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それは、むかーし昔のお話です。

ある所に、お母様が左遷され、深い悲しみにくれる、幼い少年がいましたぁ。

そんな少年の前に、白い肌の、旅の王子様が現われます。リリンの姿、妖しい微笑み。

王子様は、少年を、薔薇の香りで包みこむと、そっと涙をぬぐってくれたのでした。
「たった1人で、深い悲しみに耐える小さな君。その強さ、気高さを、どうか大人になっても失わないで。今日の思い出にこれを。」

「僕達、また会えるよね。」

「その指輪が、君を僕の所へ導くよ(ニヤリ)。」

王子様がくれた指輪は、やはり、エンゲージリングだったのでしょうか?
 
 

それはいいとして。少年は、王子様に憧れるあまり、自分はお姫様になる事を決意してしまったのです。

でもいいぬぉ? ホントにそれでぇ。

この段落は今回の内容と全く関係有りません。ま、見りや分かるけど。
 



 
シンジ・クラッシャーは最近色々有ってお疲れ気味だった。
「やっぱり僕ってここだと脇役なんだよなあ。K君は僕を置いて行っちゃったし、レイタはブリッジを破壊するし、かあさんの代打のドクター・ナオコ・ポラスキはテロ事件かと思うような異臭がするし、20才を過ぎて登校拒否の作者はまた新連載を始めるとかほざいてるし…」

うなだれる少年。
「よし、こういう時はホログラムで気分転換でもするか!」
シンジは自分の普段抑さえられている欲望を思いっきり吐き出す事にした。
 
 
 
一人コンピュータの前でぶつぶつ呟く少年。
「そうだなあ…僕がUSSエバンゲリオンの艦長になるんだ。いや、そんなVとBの区別の付かない頭の悪い名前じゃなくって…USS-NERV、これだ! 時代は今から…75年前。エバンゲリオン初号機の時代にしよう。」

シンちゃんのアキバ系逃避妄想は更に加速。
「それで僕が初号機の艦長に就任するんだ。当然周りは美女クルーばかり。そうだなあ…レイタは、スポック氏辺りが似合うかな。ミサトさんも入れよう。…でももうちょっと、まともな人格で。冬月艦長は、怖いからいいや。かあさんも、一応入れておくかな。でもこれだけだと足りないな…」

女性キャラ作りに暗い情熱を燃やし始めるクラッシャー。
「僕にいつもちょっかいを出す、意地っぱりだけど本当は僕にメロメロの女の子…ああ、良いかもしれない(グフ)。それでレイタと2人で僕を取り合うんだな。当然髪はロングで…栗色の髪の毛なんか…はぁぁぅ

既に充分充足しているように見える。
「でも子供だけじゃなくて、大人の女性で僕にぞっこんな人もいたりするんだ。そうだなあ、黒髪のショートカット、清楚な感じで…結構童顔で、ふとした拍子に子供の顔を見せたりするんだよなあ。」

ニヤニヤ笑いの止まらないシンちゃん。
「ついでに頼れる兄貴分なんかも必要かな。リョウジさんは年が離れ過ぎてるし、マコト(呼び捨て)はいまいち頼りないし…格好良い兄貴、ロン毛でギタリストだったりするんだ。」

妄想終了。シンジ・クラッシャーはプログラム設定を終え、マギデッキのホログラムの中に入った。

入る(ここに戻る時はバックボタンを使ってね!)
 


...Space, the final voluntier (sic). These are the voyages and detours of Starship Evangelion, on her cotinuing misson to explore strange new worlds and to seek out new civilizations. To bolderly go where no one has ever bothered to go, hopefully...

