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機動妖精
接触編・PART3

S-9 スピーチ(宣戦布告)

「わたしは、侵略株式会社ゼーレの惑星侵略超A級戦艦、インディペンデンスデイ艦長、ミサト=カツラギである」

凛とした声で、スピーチを始めるミサト。
が、カメラに映らないだけで、カンペがあるのを知ったら、幻滅であろう。

「われわれは、『地球』を侵略しにやってきた。直ちに降伏せよ。猶予は地球の1自転時間だけだ。それまでに降伏しなければ、即、攻撃を開始する。これは、宣戦布告である」

このスピーチは、全世界に、全言語で、同時放送された。

S-10 スピーチの反響

放送が流れた後、即座に反応したのは、マスコミ関係であった。
ワイドショーの取材依頼、ミサトの姿を見た芸能プロダクションによるスカウト、ミサトの制服姿を見てハマった、軍隊オタクによるファンクラブの公認化要請。

「この惑星ってなんなの?」

ミサトは、隣のリツコに、ふてくされた様な表情で聞く。

「この惑星には、統一府がないようね。実際にはあるようだけど、惑星外に対する組織がないみたいね」

冷静に答えるリツコ。

「で、他にわかったことは?」

「自滅係数って知ってる?」

「あんた、だれに聞いてるのよ。士官学校首席よあたし」

すちゃらかでも首席だ。

「なら、いいけど。100を超えてるの」

「なによ、それぇ!!」

自滅係数とは、惑星、国などで、持っている戦力を、全て自分に向けた場合に丁度全滅する場合を自滅係数1という。
100を超えてるというのは、『地球』100個滅ぼせる戦力を持つことを指す。

「この惑星(ほし)の連中はキ○ガイばっかりの様ね」

リツコの言葉は容赦がない。

「内戦が起こるように仕向ければ、手を汚さないで済みそうね」

ミサトの言葉も容赦がない。

「だめなのよ、ミサト」

「なんでよ?」

「この星の連中の最終兵器って知ってる?」

「なに?まさか、バスターマシン参号機(ブラックホール爆弾)?」

なんで、地球のアニメ知ってんねん、ミサト!!

「そういうのならいいんだけどね。何もかも無くなっちゃうし……。核兵器よ」

「核兵器?あんな公害兵器、使ってるの?原始的ねぇ」

「そうなの。それが、自滅係数100の理由よ」

「戦力のほとんどが核兵器なのね?」

「そーいうこと。だから、核兵器を使わせないで占領を終了しないと…」

「商品価値が無くなる…」

「うん」

「こりゃ、参ったわねぇ。今まで侵略した惑星(ほし)の中で一番、タチがわるいわ…」

頭が痒いミサトだった。

S-11 昼休みの教室

「おべんと、おべんと、うっれしーな。シンジのおべんと何かしら?」

アスカは、昼休みになるといつも明るい。
ドイツ生まれのくせに、お米のご飯が大好きなのだ。
なので、ご飯が食べられる昼休みは、彼女にとって至福の時だ。
が、シンジがお弁当を作ってくる、月水金は、至福の時というより、パラダイスなのだ。
それは、シンジが作るお弁当のおかずに必ず入っている卵焼きだ。
その卵焼きが絶品なのだ。
ふかふかのカステラの様な卵焼き。
将太も真っ青の卵焼きなのだ。
アスカは、シンジに以前聞いたことがある。

「どうして、シンジの卵焼きはおいしいの」

「これは、母さんの味だからね」

そう言った、シンジの顔はさびしそうだった。
アスカは、シンジとレイの母がいないことを知っていた。
亡くなった原因は、何かの実験中の事故だったらしいが、詳しいことはアスカは知らない。
そんなことがあったため、アスカは、卵焼きの秘密を聞くことをしなくなった。
そんなことをアスカが思い出している間に、みんなが集まってきた。

