「シンジ、起きなさいよ。もう八時よ、早く起きないと遅刻するわよ。 と言いつつアスカはベッドの中で眠っている、シンジを起こそうと、 揺さぶっていた。 彼女の名前は惣流アスカ、シンジの幼なじみである。 「いい加減に起きないと、おいていくわよ。全くなんでいつも 私が起こさなきゃならないのよ。いやになっちゃうわ。」 などと言っているが、シンジを起こしにいくのを、やめたりはしない。 女心とは複雑なものである。 「シンジ、いいゥげんに起きなさいよ、バカシンジ!」 そろそろアスカが切れかかってきた。 アスカの殺気を感じたのか、シンジが眠そうな目を開くと ベッドのそばにアスカがいるのを発見した。 「なんだ、アスカか、」シンジがそうつぶやくと、 「なんだとはなによ。それがいつも起こしにきてあげている、 幼なじみに対する感謝の言葉なの!」 「うん、ありがと。じゃ、おやすみ」そうつぶやくとシンジは、 またもや布団の中に潜り込もうとする。 ついにアスカが切れた。 アスカが布団の端をしっかりつかみ「いい加減にしなさいよ!」 という怒鳴り声とともに、勢いよく、布団をめくりあげた。 その瞬間、アスカは真っ赤になったままシンジの体のある一点を 見つめてしまい、硬直してしまった。 運悪く、そのときシンジは仰向けに眠っていたのだった。 「いやー、エッチ、バカ、ヘンタイ!信じらんない。」 そう叫ぶやいなや、アスカはシンジをひっぱたいた。 「しょうがないだろ、朝なんだから!」 これはただの生理現象であるのだが、中学生のアスカにとって そんなことがわかるはずもない。 「いいから、早く着替えなさい。下で待ってるから、もう眠るんじゃないわよ。」 そういい残すと、アスカは部屋の外でまつことにした。
EVANGERION NEXT第一話 綾波レイ
「まったく、シンジったらしょうがない子ね。」 ユイは、台所で洗い物をしていた。 「あなたも新聞ばかり読んでないで、はやく支度をしてください。」 「ああ」 ←聞いているのか? 「まったく、いい年して、シンジと同じなんだから。」 「ああ」 ←聞いていないようだ。 「会議に遅れて、冬月先生におこごといわれるのは、私なんですからね。」 「君は、もてるからな。」 「なにいってるんですか。」といいながら少し照れるユイ。 (そういえば...)と心の中でつぶやき、新聞をたたむゲンドウ。 (今日だったな、彼女が来るのは。) ゲンドウは何かをたくらんでいるようである。
「シンジ、はやくしなさいよ。遅刻しちゃうでしょ。」 「わかってるよ、アスカはうるさいなー」 シンジは後のことを考えずにそうつぶやいた。 「なんですって、うるさいとはなによ!」 パチーン!
「それじゃ、おばさまいってきまーす。」 元気いっぱいのアスカに押されるように、シンジは家を、出ていった。 シンジの頬には真っ赤な紅葉が張り付いていた。 「ほら、あなたもとっとと支度してください。」 「ああ、わかってるよユイ。」 (今日から楽しみだ)と考えニヤリと笑いをこぼすゲンドウ。 彼はいったい何をたくらんでいるのだろうか。
ピピッピピッピピッ・・・・ 「もう・・・・うるさいなー、もうちょっとねかせて ムニャムニャ。」 レイはベッドの中で気持ちよさそうに眠っていた。 「あと5分・・・って、ああっ!もうこんな時間、もうお母さん どうして起こしてくれないのよ!ってそうだった今日から、 ひとりぐらしだったんだ。いけないはやく用意しなくちゃ。」 レイはいそいで洗面所に向かい身だしなみを整えてから、 制服に着替えた。 「そういえば、新しい制服まだとどいてないんだった。 いつとどくんだろう。ってもう8時15分、朝御飯食べる じかんがないじゃない」 レイが学校に遅れそうになるのは、よくあることなので、 いつものとうりに、食パンを口にくわえて、家を飛び出した。 「きゃーっ!遅刻遅刻!初日から遅刻じゃかなりやばいって感じだよね。」 そう叫びながら彼女は、今日から通う学校への道を 走り始めていた。
シンジとアスカは中学校に向かってひたすら走っていた。 「今日、また転校生が来るんだってね。」 シンジはアスカにそう話しかけた。 「ええ、そうらしいわねここも来年には正式に遷都されるんですもの、 これからも人はどんどんふえていくとおもうわよ」 「そうか、転校生ってどんな子なんだろう、かわいい子だったらいいな。」 シンジの頭の中には、転校生=女の子と言う図式があるようだ。 (こんなにかわいい子がすぐそばにいるのに、何が不満なのよ) アスカは不機嫌そうにシンジをにらんでいた。 アスカの視線に気づかず走り続けるシンジ。 とそのとき、曲がり角から、パンをくわえた女の子が急に飛び出してきた。 「わーっ」「きゃーっ」 シンジと彼女は激突してしまい、二人は吹き飛んだ。 「あいたたた。」痛みが引き周りに注意がいくようになると、 自分の前に白磁のように白い美しい足が見えた。 そして視線を少しあげ、その奥に白い布のようなものが見えたとき その女の子はあわてて、めくれていたスカートをもとに戻した。 その女の子は、見たことのない制服を着ていた。 「ごめんね。」 その女の子は、そう謝ると、駆け出していった。 「ほんと、ごめんね。マジでいそいでたんだ」という言葉をのこして。 シンジは(かわいい)と思いながら彼女を見つめていた。 アスカの不機嫌そうな顔に気づかずに。
