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ピピピピ・・・・・・

8:00にセットして置いた目覚ましの音に起こされる。

「ふぁ〜・・・・もう朝か。」

私は起きあがり、まず、トイレに行く。
用を済ませたあと、洗面所で顔を洗う。
そして、朝食の準備をする。
内容は、昨日買った食パンのトースト、ハムエッグとサラダ。
一人で暮らしているから、こんなものしか作れないのが悔やまれる。

「昨日炊飯器のスイッチを入れ忘れたのがいけなかったのかなぁ・・・・」

そんなことをつぶやきながら、フライパンに油をしく。
最初にハムを入れ、しばらく焼く。そのあとに卵を割って入れる。
ふたをする。しばらく待つ。
その間にレタスをちぎり、キュウリを切る。ついでにトマトも。
盛りつけ、ドレッシングをかけておく。



フライパンのふたを開ける。見事なくらいに半熟のハムエッグが仕上がっている。
私はそれを皿に移し、サラダとともにテーブルへ運ぶ。
さっきオーブントースターに入れていたパンも程良く焼けている。
私はパンを取り出し、半分にちぎる。
そして、さらにちぎる。口の中に放り込む。
うん、なかなかだ。
次に、サラダをフォークで食べる。まあ、一般水準には達してるだろう。
最後に、ハムエッグに手をつける。

「やっぱり、自分で作ったものはおいしいな。」

そう言いながらハムエッグを味わう。なんだか虚しさもあるが。
そして、食べ終わり、皿を片づける・・・・



*************
住
民
S
の
とある一日 特別編 その1
*************



今日は日曜日。一般の人々の休養日である。
学生の私も・・・・・・やはり、休みである。

「最近忙しくて、全く休みがなかったからなぁ・・・・」

などとつぶやきながら新聞を見る。
もちろん、見ているのはテレビ欄だ。

最近は本当に忙しい。なぜなら、来週の日曜日、
うちの高校で体育祭が開催されるからである。
昔、なにやらあったらしく、この時期に開かれるようになったらしい。
私には関係ないが。しかも、私は練習を逃れるために、
委員会に入ってしまったために、連日遅くまで残って当日の準備や、
運営などを考えている。遅いときには10時すぎに帰り着いたこともあった。
今日は特に仕事もなかったので、久々のバカンスを楽しもうと思った。
まあ、バカンスといっても一日限りだが。そこに、

コンコン

とノックの音。

「どなたですかぁ?」

と声をかける。

「ディオネアですけど・・・・」
「ああ、すみません、すぐあけます。」

そして、私は玄関のドアを開けた。
そこに、自治会長のディオネアさんがたっていた。

「いつもご苦労様ですね。」
「いや、いいんですよ。これが私の仕事ですから。」

そう言って、ディオネアさんは笑みを見せる。

「で、回覧板ですか?」
「ええ。何か回してほしいことはないですか?」
「うーん、いまのところは・・・・・」

といいかけて、やめた。
体育祭も近いことだし、いっそのこと宣伝でもしておくか。

「今度の日曜日ですけど・・・・・・」

しばしの間。

「ええ、そういうことでもいいですよ。じゃ、書いておきますね。」
「すみません、なんだか迷惑かもしれませんけど。」
「いえいえ。じゃ、準備など、がんばってくださいね。」

といって、ディオネアさんは部屋を出ていった。
私は、つくづく

いい人だなぁ・・・・

と思ってしまう。この人こそ、ここの誇りかもしれない。



さて、10:30を回って、何をしようかなと考えていたとき、
またもやドアがノックされた。

「はーい、どなたですか?」
「峯ですけど・・・・」

ドアの外には峯さんが居た。その手には、本人お気に入りの
”アスカのフィギュア”がしっかりと握られていた。

「やあ、ちょっといいかな?」
「え、ええ。」

私は峯さんを家へ招き入れた。お茶をつぎ、出す。そして、

「この間、こういうもの作ったんだけど、どう思う?」
「どれですか?」

峯さんはここの住人の中でも「神の手を持つ男」と呼ばれるほど
手先が器用で、いつもフィギュアを作っているみたいだ。
みんなからはオタクと呼ばれているらしいが、私はそうは思わない。

