第十一話
あたしは気分がすぐれなかった。
あたしは紫色の沼のような所で体育座りをしていた。ドライアイスのような煙がもうもうと立っている。しかしここは沼のはずで、だとしたら体育座りなんて出来るのだろうか。常識的に考えれば沈んで溺れてしまいそうだ。
そう考えると、あたしは沼の上に浮いた椅子に腰掛けていた。
「そうよ、これなら問題無いわ。」あたしは満足した。
辺りはどんよりとした曇り空だった。暑苦しそうな黒い雲を、あたしはぼうっと眺めていた。これは台風の前触れなのだろうか?
雲は刻一刻その姿を変え、とぐろを巻くように動いている。
こうやって見ていると、雲って本当に肉眼で動きが確認できるんだ。
気付くと、あたしは沼の上に浮いて仰向けに寝転がっていた。いや、沼もよく見ると海であるらしい。煙も収まり、今はあたしはぷかぷかと波に揺られていた。
でも、あたしどうやって水に浮いているのかしら…
あたしがそう考えると、あたしの体は急に重みを増した。泳ぎには自信があったはずなのだが、抗う間もなくあたしは溺れて行った。不思議と恐怖感は感じなかった。そもそも溺れているはずなのに、まるで息苦しくない。あたしはどんどん深みに沈んで行く自分を第三者のように冷静に眺めていた。
海の色は表層のオレンジ色から徐々に濃くなって行き、既にねっとりとした赤黒い液体に変わっていた。
「これって…マグマじゃない!」
そう気付いた途端あたしは必死にもがき始めた。しかしあたしはどんどん落ちて行き、自分の全身にまとわりつく液体は更に不快に思われた。
「熱い、熱いよお!」
熱さを感じていないはずなのに、あたしは必死になって叫んだ。
「助けて、助けて!」
あたしの乗っているポンコツの弐号機は、今や全てがひしゃげスクラップ同然。自分のいるエントリープラグが未だ生命維持機能を作動させているのは奇跡としか言い様が無かった。
既に通信は断線。スクリーンにも徐々にひびが入って来る。
「何でこんなにゆっくり壊れて行くのよ! 出して、ここから出して!」
しかしあたしは、プラグは中から出る事は出来ないという事を誰よりもよく知っていた。
「出してよう…」
「アスカ!」
しかし落ちて行く寸前の所で、上から追いかけて来たシンジが手を差し伸べていた。
「シンジ…バカ…」
あたしはシンジの右手を何とかつかむ事が出来た。
2人は自分達が裸である事に気付いた。
慌ててあたしは手を離し、自分の胸を隠した。
「やだ、何見てるのよ、エッチ!」
裸の2人は、暖かなLCLの海の中をゆっくり回りながら漂っていた。
シンジはどこまでも優しい声と表情であたしに手を差し伸べ、近付いて来た。
「きれいだよ。アスカの体。」
そりゃそうよ。あんたの為にどれだけ丁寧に洗ってるか分かってんの。
「…見ないでよ、恥ずかしい…」
「そう言うアスカも、とても可愛いよ…」シンジはあたしに覆い被さって来た。
ああ、シンジ…
あたしはシンジが急に迫って来たので、驚いた。
「止めてよ!」あたしはシンジを軽く離そうとした。
自分でそれほど力を入れたつもりはなかったのだが、自分の力が余ったのかシンジが非力だったのか、シンジは2m程も向こうに突き飛ばされてしまった。
シンジは憎悪に燃える目で立ち上がった。
「どうして突き飛ばすのさ。」
ご、ごめん、シンジ…
「あんたがケダモノみたくあたしを襲うからでしょ。」
「そうか、アスカは僕と一緒になるのが嫌いなんだ。」
違うの、シンジ。
「はっ、誰があんたなんかと。」
「アスカは僕が嫌いなんだ。」
「嫌いよ。あんたの顔なんか、見たくもないわ。」
大っ嫌いよ! これだけ好きにならせといて、そんな事言う奴なんか、大っ嫌いよ!
「誰も僕を救ってくれないんだ。」
「誰もあなたは救えないわ。」
あたしを救って、シンジ、アタシを救って!
