「どうだったミサト、彼は?」
ネルフ本部にある鍛錬場からでてきた葛城ミサトに、赤木リツコが声をかけた。ミサトは汗を無造作に拭くと、大きな溜息を漏らす。不機嫌そうに首を振ると傍らに設置された長椅子に身体を投げ出すように腰をかける。
「当分駄目ね、まだ時間がかかりそうだわ・・・」
予想していたことであったが落胆は隠しきれないミサトであった。リツコはそんなミサトから視線をはずすと、鍛錬場の中を見やる。そこには剣を抱えたままうずくまっている少年の姿があった。少年の名は碇シンジといった。
「アンタ誰?」
シンジは血管が凍り付いたような気がした。血の気が引いていくのが自分でも分かる。
「な、何言っているんだよ!僕だよ!幼なじみのシンジだよ!!」
「アタシは確かにアスカ、惣流アスカ・ラングレーよ。だけどアンタなんて知らないわ。ナンパならもっとうまい手を考えるのね」
「ア、アスカ?!」
「しつこいわね!!アンタなんて知らないって言ってるでしょ!!」
アスカは冷淡に言っているつもりのようだったが、内心おだやかでは無い様子で、顔は上気しうっすらと汗をかき始めている。
「ほら、加持さん早く行こうよ!!訓練の時間なんだから」
「まあ、待てよアスカ。この子は君を知っているようだよ。そうだよな、」
「碇シンジ君・・・」
「アスカ、碇シンジという名前に聞き覚えはないのかい?」
加持は1人冷静な声を出した。シンジとアスカを交互に見渡すと、対峙するように立っている2人の肩に手をおく。
アスカは何だか苦しそうである。こめかみの辺りをしかめながらシンジの顔をチラチラ見ている。そして沈黙を破って決定的な一言を口にする。
「そんなヤツ、知らないわ」
「行きましょ、加持さん。こんな訳の分からないヤツほっといて。魔法の訓練がもう始まる時間なの」
アスカはそう言うなり、生ける彫刻と化したがごとく全く動けないシンジの脇をすり抜け、加持の腕を引っ張った。
「アスカ、ちょっと待った方がいいんじゃないのか?訓練の時間はいくらでも延ばすことができる」
「ヤダ!!絶対イヤ!!早く早く!!」
アスカはそう言うやいなや加持を引きずるようにして正面ゲートまで連れてきた。
「あ、そうだ、アスカ。俺は少し用事を思い出したから先に行っていてくれ。魔法の訓練場はさっき案内しただろ?」
「え、加持さんがいてくれないと訓練に身が入らないよぉ!」
「まあまあ、終わる頃には絶対迎えに行くからさ。それとも1人で訓練場まで行くこともできないのかい?アスカ」
「そ、そんなことありません!!1人で行けます!!」
アスカは反射的にそう叫ぶと加持の元を離れていった。加持はアスカの駆け出していく背中を心配げに眺めた後、未だ突っ立ったままのシンジのところに戻ってきた。
「君は碇シンジ君だよね?」
加持にそう声をかけられても、シンジは気づかなかった。鼓膜は加持の声に振動しているのだが、脳は反応していなかった。目の前にあることを受け入れたくないと願ったシンジの生命活動は、停止してしまったかのように見える。
「彼女はおそらくは君が知っているアスカだよ」
少し間をおいて、加持は暖かみのある調子で言った。
シンジはゆっくり顔を上げ加持を見上げる。
「座って話そうか?」
加持はまだ自分を取り戻していないシンジに、やさしく肩に手を回すと木々の間にあるベンチに連れていった。
「彼女には記憶がないんだ」
加持の諭すような声にシンジはうつむいた顔を少しだけ上げた。
「彼女は一ヶ月くらい前にこの世界にやってきた。丁度君と一緒の時期にね。流れ着いたのはここから少し北にいったところだ。それから彼女は3日間ほど眠り続けたらしくてね。訊いたら自分の名前以外は何も覚えてないって言うんだ」