「これなんだけど・・・・・」
「どれどれ・・・・」

私はあまりこういうジャンルには詳しくはないが、峯さんは
私の助言はとても助かると言っている。本当にそうかは分からないけど。

「また、精密なところまで出来てますねぇ〜〜。」
「そうだろう?今回はかなり時間をかけたからねぇ。」
「やっぱり手が込んでますね。今回もいい作品ですね。」
「ありがとう。じゃ、ほかにも行くところがあるから。」

そういうと、立ち上がって、早々に家を出ていった。
たぶん、みんなに見せに行くのだろう。

「なんだか今日は尋ねてくる人が多いなぁ・・・・」

といっているが、実際、暇である。
何もすることがなくなったので、水着を持って、プールへ行くことにした。



プールへ行く途中、私に声をかける人がいた。

「あれ?Syuheiさん?」

声の主はシンジ君だった。隣にはアスカちゃんもいる。

「やあ、シンジ君。それにアスカちゃんも。」
「「こんにちは。」」

二人がユニゾンをして私に挨拶をする。

「何やってるんだい?」
「あたしはシンジとプールに行くところ。Syuheiさんは?」
「奇遇だねぇ。俺もプールに行く途中だったんだよ。ほら。」

といって、私は荷物を二人に見せる。

「じゃあ、一緒に行きませんか?」
「そうだね。そうしよう。」

そして、私はシンジ君達と合流し、プールへと向かった。
プールは、まだ午前中のせいか、人気はなかった。
私はシンジ君と男性用の更衣室へ入り、水着に着替える。
プールサイドで、念のため準備運動をする。そして、
シャワーを浴び、プールにはいる。

「いやぁ、さながら温泉だなぁ。」
「ほんとですね。」

なんだかオヤジ臭いかもしれないが、このプールは温水プールのため、
自然とこういう言葉が出てくるのだろう。

「さて、泳ぐかな。」

私はそういうと、軽く、流すように泳ぎだした。
シンジ君達は二人でわいわい言いながらも泳いでいる。

”うらやましいなぁ。”

とつい思ってしまう。でも、この二人は幼なじみと聞いたし、当然かな。
そこに、

「きゃあ〜〜〜!」
「あ、アスカ!」

シンジ君達に何かあったらしい。私は泳ぐのを途中でやめ、二人のそばに寄った。

「どうしたんだい?」
「な、何かあそこに人影が・・・・・」

アスカちゃんはふるえている。

「行ってみよう。」

と私がいい、アスカちゃんが指さしたところへシンジ君といった。

「だれだ!」

と叫んだ。すると・・・・

「いやぁ、脅かすつもりじゃなかったんだけど・・・・」

といいながら陰から出てきたのは・・・・・

「「「ディオネアさん!?」」」

私3人はユニゾンした。

「ちょっと暇になったんで、来たんだけど、いやぁ、君たちがいたから
 隠れてたんだよ。」

普通隠れるかな?と思ったが、まあ、変態とかじゃなかった
から一安心だ。

「じゃあ、一緒に泳ぎませんか?」

とシンジ君。

「いやぁ、うれしいけど、今から仕事なんでね。」
「そうですか。」
「じゃ、私はそろそろ戻るよ。」

そういうとディオネアさんは更衣室の方へ戻っていった。



そのあと、私たちはゆっくりと泳ぎ、そして、
シンジ君達と別れ、部屋へ戻った。
時計を見ると、12:30。そろそろ昼御飯だ。
チャーハンでも作ろうかと、台所へ向かおうとした瞬間、

