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脱出


 闇。

 「・・・」
 真っ暗闇の中に、蠢く人影。
 この部屋の主だ。
 ベッドに寝転がってはいるが、目はぱっちりと開いている。
 彼は、悩んでいた。

 『ツクラレシ、モノ』

 ついさっき、聞いた言葉。

 『フジョウナルニンゲンヲ、ジョウカスルタメニ』

 脳裏に反響し、消えて行く。

 『ゲンザイニマミレタコノセカイヲ、ジョウカスルタメニ』

 ぞくっ。
 背筋に悪寒が走る。
 時間が経てば経つほど、悩みは募る。

 『ソノタメニオマエタチハイルノダ』

 今度は、映像が蘇る。

 血塗れになった、死体。

 ぞくっ。
 また。

 (イヤだ…)

 時間と共に、反発心も強まってくる。

 (そんなのは、イヤだ…)

 彼は、むっくりと、身体を起こした。
 そして。
 何も明かりのないはずのその部屋で、一瞬だけ青白い火花が飛んだ。



 西暦2015年。
 日本、第三新東京市。

 20世紀の終わりの年に起こった未曾有のカタストロフィー、俗称「セカンドインパクト」から立ち直った人類は、再び文明を築き始めていた。

 「大質量隕石の落下」。TVや新聞は口々にそう放送し、書き立てた。
 人々も、それを信じて疑う余地がなかった。
 そんなことを疑っている暇すらなかったのだ。

 しかし。
 事実は往々にして隠蔽されるモノであった。
 「セカンドインパクト」、それは「使徒」と呼称される物体の起こしたものだった。
 なぜ、神の使いと名が付けられたのかは分からない。
 しかし、裏世界では「使徒」の情報がやりとりされていたとも聞く。

 また、風の噂では、どこかの研究所で、使徒の研究をしているとか、そういった類の話も時折耳にすることができた。

 だが、まだ復興をはじめて15年。
 先は長い。



 第三新東京市は、旧「箱根」に作られた都市である。
 中心部は高層ビルが立ち並ぶオフィス街であるが、一歩郊外に足を踏み入れると、そこにはまだ人の温もりというか、自然の暖かみのある家々が立ち並んでいる。
 今は夜。
 日も暮れ、星が空に瞬く。

 6月のある日。
 その日は、朝からしとしとと雨が降り続いていた。

 パチッ…

 人気の少ないその郊外の街角で、小さな放電が起こる。
 雨音に隠され、人の耳には届かない。
 放電現象は、だんだんとハッキリしていく。
 そして、空間が切り裂かれた。

 切れ目から、青い手が覗く。
 続いて、頭。
 上半身を乗り出し、ついにはバランスを崩して地面に落ちる。

 バシャン

 水たまりに、音を立てる。
 落ちたのは。

 身体にぴったりしている青っぽい服を着た、男の子。
 水たまりの水で、黒い髪が濡れている。
 落ちたときに頭を打ったのか、彼は目をつむったまま水たまりの中に力無く横たわっている。

 彼の上に、また新しい雨が降ってくる。
 雨に濡れながら、彼はただそこに横たわっていた。



404号室
15000ヒット記念
新連載


Angels' Song
Angels Sing

〜天使の歌を、天使が歌う〜


第1話




は、
の日



邂逅


 生体科学者・碇ユイは、その日たまたま郵便局に用があったのでいつもとは違う道を通って家に向かう途中だった。
 オレンジのポロシャツに、ジーンズ。
 紺色の傘をさし、ユイは歩いていた。

 「・・・?」
 そして、街灯の下で、彼に出会ったのだった。

 そう。
 それは、まさに「奇跡」と行っても過言ではなかったのだろう。
 もともと、この道は両脇に家が建ち並んでいる割には面している玄関がないので、人通りが少ない。
 そこをユイが通ったというのは、偶然だった。
 そして、彼にとってもそこにたどり着いたのは偶然だった。
 偶然が重なり合って起こった事実。それを、「奇跡」と呼ぶのなら。

 ユイは、水たまりの中に倒れている人影に気づき、慌てて駆け寄った。
 しゃがみ込むと、肩を揺すってみる。
…だが、返事はない。

 「もしもし、大丈夫? 大丈夫?」
 呼びかけても、返事はない。

 『はあ、はあ…』

 彼は、うなされている。
 苦しそうな呼吸に、ユイが額に手を当てる。

 「! 熱があるわ…」
 ユイは、自分の服が濡れるのも構わず彼を背負うと、そのまま自宅に向けて歩き出した…。



 その頃。
 第三新東京市某所にある、研究所。

 「所長室」と書かれたドアを、一人の男がノックする。

 『誰だ』
 「私です。」
 ドア脇のインターフォンに向かって言うと、すぐに鍵が開いた。

 『…入れ。』

 「失礼します。」
 お辞儀をしながら部屋に入る。
 部屋の主…「所長」は、机に座っていた。
 眼鏡が怪しく光っている。

 「至急お伝えしたいことがございます。」
 「何だ。」
 「例のA計画ですが…サンプル01が逃走した模様です。」
 「ふん。居場所は?」
 「今の所はまだ。…個体データです。」
 男は、「所長」にファイルを差し出した。

