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Declination below adolescence!

第壱話 栗色の髪の少女


ファンファンファンファン・・・・・・

サイレンを鳴らしつつ、パトカーが激走している。
その前方には真紅のカラーリングを施された、
排気量250ccクラスのバイクがそれ以上のスピードで走っていた。
バイクに跨がっているのは栗色の髪の少女。
ヘルメットをかぶらずに長い髪を振り乱している。

「そのバイク、止まりなさい。」

しかし、バイクはその声に無反応で、
角をテールスライドさせつつ曲がり、更に加速する。

「止まれーっ、止まらんと免許取り上げだぞーっ!!」
「しつこいなぁ。もう、見逃してくれてもいいじゃない。」

バイクにまたがった栗色の髪の少女は文句を言うと、更にスロットルを回す。
一方、パトカーもバイクにあわせて、加速する。
この時、スピードメーターは100kmを越えようとしていた。

「第三新東京、初めてなのに、道迷っちゃうじゃない!」

彼女は細い路地に入りこみパトカーを撒こうとしていた。
路地を抜けて、少し大きな公園に差し掛かったとき・・・・・・

「痛ァいっ。放してよ、痛いってば。」

黒髪の少年が、空色の髪の少女の手を引っ張っているのに、
少女の方が小さな悲鳴を上げる。

「今日という今日は、力ずくでも言うこと聞いてもらうからね。」

その様子を遠くから見た栗色の髪の少女は、

(女の子のピンチねっ!)

と考えると、バイクを猛加速させる。そして、

「ちょっと待ったぁ!!」

と、バイクを二人の間に突っ込ませた。

「ん?」

少年がその声に振り向く。
その時、バイクは少年にぶち当たり、はねとばす。
そのショックで栗色の髪の少女もバイクから投げ出され、宙に浮く。

「ええいっ!」

栗色の髪の少女は空中で姿勢を制御すると、クルクルと回転し、
ポーズを取りつつ、スタッと着地する。
それと同時に、公園の脇に設置されている自動販売機のごみ箱の中に
少年が突っ込む。

「大丈夫だった?しかし、危険よねぇ。」

栗色の髪の少女は自慢げに言う。
それを見ていた空色の髪の少女は唖然としていたが、少年が落下した
音を聞くと、我に返り、少年に駆け寄る。

「お兄ちゃん、大丈夫!?」

少年は気絶しているようで反応一つしない。
しかし、外見上、少年は傷一つ負っていない。

「へ?お兄ちゃん?」

栗色の髪の少女はその言葉に知らない振りを決め込んだ。
腰に手を当てて、口笛などを吹き、ごまかすつもりだ。
その時、

「見つけたぞっ!」

とパトカーが公園の入り口に現れた。

「やばっ。」

栗色の髪の少女は慌てて横転していたバイクを立て直し、
黒髪の少年と空色の髪の少女を両脇に抱えると、
バイクに乗せ、自分の腰につかまるようにさせると急発進をかける。
発進時、ウィリー状態になったショックで黒髪の少年が意識を取り戻した。

「しっかりつかまっててよ、家まで送ってあげるわ。」
「な・・・。」

ファンファンファンファン・・・・・・

サイレンの音に少年は振り返り、パトカーの姿を確認する。

「なんで追っかけられてるんだよ。」
「犯罪者ね。」
「あんたが死んでたらね。」

黒髪の少年の言葉と、空色の髪の少女の言葉に軽く返答すると、
スロットルを思いっきり回した。

「待てーっ!ヘルメット付けろってばぁ。」

パトカーから声が発せられていたが、
バイクはグングン、パトカーを引き離して、ついに振り切った。
その時、スピードメーターは200kmを越えていた。

15分ほど経過し、

「どーして、あんなことになってるわけよ。」

三人は黒髪の少年と空色の髪の少女の家にやってきていた。
居間でお茶を飲みながら話をしている。

「しょうがないだろ、レイの夜遊びを止めてたんだから。」
「いいじゃない、まだ9時だったのに。」
「相手が良くないだろ。トウジにケンスケじゃないか。」
「ヒカリだっていたのよ。」
「あのぉ・・・」
「委員長はトウジが守るからいいんだよ。」
「じゃあ、お兄ちゃんも来ればいいじゃない。」
「ちょっと・・・」
「僕はあーゆーの好きじゃないの。」

