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シンジ達のとある一週間

第6日目 其の参

The second day to stay "Fuyutuki".
She wanted to sleep with him.


ミサトの料理で気絶した二人が目覚めると、もう3時半を回っていた。

「加持さん、テニス、どうします?」

「そうだな、もうこんな時間だからな。」

「でも、あたしはやりたいわ。口直しに。」

「アスカ、口直しって表現はおかしいんじゃないかな。」

「まあ、気にしない気にしない。加持さん、いいでしょ?」

「じゃあ、一時間だけだぞ。」

そして、3人はテニスをすることになった。


3人は、着替えたあとにコートに出た。着替えは、旅館の方で用意してあった。

シンジは、なんだか不思議に思ったが、アスカが

「いちいち気にしないの。男でしょう!?」

といったため、さほど気にしなかった。

テニスの結果は・・・・・あまり言わないでおこう。

シンジが少しばかりひどい目にあったことを付け加えておくが。


夜。今夜は最後の夜ということで、

食堂でみんなそろっての宴会となった。

テーブルの上には、料理と、酒、ジュースが並んでいた。

最初に乾杯をし、みんなは料理を食べる。

そして、大いに盛り上がった。

しばらくして、できあがったミサトが手にビールを持って、

ほとんど飲んでいなかったシンジに近寄ってきた。

「み、ミサトさん、やめてくださいよ!」

「なに言ってるのよ、シンちゃん、お酒ぐらい飲めないといけないわよ。」

「で、でも・・・・」

「ほら、いいからいいから・・・・・」

「ん、んぐっ・・・・」

無理矢理ミサトにお酒を飲まされるシンジ。

「ほら、シンジ君、もう一杯・・・・」

「もうだめですよ、これ以上は・・・・」

「飲みなさい!」

「は、はい・・・・」

ミサトに脅され、渋々グラスに口を付けるシンジ。

「シンジ君、ぐいっと行きなさいよ、ぐいっと。男でしょう!」

「わかりましたよぉ・・・・・」

シンジはあきらめたように一気にグラスの中のビールを飲み干す。

シンジは、(誰か止めてよぉ!)と思っていたが、

すでにほかのみんなもできあがっており、誰も止めるものはいなかった。

ゲンドウは主人と、ユイは部屋に戻り、あとの人たちは固まって飲んでいる。

ちなみにアスカは、ワインに手を出し、もう酔って眠ってしまったのだ。

だから、シンジはどうすることもできなかったのだ。

「シンジくぅーん、いー飲みっぷりだから、もっと飲みなさいよぉー。」

「ふぁーい。わかりましたぁー。」

シンジも酔ってしまったようだ。顔は真っ赤である。

注がれたビールを飲むシンジ。

「ミサトさーん、もっと飲んでくださいよー。」

「わかったわー。」

そして、ミサトも飲む。

すると、突然、

「そんな飲み方じゃだめだ!もっとぐいっといけねぇのかよ!」

「シンジ君?」

「だから、もっとぐいっといけよ!」

「わ、わかったわよ。」

「そうそう。ほら、もっと飲めよ。」

シンジは、酔ってしまって、裏の性格(第4日目裏参照)

