒から何か図面を取り出した。
「今日は、コウゾウ君に今の私のやっている事を見せたくて来たの。あのUSSエバンゲリオンの艦長としての意見を、忌憚無くお聞かせ願いたいわ。」

テーブルの上には、巨大な建造物の図面が広がっている。

「人類は宇宙に活動の場を広げたわ。でも、足下の地球にも、まだまだ利用されていない場所があるのよ。それが海底。今度私が始めたプロジェクトでは、この海底に新工法でアミューズメントパークを作ろうと思うの。」

「アミューズメントパーク?」繰り返すフユツキ。

「そうよ。」我が意を得た、とばかりに返事をするサキ。
「この建物の中では、世界中から厳選された美少年達が集って、あんな事やそんな事やこんな事をしてしまうのよ!」

「び、美少年…」

「ええ。特に美しい少年に関しては、クローンで通販にする事も検討しているわ。あら、」
サキはフユツキの目が真剣になっている事に気がついた。
「興味、あるみたいね。」

フユツキは何とか自制心を持ち、自分がエバンゲリオン艦長であることを思い起こした。
「まあ、面白いとは思うがね。」

「今、このプロジェクトでは、総合プロデューサーを探しているのよ。私では役不足だから。」
サキは図面を丸めながら、フユツキに微笑みかけた。
「もし、あなたが今の仕事に疑問があるのなら…」

「いや、疑問は無いんだ。」フユツキはサキを遮った。「艦隊は、これ以上無い素晴らしい仕事だ。…ただ、もう私は、後任の者に任せるべきなのかもしれん…」

「そう。…なら、私としては、大いに脈アリね。考えておいて。」サキは帰って行った。
 
 

「(私は、連邦艦隊を辞めたいのだろうか…)」

フユツキは本を読み返していた。しばらくすると、兄のキツツキがポマト仕事から帰って来た。
「何だ、まだ本を読んでいたのか。全く羨ましい。お前は艦長様という素晴らしい御身分だからな。」

「兄さん、何もそんな言い方…」

「来たければこい。」
兄はそれだけ言うと、再びポマト園に歩きだした。
 

フユツキは後をついて行った。
「兄さんの仕事も、とても大切な仕事だ。バルベール地方のピカード家は代々ポマト園を継ぐ。それも大切な事なのは、分かっている。」

キツツキは答えた。
「そうだ。それも大事な仕事だ。しかしお前にはかなわんよ。地球の危機を救うスーパーヒーロー、街の名士、いやフランス、いや全人類の誇りだ。お前に比べれば、私などただの一介の農夫にすぎん。」

ややたわわに実ったポマト達の間を歩く。
 

「私は…ずっと兄さんに憧れてた。どの教科のテストでも、スポーツでも、カバディでも、「下級生」のプレイでも、デザート速食い選手権でも、信者勧誘でも、水子の数でも、皆お兄さんが一番だった。私は…ただ、自分のやりたかった道を選んだだけさ…」

「そうだ。その通りだ。」
キツツキは緑のポマトの実を手に取った。

「お前はお前のやりたかった道を選んだ。お前は選べたんだ! 長男の私には、選ぶ余地などなかった。私が地道にポマトを育てている間、お前は宇宙を遊び回っていたわけだ。」

「違う! 遊び回っていた訳ではない(多分)!」

「そして英雄のお帰りだ。どうした、もう遊び疲れたか。宇宙をおもちゃにするのは、もう飽きたのか。」

「そんな事ではない!」
フユツキはキツツキにつかみかかった。

「お前は自分が破った事を分かっているのか! ポマト園を守るピカード家の伝統を! 艦隊等という乱暴者の組織に行って、よくものうのうと帰って来られたものだな!」
取っ組み合いをするピカード兄弟。

「艦隊を侮辱するな! 私達は平和主義者だ!」

「それではその腰抜けどもの一番の腰抜けが、戻って来たという訳だ。」

「何だと!」
よろっ

農道を滑り、(何故か未来のフランスなのにそこにあった)肥え溜めに落下する2人。

びちゃっびちゃっばちゃっ

殴り合いの喧嘩をする兄弟。しかし互いに年なので、すぐにへたってしまった。
 
 

