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奇跡に価値が?(前編)
BY HIDE
「すまんな、シンジ。雨宿りさせてもろて。」トウジがタオルで頭を拭きながら礼を言う。
学校帰りに大雨に見舞われたトウジとケンスケは、シンジのマンションで雨宿りをしていた。
「ところでミサトさんは?」と、これはケンスケ。
「まだ寝てるんじゃないかな、最近徹夜の仕事とか多いみたいだから。」
「ふーん、それじゃミサトさんを起こさないように静かにしてようぜ。」声を落としてケンスケが提案するが、
「あーっ! なーんであんたたちがここにいるのよ!」
奥の部屋から顔を覗かせて叫ぶ少女。
惣流・アスカ・ラングレー。かわいい顔して根性ババ色な娘である。
「ぬわんですってぇぇぇ!」
ひぃぃ、ア、アスカちゃんスマッシュホークはやめようスマッシュホークは。ほ、ほらシンジ君が不思議そうな顔してこっちを見てるよ。
「アスカぁ、一人でなにやってるの?」
「あんたには関係ないわよ! ふん、まあいいわ。作者殺したらここで終わりだし。でも次にこんなこと書いたらこの対人スマッシュホークで三枚におろすわよ。」
こ、怖い・・・。
「どうしたの、アスカ。熱でもあるんじゃないの。」
「うっさいわね! それより何でこいつらがここにいるのよ。」
「何でって、雨宿り・・・。」
「ふん、どーだか。本当は私目当てなんじゃないの? これから着替えるんだから、見たら殺すわよ。」
「殺す」の部分だけ妙に低音だ。しかも、「ちゃーんす」な目をしている。先ほどの様子から見ても冗談ではないことが伺える。
経験則からそれを知っているシンジと、危険に敏感なケンスケに戦慄が走る。
しかし、鈍いトウジが起爆スイッチを押してしまった。
「誰が好きこのんで、そんなもん見るか!」
すべてを言い終わる前にアスカの真空飛び膝蹴りがカウンターでクリーンヒット、浮いたところで間髪入れずにコンボサマーソルトが見事に決まる。とどめとばかりに股間にサッカーボールキック。すべて無言。アスカは嗤っている。
ケンスケは、泡をふいて痙攣しているトウジの冥福を祈った。合掌。
シンジは誰にも聞こえないように「青・・・。」とつぶやいた。(何がだ)
久しぶりの殺人に満足したアスカが上機嫌で奧の部屋に消えた後、シンジとケンスケがトウジの処置に頭を悩ませていると、襖が開いてスーツ姿のミサトが現れた。
ミサト至上主義のケンスケは直立不動で挨拶をする。
「お、お邪魔してます!」
「あら、いらっしゃい。」
スーツ姿のミサトさんもいいなあ、なんて事を考えていたが、ふとその目が襟元に止まる。
あわてて、
「こ、この度は昇進おめでとうございます!」
そう、階級証が変わっているのだ。目ざとく見つけるあたり、ミリタリーおたくの面目躍如といったところだろう。
「ありがとう。」
そう答えたもののミサトはさして嬉しそうな様子も見せず、シンジとアスカにハーモニクステストに遅れないようにと念を押すと、さっさと仕事に出かけようとした。が、泡を吹いて横たわるトウジを発見し、一言、
「・・・シンジ君、腐ると困るから生ゴミは早めにだしておいてね。」
さようならトウジ、君のことは忘れない。
所変わってNERV本部の実験棟。
シンジ、アスカ、レイはハーモニクステストの真っ最中。
「どう?」
そう言って、リツコはマヤの背後からモニターをのぞきこむ。
「0番と2番は汚染区域ギリギリです。1番は・・・。」
「もう少し余裕がありそうね。もう一つレベルを上げてみて。」
マヤの言葉を遮ってリツコが言う。
「はい。」
少しずつシンジの表情が歪んでいく。アスカとレイはもう限界だ。
緊張の糸が切れる。
そして・・・、
「あーはっはっはっはっはっ! ひっひっひっ!げほっげほっ!」
「きゃはははははっ! なにこれっ! おっかしいぃぃ!」
「クスクスクス・・・、変・・・。」
実験棟に笑い声が響く。
0番と2番のプラグのモニターでは、妙なゴーグルをかけた白髪の老人(キール・ローレンツです念のため)が指パッチンをしながら、独白していた。
「昔、俺が夕焼けだった頃、妹は小焼けで、弟は霜焼けだった・・・。わっかるかなー、わっかんねーだろーなー・・・、イェーィ」
最後のイェーィはWピースである。
同じく1番のプラグではゲンドウと冬月が小話をしている映像が流れていた。
「隣の空き地に囲いができたそうだな。碇。」
「問題ない。」
「この帽子ドイツんだ?」
「今はそれでいい。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「すごいわ、シンジ君。前回のテストより8ポイントも上昇しているわ。」
リツコが感動して言う。
「この調子なら次は東京コミックショーでも大丈夫ね。」
あらぬ方角を見ながら拳を握りしめるリツコ。その手は感動に打ち震えている。
「はぁ。」
気の抜けた返事。
(一体何のためのテストなんだろう。それに東京コミックショーって一体・・・。)
「よかったじゃない。お褒めの言葉を頂いて。」とアスカ。ちょっと棘のある口調。
「うん。まぁ・・・。」
またも気の抜けた返事。
「くー、わたし先に帰るわよ! バカシンジ!」
よく分からないが怒らせてしまったようだ。
