TOP 】 / 【 めぞん 】 / [YOU]の部屋に戻る / NEXT











ピシ……

何かを打ち合わせたような冴え冴えとした音が室内に響きわたった。
無意味に広いその室内で、その音は虚しく、そして長く尾をひいた。

「彼らをジオ=フロントに送ったそうだな?」

ピシ…

また音が響く。先ほどよりやや強い音。
それは批難の意。
自身の感情が高まったのを、そうして意図的に表に出す。

「………。」

相手の返事は無い。
彼が言いよどむことなどまず無いのだから、それは肯定の証なのだろう。嘆息する代わりに目の前の盤から駒を一つ取り上げ、また音を室内に響かせる。

ピシ…

「予定よりずいぶん早いな。計画の早々から、老人達に目をつけれるのはまずいのではないか?」
「問題無い。老人達は今回の件を、我々とアライブラの諍いぐらいにしか考えていない。」
「飼犬同士争わせておけば、敢えて飼主に噛み付くことも無かろう…というわけか。」
「我々の対応は、あくまでイレギュラーに対する突発的なものと見せかける。アライブラの行動はいい隠れ蓑となる。」
「ふ…む……。」

ピシ…

盤上の駒を進めながら、彼は唸った。 こちら側の手筋としてはそれでいい。だが、問題は相手の出方だ。

「だが、アライブラも悪戯にこちらに介入してきたわけではあるまい。奴の目的はわかっているのか?」
「ああ。すでにそれに対する手は打ってある。」
「’彼女’を目付け役にジオ=フロントへ送ったのも、その手の一つか?」
「………」

またも答えは無かった。
が、今度は沈黙の代わりに、おもむろに席を立ち、窓の方へと歩いていく。
つまり、会話は終わりということだろう。

(私にすら手のうちは隠したまま…か。まったく、やりにくい男だな…。)

彼は諦めて、幾重にも策謀が渦巻く広大な世界から、小さな盤上の世界へと、思索の視野を移して行った…。











魔導王シンジ


第十八話  飛べない天使に捧ぐ歌(前編)




シンジらを乗せたエレベーターは地表に近づくにつれ緩やかにその速度を減少させ、やがて小鳥が止まり木に降り立つかのように、柔らかに地面に着陸した。 と同時に、シンジの目の前にあったガラスが音もなく、扉の様に開き大地に沈み込む。 シンジはその大地を見つめた。

赤茶けた色の肥沃そうな土。その上に産毛の様に生える柔らかな草。そしてさらにその上を走る微風。地上にある光景がそのまま、いや、むしろそれより増して鮮やかな景色が、匂いが、感覚がそこにあった。光など一切射さぬはずの、この地の底に。まるで触れれば消える幻の様に。 だからだろうか。なんとなくその大地に足を下ろすのが躊躇われるのは---

「邪魔よ、あんた。」

前触れなく---声とほとんど同時に---撞木でつかれた様な衝撃に背中を襲われ、シンジは目の前の道路におもいっきり突っ伏す。誰がそれをやったかは、顔を上げる間でもなく明らかだった。

「なーに、出口でいつまでもぼーと突っ立ってんのよ。だいたい女の子さしおいて先にエレベータを降りようとするなんて信じらんない。レディファーストのレの字も知らないでしょ。」

振り上げた足でそのまま勢いよく降ろしてトンっと地面を蹴り、アスカが倒れ伏すシンジの目の前にふわりと降り立つ。

「…何処の世界にいきなり踵落としてくるレディがいるんだよ…。」

服に付いた埃や土を落としながらシンジは起き上がる。一方、アスカは何事もなかったかのように街並みを見渡している。身につけている明るい色のシャツやズボンといい、陽気そうな表情といい、どこからどうみてもハイキングに来た一般市民の様に見える。
アスカはエレベーターから降りると、そのまま弾むような足取りでとてとてと辺りを駆け回っていく。

「んーーー、いい空気。木や草は本物みたいね。ダンジョンってたいがい陰気でカビ臭くてじめじめして嫌なんだけど、こういうのだったら大歓迎ね。」

アスカが振り返って遅れて降りてきた大人達を返りみる。ミサトとリツコはやや苦笑いで、長老連の手下らは緊張した面もちで各々降りてくる。

「はしゃぎまわるものいいけど、まず現在の位置と経路を確認しましょう。地図は貴方達が持っていたわよね。」

ミサトの声は別段白々しいところは無い。すでに時田から内密に渡されたジオ=フロントの地図が頭の中に叩き込んであり、ここらの位置もすでにだいたいの検討がついているにしては…だが。長老連の使いたちは、ばたばたと慌しく地図を広げ始める。

「…目標であるゲートの発生源…「駅」はこの道を10キロ程道なりに行けば見える建物だ。地図にハッキリと書いてある。」
「割と近いのね。」
「その地図、信用できるの?」