あたしの手に、森さんからの「もうこれからは連絡が取れない」という内容のメール(手紙)が落ちて来た。
シンジはもう20m位先に行ってしまっていた。
そこで制服姿のシンジとあたしは、まだ口喧嘩をしているようだった。
違う、それはあたしじゃない、そんなのあたしじゃないの!
「あれもあなたの姿よ。」
背後から聞こえて来たのは、今、一番聞きたくない声だった。
「あれは、碇君の中のあなたよ。」
白いプラグスーツに身を包んだその女は、無関心と弱者への憐れみを足して2で割ったような表情であたしに近付いた。
「優等生…」
その人形女は、常にあたしの上に浮かび、こっちを見下ろしながら、口を歪ませた。
コポ…
無愛想女の口から空気が漏れる。
あたしはその能面女につかみかかろうとした。しかしなかなかそいつの場所まで上がれない。
「これは、全てあなたの望んだ事よ。」
「違うわよ! 私はこんな事望んじゃないわよ!」あたしはこの幽霊女の前だと、自分の思った事がそのまま言葉になる事に気付いた。
「そうよ。あなたは、碇君の前では、碇君を傷つける事しか言えないの。だから碇君があなたから離れて行くのも、あなたが導いた事。」
「うるさい!」あたしは必死にもがいた。
「あなたが碇君を突き飛ばしたのも…」
「うるさい!」あたしはもがいた。
「碇君があなたの事を嫌うようになったのも…」
「うるさい!」
「碇君とあなたが別の家に住むようになったのも…」
「うるさい!」
ふと遠くのシンジを見ると、シンジとマヤはテーブルで楽しそうに夕食を食べていた。
「これが、あなたが望んだ未来。」
「うるさい!」
あたしはようやくその白い、気持ちの悪い、人形みたいな、無愛想な、幽霊みたいな感情の無い優等生の場所まで泳ぎ着いた。
あたしは人形女の首を締め出した。
「あんたなんか死んじゃえば良いのよ。…ファースト! あんたなんか、私の思い出から消えて何にも無くなっちゃえば良いのよ!」
よく見ると、あたしが首を絞めているのはシンジだった。
「アスカ…」
あたしは驚いて手を離そうとするが、いくら頑張っても手が動かない。
「これが、アスカの望んだ事だよ…」
シンジは首を降ろし、動かなくなった。
「シンジぃ!!」
あたしは飛び上がり、目を覚ました。
あたしは気持ち悪く、荒く息をついた。一旦深呼吸をしようとして、大きく息を吸い込んだら、そのまま欠伸が出た。あたしは寝返りをうった。
あたしの部屋は、1日中雨戸とカーテンが閉まっているので、時計を見ない限り今が何時なのか、見当もつかなかった。あたしはベッド脇のデジタル時計を見た。
19:15か。
あたしはずるずると起き上がり、昨日買ったクロワッサンをビニールから出してそのままほうばり、牛乳をパックから直接飲んだ。
何だかイヤな夢見た。あたしがシンジを殺そうとしてる…何で殺そうとしてたんだっけ? そう、あいつが出てたのよ、それであたしをそそのかして…そうだったっけ?
