地平にかかった綿雲をキャンパスに、夕焼けが綺麗な赤のグラデーションを描いている。血や炎の持つ凄惨な赤とは違った、暖かく包み込むような赤。マナは素直に
それを綺麗だと思った。自分の髪の赤はどちらの赤に近いのかな、とマナは癖毛のついた前髪を目で見える位置まで指先で引っ張ってみる。
そんな自身の行動に、マナは昔、聞いた言葉を思い起こした。
ホント、お前ってすぐ怒るよな。そんなふうに頭に血が上りやすいから、髪の毛まで血の色みたいに見えるんだよ。
そうかな?僕は綺麗だと思うよ。夕焼けみたいに透き通って見えるもの。
自分の髪をそれぞれ、そう評してくれた二人の少年。
一人は暁ムサシ。黒髪に黒い肌、黒い瞳の活発な少年。
一人は浅利ケイタ。色白の肌に、小動物みたいな目をした物静かな少年。
一見、対称的だがどこか似通った二人。
物心ついたときから一緒にいた私たちは互いに家族同然の存在だった。自分たちは互いに互いを必要としているのだから、これからもずっと一緒にいれるのだと、なんの疑いもなく信じていた。
だが、現実はどうだろう。ムサシは国を出ていき、戻ってきたかと思えばかつての仲間を相手に凶刃を振るっている。そして、ケイタももういなくなった。自分には手の届かないところへいってしまった。
何がどう間違っていてこうなってしまったのか。マナには未だにわからない。
今ではもう取り返しのつかないことなのだろうか?そうではないと信じたい。今からでも遅くない。自分ならムサシを止められるかも・・・。一度、そう思いだすとこの場にじっとしていることがどうにも耐え難いことになってきた。
「マナ様・・・。よろしいでしょうか?」
ノックとともに聞こえた声によって、マナの思考がとぎれた。何の用、と反射的に返事をする。
「葛城将軍からの伝達です。今夜の作戦において、マナ様と配下の兵は万一の事態に備えて塔にて待機をしているように、とのことです。」
「・・・わかったわ。」
今夜、王都に例の闘将が現れるという予告があったのは当然マナも聞いている。
そして、それに対してミサトがなにやら対策を練っていたらしいことも・・・。
が、塔に待機せよと言う命令はマナには不服だった。結界に阻まれ、何人たりとも侵入することの出来ない、この塔に何故警備が必要なのか?蚊帳の外にいろと命令されているも同然だ。自分の知らぬ間にムサシがこれ以上罪を重ねることも、逆にムサシが捕まってしまうことも、どちらも耐え難い結果だった。
「ごめんね・・・、ミサトさん。私、どうしても行かなくちゃいけないの。」
小声でこの場にはいない人間に謝って、マナは愛用のローブをクローゼットから取り出した。ムサシに会ってどうしようというのか、どうやって止めるというのか・
・・、マナは欠片も考えていなかった。ただ、過去への慕情に突き動かされるままに・・・マナはローブを纏い、王都へと下っていった。
「さて、いくか・・・。」
まもなく完全に陽が沈みきる。先ほどまで、眩いばかりに光を反射していた闘将の装甲が、徐々に闇色に鈍っていく。そして、自身の魔力が昂っていく感覚が、ムサ
シにそうした言葉を吐かせた。
自分がこの闘将を使って、ネルフを窮地に陥れている。
一年前、あの出来事が起きる前までは想像もしなかった現状。
いや、あの事件があった後でさえ、こんなことは思いつきはしなかった。ただ目的もなく、当てもなく彷徨っていただけだった。だが、今はやるべきことがはっきりとわかる。自分の大切なものを奪った六分儀に復讐する。復讐しても無くしたものは返ってきはしない、なんて当たり前の理屈はムサシにもわかっている。だが、行く先もわからずずっと暗闇を歩いていた人間に一筋の光明が---たとえそれが紛い物であれ何であれ---見いだせたとしたら、それにしがみつくなという方が理屈ではないだろう。ムサシにとっては復讐の相手がはっきりとわかったことが、その光明だった。
ゆっくりと事実を反復していたムサシの胸中に、幼なじみの少女の顔が浮かんだ。ネルフを離れていたこの一年間、その少女を思い返したことは幾度もあったが、想い出の中に現れる彼女の顔はいつも怒った顔だった。
(やっぱ今も怒ってんだろうな。)
自分のやったことだと気づいて無いはずはない。一年前、黙って国を、マナの元を去ったことも含めて、やはり自分は恨まれているだろうと思う。
(それもこれも・・・、全部てめぇおかげだよ、六分儀。)
思い出すのも不愉快なのに、勝手に浮かび上がってくる像。黒いローブに黒い髪と髭、黒いサングラス、全て黒づくめの魔法使いの男、六分儀ゲンドウ。ムサシを見るときの彼は、いつも見下すような目をして、重苦しい威圧感をぶつけてきた。初めてあったときから、ムサシは彼が嫌いになったし、向こうも彼が嫌い・・・というより邪魔だと思っていただろう。
(・・・おとしまえはつけさせてもらうぜ・・・!)
ムサシの闘気に呼応するように、傍らの闘将が機械的な唸りをあげた・・・。
まるで、これから闘いにのぞむ、猛獣のように。
その夜、王都の街はいつもとは異質の喧噪に満ちていた。そこかしこで魔法の光が行き来し、同時にそこから話し声が聞こえてくる。賑々しいがそこに孕まれている
ものは暗く重い。
事情を知らない人間が見れば、何かの祭りだろうかとでも思っただろうが、実際にはそれとは対極の事態にさらされていた。夕刻時に市民の要請に応える様に、必要以上に仰々しく王宮や塔から行進してきた兵隊達は、王都中に散らばって目を光らせている。
そんな中をマナはなるべく目立たぬように、ローブについたフードを目深にかぶって端の方を歩いている。塔の聖女であるマナには、一将軍であるミサトの命令に従わなければならない義務が基本的にないとはいえ、命令違反の行動をしていることには変わりがないし、自分の顔を知っている人間と顔を合わすのはどうにもばつが悪かった。
とはいえ、こうやってこそこそうろついているだけで、ムサシや闘将に遭遇できるとはマナも思っていなかった。
(せめて兵士達がとばしあっている念波でも拾えたら・・・。)
マナはそう思って先ほどから感覚を総動員しているのだが、一片も念波を受信できない。敵に拾われることを恐れて念波をとばしてないのか、あるいは他に原因があるのかはわからないが。
(かといってそこらの兵士に現状を聞いてみようものなら一発で私だってばれちゃうし・・・。)
「・・・君。」
(そもそも闘将が出てきたからって、ムサシも出てくるって限らないじゃないの・・・。)
