シンジ・クラッシャーは、ドクター・リツコの人体改造をまたもや受けてしまっていた。もうこれで8473201回目だ。どうして今まで生き永らえて来たのか自分でも不思議だが、今やリツコが鈴を一鳴らしすれば無意識の内に医療室に来るようになってしまっていた。
ドクターにしてみれば、この研究は宇宙の進歩と、正義と、ま何だかんだの為である。K連続体、ロミュラスカ人、ゼレンゴン、どんな相手でも取り敢えず彼を出しておけば万事OKなのだから、これ以上の有益な研究は他にはないであろう。ついでにクローンや精巧なフィギュアを宇宙商人・フェレンスケ人に横流しすれば懐も潤う。一石二鳥しかも2羽ともトキである。しかも塩沢。
まあそれ以前に、手術フェチの「らぶりぃりっちゃん」(まるしー807)としては、スベスベの若い肌に電子メスを入れられるだけで「ぐぅ」らしい。ちなみに「ぐ」が大きいのはハ○スのカレーだ。
シンジは自室に戻り、8473201回目の涙に暮れていた。シンジの年齢から言ってそれは物理的に不可能な回数ではないかと思ったそこのあなた、あなたはまだ心の壁を開放していない。
シンジはこういう時は以前はマギデッキで過ごす事が多かったが、何故かある時からぱったり止めるようになった。
その替わりに彼が今ハマっているのが「交換日記」であった。レイタ・(数合わせの為)マユミと日記を交換する。趣を重視して最初は紙で書いていたのだが、ある日シンジの部屋に無理矢理遊びに来ていたミサトがトイレに紙が無かったため日記を借用して以来、電子メールになっている。
シンジはこの交換日記を楽しみにしていた。本当はK君としたかったのだが、まあレイタも見た目は可愛いのでセーフである。マユミも苦肉のキャスティングとはいえ文学少女なので良い雰囲気であった。
シンジはマユミの「ミニ4ファイターの今後について」という題の日記に続いて自分の日記を書き、レイタに送信した。
何故今回のオープニングがあっさりしているかというと、作者がキーホルダーに力をそそぎ過ぎて疲れたからである。
―宇宙。そこは最後のボランティア(意味不明)。これは、宇宙戦艦エバンゲリオン号が、新世代のクルーの下に、24世紀において概ね任務を続行し、未知の世界を探索して、新しい生命と文明を求めるふりをしつつ、人類未踏の宇宙に、アバウトに航海したりしなかったりする小話である。はずだったのだが、最近肥大化の傾向にあり、まあでも今回は短かめかな。短くサクサク書けたら良いな。この時点でまだイントロしか書けてないから分からないんだよな。である―
Hollow FanFic
第十一話「盗作のマギデッキ」
彼はバー・テンフォワードでいつものように飲んでいた。当然命知らずの上司、マコト・ラ=フォージが彼を注意しにやって来る。
「おい、何時まで油を売ってるんだ。まだ勤務中だろ。飲んでても良いから、仕事の手を休めないでくれ。」
結構良い職場である。
「うるさいな。私は飲みたいから飲んでいるんだ。君みたいな、ゲテモノ趣味の男の言う事など、更々聞く気になれないね。」
「何だと。もう一回言ってみろ。」
「何度でも言ってやるとも。コピー&ペーストは作者の得意技だ、キーの(ピー)話じゃ凄いらしいぞ。」
それはまだネタバラシしてはいけない話である。
「「うるさいな。私は飲みたいから飲んでいるんだ。君みたいな、ゲテモノ趣味の男の言う事など、更々聞く気になれないね。」「うるさいな。私は飲みたいから飲んでいるんだ。君みたいな、ゲテモノ趣味の男の言う事など、更々聞く気になれないね。」「うるさいな。私は飲みたいから飲んでいるんだ。君みたいな、ゲテモノ趣味の男の言う事など、更々聞く気になれないね。」どうだ参ったか。」
「こ、この野郎!」とうとうキレたマコト、しかし相手の方が一枚上手だった。
「はああっ!」
「そ、それは酔拳の構え!(「酔拳」がちゃんと変換できるこのIMEってちょっと変!)」
「ちょーあ、ちょあ、ちょあ、ちょあ、ぅわぁちょーう。」
「くっ、ブルース・リーがおしゃれさんに人気の中、あえてジャッキーか!」
「亜米利加では今、ジャッキーがトレンデーなのだ。ちょあちょあ、ちょあ!!」
男は酔拳でマコトを圧倒する。
「…馬鹿ばっか。」
本を読みながら呟くマユミ・ガイナン。
「君、上司の言う事は素直に聞いた方が良いんじゃないのか。」
久々にぐちょんぐちょんに踏んづけられたマコトの仇を打とうと、リョウジ・ライカーがやって来た。
「酔拳など所詮、酒の力! エクスタシー・ハイな俺の「ラリホー拳」に勝てるかな?
