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UNNERV/2204/0507/




















以下の情報は情報閲覧資格α(+Ω)以上の者に限り閲覧を許される。























サードチルドレン監督日誌
Vol.6
















今回の報告書は某所より閲覧要請のあった物である。



監督者である葛城三佐がダウンし、当事者の報告では意味がないため第三者に報告書の作成を依頼した。



しかし、葛城三佐の人選に難があった事は認めざるを得ない。


次回からはこの点に関しても慎重を期す。


ちなみに、今回の閲覧資格は通常よりも厳しくなっている。


各自留意願う。




























2015年、×月○日、第三新東京市、


コンフォートマンション17、葛城家

AM07:30






















朝。

現在時0730。

モニター越しに見える碇君の寝顔。

かわいい。

ずっと見ていたい。

でも邪魔者が現れる。

来た・・・・

赤毛猿・・・・

私の碇君にベタベタと・・・・

コロス・・・・







「シンジ、おっはよ♪」

就寝中のシンジを起こすべく、気合を入れて部屋に入るアスカ。

「むにゃ・・・」

「しぶといわね・・・・」

いつもならシンジがアスカを起こすのだが、たまには彼だって寝坊することもある。

アスカが腰に手を当ててしばし考える。

「!」

どうやら何か思いついたらしい。

ニンマリと笑っている。

彼女はしゃがみ込んでシンジの頭を抱えると、顔を自分の胸に押しつける。








30秒経過・・・・・








「ぶはあああぁぁ!」

顔を真っ赤にして飛び起きるシンジ。

「おっはよ♪」

笑いをかみ殺しながらシンジの顔を覗き込む。

「???」

寝ぼけているシンジは何がなんだかわかっていないようだ。

が、アスカを見つけると目が覚めたらしく。

「あ、アスカ・・・・おはよ」

眠そうに目をこすりながら答える。

それを見たアスカは。


んー!いつものクールなシンジもカッコイイけど・・・こんなシンジも可愛くていいわぁー!!


などとのん気なことを考えていた。

「さ、早くしないと遅刻よ!」

「ええ!もうそんな時間!?」

慌てたシンジはベッドから跳ね起きる。

そのままクローゼットを開き、パジャマの上着を脱いで着替えを取り出そうとするが・・・


ちょんちょん


肩をつつかれる。

「なに、アスカ?」

「ひとつ忘れてるわよ」

「??」

「・・・・ほんっとに・・・忘れっぽいわねぇ・・・」

そう呟くとアスカは、シンジの肩を掴んで脚を払い、すてんと床に転がしてしまう。

「うわっ!・・・な、何するんだよアス・・・・んっ・・・・・」

恒例の”口唇による一時的接触”。

しかし、今回はいつもと少し違った。

艶っぽい瞳を向けたアスカが、段々と舌を首から下へ持っていったからだ。

「あっ!・・・だめだよアスカ・・・んあっ!」

可愛らしいシンジの声を耳にして、ますますファイトが沸くアスカであった。






・・・・・・・・・・・詳細自粛・・・・・・・・・・・・・









葛城家の朝は、こんな風に始まる・・・・こともある。
















コロス・・・

絶対にコロス・・・

赤毛猿・・・生かしておかない・・・








































2015年、○月△日、第三新東京市、


市立第壱中学校、理科実験室

AM10:30











現在時1030。

理科の授業。

クラスで仲の良いもの同士で班を作る。

碇君・・・

なぜ私と班を組んでくれないの?

本当なら私がいるべきところには憎き赤毛猿・・・

コロス・・・

碇君・・・赤毛猿がいなくなっても、悲しまないでいいのよ。

貴方には私がいるんですから・・・・クスクス・・・












理科実験室での授業。

クラスの全員がビーカーやフラスコなどと格闘しながら、教師の言う通りの作業を進めている。

「シンジぃ、ここはこうした方がいいわよ」

「ええ?手順を飛ばすの?」

そうでもない連中もいるらしい。

「そ。この作業は薬品を安定させる為だから無くてもいいのよ」

物事の本質は掴んでいるようだが・・・・どこか抜けている。

「そっか。じゃあそれをそっちの試験管に入れればいいんだね」

「そ、いくわよぉ」

そういってアスカが試験管に入った液体に、フラスコに入った液体を混ぜたのだが。




ボン!



