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煩悩の世界エヴァンゲリオン
第伍話 鏡の国のアスカ

Aパート

○ペンペン号の車中。

ぼくらは、遊園地への送迎バス『ペンペン号』に乗り込んでいた。
『ペンペン号』とは、何か?説明せねばならないだろう。
『ペンペン号』それは、Nervランド(株)所有の送迎バスである。
外見は、黄色いボンネットバスである。
ボンネットバスを知らない人はおじーちゃんやおばーちゃんに聞いてね(^^)
側面には、ペンペンのイラストと、真戦隊エヴァンゲリオンのイラストである。

ペンペンとは、Nervランドのマスコットである。
モデルは、イワトビペンギンで、胸には、PEN2とマークされた、米軍認識タグのペンダントと背中には、迷彩のリュックサックを背負っている。
そして手にはM16を持ち、所構わず乱射する、めーわくな奴である。
が、そんなところもかわいいと人気の彼だ。<そう、彼は、男の子なのである。

そして、真戦隊エヴァンゲリオンである。
これは、日曜の朝にやっている、おこさまに人気の戦隊物と呼ばれる類の特撮番組である。
今までの戦隊物がそーであるよーに、このエヴァンゲリオンも遊園地のアトラクションの一つとして、ショーを行っていた。
そのショーは、マニアも唸る様なマニアックさで、子供、大人問わずに大人気だった。
それもそのはずである。
Nervランドの特撮ショーには、ハリウッドや、香港(現中国香港自治区)のスタントマンを雇っているのである。
TVを上回ると言う『噂もそのはず』である。
それというのも、Nervランドの社長が特撮マニアだからなのだが。

というような、恥ずかしい塗装のバスに乗っているのだが、『ただ』には、敵わない僕たち。
だって、中学生だもの。
そんなことを、ボーッと外を見ながら考えているとケンスケが話し掛けてきた。

