「…ここは…見知らぬ天井だ…」シンジ・クラッシャーは目を覚ました。
「母さん」ドクター・リツコ・クラッシャーがベッドの右手にいる。手に持ったフラスコには勢いよく気化している黒い液状の物体が。新種の試薬だろうか。しかしシンジが起きたのに気づくと舌打ちをしながらさっと隠した。
「ここはエバンゲリオンの医療室よ。具合はどう?」
「な…何?今の黒いの…」
「ふふ…何でもないわ。決して、新しい催眠内服液「やんちゃな子猫」ベータとかではないから、心配すること無いわ。」
「のののののの飲んだの?それ?僕?」
キラーン。
「飲みたい?飲むと天にものぼる良い気持ちで、あなたの知っている人たち皆から「おめでとう」と祝福される夢が見られるわ。大丈夫、全然苦くないのよ。ヴァン=ホ○テンのアイスココア味だから。本当はブルーマウンテンにしたかったんだけど、それだとあまり薬の味っぽくないし、これでも色々…」
よ、良かった、まだ飲んでないらしい、まだ死なずにすむんだ。
「い、いや、遠慮しとくよ。今の所自己啓発セミナーみたいな夢は必要無いし。ははは、は」いくら耐性が付いていても、シンジも人間である。考えを他の方向に向けようとする。そこでふと気づいた。自分の記憶が一部無くなっている。
「あれ…僕、何でここにいるんだろう…ねえ母さん、僕はどうなったの? 前回の話は、結局どうやって終わったの?」
「あなたは別に何もされてないわ。ただクローンを同性愛者の宇宙人が持って行っただけ。」コンピューターのウィンドウとビーカーをにらめっこしながら、全く興味無さげにドクターは答えた。「前回の結末は、つまるところWシンジ君だったわ。」
「そ、そんな!」シンジは彼には珍しく感情を表に出して叫んだ。
「そんなのパクリじゃないか!ただでさえここの作者は文字化けメールや電波な替え歌、果ては駄作小説を大家に送って迷惑をかけているのに、そんなの許されるわけないよ!」
「問題無いわ。「Wシンジ君」はホームページごと消滅してるから。告訴されることはないわ。」
「そんな…」そんなの…正義はどこにあるっていうんだ。
クラッシャー少年が悲嘆にくれているころ、ピカード艦長は艦長室で小説を読みながらいきまいていた。
「一体どういうつもりだ、この「第三男子高」とやらは。……ヨすぎるではないか! か、可愛い過ぎるぞ、シンジリラ…しかし何故冬月は碇シンジに絡まないのだ?彼もダンディで十分魅力があると思うが…」
「艦長。」ゲォーフの声だ。
「何だね。」
「彼が来る。」
「分かった。転送室に向かう。」
艦長も仕事とあれば読書を中断せざるをえない。モニタを名残惜しそうに見ながら、彼は言うのだった。
「すぐ戻って来るからね、シンジリラちゃん…」
―宇宙。そこは最後のボランティア(意味不明)。これは、宇宙戦艦エバンゲリオン号が、新世代のクルーの下に、24世紀において概ね任務を続行し、未知の世界を探索して、新しい生命と文明を求めるふりをしつつ、人類未踏の宇宙に、アバウトに航海したりしなかったりする小話である―
Where No One Has Copied Before
第二話「宇宙の果てで見たオマージュ」
コウゾウ・フユツキ・ピカード艦長、リョウジ・K・ライカー副長、マナ・ヤー保安主任の3人は転送室で今日訪れる客人を待っていた。
「そろそろ来られますー。」技術部転送主任、トウジ・S・オブライエンはタッチパネルを操作しながら関西弁風の言葉で告げる。
キラキラキラキラキラ…(転送されてる音よ、文句ある?)
転送されかけた人影は消えてしまった。
「どうしたんだ。」詰め寄るライカー。
「す、すんまへん、また操作まちごおてしまいましたわあ。どーも、機械だけは苦手ですねん。特に腹の減ってるときは…こ、これでええと思うんやけどなあ…」
目が一本線になっている他の3人。
(全く、ドクターといい、一体この船のクルー達はなんなんだい?)
(私は、夏ごろには発売されているのかしら…)
(そうだ!冬月と碇シンジ君の組み合わせは、やおい少女補完室にリクエストすれば良いではないか!)