鈍い音がして試験管が粉々に砕け散った。

あっちゃぁ・・・やっちゃったか・・・

思わず目を瞑ったアスカはそう考えた。

うーん・・・薬品がここまで不安定だとは思わなかったわ・・・不覚ね。

そんなことを考えながらふと気付いた。

自分のほうにガラスの破片が飛んできてもよさそうなのに、痛むところはどこにもない。

そして、おそるおそる目を開ける。

「!」

そこには、試験管のすぐ側で広げ、アスカへ飛んでくるはずだった破片をすべて受け止めたシンジの手があった。

当然の結果として、彼の手からは血が滴り落ちている。

「イタタタ・・・・失敗しちゃったね、アスカ」


こんなことはなんでもないよ。


シンジは表情でそういっているが、アスカは顔面蒼白になる。

「せ、せ、先生!ほ、ほ、保健室に行ってきます!!」

あまりのことに舌が回らないアスカ。

教師の承諾を確認しないまま、無事な方の手を引っ張ってシンジを強引に実験室から連れ出す。

内心は悔悟でいっぱいだった。


手順を飛ばすなんてアタシが言わなければ・・・

シンジを傷つける事も無かった・・・


アスカの心の内はそんな状態だったから、シンジがいくら話しかけても返事が返ってこなかった。
































2015年、○月△日、第三新東京市、


市立第壱中学校、保健室

AM11:00


















現在時1100。

赤毛猿が私の碇君を傷つけた。

下等生物は傷つけることしか知らないのね・・・・クスクス

ああ・・・可哀相な碇君・・・

私が優しく癒してあげる・・・












そして保健室。

「先生!怪我人です!」

中に入った二人だが、中に養護教諭はいない。

「先生!?」

地団駄を踏むアスカ。

必要なものは必要な時に手に入らない。

鉄則とも言える。

「アスカ、そんなに慌てなくても大丈夫だよ」

やんわりとアスカを落ち着けようとするシンジ。

「しょ、消毒液ってどこにあるのよ!?」

あまり聞いてないらしい。

アスカが棚や救急箱、机の引出しをかき回している。

「はぁー・・・」

ため息が出てくるシンジ。

ふと自分の右手を見てみる。

いくつかのガラスの破片が刺さっているが、それほど大した傷ではないように見える。

「シ、シンジ!手を出して!」

「ちょっと待って。消毒の前にガラスを抜くから」

そう言ってシンジは自分でガラスの破片を取り除く。

大きい破片が2個。

小さい破片が5個。

手からはまだ血が出てきている。

アスカは血液が足のほうに降りていくのがわかった。

ア、アタシ・・・なんてひどいことをしたんだろう・・・シンジの手、血まみれだよ・・・

他に誰もいないということもあって、アスカの抑え込んでいたものが溢れ出した。

「アスカ?どうしたの!?・・・・どこかにガラスが当たった!?」

この後に及んでもアスカの心配をまず先にするシンジ。

それはそれで大変嬉しいのだが、またシンジに心配をかけてしまったと思い、また涙が溢れ出す。

「シンジ・・・・ごめんなさい・・・・ア、アタシが余計なこと言わなければ・・・・」

時折しゃくりあげながら、ほとんど泣きべそ状態で謝罪するアスカ。

ちょっとビックリするシンジ。

「ア,アスカ・・・これは僕が悪いんだから・・・アスカが気に病む必要は無いんだよ」

アスカはそれに対してブンブンと勢い良く首を横に振ることで答える。

「なら、どうしてシンジの手がアタシの顔と試験管の間にあったの?」

「え、それは・・・」

「わかってる・・・アタシのこと、かばってくれたんだよね」

そんなことを話している間に手に消毒液をぶっかけ、ガーゼを当てて包帯で手際良く巻いてしまう。

「でも約束して・・・・自分を傷つけてまで、アタシを守らないで」

真摯な瞳と共にアスカがいう。

「お断りだよ」

ニコニコと笑いながらきっぱりと言うシンジ。

「え?」

「アスカの顔に傷がつくぐらいだったら、僕の手に小さい傷がついてもなんとも思わないからね」

また、アスカの涙腺が緩むようなことを平然と言ってしまうシンジ。

