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シンジ達のとある一週間 第二部

第10日目 彼女の想い
episode 10 : She celebrates his birthday.


今は朝。ここは碇家。そして、まだ寝ているシンジ。

いつもの光景が繰り返されるかと思われたが・・・・・

「シンジ、朝よ。起きなさい。」

「うーん、あと5分・・・・」

「早く起きないと遅刻するわよ。」

「アスカぁ・・・もう少し・・・・」

「シンジ、起きないと朝御飯抜きよ!」

「・・・・・えっ!」

シンジはやっと起きた。

「あ、母さん・・・・・」

「ほら、早くしないと遅刻よ。」

「アスカは?」

「先に行ったわよ。なにやら用事があるって。」

「そうなんだ。」

「早く来なさい。食事できてるわよ。」

「うん。」

(いったいアスカの用事ってなんだろうなぁ・・・・・)

そう思いながらシンジはリビングへと向かった。


「いってきます!」

「行ってらっしゃい。」

いつも通る道。しかし、アスカがいない今日はなんだか違う。

「アスカが起こしに来てくれないと、なんだか違うなぁ・・・・」

そう言いながら、シンジは歩いている。そこに、

「い〜かりくん!」

「あ、綾波。おはよう。」

「おはよう、碇君。」

シンジに声をかけたのは、レイだった。

「あれ、碇君、一人なの?」

「うん、アスカは先に行ったっていうし、今日は僕一人なんだ。」

「へぇ〜、そうなんだ。」

(今のうちに、碇君の心を私に・・・・・)

と思っているかどうかは定かでないが、少なくともレイの心の中に

何かが起こっていることは確かである。

「あの、綾波。」

「う、うん?何、碇君。」

「何かうれしいことでもあったの?」

「えっ、ど、どうして?」

「だって、綾波がずっとにこにこしてるから。」

やはり、レイは何か考えていたようだ。顔に出ていたらしい。

レイは、すぐに言うのはやめて、誤魔化すことにした。

「昨日ね、ちょっといいことがあったんだ。」

「そう、よかったね、綾波。」

「うん。」

やはり(少し)鈍感なシンジ。でも、今回はその方がよかったようだ。


「おはよう。」

「おう、シンジ。あれ、惣流と一緒ちゃうんか?」

「へっ?来てないの?」

「ワイは見とらんで。なんかあったんか?」

「いや、アスカは今日は先に行ったらしくて・・・・」

「うーん、わからんなぁ。シンジ、イインチョも来とらんのや。」

「えっ?洞木さんも?」

「そや。なんでやろ?」

「そうだね。どうしてだろう?あ、来たよ。」

なにやら話しながら、ヒカリとアスカが教室に入ってきた。

「おはよう、碇君。鈴原。」

「あれ、アスカ、一緒だったの?」

「そうよ、ちょっと訳ありでね。」

「イインチョ、珍しく遅かったなあ。」

「いろいろと考え事してたのよ、ね。」

アスカの方を向いて、同意を求めるヒカリ。

「そ、そうよね。」

(何なんだろう?この二人?)