ちなみにエクスタシーってもお化粧レーベルじゃないよ!!」
鶴のようなポーズを決めるライカー。
彼は「ふっ」と嘲笑った。一瞬の隙をつきライカーを撃沈。
「ちょあ、ちょあ、ほあーっ、っちゃー。」
ポーズを決めた後何も動かずに倒れたライカーに捨て台詞を吐く。
「ふっ。エクスタシーと河村隆一は、信者に任せときゃ良いんだ、信者に!!」
渋い横顔を見せる。
「まあ、エヴァ信奉者がどうこう言えた義理じゃないがな…」
「あ゛う゛ー。」そこに上下の奥地からお口から大量の唾液(類)を流すレディーがいた。
彼はニヒルな表情を浮かべたままレディーことミサト・トロイに近付く。
「どうだい、俺様の酔拳の腕前。」
「あ゛う゛ー。ぬ゛れ゛ぢゃう゛わ゛あ゛。」うっとりぬっとりねっとりとしたミサト全体から洪水のように流れ出す何やら。
「ふっふっふっ…」
「あ゛う゛ーんん…」腰を揺らすミサト嬢。
そこに通信が入った。マコトの声だ。
「バークレイ、仕事だ、第5カーゴベイに来てくれ。」
「は、はい!」
マコト・ラ=フォージの部下、シロウ・トキタ・バークレイ大尉は、あわててマギデッキのプログラムを後にした。
「彼はそんなに問題なのかい。」第5カーゴベイでは、副長がマコトに彼の部下の愚痴を聞かされていた。
ラリホーな副長は、もちろん今日も失禁中だ。クルーもそれは別に気にしない。
「ええ。問題は山積みですよ。まずいつも遅刻する。それからいつもオドオドしているし、人付き合いがまるで苦手なんですよ。」
「うーん。エヴァ好きな人間なんて、多かれ少なかれそういう部分はあるんじゃないのか?」
「彼のそれは尋常じゃないんです! いやそもそもこの話の登場人物が皆エヴァマニアだなんて設定はありません。」
「それはそうだが…ああ、もう時間だ。そろそろハンバーグ星人が私を襲って来るはずだ。じゃあ、またな。」
「ええ。」
丁度バークレイ大尉がやって来た。慌てた様子だ。マコトは呆れた様子で壁の時計を指した。
「また遅刻。」
「す、すみません。ラ=フォージ大尉。」
深々と頭を下げるシロウを見て頭を掻くマコト。明らかに年上の男が部下なのも居心地の悪い物である。レイタが上司でシロウが部下、ちょっとした「アダチル状態」(アダチミツル状態の略)だ。
「気を付けてくれよ。…それで、仕事だけど、この蟻動力ユニットの修理をしてほしいんだ。簡単だろ?」
貨物室に、コンテナ輸送に使われるごく一般的なユニットが置かれている。
「分かりました。すぐに取り掛かります。」
「それじゃ、僕はミサトさんのお共に…」パリンッ
恐る恐る振り向いたマコトの目に、明らかにシロウが落として割れた蟻動力ユニットと、蟻にたかられているシロウの姿があった。
「お子様じゃないもん。お子様じゃないもん。お子様じゃないもん。」
「そうか。でもこっちは…」ちらり
「…(ぼんっ)」
「うーんそうか、恥ずかしいかあ、そうか、そうか。」
制服のスカートをめくると効果音と共に顔が真っ赤になるのだ。
フユツキ・コウゾウ・ピカード艦長はこのぬいぐるみのハイテクっぷりに感心していた。
「あのう、艦長。」
「んがぁあああああ、なあああ」
「もう50回位呼んだんですが…」
「そ、そうか…何だね、マコト君。」
「ええ。自分の部下の事で、少し…」
艦長室にやって来たマコトは、問題の部下について話す。
「それは君、OTAKUへの偏見と言うものだよ。」
レイちゃん人形(アニ○ージュ等で1380円で発売中)を「きらきらひかる」なヘッドに登ぼらせた艦長が真剣な顔で答える。
「ええまあ、クルーの素質の事を言ったらこの小説が成り立たないのは確かですが、このエピソード位しか彼を出せる話も無いみたいなんで…話を合わせて頂けませんか。」
「そう言われてもな。それは作者の怠慢という物だろう。大体ここの作者は、最近キーホルダーにのみリアクションが来るのでエヴァトレを冷遇していないか。」
「はあ…(僕に言われてもなあ)…しかしキーホルダーの人気は純真な穏健派LASによる物が大半で、彼等はここの邪悪な作者が作る話が根本的にLASではない事にまだ気付いていません。つまり、大半のキーホルダーの読者は事実上騙されています。…数週間後には作者は、賛辞ではなく、抗議のメールの山を受け取っている事でしょう。いずれにしても向こうの小説は後数週間で終わりますから。仮に少し人気があったとしても、所詮一過性の物に過ぎませんよ。」