ミサトの言葉に男の一人が意外そうな顔をする。

「この地図は15年前、葛城調査隊…つまり貴方のお父上の手によって造られたものだ。信用云々は、貴方の方がよく存じてらっしゃるのでは。」
「…あっそ、父がね…。」

ミサトの言葉には、驚きより呆れの色が濃い。ミサトの父は生前、自分のことに関しては徹底して話さなかった。自分のことに触れられると、とたんに不機嫌になり黙り込んだ。気難しいとか、昔気質だとかいう以前に、偏狭だったのだ。

「貴方だけでなく、私やシンジ君の親も参加していた調査隊の残したものですからね。信じないわけにもいかないでしょう。」

そういって微笑むリツコをシンジは複雑な表情で頷いた。と、アスカが意外そうな顔をして呟く。

「へぇー、偶然ね。15年前の調査隊の二世が、今回の調査隊に揃ってるなんて。」
「偶然…ねぇ……。」

ミサトの言葉には明らかに、その偶然性を否定する響きがあった。今回の軍部側の人選には指令の介入がある以上、なんらかの思惑があるはずだ。かつての調査隊の子供達がジオ=フロントに…それがなにを意味するのかはわからないが…。

(今回の任務、絶対ただではすまないわね。まったく、ムサシ君や闘将を相手にするだけでも手に余るっていうのに…)

そうぼやいて、ミサトは空を見上げる。
無限に広がっているかに見える大空。だが、実際はたかだか数百メートルの高さにある、青い天井にすぎない。15年前、父も見上げただろう、この天井。

(父は地上にある本物の空より、この贋物の空に魅せられた)

そして、目の前にある家族を捨て、400年も昔に滅びた王国を追った。
弱い……現実を直視できず、夢の世界で生きる人……。
……それがミサトの中にある父、葛城ハヤトの姿だった

(…そして、娘である私も、10年の時を経て同じ空の下に立っている。)

ミサトは空を見上げたまま、自嘲げに呟く。

(血か…、運命か…。どちらにしろろくでもないわね。)

そうしているうち、どうやら待ちきれず先へ行ったらしい、アスカの罵声がとんだ。

「ちょっとミサト、あんたまで何ボケーっとしてんのよ。トロイのはシンジだけで十分なんだからさっさと来なさいよ!」
「…はいはい。まったくあなたが一緒だと煮詰まる暇もないわね。」
「え?何?何か言った?」
「誉めたのよ。」

苦笑しながらミサトは、アスカに気づかれない程度、ほんのわずかに肩をすくめた。






ヴゥ………ン………。

悪魔が呻ったような声音を立てて、空間に黒い球体が現れた。それは闇…というより虚無に近いものだった。その部分だけあるべきものがぽっかりと抜け落ちてしまったようなからっぽの空間。
そこから、前触れ無く腕が生える。まだ成長期の少年のものの様で、瑞々しく華奢に見えるが、しなやかで強靱そうな腕だ。色は浅黒い…がこれは生来のものだろう。腕は虚無の外を探るように動いた後、持ち主を引っ張るようにして外に這い出てきた。

「ぷはぁー。」

水中に長く潜っていた者がようやく水面に出てきたときにする、荒々しい呼吸音を少年が静寂に満ちた辺りに響かす。やがて、少年が出てきた球体から、他の人間も次々と外に出てくる。誰も彼も、ムサシと似たり寄ったりの表情で現世に出られた開放感に浸っていた。

「ひゃー。あれがディラックの海とかいうやつかいな。まったくどえらいもんや。地獄の方がなんぼかマシやでホンマ。あーいう体験は二度とごめんやわ。」
「ばーか。じゃあ、帰りはどうやって帰る気だ?お前だけ本物の地獄を歩いて帰るか?」

そう言ってムサシは上を…つまりはネルフ王宮が在るだろう場所を指さす。男は勘弁してくれ、というふうに肩をすくめて他の仲間達と笑い出す。

「まったくフリーの傭兵からウェポン家お付きの身分になって、少しは正確がお上品になったと思ったのに、変わってないよな、お前さんは。」
「お付きって言うなよ。金持ちの犬になったわけじゃない。ただ、アル…アライブラの奴との腐れ縁が切れないだけだ。」
「わははははは。あの人、えらくお前さんのこと気に入ってたからな。今回の仕事はかなり特殊やけど、そのあんたと一緒なら安心もできるってもんや。よろしく頼むで、大将。」

そう言って男は半ば禿げ上がった頭をなでながら豪快に笑って見せた。この男、見かけはたんなる建設現場とかに良くいる親父といった風体だが、その実は破壊工作隊を率いる優秀なスカウトだった。しかし、見かけだけで言うならムサシだってとうてい戦士には見えない。仲間内でそんな馬鹿な話をしている間に、虚無を通って最後の人間が現れた。いや、厳密に言えば、それは人というべきものではなかった。その姿を目にしたとたん、賑々しかった一同がしんと静まりかえる。
全身から放たれる金属の光沢。だがそれは鎧ではなく、正真正銘、彼の体の一部だ。まるで怪奇映画に出てくる動く鎧さながらに、それは平然と歩を進める。

