第一脳神経外科病棟
303号室
惣流・A・ラングレー
そう書かれた名札の掛かっているドアを軽くノックする。
「アスカ、入るよ」
第4話 Alone In The Dark
第一脳神経外科303号病室。消毒液の臭いのする白い部屋。
部屋の中央にはベッドが置かれ、その側には様々な計器類が設置され、その奥には大きなサッシ窓が見える。窓から入ってくる人工照明の空々しい明るさが、逆にその部屋から人の暖かみを奪い去っていた。
機械的なパルス音と、時折発する水音が単調なリズムを刻む。
ベッドには天井の遥か彼方を見上げる少女の姿。
こけた頬は影を作り、まばたきを忘れた蒼い瞳は、虚ろに見開かれている。
やせ細った腕には点滴の管が挿し込まれ、生気を感じさせない薄ら白い肌にはセンサーからのコードが幾つも延びている。
アスカはベッドの上で、ただ虚空を見上げていた。
天井を見ている訳では無い。端から焦点も合っていない。
その視線の先は、自分ですらない。虚像となった自分しか、彼女には見えていない。
現実から剥離した夢幻の闇の中を、少女の心は漂っていた。
アスカの身体は衰弱したままで、点滴による栄養補給が続いており、先端医療機器の揃ったNERVならいざ知らず、本来なら片時も眼の離せない状態である。
医師側とミサトの判断は、始め面会謝絶で一致していた。ところがシンジが再三に渡って顔を見させてくれと要求し、根負けしたミサトが渋々1日30分間の面会を許可したのである。 それからと言うもの、シンジは毎日欠かさずアスカの元を訪れていた。 |
見舞い人はまず、持ってきた花を花瓶に生け換える。それが終るとベッドの脇の丸椅子に腰掛けて患者の横顔を眺め続ける。時折ブラインドを調節し、エアコンの設定にも気を配る。
30分の間 飽きる事無くそれが続き、時間になると看護婦に追い立てられて名残惜しそうに帰っていく。それがこの病室の日常だった。
「そこから一歩でも近付いたりしたら、殺すわよ!」
「アンタなんか顔も見たくない!!」
「アタシの心を見たくせに!!アタシの心を覗いたくせに!!」
「アタシの心に土足で踏み込んだくせに!!!」
「嫌い!嫌い!皆嫌い!大っ嫌い!!」
「出てって!アンタなんか顔も見たくない!!さっさと出てって!!」
最後にアスカと接した時の彼女の拒絶が未だに頭に残っており、シンジにはただ見詰め続けることしか出来なかった。
「今日も、駄目なんだね」
時折ポツリポツリと話し掛ける、元より彼女の心に届くとは思っていないが。
「最近 ミサトさんも 帰ってこないんだ」
「あの部屋って 結構広かったんだね、最近気付いたよ」
「一人は ツライよ……」
シンジは両膝の上で拳を握り締める。
遠くで微かにヒグラシの鳴き声がする。
第303号病室、ここは今日も静かだった。
「……ピンポーン……」
葛城邸のインターホーンが来客を告げる。
―あれ、妙ねぇ こんな時間に……シンジ君がセキュリティカードでも忘れていったのかしら?―
そんなことを考えながらミサトが玄関を開けると、黒服の男が立っていた。欧米の血でも混じっているのか彫りの深い顔に、没個性的なサングラスが乗っている。
黒服は真紅のIDカードを提示して見せた。NERVのセキュリティカード、パーソナルデータが入っていないのは、諜報部の人間である印。
「葛城三佐、NERV本部からの緊急伝達事項です。適格者全員のNERV本部収容が決定しました。これに伴ないサードチルドレンのセキュリティクラスも、SSSに引き上げられます。保安要綱に基づき、これ以降は第1級警護対象となります」
「そんなっ、いつ決まったのよ?」
「昨日の14:00付けで命令が回っています。ご存じありませんでしたか?」
「…………そう」
―保護者であり、かつ作戦部長の自分にさえ、何の事前連絡も説明も無しか―
ミサトは最近の自分の立場の無さに歯噛みする。
「葛城三佐。失礼ですが保全確認の為、サードの居室を拝見させて頂けないでしょうか」
SS以上のセキュリティクラスでは本人の意思に関わらず、居室、所持品等の総チェックが行われる。今までもこうした定期検査はあったのだが、ミサトは自分の権限を振るって自分や子供達のそれをうやむやにして来ていた。
「冗談じゃないわ」
一言で斬って捨てる。
「チルドレンのプライバシーを守りたい貴方のお気持ちは分かります。しかし事態はかなり切羽詰まった所まで来ています。まずチルドレンの安全確保が第一義とご理解いただきたい」
何か変だ。ミサトは直感的にそう感じた。保安部にしてはやけに事情通だし、諜報部にしては喋りすぎる。
