雪もちらほら見られるようになってきた季節。 飾りがしてある大きな木が町に出現し、 お菓子屋に「予約受付中」の張り紙がでる。 そう、もうすぐクリスマス・・・・・******************** * * * * * 住民SのとあるX’mas * * * * 住民Sのとある一日 SP * * * ******************** 12月24日。世間一般ではクリスマス・イヴと言われている。 が、自分たち学生には、そういうものは・・・・・ 一週間前。 「なあ、クリスマスは何かやるのか?」 「へ?どうしてそんなこと聞くんだ?」 「いや、なんとなくだけどな・・・・・」 そんなことを言ってくるのはただ一人である。 同じ「めぞん」の住人、通称”GUY”、と言ってもあくまでも通称である。 ”いいのか、それで?” とか自分では思ってるけど。 まあ、本人いわく、土木関係のバイトやってるそうで、 体は自然と鍛えられるわけだな。そこからついたのだろう。きっと。 話を元に戻すと・・・・ 「そういうそっちは何かやるのか?」 「いや、別に何も。」 「なーんかあやしいなぁ・・・・」 「なんにもないって。」 「ほんとかぁ?」 「本当だってば。俺が信じられないのか?」 「わかったよ。でも、もうクリスマスの時期か。一年って本当に早いな。」 「そうだな。」 「俺もいろいろの行事で追われてたしな。」 と言うわけで、特に9月から忙しい毎日だった。文化祭はあるわ、 いろいろな資料づくりはあるわ、一つ一つあげていったらキリがないかもしれない。 そして、気がついたらクリスマス。何だかむなしくなってきた。 ま、とりあえず、今日は早く帰るか。 家に帰り着いたのは、1時をすぎた頃だった。 とりあえず、お昼はカップラーメンでも食べようと思い、 お湯を沸かそうとしたその時、 トゥルルル・・・・トゥルルル・・・・ 電話が鳴った。 「はい、もしもし。」 「あ、俺だけど・・・・」 「何だ。で、どうしたんだ?」 「メシは食ったか?」 「いや、今食べようと思ったところだけど・・・・」 「そうか、じゃ、ちょっと行かないか?」 暫く考えたあと、 「いいけど。」 「じゃ、今から行くからな。」 といって電話を切った。 財布にはそこそこ残っていた。まぁ、カップラーメンよりましか。 しばらくして・・・・ ピンポーン! ドアを開けると、 「よ。」 「どこに行くんだ?」 「そうだなぁ・・・・そこのラーメン屋でいいか?」 「それが無難だな。」 そして、二人で近くのラーメン屋へ向かった。 クリスマスだというのに、何故かラーメン屋は大賑わいである。 今の時期、不況で大企業が倒産してるのに。 全く、この業界は不況というものを知らないのか、と思うほどである。 二人で空いている席を探す・・・・・が、ない。とにかく満席だ。 「しょうがないな、少し待つか?」 と聞いてきたので、 「そうだな、しょうがないなぁ、空いてないんだから。」 と言いながら、もう一度席を見回すと、4人席に一人で座っている人に目がいった。 ”相席でもいいんだけどなぁ・・・・・” とか思っていると、その人が何だか手招きしているように見える。 今は眼鏡を持ってきてないのでよく見えない。 「なあ、あそこの人、何だか手招きしてないか?」 「えっ?・・・・あれ、あれはすのーさんじゃないか?」 「うそだろ?」 「ホントだよ、行ってみよう。」 二人でその、すのーさんらしき人の座っている所へ近づいてみると・・・・ 「やあ。」 「あ、ホントだ。どうも、こんにちは。」 「全く、本当に目が悪いんだな。・・・っと、こんちは。」 「しょうがないだろ。でも、あまり眼鏡するのもいやだしなぁ・・・」 「じゃ、コンタクトにしたらどうだ?」 「高いんだよ、お金ないし。」 「まあまあ、二人とも、とにかく座ったら?お昼食べに来たんじゃないのかい?」 「そう言えばそうだった。」 何だか目的を忘れていた自分たちだったが、 眼鏡が湯気ですっかりくもっているすのーさんに言われてはっとした。 しばらくして、注文したものがでてきた。 