何だかんだ言って非常に内情に詳しいラ=フォージ。
「そうか。…ところで何の話をしていたんだ、私達は。」
「ええっと、何でしたっけ? …そう、バークレイ大尉です。」
「ああ、そうだった。しかしな…」
艦長はスクリーンの表示を確認する。
「シロウ・トキタ・バークレイ大尉の経歴は立派な物だぞ。彼が他のクルーと打ち解けないのが問題だと言うなら、少し打ち解けるように君達も努力したまえ。彼は、才能はある人材だ。」
「はい…でも蟻頭…いや、バークレイは、」
「アリアタマ?」
「ああ、シンジ君がシロウに付けたニックネームですよ。ぴったりでしょう、彼に。」
「それも止めたまえ。今後彼はきちんと名前で呼ぶようにしなさい。」
「はい…」
それはともかく、ミサトさんのぬいぐるみも欲しいと思うマコトであった。
翌日。
朝の定例ミーティングは、いつもの技術メンバー、即ちマコト・シンジ・田中(21歳、独身で長男)に加え、バークレイも呼ばれていた。
「でも、やっぱり遅刻か。」困り顔で腕組みをするラ=フォージ。包帯が取れたかわりに、今度は点滴をしている。普通に仕事をしていて良いのだろうか。
「す、すいません。」
シロウがミーティング・ルームに駆け込んで来る。
「どうしてそう毎回遅れるんだい。」
「ウィッツ氏と打ち合わせを…」
マコトの質問に適当に答えるシロウ。
「(極端なマイナーキャラだな…)」涙するマコト。
「まあいいさ。さっそくミーティングを始める。新型の白蟻ユニットの検査法だが…バークレイ、何か提案はあるかな。」
「え…ええ。」シロウはごくりとのどを鳴らした。
「ユニットボックスを透明にして、中を観察するようにするのはどうでしょう。」
「なるほど。」
わざとらしく驚くラ=フォージ。彼は艦長の言葉を聞いて、バークレイに自信を持たせようと頑張っているのだ。
しかしシンジ・クラッシャーが冷静に遮った。
「非現実的です。充分な強度を持つ透明なボックスは高くつきますし、シャイな蟻さん達が動かなくなって機能が低下する恐れがあります。スキャンで調査するのが良いでしょう。」
「…そうか。後、シャトルの蟻動力ユニットの運搬法について、…バークレイ、君はこの任務をよくやっているよな。何か提案はあるか。」
「あ…はい、ミサトクッションを使って運ぶと、ショックを吸収して安全なのではないかと…」
「なる」「無理だよバークレイ、少なくともクッションになるミサトさんは一人しかいないのだから、大型の貨物船に大量に運ぶ時はその方法は使えないよ。今のように普通に運んでも、技術者の自己管理さえしっかりしていれば別に問題は無いはずです。別段危険な物ではないはずですから。」
感心してあげようとしたマコトをまたもやシンジが遮った。
「(機嫌が悪いのか、シンジ君…今日はアノ日か?)」意味不明の事を思うマコト。
シロウ・バークレイは折角昨晩練ってきた提案を思いっくそ潰されしゅんとなってしまった。
「…分かった。それでは解散だ。」マコトも諦めて、ミーティングを終了させた。
「うう、うう、うわあーん。」シロウは泣きながら、マギデッキへ駆けて行った。
マギデッキのプログラムは、地球のヨーロッパの何処かを模したらしい「楽園」となっていた。
シロウはそこで半裸のミサトと寝そべっていた。
「バークレイ、あなた、また現実で嫌な事があったんでしょ。」つつい、とシロウの頬に指を滑らせるミサト。
「ああ。…現実は辛い事だらけだ。皆僕の才能を分かろうとしないんだ。」
シロウはとつとつと話す。
「そう…いいわ、今だけは、皆、忘れさせてあげる。これが大人のキスよ…」
シロウとミサトは唇を合わせ、激しく吸っている。
「そしてこれが大人のけんけ…」「それはいい、それは遠慮する、それは、本当に。」
「そお?」
「どうしたものかね。」
「何故、それを気に病む必要があるの? 分からないわ。」
レイタの答えに溜め息で返すマコト。
マコト、シンジ、レイタ、田中(21歳、独身で長男)はバー・テンフォワードでバークレイについて話していた。
賢明な読者諸兄は既にお気づきの事と思うが、この内田中(21歳、独身で長男)は純粋な人数合わせ要因なので台詞は一切無い。だからこそこんなアバウトな人選なのだ。
「レイタには分かりにくいかもしれないけど、やっぱり他の人と打ち解けて上手くやって行くっていうのも人間の間では重要な事なんだよ。」