「SEELEがどんな手に出るかも分からないのですから……」
その瞬間、ミサトは卓袱台返しの要領でテーブルを跳ね上げ、その陰に隠れるようにして自室に転がり込む。デスクの裏に貼り付けておいたベレッタM92FSを、もぎ取るようにして自分の手に収める。
―NERV内部でも一部しか知らない筈の人類補完委員会の真の名、SEELEを軽々と口に出す、こいつは?―
セイフティを外し、ベッドの影に倒れ込みながら頭に狙いを……つけた相手は、何もなかったようにひっくり返ったテーブルを起こすと、散らばった茶菓子を拾い集めている。
「勘違いしないで下さい、自分は貴方と一戦交える気はありません」
「どうだか」
今のミサトにはそう軽口を叩くのが精一杯だった。
「自分は特務機関NERV特殊査察部・セイル雪風、同加地リョウジによって元いた組織から『裏返された』人員の一人です」
「SEELEに?」
「いえ、貴方へです」
「……??」
?マークが頭に飛んでいるミサトを尻目に、黒服は言葉を続ける。
「正確には、彼から貴方の指揮下に入り、情報収集及びサポートにまわるようにと指示されました」
「それで……私が信用すると思うワケ?」
ゆっくりと立ち上がりながら口を開く。口調こそ厳しいが、銃口は既に下を向いている。もっとも、いつでも撃てるような距離と射界を保ったままだが。
「いえ……。ただ、貴方の保全監視に当たるのは、当分の間 私になります。碇司令の木偶ではないことが解れば、貴方も動き易いかと。それと……」
黒服は軽く肩をすくめた後、急に居住まいを正す。
「ダブルスパイであった加持リョウジを『処理』したのは自分です」
その言葉にミサトの手が閃き、一挙動で銃が目線まで跳ね上がる。
「もう一度言ってご覧なさい!アンタの頭がザクロになるわよ!!」
黒服=セイルはサングラスを外すと、やや青み掛かった眼でミサトを見返す。
「加持リョウジ一尉はSEELEに叛意を表わし、NERV副司令 冬月コウゾウの逃走を介助したため、反逆とみなして射殺されました。死体は自分が処理を……これを」
セイルが差し出したのは、数本のSDATテープだった。
「訓練所では彼が教官でした。ドイツ支部では彼のカットアウトを勤めました」
「彼が動く過程で、自分も彼の追うものを知りました。そして今、それに一番近い所にいるのが多分、貴方です。だから自分は貴方に協力します」
「アンタの 目的は、何?」
ミサトの声は硬い。
「SEELEの進めている人類補完計画の全貌と、碇総司令の真意、その全てを知りたい。
私は自分の生き方は自分で決めたいんです。NERVに留まるにしろ、SEELEに付くにしろ、彼等の隠している真実を見つけ、その本意を知らないことには何も始まりません。そのためには貴方の近くにいるのが一番です」
「ど、何処まで知ってるの?」
「保安部の監視体勢を逆に利用しただけです、大した事は知り得ていません。ご安心を、あちらはまだ貴方の動きを掴みきれていません」
「……どうして、それを私に……?」
「我々の生きる世界で信じられるのは、自分自身と自分の見つけた真実だけです。彼は貴方を信頼するに足る人物であると考え、私は彼の判断が正しいと考えた。それだけです」
「……出てって、帰ってちょうだい」
「解りました。葛城三佐、くれぐれもご自愛を。事は貴方一人に留まらないのですから」
セイルはそう言い残して姿を消す。ミサトはカーペットを見つめたまま、SDATテープを握り締めた。
「分かってた筈なのに……他人の口から告げられると、ショックデカいわね……」
012号室
スズハラ
そう書かれた名札の掛かっているドアを軽くノックする。
「トウジ、入るぜ」
ケンスケが親友の病室を訪れた時、既にそこにはヒカリが来ていた。
「おろろ、もしってお邪魔だった?」
「なっ、なに言ってんのよ、相田!」
「なっ、何抜かすねん、ケンスケ!」
二人の声がハモる。
「ぷくく……まあ、そういうことにしときましょか♪ ところで、これ……」
持ってきた見舞いの花をプラプラさせる。
「ナンや、食いモンの一つでも持ってきたらんかい。いい加減、ここの飯も飽きたわ」
トウジが落胆した声を出す。大食らいの彼に、病院食では物足りないのだろう。
「イインチョに聞いたら差し入れは御法度だって言うからな、そんなに飢えてんならイインチョに弁当の一つも作って来て貰えよ」
「おぉ!そりゃ名案や、イインチョ 一つたのむわ!」
「えっ、えぇ!?そりゃあ私だって鈴原にお弁当食べてもらいたいけど……で、でも病院の決まりを破る訳には…………ってぇ!」