「ウェーバー…。やっぱりてめぇもついてくる気か。」
「当然だ。お前達だけでは信用できたものではない。」
「腕が?腹が?」
「両方だ。」

ウェーバーと呼ばれたそれは、聖魔戦争時代に創られた闘将と呼ばれる兵器だ。鋼鉄の体のなかに様々な銃火器と…そして、極めてデジタルな思考を内包している。だが、このウェーバーはその中でも別格と言ってもいいほどの部類にはいる。

「…ふん、好きにしな。…さて、どういった手はずで爆破するんだ?いきなりドカンじゃ俺達の帰り道が無くなっちまう。」
「時限性の爆破装置を使う予定や。ゲートを使こうて全員が撤収するのに三分かかるとして…まぁ五分後にセットすれば大丈夫やろ。」
「仕掛けるのにどれくらい時間がかかる?」
「この場所…たしか駅と言ったなぁ?前もって渡された図面からみたところ、かなり広いさかいな。アライブラ様の話じゃ、跡形残さず吹き飛ばせってことやから…そうやな、三時間ってとこやな。」

そう言って男は、節くれだった指を三本たててみせる。

「三時間…。思ったより速く済むな。この分だとネルフから誰か来る前に…。」
「もう来ている。」

聞こえよがしにそう言ったのはウェーバーだ。ムサシは努めて驚きを隠して振り返る。

「何?」
「私にはセンサーというものが備わっているのでね。いくら魔力を隠そうとも、生体である限り補足できる。」
「…どんな奴が来ているかわかるのか。」
「全部で八人来ている。王都で見た顔が二人…。子供が二人---話に聞いていたチルドレンだろう…。他四人は知らないが…反応の小ささからみて雑魚に相違ない。」
「チルドレンが…二人…?まさか!ちっ…、あの馬鹿!」

どういう理由からか知らないがアルはレイが動けない、と言っていた。ふざけた男だが、彼が断言した情報に間違いはない。レイは実際、ここには来れないのだろう。とすると、残るチルドレンは三人。その誰が来ても…ムサシにとって最悪の状況には違いなかった。

「ふむ…。しかし、これは好都合だな。」

ムサシの心情とは対照的な言葉を、ウェーバーが静かに呟く。そして、ゆっくりと建物の出口の方へと歩いていく。

「好都合だと?」
「どうやら奴らの中には塔の聖女が何人かいるようだ。ここで他の人間もろとも私が始末してやろう。さすればネルフの結界も消え…塔を破壊する必要もなくなる。当初の我々の計画通りだ。」
「当初の計画…?前もたしかそんなことを言ってたな?おい!いったいなんのことなんだ!」

ムサシがウェーバーに詰め寄る。人間相手ならば、胸ぐらに掴みかかっていたところだろう。ウェーバーは煩わしげに頭を振って答えた。

「答える義理はないのだが…、何も知らぬ貴様を哀れんで教えよう。元々、ヘルマンがシャングリラに依頼したのは塔の破壊ではなく、シャングリラ・アサシンを使っての塔の聖女暗殺なのだ。」
「暗殺…!?」

ムサシが絶句する。だが、考えて見れば、結界を消すのに、なにもあんな馬鹿でかい塔をわざわざ壊す必要はない。それを操る人間がいなくなれば事は足りるのだ。そして暗殺という仕事ならば…シャングリラのアサシンほどそれに適した人間はいない。

「だが、アライブラはそれを断った。第一に、塔の聖女を暗殺できる人材ともなると数が限られる。特に「確実に」という条件が付くならば、「デザート・ローズ」と呼ばれるシャングリラ最強のアサシン部隊を使う必要がある。だが彼らは個人ではなくシャングリラという都市に仕える者達。例えばシャングリラに野心を伸ばす他国の王や、掟を破り自分勝手な商売を重ねた商人を始末するためのな。故に、ヘルマンのために彼らは動かせぬと言ってきた。第二に、塔の聖女はその気になれば補充が利くという点だ。塔の聖女の条件とされる処女性も、たんなる慣習にすぎない可能性が強いからな。この点では、我らも確かに納得せざるを得ず、アルの提案した闘将による塔破壊計画---作戦名「エンジェル・アタック」に切り替わったのだ。」
「初耳だぜ…そんなこと。…なんで黙ってやがったんだ、あいつ…。」
「後ろぐらいところがあるからだろう。私が思うに、アルは闘将という商品を売り出すためのプロパガンダとして「エンジェル・アタック」を利用したのではないかな。今まで誰も成し得なかったネルフの塔の破壊を、闘将という新兵器が成し遂げる。これ以上無い宣伝だ。」
「…なるほど。まぁ、そんなとこなんだろうな…。」

そう言いながらもムサシにはもう一つ別の考えが頭の中を過ぎった。戯れ言だったのかもしれないがアルはシンジとアスカがお気に入りだと言っていた。もしかしたらアルは…。

(…いや、馬鹿げてるか…。)

