TOP 】 / 【 めぞん 】 / [峯マサヤ]の部屋に戻る/ NEXT


煩悩の世界エヴァンゲリオン
第四話 決戦は土曜日

Aパート


○4月25日午前5時某所


外が薄明るくなる頃、

「さて、気付かれない様に出かけないとね」

小声で言う、少年。


○同日午前6時25分碇家キッチン


ぼくは、早く起きていた。

いつもだったら、土曜の朝は昼過ぎまで寝てるんだけど・・・。


そう、今日は遊園地に行くのだ。

料理が趣味のぼくには、みんなの前で発表できる貴重なチャンスなんだ。

「さて、ハンバーグっと。主賓のお願いだからね・・・」

まずは、玉ねぎの皮を剥いてっと。


そのころ、別の場所では・・・。


○同日同時刻綾波家キッチン


「シンちゃんにから揚げっと」

これって、シンちゃんに教わったのよね。

まずは、たれ作り。

醤油をベースにお酒とみりん、生姜汁、ほんのちょっとのとうばんじゃん。

「お肉を、一口大に切りまして」

「たれに漬けて、もみ込んで、10分間待ちましょう」

鼻唄まででちゃう。


○同日同時刻洞木家キッチン


「鈴原、卵焼きが好きなのよね」

あとは、おにぎりとたこさんウインナー、ウサギさんりんご。

「鈴原の好きなものって割と子供っぽいのよね」


○同日午前7時30分相田家キッチン


「みんなに軍隊食の素晴らしさを教えてやる」

不敵な笑みを浮かべるケンスケ。


○同日同時刻山岸家キッチン

「この前通販で買ったあれがいいわね」

NASA宇宙食セット(10年保証)を取り出して微笑むマユミ。


○同日同時刻鈴原家トウジとユミの部屋


ZZZ・・・・・zzz・・・・ZZZ・・・・


○同日同時刻碇家アスカの部屋


「じゃ、精一杯おしゃれしなくちゃ」

まずは、シャワーよね。


そんなこんなで準備もできた。


○同日午前7時45分碇家キッチン


「さて、お弁当もできたし、と」

アスカの好きなものでお弁当のおかずは固めてある。

あとは、手軽に食べられる。ミニおにぎりだ。

「ついでに朝食もつくろうかな?」

と、言っても弁当の残りだけど・・・。

その頃、父さんと母さんは・・・。


○同日同時刻碇家両親の寝室


ZZZ・・・・

zzz・・・・

ZZZ・・・・


父さんも母さんもまだ、寝ていた。

今の日本は、週休二日制があたりまえとなり、土日は皆休みなのだ。

父さんたちは、今日はデートだと言っていた。

多分、午後に起き出して、どっかに行くのだろう。帰りは遅いんじゃないかな。


○同日午前8時碇家キッチン


そろそろ、アスカを起こさないといけないかな?