そう思いながらも、決して口には出さないシンジだった。


そして、休み時間もアスカとヒカリはなにやら話している。

シンジが、

「ねぇ、アスカ、何話してるの?」

「ごめんね。シンジにも言えないのよ。」

「そんなに大事なことなの?」

「そうよねぇ、ヒカリ。」

「もちろんよ!」

「そ、そうなんだ・・・・」

といった調子である。

「トウジ、あの二人どうしたんだろう?」

「シンジにもわからんことがワイに分かるわけないやろ。」

「でも、トウジにも、僕にも教えてくれないことってなんだろう?」

「まぁ、ええんちゃうか?ワイらには関係ないことなんやろ。」

「そうだね。」

そこへ、アスカが声をかけてきた。

「ねぇ、シンジ、終わったら暇?」

「うん、一応暇だけど、どうして?」

「あたしとちょっと行って欲しいところがあるのよ。」

「どこなの?」

「それはあとで言うわ。じゃ、そう言うことで、よろしくね。」

そういうと、アスカはまたヒカリのところに戻っていった。

「おっ、シンジ、デートか?」

「そんなんじゃないと思うけど・・・でも、アスカと洞木さん、

いったい何を話しているんだろ・・・・・」

シンジに謎を残したまま、時間は過ぎていくのだった。


放課後。シンジのところにアスカがやってきた。

「さ、シンジ、行きましょ。」

「うん、でも、どこに行くの?」

「シンジはあたしについて来ればいいの。ほら。」

「わっ!あ、アスカ、そんなに強く引っ張らないでよ!」

「あっ、ごめん、シンジ。」

「いいよ、アスカ。」

「シンジ、今日が何の日か、知ってる?」

「えっ?い、いや、知らないけど・・・・」

「この間、ヒカリに言われたのよ。『アスカ、どう祝ってあげたらいいの?』って。」

「もしかして・・・・・」

「そう。だから、シンジにも秘密にしていたのよ。」

「そうだったんだね。それで、今からどこに行くの?」

「ヒカリの家よ。シンジ、手伝ってくれる?」

「もちろんだよ。」

「さ、早く行きましょ。ヒカリが待ってると思うから。」

そして、二人はヒカリの家に向かった。


「碇君、来てくれたんだ。」

「アスカに連れられて、だけどね。」

「それより、ヒカリ、ケーキ作るんでしょ。」

「あ、ケーキはもう作ったのよ。」

「さすがはヒカリね。」

「それで、今からプレゼントを買いに行こうと思うの。

だから、碇君、つきあって。」

「えっ?僕が?いいの?」

「男の子の意見も欲しいから。いい?」

「僕だったらいいけど。」

「ありがとう、碇君。」

3人は、プレゼントを買うため、町へと繰り出した。

「ねぇ、碇君。どういうものを買ったらいいのかしら?」

「うーん、やっぱり、あれじゃないかなぁ・・・」

「そうよね、やっぱりあいつにはあれしかないわ。」

3人はとある店に入っていった。

「ねえねえ、シンジ、これなんかあいつにお似合いじゃない?」

「難しいなぁ・・・・・、あ、洞木さん、こっちにもあるよ。」

「ちょっと値が張るけど、これなんか似合いそうね。」

「そうだ、ヒカリ、名前でも入れてあげたらどう?」

「アスカ、いいこと言うね。洞木さん、そうしてあげなよ。」

「まだ時間があるから、家でやりましょ。」

3人は、その店でそれを買い、ヒカリの家へ戻った。


「ヒカリ、そろそろ時間じゃない?」

「そうね、じゃあ、行きましょ。」

「ねぇ、アスカ、家知ってるの?」

「あたしは知らないわよ。シンジ、あいつの電話番号知ってる?」

「一応知ってるけど・・・・」

「じゃあ、電話して、今何してるか聞いたら?」

「ちょっと待ってて。」

シンジは近くの公衆電話まで走り、電話をかけた。

「ヒカリ、忘れ物、ないわよね。」

「えっと、ケーキに、プレゼントに、料理に・・・・、うん。大丈夫。」

「じゃあ、心配ないわね。」

「・・・・アスカ。」

「何、ヒカリ。」

「ありがとう。私につきあってくれて。」

「なに言ってるのよ、親友が悩んでたんだもの。」

「碇君まで巻き添えにしてしまって・・・・」

「シンジはいいのよ。あたしにつきあったようなものだから。

ねぇ、ヒカリ、シンジの誕生日の時はよろしくね。」

「もちろんよ。」

そこに、シンジが戻ってきた。

「アスカ、今、夕食の準備をしてるって。」

「それで、今から行くって言ったの?」

「用があるから、そのままにしていてって言ったけど・・・・」

「たまにはいいこと言うのね、シンジも。」

「何だよ、その”たまには”ってのは。」

「まあまあ、碇君、アスカ、早く行かないと待ちくたびれるわよ。」

そして、3人は目的地に向かって歩き出した。


ピンポーン

「どなたですか?」

「あの、碇ですけど・・・・」

「おう、シンジか。」

玄関のドアが開く。

「やあ、トウジ。」

「どうしたんや、シンジ。用ってなんや?」