「私は、私は…怖かったんだ。」
幸い?2、30cmの深さだった肥え溜めで、座り込むフユツキ。

「何がだ。」聞くキツツキ。2人とも息が荒い。

首を振るフユツキ。
「…クルーの一人に、マジで恋する5秒前だったんだ…艦長として、特定のクルーに肩入れをしてはいけない。でもブリッジでそのクルーの顔を見れば見るほど、その人の事しか考えられなくなるんだ! 胸が痛くて、痛くて、痛くて…頭がボーッとして…目が…合わせられなくて…」
フユツキは肥え溜めの中で泣き出した。

「私が、こんな事ではいけないんだ! 恋をしてはいけないんだ。だけど、だけど。だけ、ど…」

すんすんすん。
 

「……言いたい事は、それだけか?」

キツツキの口調は、それまでとはやや異なるものだった。
 

「…兄さん!」

びちゃびちゃぴちょ。

キツツキは、ゆっくりと腰を上げた。

「私の為に、わざと…」

「馬鹿な事を言うな。」キツツキの口調はいつもの冷たい物に戻った。

「お前も、ただの人間だ。悩む時もあれば、怖い時もある。」キツツキはフユツキを見下ろした。
「勘違いするなよ。私は、お前が嫌いだ。だが。お前が自分の選んだ道を良い加減に変えたなら、私はお前を今よりもっと軽蔑するだろう。…ほれ」
キツツキから差し出された手を取り、立ち上がるフユツキ(無毛症で糞まみれ)。

「兄さん。」

「何だ。」

「…ありがとう。(merci.)」

「ふん。(le bullshit.)」

糞まみれピカード兄弟(何かかせきの歌みたいで格好良いぞ。)は家へと歩き出した。
 

 

「(…クソ…相談にのって打ち解けた所で告白に持って行こうと思っていたのに、もう先約が居たとはな…コウちゃん、君は私の気持ちに気付いてくれないのか? 兄ちゃんは切ないよ…)」

基本的に似た者兄弟であった。



 
「記録ホログラム再生、スタート。」シンジ・クラッシャーはやや震える声でコンピュータに告げた。

それじゃ、ここに行ってね!

「…違うでしょ。」

やっぱ違うか。

ディスクが読み込まれ、シンジ・クラッシャーの父親のホログラム映像が再生され始める。
 

シンジは始めてみる父の顔を待ち構える。

ゴクリ。

唾を飲むクラッシャー。

ホログラムが現われた。
「シンジ君、初めまして。私があなたの父親になる、メグミ・ウワヅル・クラッシャーです。てへっ」

…何か、期待されてるみたいだしぃ。(*^^ゞ

映っているのは紫がかった髪を後ろでまとめ、触覚のように前髪の飛び出た(と言うより触覚だ)、スバリル人並に顔に斑点のある少女だった。

「………………これが…父親?」

何故かプレス機で潰されたターミネーターの如く目の光が無くなり、灰色の眼球がぴくりとも動かないシンジ・クラッシャー少年。

「うんと、ああ、何て言ったら良いのかな、まだ実感が涌かないけど…今度リッちゃんがぁ、私とリッちゃんの間の子供を作ってくれたって事で、私は良く分からないし、もちろんあなたを育てるつもりも毛頭無いけど、まあ、ちょっと面白いおもちゃが出来たって感じかなっ!」
どこまでも快活に話すメグミ・クラッシャー。

「もちろん私は女だけど、一応タッチという事で私がお父さん役になるみたい。もちろんあなたの遺伝子は…ここでは余り言えないけど、色々とブレンドされた人工物よ、もちろん。」何故か冷や汗をかき、小声で早口になったメグミのホログラム。

「まあそういう訳で、まだ実験段階らしいし、あなたが、金魚掬いで掬った金魚ほどにも持つかどうかは疑問だけど、取り敢えずよろしくね。」
ニコッ。

ゆらーっ
「…そしてこの後しばらくして、あなたのお父さんは帰らぬ人となってしまったわ…」

「わ、わーっ、か、かあさん、急に説明口調で来ないでよっ!」

シンジ少年は息を吹き返してくれたらしい。

「これが、あなたのお父さんよ。」

「これは父親じゃなくて、あんたの昔のズーレーのセックスフレ」ばきっ

きゅううううぅぅ。
シンジ君またもや機能停止。

「誰が何と言おうと、あなたの父親よ。…何故お父さんが亡くなったか? それはちょっと言えないけど、まあ、いろいろ、有ったのよ。実験がね…」
ホログラム再生室の壁のあらぬ一点を見つめ、地球人には聞き取りが難しい低周波で切々と語るドクター。
 