マコトはレイタに説明した。
「その人に才能があるのなら、打ち解けなくても良いのではないの?」
「それでうまくやっていけるならそれでも良いかもしれない。でもバークレイの場合、自分を過小評価して、自信を失っているんだ。その結果本来得られる成果を得られずにいる。」
マコト君、結構イイ奴だ。いわゆるクサナギ君だ。
「んー、でも、彼、やっぱり問題ですよ。遅刻を繰り返すのは常識に欠けるし、今朝のミーティングでも、蟻頭はやっぱり蟻頭だったじゃないですか。」
シンジ・クラッシャーはクソガキ君だ。
「まあまあ…マユミさんは、どう思います?」
しかしマユミ・ガイナンは見当たらず、黒人と思われる女性が彼等に近付いて来た。
「まあ、人の性格は、なるようにしかなりませんよ。」
眼鏡の女性はニコっと微笑む。
「あの…あんた、誰?」
「マユミです。ウテナの姫宮のコスプレしてみたんですが。」
「は、はあ…(恐いよ。姫宮の見た目って、実写だと恐すぎだよ!!)」
顔がひきつるマコト。
「それからこれはズズ。よろしく。」
頭に乗っている動物を指すマユミ。
「あの…それ、巨大カタツムリにしか見えないんですけど…」
「それはそうですわ! だってカタツムリですもの。」
そのカタツムリは(どうやってだか)「ズー、ズー」と鳴いている。
「(いいのか、この小説、ウテナは違うネタで使うんじゃなかったのか?)」
マコト君は色々と心配性だ。
「マコト!」シンジがマコトに声をかけた。
「何だ、シンジ君。」
振り返ったマコトに、シンジは無言で田中(21歳、独身で長男)の持っているグラスを指さした。
そのグラスは見事に底が抜けていた。
機関室でマコトはコンピュータに向かっていた。
「一体どういう事だ? フードプロセッサーが欠けたグラスを合成するはずはないし、事実田中(21歳、独身で長男)も当初は普通のグラスでちゃんと底があったと言っている…ん?」
彼はコンピュータの分析結果を見て目を細める。
「つまり、底の部分の分子が突然分解した…ただ事じゃないな。」
やって来たシロウが気弱に声をかける。
「…ラ=フォージ大尉。」
「ああ、バークレイ。君を呼んだのは他でもない、例のグラスの件なんだが…こうは考えられないだろうか。底の分子が突然分解した…と。」
シロウはやや驚いたようにマコトを見た。
「ええ。私もそう思いました。ですからコンピュータにそう仮定して、検査させてみました。…やはりそのようですね。」
今度はマコトが驚いた。
「そうか。他に何か分かったか?」
「ええ、蟻動力ユニットが割れた時から、この手の異常がいくつか見られます。何か関係があるのかもしれません。」
「そうか!」
マコトは自分の部下の的確な動きにちょっち感動していた。
「それではさっそく貨物室に調査に行こう。」
「はい。」
2人は廊下を歩いていて、ばったり艦長と出会った。
「ああ、艦長。」
艦長はにこやかに笑った。
「どうだね。グラスの件は、何か分かったかね。」
マコトはシロウを指して言う。
「彼のお手柄で、一歩前進ですよ。どうやら蟻動力ユニットと何らかの関連があるようです。」
一方シロウは艦長を前にこれ以上無いほどガチガチにあがっている。
艦長もシロウを元気づけようと、一言声をかける。
「そうか、よくやったな。これからも頑張ってくれたまえ。蟻頭く…あ」
3人、数秒石化。
「って、仕方無いじゃんさ! 言いたくなるぞ、蟻頭って! なんかもう、雰囲気がいかにもauntじゃないかっ!!」
逆ギレする艦長。
「艦長! 口調間違ってます! それから綴りも全然違います!」
マコトがツッ込んでいる間に、いたたまれなくなったシロウはやっぱり泣きながら走って行った。
「そんなに泣くな。」
「いいんです。どうせ私は、ドジでマヌケな亀なんです!」
「(蟻だろ、蟻)」何とか口を押さえるマコト。汗を書きながら(←額にサインペンで)アドバイスする。
「そうだ、一回ミサトさんの所に行って、カウンセリングを受けたらどうだい?
君は能力はあるんだ。一度彼女の所に行ったほうが良い。」
「え、いや、そんな、結構です。」ぶるんぶるん首と手を振るシロウ。
「まあまあそう言わずに。」
バッジに話し掛けるマコト。
「ああ、ミサト<ク>さんですか? ラ=フォージです。今から一人面会しても良いでしょうか?