EvanTrek The Next Generation
新エヴァントレック

The Grocery
第八話「愛の支社」
 
今回の副音声英語版OPナレーションはカナダ在住(←かっちょ良かー)のすかちゃんさんに提供して頂きました。謝謝。熱烈歓迎。volunteerではなくfrontierとかける意味でvoluntier…教養レベル高いギャグなのでございますぅー。


マコト・ラ=フォージはどっと疲れた調子でマギデッキから出て来たシンジ・クラッシャーに声をかけた。
「どうしたんだシンジ君。何だか元気が無いじゃないか。」

「あ、うん…ちょっと、ホログラムがうまく行かなくって。」

「何か異常か?」

「いや、そういう訳じゃないんだけど、自分の思ったふうにプログラミングするのって、結構難しいよね。(マコトはマンガ読んでばっかりだし、アスカって子も大分乱暴に出来ちゃったからなあ。…それより問題はリョウジさんだ! この船の中で唯一まともなクルーのはずなのに、どこをどう間違えるとヤク中の設定になるんだ…)」

シンジ・クラッシャーは一番不愉快な事を思い出した。
「(何よりどうして、ゲォーフが僕の父さんになるんだ! 何時から僕はゼレンゴンになったっていうんだよ…)」

ぶつぶつぶつぶつぶつ。

消音つぶやきシローと化したシンジにマコトは一瞬引いたが、それでも軽く声をかける。
「落ち込んでるみたいだな。シンジ君、こういう時は仲間とポーカーでもするのが一番さ。どうだい?」

「うん…」

そうだ。逃げちゃ駄目だ。確かに女っ気は少ないけど、今僕がいる現実だって、そんなに悪い物じゃないじゃないか。こうして楽しい仲間達に囲まれて。
 
 

 
マコトとシンジはゲーム室に向かった。

そこは既に占領されていた。
 
 
ポーカーをするはずのテーブルは安物のコタツの如く裏返され、麻雀卓となっていた。面子はミサト、ナオコ、レイタ、ゲォーフ。

「な、何て濃ゆい面々…」絶句するシンジ。

ドクターはまだ化粧の地割れは起きていないようだ。今日も何時「快傑!熟女におまかせ」に出演してもおかしくない美貌(の低空飛行)を保っている。

彼女は口をとがらせる。
「カウンセラー・ミサトがここにいるのはやはりおかしいわ。テレパシーでこっちの考えている事を読み取れるんでしょう?」

「ぐふ、ぐふふふ、きうー。」日本語を喋らなくなって久しい本物ミサト。

「ええ、でも構わないわ。彼女も私の考えは読み取れないから。」
静かな声で言うレイタ。

鼻をならすドクター・ナオコ・ポラスキ。
「あんたはロボットだからね。あったかい人間様の感情なんか持ち合わせていないのよね。」

「そうよ。だからあなたの持つ老いへの恐怖、若さへの嫉妬にも無縁だわ、ばあさん。」

「な、何ですって!」東局と西局で睨み合う2人。

シンジはゲォーフに聞く。
「ゲォーフは、麻雀なんて出来るの。」

ゲォーフは威厳を持って答える。
「出来る訳が無い。」

「はあ?」

「ゼレンゴンは漢字など読まない。」

「じゃ何でここにいるの?」

「レイタ大佐に強制された。」

「御苦労様です…」

「ろーーーん!」ミサトが勢い良く碑を倒す。

「嘘。」
「冗談でしょ!」
レイタとナオコがくってかかる。

シンジ(家政婦)は見ていた。ミサトがマコトにレイタとナオコの碑を偵察させていたのを。あまつさえ2人が立って睨み合っている隙に思いっきりパクらせていたのを。
「(まあ、レイタとナオコさんのどっちかが勝ったらそれはそれで大変だから良いか…)」