「・・・おい、そこの女の子。」
(・・・ああ、どーしよう。こうなったら、そこら辺の兵士を捕まえて路地裏に引きずり込んで脅すしか・・・。)
「聞こえんとんのか!お前だ!そこのくそ厚いのか変わらずローブを頭からかぶった、変なガキ!!」
「え?あ、あわ、ご、ごめんなさぁい!!」
マナが考えていたことを実行に移そうかと考えていた刹那、後ろから怒鳴り声が浴びせられる。慌てふためいて振り返ると、切れかけた兵士を抑えて、温厚そうな兵士が進み出てきた。
「何をしているんだ?戒厳令こそでてないものの、市民が一人で街中をで歩くなんて危険じゃないか。こっちにきなさい。」
言葉の内容からも、気配からも、どうやら見回りの兵士の一団が声の主であることがわかる。一瞬、マナは振り向かずに逃げようかと思ったが、こんなピリピリした状況の中でそんな怪しげな行動をとれば大騒ぎになってしまうだろう。
ばれるのを覚悟でマナは兵士の方に振り返ったが、兵士は彼女の顔を見てもさして驚いた様子を見せなかった。
「見たところ魔法使いのようだが、まだ子供じゃないか。なんでこんなところに?」
この兵士が自分を知らないということにマナは少し驚いたが、それはそれで好都合とばかりに話をして事情を探ることにした。
「ええと、実は私、王立魔法学院から徴集された調査員なんです。極秘行動なので一般には知らされていないんですが、闘将の操者や出所を探るために隠密に行動してるんです。・・・はい、これ学院証です。」
マナは自分の懐から学院証をだして兵士の目の前に見せつける。実際、魔法学院の生徒は研修の名の下に、様々な儀式や戦闘、冒険、探索などに従事することがある。なにせ、王立学院を卒業する生徒の半分は近衛魔法部隊などの軍のエリートコースを突っ走ることになるのだから、それぐらいはこなせねば話にならない。
そんな背景もあったからなのか、兵士はどうやらマナの言うことを全面的に信じたようだ。
「そうか。君みたいな子供までもがそんな危険なことをしているなんて、どうやらよほど人の手が足りないらしいな。」
「はい、ホントそうみたいです。ところで今、現状はどうなっているんですか?念波が届かなくていまいちよくわからないんですが。」
いちいち人のことを子供呼ばわりするところが勘に障ったが、マナはそれをおくびにも出さず尋ねた。兵士は首をひねりながら後方で待っている仲間の方を振り返る。
「現状って言ってもなぁ・・・。」
「ああ、念波が届かないのは俺達も一緒なんだ。今、必死で他の隊に連絡をとろうとしてるんだけど。」
念波が届かない。この事実に、マナはひっかかるものを感じた。夕方起こった念波ジャック。その犯人ならば、念波の交信を妨害することもたやすいのではないだろうか。警備の混乱を狙ってか・・・、あるいは他に目的が・・・。
「ありがとうございました。じゃあ、私はこれで。」
「ああ、気をつけてな。君らのような前途有望な学生に何かあったら大変だから
な。」
兵士達はにこにこと手を振って、道の奥へと消えていった。そんな’優しい兵隊さん’に嘘をついて騙してしまったことに、マナの良心がちくりと痛んだが、意外とあっさり信じてもらえたのでこの次からも兵士に捕まったらこの手で逃げようと心に決めていた(ここらへんがアスカをして’天性の小悪魔’と言わしめる原因だろうが)。
---このときのマナの言葉があながち嘘にもならなかったことを知るのは、ずっと後のことである---。
「まったくとんだ貧乏くじをひいちまったぜ・・・。」
ぞろぞろと長く列をつくって街を警備している、とある兵士の一団。その最後尾についていた男がそうぼやいた。それはその一団の兵士、全員の心を代弁していたにも関わらず、だれも相づちをうったりしなかった。貧乏くじとは市民を守るためのこの警備を指してのセリフじゃない。何故、よりにもよって自分たちが人気が最も少ない、旧商店街---つまりとうに潰れた店の建ち並ぶ通り---を警備するはめになったのかということだ。いまだに人気のあるところといえば、組織的自営業の方々の事務所と、怪しげな連れ込み宿や酒場と、ホームレスの住み着いた公園ぐらいだ。
「こんなところ、誰も襲いやしねぇよ・・・。」
彼の言うことは全く正しいのだが、言うべき時間と場所を間違えていた。そのセリフは作戦部長から一連の任務を告げられたとき、喜々としてこの地の任を引き受けた(というより買って出た)世間知らずの貴族のぼんぼんである隊長に言うべきだった。
しかし、ある一面では感謝すべきかも知れない。そう、例の闘将とは対決せずにすみそうなことである。兵士達は皆、程度の差こそあれど市民を守るという義務に燃えていた。しかし、なるべく勝てない相手とは戦いたくないという動物として当然の本能も備えていた。チルドレンを倒した化け物相手にあんな間抜けな隊長を頭にして勝てるだろうか・・・?答えは思いっきり否だった。
「戦わないですむかも知れないっていう、唯一、この一点だけが救いだよな。」
この言葉には、控えめながらいくつかの賛同者が頷きあった。最前列で元気よく手を振り上げて行進している隊長には見えなかっただろうが・・・。が、その最前列が急に足を止めた。おかげで呑気に歩いていた兵の幾人かが前方の人にしこたま鼻をぶつけた。
「どうしたんです?また酔っぱらいが道ばたでぶっ倒れてたんですか?」
かなり投げやりな質問が後方から前に向かって投げかけられる様が、これまでの警備の不毛さを物語っている。が、兵士達の間に緊張が、前列から後列へウェーブでもしてるかのように伝わってくるのがわかると、兵士達も口をつぐんだ。
兵団を待ちかまえていたように、道の真ん中に異様な風貌の人影が立っていた。
全身をローブで纏ったそれは、まるで凶兆が具象化したような存在に思われた。隊長は一歩進み出て声を張り上げるように問うた。
「何者だ、お前は!」
隊長の太った腹から吐き出されたよく通る声が響いて夜気に溶け込むと同時、それはゆらりと動いた。懐に光る物の存在を認めると、隊長はもう一度声を、今度は多分に興奮の混じった声で叫んだ。
「でたぞ、件(くだん)の闘将だ。よーし、全兵、一斉射撃!・・・炎の矢!」
