「シンジ・・・ねぇ、シンジ」
「うーーーん・・・・・」
「シンジ、起きてよぉ・・・」
カーテンの隙間から朝の薄明かりが差し込む。
そのカーテンが風にゆらゆらとそよぐシンジの部屋。
いつもならアスカの威勢のいい声が響く空間に頼りなげなアスカの声が聞こえる。
「うーん・・・後五分・・・」
いつも手荒い扱いでやっと起きだすシンジは、しかし、アスカの涙が 混ざったつぶやくような小声に目を覚ました。・・・まだ半分夢の国だが。
「もう、起きてったら・・・・」
再度聞こえた、今度ははっきりした泣き声にシンジは完全に目覚めた。
「・・アスカ・・・まだ暗いよ・・・・」
「・・・うん」
「まだ7時前じゃないか・・・どうしたんだい?」
自分のパジャマの裾をぎゅっと握り締めて瞳にきらめきを湛えた少女にシンジがやさしく語りかける。
「お化け・・・」
「・・・お化け?」
「うん。・・お化けがいたの・・・・」
「お化け? どこに」
「裏山に・・・・お弁当を作っていたら・・・木の間を白い影が・・・」
アスカが両の瞳から雫を落としながら続ける。
「・・変なうめき声みたいなのも聞こえてきたの・・・」
「うめき声?」
シンジは起きあがって、窓を開けようとしたが、動きが止まる。
「・・シンジぃ・・・」
アスカはシンジのパジャマの裾を離さない。
「アスカ、大丈夫だから。ね?」
そっと自分の手をアスカの手の甲に重ねて微笑みかける。
アスカはシンジのぬくもりで少し落ち着いたのか、手を開いた。
「・・うん」
シンジはアスカが手を離したのを確認するとゆっくりと、アスカを刺激しないように 窓を開ける。
アスカってお化けとかユーレイってモノが極端に苦手だからな・・・
何を見間違えたか確認して、それから・・・・
などとか考えながら裏山の方向に目を凝らす。
何もないな・・・・まだ薄暗いから・・何を見たのかな・・・!!?!?
な、なんだ?!? シーツでも飛んだのか・・・でもあの動き・・
シンジの視界の隅が白い物を捉える。
それは木々の間で右に左に時折消えたりしながら動きまわっている。
な、なんだ、あれ? お、お化けなんて・・・ここ・この科学万能の・・
夢だ・・・そうだ僕はまだ夢を・・・早く起きなきゃ・・
実のところアスカよりもさらにその類の物に弱いシンジがパニックに陥った頭で現実逃避を始める。
しかし、シンジのその努力をあざ笑うかのように・・・
『うけけけけけぇぇ・・!!!!』
無気味な声が部屋に響き渡った。
昼前の駅前。
第3新東京市は平和な町である。
ここ駅前広場でも、町の名が第3新東京市になる前も、
なった後も事件らしい事件は起こっていな・・・・
「待ちやがれー! 食い逃げ野郎ー!」
まあ、この程度の騒ぎがたまに・・・・
「あれ? ここに置いてたカバンが・・・置き引きだ!」
ちょっとした事件がない事もな・・・・
「強盗だ! 強盗! あの男が! 誰か警察を!!!」
・・・・まあ、ほとんど事件がないということで・・・・
「平和だなぁ」
第3新東京市中心部を見下ろす高台に建つ市立第1中学校。
昼休みの1年B組の窓からメガネをかけた男の子が街の方向をぼんやりと
眺めながら、ぼんやりとつぶやいた。
新横須賀にも、佐世保にも、今は船がいないしなぁ・・・
せっかくいい被写体が転校して来たと思ったら、既に売約済みの上、
あの気の強さ・・・
まあ、写真に性格は写らないけど・・・・
と、ぼんやり考えながら、まだ痛むあごに手をやる。
うわさの美少女転校生の写真を売って一儲けと、カメラを向けた途端に−−
ローキックからボディアッパー、とどめに落ちた顎に肘打ちを
食らったのが4日前・・・
「それなら隠し撮りを」と待ち構えていたら−−−
いきなりバスケットボールが降り注ぎ、気がついたら目の前にあった拳に
左右のフックを決められたのが一昨日・・・・
あの女はあきらめよう・・・・命あっての物だねだ・・・・・
そんな彼のぼんやりした時間は、女の子達の声で幕を閉じた。
「お化けぇぇぇ?!」
お弁当タイムに突入した教室に洞木ヒカリの声が響き渡った。
「シー! ヒカリ、大きな声出さないでよ!」
それに答えた惣流アスカの声が、1年B組に大きくとどろく。
「ごめん・・」