「今、カウンセラーが無断で碑を交換していたが、それは構わないのか?」
レイタに聞くゲォーフ。

「どういうこと。」
「ミサト! あんたって人は!」

「んんんーん(違うのよぉ)、ん(こいつがやったの)。」マコトを指差すミサト。

どかーんばきぼかぐしゃざくっぎみぐばばばば。

こうして使徒マコトゥエルは殲滅された。

その時ブリッジからの声が響く。リョウジ・ライカーだ。
「緊急指令が艦隊司令部から入った。皆至急ブリッジに来てくれ。」
 



 
「先程司令部からマーク364へ向かえと指令があった。」
フユツキ・コウゾウ・ピカード艦長が説明する。

「目的は?」

レイタに答える艦長。
「それが分からんのだ。一方的にその指令だけがあったのだよ。とにかく座標へ急行してくれ。」

パネルを操作するシンジ・クラッシャー。
「分かりました。マーク364、コース277、ワープ6。」

「艦長、通信が入っています。」

「分かった副長。宇宙チャンネル・オン。」
 
 
前面のスクリーンには惑星連邦宇宙艦隊ローミック提督の姿が映し出された。

「提督。」

「しばらくぶりだな、ピカード艦長。」

「お元気そうな姿が見れて何よりです。」

「ありがとう。しかし今は時間が無い。手短に用件のみ伝えよう。これから座標364-341-9696へ向かってくれ。そこがランデブー座標だ。」

「ランデブー? どの船と? どういった任務なのでしょうか?」ライカーが聞く。

「すまんが今それに答える時間が無い。急いでくれ。では失礼。」
宇宙チャンネルは切られた。
 
 
「どういう事でしょうか。」

「よほど緊迫した事態なのだろうか。シンジ君、座標へ向かってくれ。」

「分かりました。」

ランデブー座標に到着したエバンゲリオン。

ゲォーフがスクリーンに異常を認めた。「こちらに光子魚雷ポッドが向かっている。」

「何だと!」眉をひそめるライカー。

「ワープ9でこちらに飛行中ね…」

「とんでもないスピードだな。光子魚雷の、入れ物がか…やはりそれがランデブー目標なのか? …艦長。…艦長?」

そろそろ飽きてシンちゃんにウィンクや投げキッスを送っていた艦長。
「あ、何だね?」

何事も無かったかのようにライカー、「この物体がランデブー目標だ。レイタ、至急回収してくれ。」
 



 
ドクター、レイタ、ゲォーフ、ライカーは転送室に来た。どこから持って来たのか、転送室には大量の菓子パンの山と黒い影が。

「オブライエン! 勤務中だぞ!」

黒い影(イェティ)ががさごそと山から下山して来た。

「ふ、ふんがせん、今何かふる事あぐんですか?」
ごぼう焼きそばパンを食べながら喋るのでよく聞き取れない。ミサトと芸風が被っている転送室主任トウジ・オブライエン。
 
 
レイタは計器を勝手に操作した。

きらきらきらきらりん(まんがの森に来てみろりん)。

転送されたのは人の大きさ程度のライフポッドであった。

一体何があるのだろうか。ゲォーフはフェイザーを向ける。

レイタはポッドを開けた、すると冷却用の煙と共に人影が。

「(アスカちゃんより先に)第8話で登場なんて、かなりヤバいって感じかしら!?」
中から仁王立ちの女性が現われた。どこかレイタに似てなくもないが、ゼレンゴン人だ。
 
 