全兵・・・といっても列をなして隊列を組んでいたため、前方の兵士しか魔法を魔法を放つことは出来なかった。数条の火線をなんなくかわしきると、闘将は剣を振り上げ兵団の中に突っ込んで来た。何が「よーし」だ、と思いながら、後列の兵は急いで魔法を放てる位置に出るべく移動する。ひっきりなしに起こる爆音と熱風を浴びつつ移動しながら、先ほどからしゃべっていた兵は密かに決意していた。生きて帰れたなら、あの隊長をぜったい殴ろう・・・と。
夜の静寂(しじま)を破って魔法の破裂音が辺りに轟いた。それに驚かなかった人物がネルフにいるとしても、それはマナではなかった。夜の一画を削り取るように、明々とした光が明滅するのを目撃したとたん、マナは考えるよりはやく走り出していた。
「魔法の光・・・。闘将?それとも、ムサシが来たの!?」
あちこちで騒ぎが起こる。街の市民も家を出て、空が輝いている方向を見つめている。いまそこで何が起きているのか、銘々の心の中で不安げに想像しながら。近隣の兵もあの音を聞きつけて駆けつけようとしているだろう。あちこちで悲鳴混じりの声が聞こえる。
「遠い・・・。間に合わないかもしんない。」
遠近感からは距離をつかめないが、魔法の音と光のタイムラグからだいたいの位置はつかめた。魔法使いといってもただの人。走るのが格別、人より速いわけでも、体力があるわけでもない。急激な運動のためか、不安のためか、激しく鼓動する胸を必死で押さえながらマナは夜の道を走っていった。
とうに寂れたはずの夜の街の一画に戦いの熱気がこもる。こんなところで普段、起こる戦いと言えば、くだらないちんぴらか酔っぱらいの喧嘩ぐらいのものだったが、今、そこで繰り広げられているのは、それとはあきらかに次元の違った本物の死闘だった。街の人間達は、各々の家の中できつく閉めたカーテンの隙間から、その闘いを息を殺して見守っていた。
兵士達はちょうど、闘将を中心に半月の弧を形取るように布陣している。魔法による同士討ちを考慮しなければならない、魔法部隊の包囲網としては理想的な形だった。
隊長の合図に伴って、幾閃もの魔法の光が闘将に向かって一直線に伸びる。闘将はそれに反応して脚に当たる部分を人間ではあり得ない角度で曲げ、後方に跳躍してかわす。が、それでもいくらかの魔法が闘将に命中し、いくらかの装甲の破片をまき散らしながら、闘将は路地に転がり倒れた。
「よーし、敵はもはや防戦一方だ。押しまくれぇ!」
もはや、勝利を確信しているかのような隊長の声が轟く。それはあながち過信とも言えなかった。すでに数十発の魔法が闘将に命中しており、ぼろぼろになった装甲からも、鈍くなった動きからも、自分たちが確実にダメージを与えつつあることがわかる。初めは遭遇したての混乱もあって、闘将による負傷者が数名出たが今では抵抗もほとんどない。
---遭遇したら勝とうと思わずとにかく、一般人を避難させ近くの兵団が駆けつけるまで持ちこたえること。やばくなったらすぐに逃げること---。
それが事前に、兵士達に伝えられていた命令だった。それを思えば、現状は兵士達にとって意外な展開だった。
「おい、このままいけば勝てるぜ。」
「ああ。なんだよ、闘将っていうのも話に聞いた程じゃないじゃないか。俺達の魔法でも十分通じる。」
兵士達の間にもそんな囁きがちらほらと聞こえる。そんな声を理解してかどうか・・・魔法をうけて倒れていた闘将がゆっくりと立ち上がる。目も口も定かではないのっぺりとした顔には、何の感情も読みとれない・・・ように大多数の兵士には思えた。
(笑ってる・・・?)
幾人かがそう見て取ったが、それをみなに忠告できるほどはっきりと感じ取れた者はいなかった。ゆっくりと闘将が剣を振り上げかけ・・・その動作を途中でぴたりと止めた。ちょうど剣が地面と水平になるように持ち上げている。
「よーし、トドメだ!全兵、魔法を一斉しゃ・・・。」
隊長が勝利に向かって号令しかけたそのとき、ぱしゅうという空気が吹き出される音ともに、闘将の剣が投じられてきた・・・というより、発射された。空気を裂く甲高い音と共に、闘将の剣が隊長に向かって一直線に伸びてくる。
「おおっ!?」
驚いて思い切りのけぞったことが幸いしたのか、剣はちょうど隊長のかぶっていた帽子のバッチに当たり軌道を変え、遥か後方の地面に突き刺さった。だが、剣が当たった勢いで隊長は吹き飛ばされ地面にはでに仰向けで倒れ伏す。どこからともなく兵士達の中から、ちっ、っと舌打ちが聞こえたのはおそらく気のせいであろう。
一方、剣を失った闘将は、誰もがこんな行動だけはとらないであろうと思っていた行動をとりだした。つまり、後ろを見せ、一目散に逃げ出したのだ。意外な行動に
全兵士が呆然としているところへ隊長の声が響いた。
「に・・・逃げたぞ。追え!追うのだーーー!チルドレンを倒した闘将を我らが倒せば大金星だぁーーー!!・・・・・・はぅ・・・。」
隊長は倒れたまま命令を大声で叫ぶと、そのまま白目をむいて気絶してしまった。いっそ拍手したいほどの根性だったが、いくらなんでも隊長をこのままここに寝かせて置くこともできなかった。副隊長が何人かに、隊長を安全な場所まで運ぶように指示すると、残りは闘将を追うように指示した。
闘将を追う兵士達にとって隊長の言葉は言われるまでもないことだった。このネルフの最高峰とも言えるチルドレンを倒した相手を自分たちの手で捕らえることができれば、昇級も恩賞も思いのままだろう。その事実は、兵士達にとって恐ろしい敵であるはずの闘将を、栄光への片道切符に変えていた。
「おおおおお!長い間、一般兵だった俺達にもついにチャンスが!」
「恩賞が!長年の夢だった一戸建てが今、目の前に!」
「田舎のおっがあぁぁ!おらもようやく錦を飾って故郷さ帰れるだあああぁぁ!」
兵士達は皆、口々に叫びをあげると、闘将を追って街の奥へと消えていった・・・。
飽きもせず響きわたる魔法の爆音が、街の大気を幾度も振るわせている。それを絶えず耳にしながらマナは走っていた。夜の空間は、まるで歪曲しているかのように思える。さきほどから息が切れるほど走っているのだが、実際にはどれだけの距離を走ってきたのかマナにはまったくわからなかった。生ぬるい夜気が喉にべったりと張りついてきて、疲労と焦りだけが際限なく降り積もっていった。
「ムサシの大馬鹿ぁ・・・。見つけたらただじゃすまないんだからね・・・。」
胸にたまった何かを吐き出すように、マナは一人ごちる。闘いの音はだんだんと近づいてきている。いや、むしろ向こうから近づいて来ているように感じられた。追う者と追われる者という感じだ。もしかしたら、すでに兵士は必死で背走しているのかも知れない。今でははっきりと方角をつかめるその音に向かってマナは走り続けた。
