Take care of yourself!
シンジは、ユイからの電話で起こされた。
「シンジ、今から散策に行くわよ。」
「・・・ごめん、母さん。頭痛くて・・・・」
「あら、大丈夫?」
「うん、たぶん・・・・」
「じゃあ、私たちだけで行って来るわ。よくなったら起きなさい。」
「うん。」
そう言うとシンジは電話を切った。
「・・・どうしてこんなに痛いんだろ・・・・・寝よ。」
そして、シンジはまた布団に潜り込んだ。
シンジに分かるわけがなかった。もう一人のシンジが
ウィスキーまで飲んでいたことを。
次に目を覚ましたのは、アスカだった。
「いててて・・・・・・・・・・
どうしてこんなに頭が痛いのかしら?」
そして、シンジの方を見る。
「よく寝てるわね。やっぱりシンジも昨日飲んだのかしら?」
シンジは気持ちよさそうに寝ている。
「・・・・もう一度寝よう。」
アスカも再び眠り込んだ。
二人が起きたのは、お昼を過ぎてからだった。
二人は二日酔いのため、ご飯も食べることが出来なかった。
シンジは特に重症で、まともに動くことさえ出来なかった。
そして、4人が冬月を去るときがやってきた。
「冬月先生、3日間、お世話になりました。」
「いや、いいんだよ、碇。」
「先生。また、伺わせていただきますね。」
「おお、ユイ君、すまないな。」
「じゃあ、ミサト。また来るわね。」
「シンちゃんやアスカと別れるのね。つらいわ。」
「そうね。あたしも・・・・」
(ほんとはそんなことちっとも思ってないくせに!)
「ほんと。名残惜しいわ・・・・」
(あーあ、シンちゃんをあのアスカに取られて行くわ・・・・・)
「「はははは・・・・・」」
同時に笑い出す二人。
「シンジ君はどうしたんだい?」
「ああ、あの子は寝てますわ。なんだか気持ち悪いって。」
「大丈夫かね、碇?」
「大丈夫ですよ。きっと。」
「きっと、か。」
「それより、誰が運転するの?」
「ミサトだったらシンジ君がもたないから、マヤよ。」
「よかった。」
「ア・ス・カ。何がよかったのかしら?」
「あんたの乱暴な運転から逃れられてよかったのよ!」
「はいはい。分かりましたよ。」
(なんか気に入らないのよね、ミサトの態度。)
そう思いながらも決して口に出さないアスカだった。
「じゃ、お世話になりました。」
「またな。ユイ君、碇。」
「じゃあね。アスカ。」
「ほら、シンジ、あんたも何か言いなさいよ。」
「・・・・さようなら・・・・」
弱々しく手を振るシンジ。しかし、顔は笑顔だった。
「じゃ、出発しますよ。」
マヤが言って、そして、車は走り出した。
車内は、
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− | マヤ | シンジ | ユイ |荷| 前 | | | | | 後 | リツコ | アスカ | ゲンドウ |物| −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−となった。
「・・・アスカ・・・」
「何、シンジ?」
「・・・あの・・・・寝ても・・・いいかな?」
「何言ってんのよ。あんたは病人(ちょっと違うかな)だから、
別にかまわないわよ。」
「・・・じゃ・・・ごめん、アスカ・・・・」
シンジはそう言うと、アスカのもものところに頭をつけて横になった。
「ちょ、ちょっと・・・・・・まあ、いいか。」
アスカは何か言おうとしたが、シンジが苦しそうにしているので、
やめてしまった。
時間はたち、車は高速を抜け、第三新東京市にだいぶん近くなった。
マヤとリツコ以外はみんな眠っている。
シンジはさっきと同じで、その上にアスカが覆い被さるようにして寝ている。
その中で、一番最初に目を覚ましたのは、シンジだった。
が、アスカが上にのしかかっているので、どうすることもできなかった。
「どうしよう・・・・アスカを起こすわけにもいかないしなぁ・・・・」
シンジは苦悩する。しかし、どうすることも出来ずに、また眠ってしまった。
しかし、そこで大変なことが起こった。
「先輩、どうしましょう・・・・」
「どうしたのよ?」
「道に迷ったみたいです・・・・」
「えっ!?マヤ、あなた方向音痴じゃなかったはずよね。」
「高速の出口を間違えたみたいで・・・・・」
「そんなことがあろうかと、持ってきたのよ。ほら、これ。」
リツコが手に持っていたのは、今話題になっている自動道案内機である。
俗に言う、カーナビってやつである。
「すっごーい、これ、この間参考出品があったばかりのやつですよ!」
「まあね、私が作ったから当然よね。」
「えっ!?これって、先輩が作ったんですか!」
なぜか詳しいマヤと、作ったリツコ。
何なんだ、こいつらは!