 ファイルの表紙には、「極秘」「A計画データ サンプル#01」と書かれている。

 「所長」は、しばしそれに目を通す。

 「…なるほど。損失は大きいな。」
 「はい。」
 「早急に、連れ戻すのだ。」
 「はっ。」

 男は、退出していった。

 「所長」は、椅子から静かに立ち上がり、呟いた。

 「『EVA−01』の損失か…」



 「よいしょ、と…」
 玄関までたどり着いたユイは、チャイムを押した。

 『はーい』
 女の子の声が聞こえ、ドアが開く。

 「あら、アスカちゃん。あの人は?」
 「おじさまなら、さっきおばさまを探しに出たわ。」
 「そう…なら、すぐ帰ってくるわね。」
 「?」
 アスカと呼ばれた女の子…赤い髪と青い瞳の利発そうな子…は、ユイが後ろに背負っているモノに気づいた。

 「誰?」
 「…ああ、道ばたで倒れてたのよ。熱だしてるみたいだから、洗面器とタオル、用意してくれる?」
 「分かったわ。」
 アスカが奥に消える。
 ユイも後を追って家に入った。

 バシュッ!

 空気圧式のドアが、音を立てて閉まった。



 居間のソファーに彼の身体(当然例の服は着たままである…なにしろ脱がし方が分からないのだ)を拭いて寝かせ、額に冷やしたタオルを乗せる。
 時折譫言のように何か呟くが、耳に聞こえ、そして認識できるレベルの大きさではなかった。

 心配そうに見守る2人の背後に、人の気配。

 「…どうした」
 碇ユイの夫・碇ゲンドウである。

 「あなた…。おかえりなさい」
 「ああ。…それより、その子は?」
 「帰ってくる途中、道に倒れてたんです。熱もあるようだし…」
 「ふむ。…ところで、おかしな格好だな。本当に現代人か?」
 「科学者には似つかわしくない表現ですわね。」
 「たまにはな。科学者にも夢を見る権利ぐらいはあるだろう?」

 ゲンドウは、とある物理学研究所の研究員である。
 なんでも、時空間の研究をしているらしい。
 「科学は夢によって発展する」とは、彼の持論である。

 「是非、話を聞いてみないとな」
 少し浮かれるゲンドウであった。



 「ん…」
 彼の口から、言葉が漏れる。
 今度は、ハッキリと聞こえる位の大きさで。

 一瞬にして、ユイ達は彼の元へ。

 「う…」
 辺りの眩しさに、手をかざしながら彼はゆっくりと目を開けた。
 瞼の下からは、黒い瞳が現れた。

 「ここは…?」
 「私たちの家よ」
 ユイが答える。
 彼は、ユイの方を向く。

 まだ、目がトロンとした感じだ。

 「僕は、どうしたんでしょう…」
 「道ばたで倒れていたわ。熱を出してね。」
 「そうですか…」

 「大丈夫かね。」
 ゲンドウが問う。

 「はい。」
 彼は、ゆっくり起きあがる。
 額のタオルが落ちた。
 拾って、手を差し出したユイに渡す。

 「アンタ、名前はなんて言うの?」
 「みんなはいつも…」

 そこまで言って、一瞬間が空く。
 実名をいいかけ、口をつぐんだのだった。
 何故かは分からないが、本当の事を言ってはいけない気がしたのだ。

 そして、しばしの間の後、彼は再び口を開いた。

 「シンジって…」
 「シンジね。」



 「シンジ君。」
 洗面器を置きに行ったユイが戻ってきて声を掛ける。

 「はい。」
 「その服、脱いでくれない? 怪我をしているか調べるから」
 「分かりました。」
 淡々と返事をして、シンジはそのぴったりとした服を脱ぎ始めた。
 下は裸であるが、何ら羞恥心すらないかのように、あっさりと脱ぐと、再びソファーにちょこんと座った。

 きゃー!
 それを見て、アスカは顔を真っ赤にする。
 慌てて部屋を出ていく。

 「? どうしたんですか?」
 わからない、と言った表情のシンジ。

 「…ま、いいわ。ちょっと見せてね…」
 ユイは、一応医者の資格も持っている。
 シンジの身体をあちこち触診し、何も異常がないことを確かめた。

 最後に、額に触る。

 「熱も下がったみたいね。…でも、どうしてあんなところで倒れていたの?」

 「…僕は…」
 話しづらそうに、シンジは目線を逸らして続けた。
 無表情なままで。

 「逃げ出してきたんです。…前にいたところから…」

 それだけで、かなり深い事情があることを察するユイ。

 「なるほど。でも、行く当てはあるの?」
 「…ありません」

 「なら、せめてここに泊まったらどうだ?」
 ゲンドウが言う。

 「いいん…ですか?」
 「ええ。そんなに特別な事があるわけじゃないけど。どう?」
 ユイも言う。

 「…お願いします…」
 しばらく考えた後で、シンジはぺこりと頭を下げた。



 いっただっきまーす!
 アスカの元気な声がダイニングに響く。

 夕食。

 シンジは、Tシャツと半ズボンをゲンドウから貸してもらい、それに着替えていた。

 「どう、おいしい?」
 ユイがにっこりと笑って聞く。

 「はい。おいしいです…」
 シンジは、相変わらずの無表情だが、口調は多少明るい。

 「そう。よかった…」

 「やっぱりおばさまの料理は天下一品ね。」
 「うむ。さすが私の妻だ(ニヤリ)」
 「あ、あら…。」
 口々にユイを褒め称えるゲンドウ&アスカ。
 さすがに、ユイも恥ずかしそうな表情をしている。

