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NEON GENESIS
Νεον Γενεσισ

Evangelion
Ευανγελιον
Parallel Stage
Παραλλελ Σταγε


EPISODE:06 / Intermission 2

第6話


休日 U



た、二人



Bパート



学校にて


 キーン コーン カーン コーン……

 「起立! 礼! 着席!」

 いつものように挨拶がされ、いつものように朝会が始まる。
 二日連続だった休みは、友達同士を「久しぶり」という気分にさせ、また会話の話題をとどまるところ無く作り出していった。

 2年A組でも、約半数はこそこそ話をしている。
 が、担任である初老の教師は気づかない。

 「…で、今日はですね…」
 淡々と、今日の予定を話し続ける先生。

 そんな話を聞いていないのはシンジも同じ。
 どうせ予定は無いのだから。

 むしろ、シンジには気になって仕方がないことがある。

 それはゼーレの動き。

 時期から言って、おそらく今日が一番仕掛けやすいし、また学校内で何かをするという可能性が高いことは十分承知だ。
 だから、そちらの方に気を配っていた。

 (今の所…変わった反応はないな)
 窓の外に向いていた視線を一旦黒板へ戻すと、シンジは大きな溜息を一つ、ついた。



 「ねえ、聞いたぁ?」
 「なになに?」

 「なあ、今日久しぶりに遊びに行ってもいいか?」
 「ああ、いいぜ。じゃあ放課後一緒に来いよ。」
 「あ、俺も俺も。」

…等々、教室では会話がうるさい休み時間。
 周りのそんな喧噪をよそに、シンジは1人考え事の最中。

 (ゼーレは、今度はアスカや綾波を狙うかも知れない…気を付けてもらわなくちゃいけないな…僕もだけど)
 ゲンドウのポーズで考え込んでいるシンジの耳に、聞き慣れた声が入る。

 「碇君、碇君」
 「シンジ、シンジってば」

 「…え? な、なに? アスカも綾波も…」

 「シンジ、今日さあ…」
 「放課後…また街に行かない?」
 レイの頬が、少し赤くなる。

 「え?…いいけど…」
 シンジが答える。

 レイは、頬を更に赤くして微笑む。
 アスカは、にっこりとして喜んだ。

 「やったぁ! じゃ、また荷物持ちね!」
 「えー、やだよ。重いもん」
 「何よ。こないだみたいに、ディラックの海に入れて帰れば全然重くないじゃない」
 「だけどさ…」
 「はいはい、もう決まり!」
 「そんなぁ…」

 「ね、ファースト!」
 アスカが首をレイの方にめぐらす。
 すると、そこには「もじもじ」モードのレイがいた。

 「あ、ファースト! 何赤くなってんのよ!」
 「碇君と…街を歩けるから…」
 「ダメよ! アンタはアタシ達の後ろをついてくるだけよ」
 「…そうやって、あなたは碇君を苦しめるのね」
 「何よ、別に苦しめてる訳じゃないわよ」
 「そう…」
 「な、何よその顔は!」

 意味有りげな笑いを浮かべるレイ。
 こめかみに血管を浮き出させるアスカ。

 「やっぱり、痛い目に遭わないと分からないようね…」
 「…どうかしら。」

 わーっ! ふ、2人とも!
 慌てるシンジ。

 いつしか周りの人達も、一歩また一歩と後ずさる。

 「お、おい。こ、これ相当やばいんちゃうか」
 「…あ、ああ。おそらく…場合によっては、教室が壊れるぞ…」
 「あ、綾波さんにアスカ…」

…結局、トウジが懸念したようなところまでは発展しなかったものの、にらみ合いが終わったときに教室内にいたのは張本人であるレイとアスカ、そして仲裁役シンジだけであった、という。



 「ねえトウジ、5限なんだっけ」
 「えーと…確か体育やで。」
 「ふーん…ありがとう」

 4限開始前。
 シンジがトウジに尋ねた。

 シンジは答えを得て自分の席に戻ると、再び考え込む姿勢に入った。

 (5限の体育…狙うとしたらそこか…)
 表情が険しくなる。
 ふと思い立って、シンジはレイとアスカの席を向いた。

 レイはいつもの通り窓の外を見ている。
 アスカは…いない。

 「あれ、アスカは?」
 近くのケンスケに聞いてみるシンジ。

 「ん?…確かさっきトイレとか言って出てったぞ」
 「さっきって…どの位前?」
 「3分ぐらい、かな。」
 「…そう。」
 普段ならケンスケの観察の細かさに驚くところだが、今はそれどころではない。
 ゼーレが2人を狙っているかもしれないのだから。



 (5限体育か…僕から唯一離れるところだから、気を付けてもらわないと…)