キラキラキラキラキラ…
今度は成功したらしい。目の前に2人の客が現われた。一人は地球人の男性で、どこか傲慢そうな印象である。もう一人は明らかに異星人で、地球人に比べると鼻が大きく眉毛がない。しかし全体としては地球人に良く似ていて、知性を感じさせる顔つきであった。
艦長は地球人の方に手を差し伸べた。
「お目に掛かれて光栄です。ヨシハル・コジンスキー博士。」
「こちらこそ光栄だよ、ピカード艦長。」
「そちらの方は?」
「彼はトードー。私の助手だ。」
「よろしく。」
「こちらこそよろしく。博士、実験の成功をお祈りしています。マナ、御二人を部屋へ案内してくれ。」
「しかし、感心しません。」マナと客が消えてからリョウジは眉をひそめた。「あのコジンスキー博士、信頼に足る人物でしょうか? 良からぬ研究をしていると、もっぱらの噂ですよ。「選ばれた子供達の潜在能力を引き出す」だの何だの、色々話を聞いています。」
「(どこかの小説で聞いたような気がする話だな…)彼の超ワープ理論は、しかし驚異的なものだよ。惑星艦隊のかなりの船が、既に効果を挙げているのは紛れもない事実だ。」
「ええ、ですが…」副長は苦い顔で言った。「あのメガネ面は、どうも信用出来る顔じゃありません。」大体、リッちゃんといい、博士と名の付く奴にロクなのいないからなあ、エヴァキャラ。
休息もそこそこに、コジンスキー博士はさっそく機関室で革新的なスピードが出せるという自説の実験を試みようとしていた。
機関室には、マコト・ラ=フォージやシンジ・クラッシャーを始めとする技術系のクルーが揃っている。
「それではこれより実験を開始する。」
実験は開始された。見る見るうちに出力の上がるエンジン。クルー達は驚きを隠せない。
マコトが感嘆の声を漏らす。「す、凄い…ブリッジ、現在のワープスピードは?」
「ワープ1よ。でもスピードが今までのワープ航法のスピードとは比べ物にならない。この船の最高速度記録を更新しているわ。」レイタの声。
「これはいけるぞ。それではワープ1をホールド…あれ、どうした、エンジンが言うことを聞かないぞ、博士、どう言うことですか!」
「まさか…」
マコト、アップで「暴走!?」
ちゃーちゃららーちゃらららーらららー、ちゃーらららー、ちゃーらららー、ちゃらちゃーちゃららーちゃらららーらららー、ちゃーらららー、ちゃーらららあ 「あの、うるさいんですけど…」
「誰に喋ってるんだ、シンジ君?それどころじゃないぞ!」
ブリッジも騒然としていた。
艦長が尋ねる。「レイタ、現在の位置は?」
「銀河系から270万光年離れた別の島宇宙です。」
「なんだって!」リョウジはいきりたった。「博士、一体どう言うことです!」
「安心してくれたまえ、ただの計算ミスだよ。」機関室のオヤジはいけしゃあしゃあと言ってのけた。「もう一度実験すればすむことだ。落ち着きたまえ。」
「艦長、機関室に行きたいのだが。」ゲォーフが言った。彼は地球人に合わせるため普段からゼレンゴンの激しい感情を押さえている。しかし艦長の目にも今の彼は明かに激情しているのが分かった。
「現在の場所は我々の知らない宇宙で安全性が保証されていない。君とマナ君がブリッジにいなければ困るだろう。」
「…わかった。」ゲォーフは憮然とした調子で言った。あのヨシハルとかいう男、どうもどこかで私の敵だったような気がする。納得行かないのだが…
「実験再開。」
船は再びワープを始めた。スピードは先ほど同様加速して行く。
シンジ・クラッシャーは実験には参加させてもらえないので見ているだけだったし、本人も別にやる気はなかった。ここでのシンジは実は厭世入ってるのだ。しかし先ほどから見ていてあることが気にかかっていた。
博士の助手のおじさん…トードーって言ったっけ…ワープすると何か力が抜けたように目をつむっているんだよな…彼の動きと、船のスピードがリンクしているように見えるのは、気のせいなのだろうか…
そのころブリッジはとんでもないことになっていた。
「一体ここはどこだ?レイタ。」ビューワーから見える宇宙は、一種のガスに包まれていた。
レイタは一瞬目を細め、小首をかしげた。それから「昨日の天気予報がはずれた」という程度の口調で言った。
「信じられない。私達の宇宙から10億光年離れているわ。」
「本当かね!?」
「ええ。それ以上のことは、何も分からないわ。この船の装備では、状況は分析不能ね。」
ゲォーフは、目を見張った。気づくと、自分の横にはかつて青年時代自分が飼っていたゼレンゴンのペット「アダム」が尻尾を振っているではないか。その毛むくじゃらの犬のような7目の獣を見て、彼は自分が発狂したと確信した。しかし彼は間違っていた。
「ゲォーフ!その獣は何だ!」
「艦長にもこれが見えるのか?」私の精神の異常ではないのか。「これは私の昔のペットだ。害はないが…」