何事だ? と二人に注目していたクラスメート達をこそっと見回して ヒカリがつぶやく。
「ほら、あんた達何見てるのよ! さっさと食べなさいよ!」
アスカはまだお弁当箱を出してもいない自分を棚に上げて、 食事をしながら友達と雑談をしていたクラスメートに怒鳴る。
「・・・アスカ、それが朝から口を開かなかった原因?」
「・・・うん」
回りを気にしながらアスカの耳に口を寄せて話すヒカリ。
そのヒカリの小声につられてアスカもぼそぼそと返事を返す。
「私が寝坊したのを怒ってるのかと思っていたのよ・・・」
「まさか! ヒカリには感謝しているのよ! この5日間毎日泊まりに
来てくれて、すっごく助かっているんだから!」
そう、ヒカリはミサトのいい加減なお願いに律儀に応えて、
アスカ達の転校初日から毎日夕方に泊まりに来ていた。
アスカとヒカリは何となく馬が合うらしく、
一緒に夕御飯を作って、
一緒に、シンジを交えて、談笑しながら食事をして、
一緒に後かたづけをして、
一緒にお風呂に入って、
一緒に夜遅くまでおしゃべりをして、
一緒の部屋に寝る。
そして、翌朝。
アスカが朝風呂から出て、
一緒にお弁当と朝御飯を作り、
一緒に、シンジを交えて、食事をして、
一緒に片づけをして、
一緒に登校する。シンジもついでに・・・
シンジはちょっと可哀想−−−。
そんな二人である。
今日の朝、ヒカリが寝坊したぐらいではアスカは怒ったりしない。
そんなことはヒカリにも分かっているが、心配性がヒカリを責めていた。
だいたい、アスカが寝坊している人間を見逃すこと自体、僥倖と言える。
「・・・それも、口聞いてくれない原因だと思っていたのよ」
「・・・? なんで?」
ヒカリが小声で言った言葉がアスカの顔に怪訝の表情を作る。
「だって、私がずっといるせいで・・・その・・」
「その? なに?」
「うん・・。その、碇君と二人きりになれないんでしょ?」
「な、ななにに・・・」
アスカの顔色が一気に真っ赤になる。
「そのことには本当に悪いと思っているの」
「ちょ、ちょっと・・ヒカリ・・」
「でも、中学生の男の子と女の子がひとつ屋根の下にいるのって
いけないと思うの」
「な、なに・・・言って・・」
「一応別の家だけど、中で繋がっているでしょ。いけないわ」
「もう・・・も、ヒカ・・・」
「そりゃ、二人は恋人同士だけど、それだからこそ、ね?」
「え、や・・」
口をパクパクさせているアスカの横でヒカリの言葉だけがだんだんと熱を 帯びてきている。
「アスカ、ダメよ。私たちまだ−−」
「もう! ヒカリ、話がずれているわよ!!」
自分の手を両手で握りしめ、まっすぐに目を見て話し続けるヒカリの言葉に、 アスカは意を決して割り込む。
「え? ・・・・あ、ごめん・・・・またヤッチャタ・・・・」
「で、その『お化け』なんだけど・・・」
ヒカリがアスカの言葉で我に返って、消え入るようにつぶやく。
ペースを取り戻したと、アスカが言葉を続けようとしたが回りの雰囲気につまる。
これまでの騒ぎで教室中だけではなく、廊下を歩いていた生徒までもが二人に
注目している。
アスカが、キッ、一睨みで野次馬を散らして、ちょっと考え込んで、
「隣に行きましょ。シンジも見たの」
スクッと立ち上がり、ヒカリに宣言する。
「ここは空気が悪いわ!」
悪くしたのは自分たちだ・・・・・・・
「惣流さん、我がサッカー部へのマネージャーの件よろしく!」
「いや野球部へ!」
廊下へ出たアスカ達を体育会系の野太い声が出迎える。
「君たち何をいってるんだ。あの運動能力をマネージャーで埋もれさせる気か!」
「そうよ! と言うわけで、ソフト部へ!」
「君の脚力は100m向きだ!」
「あんた達なに言ってるのよ! 惣流さんの美貌を埋もれさす気!」
「全くその通り、ぜひ舞台演劇研究会へ!」
うんざり顔のアスカを無視して、勝手に盛り上がる一団。
「惣流さんの美しさは映像向きだ! 自主映画制作部をよろしく!」
「映像向きに一票。でもスクリ−ンではなくブラウン管だ。待ってるよアスカく・・」
ゴズッッ
鈍い音が響き、ビデオサークルの男が崩れ落ちる。
その影から裡門頂肘を突きだしていたアスカがゆらりと立ち上がる。
「あんた、バカァ? いい加減に学習しなさいよね!