ええ、私の部下なんですが、相談したい事がありまして。ええ、有難うございます。よろしく。」
自分の点滴のポールと嫌がるシロウを無理矢理引きずって歩いて行く。
シロウはミサト<ク>のカウンセリングルームに連れて来られてしまった。
「こんにちは。あなたがマコト君の言ってた人ね。さあ座って。」
にこやかに営業スマイル。ミサト女史の格好はアニメ向けというか、例によって谷間を(携帯のCMの常盤なみに)強調していて、およそ仕事着ではない。
エビチュ片手に彼女も向いの席に座る。
「えーっと、名前は何て言うのかしら。」
シロウは生身の女性を前にした作者なみに極度に緊張している。
「あ、あああああああの、シロウ・トキタ・バークレイででです。」
「(この口調…て事は、実は絵を描かせるとうまかったりするのかしら。)」危険な連想をするミサト。
「そう。シロウさんね。…で、ここに来たって事は、何か悩みでもあるのかしら。」
「あ、ああああああの、何でもないんです。」
ぴょこぴょこと手を振るシロウ。
「心配しないで良いのよ。気になる事があったら何でも言ってくれると嬉しいな。(くーっ! やっぱこのコクよねえ。)」
「いえ、本当に、ししししし失礼します。」
「それにこの喉越し! ちょっち濃い目の味わいといい…あれ? シロウ君?」
ところで本物ミサトは一体どうなったのでしょーうか。もちろん私は知りません。
リョウジとマコトは機関室で分子の突然分解について話し合っていた。
「そうか。蟻動力ユニットと何らかの関連がある、か。」
「ええ。状況証拠に過ぎませんが、少なくとも蟻動力ユニットが運び込まれた以前はそういう形跡はありませんから。」
「グラスの底が抜ける位ならまだしも、エンジンやコンピュータに影響が出てはまずい。至急原因を突き止めないとな。…シロウ君は何処だ?」
「あ…多分ミサトさんのカウンセリングルームだと思いますけど。」マコトは胸のバッジを叩いて呼びかける。「バークレイ、至急機関室まで来てくれ。」
反応無し。
「ん? バークレイ?」マコトは通信機に何度も呼びかけるが、返答が無い。
ついにリョウジがキレた。「何をやっているんだ、彼は! コンピュータ、シロウ・トキタ・バークレイ大尉の現在位置は。」
「第3マギデッキです。」
「ホログラムで何をしている!」
丁度その時ミサトから通信が入って来た。
「おーい、マコトくーん。」
「(酔ってるな…クローンまで人格壊したら、作者はどうするつもりなんだ?)」2人目のクローンを登場させるまでである。
「ミサトさん?」
「あのさあ、君のよこした人…シロウ君だったっけ? 行っちゃったわよ、カウンセリングも何も受けずに。」
「カウンセラー、第3マギデッキまで来てくれ。そこにシロウ君がいるはずだ。我々も合流する。」
「ああ、ライカー? あの、こないだの「頭の良くなる薬」の件だけどさあ、やっぱあんま効かないらしいわよ? 合法的な物だったら、ロミュラスカ産のリキュールとかは、良いんだけどね。」
「でもそれはふっかけるだろ、トロイは。」
「ふっかけてなんか無いわよ。入手大変なのよお。そんなに飛びたいなら、リツコに合成してもらいなさいよ。そっちの方が早いわよん。まあ、安全性は落ちるけどねえ。私の薬で飛んでほしかったんだけど、残念ねえ。」
声があきんどになっているミサト。
「だからそれだと命の保証が!」
「あのお、取り込み中すいませんが、マギデッキ…」
「…ああ、そうだった。カウンセラー、この話はまた後で。」
興奮するとユニフォーム下部にどんどん黄色い染みが出来る副長。
ライカー、ラ=フォージ、トロイはシロウがいると思われるマギデッキのプログラムの中に入って行った。
「何だ、ここは?」
周囲を見回すライカー。
「恐らく地球のプログラムでしょう。それ以上は何とも…」
「ヨーロッパ風に手入れされた庭園の様ねえ…」
草むらの向こうで、何やら音が聞こえる。3人は草をかき分けて広場のような場所に出た。
3人は口をあんぐり開けた。
「君達は、一体何者かな?」
真っ赤なサラサラの長髪のピカード艦長が白い服に身を包んで昂然と言い放った。
「君達も決闘をしに来たのか?」
緑のウェーブヘアーをなびかせているライカー副長が鼻で笑う。
「…彼女と闘うなら、止めた方が良い。」
バロックの時代の作曲家か欧米の弁護士のかつらのような、まともにセットしたら半日は優に潰れるであろう、縦ロールの橙色の髪のレイタが冷静に諭す。