シンジ・クラッシャーは再び立体映像絡みでトラウマを持つ事が決定した。


「それじゃあゲォーフ、元気でな。」

「髭ガンには、気を付けるのよ。」

「あ、ああ…問題無い。」2人が思いっきり頬擦りをするのにかなり引いているゲォーフ。

「転送の準備、出来ましたで。」

「時間だ。」ゲォーフは、ロクブンコ夫妻を転送デッキに上げた。

「じゃあね。」ハンカチで涙を拭っているレイコ。

「ゲォーフ! ビデオの感想を聞かせてくれよ!」

「あ、ああ…」

きらきらきらきらきたじままいきこくしじょ…

2人は転送されて行った。
  


「あら、もう帰るのですか?」ウソツキ・マリー・ピカードはシャワーを浴びた(でもまだ臭う)フユツキ・コウゾウ・ピカードの言葉に驚いた。

「ええ。思い立ったら、行動は早い方が良かろうと思いまして。」
元々小さな鞄1個分の荷物しかないので身軽だったフユツキは、既にエバンゲリオンに戻る準備をし終わっていた(でも臭う無毛症)。

「えー、おじさんもう行っちゃうの!」モチツキ・シンイチ・ピカードはショックを受けたようだった。

フユツキは彼の頭を撫でた。
「ああ。艦隊は忙しいからな。そう休んではいられないのだよ。」

シンイチは泣きそうな顔になっていたが、ふと何かを思い付き、顔を上げた。
「ねえ、おじさん。」

「何だ。」

「お別れに、シュレディンガー音頭を踊ろうよ!」

シュレディンガー音頭とは、フランス・バルベール地方特有の音頭風前衛舞踊である。

フユツキは笑顔で答えた。
「そうだな。」
 

プサイにファイ、プサイにファイ、プサイにファイ…異常ゼーマン!

仲良く踊る2人。
 

「それじゃあ、本当にこれで。」
フユツキはウソツキに声をかける。

「お気を付けて。」手を振るウソツキ。

「今度、船に乗せてね!」まだフユツキの足にまとわりつくモチツキ。

「ああ、待っているよ。」そしてフユツキは、相変わらずぶすっとしたキツツキに顔を向けた。
 

「兄さん。有難う。」

「…ふん。」

キツツキの顔は、心なしか赤く染まっているように見えた。
 
 

フユツキ・コウゾウ・ピカードは、実家を後にした。


その夜、キツツキ・ガダルカナル・ピカードは妻のウソツキと、いつもの様にディナーをとっていた。
もちろんレプリケーターの合成ではなく、全て天然の採れたてのポマト、ウツボカズラだ。

「シンイチの奴、またディナーもそこそこに外に出ているのか? 全く仕様の無い奴だな。」

「あら。弟と牛糞まみれになって喧嘩をするどこかの大人よりは、遥かにまともですわ。」

「うぐっ(le gyafun)」
 

シンイチはその頃、家から程近い丘で、空を見上げていた。近くの空港から宇宙船が飛んで行くのが小さな光の点となって見える。
今日も満天の星空だった。
 
「行きたいな…宇宙…」夢見る子供の目は、いつもより少し、輝きを増していた。
 
 
 
モチツキは、ふと空のある部分を凝視した。
「何だろ、あれ…」
 
 
 
天の川に、何か見慣れない、茶色いいかにも毒ガスのような物が漂っていた。(そして3日後地球は謎の大気汚染が。)

つづく


次回に続くよどこまでも
 
ver.-1.00 1997-09/08公開
 
感想・質問・誤字情報・フラン研情報逆チクリ・パラレル本格小説の場所を教えてくれる人(やばっ)等は こちらまで!