同じく昨日買ったテレビ雑誌の表紙を見ながら、あたしは考えていた。
どうしてこんな事になってしまったのだろう。
あたしは、いつだって努力していた。人に負けないよう必死だった。エヴァのパイロットになった。幾つもの死闘をくぐった。精神喪失になった。でも、気付くと回復していた。
旧友と付き合うようになった。それで全てが満たされて行った。以前のあたしなら、そこでまた、溺れてしまうところだった。
でも、あたしは成長していたわ。だからあたしは新しい道を切り開いた。過去の知識や、新たに学んだ成果を総動員して研究に打ち込んだ。
そこで新しいパートナーを得た。
ところがふとした気のゆるみからあたしはその道を失った。それまでいたパートナーは、パートナー以上の存在ではなかった。彼は何よりまず科学者であり、自分の仕事を守らなければならなかった。
そしてあたしは全部振り出しに戻った。
別に悲しい事は無いはずだ。もちろん、森さんには振られてしまったし、仕事場も無くなってしまったし、さんざんと言えばさんざんだけど。あの頃…日に日にシンクロ率が落ちて来た頃に比べれば、こんなのどうって事
あたしはふと、今自分がその頃の事を後付けの知識でなく当時の記憶で感じたような気がした。あたしはうすら寒くなって自分の肘を抱えた。
まさか。覚えてないはずなのに。
そんな不安な気持ちを紛らわせるかのように、あたしは考えを戻す。
あの頃は、あたしは日に日に行動が荒れていったらしい。それはやっぱり、シンクロ率でシンジに負けたり、使徒戦でシンジやファーストに負けた…いや、あたしが彼等の足を引っ張って、彼等に助けられていた、からだった。当時のあたしにとってエヴァが自分の全てだった。母を死に追いやり、あたしを苦しめた、父親をいつか見返してやる。あたしは一人で生きて行く。あたしは、誰にも負けない力を手に入れるんだ。
しかしエヴァに嫌々乗っているようにしか見えなかったシンジがいつのまにかあたしより遥かに強くなっていた。ファーストも、何くわぬ顔であたしの位置を飛び越えて行った。
そしてあたしは全てを失った。それがあの頃のあたしだった。
今は。
今は、どうなんだろう。
あたしはしばらく、暗い部屋でじっとしていた。別に今、無理に明るい気分になる必要はないのだ。人は誰しも立ち止まって、自分のして来た事を見つめ直すべき時がある。いや、他の人は分からないけど、少なくとも今の私にそれが必要な事は確かだ。
暗さに目が慣れているので、デジタル時計やパソコン・ビデオ等のダイオード、ディスプレイの明かりで充分部屋の様子が分かる。引っ越した日とその翌日に出した分以外は小物とかはまだ段ボールの中だ。
あたしは視線を自分の手のひらに向ける。
あたしは思う。あたしは今平常心を失っている。これ位の事でも、あたしは充分弱っている。何時からあたしは、こんなに弱くなったんだろう。シンジと付き合いだしてから?
いや、ここの病院で目覚めてからだ。あの時から、あたしは…
「考えるのよ、アスカ。」あたしは思わず呟いた。
あの時から、弱くなった? 成長したんじゃなかったの? 同じ轍は踏まないんじゃなかったの?
ロジカルに考えるのよ。
ある強い意志を持った者がいた。ところが彼女の仕事は不成功に終わり、彼女は拠り場を失った。
何故、彼女は拠り場を失ったか?
それしか無かったから。彼女はそれが全てだったから。彼女は全てを失い、長い眠りに付いた。
そして彼女はまた目覚めた。今度は男と付き合いだしたが、恐くなって…逃げ出した…
でも、そうしなかったら、絶対不幸な事になっていたわ!
何故?
だって、今度はシンジがあたしの全てになっていったんじゃない! そうしたら、エヴァの時と同じじゃない! だって、シンジも人間だから、いつあたしからいなくなるかも分からないじゃない、そうしたらエヴァの時と同じで、あたしはまた抜け殻になっちゃうじゃない!
そしてあたしはあいつからいなくなった。
それが2人の為だったのよう…
彼の愛を裏切って。
あいつはあたしなんか好きになるべきじゃなかったのよ…
嘘ね。本当はシンジの事なんか考えていなかった。自分の気持ちが制御出来ない位に溢れ出したから、恐くて逃げ出したんだわ。
………そうよ。あたしは逃げ出したのよ。
自分の気持ちに負けたのね。
そうよ。あたしは弱い人間なのよ。昔と違ってね…
あたしは成長した。
だからこそ、弱くなった。
自分のシンジへの想いの強さに自分で恐怖して、逃げ出すようになった。
成長したから、弱くなった…
違う。
弱かったのよ。昔から…
ただ昔は、弱さを認める余裕が無かっただけだわ…
もしかしたら、あの物理的にも精神的にも綱渡りの日々を支えていたのも、やっぱりあの弱々しい同居人だったのかしら。
あたしは、腰掛けている段ボールから立ち上がった。
「バカシンジ…」
あたし、何でこんなにシンジに拘ってるんだろう。
捨てたのはあたしなのに。全部無かった事にしようとしたのはあたしなのに。
「フッ。シンジの事も全部忘れられれば、どんなに良い事か。」
あたしの頭はロジックで動いてはいなかった。
あたしは外に出た。
あたしはいつしか、全てが不安になっていた。周りの人が皆、あたしの事を笑っている。噂をしている。ニュースであたしの罪が暴かれるのは何日後だろうか。通り沿いのゲームショップのモニタでさえ、恐くて目を伏せてしまう。
後ろの席から話し声が聞こえる。
「…そんな訳ないだろ、バーカ。」くすくす
「でもよお、…ってすげえ…じゃねえ?」かははっ
「ってんじゃねぇ…も、…だろ。」
…やだなあ、あたし、何時からこんなに涙腺が弱くなったんだろ。あたし、何に泣いてるの?