「って言うか! 何なのよこいつら! 何で樹璃が私じゃないのよ!!」
理不尽な怒り方をするトロイ。
ライカー(本物)がホログラム達に聞く。
「我々はバークレイ大尉を探している。彼は今何処にいるんだ。」
「バークレイ? 外国人か? 聞いた事の無い名前だな…」ウェーブヘアーを揺らしながら考え込む西園寺リョウジ。
服は純白だが、何しろ顔はリョウジそのものなので気味の悪いコスプレだ。
「新たなデュエリストか?」腕組みをして、自慢のストレートヘアをかきあげる冬芽コウゾウ。
彼の姿はパンチョ氏や神田川氏の大きな励みになるはずだ。しかしもちろん気持ち悪い。
「天上君なら、向こうの小川の方にいるはずだ。」
有栖川レイタはホログラムになっても棒読みだ。
「天上?」顔を見合わせる3人。
ライカー、トロイ、ラ=フォージは芝生の広場を抜けて、河原に向かっていた。
「しかしこれは一体何だ! 船が緊急を要する事態だというのに、彼はこんな所で油を打っているのか? 非常識にも程がある! コンピュータ、即刻このプログラムを消去してくれ!」やや誤変換だが、リョウジっぽいのでOK。
ところでOKショップは何を売っているのだろう。
ミサトは慌ててコンピュータに呼びかけた。
「コンピュータ、今の命令は解除します。」
「カウンセラー!」
ミサトはカウンセラーとしてリョウジをなだめる。
「まあ、確かにプログラムに現実の上司を出現させるのはちょっち珍しいけど、これはこれで良いじゃない。人間は弱いものだから、誰でも自分の逃げ込める場所を作りたくなるものなのよ。…それにこういう例は、カウンセリングの研究材料としても興味深いわ。」
「…しかし…」
「まあ、そう熱くならない事よ。恐らく彼は、ヤク中の上司や、いつも怪我だらけの上司の下でいろいろとストレスが溜まっていたんでしょう。架空の世界でストレスが解消されるなら、それに越した事はないわ。」
その脇でマコトは妄想好きな自分の部下に涙していた。
「(シロウ君…こんな世界に逃避しているだなんて…何で僕も誘ってくれなかったんだ!!)」
マコトが脇役で、さほどキャラとして使いでがないからである。
3人は小川に到着したが、そこでは金髪のシンジが本を読んでいた。キンキキッズがドラマで着ていたような恥ずかしい制服だ。
「あ、あの、七実さん見ませんでしたか?」彼が本から目を上げて3人に聞く。
「いや、知らないけど…」苦笑いしながらマコトが答える。この調子だと、七実は間違いなくロミュラスカだろう。
「そうですか…」
「ところで、バークレ…天上君って、どこにいるか知らないか?」ライカーがしゅんとした表情の石蕗シンジに尋ねる。
「ああ、ウテナさんなら、あそこに。」彼が目を指した丘には。
その丘には。
その丘には。
ちなみにこの時点でマコトは既に気を失っていた。
ライカーとトロイが顔を青くさせながら何とか丘を登ぼって行く。2人の顔のシリアスさは、まるでじぇねきゅーの14話のごとしだ。
丘には、2人の少女?がいた。一人はピンク色の髪で、黒い制服らしき物を着ている。もう一人は、たまねぎのようなキテレツ大百科な髪型で、こちらは普通?の白い制服を着ている。
2人はランチョンマットの上でタコさんウィンナーを仲良く食べている。
「ウテナ、おいしい?」
「うん、おいしいよ。若葉また料理の腕上げたねー。」
「愛しいウテナ様の為ですもの。キャハッ!」
ライカーは咳払いをした。
「あ。」石化する天上ウテナ(のコスプレのシロウ)。
「な、な、な、な、何なのよこではーーーーぁっっっ!!」ミサト・トロイは真っ赤になって、今までシロウといちゃいちゃしていたたまねぎ頭のミサトのホログラムを指さす。
「こんぴゅーた! ぷろぐらむそっこくしょうきょっ!!」
「いや、コンピュータ、削除しなくて良い。」ライカーはしてやったりという顔でトロイに言う。
「このプログラムが興味深いと言っていたのはカウンセラーだったな?」
「ぐぐぐぐ…」
ミサト・トロイは怒りの矛先をシロウに向けた。
「そもそも問題はあんたよ、あんた! 早くJA、じゃなくて蟻動力ユニットの問題を何とかしなさいよ!」
「ウテナに命令しないで!」ミサト顔の篠原若葉(つまり妖怪)が「ウテナ」の前で立ちふさがる。
「あんたホログラムでしょ! さっさとどきなさいよ! 私達はこの女装オヤジに用があるのよ!」
「(自分だってクローンだろ…)」面倒臭くなったか、ショートホープを吸ってたたずんでいる副長。