 シンジは授業の準備をしてから、レイのところへ向かった。
 その途中ちらとアスカの席を見たが、まだ帰ってきていないようだった。

 「…綾波。」
 シンジが声をかけると、レイはすぐ本から顔を上げる。

 「…なに、?」
 「実はさ…」
 そこまで喋って小声になるシンジ。

 「ゼーレが綾波達を狙っているかもしれないから、今日は十分注意して。特に5時間目の体育は、僕と離れなきゃいけないから…」
 シンジが耳打ちすると、レイは頷く。

 「わかったわ。気を付ける。」
 「ごめん…奴等の狙いは、僕と槍なんだけど…結局迷惑掛けちゃうね…」
 「いいの。碇君は私たちを守ってくれた。だから、今度は私たちが守るわ。」
 「でも、本当は僕が綾波達を守らなきゃいけない立場なのに…」
 「大丈夫。私を信じて、碇君。」
 「綾波…」
 「心配しないで。…私も、いざとなったら何とか打つ手はあるから。」
 「打つ手って…」
 ふと、思い当たるシンジ。

 「…あ、綾波、あんまり人前でやっちゃだめだよ。」
 「ええ。分かっているわ。」
 「・・・」
 「とにかく、碇君は自分の事をやって。私たちは碇君から離れている間自分で自分を守るから…。」
 「…ごめんね、一緒に居られなくて…」
 「いいえ。私たちこそ心配をかけてしまって…」

 そこまで会話をしてから、シンジは席に戻った。
 まだ、アスカは帰ってきていない。

 シンジの心に一抹の不安が過ぎる。
 (まさか…アスカ、トイレで誘拐されたのかな?)

 その時。

 キーン コーン カーン コーン…

 チャイムが鳴り。

 「…はい、授業始めますよ。みなさん、席に着いて下さい。」
 先生が入ってきた。

 同時に、教室の後ろからもバタバタという足音が聞こえ。

 すいません、トイレ入ってて遅れました!
 アスカの声がした。

 (よかった…)
 シンジは、とりあえず胸をなで下ろしたのであった。



 そして、4時間目も終わり。

 さぁ、体育や体育! おい、ケンスケ、シンジ! 早よせい。先行ってまうで!
 「ま、待ってよ…」
 「ちょっと待って、カメラ用意してるから…」
 「早よせんとチャイム鳴るで!」
 「わ、分かったよ…」

 そう言って、着替え半ばながらシンジは駆け出した。
 トウジとケンスケもだ。

 途中、水着の女子とすれ違う。
 だが。
 その中に、アスカとレイの姿はない。

 シンジが急いでいたため気づくことは無かったが。
 しかし、それが後になって困ることになるのであった。

 キーン コーン カーン コーン…

 シンジ達が玄関にさしかかった時、無情にもチャイムが鳴る。

 「ほれ見い! 鳴ってまったやんか!」
 「そ、そんなこと言われても…」
 「とにかく、もっと走らなきゃいけないな。」

 そして、シンジ達は校庭へと急いだ。



 さて、こちらは女子更衣室。
 時間も少し遡る。

 「はぁ…今日も水泳かぁ…。暑いから別に文句はないんだけど、マンネリよね」
 アスカが着替えをしながら文句をたれる。

 「でも、水の中に居るだけいいんじゃない? 男子なんかあの中でサッカーとかしてるんだし」
 「それとこれとは別よぉ。…でも、ヒカリやたら詳しいわね。やっぱ、鈴原?」
 「な、ア、アスカ! 何を言うのよ!」
 「まったまたぁ。照れちゃって!」
 「・・・」
 顔が真っ赤なヒカリ。
 頭からは湯気が出ている。

 (うふふ、やっぱりヒカリはからかうとおもしろいわ…)