 「…ごちそうさまでした…」
 小さな声が聞こえた。
 一斉にその方向を振り向くと、シンジが既に食べ終えている。

 「は、速い…」
 アスカは、目を丸くしていた。

 (強敵現る、か!)

 そのまま椅子に微動だにせず座っているシンジだった。



 食後。
 ユイは片づけをしている。
 アスカとシンジは、居間に移動してTVを見ている。
 とはいっても、アスカの関心もシンジの関心もTVにはない。

 「ねえ、アンタいくつなの?」
 「生まれてから、14年…」
 「へえ、じゃあアタシと同じね。誕生日は?」
 「2001年6月6日…」
 「ふーん、どこの学校行ってたの?」
 「学校…?」
 「知らないの? 勉強するところよ。」
 「『学校』は、行ったことない。…でも、勉強は少しだけしたことがあるよ。」
 「そう。じゃ、こんなの解ける?」
 そう言うと、アスカは自室から数学の問題集を持ってきた。

 「学校に行ったことがない」「勉強は少しだけしたことがある」と言う言葉に、勉強を教えてあげる気になったようだ。
 自慢ではないが、アスカは一応クラスではトップの座をキープし続けている。

 間もなく、アスカは帰ってきた。

 「はい。この問題、解ける?」
 問題集、紙、鉛筆をシンジに手渡し、問題集の最後のページ…つまり、まとめのページ…を開くと、アスカは「難問!」と書かれている問題を指さした。

 シンジは、無表情のままそれをしばし見ている。

 そして。

 十秒程経った後、シンジは紙に鉛筆でさらさらと答えを書き始めた。

 「…できた。」
 「えっ、もう?」
 シンジから紙を受け取って、半信半疑だったアスカはひどく驚いた。
 答えとシンジの解答を、穴が開いてしまうほど見比べる。

 「す、すごい…合ってる…。」
 実はこの問題、アスカでさえ解くのに20分はかかったほどなのだ。
 それを、わずか10秒で解くとは…。

 (な、何者なの、コイツ…)
 アスカは内心で訝しんでいた。
 が、我関せずとばかりに、シンジは平然としている。
 無表情は、崩れない。



 「…あら、お勉強?」
 そこへユイが入ってきた。

 「おばさま、おばさま!」
 アスカはユイの元へ。楽しそうに何事か言う。
 それを、不思議そうにシンジは見つめている。

 話が終わるとアスカがシンジの隣りに座りなおし、ユイもアスカの反対側に座った。

 「ね、シンジ君。」
 「はい」
 「ところで、聞いてなかったけど…。あなた、どこから来たの?」
 ユイが聞く。

 が。
 シンジは、その表情を一瞬変化させた。
 明らかな悲しみの表情へと。

 「・・・」
 全ては瞬きする間もないほどの時間に。
 だが、ユイは気づいた。

 「・・・」
 シンジは答えない。
 ただ、うつむいている。

 「…ごめんなさい。悪いこと、聞いちゃったかも知れないわね。」
 「いえ…」
 弱々しく、シンジが呟いた。

 「でも、一体どこで勉強してたのよ。すごいじゃないの。」
 「前にいたところで、ときどき…」
 「友達は?」
 「16人だけ、いたけど…」

 突如、TVが時報を発した。
 いつの間にか、時計は10時を回っていた。

 「…寝ましょうか。」
 ユイが言った。



 月明かりの差し込む寝室。
 シンジは、目を開けて天井を眺めていた。
 シンジにとって、眠る必要はない。
 むしろ、ここ数日は寝ないで過ごすことが多かった。
 眠ると、悪夢を見るのだ。
 夥しい数の、血塗れの死体が一斉に自分を見ているというおぞましい夢を…。

 いつからか、この夢を毎日見るようになった。

 (そうだ…)
 あの日から、シンジは思う。
 自分達の使命について説明を受けた日から。

 窓の方に視線を移す。
 カーテンの隙間から、光が差し込んでいる。
 隣にはユイが寝ている。
 起こさないように、そっとシンジは起きあがった。

 カーテンの間から頭を出し、空を見る。
 まるで降っていた雨が嘘のように、今は満天の星が瞬いていた。

 シンジにとって、夜空という物は始めてみるものだった。
 研究所では、ただ真っ暗な部屋。
 夜だか昼だかさえわからない。
 生まれてこの方空など実際には見たこともない。
 それが普通だと思っていた。

