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「いやぁぁぁぁ!! ママァ! 助けて。いやっ 助けてシンジ。シンジィィ、いやぁぁ!!」

「アスカ!! くそっ! うごけ! うごけ!うごけ!うごけ!うごけ! くそうぅぅ!!」

う、うあぁぁぁ!!
 


傷跡 <前編>
 

作:時の支配人


 

ガバァ!!
 

「はぁはぁはぁはぁ・・・・くそっ! またあの夢だ。」

昔体験した辛い出来事。

未だに夢にまで見るアスカの最後の叫び。

エヴァ弐号機がゼーレの送り込んだ量産型エヴァに蹂躙され、バラバラになった機体から

引きずり出されたアスカがつつかれ肉体がバラバラになるシーンで夢に出てきてそしていつも

そこで目が覚める。

呼吸を整え隣に寝ている妻を起こしてはないかとのぞき込んでみる。

「また、あの夢なのね。」

妻はそこでふと目を開けてのぞき込んだシンジを見つめ返す。

やはり起こしてしまった。

4年前に結婚して今までずっと連れ添ってきている最愛の女性。

その妻に言う。

「ごめん、マナ。まだふっきることができないみたいだ。」

そううなだれながらマナに答えた。

「いいのよ。でも、いつも言っているけどシンジひとりで抱え込むことは無いのよ。

 シンジはなにもかも自分のせいだと考えてしまうところがあるから心配なのよ。

 わたしはシンジの苦しみも、苦労もすべて分かち合いたいの。苦しみも二人で

 分かち合えばきっと耐えきれるわ。」

マナは、シンジに向かって優しく諭す。

「ありがとう、マナ。マナの言葉を聞いていたら落ち着いてきたよ。中途半端な時間に起きたから

 もう一度寝ることにするよ。」

今の時刻は午前3時。

明日も朝が早いのでもう一度寝直したいシンジは、そうマナに言う。

マナの言葉でもう一度寝られそうだ。

「シンジ、このままで寝るの? 寝汗でシーツがぐっしょりよ。このまま寝たら風邪引いてしまうわ。

 シャワー浴びていらして。シンジがシャワー浴びている間にシーツを換えて置くから。」

マナの言葉に自分の寝間着を見る。

恥ずかしいことに本当にぐしょぬれだった。

確かにこのまま寝たら風邪を引いてしまいそうだ。

「ありがとう。だったらそうさせてもらおうかな。」

「いってらっしゃい。シーツ換えたら私も後で行くわ。」

そんなやりとりをしながら寝室から出た。
 
 
 
 

シャー ザザザザザ

シャワーを浴びながら過去を思い出す。

後悔の念をたたえながらあの日のことを・・・
 

今より10年ほど前、ネルフという国連直属非公開組織に籍を置いていた頃、使徒と呼ばれる

謎の生命体を倒すためエヴァンゲリオンという人型ロボットに乗って戦っていた。

その頃自分はまだ14歳だった。

自分から望んでネルフに籍を置いたわけではなかったけどたくさんの仲間と同じ時を共有して

自分なりに成長することができたと今では思う。

でも、とても辛いこともたくさんあった。

一緒に戦った仲間のアスカと綾波・・・ レイは、もういない。

家族という暖かさを教えてくれた僕のお姉さん・・・ ミサトさんも今はいない。

父さんもいなくなった。

あのときはなにも知らなかった。知らされてなかった。

知ろうとも思わなかった・・・

僕はなぜ知ろうと思わなかったんだ。
 
 

最後の使徒「渚 カヲル」を殲滅した後に見計らったようにネルフへとやってきた戦略自衛隊。

今まで特権を振りかざして来たネルフを掌握しエヴァンゲリオンの技術を我が者にしようとする為に。

対使徒戦にのみ存在するネルフに人間は防ぎきれなかった。

抵抗した所員はことごとく射殺され、投降した者も有無を言わさず火炎放射器らで焼かれた。

ネルフ所内が人の血で染まり始めた頃ゼーレから送り込まれてきた量産型エヴァ。

サードインパクトを起こすべく使者。
 
 