独白するかのように淡々と話した加持は、いったん話を止めた。それからシンジの頭をポンポンと2回たたき、のぞき込むような体勢をとった。
「色々事情があってね、彼女はこの世界に来た時、周りの人間に少しつらい目にあわされたんだ。それであまり人を信用できなくなっているだけなんだ。だからあんな風な態度をとったんだと思う。実は彼女もとても不安なんだよ。昨日の夜遅くこの街に着いて、本部に来たのは今朝だというのに、魔法の稽古をするってきかないんだからな。何かをやっていないと不安なんだろう。君は記憶がなくなる前の彼女を知っているのだろう?だったら支えてあげなくちゃ駄目だ。守ってあげなくちゃ駄目だ、碇シンジ君」
加持に励まされたシンジは幾分落ち着いたように見える。しかしその瞳の色は曇ったままだった。立ち去ろうとする加持にシンジが最後の尋ねた。
「あ、あの、なんで僕を知っているんですか?」
「昔、六分儀ゲンシュウ閣下には、お世話になったことがあるからね」
そう言って笑った加持だが、明確な回答にはなっていない。しかし混乱しているシンジはそこまで頭が回らなかったし、ゲンシュウの名を耳にしたことで少しだけ気持ちが落ち着いた。葛城ミサトと六分儀ゲンシュウはこの世界でシンジが頼れる数少ない存在なのである。その後ポンと手をたたいた加持は、バツが悪そうに頭をかき始めた。
「そうそう、自己紹介もしてなかったな。俺は加持リョウジだ。詳しいことは葛城にでも訊いてくれ」
加持は飄々とした様子で去っていく。その背中を見送ったシンジの顔には少し血の気が戻ってきた。凍り付いた血液は再び流れ始めたようである。しかしシンジは未だ動くことができずにいた。
どのくらい時間がたったのかシンジには分からなかったが、うつむいたまま下を向いていた視界に影が映った。影はしばらくシンジを見下ろした後、隣に腰をかけた。シンジは自分の頭に暖かい手が乗せられていることに気づく。顔をゆっくりとあげるよ慈母のような微笑みを浮かべたミサトがそこにいた。
幼い時に両親と離ればなれとなったシンジは、母親の温もりを知らなかった。シンジは自覚がなかったが、ミソトの微笑みに母親の姿を見たのかもしれない。その瞬間止めどなく涙が溢れてきた。今まで止まっていた時が動き出す。ミサトは自分の胸の中で泣きじゃくるシンジの髪を、いつまでもそっとなでていた。シンジの泣き声がおさまってからしばらくした後、ミサトは思いっきり陽気な声でシンジに言った。
「さ、シンジ君いつまでもそうしていても始まらないわ。身体を動かしに行きましょ」
「それにしてもあのアスカっていう少女すごいですね」
司令部にもどってきた日向マコトは興奮気味だった。
「そんなにすごかったんですか?」
技術部所属の伊吹マヤは、愛くるしい目を丸くして聞き返した。
「それは、もう!修行をはじめてまだ間もないというのに、炎の上級呪文を唱えてしまったんだぜ。それに剣のほうもかなりのものだよ。気のコントロールもほぼできるようになってきたし。さすがは適格者っていったところだよ!」
自分の手柄のように嬉しそうに話すマコトとは対称的にミサトは1人暗い表情をしていた。
「適格者っていったらもう1人のほうはどうなんです?先ほど剣の稽古をつけていたみたいでしたけど、葛城大尉」
マヤの一言は何気ないものだったが、ミサトは形の良い眉をピクリと動かしただけで何もしゃべらなかった。
「さっき訓練をチラリとみたけどアスカとは雲泥の差って感じだったな。極光の剣も宝の持ち腐れだからアスカに持たした方がいいのかも・・・」