 だが…。
 ここに来て、それが誤りであったと知る。
 シンジの、まだ空白の部分の多い心には、この日の夜空は格別のモノとして映っただろう。

 「空…」
 呟いてみる。
 知識としては知っていたが、これほどきれいなモノだったとは!
 落ちつきがあって、それでいて何か引きつけられるような感じがする。
 唯一、黄色く輝く月だけがやけに印象に残る。

 知らず知らずの内に、シンジは窓のところで眠りに落ちていく。
 なぜか、あの夢は見なかった。




夜が明けて…


 「…ジ君。…シンジ君。」
 急速に、暗闇の底から意識がサルベージされてくる。
 ゆっくりと、シンジは目を開けた。

 「…おはよう。でも、どうしてこんなところで寝てるの?」
 目の前には、にっこりと微笑むユイの顔があった。

 「おはよう…ございます…。」
 「こんなところで寝てたら風邪引いちゃうわよ?」
 「はい…。」

 「さ、ごはんできてるから。食べましょう。」
 「ありがとうございます…」
 ユイの後について、シンジは居間へ。

 「あ、シンジ。おはよ。」
 既にアスカは起きていた。

 「おはようございます…」
 「あのねぇ、わざわざ敬語使う必要もないでしょ? どうせ同い年なんだし」
 「そういうもの…なの?」
 「そうよ。」
 「なら…そうするよ。」



 『おはようございます。8時を回りました。今日は6月13日、土曜日です…。』

 TVから聞こえるニュースをバックに、ゲンドウ、ユイ、アスカ、そしてシンジは朝食を食べている。

 8時を知らせるアナウンサーの声にもアスカは反応しない。
 普段だったら、既に学校に行かなければならない時刻なはずだが…?

 それもそのはず。
 2015年現在では、学校は全て完全週休二日となり、今日は休みなのである。

 「今日は天気いいですねえ」
 「ああ」
 「久しぶりに、買い物に出かけましょうか」
 「そうだな」

 「ごちそうさまでした…」
 またも、シンジは一番乗り。
 それを見てアスカが急に奮闘する。

 「!!」
 どうやら、喉にご飯を詰めてしまったらしい…。



 食後、ユイはシンジと話していた。

 碇夫妻は結婚から既に16年を数えるが、未だに子供がいない。
 その反面、ユイは近所に子供好きでも知られているほどである。
 アスカを預かったのも、彼女が全面的に賛成したからなのだ。

 「ねえ、シンジ君。もっといろいろ話しましょうよ。」
 「でも…僕は居候ですし…」
 「そんなの気にすることないのよ。それに、別にいつまでいても構わないし。」
 「・・・」

 「ところで、シンジ君はどうして第三新東京に来たの? 何かワケがありそうだし。よければ、相談に乗るわよ。」
 「第三新東京?」
 「そうよ。ここの市の名前。あれ、もしかして知らないの?」
 「はい。…前にいたところから外に出たことがありませんでしたから…」
 「そう…で、どうしてなの?」
 「・・・」
 少し、間を置いた。

 「前にいたところで…イヤなことがあったんです」
 「まさか…いじめとか何か?」
 「いえ…。ただ…この間、友達と一緒に、自分達の『仕事』を聞いたんです」
 「へえ、仕事ねえ。アルバイトでもしてたの?」
 「そうじゃないです。…でも、僕はそれがイヤでした。」
 「どんな仕事なの?」
 「『世界の浄化』とか…」
 「浄化?」
 「・・・」



 「…で、その仕事とやらがイヤで逃げ出してきたの?」
 「はい…。」
 コクン、小さくシンジは頷いた。

 「なら、帰った方がいいんじゃない? 親御さんも心配しているわよ、きっと」
 「それは…ありません。僕には、両親がいませんから」
 「! ごめんなさい…」
 「いえ…。」
 「でも…友達も心配しているんじゃないの?」
 「そういうものなんでしょうか」
 「そういうものって…」
 「分からないんです。友達の顔も、声も。ただ、『仲間がいる』と言われただけで…他には何も知らないんです。」
 「そう…でも、仕事は…」

 そうユイが言うと、シンジは一層悲しみの色を強めた顔で言う。

 「そんなこと、できません! 僕には、人殺しなんて…!」

 シンジの言葉に、ユイは驚いた。
 「人…殺し!?」

 「『浄化』だなんて、聞こえはいいですけど…実の所は、体のいい『殺戮』…。」
 目をそらして、シンジは続けた。

 (ということは、前にいたところって、犯罪組織か何かかしら…。としたら、帰すのは危険ね)

