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新説エヴァンゲリオン
至上のゆりかご



  〜ゆりかごで遊ぶ 見守られながら あなたの愛情に
静かに 気づいた 僕は目隠しで あなたを満たそうと〜


ピンポーン
「碇さーん 宅配便でーす」
「ハーイ」
彼女はパタパタと玄関に歩いて行きながら、今朝夫が仕事に出掛ける時に
言った言葉を思い出していた。
「あ、あのさ、今日さ、その、宅配便が届くと思うからなるべく家にいてほしいんだ。
それと、あの、今日の晩御飯は僕が作るよ。買い物も会社帰りに僕がしてくるから」
そう言った彼の顔は何故か少しだけ赤く、こっちを見ていなかった。彼女は、”どうしたんだろう”と
思いつつも、
「うん。分かったわ」
と答えたのだった。
カギを外し、ドアを開ける彼女の髪は限りなく透明にちかい蒼、その瞳は緋色。
宅配会社の青年は、玄関に立つ彼女に見入ったまま動かない。
「あの?」
「あ、し、失礼しました、お届け物です、こちらにサインをお願いします」
そう言いながら伝票といっしょに渡されたものは随分と立派な花束だった。
彼女の髪のようなブルーのコスモスや、その他いろいろな花がちりばめられていた。


    〜目と目があうなら 笑顔を渡そう 出着るだけ楽しく〜



部屋に戻った彼女はもう一度その花束を見つめた。
それには一枚のカードが添えられて いた。

”From Sinji”

とある。
知り合って5年、結婚してちょうど今日で1年が過ぎた。
それでも彼にしてみれば、これを直接手渡すのは恥ずかしかったらしい。
彼女はそのカードを大事に、大事に、両手で胸に抱いた。
そして、静かに彼を想う。
自分に、笑うという事を教えてくれた彼を。
自分に、泣くという事を教えてくれた彼を。
自分に、人を愛するという事を教えてくれた彼を。
そして、今も変わらず自分を愛してくれている、自分が永遠に愛し続けるであろう夫のことを。

     〜心から思う 血の通わぬ僕 あなたが変えたこと
僕は誰だろう 僕は僕だけと 理解させてくれた〜



彼女は花束を花瓶に生けると、自分の下腹部に手を置いた。
彼女は身篭っていた。まだ見た目ではまったく分からないが確かに新しい命がそこには
宿っていた。夫はまだ知らない。それを告げることに、漠然とした不安があり、なかなか言い出せなかった
のだ。しかしその不安も霧散した。彼が帰って来たら真っ先に言おう。


           〜落下点はそう、あなたの寂しさ
捨て身で砕ける 「僕は弱い?」
ゆりかごで遊ぶ 見守られながら あなたの愛情に
静かに気づいた 僕は目隠しで あなたを満たそうと〜



彼が知ることはないだろう。それが奇跡という言葉を使ったとしてもまるで足らない出来事だということを
いや、それを知っているのは今では彼女自身だけになってしまっていた。

だが、もしかするとそれは奇跡でも何でもないのかもしれない。
なぜなら彼女、碇レイはもはや十分すぎるほど
人間なのだから。


     〜不幸せ癒せるなら 僕ごとき こなごなに
ゆりかごでつぶやく 未来はきっと
あなたよ ぼくになれ〜






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ver-1.00 1997-12/19公開
ご意見、感想などは こちらまで!

ども。鈴木です。訳あってインターネットからしばらくはなれていたのですが
また再開することになりました。

いや〜、それにしても半年見ないうちにずいぶん変わりましたね。
LASなんて言葉ができてたりして。めぞんも満員御礼ですね。
私も毎晩むさぼり読んでおります。

てな訳で、これからはコンスタントに作品を書いていきたいと思いますので
(そんなえらそうなもんじゃないけど・・・)
暇がありましたらどうか読んでくださいませ。
そういえば作者も来年はパパになるらしいぞ。いいのか、こんなことしてて。まっ、いいや。
じゃね。

「黒夢」のナンバーから「至上のゆりかご」を聞きながら

 鈴木さんの『至上のゆりかご』公開です。
 

 お久しぶりです(^^)

 最近本当に”お久しぶり”を連呼しているな・・

 一時期離れていた人が次々に復帰しているんですね。
 

 コンスタントにお寄せくださる方達、
 新しい方達、
 そして、復活組の皆さん。

 そういう訳で、
 今投稿ラッシュです。

 いそがしい〜

 ”久しぶり”の嬉しい悲鳴状態(爆)
 

 

 

 シャイなシンジからのしゃれた贈り物。

 こちらもシャイなレイの贈り物。
 

 今の二人はとっても幸せそうですね(^^)
 

 新しい命。
 幸せですよね(^^)/
 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 パパ(^^)鈴木さんに感想メールを送りましょう!


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