自分たちはとんこつラーメンを注文した。すのーさんは塩ラーメンを食べている。 「そう言えば、塩ラーメンですね。」 と聞いてみた。 「そうだけど、何か?」 「いや、なんとなくですけど・・・・・」 「え〜、変かな?」 「ええ、ちょっと。」 「まあ、あまり好んで食べる人はこの辺にはいないからね。それと・・・」 「それと?」 「しょうゆがダメなんだな、俺は。」 「はは・・・・」 すのーさんは苦笑したが、自分はちょっと引きつった笑いをした。 「でも、とんこつもあまり好む人はいないと思うけど。」 「昔から食べてましたからね。」 「そうか、それにしても・・・・・・」 「そうですよね、一言もしゃべらないで・・・・・」 「ん?どうしたんだ?」 ・・・・・・すでに食べ終わっている。は、早い・・・・ その後、なんだかんだで結局すのーさんにラーメン代はおごってもらった。 「めぞん」に帰ったあと、”冬休みの課題”を少しでも 片づけておこうと思い、机の前に座った。 最初のうちはさくさくと進んだが、途中、詰まった。 「2次関数なんかわからないんだよ〜〜」 とか呟きながら。 「・・・・・そうだ!」 そう思うとすぐに、部屋を出た。 途中、一階で不思議な光景を見た。 「あの作品、個人的にはとても気に入ってます!」 「そうですか?私、あまり上手くないんですけど・・・・・」 「いいや、そんなことはない!この俺が言うのだから間違いない!」 あ、あれは邪さんではないか!しかも、その横には一階に住んでいる みんなのアイドル伊吹マヤさん!あの二人がツ、ツーショット!? 「今度また、作ってもらえますか?」 「ええ、私でよければいつでも。」 なんだかやばいシーンを見てしまったのか?と思ってしまい、 隠れようとしたが、近くにあるゴミ箱をひっくり返してしまった。 がっしゃ〜ん!!! 「誰かいるのか?」 「いててて・・・・」 「おや、Syuheiじゃないか。」 「あ、どうも、こんにちは・・・・」 なんだかぎこちない挨拶だ。 「じゃあ、マヤさん、また今度。」 「はい。」 そういうとマヤさんは部屋に戻っていった。 「それより、こんなところで何やってるんだ?」 「いや、その、ちょっと向こうの方へ行こうかと思って・・・・」 「それだけなのか?」 「ほんとに通りがかっただけですから。」 「そうか。」 「じゃ、急いでますんで、これで。」 といって足早にその場を立ち去った。 ちょっとヤバイ光景を見てしまった気がして、何だか足取りが重い。 しかし、しばらくして。 ピンポーン。 ガチャ。 「こんにちは。」 「おっ、Syuheiじゃないか。どうしたんだい?」 「ちょっと、聞いてもいいですか?数学の問題なんですけど・・・・・」 と言いながら手に持っている課題を見せる。 「ああ、これね。・・・・とりあえず、上がったら?」 「邪魔になりませんか?」 「いいよ、今日は暇してたし。」 「じゃ、上がらせてもらいます。」 RYOさんは快くお願いを聞いてくれた。 ほんとにわかりやすく教えてくれる。 だてに自分たちより一年多く学んでいない。 「そう言えば、今日はクリスマスだったよねぇ。」 「そうですね。」 「今日は、何か予定でもあるの?」 「いえ、別に何も・・・・そういうRYOさんは?」 「俺?俺もね、別にないよ。」 「嘘でしょ?」 「嘘じゃないよ。だって・・・・・・」 「だって?」 「・・・・一緒に過ごせるような彼女もいないしね。」 RYOさんはちょっと笑っていった。 「えっ?」 これには驚いた。だって・・・・・ 「そんなに驚かなくても。」 「で、でも・・・・」 「まあ、とりあえず、数学を先にね。」 「そうですね。」 RYOさんがほほえんだので、少しばかりだが笑顔で返す。 そして、もう、この話題はやめておこうと思った。 RYOさんの部屋から自分の部屋に帰る途中、シンジ君にあった。 「あ、Syuheiさん、こんにちは。」 「やあ、シンジ君。買い出しかい?」 シンジ君が下げているスーパーの袋を見て言った。 「ええ、だって、今日はクリスマス・イヴですから。」 「そうだったね。じゃ、今夜はごちそうかい?」 