 「僕達は、そのためにいるんだって…そう、聞かされました。」

 (親御さんもいないようだし…)
 ユイは、しばし考える。
 そして。
 ゆっくりと、シンジに言い聞かせるように言った。

 「それなら、いっそのこと、うちの子になっちゃわない?」
 「・・・」
 シンジは、驚いた様子だった。
 といっても、少し眉が動くぐらいの微妙な変化だが。



 「…うちは、別に構わないから。あなたさえよければ、ぜひ…」
 「でも…」

 そんなシンジに、ユイは家庭の事情を語る。

 「うちには…アスカちゃんって子がいるけど、あの子は実は預かってるだけなの。結婚してから16年間経つけど、まだ子供はいないわ。」

 「・・・」
 シンジは、黙って聞いている。

 「私は、何となく分かるかも知れないけど、子供好きなのよ。自分で言うのもなんだけれどね。」
 「・・・」
 「本当なら子供は欲しい所なの。だけど、私ももう40を過ぎてしまったわ。これからだったら、あなたぐらいになる頃には、私たちはもう60歳。」
 「・・・」
 「そうしたら、あまり世話もできないですぐに別れることになってしまう。そして、子供は一人暮らしという事になってしまうわ。」
 「・・・」

 「それじゃかわいそうだから、養子をもらいたいとも思ったの。…でも、セカンドインパクトの影響で、あまり子供はいなくて…結局今までまるでだめだった。」
 「・・・」
 「だから…あなたさえ良ければ、私は構わないわ。むしろ歓迎したいくらいなの。」

 「急に…言われても…」
 「…そうね。今すぐに、とは言わないから。答えは、いつか、出してくれさえすればいいわ。」
 「はい…」

 そこまで話したところで、居間の方から声がかかった。

 『おーい、ユイ。買い物に出かけるぞ。』

 「今行きますよ!」
 それに返事をして、再びユイはシンジに向き直った。

 「…返事、待ってるからね。」
 にっこりと微笑んで、ユイは部屋を出ていった。



 『うちの子になっちゃわない…?』
 ユイの声が、しばらく頭の中で反響していた。

 (僕が…この僕が…必要とされてる?)

 『…むしろ、歓迎したいくらいなの。』

 (創られた存在である、僕を…)

 今まで生きてきて、はっきりと誰かに必要とされたことはなかったように感じる。
 前にいた研究所でも、必要なのはその「力」だけであって、一人の人間(…実際は異なるのだが…)として必要とされたことはなかったのだ。

 それが、今ここに来て。
 自分が、誰かに求められている。

 そう感じてしばらくぼーっとしていた。
 そのうち、何故か頬が濡れているのを感じる。

 「涙…」
 声も震えている。

 「これは、涙…? 僕は、泣いて…いるの?」
 生まれて初めて見た、涙だった。



 その夜。

 「ユイ…さん」
 シンジは、ふと洗い物をしているユイの背後から声を掛けた。

 「あら、シンジ君。なあに?」
 笑顔で振り返るユイ。
 真っ直ぐに目を見て、シンジは話した。

 「決めました。」
 「…で?」
 一旦水を止め、タオルで手を拭くと、ユイはシンジの方に向き直った。

 「…お世話に、なります…」
 ぺこり、頭を下げる。

 「そう…」
 ちょっとした安堵の気持ちが、言葉から伝わってきた。

 「なら、早速明日届け出を出しに行って来るわ。」
 心なしか、ユイは浮かれているようだ。
 長年待ち続けた「自分達の子供」ができてうれしいのだろう。
…ただし、血はつながっていないが。



 「…そうか。」
 話を聞いたゲンドウは、そっけない返答を返した。
 実の所は、単に照れくさいだけなのだが。

 「あの…これからも、よろしくお願いします…」
 「うむ。こちらこそ、よろしくな。」

 「あら、真っ赤になっちゃって。ホント、『カワイイ人』ね。」
 「う…ユ、ユイ。それを言うなと…」

 くすくす…

 ユイが笑う。
 ゲンドウは、ちょっとすねた顔をして横を向いた。

 ひとしきり笑うと、ユイは咳払いをして言う。

 「…じゃあ、あなた。明日、届け出を出してくるわ。」
 「わかった。…ついでに、買い物でもして来てくれ。何せ子供が増えたのだからな。いつまでも私の服では悪いだろう。」
 「そうね。歓迎会の準備もしなくちゃ…忙しい忙しい。」

 本当に嬉しそうな2人を見ていると、シンジも心が軽くなるような気がした。

 (僕は、ここにいてもいいんだ…)