「お、お前は…」目を見開くゲォーフ。

「あら、お久しぶり、ゲオちゃん。」

「ちょっと、いいかしら。」ゲォーフを押し退け彼女の体をスキャンするドクター。「ゼレンゴンとはいえ、無茶な事するわね。…大丈夫。どこも異常は無いわね。」

そのゼレンゴン女性はやや気分を害したようだ。
「(当たり前でしょう、ばあさん。)」
 

こんな貨物用ポッドに人が乗り込むとは。驚きで声の出ないライカー。「ところで、あなたは…」

女は微笑んでライカーに一礼した。
「あら失礼。申し遅れました。私はゼレンゴン帝国の外交官、ユイ・ケーラーと申します。」
 
ゲォーフは何か言いたいがじっと耐えているようだった。
 



 
クルー達は会議室に集まっていた。

咎めるかのように言うピカード。
「しかし、ライフポッドに入ってワープ9でこちらに向かうとは、信じられません。」

「あら。私もゼレンゴン戦士ですわ。緊急事態の時は、命をかける覚悟はあって当然です。まあ私の場合、正確には母親が地球人、父親がゼレンゴンのハーフですけど。」

「それは医学的に可能なのですか!」ライカーが尋ねる。

「ええ。母親は相当、苦労はしたようですが…しかし皆さん、今私個人の事に関してお話する暇はありません。」
にこやかだったユイの顔が真面目になる。

「今回この船に来たのはゼレンゴン政府の特務指令を受けての事です。フユツキ艦長、艦長は「トン」という船をご存知ですか?」

「名前からいって、ゼレンゴン船ですか?」

「ええそうです。トンは、75年前に行方不明となっていた我が帝国の戦艦です。」

「それと君に何の関係がある。」
ゲォーフがいらただしげにぼそっと言う。

「私だけではなく、皆さんに関係があります。何故なら彼等が目覚めたからです。」

「目覚めた?」思わず繰り返すライカー。

「ええ。コールドスリープ状態にあった船が突然活動を再開したのです。そして75年前と言えば…」

「まだ連邦とゼレンゴン帝国が和平条約を締結する以前ね。」
レイタが答える。

「(この娘、私と声が似てるわね…)その通りです。そして彼等は間違いなくこの船を攻撃して来るでしょう。」

「そういうことか…」重い雰囲気に包まれる会議室。

「ゼレンゴン政府の要望は只一つ、トンを乗員もろとも破壊する事です。」ユイはきっぱり言い放った。

「同じゼレンゴンを見殺しにするというのか!」

「そうよゲォーフ。彼等も戦士としての死なら、望むところでしょう…彼等の船の装備は知れたものです、エバンゲリオン四号機の敵ではありません。」

「で、でも…それでユイさんは納得されるんですか?」
ケーラーは発言者の少年を見た。ち、地球人だけど可愛い…思わずドキっとするケーラー。

「え、ええ。私には地球人の血も流れているから、皆さんの命を尊重したい気持ちも分かります。しかし彼等はゼレンゴン。説得でどうなる相手ではありません。」

「そうでしょうか?」疑問を挟む艦長。

「難しいでしょう。彼等は後6時間以内にこの船に気付き、攻撃を仕掛けて来るはずです。」

「…分かりました。」艦長は厳しい表情で答える。「しかし惑星連邦としては同盟国ゼレンゴン人の命を無駄にはしたくない。最善の方法を見当させて頂きます。」

会議は散会した。
 



 
バー「テン・フォワード」でケーラーはくつろいでいた。地球のお酒もいけるようだ。

「(あの子、シンジ君とか言うらしいわね…可愛い顔…間違いなくゼレンゴン好みね。)」

「あら、でも大変よー。彼に恋しているクルーは両手に余る位いるんだから。」
笑いながらグラスを片手に近付くミサト<ク>。

「ああ、やっぱり地球人のセンスでも…って、え? 何故? あなたは、確かカウンセラーの…」

「ミサト。ミサト・トロイ。人の心は普通ははっきりとは読めないんだけど、余りに強い思いだから聞こえちゃったわ。ごめんね。」舌を出して向かいに座る。

「ああ、あなたがミサトさんね。あの有名な「船に本物のアルコールを持ち込んだゲル女」ってあなたの事よね、確か。」

「あ、あはははは…」

「心が分かるという事は、テレパス…あなたもしかしてビアゾイド?」

「ええ。正確にはビアゾイドと地球のハーフ。」

「あなたもハーフなの!」ミサトの手を取るユイ。「嬉しいわ、私達同類ね。」ミサトの方に歩み寄る。

むぎゅ「あら、何か今変な音しなかった?」辺りを見回すユイ。

「さ、さあ…(ま、いいか、意識無いみたいだし。)」
すぴー。
当然ケーラーの足下にはT2化している本物ミサトが踏み付けられながら寝ていた。
 
 

「あなたとゲォーフって…昔何か合ったの? 彼、あなたが来てからいつもの落ち着きが失われているわ。」
本物を無視してシリアス顔になるクローン。

ケーラーはやや顔を曇らせる(スライムは依然踏んでいる)。

「ああ、ごめんなさい。言いたくなかったら、別に良いのよ。」
手を振るカウンセラー。作者もまだ信じられない事だが、ミサト・トロイは本来こういう台詞を吐くキャラだったのである。