サードインパクト。

ひとつの個体としてあまりに幼い人間の心をひとつにするべく人間すべてをLCLの海にへと返し

心の入れ物をひとつの器としてすべての人間の心を補完する計画。

しかしそれは言い換えれば人が人でなくなる計画。
 
 

その計画を推進してきたゼーレとゲンドウ。

しかし、サードインパクトを起こす目的がゲンドウとゼーレでは違っていた。

神として君臨を目指すゼーレと、エヴァに取り込まれた妻、碇ユイに会いたいが為に計画を立てたゲンドウ。

そしてそんなゲンドウが邪魔になったゼーレは自らの手でサードインパクトを起こそうと

実行を起こした。

エヴァ弐号機専属パイロットセカンドチルドレン、惣流 アスカ・ラングレにより一時的に

サードインパクトを起こす為の要、アダムとの接触を防いでいたが最終的に防ぎきれなかった。

外部電源無しにはたった五分しか持たないエヴァンゲリオン。

戦闘中に量産型エヴァに狙われた電源供給用ケーブル・・・ アンビリカブルケーブルの切断により

内部電源にて戦わずをいられなかったエヴァ弐号機。

そして、シンジの乗るエヴァ初号機は硬化ベークライトに固められ出撃することができなく

内部電源の切れたエヴァ2号機にて助けを求めているアスカをただただエヴァ初号機のコクピットで

見るしかできなかったシンジ。
 
 

禿げたかのようにエヴァ2号機を蹂躙し、食い荒らしていく様が脳裏に焼き付き未だに忘れられない。

あのときアスカを助ける方法が他に有ったはずだ。

それなのに僕はアスカを助けることができなかった。

できなかった・・・・
 
 


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ver.-1.00 1998+04/17 公開
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みなさま初めまして、時の支配人と申します。
実はここメゾンエヴァが私の初投稿になります。
昨年夏よりエヴァ小説にはまってしまいまして多くのインターネット作家さんたちに
感化されてついに自分のHPまで持つまでになって小説を書き始めました。
そして、ついには投稿までするという暴挙をしてしまいました。
小説は全然書き慣れていないのでつたない文書を公開するのは恥ずかしく、自分のHP
だけでほぞぼそと書いていましたが少し鍛えていただけたらなぁと考えて自分のHPの外の世界に
出てきてみました。
ここメゾンエヴァはとてもすばらしい小説を書かれる方が多くてすばらしいところですよね。
自分もせめて追い出されないくらいの文書力をここでつけていけたらなぁと思います。

今回のこの作品実は30K位で1話としてまとめたかったのですがうまく文章にならなくて
切ってしまいました。
締め切りまであと2時間もないですからこれは切りのいいところまで書ききれないなぁ・・・
とか考えて、急ぎすぎて変な文章になってしまうよりは少し短いですがここで公開させていただきました。
もしかしてこのくらいの長さだったらプロローグと見なされてしまうかな?

中編は早急にかきます。
これからしばしお付き合い下さい。

補足ですが、設定は本編プラス鋼鉄のガールフレンドです。





 先ほど、
 「これで最後」と言っておきながら、
 更にもう一方のご入居です〜


 もう、徹夜だ!
 ええ〜〜ん

 マジに首を絞めているーー


 まだ終わりじゃないよーーー



 めぞん通算128人目の御入居者は
 【時の部屋】の[時の支配者]さんです。

 うぇるかむんです(^^)



 おっとっと、

 アスカが助からなかった話ですね。


 最近流行(?)の「実は甘甘オチ」なのかな?

   そんなことはないか(^^;


 先が気になりますね。



 さあ、訪問者の皆さん。
 (こんどこそ)本日最後の御入居者、時の支配人さんに感想メールを送りましょう!




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