ということは置いといて、そのおかげで、
無事に家までたどり着くことが出来たのだった。
リツコとマヤも行ってしまい、ようやく一家団欒の時が訪れた。
かと思われたが、やはり、シンジの体調が芳しくなく、
まだ夕方なのに、
「僕、もう寝るから。お休み。アスカ、また明日・・・・」
といって、シンジはさっさと部屋の中に入っていった。
「シンジ、大丈夫かしら?」
「きっと大丈夫よ。それより、アスカちゃん、話があるんだけど・・・」
「なんですか?」
「あのね、シンジの隣の部屋が空いてるの、知ってる?」
「ええ、一応。」
「そこね、物置にしようと思ったんだけど、アスカちゃん、どう?」
「えっ?どういうことですか?」
「だから、いちいち家に帰るの面倒くさいと思うから、
いっそのこと、うちに住まない?」
「え、で、でも・・・・」
「大丈夫よ。どうせキョウコ達もうちならいいって言ってたから。」
「ママが?」
「今日からでもいいわよ。布団しかないけど。」
「本当にいいんですか?」
「いいわよ、ねぇ、あなた。」
「ああ、何も問題はない。」
「じゃ、お言葉に甘えて・・・・」
「分かったわ。だったら、今のうちに着替えとかを取りに行きましょ。」
「あの、シンジには?」
「ああ、あの子なら快く了解してくれるでしょ。」
そして、二人はアスカの家に行った。
「シンジ、起きてる?」
アスカがシンジの部屋の外から声をかける。
しかし、返事はない。
アスカはシンジの部屋の中に入った。シンジは寝息を立てて眠っている。
アスカはシンジの安らかな寝顔を見てほっとした。
そして、言った。
「シンジ、これからも、よろしくね。」
碇家にもう一人、家族が増えることになった。
これは、前からユイたちが考えていたことだったが、
アスカになかなか話せず、苦労していたところだった。
しかし、アスカもOKしたので、ユイたちも心配をすることなく、
アスカの面倒を見れることになったのだ。
このことをシンジが知ったのは翌日のことであった。
しかし、シンジにとって最悪の日でもあったのだ。
[Syuhei]さんの連載、『シンジ達の一週間』第7日目公開です!!
ついに完結ですね。
TENGUさんの「蒼き淵にて」は完結までいった完成品で投稿されてきたの
ですから、
この『シンジ達の一週間』は「めぞんEVA」で連載を始めて、完結を迎えた
初めての作品ですよ!
うーん・・感慨無量です・・・・
と浸っていないでこの作品です。
あ、シンジ君がアスカちゃんの膝枕で寝ている・・・
「膝枕はいいねぇ・・・人類の生み出した寝具の極みだよ・・・」
アスカちゃんの膝枕・・・・私なら寝られないですね、きっと(笑)
ここでスムーズに眠りに落ちる辺りに二人の関係が表されいるんでしょうね、
アスカちゃんもそのまま寝入っていますし・・・・
文章の最後に【完】の文字がありますが、なにやら続きを感じさせるラストで したね。
本当に終わりなのかな?
さあ、訪問者の皆さん、Syuheiさんに完結おめでとうのメ−ルを!!!