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それはある春の日だった。
桜の花びらが舞い散る中、君はそこにいた。
君はまるで天使のようだった。
その時、僕は君に恋をした。

夏のある日、君と一緒に行った
夜、二人で浜辺を散歩した時、
君は「ごめんなさい。」って言ったね。
でも、僕は君を忘れられなかった。

秋、そっけなかった君の本心を知った。
君は彼女と僕のことを・・・
「気の迷いよ。」そう言ったね。

でも、がたくさん降った、 あの冬
雪だるまが見ている前で二人は結ばれた。
君は僕に心を開いてくれた。


「幸せな恋」


Written by "TIme is like a dream to ME" 97/12/6
This story dedicate to all visitor in Maison EVA.


その風は木々の葉を揺らし、電線を抜け、とある窓のカーテンを揺らした。
雲に隠れていた月が現れ、月の光が淡く景色を浮かび上がらせる。
街は静まり返っている。車道には車はなく、街灯りもまばらで、
世界中の人々が眠っているようである。

碇シンジはベッドに横になり夜空を見上げていた。
そこにはさまざまな星座が浮かんでいが、月の光が
強いため、あまり良くは見えない。

「月の光で、他の星は良く見えないな。」

月の光が、そうつぶやく中性的な顔立ちのシンジを照らしだす。
彼の右隣では綾波レイがシンジの右手を握って、
安らかな寝息を立てている。

シンジ、レイの二人共、大学生である。歳は二十歳で、
もう成人とみなされる年頃であるが、まだまだ二人とも子供っぽい。
シンジは親元からはなれて、大学近くの小高い丘に
立っているマンションを借りている。マンションと言っても
学生用なので、さほど家賃は高くない。
レイとは半同棲であるが、レイが泊まっていくのは
週のうちで四日ほどである。

ベッドで寄り添う二人は、何も身につけていなかった。
床には二人のガウンや下着が脱ぎ散らかされている。
そして、薄手の毛布が二人をやさしく包み込んでいた。
もう季節は秋であるが、それほど寒くなく、
窓から入ってくる風が心地よい。
シンジは自分の右手を見る。
レイはシンジと一緒に寝る時は必ずシンジの手を握って眠る。
「寝てる間にいなくなりそうで。」
レイはうつむき頬を少し赤く染めてそうシンジに言ったものだ
その様子を思いだし、シンジはレイをいとおしそうに見つめる。

ふいにレイを照らしていた光が弱くなる。
月が雲に隠されてしまったからだ。
さきほどまでよく見えなかった星が
見えるようになり、シンジは目を凝らす。
夏の星座の蠍座がきれいに見えた。
ひときわ輝く赤い星は戦争の星のアンタレスだ。
シンジは小さくため息をつくと、壁に掛かっている時計を見る。

「もう、二時なんだ。」

そのつぶやきで、レイが少し身じろぎし、目を覚ます。
前髪をかきあげ、シンジの顔を見ると、けだるそうに聞く。
「・・・もしかして、・・わたし寝ちゃってた?」
微笑んで答えるシンジ。その前髪が風で揺れる。
「うん、だいたい二時間くらいだね。」
握っていたシンジの手を離し、こてん、と枕に顔をうずめるレイ。
「・・けっこう眠い。」
シンジは自由になった手を頭の後ろで組んで窓の外を見る。
隠れていた月が現れ、再び部屋を淡い光で満たす。
「うーん。ちょっとシャワー浴びてくるね。」
レイはベッドからするりと抜け出すと、
ベッドの脇に置いてあったガウンを着て、部屋から出ていく。
シンジはそれを見送ると、また窓の外の夜空を見つめる。
風が少し強くなったのか、窓の端のカーテンが大きく揺れる。
ドアの向う側から、シャワーの音がする。

どれぐらいたったであろうか、
レイが髪をバスタオルで包んで部屋に入ってくる。
「ねぇ、シンちゃんも入ったら?」
「うん。そうするよ。」
シンジはベッドから出てガウンを羽織ると、
部屋から出て、浴室に入る。
浴室は暖かく、柑橘系の香りが少しした。
シンジはコックを捻りシャワーを浴び始める。
たちまち湯温調節機能が働き、ほどよい暖かさの湯が
シンジを包み込む。
「ふた月か。」
レイとそういう関係になってもう二ヶ月が経過している。
まだ二人の間に少し照れが残っているが、シンジは
今の二人の関係に満足している。
ずっとこの関係が続けばいい。シンジはそう思っていた。