ま、これは嬉しさ余りの涙だが。

「!!」

保健室のベッドに腰掛けていたシンジにアスカが飛びつく。

踏ん張りのきかないところで支えられる筈も無く、そのまま後ろに倒れこむ。

つまり、ベッドに倒れこんでしまう。

涙をボロボロ流しながらしがみついてくるアスカを見て、


いつもの凛々しいアスカも綺麗だけど、こんなアスカも可愛いなぁ・・・


などと思い、アスカの腰を抱えてゴロンと転がり、組み敷くような格好になる。

そして、有無を言わさずキス。

どうやら、今度はシンジの方がファイトを沸かせてしまったらしい。











・・・・・・・・・・・・・・詳細自粛・・・・・・・・・・・・・・
















碇君・・・・・・(←血の涙を流しています)






























2015年、○月△日、第三新東京市、


コンフォートマンション17、葛城家

PM08:00
















現在時2000。

赤毛猿が料理を作ってる・・・・

料理ではなく、廃棄物ね・・・クスクス

碇君、あんなものを食べさせられて・・・可哀相















「シンジー、ご飯よぉー」

エプロンをつけたアスカが、キッチンから声を上げてシンジを呼ぶ。

アスカの料理の腕も近頃めきめきと上がっているので、1日ごとの交代で食事を作っている二人だった。

「うわ、おいしそうだね!」

食卓をのぞいたシンジがさりげなく・・・ないかもしれないが、誉める。

「食べてから言ってよね!」

まんざらでもなさそうなアスカ。

二人は椅子に座る(当然のごとく、隣り合うようにして)り、

「「いただきます」」

と言ってから食べ始める。

夕食は、アスカが作ったものらしく、シンプルではあるがボリューム溢れるものだった。

メインディッシュは肉汁がにじみ出ているステーキ。

シンジの好みなのか、ステーキには大根おろしが添えられている。

サラダは生野菜に自家製ドレッシングを加えたもの。

トマトがふんだんに使われているのもシンジの好みか。

こうくればスープはコンソメ・・・と来そうなものだが、なぜか味噌汁。

しかもなめこ汁である。

これも好み?

そして最後に白米。

ステーキも箸で食べようとする日本人らしい   アスカは違うが   ラインナップといえる。

「うわ・・・このステーキ、柔らかくておいしいよ!」

「んふー・・・でしょ?」

満面に笑みを湛えて答えるアスカ。

「なにか秘訣があるんでしょ?」

「あるけど・・・シンジには教えられないわね!」

顎をツンと前に出していうアスカ。

「えー?なんで?」

「シンジはこれ以上お料理は上手くならなくていいの!」

「どうして!?」

多少の驚きと共に重ねて尋ねるシンジ。

「いずれ食事はアタシが全部作るんですからね!当たり前でしょ!」

「えぇー・・・僕も作るよぉ」

「だーめ!シンジはアタシの料理をずーっと食べてればいいの!・・・ずーっと、ずーっと、ずーっとね!!」

鈍チンのシンジでも、アスカの言わんとしていることはわかった。

つまり彼女は一生添い遂げる、と遠まわしに言っているのだ。

シンジは、胸の奥から愛おしさがあふれ出てくるのがわかった。

とりあえず、衝動的にアスカを抱きしめる。

「きゃっ!」

可愛らしい悲鳴を上げながらもシンジの抱擁を受け止める。

「アスカ・・・・僕も”ずーっと”アスカの料理を食べるからね!」

「シンジィ・・・・」

潤んだ瞳をシンジに向ける。

もう、こうなったらお互い言葉は要らない。

この日、何十回目になるのか本人達にもわからないキス。

はじめは啄ばむような軽いものから、徐々に粘度の高く、深いものに。

そうしているうちに二人の感情は高ぶっていくのだ。

そしてシンジは手探りでテーブルの上においてあった多機能リモコン(TVのチャンネルは言うに及ばず、湯沸しから施錠、点消灯に至るあらゆることが出来る)を掴むと、室内の照明をすべて落とす。




そして・・・・・・・・・















詳細自粛・・・・・・・自粛といったら自粛!!