(そうよ、今日はたまたま調子が悪かっただけ。でなきゃなんでバカシンジなんかに・・・。私ならマギー司郎でも大丈夫なはずよ! でも東京コミックショーは・・・。)
「イェーイ。だめ・・・。これじゃ高島忠夫。最後の「ィ」が違う。もう一度・・・。」
レイは壁に向かって一人何かの練習をしていた。
数日後、ケンスケの発案でミサトの昇進祝いを行うことになった。メンバーは葛城一家の他、加持、リツコ、トウジ(生きていたらしい)、ケンスケ、ヒカリである。
加持とリツコはまだ来ていないが。
レイは完璧にマスターするまで他のことをする余裕がないとのことである。
アスカとヒカリは談笑している。
ケンスケは自分をアピールするのに必死である。誰も聞いていない。
トウジは無理矢理連れてこられたものの、部屋の隅で震えている。
ミサトは昇進したが給料が増えないと言って、シンジに絡んでいた。
そこに、加持とリツコが一緒に現れる。
「よう、遅くなってすまんな。偶然そこでリッちゃんと一緒になってな。」
いいわけがましい事を言って加持が入ってくる。
この時点でアスカの対人ポジトロンライフルはリツコにロックオンされていたが、それに気づいたシンジがいち早くコンセントを抜いたため惨事には至らなかった。
(ちっ、シンジの奴、よけいなことを、後でお仕置きね。)とアスカは思ったが、加持の前では口にしない。
いつの間にかポジトロンライフルもスカートの中に隠したようだ。
アスカがスカートの中からポジトロンライフルを取り出すところを目撃したヒカリは固まっている。少なくとも2時間32分は身動きがとれないに違いない。
「加持さん、おっそーい。」
鼻にかかった甘え声をあげながら加持にすがりつくアスカ。
それを見ながらシンジは、
(加持さんはアスカが常にスカートの中に対人スマッシュホークや対人ポジトロンライフルを忍ばせていることを知っているのかな?)
なんてことをぼんやりと考えていた。
アスカ恐るべし。ちなみになぜプログナイフやソニックヴレイヴじゃないのか聞いてみたところ、
「私の趣味よ! 文句ある?」との事でした。
へべれけになったミサトはリツコに絡む。
「聞いてよ、リツコ。三佐に昇進したのに給料ほとんどかわんないのよー、司令や副司令なんてなーんもしてないくせに私の何倍も給料もらっちゃってさあ。リツコ、あんた人の話聞いてる?」
「はいはい、ちゃんと聞いてるわよ。」
「なんかだんだん腹が立ってきたわね。司令なんてただ座って「問題ない。」だとか「ああ。」とか言ってるだけなのに、私よりおいしいキャラクターなのよ、あのヒゲメガネ!」
「ひ、ヒゲメガネ・・。」
なおもミサトは続ける。
「あなたに私の気持ちが分かる? 私だって最初は準主役だったのよ! それなのにあのヒゲメガネや、マヤや、果てはあの冬月副指令にまで食われる気持ちが! 私はバカボンじゃないのよ!」
なにか論点がずれているような・・・。
「シンジ君ならこの気持ち分かってくれるでしょ?」
いきなり振られたシンジだが、ためらわずに、
「僕はそれなりに人気はありますから・・・。」
ミサト、完全に沈黙・・・。
「・・・その時、わいの目の前に現れたのは小人はんでした、小人はんはわいの周りを踊りながら ぐーるぐるぐーるぐる・・・」
トウジは壁に向かってぶつぶつと意味不明の言葉を呟いていた。
鈴原トウジの明日はどっちだ!
つづく
Ver.-1.00 05/01公開
[HIDE]さんは
感想メールを待ってます!!
<あとがき>
第12話「奇跡の価値は?」のパロディです。
EVA小説巡りしてたら自分でなんか書きたくなって思わず書いちゃいました。生まれて初めての小説です。なんか、火浦功みたい(笑)。
若い世代の人には解らないネタが多いかもしれません。なんかエヴァのキャラ使って書きたいこと書いてるだけって感じもしますが・・・。
誤解の無いように言っておきますが、私はまだ23歳になったばかりですよ。
さあ、鈴原トウジに未来はあるのか?
レイは「イェーィ」をマスターできるのか?
東京コミックショーの隠された秘密とは?
シンジのレッドスネークが唸る! アスカのスマッシュホークが鮮血に染まる!
続編に乞う御期待(上の予告はデタラメです)
続編っておい!本当につづくのか?
「めぞんエヴァ」に引っ越しラッシュが押し寄せてきています(^^)/
ゴールデンウィークに入って3人目の新住人がやって来ました!
ようこそ[HIDE]さん! ようこそ「めぞんエヴァ」へ!!!
16人目の住人の初公開作は[奇跡に価値は?]です!!
指パッチンをするキール議長、
漫談をする冬月&ゲンドウ、
バカボン化していると嘆くミサト、
四次元スカートをはいているアスカ、
あのパーティに出席していなかったレイの本当のわけ、
とんでもないパロディがスパークしています!!
彼らにサンダルフォンは受け止められるのか?(^^;
不安と期待を抱いて後編を待ちましょう!
訪問者の皆さんもHIDEさんに応援と突っ込みを(笑)
ごめんなさいアスカ様・・・・・・
サンダルフォンは浅間山のヒラメでしたm(__)m
後編で叱られてしまった・・・・テヘヘ・・・なんだか嬉しいなぁ・・(^^;
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