「それで、みたんか」 「んー、見えたっていうか、ほんの一瞬、ちらっとだけ。」 「かーっ、朝っぱらからラッキーなやっちゃなぁ。」 硬派なトウジも興味があるらしく羨ましそうな声をあげている。 そこにむっとした、委員長のヒカリが割り込んできた。 「ちょっと鈴原、バカやってないで、花瓶の水を換えてきて。週番でしょ。 「なんや、いいんちょーちょっとくらいええやないか。」 と言いながら、ヒカリの方を見る。 (げ、まじでおこっとる・・・や、やばい) 状況をさとったトウジはいそいで水を換えに言った。 (しっかしいいんちょー、なんであないにおこるんやろーなー) どこまでも鈍い男である。 このありさまを見てシンジが「尻に敷かれるタイプだな」とつぶやいた。 鈍感なシンジでも、他人のことはわかるらしい。 「あんたもでしょ。」そうシンジにつっこんだ。 「なんで僕が尻に敷かれるタイプなんだよー」 シンジは自分の状況を把握していないらしい。 「見たまんまじゃない」 「だいたいアスカはいつも・・・」 と言うようにふたりの口げんかを見ながら、ケンスケガ、 「平和だねー。」とつぶやいた。 しばらく二人の喧嘩をほほえましそうに見ていたケンスケだが、 遠くから車の爆音が聞こえてくるとすぐにビデオカメラを取り出して、 外を見た。 そのとき車は、校門を抜け駐車場にとまるところだった。 シンジと水換えの終わったトウジも窓から乗り出して、 ミサト先生の車をみつめる。 その時、車のドアから長くて形のよい足が見えた。 ミサト先生である。 ケンスケはあわててビデオカメラの録画を開始した。 「ミサトせんせー」 3バカトリオの声が響きわたる。 ミサト先生がそれに答えてピースをしてくれる。 3人はうれしそうに顔を崩しピースを返す。 3バカトリオが上機嫌とは対照的に、 不機嫌な女の子が2人いた。 アスカとヒカリである。 「なによ、3バカトリオがバッカみたい。」 女心は複雑である。 チャイムがなりホームルームの時間となり、 このくらすの担任である、葛城ミサト先生がやってきた。 「喜べ、男子。今日は噂の転校生をしょうかいする。」 転校生はどうも女の子らしい。 ミサトの後ろからピョコッと顔を出して 「綾波レイです、よろしく。」 とそのかわいい女の子はにっこり笑って挨拶をした。 その時、シンジは「あーーーーっ、君は」と言う叫び声をあげた、 彼女はさっきぶつかった女の子だったのである。 レイもシンジの顔を覚えていたのか、 「あーーーっ、あんた、さっきのパンツ覗き魔」などというとんでもないことを 言われてしまった。 とたんにクラス中が大騒ぎになってしまった。 その時アスカが、硬直しているシンジにかわって 「何いってるのよ、あんたがかってにみせたんじゃない」といいかえした。 アスカの言い方に、むっとしたのか、レイはアスカに向かって、 「何々、あんたその子のことをかばっちゃってさ、何、できてるわけ」と言い放った。 アスカは、何故か?顔を真っ赤にしながら 「た・・ただの幼なじみよ、うるさいわねー」と言いつつ後ずさった。 そこに、「ちょっと、今は授業中よ、静かにしなさい。」というヒカリの声が 響きわたる。 (ナイスフォロー、ヒカリ)アスカはこれでこの話は終わると思っていた。 しかしその希望は「あーーら、いいわよ。あたしも興味あるわー。 続けてちょうだい」というミサトの言葉によってうち砕かれてしまった。 先生の許可を得たため、クラスの人間は好き勝手に話し始めた。 そしてそれは、ホームルームが終わるまで、続くのであった。
ver.-1.00 1997-5/02公開
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まだ始めたばかり、どうなるかわかりませんが、どうぞ見捨てないでください。
それと、できたら感想をお願いします。
ゴールデンウィークの引っ越しラッシュは続いています。
休みに入って4人目、通算で17人目の新住人、
睦月さんがやって参りました(^^)
記念すべき第1作、『EVANGERION NEXT』公開です!
26話から始まる学園エヴァを舞台にしたお話のようですね。
始まったばかりの今回はそのままTVの話をノベライズされていただけですが、
軽快なテンポとノリのいい会話で楽しませていただきましたよ(^^)
次回からのオリジナル部分に期待が高まります(^^)/
訪問者の皆さん、新しい住人の睦月さんをメールで歓迎して下さい!