そして、それは突然に現れた。狭い路地からぱっと開けた広場のような場所にでたとたん、マナはそれを発見したのだ。鈍い光沢のある金属を身に纏った人の姿をした物体が、まるで悪い冗談のように不格好に走って広場を突っ切ろうとしている。
「あれが・・・、闘将?」
闘将の方もマナの方に気づいたらしく走るのをやめ、立ち止まる。それはどこか落ち武者を連想させるように、体のあちこちが破損し、崩れ落ちている。しばらくして、ばたばたとマナがやってきた方とは反対側の道から、兵士の集団がバラバラとや ってきた。闘将を追ってきたらしい。彼らは対峙するマナと闘将をみるとぎょっとしたように叫んだ。
「そこのお前、そいつに近づくな!危ないぞ!」
その声はどちらの耳にも入らなかった。闘将は耳障りな金属音をたてながらマナの方に一直線に向かってきた。マナはそれを迎え撃つように、その場に踏みとどまり魔力をため始める。闘将は怯むわけでもなく、間合いを詰めると腰に拳をため、それを突き出す。まるで人間のような動きだったが、あくまで機械的な、つまり直線的な動きだった。マナは余裕をもって体をひねってかわすと、闘将の体---人間で言えば鳩尾の辺り---に軽く拳を添えて叫んだ。
「白色破壊光線!」
マナの拳が呪文に応じて白く光り、まるで濡れた髪に指を通すようにその光の奔流が闘将の体に突き刺さり貫通した。
「!?」
マナの脳裏に、一瞬、何か不思議な違和感が通り過ぎた。マナが後ろにぱっと飛び退くのと同時に闘将は派手な物音と共に地に倒れ伏した。 闘将は足掻くように、何度か宙を引っ掻いていたが、やがて糸が切れたマリオネットの様にぱたりと倒れて動かなくなった。そのとたん、ものすがい歓声がわき起こる。出所は当然、後ろで唖然として闘いを見物していた兵士達である。
「すげぇぞ、あの女の子!・・・ん?ひょっとしてあれ、マナ様じゃないのか?」
「おお、確かに。塔の聖女の!」
「一撃であれを倒しちまいやがった!」
などと拍手すら交えて、嬉々として兵士達がマナの方へ駆け寄ってくる。が、マナは対称的に困惑の表情を浮かべてそこに立っていた。
「・・・なんで?どういうこと・・・、これ?」
「はぁ?何がですか?」
「何か、変・・・。・・・・・・・・・まさか!」
マナはハッとしたように闘将の体を探り出す。周りの兵士は訳が分からず、お互いに顔を見あせた。
「あの・・・どうかしたんですか?さっきから・・・。」
「誰も気づかなかったの・・・。隊長は誰?」
「私ですが?」
ひょろりとした長身の男が、おずおずと奥の方から出てくる。その目には、何か失敗したかなという恐れと、なんでこんな小娘に自分が叱りとばされるのかという反感が混じり合っていた。
「これ見て。この闘将、報告にあったものと違うの。腕には銃を装備されてないし、装甲だってミスリルじゃない、ふつうの鋳鉄だわ。シンジ君達を襲った奴とはまったく別物なのよ!」
「はぁ・・・しかし、どういうことですか。現に現れたのはこいつですし・・・。」
「わからないの?つまり・・・。」
「はぁ・・・。今頃みんな闘将を仕留めたころかな・・・?」
気絶した隊長を抱えた兵士の一団がそう呟いた。安らかな寝顔をたたえた、隊長のまるまるとした顔を見ていると、愛らしさのあまり地面に叩きつけて蹴り飛ばしたくなってくる。 どれだけ、どれだけこの隊長を放って、あの闘将を追いかけに行きたかったことか・・・。
「言ってもしょうがないだろ?・・・一応、俺達も闘将を追いつめるのに一役買ったんだから、それ相応の報償はあるって。」
「でもよぉー。せっかく手柄をたてるチャンスだったのに。いっそのこと、もう一体ぐらい出てきてくれないかなぁ。」
「おいおい、物騒なこというなって。」
「いやいや、あんな闘将の一体や二体、俺の手にかかれば軽いもんだって。お前だってみたろ?俺の魔法が奴を吹き飛ばしたところを。」
「お前を含めたみんなの魔法が・・・ね。」
また始まった、と仲間の兵士達が苦笑する。この兵士は愛嬌があるが、時々、この様な愚にも着かないことを言い出す。
「まぁ、今は俺も平の魔法兵の身だが、来るべきときが来たらもう、必殺の魔法を、ばーーーーん、とぶちかまして---。」
言いかけた兵士の言葉が途中で止まる。ついでに歩んでいた足も止まる。
他の兵士は不自然に凍り付いた仲間の口を怪訝に想い、前方を見やった。
何かが道を塞いでいる。
月明かりに透かして見える、奇怪な人影、だが見覚えのある人影が・・・。
「う、嘘だろ?なんでこいつがこんなところに・・・?」
それは闘将だった。先ほど遭遇したときの姿そのままに。傷一つ無い銀色の体を光らせてそこに立っていた。何故ここにいるのか?先の闘将とは別物なのか?まさか他の奴らも自分たちと同じ目にあっているのか?様々な疑問や仮定が胸中を過ぎったが、今真剣に考えなければならないことは一つだった。どうやって今目の前にある危機を乗り切るかだ。
兵士の中で一番年長の男がやけに醒めた目で、先の兵士を省みた。
「おい、よかったな。出番だぞ。」
「え・・・、は?何が?」
「ぶちかますんだろ?必殺の魔法をばーーんと。」
「ああ、そ、そうだな。でも、んーーー、何だ。俺ってほら、仲間想いじゃん。みんなを差し置いて一人だけ手柄を取るなんて、そんなことは出来ねぇよ。ここは一つ、みんなで力を合わせて闘うのが平等かつお約束かと・・・。」
とことん口の減らない奴だなお前は・・・とその場にいた兵士が言葉を返すのと、闘将が剣を抜きはなって突っ込んでくるのは同時だった・・・。
「どうやら、敵の思惑通りに行動してしまったようね。」
リツコが眼下の光景を見ながらそう呟いた。 ネルフ内で最も高い建造物である塔からは、王都の街並みが一望できる。普段は点々とした灯りしか見いだせないその街が、いまはいくつもの大きな炎をともらせている。 ここまで響きわたる闘いの音と合わせれば何が起こっているかは明白だった。街の至る所で兵士達は’何か’と闘っているのだ。
「・・・どうやら一体だけではなかったようね、闘将は。ミサトの勘が一つ当たったわ。これはムサシ個人の仕業ではありあえない。誰かが裏で糸を引いてるのかしら?」
まるで今起こっている出来事が、他人事であるかのようにリツコは落ち着き払って呟いた。そしてさらに思索する。
敵の狙いは何なのか?