「ええ、まあ、それなりのものを作ろうかと思いますけど。」 「あれ、ケーキは?」 「ケーキは買ってません。」 「えっ?どうして?アスカちゃんが欲しがると思うけど・・・・・」 「僕が今から作るんですよ。」 「作る?」 「ええ。だって、そのほうがお金がかかりませんから。それに、 このほうが美味しいってアスカが言ってくれますから。」 シンジ君はもうすっかり主夫と化しているようだ。 「でも、アスカちゃんの前じゃ作れないんじゃないかい?」 「そうですね・・・・・」 「よかったら、うちの台所を使わないかい?」 「いいんですか?」 「一応器具もあるし、それに、俺はあまり作らないから。」 最近はもっぱらカップ麺ばかりの食事ばっかりだったから、 台所はきれいなはずだ。 「本当にいいんですか?」 「全然かまわないよ。」 「じゃ、お願いします。」 シンジ君は深々と頭を下げた。 「そんな、頭を下げられるほどのことじゃないんだけどなぁ・・・・」 頭を掻きながら、呟いた。 とりあえず部屋に入り、暖房のスイッチを入れる。 「じゃ、俺は向こうで英語してるから、何かあったら呼んで。」 「わかりました。」 シンジ君は袋から材料を出し、作る準備をし始めた。 自分は机に向かい、辞書を片手に英語の課題をやり始めた・・・・・・ しばらくして・・・・・ 「すみませーん。」 シンジ君の声。 「ちょっとまって、今行くから。」 そう言って台所へ向かう。 「Syuheiさん、ボール、あと一つあります?」 「えっ?足りなかった?」 「ええ、あと一つ欲しいんですけど。」 「ちょっとまって。・・・・・あった、はい。」 「どうもすみません。」 「他にはない?」 「ええ、今のところは。」 「じゃ、がんばってね。」 そう言って、再び机の前に座った。 「Syuheiさん、Syuheiさん!」 「うん・・・・・・何・・・・」 「何じゃありませんよ。もう。」 「えっ・・・・・あっ!」 「ふぅ。」 「もしかして、俺・・・・・」 「寝てましたよ。呼んでも返事しなかったから・・・・」 シンジ君は笑いながら言った。 「それより、ケーキはできたのかい?」 「ええ、うまくいきました。」 台所へ向かってみると、 お店で売っているもののようなケーキが置いてあった。 「す、すごい・・・・・」 それを見て一番はじめに出た言葉だった。 「そうですか?」 「うん、すごいよ、全く。俺なんか足元にも及ばないよ。」 「何だか、照れるな・・・・・」 シンジ君はにこやかに笑った。 そう言えば、この間、 「Syuheiさん、ちょっと、いいですか?」 「何だい、アスカちゃん。」 「あの、その、し、し、し・・・・」 「ん?」 「シンジへのクリスマスのプレゼント、何がいいと思います・・・・・」 アスカちゃんは顔を赤くしている。 「シンジ君へのプレゼントか。そうだなぁ・・・・・」 「あたし、こういうのよくわからなくって・・・・」 「・・・・・・アスカちゃんは何をあげようと思った?」 「えっ?・・・・せ、セーターなんですけど・・・」 「セーターで何か不満な点があるのかい?」 「いや、その、シンジが気に入ってくれなかったらどうしようかと思って・・・・・」 「アスカちゃん、それはないと思うよ。」 「・・・・そうですか?」 「たぶん、シンジ君なら喜んでくれると俺は思うよ。」 「でも、好きな色とかもあるし・・・・・」 「・・・・・シンジ君に似合うのかい、それ?」 「ええ、あたしはそう思ってるんですけど・・・・」 「じゃあ、それにした方がいいよ。」 「でも・・・・・」 「でも、じゃないよ。アスカちゃんが贈ったものなら、シンジ君も喜ぶよ。」 「そうですね。どうもすみませんでした。余計なこと相談しちゃって。」 「俺は別にかまわないよ。アスカちゃんの助けになったのなら。」 こういうことがあったなぁ。シンジ君はアスカちゃんに何か用意してるのかな? でも、このケーキがプレゼントみたいなもんだからなあ。 「じゃ、Syuheiさん、ありがとうございました。」 「別にこれくらいいいよ。あれ、ケーキが1つ余ってるけど・・・・」 「これはお礼です。