「さて…では、そろそろいくか。貴様はここで待っているがいい。爆破の準備が整う頃には全てが終わっている。」

そう言い残すと、ウェーバーはゆっくりと出口のほうへと歩いていく。だが、その仮面の奥からのぞく目に、歓喜の色がちらついたのを、ムサシは見逃さなかった。

(タイプ・ドミニオン…。圧倒的な戦闘能力を持つこいつらが何故、教団の滅びた後も封印されていたのか。こいつを見てるとだいたい想像がつくぜ。ヘルマンも厄介な奴を目覚めさせたもんだ。)

胸の悪さを吐き出す様に嘆息すると、ムサシは現場の指揮をとるため、部下達の居る場所へと戻っていった。






当たり前のことだが、押しなべて、街は閑散としていた。
左右に並ぶコンクリートで出来た巨大な墓石のような建物。街中を碁盤の目の様に走る道路。奇麗にならべられた街路樹。そのどこにも、かつて人がいた、という温かみを感じさせるものが無い。まるで深海のような重苦しさと、もの悲しさを感じる。

「寂しいところだね。」

シンジが誰に言うともなしにそう言った。黙ったままでいるとこの街の空虚さが心の中にまで染み込んできそうだった。さっきまではしゃいでいたアスカも、街に入ってしばらくすると、何やら思案顔であちこちを見渡している。

「…それよりさぁ、なんか変じゃない?」
「変?」

聞きとがめて、リツコが訊ね返す。

「ここって、あの聖魔教団の首都だったところでしょ。」
「そうよ。」
「その割には…なーんか欠けてるって言うか、腑に落ちないって言うか…。」

もごもごとアスカが口ごもる。自分の内にあるものをうまく言葉に表すことが出来ないといった風だ。これも彼女にしては珍しい仕草だ。

「ふーん。この街がねぇ…別に変わったところは無いと思うけど。」

アスカの言葉を聞きながら、ミサトは改めて街を見渡す。高層なビルや舗装された道路など確かに地上よりは多少、文明は発達しているものの、たしかにこれといった特徴は見あたらない。当時にしては、ずいぶん平凡な街だったのかも知れない。敢えて言えば、特徴がない、そのこと自体に違和感を感じる。

(「腑に落ちない」か…。そういえば、時田も似たようなことを…)

始祖ルーシーが禁忌と定めた場所に、ゲートの様な抜け道が---私には納得できない。

「ねぇ、あんたもそう思うでしょ!」

業をにやしたのか、アスカが苛立った声でシンジに話を振る。だが、打てば響くような返事が返るわけもなく、シンジはうろたえた様に返事をする。

「え…さ、さあ…?僕、その聖魔教団っていうのよく知らないし…。」
「あんたバカァ?学院の歴史の講義でしつこいくらいに聴かされたじゃない!」

学院でシンジらが受けた歴史の講義は「出席さえすれば単位が出る」というありがたすぎて涙が出るものだったが、一つだけ難点があった。講師が定年間近の年寄りで、すでに呆けかかっているのか毎回、同じ話しかしないのだ。それが、かつて魔王と闘った国家、聖魔教団の話だった。

「そんなこと言われても、僕はその講義、ほとんど寝てたから…。覚えてるのは、聖魔教団って言う国が400年前、人類を統一した後、魔王に闘いを挑んで滅ぼされたってことぐらい…。」
「ここがその聖魔教団の本拠地だったってことは!?」
「それは知ってるけど…。」
「なら、あの闘将が聖魔教団の主力兵器だったことは!?」
「そ、それもなんとなく…。」
「じゃあ、ムサシが持ってる魔導書「ブラック・スミス」はもともと聖魔教団の魔導士が書いたものだって事は?」
「え?そ、そうだったの?」

力が抜けたように、アスカは頭を抱え込んで崩れ落ちる。

「あ、あんたねぇ…。ひょっとして今までの事態をぜんぜん理解してないんじゃないの?」
「しょうがいないだろ。知らないものは知らないんだから…。」

シンジが拗ねたようにうつむいてぼやく。アスカが深いため息を吐いて、ミサトの方を振り向く。

「ミサト先生。この馬鹿に補習してやって。」

先生のところだけ妙に強調してアスカが言った。ミサトははいはいと笑って返事をして、歩を進めながら、シンジに近づく。

「魔導書っていうのは、かつて聖魔教団に仕えた十二人の魔導士達の書き記した魔法の奥義書よ。錬金術、占星術、幻術、神魔法、暗黒魔法、精霊魔法……とまぁ、様々な分野の魔導書がこれも十二個、世界に存在すると伝えられてるわ。ちなみに、ネルフは魔導書が六個保有していると公式には発表されてるの。ネルフが魔法王国と称される一因ってわけね。」
「私の持つ魔導書「エメラルド・タブレット」もその一つよ。魔導士マギ=トリニティーの著作。錬金術について書かれてるわ。」