「全部…昔の話よ。(あんな髭親父、シンちゃんの魅力には負けるわ。)」

「(やっぱり、色々悩みもあったんでしょうね…)」

「(シンちゃんの口! シンちゃんの太もも! シンちゃんのふ・く・ら・は・ぎー!!)」
ゼレンゴン料理の、地球で言うミミズに近い物体のサラダをつまみつつ、野望に燃える(萌える)ユイ・ケーラー。
 



 
その頃God save theモテモテシンちゃんは懲りずに妄想の世界をプログラムし直していた。
「やっぱりフユツキ艦長も入れたほうが良いか。アスカっていう子はもうちょっとラブ指数を高くして、彼女が僕を誘うようにしよう。かあさんがいつものクールな感じだったから、もう少し明るくさせようかな。」

めげないバカ 少年である。
「よし、今度こそラブラブだ!」
 
数十分後。なぜかシンジ・クラッシャーは血まみれになり、「かあさんクールクル…」という言葉を残してマギデッキを後にしたのであった。
 


   
ひとしきりミサト<ク>と飲んだケーラー。割り当てられたゲストルームでくつろいでいる。

「(ミサトって娘、中々の女性ね。秘密裏に倉庫を潰して競艇場を建設中とは、いい仕事しているわ。)」
ミサトをかなり気に入ったらしい。

軽く煮沸ガーグ・ワインを飲むケーラー。
ドアから声が聞こえる。
「入るぞ。」

「どうぞ。」落ち着き払ってユイは答えた。

ゲォーフは地球人の感覚で言えば、憎々しげに相手を射抜くような表情を見せた。ゼレンゴンの感覚で言うと、ちょっと緊張しているだけなのだが。

「遅かったわね。」

「今まで何をしていた。」

「ミサトさんと、飲んでいたわ。」

「そういう意味ではない。この6年間、何をやっていた。」

「あなたが、何故それを知らなくてはいけないのかしら。」グラスをかざしながら微笑むケーラー。

「当然だ。私は、お前の婚約者だ。」

「婚約者?」立ち上がるケーラー。
「6年前、結婚の儀式を拒否したのはあなたよ! 今更、何を言うかと思えば。…あなた、ゼレンゴンの女にとって儀式を拒否される事がどういう事か分かっているの?」

「分からん。」

「そうね、私も分からないわ。何故なら作者が不勉強だから…ってそれじゃあ話が進まないでしょう。」

「あの時、私達は若すぎた。早婚はゼレンゴンの価値観に反する。」

「あなたは何時だってそうなのよ。」

腕組みをし、手を上げるケーラー。そのジェスチャーは地球人的だ。
「やれゼレンゴンの価値に合わない、それはゼレンゴンの習慣と違う、ゼレンゴンの伝統はそうではない、肉感は何故日刊に名前を変えたのか意図不明だ、って…まあ最後のは私も同感なんだけど、」

ケーラーはゲォーフににじり寄る。
「何時だって過去の因習に捕われているんだわ。」

「そういう訳ではない。ただ、伝統を忘れてはいけない。」

「つまり、それがあなたの生き方なのよ。私には地球人の血も半分有るの。ゼレンゴンの伝統だけで生きてはいけないのよ。」

らちがあかないゲォーフ。
「…今、時は満ちた。儀式をするぞ、ユイ。」

「止めて下さい。どうしてゼレンゴンの男はそう勝手なのかしら。」

「他に男が出来たのか。」

「残念ですけど、そういう事じゃありません。でもあなた分かっているの? 最大の問題を。もし私達が結婚して、子供が出来たとしたら、この連載では名前が付けにくいのよ!」

「そ、それは…」
 
 

溜め息を付くケーラー。
「…言い過ぎたわ。少し飲み過ぎたかしら。」

「水を飲むか。」

「ええ、頼むわ。」

ゲォーフ、彼としては当連載初の半角笑い(←そんな日本語ありません)。コップをケーラーに渡す。

「ありがと。…あら? 何か…変な…味…」
腰から下の力が無くなり、急にゲォーフにもたれかかるケーラー。ゲォーフは「この時ほどドクター・リツコ・クラッシャーの才能を尊敬した事は無い」と後に語る事となる。