トウジの懇願に想わず心動いてしまったヒカリだが、そこまで言ってから、視界の端でケンスケがニタニタ笑っているのに気付いて真っ赤になる。
「あっ、わっ、私、かっ、花瓶に入れてくるねっ」
ヒカリはケンスケの手から花束をもぎ取ると、花瓶を掴んで外に逃げ出した。
「どないしたんやろ、イインチョ?」
「お前、気付いてないの?」
「なにがや?」
「……やれやれ、前途多難だぜ」
ヒカリが出て行った後、トウジは久々に同性の友人との他愛もない会話を楽しんでいた。互いに少々気を使い、言葉を選びながらだったが、それでも気心の知れた相手と交わす会話は、変化に飢えていた彼にとっては一番の薬だった。
だからだろうか、彼は踏み込むべきでない他人の領域に、敢えて歩を進めることにした。
「のう、ケンスケ。自分、まだEVAのパイロットになりたい 思うとるんか?」
ケンスケは一瞬固まったが、すぐに笑い顔を作って問いに答える。
「ああ!もちろんじゃないか!!EVAだぜ、戦自や国連軍が束になってもかなわない使徒と、互角に戦える最終人型決戦兵器。惣流の口癖通り 言わば世界のトップに立てるんだぜ!乗りたいに決まってるじゃないか」
「……ワシみたいに、なってもか?」
トウジのその一言で部屋の空気が凍る。ケンスケは横の丸椅子を引き寄せるとトウジに背中を向けて座る。気まずい沈黙が流れた後、口を開いたのはケンスケの方だった。
「ああ、それでも俺は乗りたい
シンジみたいに使徒が倒せなくてもいい
惣流みたいに自慢できなくてもいい
綾波みたいに動かせなくてもいい
使徒と相打ちになったっていい
いや、あいつらを庇う楯の役だっていい
使徒をおびき寄せる囮だっていい
俺はEVAに乗りたい
もうあいつらに守ってもらって暮らすのは嫌だ
あいつらが俺達を守って傷付くのが嫌だ」
喋っていくうちにだんだんとケンスケの声が潤んでくる。
「何故シンジなんだ?何故惣流、何故綾波なんだ?……トウジ、何故お前なんだ!」
「EVAに乗った知り合いが傷付いていくのに、なんで……なんで俺は見ているだけしか出来ないんだよ!!」
魂の奥から絞り出すような叫び。そこから先は鳴咽に消されて声にならない。
トウジの知る限り、ケンスケは滅多なことでは自分の感情を持て余したりしなかった。その彼が顔を背けて泣いている。そんなケンスケを身近に感じられる反面、相手を理解し切れていなかった自分を恥じた。
だからトウジも口を開いた。彼ともっと分かり合う為に。
「ケンスケ。やっぱ自分、間違うとるがな」
「……お前に何が解る」
ケンスケの返答は刺々しかったが、トウジは構わず続ける。
「思い出してみぃ、シンジは一遍たりともワシ等に泣き付いたり、弱音吐いたりはしぃせえへんかった。
シンジが欲しかったんは、あそこで自分の代わりに戦ってくれる奴やない。シンジが欲しかったんは、自分をあそこから現実に連れ戻してくれる、ダチやったんや。
そんなん出来るん、そうはおらんで」
「ワシ等だけや」
「せやからケンスケ、シンジん事 よろしゅう頼むで。アイツが帰ってくる場所 用意しとけるん、お前だけやさかい」
「お前はどうなんだよ、トウジ。俺だけに押し付ける気か?ズルいぞ」
ケンスケの声にも幾分ハリが戻ってくる。
「お前も……なんだろ?」
「なんや、薮から棒に」
「お前も俺みたいに思ったから、EVAに乗ったんだろ?」
「……アホ抜かせ、ワシは赤木博士っつうんが、イモウトをもっといい病院入れてやる言うから……」
「それが一番の理由だろうけど、それだけじゃないだろ?」
トウジは不貞腐れたような顔をしていたが、ついに観念して笑い出す。
「……何でもお見通しかいな、かなわんわケンスケには」
「長い付き合いだからな、その位は見当付くさ。トウジのことだ、シンジが転校してきてすぐ、アイツを殴っちまったのがずっと気になってたんだろ?」
「ああ、どっかであの借り、返したかったんや」
「だったらアイツの帰ってくる場所、用意しておいてやろうぜ」
先刻の険が取れ、無邪気に笑いかけるケンスケに対し、今度はトウジの顔が浮かない。
「いや……ワシには、もう無理や。シンジのいる世界に、片足突っ込んでもうた。
……さっきの話な、偉そうなこと言うたけど、ホントはあれ、ワシのことねん。ワシも、いっちょまえに 〜シンジの手伝いしたる〜 なんて考えとったんや。
せやけどシンジのいる所は、そんな甘っちょろい考えが通用するほど、やさしゅうなかった」
「ワシはシンジを救えんかった。
