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私の朝はドアのノックの音から始まった。

「どなたですか?」
「私ですよ。私。」

そう言って私はドアを開ける。

「あ、これは神田さん。おはようございます。」
「おはようございます。それより、もう時間ですよ。」
「えっ?」

私はそういうと、腕の時計を見た。
時計の針はすでに8:00を回っていた。

「すみません!ありがとうございます!」

私はそういうと、ドアを閉め、支度をする。

「やっべぇ!」

そう言いながら、目覚ましをセットしない自分を悔やむ。
そして、玄関を出て、大家の神田さんにお礼を言い、学校へと向かうのだった。

私の通う高校は、第一高校。第一中学校の隣である。
だから、今の時間、中学生と高校生がたくさん歩いている。
私はぎりぎり間に合う時間だったので、歩いている。
その学生達の中で、私は見慣れた二人を見つけた。

「シンジ、明日は日曜ね。」
「そうだね。」
「どこか行かない?」
「でも、二人だけで行くのも・・・・」

私と同じ階の突き当たりに住んでいるシンジ君とアスカちゃんだ。
私は早速声をかけた。

「やあ。」
「あ、Syuheiさん。おはようございます。」

二人には名前で呼んでもらうことにしている。
せっかく同じところに住んでるから。

「何話してたんだい?」
「いや、アスカが明日どこか行かないかって言うんですよ。」
「シンジ、Syuheiさんにいうことじゃないわよ。」
「あ、そうだった。」
「俺は別にいいさ。で、どこに行くんだい?」
「それが決まってないんですよ。」
「あ、そうだ。Syuheiさん、どこかいいとこ知らないですか?」

アスカちゃんが聞く。

「うーん、俺もあまり知らないんだよなぁ・・・・」

現に引っ越してきて半年。まだまだこの町のことは知らない。

「知ってるところと言えば・・・アミューズメントパークぐらいなもんだからなぁ。
あそこなら招待券があるんだけど。」
「Syuheiさん、その、招待券は何枚あるんです?」
「えっと、確か、3枚だったかな。」
「じゃあ、Syuheiさんと、あたしと、シンジの分ですよね、もちろん!」
「えっ!?」
「だから、明日、Syuheiさんがあたし達を連れていってくれればいいんですよ。」

アスカちゃんも強引だなぁ。ま、明日は予定もないし、いいか。

「じゃ、何時頃がいいかな?」
「あたし達が行きますよ。」
「そうかい。」
「すみません、強引で。」
「別にシンジ君が謝ることはないと思うよ。」

そうしているうちに、学校に着いた。

「じゃ、また。」

そして、私は学校の門をくぐった。

今日は土曜日。授業は午前中で終わる。
友人がゲーセンでも行かないかと誘うが、私はそれを断る。
理由は・・・・・特にない。
学校から家に帰る途中、私は声をかけられた。

「Syuheiさん。」
「あ、シンジ君。」

声の主はシンジ君だった。しかし、一人である。

「あれ、アスカちゃんは?」
「お昼の買い物ですよ。そうだ、Syuheiさんも食べませんか?」

確かに、アスカちゃんの料理は旨い。けれども・・・・

「Syuheiさん、僕達明日お世話になるんですから、食べていってくださいよ。」

そう言われるとそうだなぁ。じゃ、お世話になろうかな。

「じゃ、お言葉に甘えようかな。本当にいいんだね?」
「ええ。僕達はかまわないですよ。じゃ、行きましょう。」

私たちはいろいろと話しながらめぞんへ戻った。

私は自室へ戻ると、荷物を起き、楽な服に着替え、碇家のインターホンを押した。

”ピンポーン”
「はーい。」

シンジ君の声だ。

「あ、シンジ君。俺だけど・・・・」
「あ、空いてますよ。」

そして、私はドアを開けた。それと同時にいい匂いが漂ってくる。

「おじゃまするよ。」
「どうぞ。」
「今、アスカちゃんが作ってるんだね。」
「そうです。アスカには僕の方から話しておきましたから。」
「ありがとう、シンジ君。」
「いや、そんな・・・・」

リビングのいすに腰掛けて待っていると、アスカちゃんが料理を運んでくる。
内容は、チャーハンと酢豚だ。

「はい、どうぞ。」
「「いただきます。」」

私とシンジ君がユニゾンする。珍しいことだ。
私はチャーハンを一口食べる。旨い。

「アスカちゃん、これ、おいしいよ。」
「ありがとうございます!」
「ほんと。アスカの料理はおいしいからね。」
「シンジったら。」
「アスカちゃんが店を開くなら、俺は毎日いってもいいな。」
「そんな、もう、Syuheiさんも。」

私はお世辞で言ったわけではないが、アスカちゃんは照れている。
でも、私よりシンジ君に言われた方がもっとよかったのかな?
まあ、そのうちシンジ君も気が利くようになるだろう。シンジ君は優しいからなぁ。