普通に考えれば兵が出払ってしまった王宮か塔だろうが、それらには結界が張ってある。4本の塔から張られている極めて強力な結界だ。人の力で越えることは不可能といってもよかった。10年前の戦争時も、リーザス・ヘルマン軍は最後までこれを越えることが出来なかったのだ。
これはリツコだけの過信ではなく、ネルフに住むもの皆が太陽が東から昇るのと同じくらい信じ切ってることだった。この塔がある限りネルフが滅ぶことはないと。
そう、だから・・・、
爆音と共に塔を大きく揺るがせ、自分の体をを床に転がしたそれが、’攻撃’だと理解するのにリツコは3秒程かかったのだ。塔はその構造上、最上階ほど大きく揺れる。何度か床に横転した後、リツコがまず先に心配したのは研究室に置いてあった薬品類の瓶が割れてないだろうか・・・ということだった。
「せんぱぁああああい!!」
聞き慣れた声がリツコの鼓膜に飛び込み、間髪をいれずその当人が部屋に飛び込んできた。
「先輩、大変です!変なもの、変なものがが、爆弾が、空飛んで、兵士が、爆発して、応戦して・・・ああ!」
「いいから、落ち着いて一つずつ状況を説明しなさい。’これ’はなに?」
「た、多分、闘将です。そ、外に、外にたくさんいるんです。報告で聞いたのとは違いますけど。」
塔が攻撃を受けている。あり得ないことだった。たとえ魔王並の力をもってして結界が破られるとしても、その前になんらかの兆候があってもいいはずだ。考えられることはただ一つ・・・。
「敵は何処から来たの?」
「それが・・・王宮の方から何です。いきなり爆発がしたかと思うと、中から敵が・・・。」
「やはり、内部から・・・。でもどうやって潜んでいたというの・・・?」
そんなやりとりの間にまた爆音と、振動が襲ってきた。リツコは今度はバランスをとって体勢を保つと、転がって目を回しているマヤを後目にそのまま階下に走りだした。階段を下りる度、聞こえる闘いの音とが激しくなる。
・・・闘将が王都に出てくる要人を待ち伏せしていると聞いたとき、皆、それは王宮に結界があるから出てくるのを待ち伏せしてるのだと思いこんだ。王宮にいる限り自分たちには決して手が出せないと・・・。だが、そう思わせたかったからこそ、ああした行動に出てたのだ。結界に対する信頼が見事に裏目に出た。
目的は王宮と塔から兵を引き離し、塔を破壊することにあったのだ。
歯がみしながらリツコは塔の門をあけはなった。夜だというのにまぶしい光が網膜を襲う。
次に目にした光景はリツコの想像を超えたものだった。人間と、それでないものが入り乱れて闘っている異様な光景。これまで資料としてしか見ていなかった闘将と呼ばれる兵器が、生き物のように動き回り、闘っている。地にも空にも、何体も、何十体も。
剣を構えたもの。騎士のような形状のもの。コウモリのように空を舞っているもの。それこそ多種多様にだ。
「リツコ様!」
絶望と微かな安堵とが混ざり合った声が、外に出たリツコにかけられた。リツコは兵士の方に目をやる。あちこちから血を流して魔力も使い果たし、ふらついていた。思わず、リツコは進み出て、その兵士の体を支える。
「現状を・・・報告しなさい。」
そう言うリツコ自身が呆然としていた。
さすがにどうしたらいいものか、どう受け止めたらいいかリツコも頭が混乱していた。
「あいつら、突然現れて、塔を・・・塔を破壊しようとしてます!必死で応戦してるですが、あいつら魔法が効かなくて・・・、歯が立たないんですよ!どうすればいいんですか!教えてください!」
地面に倒れ伏している影は、人間の方が圧倒的に多い。どうすればいいのか・・・それはリツコの方こそ誰かに教えてもらいたかった。生きてるはずもない母の幻影が脳裏に幾度も閃いた。兵士はすがるような目つきでリツコを見ている。
「どうすれば・・・。」
「滅びちまえばいいのさ、こんな国。」
突然、声が響いた。この騒音の中にあって、何故かその声は不思議にはっきりと響きわたった。
「誰?」
声の主が誰であるかわかっていてリツコはそう言って振り返った。その目に映ったのは少年だった。一年前、リツコはその少年を見たことがある。ただ、あのころあった幼さと、無邪気さは見あたらず、変わりにふてぶてしさと暗い情念がそこにあった。
「暁ムサシ・・・ね。」
「その名前は捨てたんだ。今の名前はムサシ・リー・ストラスバーグ。まぁ、覚えてもらう必要はもうないけどな。」
「・・・剛直だった貴方にしてはずいぶん手の込んだやり口ね。・・・しばらく見ない間に人を騙すことを覚えたのかしら?」
「おかげさまでな。いい教訓になっただろ?魔法って力に頼り切ったお前らにはな。」
そこだけ時が止まった様な空間で対峙する二人。互いが互いの瞳の中に、隠してある何かを探そうとしていた。ムサシが不意に口火を切る。
「さてと・・・、あの髭親父は何処だ?」
「指令のこと?ここにはいないわ。’ドグマ’・・・と言っても貴方にはわからないでしょうね。」
ムサシの問いをリツコはさらりとうけ流した。いつの間にか、リツコは落ち着きを取り戻していた。現状がどのような事態であれ、神にあらざる人の御技であることが、わかったからかもしれない。
「今度はこっちが聞いていいかしら。今更、貴方が塔を破壊してどうしようっていうの?」
「・・・・・・。」
「塔の破壊は、貴方に闘将・・・いや、闘将のある遺跡ごと引き渡した人間の交換条件だった。と考えていいかしら。これだけの闘将の部隊。よほど大物がバックについてるのね。」
「頭がいいんだな、あんたは。」
ムサシはそれを否定もせず、肯定もしなかった。ただ、無言で片腕を上げた。それが何かの合図だったのか、何体かの闘将がリツコを取り囲む。まるで騎士のような格好をした闘将で、おそらくミスリルでコーディングしているだろう槍と盾を構えていた。ムサシが手を振り下ろせば一斉に襲いかかってくるのだろう。
「じゃあ、わかるだろう?あの髭親父を連れてくるか、お前がそれまで人質になるかだ。素直におとなしくすればよし。さもないと・・・、」
「こうなるのかしら?」
別の声が響いてきた。と思ったと同時、、幾条もの火閃がムサシや闘将に、向かって降り注いだ。魔法は、あやまたず闘将に命中すると、あっさりと体を貫いた。盾以外はミスリルではなかったらしい。一瞬にして、リツコを囲っていた闘将はその数を半分にまで減らした。
リツコは安堵したように目を閉じ微笑んだ。
「・・・遅いわよ。昔から約束の時間に遅れてはいたけど、来ないかも・・・と今日ほど思わせた日はなかったわ。」
「真打ちは遅れて現れるものなのよ。」
ミサトが悠然としてそこに立っていた。そしてその背後には一個師団である1000人ほどの魔法部隊が並んでいる。先ほどまで悲鳴しか聞こえてこなかった戦場に、援軍が駆けつけたことにたいする歓声がわき起こった。
「まー、よくも好き勝手やってくれちゃったわね、ムサシ君。でも、そろそろお仕置きの時間よ。」
「な、なんであんたがここに!?王都に兵は出払っていたはずだ。こんな短時間でそれだけの兵をまとめて、ここにこれるはずが・・・?」