わたしの事は『惣流さん』って呼ぶの。覚えときなさいよ」
左手を腰に、右手の人差し指を床に横たわる男に突きつけ、アスカが吐き捨てる。
一瞬静まり返ったが、すぐに−−−
「素晴らしい! そのわざを空手部で!!」
「いや、骨法保存会に!」
「だからそんな汗臭いクラブは惣流さんには似合わないって!」
「なんだと、このヤロー」
「やるかテメー」
アスカ達はふたたび肝心の本人を忘れて騒ぎだした団体の間をすり抜け、 隣のクラス、シンジのいる1年A組に入って行った。
「やあ、アスカ。遅かったね。また勧誘合戦かい?」
「まあね、ヤんなっちゃう」
教室に入って来たアスカ達をシンジの笑顔が迎える。
ちょっと急ぐように立ち上がりながらアスカを誘う。
「ぼくお腹減っちゃったよ、早く中庭に行こうよ」
「えーと、その前に今朝の−−−」
シンジに返事を返そうとしたアスカの言葉を途中で遮り−−
「ねえ、惣流さん。さっき話していた『お化け』について詳しく 聞きたいんだけど・」
眼鏡をかけた男の子がヒカリの斜め後ろから話しかけてきた。
開襟シャツの胸元から迷彩模様のTシャツをのぞかせていて、
胸ポケットには小型のカメラを突っ込んでいる。
「あら、相田君。どうしてここに?」
「やあ、委員長。さっきの会話聞こえちゃったんだ。ちょっと興味を引かれてね」
その声に後ろを振り返ったヒカリがクラスメートに話しかける。
にこやかに話をする相田と呼ばれた男の子に、自分の言葉を途中で邪魔されて
ご機嫌斜めのアスカが絡む。
「なんかよう? またわたしの写真とるつもりなの?」
「い、いや。違うよ!」
アスカのギロッとした一睨みを受け相田が胸の前で両手をブンブン振る。
「ホントに?」
「あ、ああ。もう撮らない!」
アスカのさらなるつっこみに今度は頭を上下に激しく振る。
一週間弱で、すっかりアスカの恐ろしさが身に染みついてしまっている。
すでに One Of アスカ’s 下僕 になっている彼である・・・・・
まあ、下僕化している生徒はすでに数えきれないが・・・・
「ふん。まあいいわ。それよりなんでアンタが『お化け』の事を知ってるのよ!」
「さっき、惣流さん達が話してるのが耳に入ったんだ」
「ふーん」
ま、しかたないわね。アレだけ騒いだんじゃ聞こえないほうがおかしいし。
でも、なんで−−−。
「でも、なんで詳しく聞きたいのよ!」
疑問をそのまま口にしたアスカに、相田が言葉を選びながら話す。
「こんな身近なところで起こった超常現象に興味があるんだ。
ぜひ写真の1枚でもとりたいね。カメラマンの血が騒ぐんだ」
「カメラマン? アンタが?」
「そうさ」
「そうね、相田君っていつもカメラ持ってるわね」
なかなか棘の抜けないアスカの言葉が作る雰囲気を和らげようと ヒカリがフォローを入れる。
そんなヒカリの気遣いも、
「出歯亀カメラをね!」アスカのきつい一言で無駄に終わる。
「な!」
一瞬気色ばんだ相田だが、多すぎる思い当たることが口をふさぐ。
ふむ、そう言えばそうだな。上手いこと言うな、彼女。
どうする? ここで引いたら珍しい写真を撮る機会を逃してしまうぞ・・
考え込む相田、
それをにらみ付けるアスカ、
戸惑うシンジ、
その場を支配する沈黙を打ち破ったのは、やはり、ヒカリであった。
「ね、ねえ、アスカ。私も早くその『お化け』の事聞きたいな・・」
「洞木さんに話したんだね、アスカ。話を続けようよ、ネ?」
シンジがヒカリの意を汲んで流れを変えるのに手を貸す。
とにかくこの空気をどうにかしなくちゃ・・・・
でもアスカ、本当に洞木さんと仲良くなったんだね。