「なぜここにいるんだ?」リョウジ・ライカーはそう問いつつもう答えは分かっていた。やはりあの腐れオヤジだな。
「わからん。」
苦々しく吐き捨てるゲォーフの前に、突如ショートカットの小柄で清楚な少女が現われた。良く見ると、シンジ・クラッシャーにそっくりである。ゲォーフがフェイザーを向ける。「お前は誰だ!」
彼女は目の前の「怪物」に驚いて、悲鳴をあげた。中性の地球のヨーロッパの貴族が着そうなドレスを見にまとった彼女はがたがた震えて、口をきくことが出来ない。
ピカード艦長が呆然とつぶやいた。「お前は…シンジリラ……」
「ねえ、おじさんがワープをコントロールしているんじゃないの?」本当は実験なんてどうでも良かったのだが、さすがにそろそろ収拾を付けないとと考えた(作者にせかされ)シンジ・クラッシャーはコジンスキー博士の助手にたずねた。
「何を言うんだ。超ワープ理論は私の」ぐぁしゃ。ヨシハル・コジンスキーはトードーの右フック一発で粉砕された。
「そうだ坊主。いや、本当は地球人に任せたかったんだがな。この男は雇主としては適任ではなかったよ。俺は旅人。トードー・トラベラーって言うんだ。地球人より進んだ種族でな、空間をある程度コントロールできるんだ。」
「なんとかしてよ!このままじゃシンジリラがこの話の主役になっちゃうよ!」彼はまだ自分がここでは全くの脇役で、これでも今回はかなり出番が多いということに気づいていない。
「うーん、しかしなあ、俺一人の力ではさすがに10億光年は…」トードはふと熱のようなものを感じた。これは…まさか、この坊主から発せられているものなのか?
「つまり、この世界では頭で思考したものが現実化するというのだな?」
「そう推測されるわ。」
「そぉよぉ艦長、あなたぁさっきその子の事考えてたでしょほ。えっちなんだからン。私にはぜぇーんぶ、お見通しよん。」
艦長の足に寄り添って不安気な表情を見せている少女を指差しながら、カウンセラー・ミサト・トロイはグフグフ笑って言った。
ちなみに彼女の周りは突如としてビール缶のピラミッドが出来ていたのだが、これは彼女の仕事熱心さの現われととる事も出来なくはなかった。ビアゾイド人はテレパスであり、相手の心理を読み取る能力がある。ミサトがカウンセラーをしているのもこのためだが、彼女は純粋なビアゾイド人でないため常にビールの助けを借りないとリーディング能力を発揮出来ないのだ。
「艦長」
「何だね、シンジリラ」ピカードはじっと動かない少女の頭を優しくなでながら言った。
「僕はシンジ・クラッシャーですっ!」小型スピーカーの声が割れんばかりに響いた。
「ああ、すまん。君か。何だね、良いときに」
「めちゃくちゃ緊急事態でしょ! 先ほど伝えた通り、この超ワープはトラベラーさんの力を利用したものだったんです。それで僕にも同種の力が微量あって、それをあわせれば何とか元の世界に戻れるかもしれないんです。だからそれに挑戦しますから。いいですか、」
「やめろ、シンジ君。今の艦長にこれ以上何を話しても無駄だ。こっちで勝手に始めよう。」「バカが伝染る」前に機関室に避難してきたリョウジがシンジに言った。
「そうですね、副長。トードーさん、お願いします。」
「わかった。いくぞ。」
2人は手を合わせた。
「気持ちを集中するんだ。」
「はい。」
やがて銀色の光が辺りを包みだし、船は再び動き始めたのだっった。
そしてワープは終了した。アダム犬も、シンジリラも、エビチュの壁も消えていた。
「現在位置、銀河系内惑星連邦領域。もといた場所ね。」
「やった!」ブリッジのレイタの声に反応したのは、もちろん機関室のクルー達だった。ブリッジのゲォーフ、マナ・ヤーもほっとしたようだ。何故か緊急事態の時より不幸そうに見えるのは、艦長とカウンセラーであった。
「私のピラミッドがぁ…グス…富嶽三十六景がぁ…」
「行かないでくれ、シンジリラ…まだ初夜を迎えていないではないか…」
機関室のシンジは、トードーにありがたいやらお詫びしたいやら複雑な心境であった。
「あの、ほんとに、どうも…どうもありがとうございました。」
「いや、お前さんの力があったからこそ、帰還できたんだ。しかしなあ、俺はもう疲れたよ。しばらくは休まないとまずいだろうな。今度会うときには、坊主…立派な男になってろよ。お前さんは普通の人間を越えた能力がある。人類の新たな一歩を踏み出すきっかけになれる存在だ。そのことを、忘れるな。」
男は銀色の光に包まれ…消えた。
機関室にはヨシハル・コジンスキーの腐りかけた屍が残されたが、誰も気にしなかった。
シンジ・クラッシャーは今回の活躍で艦長からブリッジに搭乗することを許された。
レイタはシンジを見ながら、何か考えごとをしていた。
彼がこの艦を救ったのね…でも、彼のその力は分析不能…現在の地球人の科学力では解明できる可能性は低い…でも彼の事を知りたい…理解できる可能性が低いのに?…私の思考から合理性が失われているわ。どうして?