 パタン。

 そんなところへ、ドアの閉まる音。
 一瞬全員がその方向へ視線を送るが、次の瞬間には自分の着替えに戻っていた。
 ちなみに、出ていったのはレイである。

 「…じゃヒカリ、先行くわよ。」
 「え?」
 まだ真っ赤になって固まっていたヒカリは、アスカの言葉でなんとか自分を取り戻すと慌てて着替えの続きを始める。

 パタン。

 アスカは既に行ってしまった。
 更衣室の中に残っているのは、(2年A組の女子の人数−2)人。つまり、まだレイとアスカ以外はいるのである。

 ヒカリは、アスカが出ていった後いつもの元気な足音が聞こえないのをいぶかしく思ったが、とりあえず着替えを先決にした。

 外からは、男子の声が聞こえる。

 ふと、アスカのからかいを思い出してしまうヒカリ。再度頬が赤くなる。
 『やっぱ、鈴原?』

 (アスカこそ、碇君と…)
 そう感じながらも、着替えだけは続ける。

 ちょうどその時、学校の前から車の音が聞こえた。

 まだ、出ていく女子は居ない。



 ブロロロロロ…

 シンジが玄関を出たとき、車の発進音がした。
 別段不思議にも思わなかったのだが、なぜかその音がした方向をシンジは見つめてしまった。

 自分でも理由が分からないまま、立ち尽くすシンジ。
 時間の事などもう忘れて。

 「おいシンジ、どないしたんや。どやされるで」
 後ろから、トウジの声がかかる。

 「え?…う、うん!」
 シンジはそれに答え、再び走り出した。



 ブロロロロロ…

 一方こちらはさっき発進した車の中。
 ちなみに、黒いワゴン車である。

 中に乗っているのは、数人の男。
 そして、安らかな顔をした2人の女子中学生…

 「ふん、意外とあっさり済んだな。」
 男の1人が口を開いた。

 「しかし、注意はしろ。油断は、禁物だ。いくら我々とてな。」
 「ああ、わかっている。何しろ、相手は…」

 男の表情が、一瞬にして固く、険しくなる。

 「『初号機』…いや、『神』なのだからな…」

 「・・・」
 その言葉を最後に、車内は沈黙が支配する。

 ふと、さっきその言葉を発した男は自分たちが誘拐した2人を見た。

 ファーストチルドレン・綾波レイ と…
 セカンドチルドレン・惣流アスカラングレー か…

 一瞬、非力な人間にしか手を出せない自分たちがどうしようもなく情けなく思えた。
 しかし、そんな感情は捨てなければならない。任務のために。
 彼らには、至上とされる命令があるのだから。
 『初号機を手に入れろ』…ゼーレのトップ、キール・ローレンツから直に出された命令を、男は心の中で反芻した。
 そして、唾を飲み込むと、再び任務遂行のための仕事に戻ったのであった。



 「…え? アスカと綾波がいない?」
 体育終了後、教室に帰ってきたシンジはまだ頭の濡れているヒカリから2人がいなくなったということを聞いた。

 (ゼーレ…!)
 直感的に、シンジはこれが誘拐だと感じた。
 次第に、体育の直後で血液循環がよくなっているはずの顔が青ざめていく。

 「洞木さん、2人はいつからいなくなったの!?」
 「え?…確か、私たちが着替えてプールに行ったときはいなかったわ。」
 「じゃあ、どこでいなくなったか分かる?」
 「ごめんなさい…、分からないの。」
 「・・・」
 「いつも最初に着替え終わるのよ、綾波さんとアスカ。それで、今日も一番に出ていったわ。私たちはいつも2人より後になるのよ。だから、どこでかはちょっと…」

 渋い顔で席に戻ってくるシンジを、トウジとケンスケが捕まえた。

 「おいおい、どうした。惣流と綾波か?」
 「…うん。2人が…いないんだ。」
 「先に帰ったんじゃないのか? あるいは保健室とか。」
 「帰ったんなら荷物持ってくだろ。それに…保健室はもう見てきたけどいないって、洞木さんが。」

 「じゃあ、どこいったんだろ。なあトウジ?」
 「ん?…ああ、そやな。」

 「…トウジ。」
 シンジが、重い口を開く。
 いつになくまじめな口調で。

 「なんや?」
 「僕、先帰るから。先生とか来たら、そう言っといてほしいんだけど。」
 「・・・」
 トウジは、シンジの目を見た。
 まじめな雰囲気を感じとったのか、トウジは言う。

 「…わかった。」
 「じゃあ、よろしく…」

 その言葉を残し、シンジは帰り支度をした後、自分の鞄を掴むと駆け出していった。



Cパートに続く

ver.-1.00 1997-08/06公開
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 次回予告

 シンジ達は、アスカとレイを探すことに奔走する。
 一方、2人は脱出を試みる。
 だが…


 あとがき

 やっぱり5話と6話に分割して良かったとつくづく思っているTossy-2です。

 ついにレイとアスカが誘拐されてしまいました。
 Cパートは、いよいよクライマックスか?

…ということで、Cパート、お楽しみに (^^)/ 。


 Tossy-2さんの『エヴァンゲリオン パラレルステージ』Bパート公開です。
 

 アスカとレイがさらわれましたね・・・・

 シンジぃ〜
 ゼーレが二人を狙っている事を予測しておきながら、
 注意がたらんぞ。
 

 チャッチャッと敵を片づけて。
 チャッチャッと2人を助け出せ!

 何しろ二人は水着のまま・・・
 ゼーレにその手の人がいないことを祈りましょう(爆)
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 チャッチャッと書き進むTossy-2さんに感想のメールを!


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