「あなたがやったことと根本的には同じことよ。つまり偽物を仕込んだの。まず、兵隊がこれ見よがしに王宮から行進して出ていく。次に家を一軒一軒見回るふりをしてそこに待機していた学院の生徒や一般人と服などを交換していれかわる。後は兵士がこっそりと王宮に戻ってくれば、いかにも塔や王宮から兵が大量に出てったように思えるでしょう?これだけの作戦をたてるぐらいだから、情報収集は怠らないだろうと思ってたけど、それだけに見事にはまったわね。」
「一般人を巻き込んで・・・?てめぇ、それでも公僕か!」
「先に巻き込んだのあんたに言われる筋合いはないわねぇ。それにみがわりの兵は日向君や御影に指揮してもらってるわ。彼らなら万一敵に遭遇してもうまく逃がしてくれるだろうし。」
それと入れ替わりを大がかりにやると作戦が漏れる危険性があるから、あまり多くの兵を仕込めなかったけどね・・・、とミサトは心の中で呟いた。これだけの数の闘将を用意してくるとはさすがに予想できなかったために、その兵士の数の少なさが痛かった。
ムサシの方は、最初の驚愕から覚めて、今は感心する心境の方が大きいのか興味深げに尋ねてくる。
「じゃあ、どうして俺がここを狙ってくるってわかった?ここの結界をお前は信用してなかったのか?」
「それはほとんど勘みたいなもんだわ。強いて言えば・・・同じだったからかしらね。」
「同じ?」
「一年前のあの戦争の始まりにね。あれも確か、鉄壁の要塞の内部に忽然と敵が・・・、って展開だったわよね。」
「一年前・・・まさか、リーザスとヘルマンの?」
それまで黙って会話を聞いていリツコが驚いた声をあげた。ミサトがそうだといわんばかりに頷く。
「一年前、ヘルマン第三軍によってリーザス城が一夜にして占領されたわ。話によれば、ヘルマン兵は城内から突然に現れたって話だった。そのときは半信半疑だったけど、もし同じ事が出来るとしたら・・・と思ってね。どういう原理でそんな芸当が出来るのかは貴方を捕まえた後、ゆっくりと聞かせてもらうけど・・・。」
「・・・ヘルマン帝国・・・。じゃあ、まさか今回の件も?」
「ええ。何処かでつながってるのかも知れないわね。」
「・・・驚いたぜ。案外切れ者だったんだな。・・・牛女のくせに。」
「誰が牛女よ!!」
会話はそこまでだった。無事だった闘将がターゲットをミサトに変え、槍を構えてつっこんでくる。が、ミサトは落ち着き払ってそれを迎え撃った。
「前方に魔法を集中!・・・スノーレーザー!」
ミサトから、そして背後に控えていた大勢の魔法兵から一斉に魔法が放たれる。闘将はとっさに反応して盾を構えたが、無数とも言える魔法が集中してそこに突き刺さり、敢えなく盾こと砕け散った。
「くっ・・・!」
ムサシの表情から、先ほどまで見えていた余裕の態度が消える。いかに単体で絶大な戦闘能力を持つ闘将といえど、多勢に囲まれてしまっては無敵とは言えなくなる。人間は、特に魔法使いは集団で行動してこそ、その能力を発揮する。数の上でいえば闘将は30体あまりで圧倒的に不利であった。だからこそ、王宮から兵を引き離すことにあれだけ固執していたのだが、ミサトの援軍が駆けつけた以上、それも崩れた。
「さっき、貴方が言ったことをそのまま言うわ。おとなしく投降しなさい。一年前の事情はだいたい聞いたわ。貴方が指令を恨んでるのは仕方ないけど、だからってネルフの全土を危険に脅かしていい道理はないわ。決して悪いようにはしないから・・・。」
「・・・知った風な口を叩くな!」
ムサシの顔からさっきまで現れていた皮肉な調子が消え、年相応の、少年の素顔が見えた。子供が親や教師に刃向かうときのようなむき出しの反抗心が・・・。だがそれも一瞬のことだった。
「こんなことで勝ったとでも思ってるのかよ!・・・雑魚がいくら増えようがこれが止められるか!」
「何をする気・・・?」
ムサシの合図と共に、空にいた一体の闘将が銀色の翼を広げて塔に向かっていく。かと思うと、闘将は迷い無く、そのままのスピードで塔に激突した。とたんに予想以上に激しい爆発が起こり、塔の一部が崩れ破片をまき散らす。
「爆弾を抱えて特攻してるの、あの闘将は!?さっきの爆発もこれだったの・・・。」
リツコが落ちてくる破片から頭を守りながら叫ぶ。上空を見れば、先ほどと同じ様な闘将が次々と飛来し塔にぶつかろうとしている。そう、ムサシ達は勝つ必要はない。塔さえ破壊すれば事足りるのだ。
「いけない!総員、上空の闘将を撃墜して!」
「それをさせるかと思ってんのかよ!」
ムサシのとばした念波に呼応して、今まで散らばっていた闘将が集まってくる。それは、命を持たない人形故の、無謀さと勇猛さで兵士に向かって突撃してくる。ミサトはとっさに隊を指揮し上空の敵を撃墜するものと、地上の敵を攻撃するものに分ける。
「第一隊は上空の闘将に集中。第二隊はとにかく地上の部隊を近づけちゃ駄目よ!間断無く魔法を闘将に浴びせて。」
叫びながらミサトは自らも闘将に魔法を唱え、必死に応戦する。魔法の爆音が夜気を叩く度、闘将達は確実に地に落ちていった。空を舞う闘将はその軽量な体躯のためか、あるいは自ら抱えた爆弾のためか、易々と魔法によって爆砕していく。
最初のうち、それは効をなしていたが、耳を裂くような破裂音と共に状況は一変した。
上空の闘将を狙っていた兵士の幾人かが突然、血を流して崩れ落ちたのだ。
「こ、これは・・・!」
ミサトはそれが何であるかを悟った。目の前に明らかに他の闘将とは格の違う闘将が数体、右腕から仄かに煙をこぼしてそこに立っていた。全身をミスリルにくまなく覆われた体は、それこそがシンジ達を襲った闘将と同種であることを証明していた。闘将らは再び右腕に備えられた銃を構える。魔法でないのだから、バリアを張って防ぐことは出来ない。かといって高速で飛来する小さな玉をかわしたり打ち落とすことなど、身体能力は並である魔法使いには不可能に近かった。兵達の間に未知の兵器に対する恐怖と動揺が走る。
「・・・高位の闘将は本来、人を襲わないようにプロテクトされてるはずなのに。」
「そのとうりさ。おかげでそれを外すのに一苦労だったぜ。」
リツコとムサシは睨み合ったまま対峙している。互いに牽制しあってるとも、単に両方とも自分から行動をおこす気がないようにも見えた。
「’魔導書’とそれを扱う者’魔導術士’。ネルフはそれを育てることを使命としていた。それがネルフに仇をなすとは・・・皮肉なものね。」
リツコが忌々しげに吐き捨てた。
状況は極めて悪かった。
闘将の銃による射撃で、隊列はもはや修正できないくらい乱れていた。隊列が乱されれば魔法使いの部隊は思うように、威力を発揮できない。その合間を縫って闘将が今にもなだれ込んできそうだった。
「みんな、あきらめないで!落ち着いて魔法を撃って!」
叫んでいるミサト自身、内心ではあきらめかけていた。後、1000、いや500の兵がいれば何とかなったかも知れないのに。いや、そもそも王宮にいるはずの近衛魔法団は何故出てきてないのか?まさか王宮の爆発時に全員やられたとも思えないのに・・・。
とりとめもない愚痴ばかりがミサトの頭の中に浮かんでは消えた。
塔は幾度にもわたる闘将の特攻で酷く破損して、建っているのが不思議なくらいだった。そんなさなか、空にいた闘将達がついに地上の魔法部隊の攻撃をかわしきって、次々と塔に飛来していく。
ネルフの象徴だった塔が崩れ去ろうとしている・・・!