助けて。
シンジ、助けて…
あたしは人々を見て少し気が晴れたのか、近くの自販機でコーヒーを飲んで一休みする事にした。
そう言えば、あの日もこんな風にガードレールに腰掛けてたな。あいつも申し訳なさそうにちょこんと座って。
あたしは飲みながら歩き始めた。
そうか。この街の景色は、いつもあいつと見てたんだ。よく飽きずにひっついてたわよね。四六時中、どこへ行っても…
茶色い、でも銀色の…ブラウンメタリック? の、ビルが車道越し、左手に見える。行ったな、あそこの水族館。何がいたっけ。魚?
と、ペンギンと…そうだ、このキーホルダーあの時に買ったんだ。16のバースデープレゼント。たった数百円の。
あたしはそのキーホルダーを鳴らしてみた。少し、笑みがこぼれた。
このデパート、あいつとよく行った。いつもあたしが自分の服ばかり買って、あいつはただそれを眺めてたっけ。「あんたも何か買いなさいよ」って言ったら、「僕はアスカの満足そうな顔を見られれば幸せだよ」って。どこでそんな恥ずかしい台詞覚えたのよ、全く。
あそこのカラオケデッキも、よく行ったな。でもシンジって、音楽の素養はあるはずなのに歌は下手なのよねえ。まあ、歌手じゃないんだから上手い必要も無いけど。その内マヤも連れてこうって言ってたけど、結局3人では一度も行かなかったわね。だって、デッキの中であんな事しちゃった後じゃ…ね。
あたしは耳・顔に血が集まるのを感じた。
あの頃は…無茶したもんなあ。校内なんか序の口。しまいには…こんな所でまで…
もう町外れ。街区表示は南町、この辺りは半分住宅街、半分商業地だ。通りは幹線の一つなので結構交通量もある。郊外型の本屋とか、コンビニやファミレスが点在する。人気のあまり無い歩道をあたしはとぼとぼと歩いている。
そう、この公園でも…あの時は、背中の芝生の感触が、気持ち良かった。…汗臭かったけどね。
シンジは今頃、何をしているのかな。シンジの作るハンバーグ、まだやっぱりおいしいかな。人工の肉でもあそこまでおいしくしちゃうんだもんな。天才だよ、シンジは。
家に帰ったら…何て言おう。ただいま? 会いたかった? それともただ「シンジ」って言って…
シンジ、驚くかな。
「待ってたよ、お帰りなさい」…これじゃシンジじゃないわね。「あれ? どうしたの?」位が妥当な線でしょうね。
まだ、許してくれるかな。
こんなあたしでも、許してくれるかな。家に入れてくれるかな。勝手に振って、勝手に出て行って、他に男を作って、都合の悪い時だけすがってくるような身勝手なあたしを。
実験に失敗して人を殺したのに、自分の心配で頭が一杯のあたしを。
あたしを最低の女だって、罵ったりしないかしら。
大丈夫よ、アスカ。
シンジは許してくれるわ。何時だってそうだったじゃない。今からでも、遅くなんてない。きっと、最高の笑顔で、あたしを抱きしめてくれるに決まっているわ。だって、シンジは優しいもの。
優しすぎるもの、あのバカ。
大丈夫よ。
伊吹家は北境という所にある。JR新線の更に西側、補償委員会日本支部の近く、やや南に位置する。今あたしの住んでいる南松本から見て真西。あたしは高宮から境方面へ、野麦街道を西に歩いている。
雲の様子があたしはさっきから気にはなっていたのだが、ここでその悪い予感が現実の物となった。雨だ。夏の雨らしく、降り出したかと思うと一気にシャワーのように雨音を立てだした。
「まいったわね。」
更に嫌な事に、この付近は街の雰囲気が悪い。まあ、簡単に言ってしまうとファッションホテルがやたらと多いのだ。あたしはさっきまでの暖かな気分も吹き飛び、気温は暑いもののうすら寒く感じだしていた。
早くシンジに会いたいよ。
やだな。ホテルの前で男がいるよ。こっち側の歩道だもんな。連れはいないの?