「ケンスケ君、今日は、おもしろいもの持ってきたのよ」

と言って、お弁当の巾着から、歯磨き粉の様なチューブを取り出しているマユミ。

「それって、初期の宇宙食じゃないか?」

さすがは、ケンスケ。
マニアックなものはオマカセだ。

「そう、この前、NASAの通販で見つけたの。復刻版だって」

「そうか、で何が入ってるんだい?」

「ビーフステーキらしいわよ」

チューブに入った、ビーフステーキの味とは、いかなる物か?筆者も味わってみたいものである。

「じゃ、あとで頂かせてもらうよ」

そう言いつつ、なぜかケンスケは、悪い予感がしていたのだった。

「他にはないの?」

見たがり、聞きたがり、ついでに食べたがりのレイは、早速、チューブ入りの宇宙食に興味を示した。

「あとねぇ、デザートのマスカットがあるんだけど…」

そう言って、表情を曇らせるマユミ。
レイは、普段ボケててもそこは、女の子。

「あ、いいのよ、相田君と食べるつもりで持ってきたんでしょ?」

と、気づく。

「うん、ごめんね」

「いいって、いいって。あ、相田君で思い出したけど、写真撮れた?」

「ああ、撮れたよ。ただ、影だけなんだ」

「なんだい?写真って?」

お弁当の包みを開けようとしていた手を休めて、シンジは聞いた。

「ああ、宇宙船らしきものの写真さ」

「らしきものじゃなくて、宇宙船よ、UFOよ!!」

ケンスケの言葉にちょっと引っかかったマユミは、強く否定し、補足した。

「へーっUFO?あんた、やっぱりオタッキーねぇ」

ちょっとからかうようにアスカが言うと、

「ケンスケ君はオタクじゃないわ。ちょっと趣味が変なのよ」

と、マユミがトドメを刺した。

「そりゃないよ、マユミちゃん…」

そう言って、嘆くケンスケの目には、アメリカンクラッカーのような涙。

「それは、そうと写真は?」

何事もなかったかの様にそう聞くシンジは、案外薄情である。

「もう、いいよ…。これだよ」

と、ケンスケは、データカードを渡す。
シンジは、渡されたカードを携帯端末に差し込み、電源を入れる。

「35枚目より後ろがそうだよ」

「それより前は何が入ってるかな?」

シンジはちょっといたずら心を出して、プレビュー表示にした。

「ちょっとやめろよ、シンジ」

見られたくないので慌てるケンスケ。

「まぁ、いいからいいから」

と言ってローディングの時間稼ぎをするシンジ。

「あ?これ…?」

「そうだよ…」

ちょっと、恥ずかしそうなケンスケ。

「なになに?なにが写ってんの?」

見たがりのレイは、覗き込む。

「えー?マユミ?」

アスカも気になったのか覗いている。

「これ、今まで撮った写真?」

マユミは、ちょっち恥ずかしそうにつぶやく。

「そうさ。入学式から、各行事ごとに撮ってたものさ」

「あんた、入学式から目をつけてたの?」

アスカは、あきれたように言う。

ケンスケとマユミは、今は恋人と言ってもいい関係だけど、実は、ここまでくるのには、結構、周りで協力した部分があるのだ。

「うん。ちなみに入学式の時点じゃ、アスカやレイも、チェックしてたよ」

「あんた、自分の彼女がいる前でよくそんな事言えるわね」

さらに、あきれたように、アスカ。

「ああ、前にこの話は、したからな」

と言いつつ、マユミに目を向けるケンスケ。

「うん」

マユミもケンスケと視線を合わせる。
そのまま見詰め合うふたり。

「「「…」」」

ふたりの様子に『唖然』な3人。
その静寂を破ったのは、沈黙に弱い空色の髪の少女だった。

「ねぇ、写真は…?」

たぶん、周りの空間ごと、静寂が崩れ去る音がしただろう。
『ガラガラ』
とね。

「あ、ああ、これさ」

ケンスケは気を取り直して、シンジの端末に直接ファイル名を入力して表示させた。

「太陽の中に写ってる影がそうだね」

「ああ」

「これって…」

「ああ、そうさ。さすがに惣流は気づいたみたいだね」

「気づかないほうがどうかしてるのよ」

と言い、シンジに目を向ける、アスカ。

「え?」

間抜けな声を出すシンジ。

「まったく、お馬鹿さんなんだから、シンジは。いい?太陽の中にこれだけの大きさで写ってるっていうことは、相当な大きさだということなのよ?」

「そうなのよ、碇君。MITによると、全長5kmということよ」

「全長5kmのユーフォーーーーーッ?」

レイは絶叫する。
声も裏返っている。

「そ。でも、UFOというより、船に近い形をしてるわね」

「だから、宇宙船と言ったのね?」

「そうよ。でもこの写真じゃ大体の大きさを確認できてもはっきりした形はわからないし…もう少し、はっきりした写真が欲しいわね」

そう言って、シンジの端末に手を触れたかと思うと、見えないキーボードタイピングで、どこかにアクセスするマユミ。