それだけやない、自分見失のうてシンジを、惣流や綾波を、殺そうとしてもうた。ワシがEVAに乗らんかったら、ワシが使徒に負けへんかったら……こないなことにはならんかったんや。
……挙げ句にシンジを追い詰めてもうた。シンジの奴、あの後オヤジに楯突いた言うねん。あのシンジがやぞ?!」
「せやから、この足は……自業自得や」
トウジは自嘲気味に左足の付け根を叩く。
「トウジ、お前……」
今度はケンスケが暗くなる。トウジはそんな様子を横目に見、ニヤリと笑うと明るい調子に切り換える。
「と、辛気臭いんはここまでや、実はワシ、来週の頭にここから他へ移るねん。多分連絡もようけ取れへんようになってまうさかい、後ンこと頼むわ。
シンジに会えたら言うといてくれ、『終わったことは気にせんと、早うケリ付けて帰ってこいや』ってな」
「移るって、どこへだ?」
「まだはっきりしとらんけどな、多分浜松辺りのリハビリ施設言うとった。NERVには、そんなん無いんやと」
「浜松か……遠かないけど近くでもないな」
「リハビリにどんだけかかるか判らんが、ワシは必ず戻って来るでぇ」
「ああ、シンジと一緒に待っててやるから、早く帰って来いよ」
「当たり前や、ワシは鈴原トウジ様やぞ。こんくらいでへこたれてたまるかいな」
病室の中からは楽しそうな笑い声が漏れ出てくる。ヒカリはドアの外でそんなやり取りを聞きながら、声を殺して泣いていた。
一見明るく振る舞っているが、トウジの心の傷はかなり深いと看護婦から聞いた。夜になってもぐっすり眠れないらしい。ひどい時にはベッドの上でボロボロ涙をこぼしながら、毛布を被って震えていたと言う。
夜眠れない反動か、見舞いに行ってもうつらうつらしていることが多い。そして、そんなまどろみの中にも、時折EVAの残した傷痕が顔を出す。うなされている時はいつもそうだ。
でも起きている時のトウジは、ヒカリやケンスケにはそんな素振りは微塵も見せない。強がりなのか、無用の心配を掛けまいとしているのか、彼はいつも自然に振る舞う。
―なぜ鈴原はそんなに強くていられるの?―
―その強さは何処から来るの?―
そんな質問をしたくなる。自分はアスカを引き止められなかった。親友のようなフリをしていたけど、肝心な所でアスカを信じてあげられなかった、アスカの居場所を作ってあげられなかった。
―弱虫だ、私は―
アスカの家出のことでミサトに呼ばれた次の日、ここへ見舞いに来た時もそうだった。やけに覇気の無いヒカリの様子にトウジが訝しがって声を掛けた。
「イインチョ、どうかしたんか?」 多分、自分の中に溜まった澱を、吐き出す場所を求めていたのだろう。ヒカリは何かに追い立てられるように、事の顛末を洗いざらい話して聞かせた。 「……私、怖かったの、アスカの一番の親友のつもりでいたけど、アスカは何にも相談してくれなかった。私も、アスカとの関係を壊すのが怖くて無理に聞かなかったの。 ううん、違うの。アスカを怒らせて嫌われるのが怖かったの!」 「私、アスカの親友のつもりでいたけど、ホントはそうじゃなかった。私としてじゃなくて、学級委員として友人関係を壊すのが嫌だったの。 皆に嫌われないイイ子でいたかったから、アスカと仲がいいフリをしていたの。アスカのホントの心を知ろうとしなかったの!だから、だから!……」 「イインチョ!……もおええ、もおええんや」 「でも……でも……」 「うわべだけの付き合いやったんやら、そんな風に泣いたりしぃせぇへん。イインチョは惣流にとって かけがいの無いダチや、惣流もわかっとる。 いつまでも泣いとるもんやない、せっかくの美人が台無しやで」 トウジは言って締まってから、自分の発言に気付いて赤くなった。ここでハンカチの一つでも出せればいいのだが、病室で患者服では逆さにして振った所でそんな気の効いたものは出てこない。こういう時に締まらない辺りが、トウジのトウジたる由縁であった。 |
ケンスケが帰った後も、ヒカリはトウジの病室にいた。泣いた後を隠すのに苦労したが、トウジがそれに気付いたような素振りはなかった。
「いつもいつもスマンな、イインチョ」
「ううん、いいの」
「シンジに会えんのは心残りやが、ケンスケなら何とかしてくれるやろ。これでひとまず安心やな」
2人のこんな信頼関係を見ると、心底羨ましいと思う。私とアスカも、いつかこんな風に分かり合える様になれるだろうか……
「ねえ、鈴原……無理しないで」
「なんや、いきなり」
「まだヤな夢、見るんでしょ?」
トウジは口篭もる。