「なぁ、シンジ、戦隊ショー見るんだろ?」

ケンスケがそう話し掛けてくるのは、見たいからだろうね。

「そうだね…、どうせ、みんなで見るんだし主賓の意見を聞いてみようか?ね、アスカ」

アスカは、洞木さんや山岸さん、レイと楽しいおしゃべりをしていたのだが、ぼくの呼びかけに、少々嫌そうにだが応えてくれた。

「なに、シンジ?」

「ああ、ケンスケが、戦隊ショー見ないかって言ってるんだけど…」

「戦隊ショー?特撮ヒーロー物の?」

「うん、そうだよ」

「見るわ!あたし、そーゆーの大好きなの!!」

アスカは、今日の空の様に澄んだ蒼い瞳を輝かせた。

「へぇ、意外だねぇ」

「なにが?」

いかにも『なにが?』といった感じのアスカ。

「アスカが戦隊ショー見たがるなんて思わなかったから」

「シンジ、やっぱり忘れちゃったのね。あたしが戦隊物好きになったのは、シンジの影響なのよ」

ちょっと、さみしそうに目を伏せるアスカ。

「え?」

「あの頃のシンジね、日曜の朝になると、ウチに遊びに来て、真っ先に戦隊物にTVを合わせてたのよ」

あの頃…、ああ、ドイツにいた頃のことだね。

「そんなことがあったんだ…」

「だから、虫も殺せないような『やさしい』性格だったのに、あの写真みたいに、荒っぽい性格になっちゃったのよね」

クスクスという笑いを押し殺したような声。

「うっさいわねぇ!!」

アスカは、『心外だ!』といった表情でケンスケ、トウジを睨む。

「あの写真…あの写真か!!」

ぼくは、アスカが日本に、ぼくのウチに来た日、見せてくれた写真を思い出していた。

「きっと、アンタ色に染まっちゃったのよね」

「アスカ、大胆…」

「アスカさん、スゴ」

「アスカ…いいな」

アスカの発言は、洞木さんと山岸さんを驚かしたが、レイには、ただ、とてもうらやましかった様だ。

そんな言葉にぼくは、思わず、

「アスカ、戦隊ショー行って見ようか?」

と、聞いてしまっていた。

「一緒に行ってくれるの?」

「もちろん、そのつもりさ」

「ありがと、シンジ」

嬉しそうに微笑むアスカ。

でも。

「みんなも行くだろ?」

ぼくは、そう、何気なくそう言ってしまった。

「もちろんさ、な、トウジ」

「ああ、わいは、いいで」

「シンちゃん、あたしも!」

「あたし達も行こっか?マユミ」

「そうですね。ヒカリさん」

「そ…そうね、みんなで行きましょ」

微笑んでいるが、ちょっと声がさみしそうなアスカ。

「アスカ…?」

アスカの様子がさみしそうなのでぼくは心配になってしまった。

「な、なんでもないわよ!」

ちょっとおこった風なアスカ。

「そうかい?」

アスカがそう言うので、ぼくは、もうそれ以上聞くのをやめた。





でも…、

「なんでもないわけないじゃない…」

アスカは、誰にも聞こえない様に呟くのだった。

○Nervランドの入場門まで…

ペンペン号がNervランドのバスロータリーに着いたので、ぼくらは、降りた。
ここからは、100m位歩くと、Nervランドの入場門に着く。

「あと、どこに行きたい?アスカ?」

「そうね…、おすすめはどこ?」

「えっとねぇ、ジェットコースターでしょ、ミラーハウスでしょ…」

「観覧車、コーヒーカップ」

「メリーゴーランドもいいですよ」

女性陣は、楽しそうにこれから乗るNervランドのアトラクションの相談をしている。



それに対して、ぼくらは。

「ジェットコースターもええが、わいの楽しみは、昼飯や!」

「そうだな、いいんちょが作るお弁当だもんな、トウジは、楽しみだよな」

「そりゃ、どーゆー意味やケンスケェ!」

どすの効いた声で睨むトウジ。

「いや、特に意味はないよ」

と言ってるが、意地悪そうな笑みで、トウジを見る。

「なら、ええわ」

ケンスケの笑みに恥ずかしくなったのか、そう言って目をそらすトウジ。

「プッ」

ぼくは、二人のやりとりに思わず吹き出してしまった。

「けど、シンジ、お前も笑ってていいのか?」

「何が?」

「鈍感だなぁ…」

「だから、何だよ!!」

「ま、そう大きな声を出すな。……惣流のことだよ」

「え?アスカ!」

いきなり呼ばれて、アスカは、ちょっとビクッとしたが、

「なぁに、シンジ?」

と笑みを浮かべつつこっちを向いた。

「あ、ごめん、こっちの話なんだ」

と、ケンスケが、フォローした。

「そうなの?ま、いいわ」

アスカは、疑問を顔に張り付かせたまま、女の子たちのおしゃべりに戻っていった。

「だから、大きな声出すなって…。聞こえるだろ?」

ケンスケは、声を殺しつつ、女性陣を気にしたように、チラチラ見ながら、言った。

「あ、うん…」

「…多分、惣流は、ふたりだけで、戦隊ショー見たかったんだよ」

「え?」

「おこさまだねぇ、シンジは」

「そーいう言い方やめてよ!!」

「だから、大きい声出すなって。何度言わせりゃわかるんだ」

血管をこめかみに浮かべながらケンスケは、声を殺す。

「あ、ごめん」

「だからさ、惣流は、シンジと二人っきりになりたかったんだよ」

「あ!」

「やっと、わかったか?いくらシンジが鈍感でも、惣流がお前に気があるのくらいは気づいてるだろ?」

「うん…」

たしかに、ぼくが、いくら鈍感でもそれくらいは、わかる。

「お前は、どうなんだ?」

「どうって…ねぇ」

「綾波のことか?」

「…うん、まぁ」

そう、ぼくは、レイを気にしてる。

「まぁ、綾波とも付き合いは長いからな…悩むのはわかる」

「…」

「けどな、どっちかに決めた方がいいぞ。お互いに不幸になる」

「そんな事言ったって…」

レイとは、幼なじみだし、アスカは、ドイツにいた頃の幼なじみだし。

「ま、惣流がこっちに来て、まだ3日目だしな。そんなに焦って決めることでもないだろ」

そう、アスカが来て3日目だけど、とても気になる娘になっている。
レイと同じ位に。

「そうだよね」

「ああ、そうさ。でも、さしあたって今日は、どうするんだ?」

「そうだね…どうしようか?」

「かーっ、煮え切らないと言うか、なんと言うか…よし、協力してやる!!」

「どうするの?ケンスケ」

「まぁ、まかせときな、シンジ」

「まかせるって?」

「マユミちゃんにも協力してもらうさ」

「そんな、秘密にしてくれないの?」

「秘密にしたって無駄だよ。みんな知ってるんだぜ。知らないのは当人ばかりなりってやつさ、なぁ、トウジ」

「そやで」

ずっと、沈黙を守っていたトウジも、知っていたのだ。
とたんに、顔が赤くなるぼく。

「シンジ、顔がトマトみたいやで」

「からかわないでよ、トウジ」

「ま、いいんちょにも頼んでやるで、安心せいや」

「全然、安心できない…」

ぼくの心には、不安が広がるのだった。

Aパート了  

次回に続くかも?

ver.-1.00  1997-   公開

ご意見・感想・誤字情報などは masaya@mars.interq.or.jpまで送ってね!


ども、峯マサヤでし。
さて、お久しぶりの「ぼのEVA」いかがだったでしょうか?
もう、ストーリーを忘れている人がほとんどでしょうか?
ひとつ、言い訳。
この作品、中身がない割合に、作者の精神を疲労させるんですよ。
その反対に、「機動妖精」は、心のままに書けるので楽なんですが。
それでは、また。

 峯マサヤさんの『煩悩の世界エヴァンゲリオン』第五話Aパート、公開です。
 

 「ストーリを忘れている?」

 ・・・そ、そ、そ、そ、そんな訳ないじゃないですかぁ(^^;
 お、お、お、お、大家ですよ、私は!(^^;;;
 全部の作品のあらすじ・設定は、か・か・か・か・完璧に覚えているに決まっているじゃないですかぁ(^^;;;;;
 

 EVAのだけでなくオリジナルも含めての
 全てのキャラの設定・人間関係、

 作者さんの
 入居日・年齢・誕生日・職業は言うに及ばず
 得意科目・苦手な食べ物・好きな異性のタイプ・トイレの時間、おかず・・・
 

 すみません、嘘付いていましたm(__)m
 

 「ドイツにいた子供時代の記憶を失っているシンジ。
  日本に帰ってきてからの幼なじみレイ。
  学園生活。
  そこにやってきたドイツ時代の幼なじみアスカ」

 でしょ(^^)
 

 今回は・・・遊園地のグループデート!
   ちょっと前回を読み直しました(^^;
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 痛いところを突いてきた(爆)峯マサヤさんに感想メールを送りましょう!


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