マコトが呑気に言った瞬間ミサトは不機嫌そうに立ち上がり、一言だけ残すと奥の士官室に消えていった。
「シンジ君は強いわ」
「いれこみすぎなんじゃない?」
奥の部屋に引きこもってしまったミサトを追うようにしてきたリツコは、コーヒーの入ったカップを手渡しながら言った。
「シンジ君が強いのは事実よ。私から剣で一本とるくらいにね」
淡々とした調子で出てきた言葉にリツコは目を丸くした。ミサトはジオフロント世界で、最も隆盛を誇る流派・天王流皆伝の認可を弱冠19歳で受けた天才剣士である。今ではその名はUN内にも響きわたっており、天王流四天王の一角にも数えられる。当然生半可な腕では彼女から一本とることなどできはしない。日向マコトや青葉シゲルでも訓練でミサトに子供扱いされている。そのミサトからシンジが・・・。
「旅の途中でも訓練は続けていたわ。あれはネオトウキョウに着く前日、私はシンジ君に木刀を叩き折られたわ」
「でも本気じゃなかったんでしょう?」
リツコはまだ信じられないのか半信半疑である。
「もちろん油断があったことは認めるわ。でもあの瞬間のシンジ君の力は、私を凌駕していたことは事実ね・・・」
その時ミサトは苛立っていた。ミサトが繰り出す剣はシンジにことごとくかわされている。かわすというより、逃げているだけなのだが、とらえられないことへの焦燥感は募るばかりだった。自分の剣士としてのプライドもある。いくら抜群の資質をみせているとはいえ、14歳の修行を始めて間もない少年にかすりもしないほど、自分の剣は安くないとミサトは思っていた。
ミサトは剣に気を込めると、右手を右袈裟から左袈裟へと8の字を描くように回転させた。振り下ろした木刀からは青白き波動がほとばしる。それも2つ。ミサトが繰り出した気功波は、シンジを両側から包み込むような孤を描いて疾駆した。シンジの逃げ場所は上空か前しかない。シンジは飛んだ。気功波を避けて、後方に着地するつもりだった。
シンジの視界に突然影が映る。いつのまにか自分の目の前に剣を振りかぶったミサトがいた。シンジはわけがわからなくなった。飛んだ時にミサトが自分の前方にいたことは確認している。それが自分より早く上空にいるとは・・・。
「残像攻撃?!」
シンジは自分の迂闊さを呪った。確認したはずのミサトは残像の1つだったのだ。ミサトはシンジの逃げ道を読み切っていたのだ。
「天王流 残月!」
ミサトが叫んだ時、シンジはどうにもならないことを確信していた。一応防御の構えを取ろうとするが、身体が宙にあるのでは思うような動きはとれない。必死に目だけはつぶらないようにして衝撃を待った。
ミサトは少し笑っていた。けなげな防御姿勢をとるシンジに。そして何よりも大人げない攻撃を繰り出してしまった自分に。ミサトがその気ならこの場でシンジの首をはねることも可能だった。持っているのはただの木の剣であったが、ミサトの気が込められていれば真剣同様の破壊力がある。ミサトは自嘲気味にもう一度笑うとシンジの木刀目がけてて剣をたたきつけた。剣は鈍い音をたててへし折れ、シンジは下方の茂みへと落下した。
「あっちゃー・・・やりすぎちゃったかな?」
茂みに消えたシンジの気が感じられなかったミサトは頭を抱えた。もし怪我でも負わせたらどうしよう?リツコにどやされる!表情を曇らせたミサトは、バツが悪そうに頭をかいた。
その瞬間だった。ミサトの両脇を挟み込むように、白いオーラをまとった気功波が突進してくる。
「まさか、残月?!」
ミサトは内心うろたえながら前方に走った。相手の位置を確認できない以上宙に飛ぶのは危険すぎた。シンジは自分の気を消しており、一度気を抜いてしまったミサトはシンジを見失っていた。
ドバッ!!