何やってんだろ。
目が合ったらどうしよ。…どうって事もないか。無視よ、無視。
意図的に目を合わせず、そそくさにあたしはその男の後ろを通り過ぎた。
ふう。
よく顔見なかったから分かんないけど、結構若そうだったわね。良いの? こんな所に来て。
「ちょっと待ってよ!」
え?
あたしは振り返った。
「速く、先輩!」
嘘。
「分かったよ、もううるさいなあ。」
嘘、よね。
まさかねえ! あいつがそんな甲斐性ある訳ないもんねえ! でもよく似てるなあ。声までそっくりじゃん。でもあいつは、もうちょっとなよっとしてるかな。こんなに男前じゃないわね。
でも、似てるな。
「碇先輩、速く!」
嘘。
あたしが声をかける間もなく、碇シンジは女の待つホテルへ入って行った。
雨は一段と強く降っている。
嘘だ。
嘘。
嘘でしょ?
嘘…でしょ? 嘘よね?
お願い、誰か嘘って言ってよお!!
はーあー。
ま、こんなものかもねえ。
良い勉強になったじゃない。ま、自業自得ってヤツ?
誰だって想像付く事じゃない。あたしも自分がここまで間抜けだとは、思わなかったわよ。
何やってんだか、全く。
あいつも男なのよ。18の。彼女がいる位当然でしょ。
大体さあ、あたしだってすぐに彼氏作ってたじゃん。自分は良くて人は駄目なの? 独善者もいいとこね、あたし。
どんな娘なのかな。声は可愛かったけど。顔は、スタイルはどんな感じなのかな。あいつの好みって、どういう娘なんだろう。その内友達になれたらいいな。
はあ。
当然、だよね。
それだけの事、したもんね。
もう嫌いかな。ううん、嫌いでも、気にしてくれてたらいい。
もう、あたしの事なんて忘れちゃったかな。
シンジ…
シンジ! 助けてよ! あたしを救ってよ! ねえ、シンジ! 黙ってないで何か答えてよ! あたしを救ってよ!!
シンジ、来て、あたしを見て! シンジ!! シンジ…うっ…帰って来てよう…今までの事は謝るから、帰って来てよ!
シンジはどうして欲しいの? シンジの望む事なら何でもするから! 行かないでよ!
バカシンジぃ!
シン、ジぃ…うぅ、ぐう…グス…
行かないで、よう…
許してよ…シンジぃ…うあぁ!…あたしの、犯した罪はそこまで重い物だったの?
罰はいくらでも受けるわ、だから、帰って来てよ! シンジ!!
…ズッ…
シンジ!…シンジ…ひっく…
行かないで…あたしを…助けて…
シンジ…
シンジ…嘘でしょ? うぅ…嘘って言ってよぅ…
嘘だってさあ…
行かないでよう…
うう…シンジい!
嘘だってぇ…ッグ…言ってよ…
………シンジ……
最初に会ったのは、オーバー・ザ・レインボウ艦上だった。
「紹介するわ。エヴァンゲリオン弐号機の専属パイロット、セカンドチルドレン。惣流・アスカ・ラングレーよ。」
「…で? 噂のサードチルドレンはどれ? まさか今の…」
「違うわ。この子よ。」
「ふうん…冴えないわね。」
シンジ…
「違うのは、カラーリングだけじゃないわ。所詮、初号機と零号機は、開発過程のプロトタイプとテストタイプ。訓練なしのあなたなんかにいきなりシンクロするのが、その良い証拠よ。けど、この弐号機は違うわ。これこそ、実戦用に作られた、世界初の、本物のエヴァンゲリオンなのよ!
正式タイプのね。」
バカシンジ…
"LCL Einlass.Anfang der Bewegung,Anfang des Nervenanschlusses,Synchrostart!"