「私じゃ、頼りないかもしれないけど、何でも一人で抱え込まないで」
「……スマン、要らん心配させてもうたんやな」
「ううん、いいの。そこが、鈴原のいい所だと思うし……」
「なぁ、イインチョ。スマンが 手ぇ、握っててくれへんか?」
トウジが気恥ずかしそうに顔を背けながらヒカリに頼む。
「うん、いいよ」
多少頬を染めながらヒカリは快諾する。
「ケンスケと話をしてたら疲れてもうた、少し眠らせてもらうわ」
包み込むような掌の感触に安心出来たのか、トウジはすぐに高いびきをかき始める。ヒカリはトウジの手をぎゅっと握って、想い人の寝顔に微笑んだ。
「早く良くなってよね。……私も待ってるから」
「ふぅぅぅ」
シゲルは本日十何度目かの溜息を吐いた。
今、第二発令所に彼以外は誰もいない。マヤは初号機の調整で、ここ数日ケイジと技術部を行ったり来たりしている。マコトは先刻、作戦室で戦闘記録のチェック作業だと言って出ていった。ミサトとリツコはフレックスタイムでまだ出てきていない。もっともリツコはここ数日の間休みっぱなしだが。
シゲルも別に一人でおヒマしている訳ではない。前回の戦闘で吹き飛んだ大涌谷周辺の観測機器群の再敷設作業が終り、今はMAGIがその動作チェック中である。マヤが初号機にかかりきりな事もあり、一時的にMAGIの面倒まで見る羽目になっているので、次の交代要員が来るまではコンソールの前から離れるわけにはいかない。
MAGIが第三新東京市周辺に張り巡らせた通信、観測機器群が正常に機能している事を告げる。
―何時来るか、何処から来るか、どんな奴が来るか―
一体一体が掛け離れた形態と行動様式を持ち、何の規則性も周期性も見せない使徒に対し、普遍的な対抗策を作ることは事実上不可能だ。となれば、使徒が出現してから交戦に入るまでの間に、少しでも多くの情報を手に入れるしかない。そのために第三新東京市周辺には、ありとあらゆる観測機械が完全自動化されて敷設されている。会敵する前から、戦闘は始まっているのだ。人類の存亡を賭けた戦いの、言わば前哨戦である。
自分がその前哨戦の矢面に立てる事に、シゲルは少なからず誇りを持っていた。一度でも使徒を退けることに失敗したら、人類はそこで終りなのだ。絶対に負けられない闘いだからこそ、勝つ為の最大限の努力を。シゲルは通信制御、情報分析と言う自分の仕事について、そう考えていた。
そこまで行ってシゲルは、その最大限の努力を常に強いられている子供達のことを思い出した。時計を見る、いつもの時間だ。
別タスクを開いて本部内のセキュリティシステムにアクセス、アスカの病室の監視カメラに接続する。少女の元には、今日もシンジが訪れていた。
先日廊下で見たシンジの顔を思い出す。前からオドオドした雰囲気の付きまとう子ではあったが、その時の彼の顔色は、絶え間無い心労からか精神的に追い詰められた、まるで半死人の様相を呈していた。
「ったく、マコトの大馬鹿ヤロー」
―ナニ吹き込んだのか知らないが、あのままじゃ先にツブれるのはシンジ君の方だぞ―
「何とかしなけりゃなぁ」
シゲルは本日十何度+1度目の溜息を吐いた。
「もう、残された時間は残り少ない」
LCLに満たされたシリンダーの中では、レイが一糸纏わぬ姿のままで浮き続けている。
「だが、我々の願いを妨げるロンギヌスの槍は、既に無いのだ」
それを外から見上げるゲンドウの声に、次第に力が篭ってくる。
「まもなく最後の使徒が現れる筈だ。それを消せば願いがかなう。もうすぐだよ、ユイ。
……もうすぐだ」
いささか熱に浮かされたような顔で独白を続けるゲンドウを、ガラスごしに紅い瞳が無感情に見下ろしていた。
「引越し……ですか?」
「うーん、ちょっと違うんだけど」
マコトは頭掻き掻き言葉を繋ぐ。
「葛城さんのマンションもそんなに郊外にある訳じゃないからね。この前みたいなことがあると危険だし、一時非難ってところさ」
見舞いの帰りにマコトから伝えられたのは、コンフォート17から本部内の宿泊施設に移れ、という転居命令だった。
戦闘の激化に伴なって、既に第三新東京市全域に退避勧告がなされていた。零号機の自爆が証明したように、熾烈になる一方の使徒との戦いの中では、もはや耐爆シェルターなど何の効果も無かった。
一般市民はとうに第三新東京市を離れ、今現在 市内に残っているのはCクラス以上のNERV職員と、立ち去る事を良しとしない極一部の住人だけだった。
「食事はカフェテリアに行けばいいし、洗濯もすぐそこにコインランドリーが出来たから生活には困らないし。入り用な物があったら、上で買って来てあげるよ」
