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[西垂]の部屋
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記憶
初めて聞いた言葉を記憶している
「おまえの名前は綾波レイだ」
これより前の事は知らない
思いだそうとすると苦しくなった
だから思い出そうとは思わない
私が二人目の綾波レイだと言われた
でもすでに私は知っていた
別にどうでも良い事だと思った
計画を成功させる為の道具だとも言われた
私の存在理由がそうなのならそうしないといけない
存在する為にはそうしないといけない
でも私はここに居たくはない
存在したくはない
だから私は計画を成功させるために道具となる
そうしないと私は無へと帰れないから
初めてエヴァにのった事を記憶している
エントリープラグに上で開始を待っている時何も思わなかった
他の実験と同じように待っていた
でもシンクロするにつれ恐怖が湧き上ってくる
エヴァの中に有るのは無限とも言える時間と孤独だけ
それを感じたから
それを思い出したから
怖くなった
体が引き千切られる感覚と衝撃、そして暗闇
気付いた時に始めに見えたのは碇司令の顔だった
心配そうな顔をしていた
「大丈夫か、レイ」
私は知っていた
この人の言葉が私に向けられてない事を
計画の心配をしているだけなのだから
でも私は肯いた
この人の望みが叶えば私は無に帰れる
その事を知っていたから
初めて見た夢の事を記憶している
零号機の暴走によってできた傷の痛みの中で見た
夢の中で私は第三東京市の道路上に立っていた
そして少し離れた所に背を向けて立っている男の子を見ていた
目を離せなかった
いつまでも見ていたかった
不意に男の子が振り向いた
その目が真っ直ぐに私を見ていたのに驚き目が覚めた
そして私が夢を見ていたのだと知った
私も夢を見れるのだと知った
何故か無性に悲しかった
初めて碇君と会った時の事を記憶している
エヴァに乗るためにゲージに運ばれた
私は怪我をしていたが気にしてはいなかった
エヴァに乗ってさえいればシンクロはできるのだから
激しい揺れによって寝台から私は転がり落ちた
痛みによって気を失いかけた
でも私を包んでくれる物があった
とても暖かかった
とても優しかった
痛みをこらえながらそっと目を開いてみた
私を抱いていてくれる人がいた
嬉しかったが、悲しくもあった
初めて碇君に微笑んだ時の事を記憶している
ヤシマ作戦の時、使徒の攻撃を受けて私は気を失っていた
光の全く無い闇の中で私を呼ぶ声が聞こえた気がした
目を開けると碇君が泣きながら私を見ていた
あの人とは違い真っ直ぐに私を見ていてくれた
嬉しい時も涙が出るって教えてくれた
そして微笑む事を教えてくれた
私に微笑む事を教えてくれた
もう私はさよならとは言わない
そう思う事がとても嬉しかった
学校での碇君の事を記憶している
先生の話を真剣に聞いている碇君
授業中なのに机に突っ伏して寝ている碇君
友達と楽しそうに話をしている碇君
セカンドチルドレンに叩かれている碇君
傘を忘れたのか雨の中を走って帰る碇君
一緒にネルフに行こうと誘ってくれた碇君
碇君が休んで誰も座ってない碇君の机
気が付くと何時の間にか碇君を見ていた
セカンドチルドレンにお弁当を渡している碇君を見た
私はパンを食べていた
悲しかった
碇君が使徒に取り込まれた時の事を記憶している
碇君の乗る初号機が影の中に沈んでいく
私は零号機の中でみていた
呆然と見ていた
今起こっている事が現実だと認識出来なかった
我に返った時すでに初号機は見えなくなっていた
影の中に飛び込んで助けられるのならそうしたかった
でもそんな事をしても無駄なのは解っていた
作戦が出された
初号機の機体の回収を最優先、パイロットの生死は問わない
初号機が影に沈んでいく時なぜ私はすぐに動けなかったのだろう
なぜ助けれなかったのだろう
絶望の中で作戦の開始を待っていた
作戦開始の直前になって地面が揺れ影の上に浮かんでいる球体が黒く変わった
そしてその球体が割れて初号機が出てきた
碇君が助かったのだと解った
もうこんな思いはしたくなかった
今度こんな事があれば絶対に碇君を助けようと誓った
初号機の咆哮の響きが感じられた
ユイさんが感じられた
それと共に私の存在というものが思い出された
悲しかった
辛かった
碇君に会えない時の事を記憶している
私は初号機の前に立っていた
手を伸ばせば届く距離に碇君がいる
でも会えない
碇君は今初号機の中にいる
私達を助けるために取り込まれてしまった
私達は碇君に助けてもらった
でも私は碇君を助けると誓ったのに助けれなかった
碇君に会いたかった
碇君に対する思いを記憶している
碇君と一緒に歩いていたい
碇君ともっと話をしたい
もっと碇君を見ていたい
もっと碇君に私を見てもらいたい
碇君のお弁当を食べたい
碇君にお弁当を作ってあげたい
碇君の事もっと知りたい
碇君と・・・・・・・・
碇君に・・・・・・・
碇君と・・・・・
碇君の・・・・
碇君・・・・
碇君・・・・
碇君・・・・
私は碇君とひとつになりたい
LCLが抜けていくのがわかる
目をゆっくりと開けるとすでにガラスは降りていた
目の前に髪を染めた白衣の女性、赤木博士がいる
「解っているわね」
「・・・・・はい・・・」
「あそこに服と記憶のバックアップが取れてない時の記録、これからの行動が書かれ
た物が置いてあるわ」
そう言うと赤木博士はセントラルドグマを出ていった
私は記憶のバックアップが取れてない時の記録を読み終わった
・・・・そう・・・あなたは碇君を守れたのね・・・・・
「私も・・・・・碇君とひとつになりたい・・・・・・・・でも・・・・・・・・・
・・」
でも私は・・・・・三人目だから・・・・・・・・・
あとがき
どうも、LRS人の西垂です
えっと、これはレイが三人目になった時の話です
一人目の記憶は、きっとバックアップをとる手段がまだ完成されていないと思うので
書いてません
決して、一人目の事は良く解らないから書かなくても良いかな〜〜なんて思った訳で
は無いです(^^;;
これを読んでくれた皆様、お願いですぅ〜〜
感想くださいぃ〜〜
でわでわ(^^)/~
西垂さんの『記憶』、公開です。
記憶と、
その時に感じたことが、
綾波ってますね。
ちゃんと感じているんです。
その辺が見えていいですよね−−
二人目とか三人目とか、さ。
さあ、訪問者の皆さん。
LRS人西垂さんに感想メールを送りましょう!
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