これくらいしかできませんけど。」 「これで十分だよ。ありがとう。」 「じゃ、本当にありがとうございました。」 そう言ってシンジ君はケーキを持って部屋を出ていった。 シンジ君が出ていって、しばらくしたあと、何だか外が騒がしくなってきた。 何かと思って外に出てみると・・・・・ 「わ〜〜〜〜〜」 思わず声をあげてしまった。目の前に、大きな木が・・・・・ よく見ると、飾りがしてある。・・・・・ツリーだろうか。 下を見ると、大家さんがいたのでおりていって声をかけた。 「ツリー、ですか?」 「あ、Syuheiさん。ええ、そうですよ。思い切ってやってみました。」 大家さんは笑いながらツリーの上の方を眺める。 それにつられてかどうかはわからないが、自分も眺めてみる。 「あれ、雪じゃないですか?」 「あ、ほんとだ。・・・・・この降りだったらつもるかもしれないなぁ。 ・・・・・・さて、あとは夜を待つばかりか。Syuheiさん、 部屋に戻った方がいいですよ。風邪をひくといけませんから。」 「そうですね。」 数時間後、大家さんの指摘通り、雪が積もっていた。 また、下の方を見ると、うっすらと白い雪があるのがわかる。 しかし、おや?と思うものが一つ。 雪は積もったが、雪だるまが作れるほどではない。 不思議に思いながら、雪だるまの方へ行ってみた。 「何で雪だるまが・・・・・」 と言いながら、触ってみる。 「あれ、これ、発泡スチロールだ・・・・・」 発泡スチロールとわかったとたん、それを倒してみる。 すると、 「うわ〜〜〜〜〜!!!!!」 という声が聞こえてきた。雪だるまの中からだ。 「そ、その声は・・・・・・」 ふらふらして出てきたのは、ディオネアさんだった。 「な、何やってるんですか!」 「いや、つい、雪が降ったもんでね。」 「それだけ、ですか?」 「それだけ。じゃ、私は帰るから。」 そういうと、雪だるまを持ってせかせかと帰っていくディオネアさん。 何だか、哀愁を感じた。 夜。シンジ君からもらったケーキを一人食べる。 窓の外に降る雪を眺め、 「クリスマスかぁ・・・・・」 と呟きながら。 その時、ドアが勢いよく開かれるとともに、パーンという音がした。 「よ。」 「やあ。GUYがどうしてもって言うから。」 そういうRYOさんも何だかまんざらでない顔をしている。 二人ともクラッカーを持っていた。 「そこの広場でパーティしてるぜ。」 「え?うそ?」 「ほんとだよ。行くか?」 「行くよ。このまま一人も何だか寂しいからな。」 そして、クリスマスの夜はめぞんのパーティで盛り上がったのだった。 夜中に葛城ミサトさんが酔っぱらってツリーを倒してしまうハプニングはあったが。 終わり この物語はフィクションです。
あとがき いや、ほんとに久しぶりです。こうやって書くのも、投稿するのも。 よって、表現が少しおかしい点などがあるかもしれません。(^^;; 今回は、クリスマスバージョンということで書きましたが、いろいろと 書いているうちにいろいろと多くなっちゃって・・・・ とりあえず、「Sのとある一日」に出演して下さる住人の方、 お待ちしております。 それと、一人称が全作と違ってるかもしれませんが、 あまり気にしないで下さい。(^^;; 最後に、いろいろと協力してくれた皆さん、チャットの皆さん、 ほんとにありがとうございました。 制作協力 GUY@A09 すのーろーど@802 邪@604 RYO@C02 ディオネア@302 大家@めぞんエヴァ
Syuheiさんの『住民SのとあるX’mas』公開です。 ヘンテコ(←死語??)な住人達の巣窟めぞんEVA。 クリスマスの今日ばかりは聖なる日となっていました(^^) パートナー無しのさみしんぼが沢山のめぞん・・・ アスカとシンジは 住人全部の幸せポイントを二人で独占してしまっているのかも(笑) それでも皆に優しく見て貰えるのは、 二人がとってもポカポカだから(^^) 可愛いカップルですよね〜 さあ、訪問者の皆さん。 お久しぶりのSyuheiさんに感想メールを送りましょう!