「長く、なるんでしょうか?」
「うーん、正直よく分からないけれど、多分司令が何か策を考えていると思うよ。ま、ここが正念場だ、頼むぞシンジ君♪」
笑い顔でシンジの肩をどやしつける。例えカラ元気でも前へ進む力にはなる。敢えてわざとらしく振る舞うことで、彼の眼を重圧から引き剥がしてやりたかった。シンジ一人に重荷を押し付けてしまった彼の、せめてもの罪滅ぼしのつもりだった。
シンジはマンションに戻った後、荷造りを始めた。元々甲斐性ナシな彼のこと、私物の類は少なく、必要なものは大きめのスポーツバッグ一つに入り切ってしまった。残りもテキペキとダンボール箱2.3個にまとめる。ここら辺の手際の良さは、日頃から家事と他人の世話に慣らされている彼ならでは、と言うところか。
そこまで行ってシンジは、アスカの荷物を忘れていたことに気が付いた。
―忘れてた、アスカの荷物だ。でもどれが必要でどれが不要なんだか見当もつかないや。それに数が多いし―
―あの部屋の中の何処にしまってるんだろう、と感心するぐらい沢山ある。しかも、どれもこれもしまいっぱなしではなく、こまめに入れ替えてるらしい。女の子って…… ―
「……アスカにとって、この家って何だったんだろう。……居心地良かったのかな?仕方なく住んでただけだったのかな?……」
リビングに出て、アスカの部屋への襖に目をやる。ホワイトボードの掛かったジェリコの壁は、今も彼女の居室を無粋な侵入者から守り続けていた。
「……ここは、また 帰って来たい場所なのかな?」
「……僕は……どうなんだろう」
シンジはしばし手の中の荷物に視線を注いでいたが、やおらさっき詰めたボストンバッグを逆さにすると、せっかく詰めた中身を床にぶちまけてしまう。今度はダンボール箱を開くと幾分小さいスポーツバックを取り出し、SDATのテープ数本と服を何着か放り込む。
「絶対ここに帰ってくるんだ。今持ってくのは最低限でいい」
家の中を見苦しくない程度に整える。アスカの私物はわざとそのままにしておく。全てが片付いた後で満足げに息を吐いたシンジは、スポーツバック片手に家から出る。
「……言って来ます」
誰へとも無しにそう言うと、シンジは玄関にロックを掛けた。
第一脳神経外科病棟
303号室
「患者の状態は?」
「今日の分は、一通り投薬が終了しました」
「身体の衰弱の方は?」
「ブドウ糖と栄養剤の投与で持ち直しました、モトが若いですからね。……しかし、本当にいいんですか?」
「ああ、司令直々のお達しだ。」
「前のファーストチルドレンの時もそうだったじゃないですか。あの時はロクな検査も無しで『すぐに退院させろ』で、今度は『退院させるな』だなんて……人の命をなんだと思ってるんでしょうかねぇ」
まだ若い医師が憤懣やる形無し、と言った感じで吐き捨てる。一方白髪混じりの壮年の医師が半ば諦めた様に諭す。
「所詮我々は雇われ医師に過ぎん、ここで出来ることなどタカが知れておるよ」
「だからって……」
「もうその話は終りだ、ここで長くやっていきたかったら余計な詮索は慎むことだ。ここはそういう職場だからな」
若い方が不承不承、と言った感じで肯く。壮年の方がカルテを小脇にドアの開閉スイッチを触る。
「さぁ、次に掛かろう、我々が預かっている命は、彼女一人じゃないんだ」
2人が消えて、またこの部屋は静かになった。
アタシ、EVAに乗れないの
EVAに乗っても、もう 動かせないの
だから、ミサトもアタシのコト、見てくれないの
ミサトもアタシのコト、イラナイの
アタシ、オトナじゃないの
ミサトみたいにオトナじゃないの
だから、加持さんもアタシのコト、見てくれないの
加持さんもアタシのコト、イラナイの
アタシ、キタナイの
アタシがキタナイコト、シンジに知られちゃったの
だから、シンジもアタシのコト、見てくれないの
シンジもアタシのコト、イラナイの
アタシ、シネなかったの
ママと一緒に、シンであげられなかったの
だから、ママもアタシのコト、見てくれないの
ママもアタシのコト、イラナイの
誰もアタシのコト、見てくれないの
誰もアタシのコト、イラナイの
アタシ、イラナイ子なの
―僕はなんでEVAに乗ってるんだろう。EVAに乗ってたって、いいことなんてひとつも無かったのに―
―僕はなんでEVAに乗ってるんだろう。EVAに乗ってたって、結局アスカも綾波も救えなかったのに―
―父さんもミサトさんも、僕がEVAに乗るのが当たり前になってる。……いや、僕もだ―
―トウジに怪我させて、アスカを追い詰めて、……綾波を…… ―