レイはベッドの端に座り、髪をバスタオルで拭いていた。
ふと窓の方を見ると、水平線の彼方に 赤く光る点が見える。
おそらく外洋航路の船だろう。

「月が出てないと、水平線がどこなのかわからないのね。」

ぽつりつぶやくと、レイは立ち上がり、
ドライヤーとブラシを持って来る。
ていねいにブラッシングしながらドライヤーで髪を乾かす。
ふとレイは髪をひと房掴んでじっと見つめる。
「もうちょっと伸ばそうかな、その方がシンちゃん喜ぶかな?
男の子は女の子の髪が長い方が喜ぶって言うし。」
そうつぶやくとレイは再びドライヤーで髪を乾かし始めた。

シンジがワインとグラスを持って部屋に入ってくる。
「ねぇ、綾波は明日、授業何コマからだっけ?」
ベッドの上にで女の子座りをして、外を眺めていたレイが
シンジの方を振り返り、不満そうに答える。
「シンちゃん。いつになったら、
わたしのことレイって呼んでくれるの?」

ベッドの端のテーブルにワインと
グラスを置いて、シンジは照れ臭そうに答える。
「だって、それまでのクセはそう簡単には直らないよ。」
レイはすねるように唇をとがらせる。
「でも、もうふた月くらいたつのよ。
シンちゃんはわたしのこと、愛してないのね。」

シンジはベッドの端に腰かけ、レイに囁やく。
「好きだよ。・・」
そして、すばやくレイを抱きしめる。
「・・だから、こうするんだ。」
レイはシンジの背中に手を回すと、
「もう、強引なんだから。」
とシンジの耳元に囁やく。
「そんなことないよ。あの時こうできたから、
今一緒にいれるんだからね。」

レイはシンジの瞳を見つめ答える。
「そうね。そうよね。」
二人は見つめ合う。
レイはくすりと笑い、軽く目を閉じる。
シンジも目を閉じ、レイの唇に自分の唇を重ねる。

「ねぇ、これって結構甘いんだね。」
ワインを一口飲み、レイはちょっとびっくりしたようだった。
「そうだね。お店の人が甘いって言ってたけど確かに甘いね。」
シンジもうなずく。
「これだったら、わたしでも飲めそう。」
「そう?苦労して探したかいがあったな。」
シンジは嬉しそうに、ワイングラスを見つめる。
グラスの縁が月の光を反射して、鈍く光っている。
「ね、シンちゃん。こっち来て。」
レイは両手をシンジの方に広げて甘えるように言う。
シンジはレイの隣に座り、レイを少し強く抱きしめる。
「・・ぅん。どうしたの?そんなに
強く抱きしめられると困っちゃうよ。」

シンジは無言でレイを押し倒す。
レイはされるがままだ。少しガウンの前がはだける。
シンジの腕の中でレイはおとなしくシンジを見上げている。
少しうるんでいるレイの瞳にシンジが映る。
両手は恥ずかしそうに胸元を両手で隠している。
そんなレイにシンジは以前、
「もうこんな関係なのに恥ずかしい?」
と聞いたが、
「それとこれとはハナシが別だもの。」
と答えられて不思議に思ったものだ。
月の光に照らし出されたレイの身体は息を飲むほど美しい。
シンジはわかっていても見とれてしまう。
レイは少し頬を赤らめていた。
確かにシンジには全部見られているが、
それでも恥ずかしいという気持ちは消えていない。
少し首を傾げてシンジに聞く。
「またしちゃうの?」
シンジはレイの髪をなでる。
外を車が走っていく。
月の光が弱くなり、部屋の中が暗くなる。
「レイはどう?」
シンジは微笑みながら聞く。
「・・シンちゃんがしたいなら、してもいいよ。」
恥ずかしそうに少し頬を染めて、上目使いでシンジを見るレイ。
二人きりの時にしか見せないその表情を、
シンジは何回も見ているが、まだ、どきどきしてしまう。
「・・今日はやめとこ。明日はおやすみだけど。」
なんとか理性を総動員させるシンジ。
「そう。」
にっこり微笑むレイ。内心残念な気はするが、
明日からしばらく一緒にいるからいいかと思い直す。