「バグだあ。どうしたの?」
「思考ノイズ。邪魔しないでって言ったでしょ。」
「何で?」
「あんた日本語で考えてるでしょ! ちゃんとドイツ語で考えてよ!」
「わ、分かったよ…ば、バームクーヘン。」
「バカ! いいわよもう!」
バカ。
「最後にタイミング外したの、そっちでしょ! 普段からボケボケっとしてるからよ!
昨日の夜だって、寝ないで何してたの?」
「今日の戦いの為の、イメージトレーニングだよ。」
「嘘ばっかし! 寝てる隙に私の唇奪おうとした癖に!」
「ずるいよ、起きてたなんて!」
「ひっどーい、冗談で言っただけなのに本当だったの!? キスしたのね!」
本当にバカなんだから…
「いきなり呼び出しといて、何か用?」
「あ、アスカ。…好きだ。付き合って欲しい。」
「な、何言ってんのよ! あんたふざけてんの?」
「ふざけてないよ! …本気なんだ。君の事が好きなんだ。」
「な、バカシンジがあたしの相手だなんて、百年早いわよっ!」
「…」
「…ありがと。その言葉は本当は、あたしが言おうと、思っていたの。その…こんなあたしでよければ、あたしと、付き合って、くれるかな?」
「シンジは、エッチな事をしないといやなの? その、付き合う相手とは必ずそういうことをしなきゃ駄目なの?」
「だ、だって、恋人同士じゃないか。それが、普通、なんじゃないの?」
「そう。…シンジは、そう思うの。」
「うん。」
「なら、私達、別れましょ。」
「…え?」
「これからパートナーとして一緒に研究をすることになります、技術調査部1課担当、森ムネアキです。よろしく。」
「私こそ、よろしく。」
「とうとう明日は出港だな。家族から離れるのは、辛くないかい?」
「別に。家族って言ったって、所詮は他人だもの。今はわくわくしているわ。」
「強いな。アスカは。」
「当たり前よ! 変よ加持さん、弱気な人間なら、エヴァのパイロットなんかつとまる訳無いじゃない。」
「そりゃそうだ。…頑張れよ。」
「うん。」
"...but she's so selfimportant. It's a bit hard work to cooperate with
her."
"That's your job, Major Nguyen."
"I know. But you see, she's proud Japanese blood and dogmatic German
blood."
What...
「すまない。もう会う事も、連絡する事も出来ないと思う。そういう決定だ。」
「そういう決定…か。あなたのね。」
「…そうだ。」
何よ?
"Leben Sie wohl, Asuka!"
"A ha. Bis dann, Vater, Mutter!"
"Telefoniere von Japan!"
"Verstanden!"
Was?
「惣流さんも、ちゃんと掃除をしてほしいと思います。」
「そうよ、ロボットのパイロットをやっているからって、私達を見下しているんだわ。」
「やっぱり良くないよ、公園だよ、ここ…」
「つべこべ言わないの。…ほら、こっちの方は喜んでるわよ。」
「アスカがそんな風にするから…ああ」
「弐号機、フィールド全開!」
「やってるわよ!」
「いやあ、アスカちゃん憧れちゃうわあ!」
"Es hat eine Abklatschmaschine, es geht das Gerucht."
"Auch es ist eine Japanische. Was macht es, wir wissen nicht."
「鼻こそばゆいから、息しないで。」
「アスカちゃん。ママね、今日あなたの大好物を作ったのよ。ほら、好き嫌いしてるとあそこのお姉ちゃんに笑われますよー。」
"...Sie hat ihr ganzes Leben der Forschung geopfert, und konnte ihre
Tochter kaum sehen."
"Es tut mir leid."
"Sie sind wie Puppenmutter und Tochter."
「だから今度アスカとデートする時は、僕がアスカの恋人になった時だね。」
「分かってる上で、嫌がらせで言ってるでしょ。」
"Japanische Affin! Japanische Affin! Komme hierher!"
"Zum Henker, Sie Dummkopfs! ...Au!"
"Idiotin, Idiotin! Auch du bist eine idiotische japanische Affin!"
"Nein!"
"Asuka! Was ist das?"
"Neuronales Muster der Pilotin irregular. Psychologische Verseuchung
beginnt!"
"Schaltkreise trennen, stoppt sie!"
"Keine Chance. Das Signal wird ignoriert. Es kommt nicht durch."
"WAS!?"
「ママ! あたしを見て! ねえ、ママ!」
思い出させないで!