さして自慢するふうでもなく、リツコが口添えする。ミサトは軽く頷いて話を続ける。

「そして、ムサシ君の持ち出した魔導書「ブラック・スミス」もそのうちの一つ。魔導士フリーク・パラフィンが聖魔教団の尖兵・闘将に関する技能・知識をまとめて書いた本よ。まぁ、実際には魔導書は本の形をしているとは限らないらしいけど。そんでもって、魔導士の技能を受け継ぐ魔法使いを魔導術士と称するわ。ちなみに、魔導術士はどういうわけか一つの魔導書につき一人しか存在しないみたいなの。だから、この事件も端からムサシ君の仕業じゃないかって言われてたのよ。」

と、一息にミサトはそこまで言ってしまう。普段、学院の講師を務めることが多いせいで、人に説明することに手馴れている。

「…あの魔導士って…聖魔教団ってそんなにすごかったんですか?」
「そりゃあね。ネルフも今じゃ魔法王国なんて呼ばれてるけど、聖魔教団は次元が違ったみたいだし。特に、聖魔教団の教主は未だ、人類史上最強の魔法使いだったと言われているわ。伝説じゃ魔人より強かったって。」
「ま、魔人より…。そんな凄い人がいたんですか。」

シンジの目が次第に興味に彩られるのを見て、ミサトが苦笑する。

(男の子ってホント、英雄とか伝説とか言う話、好きよねぇ。)

「教主からしてそうだったから、その下にいた魔導士達も尋常じゃない力をもっていたわ。この闘神都市だって、その魔導士達が創ったものなのよ。」
「じゃあ、このジオ=フロントにその魔導士達が住んでいたんですか?」
「んーー、厳密には違うわね。たしかに、他の闘神都市はそれぞれ魔導士達が支配してたみたいだけど。ここに居たのは、かの聖魔教団の教主。」


聖魔教団の教主。



(…え?今…?)

ふと、シンジは違和感を感じた。今、シンジに向かって話をしているのはミサトのはずだ。だが、まるで木霊のように、シンジの頭の中で別の声がそれに先んじて響いてきたのだ。

「かつて、十二使徒とも呼ばれる十二人の魔導士達を率いて---」

十二人の魔導士達を率いて魔王と一世紀にわたる闘いを繰り広げた史上最強の魔法使い。


まるで聞きなじんだ歌を、いつのまにか頭の中で繰り返しているような感覚。
記憶。自分の何処かに眠っていた記憶。自分の中にある他人の記憶。
それがミサトの声が引き金になって、掘り起こされていく…。

(まただ、この感覚…?なんなんだ、これは……!)

やがて、心のうちにあるその声はミサトの声に先んじる。
か細く、冷たい…いや、暖かい?女の声。
少し先を行くミサトの、アスカの背が、なぜか遠く見えた。




名をM・M・ルーン。通称---





(や…めろ……。僕の中に…入って……くるな!)




声は何処までも、透明な空の様に澄んで……そして、凄涼だった。






魔導王













魔導王ルーン
















「魔導…王…?」







ひどく懐かしい響きだった。遠い昔に聞かされたような…。そう思って、シンジがオウム返しに呟いた刹那、眼前に光が走った。

(!?)

いや、実際には光など走らなかったのかもしれない。ただ、衝撃がそこにあった。 たとえるなら、意識の明滅のスイッチを激しく切り替えられたような…。 その衝撃が去った後、シンジの目の前にあったのはまるっきり別の世界だった。
目に見えるものに変わりは無い。ただ、変わったのはシンジの中にあるその風景。
見覚えのないはずの街、山、空、地面が全て記憶の何処かに根ざしていた、懐かしい景色に変貌していた。
…逆に先を行くアスカ達が、まるで絵画の中の登場人物であるかのように、決して手の届かない別次元の存在に思えた。

(な…なんだ、これ?ど、どうなったんだ、僕は?)

自分の存在そのものが書きかえられていくような恐怖を覚え、シンジは因を探すように空を、街を見渡す。
知らないはずの空。
知らないはずの街。
知らないはずの風景…。
そららに溶け込んで…、







緩やかな上り坂の途中で…

陽光が織り成す陽炎の様に…







一人の少女がそこに立っていた。







「え……?」







シンジの目が驚愕に見開かれる。
空に溶け込むような、薄い色素の肌と髪。
人形の様に整った顔立ち。
そしてなにより赤い、世界の全てをすい込めそうなほど赤い、瞳。







シンジは我知らず、その見知った少女の名を呼ぶ。















「綾……波……?」















シンジのかすれるような声に少女は答えなかった。
その代わりのように風が、二人の間を緩やかに流れ去る。
シンジの意識はそこで途切れた。






「……何だ!?」

駅の中をどこかいらついた様子で歩いていたムサシが突然、険しい声をあげた。何事かと思い、そばに居たものが一斉に振り返る。

「どないしたんや、大将?」
「いや…、芦ノ湖の辺りにいきなりでかい魔力が現れやがったんだ。なんなんだ、いったい…」
「芦ノ湖ぉ?……まさか、例の物のある場所にか!?」