その場にいた兵士達にはもはや目を閉じ、神に祈り、奇跡を待つしか術がないように思えた。
その瞬間、目の当たりにおこった出来事。
それを奇跡と呼ぶのならば、神より悪魔によるものだったのかも知れない。
漆黒。
突如、塔の間近の地面から天空に向かって、巨大な黒い柱が闘将を飲み込んで一直線に伸び上がった。闇は空まで延びると、先端の方から、地面に垂直な方向と、水平な方向に、十字に分かれた。もちろん、空を飛んでいた闘将を残らずなぎ払ってだ。
夜にあってなおも黒く存在を主張するそれは、さながら地面に立つ巨大な十字架の墓標の様だった。
ミサトもリツコも、兵士達もムサシも、ただ呆然として、その十字架を見上げていた。
「魔法・・・?でも、いったい・・・誰が・・・。」
誰とも無しに呟いて、辺りを見回す。王宮の方に人が二人、立っていた。片方は黒、もう一方は白と対称的に。黒は黒衣をまとった魔法使いの男。白は絹のローブを纏い、左手に杖を持った人形の様に美しい少女。身に纏う魔力から、魔法はその少女の放ったものだとわかった。
「なんだ、この様は・・・。」
「し・・・、指令!?」
男が、六分儀ゲンドウがその場にいる全員をさげすむような視線で見渡した。側では忠実な僕のように白い少女、レイが傅いていた。皆、動きを止め、固唾をのんでゲンドウの言葉に聞き入っている。まるで神託を待つ信者のように。
「葛城将軍・・・。」
「は、はい・・・。」
ミサトはいつも間にか跪いている自分に気づいた。人の域を越えた存在感と威圧感。まるで自分が主人の怒りをかった犬のように頭を垂れてうなだれている。
「君には失望した。何のために私がその地位を君に与えているのか、よく考えろ・・・。」
「・・・申し訳ありません。」
屈辱感と、何より自分に対する悔しさにミサトは唇をかみしめた。と・・・、
「六分儀ぃーーーーー!!」
静寂の中を貫くような咆吼があがった。振り返れば、ムサシが視線で射殺そうとするかのような目でそこに立っていた。この場にいる人間の中で、おそらくただ一人六分儀を恐れていないのは彼だっただろう。いや、恐怖を上回るほどの憎しみなせる業か・・・。対して、六分儀は冷ややかに、つまらないものでも見るような目でムサシを見返す。
「貴様か・・・。何のつもりだ。」
私に刃向かうとは・・・。言葉にださなくても、そう告げていた。
「何のつもりかだと!?俺が何もしらねぇとでも思っていたのか。復讐だよ!ケイタの仇だ、覚悟しやがれ!」
「復讐・・・?」
ゲンドウはかすかにうつむき、眉間のサングラスを指で押し上げながら言った。
「くだらん。子供の感傷につきあっているほど私は暇ではない。」
吐き捨てると呼ぶにも生やさしく、ムサシの感情を、ムサシ自身をゲンドウは侮蔑した。もはや魂まで怒りに染まった様な叫びをあげながら、ムサシが突っ込んでいく。周りの人間は誰もそれを止めなかった。止めようともしなかった。
「お前だけは、お前だけは絶対にゆるさねぇ!!殺してやる!」
走りながらムサシは魔法を唱える。詠唱と共にムサシの掌が宙に躍ったかと思うと、無数の氷柱(つらら)が出現する。それは微かに動いて先端をゲンドウの方へと向けると、一直線に向かってきた。それが命中すれば、ゲンドウはムサシの願いどおり全身を穴だらけにして絶命しただろう。が、それは叶わなかった。レイがゲンドウの前にすっと移動し、氷の群に向かって杖をかざす。杖はレイの背丈ほどもあり、先端に金色に光る三日月の形の飾りが着いている。それをレイはそれを無造作に振って見せた。ぱん・・・っと乾いた音ともに氷の矢を形成していた’ちから’が破られ、
後には細かい氷片だけがちらちらとレイの周りに舞い散っていった。
身に氷片を纏い、レイは厳かとも言える口調で告げる。
「指令は殺させないわ・・・。私が守るもの。」
「なら・・・、お前が先に死んじまえよ!!」
ムサシにいっそうの魔力が集うのを感じて、レイも魔法で応戦しようとする。が、ムサシは呪文を詠唱せず、そのままローブの中に腕を突っ込むと、間合いを詰めて腕を引き抜いた。
ネルフの人間には聞き慣れない、鞘走る音ともに、レイを鈍い鉛色の光が襲う。密かに帯剣していたムサシがそれを抜きはなったのだ。タイミング、スピード、パワー、どれをとっても魔法使いではあり得ない、手練れの戦士のものだった。さすがのレイもとっさに反応しきれず、持っていた杖で防ごうとする。金属同士がぶつかり合う音ともに、あっけなく杖はレイの手から放れ、遥か後ろに突き刺さった。
「・・・っ・・・・・・!」
「悪いが、お前には昔っから魔法じゃかなわなかったからな。ネルフから離れていた間に身につけた技だ。使わせてもらうぜ・・・!」
一見しても業物とわかるその剣を構えながら、ムサシがじりじりと間合いを詰めていく。普通、間合いが十分なら、剣士に魔法使いに対して圧倒的に有利だ。だが、相手がレイという通常では計り知れない実力をもつ魔法使いだけに、ムサシも用心せざるを得ない。
そんな二人の少年少女の闘いを・・・かつての仲間同士の闘いを六分儀は無表情で見守っていた。
が、神経を極限まで張りつめて剣を構えてムサシに、奇怪な羽音と共に不意に影が差した。
「何だ・・・?」
レイを警戒しながら、ムサシは頭上に注意を向ける。翼が巻き起こした風を引き連れて、何かがムサシの側に舞い降りてきた。銀色の体と人形のようなのっぺりとした顔。それはよく見れば闘将だった。だが、闘将にはない生命的な雰囲気と、天使の彫像を思わせる美しさがあった。
「闘将の援軍・・・?」
「お迎えに上がりました、ムサシ様。」
それが言葉を発した。さも当然のように。体を覆う無機質な光沢がなければ、だれもがそれを生物だと見間違えただろう。ムサシは驚いて・・・と言っても驚いたのは言葉を話したことではなくその内容にだろうが、闘将を見つめかえした。
「なんだと!馬鹿を言うな、もう少しで六分儀を・・・。」
「我々の目的はそれではありません。塔を破壊するための闘将がいなくなった以上、作戦は失敗です。王都に引きつけておいた兵も戻りつつあります。もはやこの場にとどまっても仕方ないでしょう。」
「お前・・・、さっきから誰に向かって口利いてやがる!マスターは誰だと・・・!」
「私のマスターは貴方ではありません。」
あくまで事務的に闘将は言い放った。そこに嘲弄の響きはなく、ただ事実を淡々と告げたようだった。ムサシは動揺したように、視線を彷徨わすと、得心がいったように呟いた。
「そうか・・・。データの書き換え程度ならもうお手の物ってわけか・・・あの野郎・・・。」
「撤退を。」
「・・・わかった。だが、これであきらめたわけじゃないからな。俺にはまだ切り札があるんだ、覚悟しとけよ、六分儀!」
「待ちなさいよ・・・このまま逃がすわけないでしょ!」
今まで呆然とその光景を眺めていたミサトとその兵が駆けつけようとする先を、生き残っていた闘将が道を塞いだ。明らかにムサシを逃すための行動だ。その合間に---
「お前らはそれの相手でもしてろ。・・・じゃあな!」
ムサシの声が一際大きく響きわたった。ムサシの掌の中に黒い球体が浮かび上がり、それが破裂する。いっさいの光を遮断する、黒い幕がムサシを中心にどんどん広がっていった。
「しまった・・・。」
ミサトが舌打ちしたときには、すでにムサシの姿は闇に紛れ跡形無く消え去っていた。 後には、いまだ忠実に主の命令を守っている闘将だけが残されていた。周りに聞こえるのもはばからず、ミサトは歯ぎしりした。
(結局、私は何もできなかった・・・。ムサシ君を止めることも・・・、助けることも)
(助ける・・・?私はあの子を助けようとした?考えた?・・・もしこの場にマナを連れてこれたなら彼を説得することも出来たかも知れないのに、それすらしなかった・・・。)
「葛城将軍・・・。後は任せた・・・。」
ゲンドウはそれだけを言い残すとレイを伴って王宮の方へと消えていく。
不意に、忌々しい感覚がミサトを襲った。目の前の、未だ主の命令を聞くままの哀れな人形と自分が同類であるかのような錯覚がしたのだ。
(私も?私もただ何かに縛られて、命令されて動いてるだけ・・・なの?)
