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「紅の君への挽歌 −或いは、歓喜の宴−」





※この話には暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています。ご注意下さい。




























































それはある晴れた日の事



繰り広げられる歓喜の宴










先刻までのその勇姿



その躍動は幻か



紅の身は力尽き



宴の場へと横たわる










場を包む気配は歓喜



それは祝福



それは幸福



それは優しく暖かく



それはとても気持ちよく











そのこうべを貫くは



鈍く輝くくろがねの串



その紅は微動だにせず



紅の身は贄として



来賓の前に捧げられる










宴の席は喜びに満ち



どの顔も皆一様に



笑顔と歓喜に彩られ



祝福と幸福で彩りて











これは夢?



これは現実?



これは一つの可能性?










来賓の人にあらざるその姿



黒い翼をはばたかせ



長い顎に舌なめずり



歓喜の宴に口元を歪め



雄たけびを上げ喰らいつく










主賓の2人を迎えるは



祝福と歓喜の宴



きらびやかに身を飾り



幸福に身を包み



宴の席へ寄り添い歩む



晴れ渡る未来へ寄り添い歩む











全ての脅威を遮りし



その紅の身を護る鎧



くまなく覆う1万2千余



輝く鱗も意味を成さず



爪に裂かれ



顎に砕かれ










惜しみなく



濁りなく



心から送られる祝福の言葉



「おめでとう」











白日の下にさらけ出す肉



その身は湯気が立つほどに



温かく軟らかく



鋭い爪をすんなり通し



鋭い顎にやすやす千切れ










「おめでとう」



「おめでとう」



「おめでとう」



「おめでとう」



「おめでとう」











傷痕からは肉の汁



熱き血潮の紅ではなく



香ばしい匂いを伴い



ただ肉汁として溢れ出る



水分栄養分でしかなく



ただただ滴る肉汁でしかなく










「おめでとう」



「おめでとう、シンちゃん、アスカ」



「おめでとう、アスカ、シンジ君」



「おめでとう、シンジ、惣流」



「おめでとう、アスカ、碇君」



「………おめでとう、碇君………アスカさん」











これは運命?



これが運命?



どこで間違えてしまったの?



誰が間違えてしまったの?



どうしてこんな事になってしまったの?










ピリピリと皮は裂かれ



ズルズルと肉は引き出され



ポリポリと骨は砕け

「おめでとう」



「おめでとう」



「おめでとう」


その肉は腹を満たし

「よかったね、おめでとう」


その肉汁は喉を潤し

「本当に、おめでとう」


それは屠殺

「心から、おめでとう」


それは陵辱

「おめでとう」


紅の君のその身体



紅の君は今はなく



紅は今はなく

「おめでとう」











これは現実



これは夢



これは運命



全ての事象は宇宙において



並行並列進行し



夢を現を絡めとり



ただ運命として横たわる










ただ横たわる紅の君



その目は空を仰ぎ



その腹腔は空ろを晒し



その背は骨と髄を晒し



ただ空しく空を仰ぎ



紅の君は今はなく



紅の君はなく










幸せな結末



幸せの始まり



それは夢



それは現











夢は夢



現は現



全ての事象は空の下



並行並列進行し



夢を現を絡めとり



ただ運命として横たわる










人にあらざるその姿



黒い翼をはばたかせ



長い顎に舌なめずり



歓喜の宴に口元を歪め



雄たけびを今高らかに








































「クゥワエエェェェェェ!!」








































「ほらペンペンも鈴原も、そんなに食べてばっかりいないで!少しは行儀良くなさいよ」



「まぁええやないか、いいんちょ。
 せっかくの披露宴、豪華な料理、食べんともったいないやろ。のぅ、ペンペン」



「クエッキュワェッ!」



「そういう問題じゃないでしょ!
 もぅペンペンも、鯛の尾頭付きで嬉しいのは分かるけど、
 いきなり食べ散らかしちゃうんだから」



「最初フォーク手に取った時はさすがはペンペンて思うたが、
 所詮は畜生、鯛の頭にフォーク突き立てて、
 後は貪り食いおったからなぁ」



「キュルルゥゥックワワッ!!」



「そんな言い方ないでしょ!ねぇ、ペンペン。
 だいたい鈴原だって人の事は言えないでしょ!
 ………あ、お色直し終わったみたいね。アスカ、やっぱりキレイねぇ」



「センセも見とれて呆けた顔して、しょーもないっちゅうか、幸せそのものやなぁ」



「2人とも色々あったけど、やっと、やっと一緒に、幸せになれて
 ………ホント、私まで嬉しくなっちゃう………」



「あぁ、いいんちょ、こんな祝いの席で泣いたらあかんて。
 笑って祝ってやらなあかんて、ほら………」



「………そうよね、お祝いしてあげなくちゃね。
 おめでとう、おめでとうアスカ、碇君」



「ほんま、めでたいなあ。おめでとさん、シンジ、惣流」



「キュルゥゥ、クエックエッ!」



「おめでとう」

「おめでとう」


「おめでとう」

「おめでとう」


「おめでとう」










それはある晴れた日の事



繰り広げられる歓喜の宴










−終劇−







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ver.-1.00 1998+04/17 公開
感想・質問・誤字情報などは こちらまで!


あとがき

 はじめまして(&一部の方にはこんにちわです&極々一部の方だけお久しぶりです)。
 基本的なところでかなり間違ってる、「くろん」と申す笑い猫でございますです。

 シンジ君とアスカさんの結婚披露宴にてペンペンが真っ赤な鯛の御頭付きで嬉しさ倍増☆よかったね☆おめでとう☆って感じなお話でした。

 え………と。だらだら言い訳するのも見苦しいので、手短にいきます。
 赤鯛の御頭付き絶対至上主義的ファンの方、申し訳ありませんです。必然性が免罪符にならないというのは重々承知しておりますが、いたずらに残虐かつ悪趣味な描写をしてキャラを汚すような真似をしてしまいました。重ねてお詫び申し上げます
 残虐猟奇趣味を期待した方、ご期待に添えましたでしょうか?。女の子さんへの虐待描写を期待した方には誠に申し訳ありませんが、私はそういう趣味はあんまし持ちあわせておりませんので、書けませんです、はい。
 何か別の方面のお話と勘違いされた方、申し訳ありませんです。習作な1発ネタって事で笑って許していただけると嬉しいです、はい。

 何はともあれ、最後まで読んでいただけてとても嬉しいです。
 こんなへっぽこ話ですが、一応ネタバレ不可って事でお願いしますね。
 問題ないようなら、今後も宜しくお願いしますです。
 それでは。




 めぞんオープン以来、124人目の新住人です(^^)

 今回募集の8人目、笑い猫・くろんさん、はろはろ♪


 第1作『紅の君への挽歌 −或いは、歓喜の宴−』公開です。




 ごめんなさい、くろんさんm(__)m

 私・・・・オチを先に見ちゃいました。



 つい最近、笑い猫さんの別の作品を見ていたので、
 「このパターンはひょっとして」・・・と勘ぐっちゃいました(^^;


 ”そのままの雰囲気に耐えきれなくてラストを覗いた”
   こっちの方が正直な感想かも(爆)



 まずそのまま読んで楽しみ、
 オチを知った後にニヤニヤしながら楽しむ。

 2回の内1回をみずみず捨ててしまった (;;)

 ラストを覗くのはよくないやね・・・・



 さあ、訪問者の皆さん。
 あとがきでも手をゆるめないかろんさんに感想メールを送りましょう!



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