 そして、次の日。
 ユイは申請を出しにいき、シンジは「シンジ」から「碇シンジ」になった。




出会い


 かんぱーい
 かんぱーい

 カチン
 コチン

 グラスをぶつける音がする。
 シンジも、見よう見まねでそれにならった。

 日曜日の夕方、急遽決まった新たなる家族の歓迎会。
 近所の親しい人も呼ばれ、碇家の今は大いににぎわっていた。

 「これからも、よろしくね」
 「よ、よろ…しく…」
 アスカと握手するシンジ。
 半ば強引に手を握られた形だが。

 「名前は何て言うの?」
 髪が金髪だが眉が黒という一見変わった格好の女性が尋ねる。

 「シ、シンジ…デス」
 人と話すことにあまり慣れていないせいか、シンジは声が小さくなってしまう。

 「シンジ君、ね。よろしく。私は、赤木リツコ。…この近くの中学校で教師をやっているわ。」

 「それで、『マッドサイエンティスト』の名をほしいままにしているのよねん」
 リツコの後ろから声がかかる。

 むっとした表情でその方向を見るリツコ。
 そこには、紫がかった長髪の女性が、缶ビール片手に大口開けて笑っていた。

 「よろしくね、シンジ君。…私も中学校で先生やってるわ。葛城ミサトよ。」
 「あ、よ、よろしく…」
 「一応、教科は社会科だからね。」
 「は、はい…」

 「葛城『地獄の料理人・料理の廃人』ミサトよ。私の友人でもあるわ。」
 リツコが再び言う。
 笑顔だが、良く見ると額に青筋が。

 「あーっ、ひっどーい!」
 ミサトとリツコはケンカを始め、すっかりシンジは忘れ去られてしまった。



 「や、どうも済まないね。あの2人はいつもああなんだ」
 次に来たのは、長髪を後ろで束ねた無精ひげの男性。

 「俺は、加持リョウジ。あの2人と同じ学校に勤めてる。よろしくな、シンジ君。」
 「は、はい…」
 「ところで、転入はうちの学校だろ?」
 「転入?」
 「ああ。まだ聞いてないかい?」
 「よくわかりません…」
 「ま、この辺りには中学校は一つしかないからな。おそらくうちの学校だろ。…多分これからも世話になると思うよ。」
 「はい。」

 戸惑いながらも答えるシンジを見て、ゲンドウとユイは笑みをもらしていた。

 「ユイ君、良かったな。」
 「先生」
 2人の後ろでは、冬月が日本酒をちびりちびりとやっている。

 「いい子じゃないか。…羨ましいぐらいだよ」
 「あら、先生はお子さんお持ちでした?」
 「…いや。考えてみてもいいな、と思ったんだよ。」
 「そうでしょう?…可能性のある子供達を見ていると…本当に微笑ましいですわ。」
 「そして、次の時代を担っていくわけだな、ああいった子供達が…」
 「ええ…。」



 そして、2日間の休日も別れを告げ、再び月曜日がやってきた。

 昼下がり。
 シンジとユイは、買い物に出かけている。
 何を買うのかは、いわずもがなだろう。

 ゲンドウは仕事があり、アスカも学校がある。
 今、碇家には誰もいない。

 ピピッ!

 突然、HAのコントローラ…一応インターフォンの格好はしている…が、短い電子音を発した。
 「メール着信」のランプが点滅している。
 が、そのことに誰も気づく者はいない。

 ゆっくりとその照らす方向を傾け始めた陽が居間に入る。
 それは、レースカーテンの模様を床に映し出し、風はないが、時折揺れている。

 ピッ、ピッ。

 TVの上の時計が、午後2時を告げた。



 ピッ

 バシュッ…

 空気圧式のドアが開き、荷物をたくさん持ったユイとシンジが家に入る。
 2人が入ると、ドアはひとりでに閉まった。

 「ふぅ…重かったわね。」
 「はい…。」

 「さて、とりあえず誰もいないけど、『ただいま』ね。」
 「…ただいま…」
 「お帰りなさい。」

 そんな会話をしながら、靴を脱ぎ、廊下に上がる。

 「さ、荷物整理しちゃいましょう。」
 「はい。」
 シンジは、物置だった部屋をもらった。
 物置の中身を整理し、ちょっと掃除すれば十分部屋になる。
 「これで構わない」というので、結局ここがシンジの部屋となった。



 シンジが黙々と荷物を運び込んでいると、ユイが部屋に入ってきた。

 「シンジ君。」
 にこにこして(いつもにこにこしているが…)呼びかけるユイ。
 何か嬉しいことがあったようだ。

 「はい、何ですか?」
 シンジも手を止めてユイの方を見る。

 ユイは、プリントアウトした何かの文面を差し出した。

 「? 何ですか、これ?」
 「あなたの市民登録よ。…これで、あなたは正式に我が家の一員よ。」
 「そうなんですか…」

 シンジは、そう言われてまじまじと紙を見つめた。

 (こんな紙切れなのに…)
 人間社会はずいぶんとおもしろいな、シンジはちょっと思った。

 紙には、「市民登録: 碇 シンジ」と書かれている。

 「これは…、僕の名前…ですか?」
 指さし言うシンジに、ユイは答える。

 「ええ。あなたは今日から『碇シンジ』になったわけよ。」
 「碇…シンジ…」
 「…改めて、よろしくね。」
 「よろしくお願いします…ユイさん…」

 シンジの言葉に、ちょっと困った顔のユイ。

 「家族なんだから…私は『母さん』とか『お母さん』って呼んでほしいな。」
 「母…さん…」
 「そう。…じゃ、一緒に荷物を片付けちゃいましょう。」
 再びいつもの笑顔に戻ったユイは、シンジの手伝いを始めた。
…最も、シンジがユイを手伝っていたという表現の方が適切かも知れないが。