○同日午前8時1分アスカの部屋


コンコンッ


「アスカ、起きてる?」

「あ、シンジ。今、着替えてるから後にして」

「あ、うん」

じゃ、ぼくも着替えようかな。


○同日ほとんど同時刻シンジの部屋


男の子の着替えなんて見たいはずも無いから省略。

一部の、読者さん申し訳ありません(^^;;。


○同日8時15分アスカの部屋


コンコンッ


「アスカ、そろそろ、朝食にしようよ」

「あ、シンジ入って!」

「いいの?」

「いいわよ!」

「じゃ、入るよ」


ガチャ


「どう?」

「・・・わいいね・・・」

「え?」

「かわいいねって言ったんだ」

「え、あ、ありがと」

ちょっと、赤味がさした頬のアスカはとてもかわいかった。

「なんて言うか、不思議の国のアリスみたいだね」

「あ、やっぱりわかっちゃった?」

「うん、遊園地に合わせたんでしょ」

「やっぱり遊園地にこういうのっていいと思わない?」

「ぼくも、そういうの好きだな・・・」

「そう?よかった!」

「なんとなく、懐かしい感じがするね」

「そう、やっぱりね」

「何が?」

「この服ね、ママが持ってけって言ったの」

「ふぅん」

「それでね、この服あたしが、小さい時に着てた服にそっくりなのよ。で、あたしがこっちに来る時ママが言ったの」

「なんて?」  


「アスカ、シンジ君8年ぶりだからあなたの事忘れてるかもしれないわ。そんな時のために、これ持っていきなさい。この服を見れば、シンジ君も思い出すに違いないわ」  


「ってね」

「ふーん」

「今、思えば、ママ、シンジに記憶が無い事知ってたのよ。そりゃそうよ、ママとおばさま、親友だもんね」

「・・・でも、思い出せないよ」

ぼくは、済まなそうな顔で言う。心底、済まないという気持ちで一杯なのだ。

「いいわよシンジ、思い出せなくても!これからずっと一緒なんだからね!それにね、この服、懐かしいって言ってたでしょ?」

「うん、言った」

「それなら、多分、記憶が戻りかけてるのよ」

「そうかな?」

「そうよ!」

「そうだね」

「うん!」

アスカの、明るい声にぼくの心は軽くなった。

「ありがとう」

この言葉が思わず口をついて出た。

「え?」

「あ、アスカ、ぼく」

「なに?」

アスカは頬を紅潮させ聞く。

「あの、うんと」

「うん」

アスカは急かさない様に聞いてくれている。

「あ、アスカ、日本に来てくれてありがとう。そして、ぼくの側に来てくれて、ありがとう」

ぼくは、目が熱くなるのを感じていた。

「・・・シンジ」

「ぼく、やっと記憶が取り戻せそうだよ!アスカ」

「うん」

「ぼくが、アスカの事思い出す事って、とてもいい事のような気がしてるんだ。こんな、いい幼なじみのいる記憶はとてもすばらしい物なんだと思う」

「うん」

「だからね・・・、あれ、涙出てきちゃった」

「シンジ・・・」

「アスカ、ありがとう!」

「シンジ・・・」

「・・・」

「シンジ・・・、ありがと」

アスカはそう言うと、ぼくを胸で抱きしめてくれた。

ぼくには、その抱擁がとても安心できたんだ。


○同日午前9時17分アスカの部屋


「・・・・・ジ、起きて!」

「うん?」

「シンジ、起きてって言ってるでしょ」

「あ、アスカ?って、えぇ!」

ぼくは、気が付いたと同時にびっくりしてしまった。

だってアスカの顔がとても近くにあったから。

「起きた?シンジ?」

「うん」

「シンジったら、あれから、寝ちゃうんだもん!しょうがないから、ひざまくらしてあげたのよ!」