「お化けのたぐいが苦手」なんて言う弱いところを見せれるぐらいに・・・・
「ま、いいわ。じゃあシンジ話して。そこのメガネも聞きたいんならいてもいいわよ」
「うん。でも場所変えない?」
「ここでいいわよ。早くしなさい!」
「・・・うん・・・」
アスカの宣言でようやく落ち着いた場でシンジは今朝の出来事を話し始めた。
アスカが泣いていたことは、上手くごまかしながら・・・・
「なるほど、二人ではっきり見て、聞いたわけだな・・・・・」
「うん・・あの声・・・まだ、耳に残ってるよ」
シンジの話を聞き終わって、相田が考え込む。
これは信憑性が高いな・・・・・二人同時というのが大きいぞ・・・・・・
まあ、ユーレイというのは怪しいが、なにかいるというのは確実だな・・・
・・・・とりあえず、一枚撮って・・・売れるぞ、これは!
「よし、見に行こう!」
「ええ! 危ないよ−」
「へいき、平気。ちょっと見て、写真の一枚でも撮るだけだからな」
心配顔のシンジに相田が軽く応える。
「シンジ、そんなやつの心配なんてしなくていいわよ。どうせ、写真を売って一儲け、
なんて考えてるんでしょうから。
はいはい、勝手に行ってきなさい。気を付けなくてもいいわよ」
シンジと対照的にアスカは素っ気なく相田に対する。
「で、君たちにも一緒に行って欲しいんだけど」
「な! なに言ってんのよ! 何でわたし達が・・・・関係ないでしょ!」
「場所は君たちの家の近くだろ、関係なくはないと思うけど?」
「・・・・わたしは平気よ! 別に何がいたって・・・
」
アスカの声がだんだん消え入る様子を見て、相田にひとつの考えが浮かぶ。
「怖いんだ?」
「う、ちがうわよ! 何でこのわたしが『お化け』ごときに!!」
「じゃあ、一緒に来てくれよ。助けると思ってさ」
「グッ・・・」
硬軟織り交ぜた相田の交渉術にアスカが追い込まれる。
く−−。こいつ−−。は・ら・た・つ・わ・ね−!
こんな奴にバカにされてたまるモンですか!
いいわよ、行ってやろうじゃなの!!
アスカが勢いよく立ち上がり、相田をにらみ付けて口を開く。
「いいわ、つき合ってあげる。シンジも来るのよ!」
「え? う、うん、いいよ、分かった」
アスカの瞳の奥にあるシンジにしか分からない、すがるような怯えの色。
それを見せられてはシンジにあらがう術はない。
大乗り気の一人とイヤイヤの二人の妙なトリオが結成された・・・・
そこへ−−。
「ワイも行くで」
シンジの後ろからかけられた声に皆が一斉に顔を向ける。
学校指定の制服ではなく、黒いジャージを着た男子が目に入った。
シンジが体を堅くして言葉を絞り出す。
「え? あ、トウジ君」
「なによ、あんた」
アスカがいきなり現れた態度の大きい男子に憮然と聞く。
「ワイは鈴原トウジっちゅうモンや。自分誰や?」
「驚いた! このアタシを知らない男がいたわ! まあ、いいわ。教えたげる
惣流アスカよ。いい? 『惣流さん』って呼ぶのよ」
大げさなポーズを取るアスカをしり目にトウジが話を進める。
「ワイもその『お化け』っちゅうのを見に行ったるわ。女子供だけやと危ないしな」
「心外だね。君に守って貰う必要はないぜ」
相田がトウジの言葉に気を悪くして突っかかる。
トウジの方は鼻で笑うよう見ながら言う。
「ワイは『男』で、自分らは『男の子』や。それもモヤシと守銭奴。
自分らに女は守れん!」
「はん、関西人に守銭奴よばわりされるとはな!」
「なんやと、ワイはそうゆう『先入観』ちゅうのに虫酸走るんや!」
トウジが相田の胸ぐらをつかみ、引きつけ、睨み付けながら右手を振り上げる。
その手をつかむ物が・・・
「やめなさいよ!」