「まだ僕はEVAに乗ってる。……何の為に……」
<シンジ君、神経パルスが乱れてるわ、どうしたの?>
「ごめんなさい、何でもないです」
モニターの向こうにいるマヤに生返事を返す。インダクションレバーを握り直すが、一向に考えはまとまらない。
―確かにEVAに乗ってるとしっくり来る、EVAに乗ってると安心出来る―
―でも最近は、違うんだ。
EVAから降りてもまだEVAと繋がってるような感じがする―
―EVAと僕のさかいが見えなくなるような……僕が僕でなくなるような―
―僕とEVAの違いがボヤけていく―
―僕が……ボクなのか、EVAなのか、わからなくなる―
「駄目ですねぇ、シンジ君」
マヤはモニターを見ながら嘆息を付く。彼女は無断欠勤の続くリツコに変わり、不眠不休で初号機修理の指揮を取らなければならなかった。おかげで勤務シフト表なぞ何処へやら、ここ数日は本部に詰めっぱなしである。
あの自己管理に厳しいリツコが全く音沙汰無しで休み続けているのだ、マヤにしてみれば気が気ではない。電話を掛けても留守録のままで返事はナシ、よっぽどのことがあったのだろうが、片付けなければならない仕事が多すぎてリツコの自宅へ様子を伺いに行く事すら叶わない。忙しすぎてMAGIのメンテナンスに至っては全くの手付かずのまま、シゲルに頼んでログの確認だけ取り、後は自己診断プログラムに全てを預けている有り様なのだ。今彼女が抜けては、被害は広がるばかりである。
現状に於いて、リツコの抜けた穴は途方も無く大きかった。
幸い初号機の修理は予定通り終了し、今日になってやっと機体連動実験が可能になった。だが、肝心要のシンジと初号機のシンクロ率が、いくらやっても上昇しないのだ。アスカが弐号機に乗れない今、対使徒戦闘に投入出来るEVAは、もはや初号機しか残っていないというのに。
「これではとても戦闘には耐えられませんよ」
モニターに駆り出された日向が隣でぼやく。
「なんで僕はEVAに乗ってるんだろう」
―EVAに乗ればみんな褒めてくれる―
―EVAに乗ればみんな優しくしてくれる―
「……だからかな……」
「じゃあEVAに乗らない僕って、なんだろう?」
「EVAから降りた僕に、価値ってあるのかな? 何か残るのかな?」
病室で寝ているアスカの姿が脳裏をよぎる。
「それが欲しくてアスカのお見舞いをしてるのかな……」
(それで誰かに褒めてもらいたいのか?)
「違う……違うよ……」
「アスカは今、独りぼっちなんだよ」
「側に誰もいないんだよ」
「そんなの……寂しすぎるよ、可哀想じゃないか」
(誰が可哀想なんだ?)
「決まってるじゃないか……それは……」
(自分か?)
「…………違うんだ。……そうじゃない……」
(なぜそう思う?)
「……そうじゃない……」
「……そうじゃないよ……」
(本当 だな?)
「あれ?神経パルス、安定しました」
さっきまでバラ付いていたシンクログラフは、突然復調し、モニターの数字は嘘のように安定している。
「シンクロ率は?」
「99.89%。前回と全く同じ所まで持ち直しました」
「どうなってるのかしら?」
話を振られた日向は肩を竦めるしかなかった。
シンジは洗濯物を抱えてコインランドリーへと向かっていた。持ち込んだ手持ちの服の数が少ないので、こまめに洗濯しないとすぐに服のローテーションが尽きてしまうのだ。それは待機任務の続くシンジにとって、軽い気分転換も兼ねていた。
シンジが目的地に辿り着いた時、既にコインランドリーには先客があった。全自動型の洗濯機が一つ、稼動しているのがガラス越しに見て取れる。洗濯物の主だろう、誰かが脇のベンチに座っている。何の気無しに横目でご同業の輩の顔を拝見する。
「あっ……」
そのまま言葉が継げなくなってしまう。そこにいたのは、いつもの制服姿の綾波レイだった。
レイはちらりとシンジの顔を見上げたが、すぐに読んでいた本の上に視線を戻す。気後れしたシンジは、チラチラとレイを気にしながら洗い物を放り込む作業を始める。
ゴソゴソ・どさどさっ・ざぁっ・……パタン。
汚れ物を全て収め終わり、モードを指定したらスイッチを入れて一息、モーターの駆動音と共に洗濯機が回りはじめる。後は一連の行程が終了するまでの時間、ぼうっとして待つだけだ。
いつもだったらベンチに腰掛けてSDATでも聞いているのだが、今はレイが座っている。そっちを見ると、レイはさっきと同じ体勢のまま、手にした文庫本に眼を落としていた。視線に気付いたのか、こちらを振り仰ぐ。内なる感情を感じさせない紅い瞳がシンジを刺し貫く。