一転して真剣な表情になった男に、ムサシが黙って頷く。その場にいた事情を知っている一部の人間達の間に緊張が走る。深刻な表情でムサシの方へ駆け寄ってくる。

「まさか、連中がアレを動かそうとしているのか?」
「それはねぇ。それが出来るならとっくにやっているはずだ。」

(それにこの魔力……、二人…?いや、やっぱり一人か?どうもはっきりしない。こんな感じは初めてだ。しかも片方の魔力はどうみてもあいつの…)

「……考えても埒あかねぇな。ちょっと行って来る。」
「ちょ……、少しは罠の可能性とか考えろや、お前。」

ムサシが剣を掴んで出口に向かうのを見て、仲間の一人が呆れたようにぼやく。

「考えてるさ。爆破の準備が整ったら俺とウェーバーの帰りをまたず、とっとと爆破して引き上げてくれ。生きていれば俺もあいつも自力で戻る。」
「そうやなくて、自分の身の心配をしろっちゅうとるんや。おい、お前…!」

まるでかけられた言葉から逃れようとするかのように、ムサシは一直線に出口へと駆け出していった。






「っっっっっっっっったく!こんなとこで迷子になるなんて、あの馬鹿!!どこまで馬鹿なら気が済むのよ!!!」
「…アスカ、少しは落ちつきなさいよ。それじゃ近くに居たって恐ろしくて出てこれないじゃない。」

アスカが腹立たしげにそこらへんの物を蹴りまくるのを、ミサトが苦笑いしてたしなめる。
一瞬。
皆が碇シンジから目を離したのはほんの一瞬だった。
だが、その一瞬の間に碇シンジは消えたのだ。
音も、気配も、前触れもなく。

「困ったことになったわね。」

リツコがちっとも困ったようには見えない平坦さで呟くが、実際かなり困った状況と言っていいだろう。一刻も早く先へ進まなければ行けない状況で、チルドレンの一人をこの未知の空間でロストしてしまった。探しだそうとすればどれだけの手間か分からない。それに…誰も口には出さないが、状況の不自然さからいって、ただの迷子であるわけがない。敵にさらわれたか…あるいは…。

「やはり、始祖ルーシーの呪いだ。我々はここに来ては行けなかった…。」

長老連の使いの一人が、心底怯えきった様に震え声で呻く。

「死ぬんだ。我々はみんな…、15年前の葛城調査団の様に…。」
「うるっさいわね!役に立たないだけならともかく、見苦しく騒いで苛立たせないで。」

普段より一際きつい罵声が、ミサトから彼らにとぶ。その時…。

「滑稽だな…。」

この場にいる誰のものでもない声が、辺りに響いた。

「部隊が一人欠けたくらいで、見苦しく狼狽え、炉惑い、本来の任務に支障をきたす。まるでお遊びの軍隊だ。」

その声は天上から聞こえてきた。ミサトらは頭上を見上げる。 目に入ったのは、光の塊だった。陽光を照り返し、白銀に輝く鋼鉄の肢体。天使を気取った無骨な一対の翼。

「あの時の!」

ミサトが声をあげる。ムサシを連れ去った、高位闘将。後でリツコに聞いた話によると、言語機能と知能を持つ闘将は、タイプ・ドミニオンと呼ばれ他の闘将とは別格の能力を有するらしい。当のウェーバーはまるで見下すように、一同の顔を眺めている。

「塔の聖女の一人、惣流・アスカ・ラングレー、同じく赤木リツコだな?」

その問いは否定の可能性を疑っているのではなく、単に自分らがターゲットであることを知らしめる脅し以外の何物でもなかった。アスカがそれを悟ってか、ウェーバーの問いをことさら無視して言う。
「必要の無い知識だろう。これから死に行くお前らには---。」
「ファイアー・レーザー!」

ウェーバーの言葉が最後まで終わらないうちに、その能面のような顔に魔法が炸裂する。言うまでもなくアスカの放ったものだ。爆煙と共にぱらぱらと、地面に破片が落ちる。

「さぁ、シンジを探しに行くわよ!あいつがこんな間抜けにあっさりやられるわけが---?」

アスカの言葉が途中で凍りついた。ウェーバーがアスカの魔法を食らって仰け反った態勢のまま、こちらを睨んでいたからだ。砕かれた仮面の跡からは、爛々と燃える赤一色の瞳が覗いていた。獰猛な肉食獣を思わせる、血に餓えた瞳。

「多少、魔導の術が使える程度で私と対等に戦えるとは思わないことだ。」
「な…!」

続いてウェーバーに起こった変化を……、一同の中で完全に理解し得たものはいなかった。ウェーバーの腕、腹、肩……あらゆる部分の体表が花弁のようにはがれたかと思うと、その中から鉄の筒状の物が幾つも顔を覗かせる。筒の中のゾッとするほど深い空洞。そこから死の匂いそのものが漂ってくるように、アスカらには感じられた。

「物わかりが悪いようなので今一度、宣告しよう。」

ウェーバーの顔に、亀裂のような笑みが走る。対面して始めてみせる、感情らしい感情だった。

「ここで死ね。」

そして、もはや聞きなれた破裂音が静かすぎる聖都に木霊した。






……とくん……とくん……

(心臓の…音…?)