プチッ。
栗色の髪の少女の中で何かが切れたようだった。

「人の話を聞けぇっ!!」

ドンッ
と鈍い音と同時に黒髪の少年が崩れ落ちる。

「ハートブロークンショット、これは効くわね。」

空色の髪の少女は冷静に言う。

「それで、聞くことがあるんだけど、この近くに「碇」という家はあるかしら?用事があ
るんだけど。」
「それ、ここだけど。」
「あら、あんた大丈夫なの?って、ここぉ!?」

栗色の髪の少女は家の中を走り回り、何かを探すようにしていたが、
居間に戻ってくると、叫ぶ。

「おじさんはどこ?」
「えーと、父さんのことかな?」
「たぶん、そうね。」

・・・しばらく経ち、

「とすると、僕の従姉、ということになるのかな?」
「そうみたいね。パパとママが死んじゃって、それで逢いに来たの。ねぇ、どこにいるの
よ、教えなさいよ。出張とかだったら、連絡先は?」
「知らないわ。第一、いきなり従姉だとか言われて、はいそーですかって信じるわけない
わ。証拠があるわけでもないし。」
「証拠なら・・・ってよく考えたらないわね。」

栗色の髪の少女は考えこむようにしてから呟くが、すぐに表情を明るくして言う。

「とにかく私は従姉なのよっ!」
「お兄ちゃん、帰ってもらって。」
「う、うん・・・。」

空色の髪の少女が無関心そうに言うと、黒髪の少年は気の弱そうな返事を返す。
その言葉に栗色の髪の少女は焦ったのか、

「待ちなさいよっ。」

と言い、少年の側に駆け寄る。
ところが、床のコンセントの延長コードに足を引っかけて、
転びそうになり、少年の腰にしがみつくようにして倒れ込んだ。
その時、少年のスラックスがずり落ち、トランクスがあらわになる。
栗色の髪の少女は、目の前にトランクスがあるのを見て、顔を真っ赤にし、

「いやーっ、エッチ、バカ、へんたーいっ!!」

と叫ぶと同時に少年の頬を平手打ちする。

「と、とにかく、アタシはここにいるわよ。絶対におじさんに逢うんだからっ。」
「そう、好きにすれば。」

空色の髪の少女は無愛想に言う。
黒髪の少年は平手うちをくらったあと、呆然としていたが、
二人の様子を見て、オロオロとし、間を取り持たなければ、という意識から、

「えーっと、僕は碇シンジ、14歳。君は?」

と聞く。

「アタシは惣流=アスカ=ラングレー、14歳よ。アスカって呼ぶのよ、シンジ。で、ア
ンタは?」

アスカは空色の髪の少女の前に立つと、腰に手を当てて、
ふんぞり返るようにして聞く。

「碇レイ、14歳。」

レイはそれだけを言うと、二階へ上がる階段を上がっていく。
その様子を見て、アスカは機嫌が悪くなった様子を見せたため、
シンジは、慌てて、

「レイは人見知りが激しいんだ。あれでも、マシなほうなんだよ。」

と言い訳をする。

「そう。ところで、お風呂に入りたいんだけど。お湯はってくれる?」
「う、うん。」

シンジは気圧されたのか、すぐに浴室へと走っていった。
すでに尻に敷かれてしまったようである。

30分後、浴室。
カポーンッ。
湯船に浸かりながら、アスカはため息をついた。

(従姉と認めてもらえないのはしょうがないけどさ。私だって、親戚なんだもん。おじさ
んに逢う権利ぐらいあるわよね。私にはもう、身寄りがないわけだし。シンジとレイだっ
て、あんなのでも、親戚なのよね。仲良くしたいけど・・・。ママ、できるかな?)