 こうして、時間は過ぎて行く…。



 火曜日は何事もなく過ぎ、次の日。
 水曜日。

 ガララ…

 「…シンジ?」
 新しくシンジの部屋となった旧物置に、アスカが顔を出した。
 部屋を整理していたシンジは、顔を上げる。

 「何?」
 いつもの顔で、聞き返す。

 「学校、行くわよ。早く着替えなさい。」
 「え…? なんで?」
 「アンタバカぁ? 中学校までは義務教育なんだから、行かなきゃならないのよ。」
 「そう…なら、そうするけど…」
 「おばさまが送ってくれるって言ってるから。表で待ってるわよ。」
 「うん…」

 シンジの返事を確認して、アスカは玄関から出ていった。

 『学校に行くときは、これに着替えるのよ。』
 ユイの言葉を思い出すシンジ。
 シンジは、買ってもらったばかりの制服を取り出してそれに着替え、表へ急いだ。



 学校に着くと、シンジはユイと一緒に職員室へ向かった。

 「これが学校…」
 シンジは、物珍しげにあたりを見回している。

 (どうやら、本当に学校に行ったことがないらしいわね…)
 ユイは、内心で溜息をついた。

 「職員室」と書かれたプレートを見つけ、その前で止まる。
 ユイは、ドアをノックした。

 コン、コン。

 『はい』
 中から声が聞こえた。
 感じからして、30代の女性教師、といったところか。

 ガララ…

 「失礼します」
 ユイは、戸を開けてシンジと共に中に入る。

 「碇シンジですが」
 「はい。ちょっとお待ち下さい…えー、2年A組ですね。…葛城先生、葛城先生!

 (葛城…?)
 聞いたことのある苗字に、シンジは怪訝な顔をした。
 すぐ、その疑問は氷解する。

 「はーい」
 という能天気な声と共に、見知った顔が出てきたからだ。

 「あ、シンジ君。…そういえばうちのクラスなのよね。ま、よろしくね。」
 「じゃ、葛城さん。よろしく…」
 ユイがお辞儀をする。

 「よろしくお願いします…」
 シンジもそれにならった。

 「じゃ、シンジ君。早速教室に行きましょうか。」
 ミサトは、終始笑顔であった。



 2−A教室。

 朝会前。
 登校してきた生徒たちは、たいていグループ毎に話をしているかなにかである。
 考えようによっては、一番活気が出るのが朝のこの時間かも知れない。

 「ホンマかぁ?」
 あやしげな関西弁が聞こえる。
 声の主は…黒いジャージの男の子だ。

 その目の前には、眼鏡を掛けたそばかすの男の子。

 「ホントだよ、トウジ。俺の情報網を疑うのか?」
 「そういうわけやないけどな。ケンスケの情報はいつも確かやしな。」
 トウジと呼ばれた方…ジャージの男の子…は、どことなく疑いの眼差しをケンスケに向ける。

 「だろ?」
 「今時転校生なぁ…珍しいで、相当。」
 「まあ、俺もそう思うんだけどさ。…あ、一応男らしいぜ」
 「ほう。どないな奴やろ?」
 「さあな。」



 同時刻。
 学級委員長の洞木ヒカリとアスカ…この2人は親友なのだ…が、転校生…シンジ…について会話を弾ませていた。

 「えーっ、じゃあその転校生って…」
 「そ。うちに住んでるの…というか、来たの。」
 「え、でも『碇』君なんでしょ?」
 「おばさま達の子供になったの。元の苗字は知らないわ。」

 「ふーん…でも、知り合いが転校してくるのって、変な気分じゃない?」
 「さあ…そういうものかしらねぇ…」

 ヒカリは、話をしながらも手を動かしている。
 この辺の几帳面さが、学級委員長として成功している所以だろうか。

 「それで…」
 アスカが話を続けようとした時。

 先生来たぞー!
 ドアの所に立っていた男子の一人が、教室内に向かって叫ぶ。
 あわただしく生徒たちは自分の席へと戻って行く。

 そして、シーンと水を打ったように静まり返ったところに、ミサトが入ってくる。

 起立! 礼! 着席!
 ヒカリの号令とともに、生徒たちは礼をする。
 そして、席に着くとミサトの「いつもの」トークが始まった。



 「みんな、おはよう。さて…」
 ずいっ、と身を乗り出し、ミサトは続ける。

 「知ってる人もいると思うけど。…喜べ女子ぃ! 今日は転校生を紹介するぅ!