ちょっと、アスカは不満そうな、嬉しそうな、複雑な顔をしている。

「あ、ごめん」

「いいわよ。シンジの寝顔かわいかったし!」

アスカは、頬を紅潮させて、夢見る少女の微笑みで言った。

「・・・」

ぼくの顔は真っ赤になってるだろう。

「フフフ、シンジ!」

「な、なに?」

「あたし、おなかすいちゃった」

「あ、朝食作ってあるよ」

「シンジが作ったの?」

「うん」

「たのしみね」

「下に行こうか」

「うん!」


○同日午前9時21分碇家食卓


「うわぁ、すごい」

「お弁当の、残りでごめんね」

「ううん、いいわよ。シンジが作ってくれたんだから」

「そうかい?ありがと」

アスカに誉められて嬉しかった。

「うわぁ、小さいおにぎり!」

「一口サイズに握ってみたんだ、食べやすい様に」

「おいしいぃ!これ、なにが入ってるの?」

「梅干しから、種をとった、梅肉を、御飯に混ぜただけだよ」

「シンジって色々、料理できるのねぇ」

「うん、母さんが仕事してるだろ、だからおなかが空いたときに作ってたら、レパートリーが増えちゃったんだ」

「ふーん、そう言えば、ハンバーグは?」

「ハンバーグ?」

「うん」

「ハンバーグは、お昼のお楽しみだよ」

「うん、楽しみにしてるわ」

アスカは、楽しみそうな顔をしてる。

そんな顔を見てぼくは嬉しかった。


○同日午前9時40分碇家リビング。


アスカは、朝食を終えた後、テレビを見ていた。

みんなとは、11時に駅で落ち合う事になっている。

ぼくは、朝食の後片付けをしながら、テレビに耳を傾けていた。

アスカは、朝の子供向けアニメを見ている。

「ねぇ、シンジ、こっちで一緒に見ようよ!」

「うん、ちょっと待ってて!もうすぐ終わるから」

「シンジィ」

「なに、アスカ?」

「あたし、このアニメ向こうで見た事あるよ」

「そう?この番組長いらしいからね。向こうでもやってるかもしれないね」

「向こうじゃ、このアニメ、ドイツ語でしゃべってたから、違和感あるのよね」

「そうかも知れないね。でも、ぼくは、ずっと日本語でこのアニメ見てるからよくわかんないなぁ」

「シンジも、向こうでこのアニメ見てるはずよ」

「そうなの?」

「少しは思い出せない?」

「わかんないや」

「そう・・・」

最後の声はぼくには聞こえなかった。

「さてと、後片付けも終わったし、そろそろ、出かけようか?」

「そうね、シンジ」


○同日同時刻碇家両親の寝室


「あの子達、行ったようですよ」

「そうか」

「私たちも出かけましょうか」

「そうだな」

「あの子達、きっとびっくりするでしょうね」

「そうだな」


○同日午前10時綾波家


ピン、ポーン


「はーい」

レイの声が聞こえる。


ガチャッ


今日は、いつもと違って、ドアが静かに開いた。

「おはよう、シンちゃん!」

「「おはよう、レイ」」

「アスカ、その服かわいいぃ!」

いきなり、レイの明るい声。

「そう?ありがと。あんたもかわいいわよ、レイ」

レイの格好は、セーラー服、と言っても、制服のようなやつではなく、水兵さんが着ていた方だ。だから、下は、ハーフパンツになってるし、帽子も、水兵帽だ。

レイは、普段、ボーイッシュな感じなので、とても良く似合う。

「ありがと、アスカ」

「ねぇ、その服、どこに売ってたの?」

「それはねぇ・・・」

女の子達の会話は、ぼくは興味が無いので、考え事をする事にした。

今日は、何に乗ろうかな?ジェットコースター、観覧車、パンダさん列車。


あれ、いつもだったらこの辺で出てくる人がいないな?