……とくん……とくん……

(僕のじゃない。誰か他の人の…)

……とくん……とくん……

(暖かい…。懐かしい…。他人(ひと)の鼓動を聴いていると、ひどく落ちつく。まるで…小さい頃、母さんに抱きかかえられたような…)

……とくん……とくん……

(母さん?母さんって誰だろう?僕の本当の両親は戦争で死んだし、義母になるはずのひとは僕が父さんに拾われる前に事故で死んだはずなのに…)

……とくん……とくん……

(音が…小さくなっていく…。待って、まだ行かないで!僕を独りにしないで…!母さん。…母さん!)









「!?」

眼前に突然、青い空が弾けた。
先ほどまで聞こえていた心音が消え、代わりに自分の心音が痛いぐらいに耳に響いている。
柔らかな草が、風に揺られ寝転がっているシンジの頬をくすぐっている。
五感だけが現実に立ちかえり、意識が置いていかれた…そんな感覚だけが残っている。

「夢……だったなのか。何であんな夢を…。」

そう呟いて…ふと、シンジは妙なおかしさに襲われた。
何処から何処までが、夢だったのだろうか。
綾波の幻を見たこと。
妙な槻視感を感じたこと。
このジオ=フロントに降り立ったこと。
地上で古代の魔法人形が暴れまわったこと。
ムサシが敵にまわったこと。
そして………今ここにこうしていること。
全てが出来の悪い、子供じみた悪夢の様にも思えた。

(いっそ、全てが夢なら…)

諦観にも似た念を押しのける様に、シンジは身を起こす。

「ここは…、何処なんだ…。」

上体だけを起こした状態で周りを見渡す。
ちょうど目の前には湖が広がっていた。優美さの欠片も無く、ただ、穴のあいたところに水が入り込んだという代物。水鳥もいなければ、薫り立つ華も無い、つまらない湖畔。

(湖?どうしてこんなところに…。)

気を失った自分を、ミサトらがここに置いて行ったのか。
あるいは、聖域に強制転送させるようなトラップでも仕掛けられていたのか。
いくつかの理由が頭に浮かんだが、どれも少し無理があった。

「…まぁ、いいや。ともかくミサトさん達に合流---。」

後ろを向きながら呟いた、シンジのその声が止まる。
同時に眼も…。脳も…。シンジの躰がその内にある時間をとめた。
背後に延々と広がっている湖。
その岸辺。
そこに存在していた「それ」を目にしたから。
人知が許容できる範囲外に在るそれを…。

「…あ……あ……。」

シンジは喉が勝手に震えるのを感じた。
畏怖でも感動でもなく…、もっと原始的な…心の琴線に触れた様に。

そこに在ったのは巨大な、異形の像だった。
大きさは、ドラゴンや巨人のそれよりもさらにでかいと思える。それが湖面に露出していたのは胸の辺りまでだが。それでもその全体像の大きさは容易なものではないことが知れる。

が、何より異形な点は、その出で立ち。全身を隙間無く奇妙な甲冑で覆っている。無論、頭部もだ。額に一本、鬼のような角をはやし、面は鈍く光る両眼だけを残してすべて仮面で覆われている。シンジはその姿を昔、本で見た武士とかいう戦士の着る鎧に似ていると思った。だが、その鎧は全身、紫とも赤とも青ともつかない、不思議な、有機的な色をしていた。紫翠色とでもいうのが一番近いのかも知れない。どのような金属なのかは想像もつかない。
それはまるで、精緻に彫られた教会の神像のようだった。そこあるだけで、あたりを異界に染め上げていく存在……。

「な…なんだ、これ…。」

シンジはしばらく白痴の様に、ぽかんと口を開けそれを見やった。
聖魔教団の居城。
闘将が創られた場所。
ジオ=フロント。
12人の魔導士達と魔導王。
関連のありそうな単語がいくつかシンジの頭の中をめぐったがどれも答えを返してくれなかった。

「こ、これも闘将なのか?それとも別の…。」
「15年前、葛城調査団がネルフ400年の禁忌を破り、初めてここ、ジオ=フロントへの調査を行った。目的は、超の字が頭に三つつくほど重要な聖魔教団の遺産の保護。」
「え……?」

後ろから唐突に声が聞こえ、シンジは驚いて振り返る。そこには、見覚えのある…だが見違えた少年が居た。その少年を目にして、まず最初に受けた印象が、’一年’という長いとも短いともつかない、漠然とした時間の重みだった。
その少年がムサシだと、一瞬でわかったのは、単に状況からそれ以外ありえないという先入観にすぎなかったのかもしれない。それぐらい、ムサシはシンジの記憶にある一年前のそれとは違って見えた。