「こ、このヒゲは…」目がトロンとしているユイ嬢。「男らしい…まるでシンジ君のようだわ…」

「な、な、何?」しかしそれでも良いからベッドに導いてしまう悲しい性のゲオちゃんであった。
 



 
3時間が経過した。既にゼレンゴン船接触まで後1時間である。
クルー達は再び会議室に集合し、最後の作戦会議を行なっていた。

「それでは、この作戦で良いな。」
艦長が確認する。

「しかし、やはり不安です。彼等はゼレンゴンです、しかも75年前の、野蛮な…我々の言う事に本当に耳を傾けるかどうか…」
手を広げるケーラー。「室内スポーツ」による疲れは微塵も見せていない。

一方ごっそり精気を抜き取られたように見えるゲォーフ。反論する気力も残っていないようだ。

フユツキ艦長は熱っぽく語る。
「しかし今、私達惑星連邦はそのゼレンゴンと友好関係にあります。私はその今を信じたい。」

「…分かりました、艦長。ただ、常に攻撃の準備は整えておいて下さい。」

「有難うございます。」
向き直る艦長。
「レイタ。それで、その道具が現存する可能性は。」

「7.36%です。」

「シンジ君と一緒に探してみてくれ。」

「はい。」
 



 
ゼレンゴン戦艦トンは、全速力で未知の飛行物体に向かっていた。彼等の船は惑星連邦の戦艦と交戦中に壊滅的打撃を受け、戦闘持続は不可能な状態になったため、コールドスリープ状態に入っていたのだ。日本語で言う所の冬眠クマさん、もしくは冷凍ラザニアである。

余談だが冷凍ラザニアはパスタ・具とクリームが分離しがちである。食べる前に良くかき混ぜるべきだが、アルミ容器とスプーンがカチャカチャ鳴るのを聞くと、物悲しく思わざりけりいとあはれ。

トン艦内はその飛行物体の正体を知り、騒然となった。既知の型ではないものの、それは間違いなく強敵、惑星連邦の戦艦だったのだ。
「攻撃体制に入るぞ!」トン艦内を怒号が飛ぶ。
 
 
ブリッジでケーラーは艦長に言った。
「そろそろですわ。」

「分かっている。」

遮蔽装置がオフになり、スクリーンに突然現われるゼレンゴン艦。何時こちらに攻撃を仕掛けて来てもおかしくない。

「直ちにトンに映像を送れ。宇宙チャンネル・オン。」

画面には驚くゼレンゴンクルー達が。

「き、貴様裏切り者か!」
 
 
エバンゲリオン艦長は威厳を持って答えた。
「裏切り者? ふざけた事を言うな。お前達も現在が2365年である事は分かっているだろう。」

トンの艦長がつかみかかりかねない勢いで聞く。
「だからどうした! 我々が眠っていた間に我が帝国が負けたなどとぬかすわけではあるまいな。」
 
 

「負けたのではない。ゼレンゴン帝国は勇敢に戦い、その結果惑星連邦との和平を勝ち得たのだ。申し遅れたが、私が当艦USSエバンゲリオン艦長、ゲォーフだ。」

ゼレンゴン式のユニフォームを着、艦長席に座るゲォーフ。副長席にはケーラーが座っている。

「地球人に買収されたか、この腰抜けが!」

「腰抜けはお前共だ。お前共が歴史の変遷を学び取らず、事実を認識する勇気に欠けているのならば、我らの忘れえぬ勇士・アンノス様もお前共を見放す事であろう。」ゼレンゴンの伝説上の人物名を挙げるゲォーフ。