しばらくし、アスカは湯船から出て、お風呂から上がろうとする。浴室から上がろうと、
浴室のドアを開けたとき、

「アスカァ、バスタオル置いておくよ。」

とシンジが脱衣所に入ってきた。浴室から上がったアスカとシンジは正面から向かい合う
形となり、シンジは目線をそらそうと下を向こうとし、目線をそのまま下に降ろす。
自然、アスカは全裸なわけで、シンジはその姿をすべて見ることとなり、

「す、すごい・・・。」

と鼻から鼻血を出してしまう。
アスカはそこまで呆然としていたが、シンジに見られたことを知り、顔を真っ赤にすると
同時に怒りがわき上がり、拳を握りしめる。

「いやあぁぁぁぁぁぁっ!!」

アスカは左右のパンチをボディに叩き入れると、右のローキックでシンジの姿勢を崩し、
両肩をつかみ、左右の膝蹴りを入れる。そして一瞬、離れ、しゃがむようにすると、飛び
上がるようにして、顎にパンチを放った。そのパンチは顎に捻りこむ形となり、シンジは
宙に浮き、ノックアウトされた。
アスカはバスタオルを体に巻き付けると、逃げ出すようにして浴室から離れた。お風呂に
入る前に今日、寝る部屋に荷物は運んである。
部屋に向かう途中、居間に降りてきていたレイは、

「6連コンボね。お兄ちゃんが受けたコンボで最も連携したもの。今度、教えてね。」

とアスカの手を握り言う。その瞳はなぜか輝いている。

「う、うん。」

アスカはレイの変わりように一瞬、引いたが、レイが自分から話しかけてきてくれたこと
に若干のうれしさを感じていた。

「それじゃ、お休み。」

レイはそれだけ言うと、また部屋へ戻っていった。
アスカは見送ると、自分も部屋へ向かった。

(早く、おじさんに逢いたいな。)

ベッドで横になると、疲れていたのか、すぐに眠りについてしまった。

その頃、浴室では・・・

「う、すご・・・。」

シンジがアスカの下着を見て、また鼻血を流していた。

こうして、栗色の髪の少女、惣流=アスカ=ラングレーが訪れた一日は終わりを迎えた。

It continues to the next time.


NEXT
ver.-1.00 1998+02/02 公開
感想・質問・誤字情報などは こちらまで!

あとがき

えーと、はじめまして。風奈というものです。
エヴァは本放送をリアルタイムで見ていません(^^;
LASが基本的に好きです。
元ネタありです(^^;
渡瀬悠宇さんの「思春期未満お断り」をベースにしてます。
ストーリーベースにする程度で、中身は変わってくると思います。
すでに、アスカが逢いに来たのはお父さんではなく、おじさんにしてますし。
ヒカリちゃんを出す都合で人間関係図はだいぶ違うものになります。
今後出す予定のあるエヴァキャラクターズは、
ゲンドウに冬月、霧島マナ・・・あれ?ベースキャラで考えると以上で終わり?
うーん、せめて、ミサトさんと加持、リツコさんにマヤちゃんまでは出したいです。
まぁ、それはオリジナル要素でカヴァーするということで(^^;
そのまま流用できるとそれはそれなりに苦痛ですからね。

ということで、以降、よろしくお願いします。



 節分の日最初の御入居者、
 めぞん通算111目−−なんか良い数字だね(^^)

 風奈さん、へろ〜♪


 第1作『Declination below adolescence!』第壱話、公開です。



 嵐のようにやってきたアスカ様。

 夜遊び活発、だけど、人見知りのレイ嬢。

 レイちゃん1人だけでも持て余し気味だったシンジくん、
 このプラス1人は大変なことになりそうですね。


 いきなりの色気パンチ−−

 良いことも沢山かな(^^)



 さあ、訪問者の皆さん。
 あなたの歓迎をメールに乗せましょう!



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