「ねぇ、レイ?」

「どうしたのシンちゃん?」

「カヲルさんは?」

「お兄ちゃん?なんか、朝からいないのよ」

「ふーん」

「多分、デートだと思うんだけど」

「そうなんだ・・・」

「ね、シンちゃん、そろそろ行こうよ!」

「そうだね、レイ」

ぼくがそう言うと、レイは、手を差し出す。

ぼくは、思わず、手を繋いでしまう。

「ちょっと、シンジ、レイ」

「え、何?アスカ」

「何、じゃないわよ、なんで手つないでるのよ」

「え、ああっ」

ぼくが、手を離そうとすると、レイはしっかりとぼくの手をつかんで離さなかった。

「あら、シンちゃんと、あたしは幼なじみよ。手をつないでもいいでしょ?それとも、アスカ?」

レイは、意地悪な笑みをアスカに向ける。

「何よ?」

「やきもち焼いてるわけぇ?」

「そんなわけないじゃない!」

「ホントにぃ?」

「・・・ホントよ」

「無理しないで、いいわよ」

そう言うとレイは、もう片方のぼくの手を取りアスカに握らせた。

「こうすればいいでしょ」

「よくないわよ!」

と、言いながらもアスカはぼくの手を握る力を強めた。

「・・・アスカ」

「れ、レイがつながせたんだからね!」

アスカは、真っ赤になりながら、ぼくに言った。

いいわけのつもりだったんだろうが、鈍感なぼくにもアスカの気持ちがわかり、ぼくも顔を赤くしてしまった。

そんなぼくの様子にも気付いてるんだろうけど、レイは、知らない振りをしていた。

「さ、シンちゃん、いこっ!」

「うん」

「アスカもね!」

「う、うん」

僕たちは、レイに引きずられる様にして、駅に向かった。

ぼくはこの二人の様子に、今日はどうなってしまうんだろうと、考えていた。


○同日午前10時5分綾波家近くの電信柱の陰


PPPPPPPPPP


電子音の連続音が聞こえる。

「こちら、ヒミコなのだぁ」

「ぼくだ」

「どうですかなのだぁ」

「今、3人が駅に向かった。尾行を頼む」

「りょうかいなのだぁ」

「あと、君、その声、どうにかならんのか?」

「ならないのだぁ、尾行に入るのだぁ」


プツッ


「あいつは、クビだね」

スマートな銀髪の少年は、駅とは逆の方向に向かった。


Aパート了



Bパート


Girls talk



○同日午前10時12分 駅への道のり


「ねぇ、シンジ、レイ、変なの付いてきてない?」

アスカは後ろを気にしながらそう言った。

「そうね、アスカ」

「そう?アスカ」

ぼくとレイは、別々の反応を示した。

「まったく、シンジは鈍感ねぇ」

「シンちゃんが、鈍感なのは昔からよ」

「あら、やっぱり?」

「あたしが、毎日こんなにモーション掛けてるのに、全っ然、気が付かないんだもん」

つないでる手をアスカとぼくに見せて、意地悪そうな視線をぼくに向けるレイ。

「・・・レイ」

「やっぱりねぇ」

アスカは、いかにも、納得と言った顔でレイに瞳を向ける。

「向こうでもそうだった?」

「そうねぇ、あの頃は、シンジはあたしの子分みたかったわね」

「子分?」

「そうよ、子分。シンジ、小さな頃は臆病だったから、あたしが、いつも守ってあげてたわ」

「そうなの?」

「そうよ」

「そうなのかなぁ?あたしの時は、いつも守ってくれるシンちゃんだったよ」

「うそぉ、あのシンジがぁ?」

「二人とも、いい?そういう話は本人がいない時話すもんだと思・・・」

「いいから、だまってて」

アスカに、にらまれ、黙ってしまうぼく。

「で、続きは?レイ」

「うん、あたしが小さい時に、ネコに襲われてた時・・・」

「ネコって、ネコぉ?」

「そう、ネコ。小さい時よ、おっきいネコがこの近くに住んでてね」

「ふーん」

「で、そのネコにぼうし取られちゃって、泣いてたの」

「うん」

「そしたら、シンちゃん、あたしのためにぼうし取ってきてくれたの。シンちゃん、ぼろぼろになってた」

「ネコにやられちゃったのねぇ。シンジらしいわね」

「ちょっと、情けないね」

ぼくは、ちょっと小さな声で言った。

「やっぱり、シンジはシンジね。どこでもおんなじことしてる」

「そうなの?」

レイがアスカに聞く。

「そうよ。ドイツにいた頃ねぇ・・・」

アスカは、あの話を語り始めた。(あの話ってわかるよね?)

「へぇ、そうなんだぁ。シンちゃん、かっこいい!」

「そうかな?情けない話だと思うけどな」

「ううん、かっこいいよ!・・・ねぇ、アスカ?」

「そうね」

「ねぇ、アスカ、聞いてもいい?」

「いいけど、なに?」

「ちょっと、シンちゃん!

「なに?」

「先に行っててくれる?」

「え?」

「女の子どうしの話なんだから!」

「うん、わかった」

って言っても、今まで話してたことだって本人の前で話す事かぁ?