 「えー、どんな子ですか?」
 「名前はー?」
 あちこちから質問が上がる。
 さっきまでの静けさはどこへやら、だ。

 「ふふ…それは本人に聞いてね。」

 「じゃあ、先生! その子の『ランク』は!?」
 「んー…まあ、ランクは『特上』と『上』の中間ぐらいね。」

 えーっ!
 そのミサトの言葉に、女子達は期待に胸を膨らませ、男子達は逆に「けっ」となる。

 「じゃ、いいわね。…入ってきて。」

 「失礼…します…」
 ミサトが呼びかけると、小さな声がドアの方から聞こえた。

 カララ…

 大人しそうな男の子が入ってきた。
 どことなく無表情ではある。

 彼は、ミサトの脇に立つと、口を開いた。

 「碇 シンジです。…よろしくお願いします。」

 (さすが上だけあるわね…)
 (優しそうな人…)
 この時点で既に女子の半数は聞いていない。

 (なんやおどおどしたやっちゃな)
 トウジは半分しらけた調子である。
 が、これがいつもの様子なので、仕方ないと言えば仕方ない。

 (ふむ。女子への売り上げが上がるかも…)
 ケンスケは、早速金勘定を始めた…。



 「…じゃあ、シンジ君の席は…あそこね。」
 ミサトは、ある座席を示した。

 窓際から2列目、前から2番目の席。

 「はい…」
 無表情のままそう答えると、シンジはてくてく歩いて指定された席に座った。

 「じゃあ、今日の朝会はコレで終わり。…あとは質問タイムね。くれぐれも、いじめたりしちゃだめよ?」
 「はーい!」
 至る所で声が挙がり、にっこり笑うとミサトは教室を後にした。
 朝会の時間はあと7分残っている。

 すぐに、シンジの周りには人だかりができた。

 「ねえねえ、どこから来たの?」
 「どこに住んでるの?」
 「名前は?」
 「勉強、得意?」
…等々の質問がいっぺんに投げかけられる。
 シンジでなくても困惑するだろう。

 「あ、あの…」
 慣れないことに戸惑うシンジ。

 「碇君、困ってるわよ! 質問は一度に一つね!」
 ここでもヒカリの活躍。
 さりげなくだが、これが効果絶大である。



 「えーと、じゃあまず…どこから来たの?」
 「…わからない…」
 「えー、それどういうこと?」
 「…ごめん。…詳しい場所は、わからないんだ…。覚えているのは、どこか、遠くだって…それだけしか…」
 「ふーん…」

 「どこに住んでるの?」
 「アスカと…同じ所…。」
 そっけない返答だった。
 だが。
 その言葉が発せられた瞬間、ギャラリーはしんと静まり返る。

 そして。
 言葉の意味を理解して来るに従って…

 「え〜〜〜っ!?」
 全員が見事にユニゾンし、その声が校内に響きわたった。

 「ああああ、これで惣流さんとの距離が更に遠くなる…」
 「僕の青春がぁ…」
 男子、嘆く者多数。

 「ど、同居…」
 「ふ、不潔よ…」
 女子、妄想者多数。

 当のシンジ、そして話に出たアスカはと言えば。

 「・・・」
 涼しい顔をしていた。



 しばらく全員立ち直れなかったようで、一時は静かになった。
 しかし、さすがに中学生はタフである。
 すぐに立ち直った。

 それからは、当たり障りのない質問ばかり。

 「好きな教科は?」
 「得意なことは?」
…等々。

 だが、殆どシンジは「わからない」で通した。
 実際、シンジは自分のことさえもよくは分からない。
 ただ分かるのは、自分が彼らとは違う存在であること、それだけだ。

 キーン コーン カーン コーーン…

 そして、チャイムが鳴り、教師が同時に入ってくる。
 シンジに群がっていた生徒たちは、ぞろぞろと各々の席に帰っていった。

 「ふぅ…」
 それを見て、少し胸をなで下ろすシンジ。
 まだ、話すことには慣れていないようだ。

 教師は、いつものように授業を始める。

 ここに、宿命を負った少年「碇シンジ」の日常が始まったのだった。




第2話 につづく

ver.-1.00 1997-10/02公開
ご意見・感想・誤字情報などは Tossy-2@nerv.to まで。



 次回予告

 初めて味わう「日常」を、戸惑いながらも謳歌するシンジ。
 だが、その幸せなひとときは長くは続かなかった。
 現れる「ANGEL」。
 そして、始まる戦闘。
 巻き込まれた人々は、何を見るのか。

 次回、「巡り会い」。お楽しみに!


  あとがき

…というわけで、404号室15000ヒット記念新連載「Angel's Song Angels Sing」(略称「ASAS」)、導入編でした。
 うーん、いつの間にか15000人…感涙でディスプレイが見えない…。

 この話、基本的に「ど」シリアスで書いていくつもりです。
 また、更新サイクルは少し長めになるかと思います。
 気長にお待ち下さいね(^^)。

 今の所はアウトラインだけですが、そのうち背景設定なども詳しく決めて掲載しますので、とりあえず謎についてはそれをご覧下さい、ということで。

 では、今回はこの辺にて。
 ご意見・ご感想など、いただけるとうれしいです。(^^)



 Tossy-2さんの新連載、
 部屋15000カウント記念の新連載、
 『Angels' Song Angels Sing』、公開です。
 

 カウンタ記念SSを発表する方はこれまでにもいましたが、
 連載となるとめぞん初ですね(^^)
 

 突如第三新東京市にやってきた、
 逃げてきた、シンジと

 彼を受け入れる人々。
 

 【「ど」シリアス】・・
 謎めく存在のシンジを中心に、
 どの様に展開していくのでしょうね。
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 3つ目の連載を抱えたTossy-2さんに感想メールを送りましょう!



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