違うと、ミサトは心の中で頭を振る。その一方で別の自分が、なら何故あの子を救おうとしないのか、と自分を責める。
無力を感じた自分を襲った刹那の悔恨。
それを抑えて、ミサトは酷く感情のこもらない声で命令を下す。
「敵残党を、掃討せよ。全軍、詠唱を合わせて・・・。」
ある晩夏の夜に始まった決戦。
その幕は、わだかまりだけを残して今、静かに降ろされる・・・。
あとがき(あと、設定とか色々)
YOU「----というわけで後編です。やたらと長くなったな・・・しかし。これを書いてる2月12日現在では推敲がまだですが、意外とはやく皆さんにお目見えできたと思います。」
ムサシ「お前がまじめに書いてりゃな。」
YOU「遅れてる元凶がえらそうにいわないでください。」
ムサシ「俺のせいかよ!?」
YOU「いかにも。なにせ「鋼鉄(以下略)」にセリフが一言もなかったから、しゃべらすのも動かすのも大変なんよ。油断するとトウジとキャラクターかぶるし。しかも、役割が役割だけに肝心の少年くささが全く出ず、ホント悩んでます(現在進行形)。」
ムサシ「じゃあやっぱりお前のせいなんじゃねぇか!」
YOU「ふぅ・・・一見内罰的に見える人間ほど、心の表層的な部分で自分を責めて安心してるだけで、心の奥底では自分だけは悪くないと思ってるものですねぇ(意味不明)。まぁ、とりあえず、今回の話について・・・闘将がうじゃうじゃ攻めてくる話・・・ってのが頭に何となく浮かんでいたのですが、いざ書く段階になっていったいどう書けばいいものか筆が止まってしまいまして---」
ムサシ「分不相応なことしようとするからじゃねぇのか?」
YOU「(無視)---色々小細工をこらしてみました。どうでしょうか?やっぱ変でしょうか?変ですよね?変に決まってる!いっそのこと変だと言って!ああ、やっぱり変なんだーー!」
・・・げしッ!(かかと落としが綺麗に脳天に突き刺さった音)
ムサシ「変なのはお前だ!さっさと話を続けろ!」
YOU「はい・・・。で一番、試行錯誤したのが闘将についてです。「ランス」では生物をベースに創られたロボット?でありながら意志があって、半永久に活動でき(動力は不明)、人間ではまず歯が立たないほどの戦闘能力を持っている・・・てところかな?後、ミスリル装甲は闘将レプリカ・ミスリーしか持ってないと読者の方が教えてくださいしました。いつも助言をくださり、ホントありがとうです。」
ムサシ「俺の名前も最初間違えてたんだよな、このアホは。ちゃんとムサシ・リー・ストラスバーグって決まってんのにわけのわからない名前つけやがって。」
YOU「そこは途中で改名したということでごまか・・・もとい辻褄をあわせました。ネルフの人間は性が漢字、名前カタカナだからちょうどいいじゃないですか。
で、話を元に戻しますと、闘将の設定とか色々考えたんですよ。それぞれに特性があったりしてさ。というわけでおまけで設定のせました。興味のある方はどうぞ♪」
ムサシ「そーいや、なんでお前○○設定集とかまとめて書かないんだ?めんどくさいのか?」
YOU「めんどい・・・ってことはないんですよ。実際、設定は作ってありますし。でも、なんか公開するのが恥ずかしくて・・・。」
ムサシ「は、恥ずかし・・・?今更お前にそんな感情があるのか?」
YOU「なんかなにげに酷いこと言ってません?」
ムサシ「気のせいだろ。さてと・・・、話も区切り付いたしお開きにするか。」
YOU「そ、そうですね・・・(びくびく)。」
ムサシ「何故身構える?」
YOU「いや、あとがきのオチはねぇ・・・いつもあれだから・・・ねぇ・・・うん。」
ムサシ「ははは。なんだ、俺が魔法でお前を吹き飛ばすとでも思ってたのか。そんなことはしないさ、俺はな。」
YOU「ほ、ホント?」
ムサシ「あいつらはどうだかしらんがな。」
YOU「は?」
-----どかーーーーーんX2------
>YOU「はぅああああ!・・・だ、誰が・・・?」
???「・・・僕らに二話分も出番がないなんて・・・」
???「・・・万死に値するわね。」
YOU「お、お前達は、まさか・・・がくっ・・・。」
・・・続かない(笑)
おまけ
(けっこういい加減な)闘将の設定コーナー
闘将というのはランス4に登場したロボットです。
魔人に対抗するため聖魔教団という国家が創った兵器で、生物を元に創られたため、言葉をしゃべったり、意志らしきものを持ってたりします
この作品ではその闘将を設定をかなりいじくって使ってます。
このままではなにがなんやらわからないかもしれないので下にまとめてみました。
ヒエラルキーがちゃんとあって、もちろん下っ端ほど数が多くてチープなんですが、それぞれに長所、短所があります。
下級三隊の第三位
ミスリル装甲や銃器を持たない、下位の闘将。チェスで言えばポーンの様な・・・。今も闘神都市のプラントでたやすく生産できる。作中では王都で囮になっていた奴がそれです。
下級三隊の第二位
同じくミスリル装甲を持たない闘将。長い槍と盾(ミスリル製)を装備しいる。これも同じく生産可能。王宮を襲撃した闘将は半分がこのタイプです。(作中ではリツコさんを取り囲んだ奴)
下級三隊の第一位
偵察&強襲タイプの闘将。飛行能力があり、何かを運んだりするのに便利なアームが4本ついている。同じく生産可能。作中では爆弾もって塔に突っ込んだ奴です。
ちなみにムサシがネルフの動向をさぐるのに使ったのもこれです。上の二つと同じく量産型。
中級三隊の第三位
層重なミスリル装甲と右腕に剣、左腕に銃を装備している。もっとも汎用なタイプの闘将。ここまで高度なものだと、魔鉄匠のみしか造れないらしい。最初にシンジとアスカを倒したのもこのタイプ。・・・の割には、雑魚に紛れてやられてますが・・・。
中級三隊の第二位
翼でもって高速飛行し、空から兵器で攻撃することを得意とする爆撃機タイプ。また、他の闘将を運んだりもする。作中未登場。
中級三隊の第一位
指揮官タイプ。ソフトウェアが極度に発達しており、自分の意志で行動し、言葉を話すこともできる。戦闘能力も他の闘将にはない、威力とバリエーションを誇る。が、だからこそ扱いが難しいという点がある。
また、すぐれた者には魔鉄匠から名前がつけられてたりします。作中では最後に現れた奴がそれです。
ミスリル装甲以外はランス4の闘将そのままと解釈していただいて結構です。
その他はまだ秘密ってことで。この設定も、後々、都合によって変わるかもわかりませんし(笑)
ではでは。