「何だと!」

「いかん、気が立っているぞ。」後ろに立っていたフユツキがケーラーに声をかける。

「いえ、彼等はかなり押されています。ここで最後の手を使いましょう。ゲォーフ。」

目で合図するゲォーフ。
「そもそもお前共は地球人を敵視する思想に凝り固まっている。」

「誇り高きゼレンゴンとして当然だ! あんな女々しい奴らはな。」

「今の言葉、覚えておけ。」
 

次の瞬間、ゼレンゴン戦艦トンのクルーは息を飲んだ。
「こ、これが地球人…」
「な、何という勇敢な戦士の顔だ…」

トンのスクリーンに現われたのは、血まみれで微笑む巨大頭のモーフ仮面シンちゃん。

「あそこまで大きな頭、血みどろフェイス。」
「だけど笑顔の憎い奴…」
呆気にとられ呟く、トンのゼレンゴン戦士達。
 

誇らしげに言う艦長ゲォーフ。
「我々はお前共を広い心で許してやる。降伏しろ。」

「………分かった。」

エバンゲリオンはその危機を脱した。
 



 
「失礼した、艦長。」
席をフユツキ・コウゾウ・ピカードに譲るゲォーフ。

「いやあ、素晴らしい交渉だったよ。君なら今すぐ本当にこの船の艦長になって貰いたい位だ。」

ピカード達はトンのゼレンゴン人達を刺激しないため、ゲォーフ、ケーラーを艦長・副長に仕立てて交渉させたのであった。

「しかし、最後に効いたのはモーフ仮面でしたわ。シンジ君のアイディアが彼等を救ったのよ。ありがとう。」
同じくライカーに席を譲ったユイ・ケーラーがシンジに母親のような笑顔を向ける。

「それにしても、あんなB級アンティーク品どうやって知ったんだい? 骨董の趣味でも、有るのか?」

「はは、まあそんな所です副長。面白いグッズでしょう?」
何故か脂汗をかいているクラッシャー。

「モーフ仮面。一種の詐欺商法。当時、自己の容姿に劣等感を持つ、あまり知的でない若者達が騙されて購入し、多くのトラブルを引き起こしたと記録にあるわ。」
呟くように言うレイタ。

「はは、は、は…」笑顔が引きつるシンジ。

まあとにかく、エバンゲリオン(と言うよりトン)が助かったから良しとするか。別にこの世界の同僚達が、あのホログラムの設定をひきずってる訳じゃ無いんだから。
 
 

リョウジ・ライカーが思い出したように声をかけた。
「そうだシンジ君、君に話があるんだ。」

「何ですか。」

「いや、実はな。ここだけの話、この間ミサトから良いクスリを仕入れたんだ。いやー、これは人生変わるぞ。欲しかったら、今度、分けてやろうか? ふぅーっ、くっ、ケケケケケ…」

そう言えば今回副長はやけに台詞が少ない。目が座っている。よだれが垂れている。どうも失禁している。(早く気付けよ。)
 
 

「ふ、ふ、うぁぁあああああーー」シンちゃんムンクの叫び。
 
つづく
 


次回に続くよどこまでも
 
ver.-1.00 1997-07/20公開
 
感想・質問・誤字情報・私の代わりに学校で勉強してくれる人等は こちらまで! 

次回予告
 
シンジはレイの説得に失敗する。諦めてアスカとのみ話すシンジだが、アスカはレイとも話せと突き放す。しかし話しても無視を続けるレイにシンジは手を上げてしまう。「さよなら。」教室を出るレイ。女に手を上げたシンジを殴るトウジ。しかしシンジはトウジが事情を知らないのだと反論し、2人は口論に。その頃第三東京には大型の台風が接近していた。次回「真夏の子供達」第9話、「不快指数」。御期待下さい。

本当の次回予告:何とヤツがついに! とうとう! ようやく! でも脇役(笑)。大家さん(他)が見るのは至福か絶望か!?
 