ミサトは足下から殺気を感じた。土が捲れ上がり鋭い気の槍が下から突き上げてくる。
「そんな!これは土龍牙?!」
鋭く練った自分の気を土中にから相手の下に潜ませ、下から突き刺す天王流・土龍牙、かなりの熟練者がのみが使える天王流秘伝の剣技の1つである。ミサトは一瞬シンジ以外の誰かがいるのかとさえ思った。とても修行を始めて一ヶ月余りのシンジに使える技ではない。
ただミサトは知らなかった。シンジが天王流の技のほとんどを見たことがあるという事実を。天王流最高の称号・剣聖を生者で唯一所有する六分儀ゲンシュウは、シンジにその技のほとんどを見せていた。剣術には見取り稽古というものがある。優れた闘いや技を見ることによって自分もその技を身につけることができる場合がある。最もかなりの素質やその後の修練を必要とするが。
土龍牙を間一髪かわしたミサトの上にシンジが降ってくる。手にした木刀は根元から折れていたが、折れた先から青白い気が剣を形成していた。
「月影の応用?!」
シンジの鋭い斬撃を受けたミサトの木刀は真っ二つに折れた。シンジは不気味に目を光らせると、息も絶え絶えに倒れ込む。どうやら無意識の内に技を繰り出していたようだ。もし、シンジが手にしていたのが木刀ではなく真剣だったら、シンジがゲンシュウから譲り受けた極光の剣だったら自分は死んでいたかもしれない、ミサトは冷たい汗を背筋に感じていた。
ミサトの話を聞き終えたリツコはしばらく無言だった。
「EVAの力が発動されたってこと?」
「いや違うと思うわ。シンジ君の右手首の宝玉は光ってなかったし・・・」
沈黙が場を支配する。ミサトとリツコは手に持ったコーヒーをすするのさえ忘れて物思いにふけっていた。しかし静寂は突然破られた。
「葛城大尉、!赤木博士!早く来て下さい!一大事です!」
部屋に飛び込んできたのは、血相を変えた青葉シゲルだった。
「ではその村は魔族の攻撃をうけて全滅したというの?」
「はい・・・。諜報部の報告によれば、多数のしかも魔法の使用痕から推測するに、かなりの高位魔族までもが事件関わっている模様です」
青葉シゲルの少し震えた声に、ミサトは表情をしかめた。報告が入ったのはついさきほどである。ネオトウキョウの50qほど北にある相模の街の近郊に位置する村が壊滅したいうのだ。しかも村の中央部には巨大なクレーターがあったという。土がガラスのようになっていたというから、かなりの高熱を発する魔法が使われたことが分かる。しかも、腐食した岩石が存在したというのなら間違いなく暗黒魔法。村人が食べられたという報告もはいっており、魔族である可能性が極めて高い。
「葛城大尉。作戦行動部の全部隊を甲種戦闘装備で出撃させたまえ。現場指揮は君に一任する」
ネルフ司令・碇ゲンドウは冷徹な声で言い放った。
「ですが、それでは本部の警備が手薄になるのでは?」
「問題ない。大丈夫だ」
ゲンドウの不敵な調子は変わらない。
「それから2人の適格者も連れて行け」
「し、しかし彼らはまだ訓練不足です。もう少し鍛えてからではないと・・・」
「かまわん。現在使えないというのであれば、使えるようにするしかない。強くなるには実戦が一番だ」
ゲンドウの調子には反論を許さないような冷たさがあった。冬月は内面を全く見せずに命令を下したゲンドウを複雑な表情をして見ているが、口に出しては何も言わなかった。会議を終えた後の幹部の表情は様々だった。全く表情を変えないゲンドウ、眉をひそめて苦虫を噛みつぶしたようなミサト、最後にゲンドウの意味ありげな視線をうけて含み顔の冬月とリツコ、1人だけ場違いに思える楽しげな表情をしている加持。それでも彼らは内面の葛藤を片づけて闘いに赴く顔へと、表情を変えていった。外見に相違はあるが、彼らはみな戦士であった。
作戦行動部が出撃したその晩、赤木リツコはネルフ本部をとりまく深い緑の一角にいた。おもしろくなさそうに煙草に火を付ける。2,3回煙をはきだすと、ろくに吸いもせずまだかなり長く残っている煙草を、ベンチに備え付けの灰皿に押しつける。右手を白衣のポケットに手を入れ、左手で髪をかき上げ、そっと息をつくとベンチから立ち上がって歩き出した。