と思いながらも声に出さず、とぼとぼ先に行くぼく。


○同日同時刻第三新東京市駅前おんなのこのかいわ


「相田君と鈴原君、遅いですね」

「相田君が迎えに行ったのよね?」

「たぶん、そうですわ」

「じゃ、鈴原の事だから、相田君が迎えに行くまで寝てるわよ」

「じゃ、遅れて来るかもしれないですね」

「そうねぇ。やっぱり、あたしが迎えに行けばよかったかなぁ?」

「ヒカリさんが迎えに行けば、鈴原君、すぐに飛び起きますものね」

「マユミィ!」

ヒカリは少し怒ったような顔。

「ごめんなさい、ヒカリさん」

「ふうっ、いいわよ。それより、マユミ」

「なんですか?」

「相田君とどうなの」

「進展なしですわ」

「そうなの?」

「こちらから、モーションかけても気付かないんですもの」


○同日同時刻駅への道のりケンスケとトウジ


「へくしっ」

「だいじょうぶか?ケンスケ」

「だれか、うわさしてるのかな」


○同日同時刻第三新東京市駅前おんなのこのかいわ


「それより、ヒカリさんはどうなの?」

「こっちもそうよ」

「そうなんですか?」

「鈴原も鈍感なのよ。人を何だと思ってるのかしら、弁当作りのうまい女の子とでも思ってるのかしらねぇ」

ちょっと悲しそうな顔をするヒカリ。


○同日同時刻駅への道のりケンスケとトウジ


「ぶぇくしょい」

「なんだ、トウジ、風邪かぁ?」

「なんでもない、大丈夫や」


○同日同時刻第三新東京市駅前おんなのこのかいわ


「お互い苦労しますね」

「そうね。でも・・・」

「え?」

「今日はチャンスよね」

「そうですね」

「お互いがんばりましょうね」

「はい!」

ヒカリとマユミは、微笑みあう。

「あ、来たみたい」

「ほんとですね」

遠くに、トウジとケンスケが見えてきた。

「「おーい」」

トウジとケンスケも気付いたようで、大声でこちらを呼ぶ。

「まったく、あの二人は、子供みたいね」

「しょうがないですねぇ」

「まぁ、いいわ。今日は、子供のお守りに励みますか!」

「そうですね!」

そうして、顔を見合わせて、にっこり笑う二人。


○同日午前10時20分おんなのこのかいわ2


そんな事が駅前で話されてる頃。

「ねぇ、アスカ?シンちゃんの事、好き?」

「何よ、やぶからぼうに?」

「ねぇ、どうなの?」

「好きよ」

ぶっきらぼうに言うあたし。

「やっぱり?ねぇ、シンちゃんの事、好きになったのって、さっきの話が理由?」

「そうね。でもそれだけじゃないわ」

「じゃあ、他には?」

「そうね、あの子、情けないとこあるでしょう?だから、守ってあげたくなるの。母性本能かな?」

ちょっと、今日は口が軽いかな?

「ふーん。あたしが知ってるシンちゃんは違うなぁ」

どう違うのかな?と思ったけど、続きを聞く。

「さっきの話みたいに、助けてくれるの?」

「そう!シンちゃんって、いつもそばにいるお兄ちゃんみたい。ウチのお兄ちゃんより、頼りになるよ」

ふーん。

「なんか、シンジに対する、印象が大分違うわね」

「そうね」

あたしは、ここで核心を突いてみることにした。

「あなたはどうなのよ?」

「なに?」

「好きかどうかよ!」

「あたしも、シンちゃん好き!」

明るく言うレイ。

「ってことは、あたし達はライバルね?」

「そうね!」

「ねぇ、他にライバルっているの?」

「うんとねぇ、たくさん!」

「たくさんって、どれくらい?」

「同級生にも、3年の先輩にも1年にも、シンちゃん狙ってる娘いるの。多分、30人くらい」

「30人?シンジってモテるのねぇ」

「シンちゃん、モテるんだよぉ!でもね、安心して!」

「何が?」

「シンちゃんって、鈍感なの。だから、気が付かないのよ」

「ふーん、シンジらしいわねぇ」

「あっ、みんながいる」

「ほんとね」

「ね、アスカ、今日ってチャンスだと思わない?」

「シンジを落とす?」

「そう!負けないからね」

「それは、あたしのセリフよ!」

真剣な眼差しの、レイとアスカ。

でも、ちょっと楽しそうだ。


○同日同時刻遊園地、別のおんなのこのかいわ3?