「なんやと!」
ヒカリがトウジの勢いに臆することなく目を正面から捉える。
「ま、ええわ。今日のところは許したる。自分なんちゅうね?」
「・・・・・?」
急に矛を収めたのと、よく分からない物言いに戸惑うヒカリにトウジが
ヤレヤレ、という感じで口を開く。
「アナタノナマエハナンデスカ? って言うたんや」
「洞木。洞木ヒカリ・・」
「ほーか。ワレは?」
トウジは相田の方に向き直り、答えをうながす。
相田はしばらくの躊躇の後、答えた。
「相田ケンスケだ」
「僕は碇シンジ」
「あほか、ワレ。ずっと隣の席やろ、知らんわけあるかい!」
トウジが裏拳の要領で手首のスナップを効かせて手の甲でシンジの胸を打つ。
それを見たアスカが気色ばむ。
「ちょっとアンタ! シンジになにすんのよ!!」
「な、なにって、つっこみやろ・・・・」
「アスカ、違うんだよ。大阪のあいさつなんだよ−−!」
ローキックの体制に入ったアスカをシンジがあわてて押しとどめる。
「あいさつ? ふーん」
「とりあえず、明日、日曜の昼12時に僕の家に集合ってことで、ね?」
これ以上ゴタゴタが続いたら保たないよ。と、
シンジが話を強引にまとめに入った。
その言葉にトウジが疑問をぶつけた。
「昼ぅ? なんやその『お化け』ちゅうんは、昼日中からでるんか?」
「そうだよ、そうゆうモノは暗くなってから、それも深夜出るってのがお約束だろ」
トウジの言葉にケンスケがのっかる。 彼としては確実に『お化け』に出会いたい。
「いや、僕が見たときには日が昇っていたから・・・・」
シンジは二度とみたくない。
「あかん、行くからには暗い内や!」
「そうだよ。君たちが見た時間、そう、朝の7時前後。これは譲れない」
結局、トウジとケンスケの連合軍に押し切られ、明日の朝6時半に
[めぞんEVA]の中庭に集合という事で話がまとまった。
アスカはシンジ案に賛成だったがこれ以上怖がっていると思われるのは 更に我慢できないことだったので口は出さない。
「心配だから。私も行くわよ」
おもむろにヒカリが立ち上がり、口を開いた。
瞳の奥に決意と責任感が渦巻いている。
「1年B組、委員長として、クラスメートに責任があります。
やめろと行っても聞かないでしょうから、同行して注意をすることにしました。
それと朝早くに一人で歩くのは、男の子でも、好ましくありません。
ということで、あなた達二人は今夜から碇君の家で泊まって行きなさい。いいわね?」
「は、はい・・・」
ヒカリの勢いにのみこまれたトウジとケンスケが呆然とうなずく。
「では、一時解散!」
「ハイ!!」
ヒカリの号令一下、準備のためにそれぞれの家に向かう面々・・・・・
そんなぁ・・あの二人を泊めるのぉ?
洞木さん、ぼくの都合も聞いてよ・・・・。
シンジ、君には決定権はない。
皆さんこんばんは。
『めぞんEVA』第3話「ゴーストとバスターズ」前編公開です。
第2話公開から2週間弱。本当に遅くなって申し訳ありませんでした。
前作を書き上げた時点で、完成作が5本になり、少々気がぬけてしまいました。
これからはこのような事がないようにしますので、ご容赦を・・・・
その前に、待っていた人がいるんだろうか・・・・・・(汗)
さて、「ゴーストとバスターズ」ですが、
私が小学生のころ読んだ ジュブナイル小説のノリで、
3バカトリオ結成の話を書きたいと思っています。
アスカとヒカリはあっさりと親友になってもらって、
男の子3人の友情に絞って書いて行くつもりです。
後編(中編になるかも)にご期待くださいね!!
精一杯いいものを目指します。
では!! あなたのご意見待ってます!