「知ってるんでしょ、あたしの事も。」
知らないわよ、覚えてないわよ!
「…良かったね、アスカ。」
「うるさいわね、ちっとも良くないわよ! よりにもよって、あの女に助けられるなんて、あんな女に助けられるなんて!
そんな事なら死んだ方が増しだったわよ! 嫌い嫌い皆嫌い! 大っ嫌い!!」
何なの? 何なのよ、これ…
「…ごめんね。あたし、邪魔かな。」
「そんな事無いわよ。」
「あたし、勝てなかったんだ。エヴァで。もう私の価値なんて無くなったの、何処にも。…嫌い、大っ嫌い。皆嫌いなの。でも一番嫌いなのは私…なんかもう、どうでも良くなっちゃったわ。」
イヤ!
「一緒に死んで頂戴。」
「ママ! ママ、お願いだからあたしを殺さないで! イヤ! あたしはママの人形じゃない!
自分で考え、自分で生きるの!!」
思い出させないで!!
"Nein"
"Ouch"
"Erhangte"
イタい!
"Nein"
"Don't touch me!"
"Groll"
っが
"Nein"
"Stop!"
"Menarche"
ハゥ
"Nein"
"Don't enter!"
"Schmach"
あぅ
"Nein"
"No!"
"Doppelselbstmud begehsh"
嫌!
"Nein"
"Ouch!"
"ansauder"
イヤ!!
"Nein"
"Mamma"
"Wie angerlich"
Ouch!
"Peinlich es"
"Stiefmutter"
"der Verlust"
"Peinliche"
"Wahnsinig"
AAhhh!
"Nein"
"Ouch!"
"Tod"
"Nein"
"Ouch!"
Au!
"Nein"
"Tod"
"Nein"
"Ouch!"
"Tod"
Ooh!
"Nein"
"Nein"
"Nein"
"Ouch!"
"Nein"
Nein!
"Tod"
"Ouch!"
"Tod"
"Ouch!"
"Tod"
Aaachh!
"Nein"
"Ouch!"
"Tod"
"Nein"
"Ouch!"
Ach!
"Ouch!"
"Tod"
"Ouch!"
"Tod"
"Ouch!"
Ouch!
"Nein"
"Nein"
"Nein"
"Ouch!"
"Nein"
Neeeeiiinn!!
"Nein"
"Tod"
"Nein"
"Ouch!"
"Tod"
Aaauu!
"Nein"
"Nein"
"Nein"
"Nein"
"Nein"
Nein! Nein! Nein!
"Deine Miene zeigt kein naturlich Gefuhl."
Nein!
"Sei nicht angstigen, Asuka!"
...Was?
"Nein, komme nicht!"
Nein, hor auf!
"Kein problem. Komme hierher!"
Nein! Erinnere nicht!
"Nein! Papi, bitte, Hor auf! Bitte!"
Nein!
"Deine Leibe ist sehr schon. Schon, sehr schon."
Nein! Stop!
"Hor auf! ...Ah!"
Nein!!
"Du wirst bald gut Fuhlen haben, meine kleine Asuka."
Nein, nein, nein, nein, nein!
"Aaach, bitte, hor auf...bitte, nein! ...oh, ah, aaaauu! ...Papi."
Hor auf!
"...Gut!"
Nein!
"Bitte, bitte...ah. Gut...ach...Gut...Papi...ach"
Nein!!
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein.
Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. Nein. 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つづく
フラン研さんの『キーホルダー』第十一話、公開です。
手に汗びっしょり、
緊張で体がコキコキ。
キーホルダーを読むのには体力が要ります(^^;
他の作品の後書きなどで
「私はLASではない」
「LASは読まない方がいい」
なんて散々驚かされたから、怖い展開を考えてしまうんですよね・・
今回のように一人夜の街を歩いていると、
−レイプされるんじゃないか−
−事故に遭うんじゃないか−
とか考えちゃうんです・・
そして、今回の話でシンジをホテル前で見たことで、
−自暴自棄になって行きずりの男に身を任すんじゃないか−
−シンジを殺して自分も・・・−
更に怖い想像が (;;)
−地方の歓楽街で体を売っているアスカ−
・・あぁ・・・止めてぇぇ(爆)
これだけ”イヤな”オチを先に書いておけば、
フラン研さんも使えないだろうと思って書いたけど・・・
裏をかいて、そのまま使われたりして(^^;
いや、
「もっと酷いオチにしてやろう!」
と燃えたりして(^^;;;;
あっ!