葛城家(とはもはや言えないかもしれないが)の1日はこんな風に過ぎる・・・こともある。


















監督者のコメント


結論から述べると、今すぐに碇君と赤毛猿を遠ざけるべきと判断する。



碇君は赤毛猿から悪い影響を受けている。



早急にそれを実現しない場合、状況は悪化する一方と考えられる。



無論、代替案も考慮している。



最良の解決策は、私・・・監督者が碇君と同居して直接監督するのである。



そして、赤毛猿には碇君の半径10000キロ以内に近づくことを禁止すれば良い。



一刻も早いこの案に対する承認を欲する。







監督代行者

ファーストチルドレン

綾波レイ





























E計画担当博士のコメント



『ミサト・・・・アンタバカ!?』













作戦部長のコメント



『そうね・・・今回は私がバカだったわ・・・レイに頼むなんてどうかしてたのよ』











オペレーターM,Iのコメント



『・・・・・・・・・・・・フケツ・・・・・・・・・・・・』
(意味不明)
















ネルフ総司令のコメント



『レイ・・・・』
(↑いつものポーズで号泣してます↑)
















『以上は報告書作成日に作られたものである』



『コメントも同日添付された』



『精神的疲労を重ねていたとは言え、ファーストチルドレンに職務を代行させたのは誤りであった』



『誤りを認め、ここに謝罪したい』



『そして、報告書の内容であるが・・・・』



『本職がファーストチルドレンから報告書を受け取った際、既に”自粛”という文字と共にかなりの文章が削られていた』



『ファーストに事情聴取したところ、彼女には覚えが無いという』



『このことは、NERV最高機密文書ともいえる本報告書が何者かの手によって改竄されていることを示している』



『諜報部に追跡調査を依頼したが、敵は巧妙な偽装工作を施しており、尻尾を掴ませない』



『だが、私以下NERVのおもだった人間は報告書の削られた部分を読まなければならない義務がある』



『諜報部による真相究明を待ちたいが、それもままならない』



『事は急を要する』



『作戦部と技術部で対策班を設置し、添削以前の文章を復元するべく鋭意作業中である』



『成功の報せが届くと信じている』




作戦部長   葛城ミサト三佐
















E計画担当博士から作戦部長への書簡




『ミサト・・・・復元、成功したらしいわよ(ニヤリ)』























以上の情報は情報閲覧資格α(+Ω)以上の者に限り閲覧を許される











UNNERV/2100/0508/



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1999_08/04公開
御意見・御感想・ご質問・誤字情報・「ワケわかんねえぞ!」(笑)などはこちらまで!


あとがき


どーも、P−31です。

「サードチルドレン監督日誌 Vol,6」をお届けします。

さて、本年最初の「監督日誌」です。

随分と間があいてしまいましたが(笑)

お待ち頂いた方々には申し訳ありませんでした。

ま、これはわたし的には”不定期連載”なので(笑)

・・・・そういえば、もう一つの連載も”不定期”か(爆)

さて、NERV上層部を引っ掻き回した、ミサトが言うところの”何者か”。

さて誰でしょう?(笑)

某潜水艦の艦長という噂もチラホラ・・・(内輪ネタっす)

ただ・・・

最後にリツコさんが言っているように、復元されたようです(笑)

どこにあるのか?

さあ、それは皆さんで探してみましょう(爆)

さすがにめぞんには送れないシロモノですから(笑)


良い子の皆さんは探さないでいいですからね(笑)






 P−31さんの『サードチルドレン監督日誌』Vol.6、公開です。



* 探せっ * * 探すのだ! * * * 文書の欠落部分をっ! * * * 埋めろっ * * 埋めるのだ! * * * 完璧な文書を〜〜 * * * * * どこだっ * * どこにあるのだ?! * * * きっとどこかにあるはず・・・・・ * * *    ちなみにP−31さんのHPは こちら です。

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