「ムサシ!どうしてここに…!」
「黙って聴いてな、シンジ。お前が聞きたいことはわかってんだからよ。」
「な……!」

相手を無視するかのように、強引に話を進めていくふてぶてしい態度。
何処か人を食って掛かるような、シニカルな笑み。
誰かによく似た、勝気でわがままそうな瞳。
それらだけが一年前と寸分変わってなかった。

「力を増してきた近隣諸国への危機感。各国が本腰を入れて聖魔教団の遺産の発掘を行ったこと。二つの要因に後押しされて、長老連もようやくその重い腰を上げた。」

ムサシの口調は、まるで昔語りをする老人の様に、不必要な重みがなく、淡々としている。遠い昔、遠い場所に起こった出来事。それを俯瞰の位置から、ゆるりと語り出す。

「今この事態を考えれば、当時の奴らの行動は、先見の明があったといえるだろうな。闘将や闘神、魔導書に代表される遺産は全て、彼らの手によって地上へと運ばれた。もっとも、それらのうち重要なものはほとんど長老連の管理課に置かれてるけどな。軍部の…六分儀の手に渡ったものは、聖魔教団にとっては玩具程度にすぎなかったものばかりだ。」
「な、何の話をしてるんだ!?今はそんなことはどうでも……」
「だが、聖魔教団の遺産の中で、長老連の手にも軍部の手にも渡らなかったものが今もジオ=フロントにある。かつて聖魔教団で開発された対魔王用の最終兵器。それがその「エヴァンゲリオン」ってわけだ。」

そう言って、ムサシはシンジの背後にある巨像に指を突きつけた。エヴァンゲリオン…その耳慣れない単語に、シンジは思わず、ムサシの指を追って後ろを振り返る。
異形の巨人像。まるで地獄から這い出てきた悪鬼であるかの様なそれを、シンジは改めて見やった。

「え……ヴァ…?」

無意識のうちにシンジはその像の名を呼んでいた。像は無論、答えない。その光無き虚ろな目でただ、シンジを、ムサシを、滅んだかつての王都を見下ろしている。

「そうさ。かつて人類を統一し、魔王軍と互角の戦いを繰り広げた聖魔教団の最終兵器。それを、もしネルフが手にすることが出来れば…と、六分儀や長老連がどんな陳腐ことを考えたか、想像するまでもねぇだろ。15年前の葛城調査団はエヴァに対しいくつもの儀式や解呪を試みた。が…見ての通りまるで成果は無かった。」

馬鹿げてる、と。
一笑に付すのは簡単だった。
が、何かがそれを押しとどめた。言い知れぬ不安。ジオ=フロントを見たときにも襲ったそれが、再びシンジを蝕んでいる。

「だが、奴らは諦めなかった。そして、根本的なところに戻って考えた。この化け物はいったい誰の為に創られたのか、誰が動かせるように創られたのか…ということをな。」
「それは…かつての教団を支配していた魔導士達…。魔導王と十二使徒のことじゃ…?」
「その通り。…とはいっても400年前に居た魔導士達が、この現代に生き残ってる筈はねぇよな。そこで、奴らが目をつけたのが、魔導術士---魔導士の残した魔導書と共に魔導の術を受け継ぐ者だ。かつての魔導士に匹敵する力をもった魔法使い。そんなやつらを創り出すことが出来れば、再びこのエヴァを動かさせることも可能かもしれない…。」

そこまで話して、ムサシは声のトーンを落とす。自嘲げに歪んだ口元が引き締められ、目は何処か沈んだ色をたたえて、シンジを見返した。

「そして、六分儀達はある五人の子供達に目をつけた。誰のことだと思う?」

ぐらりと…自分の体が大きく揺れたように感じた。
今まで、不可解で理解できなかったパズルの断片。
それが組みあがりつつある。最悪の構図を呈して。

「なにが…言いたいんだ。」
「六分儀は…奴らは造りあげたのさ。俺達を。」

…全ては15年前…
…造られたんだ…俺達(チルドレン)は…
…この化け物(エヴァ)を動かすために…



NEXT

ver.-1.00 2000/11/11公開

ご意見・感想・誤字情報などは persona@po2.nsknet.or.jp までお送り下さい!










 YOUさんの『魔導王シンジ』第十八話、公開です。





 EVAが出てきた〜
 それも、あのEVAが・・・
 そのものが・・・

 ひとつひとつ、
 出てくる物が衝撃です。




 知っている者
 知らない者
 知りつつある者。

 全部、一部、正確な、偽の、
 なにを、何処を、何処まで。

 それぞれの者が絡まり合って−−−ドキドキしています〜



 敵も協力だし、
 謎も深いし、
 複雑複雑・・・

 後編に期待!
 続きに期待!!


 盛り上がりが止まらないっす☆





 さあ、訪問者のみなさん。
 働くYOUさんに感想メールを送りましょう!







TOP 】 / 【 めぞん 】 / [YOU]の部屋に戻る