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私立第三新東京幼稚園 A.D.2007



第一話 年長組


「シンちゃーん,朝よ.もう起きなさい」
ある4月の朝,碇ユイは5歳になる一人息子を起こしていた.
「ふぁぁ,おかーさん?あと5分...」
母親にシンちゃんと呼ばれた息子シンジは布団にくるまって出てこない.
「寝ぼけてないでさっさと起きなさい.お隣のアスカちゃんも来てるわよ.」
そう言いながらユイはシンジの布団を引っぺがしていった.
「ふぇ?アスカがぁ〜?」
シンジはまだ半分寝ぼけまなこで着ているパジャマのボタンをたどたどしい手つきで外 し始めた.
「なにぐずついてんのよ,バカシンジィ〜!」
威勢の良い声がふすまの方から飛んでくる.シンジが声の方に顔を向けると幼稚園の制 服に身を包んだ栗色の髪と青の瞳の女の子が両手を腰にあてて仁王立ちで立っていた. 女の子,惣流アスカとシンジは生まれる前から家がマンションの隣同士で二人が生まれ てからはお互いの家に遊びにいったり,近所の公園で一緒に遊んでいた.
「そ,そんなこといったてぇ〜」
シンジはちょっと気の強そうなその子の声を聞いてますますボタンを外す手つきが怪し くなってきた.シンジの方がアスカよりも半年ほど早く生まれているのだが子供同士の 力関係は完全にアスカが上であった.
「きょうから,おねーちゃん・おにーちゃんになるんだからね.きがえぐらいさっさと してよね!」
今日は二人にとって幼稚園の年長組としての最初の登園日だった.
「うーんとぉ〜」
シンジは急いでボタンを外そうとするが急げば急ぐほどうまくいかない.アスカに急き 立てられたことで舞い上がってしまったようである.
見かねたユイがボタンを外すのを手伝おうとするが,
「ユイ...」
隣のリビングで新聞を広げていた夫ゲンドウの声を聞いて手を止めた.
アスカにせっつかれ母親も手伝ってくれない状況の中で,シンジは早く着替えようとす るがうまくいかない.次第に表情が涙目になっていく.
「まったくもう...ちょっとかしなさいっ!」
アスカはシンジにそう言うと側に寄って彼のパジャマの第一ボタンを外した.
「それからバンサイしておじぎなさいっ!」
シンジが言う通りにするとアスカは器用にかつ荒っぽい動作でシンジのパジャマをめく りはがした.パジャマの生地が頭で擦れてちょっと痛い.
「ひどいよぉ...アスカ...」
「いやだったらさっさときがえられるようにすることねっ!それよりきがえたらさっさ とあさごはんたべるのよっ!」
そう言ってアスカはリビングの方へ出ていった.その一部始終をユイは微笑ましく見て いた.ゲンドウは新聞の影でニヤリと笑みを浮かべていた.
『うまくいかないのはアスカがせかすからじゃないか...』
シンジは少しいじけていた.

第二話に続く?

公開04/29
お便りは qyh07600@nifty.ne.jpに!!

1997/04/26 Ver.1.0 Written by VISI.



筆者より

おおざっぱに言えばTV第26話の学園エヴァの世界より8〜9年さかのぼったという 感じです.
5歳児にしてはおませさんです(特にアスカ).あと,言葉づかいが5歳児のものとは 思えませんが大目にみてやってください.

誤字・脱字・文章・設定の突っ込み等は,
までお願いします.


 めぞんEVAに14人目の入居者[VISI.]さんがやって参りました(^^)/
 投稿第1作『私立第三新東京幼稚園』、公開です!!

 う、5歳のシンジ君がかわいい!
 ああ、5歳のアスカちゃんがかっわいいっっ!!

 [めぞんEVA]初の幼いバージョンの二人にほほが緩んじゃいましたよ。
 他のメンバーはどんな形で登場するのでしょうか?
 保母さん達は?

 兎にも角にも楽しい幼稚園が描かれるんでしょうね!!

 さあ、訪問者の皆さん、
 新しい住人である[VISI.]さんをメールで歓迎して下さい。


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