「どうしたの、レイタ?」
「……何でもないわ。…船が帰還できて、良かったわね。」
「う、うん…大丈夫?何だか、熱があるように見えるけど…」彼女の頬が紅潮しているように見えたが、気のせいか。
「そう?気温に問題があるのかしら。」誤魔かしているのではなく、レイタは本気で空調の問題と考えたようだ。
一方そのころ、後ろの椅子に腰掛けているピカード艦長は前方のクラッシャー少年を見つめながら目をきゅぴーんと光らせるのだった。
次回予告
いきなりクラスメイト達の前でシンジにキスをしたアスカだったが、シンジに思いは伝わらない。結局その事がきっかけで2人は喧嘩をしてしまう。レイはぎくしゃくしている彼等を喜んでいる醜い自分に気付き、苦悩する。帰宅後シンジは反省したが、ミサト達の家にアスカは帰って来ない。ヒカリに聞くが、彼女も居場所を知らない。熱帯夜。アスカは、行方不明になった。次回「真夏の子供達」第3話、「絶望へのスロープは幸福への階段に繋がるか」。ご期待下さい。
本当の次回予告(^^; :次はあのミリタリーマニアが主人公らしいぞ。
後書きコーナー>
「しかし何だねこの小説、始まりから終わりまで全部パクリじゃないか。」
「そ、そうっすか。(加持さんが後書きに出て来るなんて、渋ぅ…)」
「ストーリーはスタトレ、キャラはエヴァ、ギャグとゲストキャラは有名エヴァ小説。オリジナルの部分は、一体どこにあるんだい?
怒られるぞ、ジェ○Qやリィ、ナ、ク○ィネや男子高の作者から。何よりも大家から。」
「い、いや、それは今回のタイトルの通り、オマージュっすよ、あ、あの、尊敬しているからこそ、引用させていただくという…もしくはリミックスですか」
「今は便利な言い方が、いろいろあるもんだな。…まあいいさ、俺もここでは結構まともな役のようだし。」
「そ、そうなんですよ。クルーの中で一番まともだと思いますよ、多分。」
「しかし俺は、葛城のカウンセリングだけは、御免こうむりたいけどな。」
「あ、それこの前メールでそういう意見ありました。」
「ほお、感想のメールを貰うとは、たいしたもんじゃないか。」
「て言うか、感想のメールはまだその一通だけなんですけどね(601号室のMEGURUさん、有難うございました)。いやーびっくりしたっすよ、感想なんて来てると思わなかったから。」
「じゃ何のためにメールチェックしてたんだい。」
「いやビデオ屋に注文した「マジッ○ミラー号が行く」の注文確認メールが来てないかと…あ゛」
「ハハ、いいんだいいんだ、高橋君、若いっていいねえ。」
「………………………………本名出さないで下さい……………」5秒後作者死亡(死因焼死。
以下次回
フラン研さんの連載『エヴァントレック』第二話公開です。
冬月怖すぎ・・・・
このじじいが見ていたホームページとは『私立第3東京市男子高等学校』ですよね?
私も名前は知っているんですが、覗きに行く勇気が無くて(^^;
アスカがメインの『私立第3東京市女子高等学校』だったら飛んで行くんですが(爆)
色々と他のページのパロディがありますが
そこいら辺はトリビュート小説って事で許してもらいましょう(笑)
元々EVA小説自体が原作ありなんですから(^^)
さあ、訪問者の皆さん。
次回作であの地味キャラを主人公にする気概に溢れたフラン研さんにメールを!!