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「めぞんエヴァのとある一日」 序章    by DARU

 ――――『めぞんエヴァ』

 ある晴れた三月の土曜日。
 私は達筆な文字で描かれた表札の前で立ちつくしていた。
 ここは私が今日から世話になるアパートであるはずなのだが、出迎えてく
 れたのは、澄み切った朝に響きわたる罵声。

「ちょっと! あんた、いったい何やってんのよ!!」

 ベランダから空に向かって大声を張り上げているのは、勝ち気そうな顔立
 ちを持つ少女だった。
 口から出てくる怒鳴り声とは裏腹に、朝日に煌めく美しい栗色の髪に、つ
 い見とれてしまう。

「うるさいなー。アスカには関係ないだろ!」

 屋根の上に寝転がって、その怒鳴り声にうるさそーに答えているのは線の
 細い少年。年は少女と同じくらいであろうか?

「そんなトコ登ったら、危ないって言ってるでしょ!」

「見えるんだよ」

「……はぁ? 何がよ」

「街」

「街ぃ!?」

 そんなやりとりを微笑ましく見ていると、

「あなたが今度引っ越してきた……」

 背後から聞こえてきた声に私は振り返った。

 後ろで髪を束ねた優男風の管理人が、ほうき持ってにこやかに私を見つめ
 ている。

「あ、加持さーん! おはよーございまーす!」

 ベランダから少女の声が飛んでくる。

 そう。
 確か彼の名前は加持――――加持リョウジ。
 これから長いつきあいになるであろう管理人である。

 私は彼に丁重な挨拶をすませると、306号室の鍵を受け取った。

 今日からここの住人になる私は、後でまた管理人室に伺うことを告げ、
 新しい生活を送ることになる部屋へと向かった――――

(つづく)

次回に続く

ver.-1.00 1997-03/18

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 ようこそ「めぞんEVA」へ!

 ようこそDARUさん!!

 DARUさんといえばNIFでも名作を発表していますので皆さんご存じですよね!

 ここ「めぞんEVA」で発表される作品はズバリ「めぞんEVA」に引っ越してきた ある男(DARUさん自身?)の書き綴る物語。

 序章だけからでも、伝わってくる雰囲気に期待大!大!です!

 皆さんもDARUさんに「早く続きを書いてくれ!」のメールを送りましょう!!!


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