次回予告

レイは気付くと自分の部屋にずぶ濡れになって戻っていた。心身共に疲れきったレイは、これが現実ではないと信じたまま眠りに就く。ミサトは痛む足を引きずりながら車に戻るが、鍵をレイに預けたままだった。一方2人の地獄も知らず、アスカとシンジは裸で抱き合ったまま体育館で眠っていた。朝の日差し。台風は過ぎ去った。体育館の2人と、車の横に倒れるミサトを残して。次回「真夏の子供達」第14話、「君は余りに弱い生き物で、太陽の光が無いとすぐに壊れてしまう」。御期待下さい。

本当の次回予告:いつものキャラ紹介系のエピソードです(←サイテー)。
 



 
後書きコーナー

「何か、凄いですね、めぞんトップページの私の目立ち方。(^^;; 冗談で「バナー風」gifを作ったけど、まさかあんな風に使われるなんて。派手というか、思いっきり「出る杭」というか…でも目立ってれば取り敢えず良いや。」
「…」
「あの…」(^^;
「何だ。」
「何故、司令が…」
「問題無い。」
「…(怖い、何か物凄く、睨まれている気がする。…でも普段から目つき悪い人だから良く分からない!)そ、それでですね…」
「何だ。」
「今回の話で、メグミは敢えて解説しないとして、「シュレディンガー音頭」ですが、実はこれは某偽スペイン人の方から教えて頂いたんですよ。もちろん小説に使ったのは私が勝手にですけど。」
「関係無いな。」
「あ…と、それでその偽スペイン人の方ですが、今書かれている小説が中々面白いんですよ。何て言うか、何となーく、どこかで見た事あるよなないよな設定のシンジとアスカのダーク話が。(^^; いや、これは本人が言ってた事だから。」
「君の書いている文には作が多数含まれている。設定の偶然の一致に君が口を出す権限は無かろう。」
「あ、ええ、まあ、はいぃ。」
「…君の文には、欠けている物がある。」
「は、はい、何でしょう?」
「愛だ。」
「はあ?」
「君の文に欠けているのは愛だ。原作者への、そしてキャラクターへの。」
「そ、そそそんんな事は無いですよお。ええ、ええ。ゲストキャラの扱いが悪いとか、似せようともしていないとか、そんな事は決してないですぅ!」
「ふん、勝手に自爆していろ。そもそも問題は、私のコウちゃんをとんでもない変人にしてしまっている所だ!」
はっ
「はあ?」
「な、何でもない。」
「あれ? 何かボタンがここにありますねえ。」
 

無能艦長コウゾウ君
数分後

「コウちゃん…」ボーッ
「あの…」
「…」ボーッ、ぽっ
「もしもし?」
「…」イヤイヤ、ボーッ
「…やっぱり司令交代かな…」2分後作者死亡。(死因コンビニおにぎりの海苔がうまく取れなかった。)

以下次回


 フラン研さんの『エヴァントレック』第13話、公開です。
 

 TOPページのバナー・・・目立っていますね(^^;

 [EvanTrekフォント]の投稿の時についていた物を
 「こうして使ったらおもろいかな」と安易な気持ちで使ったんですよ・・
 「次の投稿が来たら外そっ」って感じで(^^;

 そしたら、
 その次に投稿には新デザインバージョンバナーが・・・

 「新連載だし、1回だけ使おう」と、またまた安易な気持ちで使用(^^;;;
 

 で、ここで予想外の事態が。

 ”2回連続で使ったことで、バナー使用が定着化した”んです(^^;;;;;
 

 「私も使って良いですか?」って聞かれた・・・
 

 仕方がないので。
 −−
  横90以下
  縦32以下
  ファイルサイズ5KB以下
 −−
 で認めましょう。

 でも、面倒だし忘れやすいので、なるべく勘弁してね・・・

 ・・・[連載1回目だけ使用可]にしようかな?
 

 とか書いている内に23時50分。
 早くUPしないと、
 あちこちに書き込んでいる日付を書き直さなければならなくなる・・

 では、
 今宵はここまでにしとうございます。

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 感想・情報。どんどんフラン研さんにメールを送りましょう!

 

 

   ここのサーバ重いから・・・
 「今日中にUPは出来ないだろうなぁ(^^;

 

 

 

 展望台では”まずビリケンさんに一祈り”
 


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