石化から覚めたシロウが青ざめながら答えた。
「わ、分かりました。それではさっそく、機関室へ。」
「「(そのコスプレのまま行くんかい。)」」副長とカウンセラーは目を細めた。
例によって特に説明も無く回復したマコトは機関室でシロウに状況を説明していた。もちろんシロウはピンクのかつらを被ったままだ。
「10分程前から、エンジンの出力に異常が見られるようになった。」
「バッタ動力エンジンがですか。」
「そうだ。バッタとイナゴの割合のコントロールがうまく行かなくなっている。」
「弱りましたね…」
「君の、現実世界での才能が必要なんだ。」
「…はい。」
ブリッジでは、シンジ・クラッシャーが顔をしかめていた。
「艦長。」
「何だ。」
「先ほどからスピードのコントロールがきちんと呼応していないように感じます。」
艦長は機関室のマコトに呼びかける。
「ラ=フォージ。エンジンに異常はあるか?」
しばらく間を置いて、マコトの乾いた声が響いて来た。
「ええ…少し問題が…」
「どういった問題だ?」副長が尋ねる。
「ええ…どんどん加速して、ブレーキが効かなくなってるんですけど。」
「なるほど。」納得する艦長。「だそうだ、シンジ君。」
「そうですか。………………え、ええええ?」
よく見ると、ビューワーに映る星々がどんどん線状になっている。
「エバンゲリオン、ワープ6、突破。」簡潔に報告するレイタ。
そろそろ状況を理解しだした艦長。
「つまり、スピードが上がるだけ上がるという事かね?」
「ええ、コントロールが全く効きません。このままだと後10分でこの船は限界速度を越え、エンジンが爆発します!」悲鳴に近い声を上げるラ=フォージ。
「何だと!」やっぱりまだちゃんと分かってなかった。「何て言うか、とにかく何とかしてくれ!」
「はい!」
「速度、ワープ7を突破。」
「シロウ、今更そのコップで何をやっているんだ?」
「は…はい、何か手掛かりがないかと、改めて精密にスキャン仕直そうと…」
おどおどと答えるシロウ。
マコトはシロウのカンを信じる事にした。
「…分かった。頼むぞ。」
「はい。」
「速度、ワープ8を突破。」レイタの声がスピーカーを通して響く。
「あっ」シロウ・トキタ・バークレイがスキャン画面を見て声を上げた。
「これかもしれません、ラ=フォージ大尉。グラスの縁に、よく見るとシロアリンビディウムが付着しています。」
「シロアリンビディウム?」
「はい。」シロウはモニタに科学事典の項目を表示させる。
「安価な反重力調整剤として200年ほど前まで使われていましたが、人体への危険性が学会で発表され以降連邦では使われなくなりました。」
「だから今のコンピュータでスキャンしても反応が無かったわけだ。」
「速度、ワープ9を突破。」エンジンは急速に赤くなって行く。
マコトは疑問を発する。
「でも、何でそんなものが付着したんだ?」
「やはり蟻動力ユニットでしょう。」喋りながらも忙しく調査を続行するシロウ。
「しかし使用は禁止されて…」
「ワープ9.5を突破。」
「いや、あのユニットは、確かフェレンスケ製です。地球人には有害かも知れませんが、彼等の体には問題がないので、使用していたのでは…」
「そういう事か!」
「シロアリンビディウムが現在のエンジンの暴走を招いている事は確実です。」
ピンクの髪をなびかせて答えるバークレイ。
「ワープ9.7。」
「そうだな。しかし抗シロアリンビディウムのような珍しい物質はそれこそこの船には…」
既に限界速度に近いエバンゲリオンは地震のように船内が揺れだしている。
バークレイは彼にしては珍しく、笑った。
「それを今スキャンで調べていました。貨物室に存在します!」
「そうか! コンピュータ、抗シロアリンビディウムをバッタ動力エンジンに転送・注入してくれ、速く!」
レイタの声が響く。
「限界速度、突破まで後10秒。9、8、7、6、5、4、3、2、1」
エバンゲリオンがガタンと揺れた。
「エンジンのコントロールを掌握。速度、ワープ6まで減速。」レイタが報告する。
USSエバンゲリオンはその危機を脱した。
「しかし、昔は惑星連邦でもシロアリンビディウムは使われていたんだろう? 当時のエンジンに異常は起きなかったのか?」リョウジ・ライカーはブリッジでマコトに聞いていた。
「当時は、今とはエンジンのシステムが違いましたから。フェレンスケ船も、やはり惑星連邦の船とはシステムが違いますし。」