画面上には、電話番号が表示されている。

「この番号って…、もしかしてNerv?」

「ええ」

「もしかして、ぼくの端末でハッキングする気?」

焦るシンジ。
マユミがハッカーだからだ。

「だと言ったら?」

「そそんな、困るよ」

「うそよ。『お父さん』に連絡するの」

「なぁんだ」

と、安心するシンジ。
が、端末のモニターに現れたのは、

「なんだ、シンジ。何か用か?こっちは忙しいんだ」

シンジの父、ゲンドウだった。

「と、父さん」

マユミの父かと思ったら、自分の父親が出てきて焦るシンジ。

「なんだ、用がないのか?なら切るぞ」

「待ってください、おじさま」

そう言って、シンジの端末の前にヒョイと顔を出すマユミ。

「おお、君は、山岸君の…、たしか、マユミちゃんだったね」

先ほどまでの顔の険しさが取れ、相好を崩すゲンドウ。

「ええ、おじさま」

「そうか、マユミちゃんだったか。ひさしぶりだね、大きくなったねぇ」

顔が緩みっぱなしである。

「ところで、おじさま」

「ああ、わかってる。宇宙船のことだろう?」

「さすが、おじさま」

「ははは、で、なにが欲しいんだい?」

「あはは、わかりますか?」

「わかるよ。君がわたしに電話するときは、お父上に頼めない、おねだりだからね」

そう言って、メガネを光らせるゲンドウ。

「実は、宇宙船の全景写真を、一枚」

「そうか、宇宙船の全景写真か。一応、国家機密になるんだがなぁ…」

「そこを、お願いします」

手を合わせる、マユミ。

「よし、わかった。じゃ、お父さんに渡しとこう」

「ありがとうございます、おじさま」

「ああ。ところでシンジ?」

いきなり厳しい顔のゲンドウ。

「なに?父さん…」

「おまえ、成績が落ちてるようだな」

「えっあっあっあの…」

いきなりなので慌てるシンジ。

「まぁ、いい。その話は、今晩帰ってからだ」

「あら、お父さん、今日帰ってくるの?じゃ、夕飯の用意しとくわね」

レイの発言は、ちょっちボケ気味である。

「ああ、頼む。ところで、シンジ、レイ、それにアスカちゃんもだ。見せたいものがあるから、Nerv本部に来てくれ」

「あたしもですかぁ?おじさま」

嫌そうなアスカが、端末の前に顔を出す。

「ああ、あすかちゃんもだ。頼むよ」

ゲンドウは、アスカに対して手を合わせて頼んだ。

「しょーがないわねぇ。で、なにを見せてくれるんですか?」

手を合わされて頼まれては、アスカも断れなかった。
が、『見せたいもの』が気になるので聞いてみた。

「ああ、それはな」

「ええ」

「秘密だ」

「あのねぇ、おじさま…」

アスカは、こういうおふざけが嫌いらしい。血管が浮いている。(^^#である。

「お父さんったら、おちゃめね」(^^)

レイはそーいうのが好きらしい。

「そうか?ははは」(^^)

愛娘の前ではゲンドウもただの親馬鹿な親父である。

「と、いうことでだ」

「なぁにが『ということ』ですか、おじさま!」

切れ掛かってるアスカ。

「まぁまぁ、じゃあ、本部の方に来てくれよ。待ってるからな」

そう言うと、一方的に端末を切ってしまった。

「んとにもう!おじさまったら!!」

プリプリ怒りまくるアスカ。
その様子にいち早く待避する、ケンスケ&マユミ。おまけのレイ。
ひとり取り残されたシンジは、メデューサに睨まれ石化していた。
合掌。

次回に続く

ver.-1.00 1997-08/24公開

ご意見・感想・誤字情報などは masaya@mars.interq.or.jpまでお送り下さい!


どうも、峯マサヤです。
第参話、いかがでしたでしょうか?
さて、第壱話でのクイズの答えを発表します。
『ARIEL』(エリアル)原作、笹本祐一
です。
予想以上に反響が大きく、びっくりしました。
正解者には、主人公ロボットのCGを贈らせていただきます。(^^)
気長にお待ちください。(^^;;
それでは。

 峯マサヤさんの『機動妖精』接触編・PART3、公開です。
 

 [バスターマシン]
 [将太]

 炸裂するマイナーネタ!

 マイナー度で言えば[バスターマシン]が上でしょうが、
 ここは[エヴァ]ページ。
 訪問者の皆さんは結構知っているんじゃないかな?
 

 それに[ARIEL(エリアル)]。
 このクイズには当たった人もなかなかいたようですね(^^)

 私も精進しなくちゃ・・・・あまりしたくない精進だな(^^;
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 貴方のマイナーネタを峯さんに送りましょう!

 

 

 

 

 

 ロリオヤジゲンドウ・・・


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