「ねぇ、リツコ」

「なに?ミサト」

「なんで、こんなことしなくちゃいけないのよ」

「しょうがないわよ、冬月校長のお願いじゃあね」

「冬月校長も、迷惑よねぇ」

「済まないね、君たち。私の趣味に付き合わせてしまって」

「い、いえ、そんなことないです、あはは。はぁっ」

「ま、今日は頼むよ」

「「はいっ」」

去っていく冬月校長。

「聞いてたわね?やっぱし」

「まったく、ミサトはまわり見てないんだから・・・」

「うぅぅっ、げろまずぅ」

「しょうがないわ、今日は精一杯やって、冬月校長にいいとこみせましょ」

「そっねっ。とほほぉ」

「おやおや、お嬢さん達、どうしたんだい?」

「ちょっちね」

「そうかい?ほいっ、冬月校長から差し入れだ」

「ありがと」

「ありがと、加持君」

「加持も、手伝い?」

「そうさ、俺は、出るぜ」

「そう、がんばってね、加持」

「おお、じゃあな」

去っていく加持。

「しかし、何が悲しゅうて、休みに・・・」

「ミサト、あんまりボヤいてると、冬月校長がまた来るわよ」

「うへぇい」

おんなのこのかいわ、じゃない事は確かのようだ。


○同日午前10時40分第三新東京市駅前


「おお、きたきた。あれ?」

「なんや、シンジ、一人やで」

「あら、そうね」

「どうしたんでしょうか?」

どうしたんだろ、みんな、怪訝そうな顔してるなあ。

「おはよう」

「「「「おはよう」」」」

「どうしたんや」

「何が?」

「一人やないか」

「ああ、なんか、女の子同志の会話があるから、先行けって」

「そうか・・・、ヤバイかな?」

ケンスケが怪訝そうな声で言う。

「ヤバイって何が?」

「いや、ケンカしてるかもと思ってさ」

「何で?」

「お前も、つくづく、お子様なやつ」

「そうやな」

「だから、なんでだよ!」

「あの二人が、お前に気があるの位は気付いてるだろ」

「うん・・・、まぁ」

「だからさ、お前のことで、ケンカになっていないかなと思ってさ」

「それは、ないわよ相田君」

ケンスケの発言に否定する洞木さん。

「なんでさ」

「だって、レイは、割とのほほんとしてるようで、人を見てるのよ。付きあい方をわきまえてるって言うのかしらね」

「そうなの?」

「そうよ、碇君。それにね、鈴原、相田君?」

「なんや」

「なんだい」

「あんたたちも、碇君の事鈍感なんて、他人の事いえないわよ」

「どういう意味や」

「あんたたちも鈍感だってこと。ねぇ、マユミ」

「そうね、ひかりさん」

「なんでや」

「そうだ、なんでだよ、いいんちょ」

「ふぅっ、そんなこともわかんないから、鈍感って言ってるのよ」

洞木さんは、たしなめるように言う。

「そうよ、二人とも」

こちらはにこやかに言う山岸さん。

山岸さんと洞木さんは、瞳をあわせ、

「「ねーっ」」

と、言う。

「ううぅ、なんや、二人して」

「どうしたんだぁ?」

「「ふふふ」」

にこやかに

笑う女の子二人に、戸惑う、ケンスケと、トウジ。


そんな、みんなの様子を見ながら、ぼくは、顔がほころぶのを感じつ つ、

「今日は、何かいいことあるかな」

少し期待をしていた。


Bパート 了


第四話 了  


次回に続くかも?

ver.-1.00  1997-06/23   公開

ご意見・感想・誤字情報などは masaya@mars.interq.or.jpまで送ってね!


どもお久しぶりの峯マサヤです。さて、第四話いかがだったでしょうか。
セリフが多いですねぇ。
30分番組ではできないですねぇ。
その割に、ストーリーが進みませんねぇ。
これは作者の実力不足ですねぇ(;;)
さて、今度こそ、遊園地に着きたい、第伍話予告です。

1話使って、まだ、Nervランドにつかへんのかいな。
そんな事言ってもトウジ、作者さんも大変らしいよ。
なぁにが大変よ!チャットにうつつを抜かして更新してなかったらしいわよ。
惣流、それは、ほんまか?
うそじゃないですよ。わたしがチャット覗いてたんですから。
マユミちゃん、最近チャットに来ないと思ってたら、めぞんのチャット覗いてたのか!
そうですよ。めぞんのチャット、おもしろいんですよ、濃い人ばっかりで。
そうか、じゃ、俺も覗きに行ってみるか。
って、みんな、予告になってないよ・・・。
いいのよ、あたし達が楽しければ。
とほほ・・・。

次回「煩悩の世界エヴァンゲリオン」
第伍話「鏡の国のアスカ」

ねぇお兄ちゃん、なに、こそこそやってるの?
ふふふ・・・。
お兄ちゃん、そうやって誤魔化すのやめて!


 峯さんの『煩悩の世界エヴァンゲリオン』第4話、A・Bパートまとめての公開です!  

 ワクワクのトリプルデートを前にしたメンバーたちの朝、朝、朝。

 一生懸命料理する者。
 ずれた気合いを入れまくるの者。
 のほほん。
 グーグー。

 アスカとシンジはラブラブやっちゃてますね(^^)
 そして、レイとシンジも(^^;

 アスカとレイの想い出の中のシンジ。
 その記憶がないシンジ。
 彼女たちは・・・?
 

 次回、いよいよデート本番!
 鈍感か男の子たちに女の子の思いは届くのでしょうか?!
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 峯さんに貴方の感想を届けて下さいね!


TOP 】 / 【 めぞん 】 / [峰マサヤ]の部屋に戻る