「何?」
「い、いや、別に用って訳じゃ……ど、どうしたの?」
「……洗濯」
「あ、あ、うん。そりゃ そうだよね、当たり前だよね、は、はは……」
通り一遍の受け答えの上では、レイは以前と変わり無い。だが、ちょっとした仕種や言葉端に感じる違和感が、シンジの心を抉る。
これがミサトや他のNERV職員なら、彼女の持つ違和感に全く気付きはしないだろう。そんな事に気付けるほど、彼女と深く関わり合いを持たなかったのだから。
ところがシンジはそうではなかった。他人の顔色を伺いながら生きることを強要されてきた彼は、それを感じ取る術に長けていた。今まで共に戦場をくぐり抜けて来た彼女の変化は、ターミナルドグマで見たあの光景を思い起こさせるには十分だった。
リツコから聞かされた真実。
レイの「違い」は彼の心を容赦無く苛み続ける。彼が苦痛の発信源である彼女から「逃げる」ことは簡単だった。
だからターミナルドグマでの一件からこっち、シンジはレイに会っていなかった。先週から学校も閉鎖されており、レイに会うにはアパートに出向くか、本部で辛抱強く待つしかなかった。そしてシンジはそのどちらもして来なかった。
以前とて、レイと上手く意志疎通が出来ていたとは言い難い。もとより人と話すのが苦手なシンジのこと、会話のレスポンスが少ないレイは、取っ付き難い相手だった。だが、極たまにシンジに見せる人間くさい素振りやちょっとした言葉端に、なんとなく彼女との繋がりを感じていた彼は、今のレイに会うことで己の中にある幻想が崩れることを恐れていた。
彼はアスカの病状とその看病に逃げ込むことで、自分の意識から彼女の事を締め出していたのかも知れない。
自分の洗濯物が仕上がるまで、かなりある。狭い空間の中にレイと一緒にいる事がたまらない苦痛に思えたが、何か話し掛ける勇気も、このまま無言で済ませられる図太さも、今のシンジには無かった。
「何か言わなければ」と思うが、言葉が出てこない。
「あ……、あのっ」
やっと口が動きはじめたその時、
「Beeeep!」
洗濯機が間抜けな音で鳴くと、仕上がった洗濯物が袋詰めされて吐き出される。レイはそれを持っていた袋に押し込むと、シンジの前を通り過ぎて、何も無かったように出ていった。一言も挨拶は無く、シンジへ視線が投げられる事もなかった。
「プシュゥ」
扉が閉まる。シンジはその場で唇を噛み締めたまま、いつまでも立ち続けていた。
どうも、鳥坂です。
まだまだ先が見えませんが、やっと「不甲斐ないボク」の話が書けました。題名の通り、皆 不甲斐ないです。そんな不甲斐ない自分が嫌いです。トウジもヒカリもケンスケも、マヤもシゲルもマコトも、何も出来ない自分に歯噛みをしているんです。だから足掻きます、どうにかして立ち上がろうとのたうちます。それぞれの人間が自分の置かれた状況で出来ること、最善だと信じていることを精一杯やる。それで道が開ければ、一番いいな と。
劇場版Airの様に、すべての責任をシンジに被せても、すべての救済をレイに求めても、すべての希望をアスカに押し付けても、決して気持ちのいい終り方にはならないでしょうから。
本編で切り捨てられたところをピックアップするには、既製のキャラでは対応し切れないと思い、ミサト修正用に『加持の元部下』を造って投入しました。どうも加持って「007ばりの凄腕のスパイ」ってイメージが固まってますけど、全てを自分一人で出来る訳はないので、いくらか手駒がいたんじゃないでしょうか。
セイルは骨の髄まで「裏の世界」の住人です。ミサトの眼をSEELEと人類補完計画からシンジとアスカに戻すには、鏡に映した今の自分を見せてやればいいかな、と。
今回、アスカの心理描写がしつこいような気もするんですが、DEATH編以降の彼女とは少々違うことをハッキリさせとかないと、この先補完がやりにくいんで。苦手な人、すいません。
うーん、最近精神的に煮詰まってます。LD版の「涙」を見て、ガイナックスにしてやられた感じです。
どうこねくり回しても上手く行かない。例え自分の思う所を文にしたとて、それは既に誰かが形にしていたら。最後まで行って、結局愚にもつかない結論しか生みだせなかったら。
RASHだなんて偉そうな事を吐いたけれども、自分の認識したEVAは虚像だったのか、EVAの一つの大きな形であるTEOEを否定した所からして間違っていたのか、そもそも私がEVAの補完を願ったこと自体が間違いだったのか。
こんな話を書くコト、それが自己満足にさえもなっていないとしたら。
煮詰まってます。