トゥルルル・・・・

と電話の呼び出し音。

「はい、もしもし。」
「あ、もしもし、MEGURUだけど・・・・・」

つい最近知り合った、MEGURUさんからだった。
大学4年生で、進学予定だそうだ。

「あ、どうも、こんにちは。」
「突然だけど、ご飯食べた?」
「え、いや、今から作ろうかと思ってたんですけど・・・」
「ちょうどよかった。実は、ちょっと作ってみたんだけど、
 試食してくれないかな?」
「私でいいんですか?」
「いいよ。じゃ、私の部屋まで来てくれるかな?」
「ええ。じゃ、またあとで。」

そう言って私は電話を切った。
そして、部屋着だったので、Tシャツに着替え、部屋を出た。



MEGURUさんの部屋の前にたち、インターホンを押す。

ピンポーン・・・・

「はーい、あいてますよ。」

返事を聞いて、ドアを開ける。

「おじゃまします。」

そして、目の前にあったのはなんだか奇妙な料理・・・・

「昼間からこんなもの作っちゃってね。」
「あの、なんですか、これ?」
「うん、珍しい料理だよ。なんだか作ってみたくてね。」

私は少しぼうぜんとした。”なんとなく”でこんな料理を
作ってしまうとは・・・・・少しばかりよく分からない。

「ほら、冷めちゃうから食べてよ。」
「あ、はい、い、いただきます・・・・・」

そして、食べ始める。

「これはなんだろうな・・・・」

と手が震えながらもその怪しそうなものを口に入れる。

「うん、なんだかいけるなぁ。」
「あ、それは猿の手だよ。」

とMEGURUさんが言ったとたん、私はそれを吹き出そうとした。

「冗談、冗談。それは豚足だよ。」
「驚かさないでくださいよ!」
「まあまあ、おいしいかい?」
「え、ええ。」
「じゃあ、次の皿だね。」

そして、次の皿が出される。なんだか見た感じ、
グロテスクなのが気になるが・・・・

「で、これは?」
「食べてみたら分かるよ。」

MEGURUさんはにこにこしている。
考えていてもらちがあかないので、思い切って食べる。
そして、口に入れたとき、

「それはね、猿の脳味噌。」

うっ!と思い、思わず口を押さえる。

「じゃなくて、ふぐの白子のトマトソースかけだよ。」

そして、ごくんと飲む。

「ちょっと、俺、心臓弱いんですよ!」
「大丈夫、別にどうもないから。」
「そんなこと言ったって・・・・・」

そのあとも、

蛇のスープ=ウナギのスープ
とか、
人の舌=牛タンのソテー
などと、怪しそうだが、本当は真面目な(?)料理ばかりだった。
そして・・・

「ご、ごちそうさまでした。」
「今度もまた、やると思うから食べに来てよ。」
「えっ・・・・・」
「ははは、冗談だよ。今度はまともなものを作るから。」
「そのときは寄らせてもらいますね。では。」

といって私はMEGURUさんの部屋を出た。
そして、部屋に戻り、昼寝をすることにした。



住民Sのとある一日 その1 終

この小説は本人及びめぞんの住人とは一切関係ありません
(しかし、一部実話です)

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ver.-1.00 1997-06/27公開

ご意見・感想・誤字情報などは syuhei@nerv.toまで。


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  あ と が き
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どうも、ご無沙汰してました、Syuheiです。
最近どうも忙しくて、ろくに小説をアップできませんでした。
でも、もうすぐ休みにはいるので、そのときいくつか
書きたいと思ってます。ではでは。

 Syuheiさん4本目の短編『住民Sのとある一日特別編 その1』公開です!    [その1]と付いているという事は連続物なのかな?  『住民Sのとある一日』があるから既に連続物と言っていいのかな?    住人Sさんの日常。  ゆかいで楽しい隣人たちに囲まれた生活。  ・・・・女は14歳のアスカちゃんだけなんですよね(^^;  [めぞんEVA]は男子寮か (;;)  2号館には女性が入ってくれることを祈ってます・・・・    さあ、訪問者の皆さん。  久しぶりに登場したSyuheiさんを感想メールでもてなしましょう!

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