数歩足を踏み出したところでリツコの周りに黒く湿った風が吹く。不快そうに目を細めてまばたきを2回する間に、リツコの周りを暗い影が囲っていた。数は10体あまり。円形にリツコを囲みどす黒い妖気を放っている。この世の者ではない闇に取り囲まれてもリツコは声1つあげなかった。ポケットから煙草とライターを取り出しただけである。
「ぐふふ、いい女じゃねぇか。これは拷問以外にも楽しみがふえそうだぜ・・・」
黒い影は最初は人の形を取っていたが、妖気が充満してくるにつれ異形の姿に容貌を変え始めている。化け物のなかでも頭に角を生やし始めた黒い影は、リツコの顔をなめるように凝視すると、下品な声を出した。
「いい女っていうのは、分かってるじゃない。物わかりがいいのに免じてこの場は許してあげるわ。さっさと立ち去って自分の品性に見合った相手を見つけることね。もっともそんな相手を捜すのは不可能に近いでしょうけど」
全く状況を理解していないようなリツコに、影達は色めき立つ。
「人間のくせして生意気な女だぜ。かわいがってやろうと思ったが、さっさと食い殺すか?」
「待て、ネルフの情報をとるのが先だ。サキエル様の命を忘れるな」
ざわめく魔族たちの中で1人だけ冷静な態度を保っていた影が前に出る。その影だけは依然人としての形を保っている。
リツコは自分の目の前に黒い影が立っても動じた様子はみせない。煙草を一本取り出すと、火を付けようとするだけである。
チッチッチ
リツコは煙草をくわえたものの、なかなか火を付けることができないでいる。何度も親指でこすってみるが、ライターから炎は出ない。風は止んでいた。
「何をしている・・・・」
「何をしているかと言っているんだ?!」
その叫び声と同時に閃光のような殺気が走る。リツコを包囲していた魔族の半分は、何も分からない間に絶命した。
「散れ!!」
絶叫と同時にその場を離れようとした首領格の影は、瞬時に自分の失敗を悟った。逃げだそうとして上空に飛んだ身体は、見えない結界に阻まれ天井にぶつかった香のように落下した。
「この赤木リツコから簡単に逃げられると思ってもらっては困るわ・・・」
それは死の宣告にも等しい声だった。ぞっとするほど冷たい声を発しながらリツコは呪文の詠唱に入る。まるで金縛りにでもあったのかのように震える影は、一歩も動くことができなかった。
「あ、赤木リツコ・・・。あの天才魔法医師・赤木リツコか?!」
悲鳴と共にリツコの呪文は完成していた。
「黒魔夢幻陣!」
リツコの鋭い声と同時に影は、自分よりもなお暗い漆黒の球体に包まれていた。そして球体の中で溶けるように消滅していく。リツコは完全に消えたことを確認すると鼻だけで笑って再びベンチに腰をかけた。
「ご苦労様」
スラッとした足を組んで新しい煙草を取り出したリツコに、場違いなくらい陽気な声がかけられる。
「さすがね。ライトニング・エッジ。加持リョウジ・・・」
リツコの背後には不敵な笑みを浮かべた加持リョウジが立っていた。一瞬にして魔族を片づけてしまったのにそれを全く感じさせない雰囲気を持っている。
「こっぱずかしいあだ名で呼ぶのは止めてくれよ、リッちゃん。それに全然知られていないんだから」
ライトニング・エッジ。雷の刃と言われる加持の異名は全く知られていなかった。生きている者の中では。彼の恐るべき能力を垣間見て生きている人間は、味方にも敵にも両手の指で数えられるくらいしかいない。
「それからいくらモールス信号でも、ぶっ殺せなんていう言葉はうら若い女性が言うことじゃないよ」
「品性を向こうに合わせただけよ」
リツコは素っ気なく言うと煙草を初めて満足そうに吸った。
「もう行くんでしょ?加持君。あなたの愛しいミサトが待ってるわよ」
「そうだな。初陣の子供2人をほっておくわけにもいかないしな・・・」
加持はそれだけ言うと夜の闇に消えた。シンジとアスカの初めて闘いはもう、そこまで迫っていた。
MEGURU さんの『ジオフロント創世記』第4話公開です(^^)
必死にその姿を求めていた少女との再開。
歓喜のシンジに対するアスカの言葉は・・・・
辛い再開シーンでした。
あのアスカをここまで意固地にさせた”つらい目”とはなんでしょう?
訓練中に見せたシンジ、驚異の才能、
下級魔族を一蹴した加持とリツコの腕、
迫力ある戦闘がつづきましたね。
さあ、訪問者の皆さん。
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