「…なるほどな。ところで抗シロアリンビディウムって、よくあったな。どういう物質なんだ。」
「ええ、偶然倉庫のストックにあったのを転送して、助かりましたけど…無かったらアウトでしたよ。それもやはり、フェレンスケから輸入されて来た貨物でしたね。化学薬品だったらしいですが。」
「あ。」
「何でも、ロミュラスカ人向けのドリンク剤だか、らしいですけど…でも変ですよね、この船、ロミュラスカ人の乗員なんかいないのに。ヴァルカスカ人が同じ物を飲むのかな。」
「それって…こっちの言葉で言う「リキュール」?」
「ああ、そうらしいですね。どうされました? 僕の点滴のポールなんか持って。危ないですよ?」
「ぬ、ぬぬ、おがあがぐがああぁぁぁ!」マコトの腕に刺されている針をぷち抜き、ポールでマコトをメッタ打ちにする副長。
「俺のラリホーライフを返せえぇーーっ! いくらミサトから踏んだくられたか分かってんのか? オラ!」
いろんな所からポキュポキュ楽しい音が鳴っているマコト。
「平和ね。」レイタは後ろの惨劇を横目で見ながら、自分の前のモニタに目を映した。
宇宙暦43808.9 クラッシャー君。昨日のグレート・チキン・パワーズの件だけど… 彼等はサトウのライスに気に入られているようだから,まだしばらくは顔を見る事が出来るのではないかしら。 でも,確かにクラッシャー君が心配する気持ちも分かる。 元テレ出身で今もよく見る顔なんて,「それ行け!
宇宙戦艦ヤマモト・タロウ」位な物ね。
日本テレビの深夜では残党が「モンキー・パーティー」を毎週開催しているようだけど…とても寒い…全身が凍る感じ…
ガイナンさんは,ミニ4ファイターさんの今後を心配していたようだけど,彼は会社員だから将来性は大丈夫。 問題は,むしろ現在の状況だと思うわ。 彼のどこまでも爽やかな笑顔…型抜きを子供達に教える彼の目が,時に虚ろに見えるのは私の気のせいかしら。 …仕方がないわ。上司の命令だから。彼もいつか,高橋名人のように昔を笑い飛ばせる日が来るでしょう。
そうそう,ガイナンさん。エスカルゴの踊り食いは、バーのメニューには入れない方が良いと思うわ。 あなたの味覚には個性的な所があると思う。
ところでガイナンさん。 ストーキングという人間の行動に見られる現象は,主に地球人に関してその性向が 顕著に見られるのであって,人工生命体にそれを当てはめるのは生物学的に見て 誤認があると思う。 エル・サターン人のガイナンさんとは思えないミスね。 この分野の参考文献としては,パープルアイ・ヒナガタ博士の本をお薦めするわ。
その,わたしはストーキングなんかではなく,クラッシャー君がクラッシャー君だから………。 だってこのままでは,クラッシャー君,連載終了を待たずして死ぬわ………。
今日はこんなところ。 レイタ
|
その頃シロウは何の反省もせずに、再びマギデッキで絶対運命もくしくしもしもくくもしもしくしくもであった。
つづく
次回予告
依然雨は降り続く。アスカとシンジは互いの崩壊した家庭の思い出を全部吐き出していた。寒さに震え、密着する2人。密着はいつしか抱擁へ、そして愛撫へと変わっていた。台風下の体育館、この瞬間まで幼馴染だった2人は、今、初めて一つになった。その頃ミサトは他でもない中学校にシンジとアスカが残った可能性に気付く。彼女はレイと合流し、学校へ急行していた。次回「真夏の子供達」第12話、「意志による未来」。御期待下さい。
本当の次回予告:惑星連邦最大の危機。多分長い話。
以下次回
フラン研さんの『エヴァントレック』第十一話、公開です。
私が初めてレンタビデオを自分で借りたのは・・・18になってからだったかな?
最初に借りたのはいたく真面目な物。
・・・・
だって
最初の時ってカウンターで色々手続きしないといけないでしょ?
その時に18歳の大人物を手元に置いているなんて恥ずかしかったから(^^;
会員権を手にした後は、それは、まあ、ね(爆)
初登場時田さんの活躍で救われたエバンゲリオン・・・
今回、
ストーリーの元ネタも、コスプレの元ネタも
知らない物だったの・・・・ (;;)
さあ、訪問者の皆さん。
数週間後にLASを殺すフラン研さんにとにかくメールを!
・・・・ひょっとしたら、万が一、気が変わってくれるかも・・・
酔拳 ATOKでは変換できませんでした・・・ (;;)
田中さんはこの間22歳になったそうです。
・・・彼のページも大盛況ですよね(^^;