「もう書き上げた」って言っていたっけ?!
無駄な努力だったか??!!(N2爆)
さあ、訪問者の皆さん。
フラン研さんにアスカを幸せにして!メールを・・・
「それじゃ、お先に失礼します。」
「ああ、御苦労さま。」
マヤはいつも通り年輩の同僚に声をかけ、図書館を後にした。
今日はシンジ君、帰るの遅くなるかもしれないって言ってたわよね。昨日から何かぼうっとしちゃって、変な感じだったけど、何かあったのかしら。
マヤは少し首を傾げながら、ペダルを漕ぐ。
マヤは帰り際にいつものスーパーで食材を仕入れる。
「今日は何が安かったのかしら…」
閉店間際のスーパーは慌ただしい。しかしこの時間は同時に閉店セールの時間でもある。
スーパーから出て来るマヤの顔がにんまり笑っていたところから見ると、今日の収穫は良好だったらしい。
赤く染まる坂道の中、マヤは軽快な自転車の速度を速めた。
その夜、シンジは何時まで経っても帰って来なかった。
「もう! 確かに門限は決めていないけど、遅れるなら連絡してよ!」
もう11時40分。雨が降り出したようで、水弾が窓を叩き付ける音が聞こえる。
マヤは洋画ペイチャンネルのリピートし続ける映画を2度見終わっていた。映画はアメリカのつまらない恋愛物だ。
キッチンには、冷めてしまったシンジ用のご飯、味噌汁、魚のムニエル、サラダ等がラップに覆われて並んでいた。
マヤは無言で、クッションをテレビに投げ付けた。
マヤはシンジを待ち続けるのも馬鹿らしくなり、自室に戻りに立ち上がった。自分の部屋への戸を開けようという時、居間にある電話が鳴りだした。
「はい、今出ます!」
電話台へ駆け込む。
「シンジ君?」
「あの…伊吹さんのお宅でしょうか?」
戸惑う電話の声は、若い女性の物だった。
「…あ、はい。そうですが。」
「はじめまして、わたくし、人類補償委員会の佐藤という者です。そちらに惣流さんはおられますでしょうか?」
マヤは思わず部屋を見回した。
「いえ。アスカはここにはいませんが。」
「そうですか…実は、惣流さんが行方不明なんです。」
「行方不明?」
「ええ、こちらで…警護の者を付けていたのですが、途中で見失いまして…」
森課長、これで良いですね。
ミモリは頭の中で問い掛ける。
正確には、技術部には情報をくれない委員会諜報部の「監視」とは別に、森が内密にアスカに「警護」をポケットマネーで付けていたのだが、そちらが目標を見失ったのだ。しかしここまでは一民間人に話す事ではないだろう。
ミモリは先程の森との会話を思い出していた。
「何故そこまでアスカちゃんを避けるんですか! 彼女、行方不明なんでしょう?」
「でも僕には、もうアスカに会う資格は無いんだ。アスカを救えるのは、伊吹さんであり、碇君なんだよ。」
「分かりません、課長の考えは!」
「彼女の故意?」
ミモリはマヤの声で電話に引き戻された。
「…いえ、分かりません。大雨の中、いきなり走りだしたそうで…」
雨宿りをしたかったんじゃないかしら? という疑問をマヤは飲み込んだ。
「そう…どこでロストしたの?」
「第二新東京市北新、野麦街道からやや南にそれた地点です。」
「それって…家のすぐ近くじゃない! 彼女、第二東京に来てたの!」
「えっ! 御存知無かったんですか?」
ミモリの声にマヤの方が圧倒された。
「10日程前から、そちらに戻ってますけど。」
「そう…分かったわ。私が探します。」
「すいません。お願いします。」
「有難う。」
マヤは険しい顔でジャケットを羽織り、外に出ようとした。
「ああ、そうだわ。シンジ君に連絡しないと。」ジャケットのポケットにある携帯から、シンジのポケベルの番号をかける。端末で送信文を打ち込む。
「これでよし、と。」
マヤはアスカを探しに家を出た。