優雅なランチタイムも終わり、私は自室で学校から出された
宿題を解く。まあ、易しい問題だ。
そうしていると、インターホンが。
出てみると、シンジ君だった。

「Syuheiさん、今、忙しいですか?」
「いや、別に。どうしたんだい?」
「ちょっと、分からないところがあって・・・・」

私はシンジ君の手にノートがあるのに気がついた。
きっと、数学の宿題が出たのだろう。

「とにかく中に入って。」
「すみません、おじゃまします。」

私はシンジ君を招き入れる。

「コーヒーと紅茶、どっちがいいかい?」
「いや、僕はそんな・・・・」
「そんなこと言わないで。」
「じゃ、紅茶を・・・・」
「紅茶だね。」

私はカップにお湯を入れ、暖める。その間にティーポットに
ティーパックとお湯を入れる。冷蔵庫からミルクを出し、
棚から砂糖を出す。そのうちにカップも暖まったので、
それら全部を持って、テーブルへと運ぶ。

「お待たせ。」
「すみません。突然押しかけてしまって・・・・」
「だから、もういいよ。はい、紅茶。」

私は紅茶をシンジ君に勧める。

「ありがとうございます。」
「で、何が分からないのかな?」
「この問題なんですけど・・・・」

といってシンジ君はノートを開き、私に見せる。
やはり、数学だった。

「ああ、これね。これはコツがあるんだよ。」
「コツ、ですか。」
「そう。だから、こうして、こうすると・・・ほら。」
「ほんとだ!凄いや!」
「そんな、凄いって・・・・とにかく、シンジ君、これで分かったかな?」
「はい、分かりました。やってみます。」

シンジ君は問題を解き始めた。
私は紅茶をすすりながらそれを見る。

「あ、そこ、違うよ。」
「えっ?」
「ほら、計算ミス。足すんじゃなくて、かけるんだよ。」
「あ、そうだった。」

時々間違えるが、シンジ君は物覚えはいい方だ。
だから、一度教えたところは覚えている。

「ふぅ。やっと終わった。」
「お疲れさん。」
「いや、Syuheiさんのおかげですよ。」
「シンジ君、アスカちゃんはどうしたの?」
「アスカなら寝てますよ。昼寝です。」
「疲れたのかな?」

あの元気なアスカちゃんが昼寝とは。よほど疲れたんだろう。

「じゃ、僕、そろそろおいとまします。」
「そうかい?もう少しいればいいのに。」
「いや、迷惑ですから。じゃ、ありがとうございました。」

そういうとシンジ君は家に戻っていった。
そして、私も寝ることにした。

私はまた、ドアのノックの音に目を覚まされた。

「はい。」
「私ですよ。」

この声は、大家の神田さんだ。
私はドアを開ける。

「あ、どうも、こんばんは。」
「Syuheiさん、いたんですか。電話しても出なかったのに。」
「あ、ちょっと昼寝してて・・・・」
「それより、私の家で夕食、どうですか?」
「いいんですか?」
「ちょっと作りすぎちゃってねぇ、私一人ではどうも。」
「じゃ、行きますよ。」

私は隣の神田さんの家に行くことになった。

時間もたち、8時を回った。

「今日はすみませんでした。」
「いや、またこうなったときはお世話になりますよ。」
「では、失礼します。」

そう言って私は自室へと戻った。
しかし、ここで私はあることに気づいた。
何もすることがないのだ。とりあえず、風呂に向かう。

「ふぅ。極楽極楽。」

爺臭いことを言いながら、ゆっくりと暖まる。
ここに引っ越してきて、この時間が一番幸せに感じる。
広い浴場。これは私がここを気に入った理由の一つでもある。

「さ、上がろうかな。」

体も十分に温まったので、風呂を上がった。
そして、冷蔵庫からコーラを出し、一気に飲む。

「ぷっは〜、うまい!」

なんだかビールを飲んでいるような気分だ。
時計を見ると、8:30。まだまだ寝るには早い。
それで、テレビを見ることにした。

気がつくと、もう11時を回っていた。
テレビは怖い。時を忘れさせる。
さ、明日はシンジ君達と遊園地か。
招待券は財布に入れたから、もう寝よう。
お休み・・・・・・


住民Sのとある一日 終

この小説は本人とは一切関係ありません

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ver.-1.00 1997-04/30公開

ご意見・感想・誤字情報などは syuhei@nerv.toまで。


 Syuheiさんの短編第2弾『住民Sのとある一日』公開しました!

 ご本人を主人公にした「めぞんEVA」でのある1日。
 シンジやアスカと共に流れる静かでそして賑やかな時間・・・・

 今日が過ぎ去り、更に楽しいだろう明日がやってくる・・・いいですね。

 私の小説の方でもTENGUさんのようにSyuheiさんを登場させると 言っていたのですが、彼は待ちきれなかったようですね。
 まあ、私の更新ペースを考えればそうかも・・・(^^;;;
 でも、待っていてくださいねSyuheiさん! 私の方でも登場させますから。(^^)

 そうそう、めぞんEVAの他の住人の皆様も神田まで[貴方の設定] を送って下されば私の小説に登場させますものでよろしく!!

 人の小説のコメント欄で何言ってんだよ私・・・(^^;

 話を戻して、
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