「ごめん、トウジ。用があるのは僕じゃなくて・・・・・」

そういうとシンジは横に動いた。その後ろにはヒカリが立っていた。

「イインチョ・・・・」

「鈴原、その、あの・・・・」

ヒカリは上手く言えないようだ。そこで、アスカが、

「鈴原、ちょっと上がらせてもらうわよ。」

「別にかまわんが・・・・」

「じゃ、上がるわよ。」

4人は家に入った。そして、ヒカリはリビングのテーブルにケーキを置いた。

「なんや、これ?」

「あけてみれば分かるよ。さ、トウジ、あけてみてよ。」

円滑に進めるシンジ。なぜか、トウジはシンジが言うと素直に従うようだ。

「あ、ああ。わかった。」

そして、ふたを開けるトウジ。そこには・・・・

「これ、誰が作ったんや?」

「洞木さんだよ。」

「イインチョ、覚えてくれてたんか・・・」

「はい。鈴原、プレゼント。私と、アスカと、碇君の3人からだけど。」

「あけてもええか?」

「もちろんよ。」

そして、包みを開けるトウジ。

「こ、これは・・・・」

「どう?気に入ってもらえたかしら?」

「イインチョ、惣流、シンジ、すまんな。」

「僕はいいよ、せっかくのトウジの誕生日なんだから。」

「鈴原、ケーキも食べてみてくれない?」

「おお、わかった。」

シンジはケーキにナイフを入れ、皿に載せたものをトウジに渡す。

そして、食べる。

「おっ、旨いわ。旨いで、イインチョ。」

「ありがとう、鈴原。」

「いや、それはワイが言う言葉や。イインチョは何もいわんでええ。」

「あの、洞木さん、僕達そろそろ帰るよ。たぶんもう家で

ご飯作って待ってると思うし・・・・」

「あっ、ごめん、碇君、アスカ、今日はありがとう。」

「いいのよ、じゃ、シンジ、帰りましょ。」

ヒカリとトウジを残して、シンジとアスカは家路についた。


「「ただいまー」」

「お帰りなさい。今までどこに行ってたの?」

「うん、ちょっとね。」

「はいはい。それより、早くしないと晩御飯、冷めるわよ。」

あえてシンジ達に追求しないユイ。よき母親である。

「あ、父さん、早かったんだね。」

「ああ。」

「明日も朝は早いの?」

「ああ。」

なんだか機械的なことしか言わないゲンドウ。

この父親とあの母親。どうやったらシンジの性格が

成り立つのかが不思議であるが。

「早く食べちゃって。私もいろいろとしなきゃいけないから。」

ユイに促されてシンジとアスカは夕食を食べ始めた。


「シンジ、鈴原のやつ、結構うれしそうだったわね。」

「そりゃそうだよ。だって、洞木さんから祝われたんだから。」

「ねぇ、シンジ。」

「なに?」

「やっぱり、シンジもこういう風にしてもらったら、うれしい?」

「もちろん、うれしいよ。」

「じゃあ、あたしも、シンジの誕生日の時には、祝ってあげるね。」

「ありがとう、アスカ。さあ、夜も更けてきたから、そろそろ寝よう。」

そして、二人はそれぞれの部屋に戻っていった。


第10日目 終


あとがき

シンジ:あの、Syuheiさん、いいですか?

Syuhei:どうしたんだい、シンジ君。

シンジ:確か、トウジの誕生日って、12月じゃなかったんですか?

Syuhei:えっと、私もそういう風に聞いたけど・・・

シンジ:そして、アスカの誕生日も確か12月・・・・

Syuhei:だから、どうしたの?

シンジ:いや、その、時期的に合わないかなって思って・・・・

Syuhei:いいんだよ、この世界に季節はないからね。

シンジ:いい加減ですね、Syuheiさんも。


というわけで、遅れましたけど、10日目です。
シンジ、アスカ、ヒカリ、トウジというおなじみのメンバーのみの話です。
えっ?ケンスケは?
いやぁ、気にしないでくださいよ。<おいおい!

では、お世話になったS.Kさんに多謝。

つづく
ver.-1.00 1997-05/15公開

ご意見・感想・誤字情報などは syuhei@nerv.toまで。


 [Syuhei]さんの『シンジ達のとある一週間 第二部』 10日目 公開です!

 アスカに起こされ、
 アスカと一緒に登校

 もうそれが当たり前になっているんですね。
 うらやましいぞ、シンジ(^^)

 今回の主役はヒカリとトウジですね。
 シンジとアスカがキューピットをしていて微笑ましいです・・・・・。

 トウジ・ヒカリ・アスカ・シンジの関係や繋がりが優しく伝わってきますね。

 そして今回も忘れられた存在は・・・ケンスケ。
 私も、後書きを読むまでケンスケの事を全く思い出しませんでした(^^;
 

 さあ、訪問者の皆さん!
 ケンスケを活躍させてくれのメールを・・・・送らなくてもいいか(笑)

 普通の感想メールを送って下さいね!!


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