が出てきてしまったのである。

「こら、おまえ達ももっと飲めよ。」

とうとうシンジは固まって飲んでいたリツコ達にまで手を出してしまった。

「ほら、俺が注いでやるから。」

シンジはビールをグラスに注ぐ。しかし、リツコ達は

シンジの突然の変貌ぶりにどうしていいか分からなかった。

「おい、おまえら、俺の酒が飲めねぇってのかぁ!?」

「そ、そんなことないわよ。ねえ、マヤ。」

「そ、そうですよね、先輩。」

「じゃあ、とっとと飲みやがれ!」

おびえながら飲み始めるリツコ達。が、

シンジにとってはもうどうでもいいようだ。

シンジに怒鳴られて、我に返ったミサトが尋ねる。

「し、シンジ君、いったいどうしたの?」

「俺か?」

「そ、そうだけど・・・・」

「俺はなんともない。それより、どうしたんだ?」

「べ、別になんでもないわ。ごめんね。」

「おかしいよなぁ、今日のミサト。」

ミサトはこの時点で悟ったようだ。今のシンジはシンジでないことを。

すでに気づいていてもよかったような気もするが。

シンジは、どこからかウィスキーを取り出し、飲み始めた。

さすがのミサトもやばいと思ったのか、

「シンジ君、そのへんにした方がいいと思うけど・・・・」

「うるさいなぁ。別に俺が何をしようと関係ないだろ!」

「でも、そんなに飲んだら体に悪いわ。」

ミサトがいうような科白ではない。が、ミサトがこんなに心配するほど

シンジは飲んでしまっているのだ。

「うるさい!静かにしろよ!飲めないじゃないかよ!」

「は、はい・・・・」

もうミサトの手に負える相手ではなくなった。

そこで、ミサトはシンジのスキを見てリツコに話しかけた。

「リツコ、何とかならないかしら?」

「うーん、でも、私も初めてよ、シンジ君がこんな性格になるなんて。」

「酒を飲むと人が変わるって本当ね。」

「それより、一応方法はあるけど・・・・」

「おい、何話してるんだ?」

「「べ、別に、シンジ君には関係ない話よ。」」

二人が見事にユニゾンする。

「・・・・俺に隠し事する気か?」

「シンジ君、そう言う訳じゃないわよ。」

「そうよ。シンちゃん、機嫌なおしてよ。」

「”シンちゃん”だとぉ!俺を気安く呼ぶんじゃねぇ!」

「ご、ごめんなさい・・・・・」

そのとき、リツコが素早い動きを見せ、シンジに近寄った。

「ぐっ・・・・」

そして、シンジは倒れ込んだ。

「り、リツコ、何したのよ!?」

「大丈夫よ。ただのスタンガンよ。」

「気絶した、訳?」

「そう。」

「ならよかったわ・・・・」

そう言うとミサトもその場に倒れた。

「・・・・私ももう寝るわ。」


一番始めに気がついたのは、シンジだった。

「うーん、なんだか頭がすっきりするな。あれ、どうしてみんな倒れてるのかな?」

この一部は自分のせいだと気づかないシンジだった。

「あれ、もうこんな時間だ。」

そう言っていると、アスカが起きた。

「・・・ん・・あ、シンジ。」

「なんだかよく眠ってたようだけど、大丈夫?」

「あたしは大丈夫よ。」

「アスカ、もう遅いから、寝ようか。」

「あら、もうこんな時間なの?だったら寝ましょ。」

そして、二人は部屋に戻っていった。


「じゃ、おやすみ、アスカ。」

「おやすみなさい。」

しばらくして・・・・

「シンジ、まだ起きてる?」

「うん。」

「お願いがあるんだけど・・・・・」

「何?」

「そっちに、行ってもいい?」

「どうして?」

シンジはわざと聞いてみた。

「それは、その・・・・」

「いいよ。」

アスカがシンジの横に潜り込んだ。

「ごめんね、シンジ。」

「僕は別にかまわないよ。」

「なんだか眠れなくて。

「どうして?」

「あたしには分からないわ。」

しばしの沈黙。

「シンジ、キス・・・しようか?」

「えっ!」

「あたしがシンジとキスすれば、眠れるかもしれないから・・・・・」

「で、でも、僕、そんなこと・・・・」

「シンジ、あたしのこと、嫌い?」

「い、いや、そんなことはないよ。」

「だったら、キスくらいしてくれてもいいじゃない。」

「・・・・・・・」

「だから、お願い!」

すると、シンジも決意したのか、黙ってアスカの方を向く。

そして、シンジはアスカを抱きしめ、顔を近づける。

「行くよ、アスカ。」

シンジの唇がアスカの唇に触れた。

「・・ん・・・・んん・・・・・」

(シンジってキスがうまかったのね・・・・)

(アスカの唇ってすごく柔らかい・・・・)

二人はそんなことを考えながらキスを続けていた。

そこに、アスカがシンジの唇を割って舌を入れた。

驚くシンジ。しかし、シンジもアスカの舌に自分の舌を絡ませた。


しばらくして、二人は自然と離れた。

「アスカ、好きだよ・・・・・」

「あたしも、シンジのこと・・んん・・・・」

シンジはアスカの言葉を遮るようにして再びキスをした。

そこへ、

”プルルルル、プルルルル”

「あ、アスカ、電話・・・・とらなきゃ・・・・」

「いや、離れないで・・・・・」

「でも・・・・・」

シンジは意を決して、アスカから離れ、受話器を取った。

「はい、あ、母さん。なに?・・・えっ?あ、うん、分かった。」

シンジは受話器を置いた。

「アスカ、明日の朝、この辺を散策するから早く寝なさいだって。」

「・・・分かったわ、じゃ、寝ましょ。」

そして、二人はそれぞれの布団に潜り込んだ。

シンジはすぐに寝息を立てて眠ってしまった。

アスカは・・・・

(あーあ、あとちょっとだったのにぃ・・・・・)

と思いつつ、眠れぬ夜を過ごしたのだった。


第6日目 終


次回に続く

ver.-1.00 1997-04/16

ご意見・感想・誤字情報などは syuhei@nerv.toまで。


 Syuheiさんの連載『シンジ達のとある一週間』「第6日目其の参」発表です。

 シンジ君ついに第一歩を踏み出せましたね。

 「良くやった」と言いたいところですが、
 すべてがアスカにリードされた物じゃないですか!(笑)

 やっぱりこういう時は女の子の方が強くなっちゃうモノなんでしょうか?
 特にシンジxアスカの子のカップルではそうなんでしょうね。

 電話1本でやめるなシンジ!!(笑)

 読者の皆さんもシンジ君にエールを送って下さいね!!


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