 
後書きコーナー 
 
「皆はもう映画を見に行ったかな? 私はさっそく見に行ったぞ!」
「速いですね! …それで、終局は、どう感じましたか。」
「うーん。一言で言うとねえ…道に迷ってようやく映画館に着いたら、もう上映終わってたんだよね。午前で。」
「(やっぱりこの人天然だわ…)ちゃんと電話で確認取れば良いじゃないですか。」
「過ぎた事は良いの。明日見に行こ。今日は第八話アップだ。」
注:とか言って結局アップするのは見た後になりました。
「でもこの話、良いんですか。特定の人の小説をこんなにネタに使って。今までで一番ネタ元が一ヵ所に集中してるじゃないですか。また無断なんでしょう?」
「べっつにー。だって元祖は私だもん。方向性も被ってるし。」
「でも多分、このエヴァントレックの作者さんはフラン研さんの事知らなかったんだと思いますよ。」
「それはそれで腹立つような…」
「人気が伸び悩む人の言う事じゃないですね。」
「悪かったっすね…でもめぞんの人気投票って、5位なら30点でなれるみたいですよ、ある作品での大家さんのコメントによると。つまり私だけを「1番好き」に選択して(それで10点になる)何回か連打すれば名前は簡単に黄色になるの、多分。今度やろうっと。」
「空しいでしょう、書いてて。」
「う。…手厳しいっすねマヤさん。お隣の部屋でいつも毒舌吐いてるだけあって。」
「でも隣の部屋の方は、他の作家さん達をバカにしたりはしません。」
「別に私も…ちょろっとだけ。」
「全く。そういった態度だからメールも来ないんです。」
「ふん。どうせ私のトコに来るメールはLASからの「キーホルダー読んでて辛いっす速くシンジとアスカ様を幸せにしてやって下さいアスカ様の下僕より」っていうのばっかりさ! そおゆう奴は「入るな、入ると死ぬぞ」と玄関に書いてある意味を良く考えろ!」
「そしてますますこの部屋は閑散とするんですね。」
「はが。」
「そんなにメールが欲しかったら、他の部屋の人達みたいに部屋の中にメールデコーダーを付けたらいいんじゃないですか? あれなら、読者の方も簡単に感想が送れるし。」
「あれは駄目だよ。あれを入れた部屋って、ネスケで見るとレイアウト滅茶苦茶になるんだよ。」
「…それって、ネタにする前に大家さんに報告すべき事なんじゃないですか?…」
「いずれにしても、一言言わせてくれ! やい、全日本下僕連合中野発令所司令山本、略してターザンもしくは直純もしくは太郎inメロリンQ! 私が休んでいる間に、よくも似たタイトルの小説を書いてくれたな! 次回からはここのも書いてくれ!!
「何でそうなるんですかっ!」
「後、807号室のまっこうさん! 私もへっぽこハーフや冷血クローンよりはよっぽどリッちゃん萌え萌えです期待してます!!」
「確かに先輩はきれいよね…って、それって、メールで言うべき内容なんじゃないですか?」
「だって恥ずかしいし。」
「あなたが一番問題があるのは確かですね。もう私帰ります。」
「そういえば、本拠地(ショタマヤ)ではとうとう行くとこまで行っちゃいましたよねぇー。どうだったんっすかぁ? 愛しのシンジ様のお味はぁ?」
「な、のななな何言ってるんですか!」マヤのグレイシー柔術をくらう作者。

2秒後作者死亡。(死因産卵を終えたから。)

以下次回


 フラン研さんの『エヴァントレック』第八話、公開です。
 

 そうですよね、ネスケでみるとメールフォームのレイアウト無茶苦茶ですよね・・・
 で、ネスケで調節するとIEではチンチクリン。

 どちらかの形に合わせるなんてプライドその他で出来ないでしょうから、
 足して2で割ろうよ。

 ねえ、マイクロソフトさん、ネットスケープさん、妥協してよ・・・・

 それとも調節するいい方法あるんだろうか (;;)

 
 

 ついにヤツが登場ですか!
 Airを見た私に怖いものはないです・・・・ハハハ・・はぁ(^^;

 映画を見ての感想。
 「なんか創造主達みたい」
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 ついにTopページ以外へのリンクという反則を犯したフラン研さんに感想のメールを!
 色々言ってますがきっと彼は喜んでくれますよ(^^)・・・・・たぶん(^^;

 

 それと、全日本下僕連合中野発令所司令山本さんもしくはクヴァから苦情が来たらリンク直しちゃいますのでよろしく(笑)


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