シンジはレイの右側に横なると、
レイの髪を指にくるくる巻き付ける。
ほとんど無意識の動作である。
「シンちゃんって私の髪、さわるの好きね。」
「なんか、クセで。」
「アスカの髪でも同じ事してたの?」
からかうようにレイが聞く。
そっけなくシンジは答える。
「うん。アスカは機嫌のいい時にしか、
さわらせてくれなかったけど。」

レイはその言葉を聞き、真顔になる。
「・・やっぱりシンちゃんとアスカって
そういう関係だったんだね。」

にこりと微笑むシンジ。
「うそ。」
「・・・シンちゃんのイジワル。」
レイは頬を膨らませて、がばっと起き上がる。
「レイが始めての人だって言ってるのに、
まだ信じてくれてないの?」

レイはシンジに背を向けたまま答えた。
その背の輪郭を月の光が浮かび上がらせる。
「だって、シンちゃんって、あの時・・えと、その、始めての時、
すごくやさしくて、痛いって聞いてたけど、全然そんなことなくて、
それになんかすごく慣れてたみたいだったから。」

シンジは苦笑する。
「そんなことないよ。内心冷汗もんだったんだから。」
シンジは今ではいい思い出となった、その時のことを思いだす。
確かにうまく行ったけど、始めてのことだったから、
順番間違えてえらく困ったっけ。
レイはシンジの方を見る。
「ほんとに、信じていいの?」
「いいんだよ。」
やさしく答えるシンジ。
「わかった。シンちゃんのこと信じる。」

「ねぇ、シンちゃんは私でよかったの?」
少しうつむいてレイはシンジに聞く。
シンジは起き上がりレイを背中から抱きしめる。
「綾波でよかったと思ってるよ。
僕にとって綾波は一番大切な人だから。」

レイは両手を胸の前で組んでうつむく。
その瞳から涙があふれる。
その涙は頬をつたい、抱きついているシンジの腕に落ちる。
月の光を反射して、涙は水晶のような輝きを放つ。
シンジはレイの顔をのぞき込む。
「どうしたの?何か変なこと言っちゃったかな。」
レイは首をふるふると振った。
「凄く嬉しいの。おかしいね。こんなに
嬉しいのに泣いちゃうなんて。」

涙を流しながら、にっこりと微笑むレイ。
シンジは胸がきつく締め付けられるような
感覚を味わいレイをきつく抱きしめる。
「ずっと一緒だよ。どんなことがあっても僕達はいつも一緒だ。」
シンジの腕の中でレイはこくんとうなずく。
「うん。ずっとわたしのそばにいてね。
シンちゃんなしではわたしは生きていけないの。
わたしの幸せはシンちゃんのそばにいられること、
それを忘れないで。」

「忘れない。・・愛してるよ、レイ。」
そして二人は唇を重ね長い長いキスをした。
二人を銀の光が包み込んでいった。


ver.-1.00 1997-12/10公開
ご意見・ご感想は sugimori@muj.biglobe.ne.jpまで!!

あとがき

ども作者のTIMEです。

めぞんEVAの40万ヒット記念ということで、
書きましたこの作品ですが、いかがだったでしょうか?

35万ヒットで何か書こうと思っていたんですが、
いつの間にやら37万ヒットになっていて、書けなかったので、
今回は慌てて書きました。
#おそるべし、めぞんEVAのアクセスカウンター。って違うか。(^^;;

最近設定に縛られまくっていたので、
まぁ、自由にやろうと書いてみたのが本作品です。
タイトル通りシンジとレイの幸せな恋のお話です。

次は45万ヒット記念ですね。
なんとか書ける状況であればいいんですが。
#yes,修論がぁぁぁ。(;_;)

では、連載の方でお会いしましょう。


 TIMEさんの『幸せな恋』、公開です。
 

 【めぞんEVA】もついに40万HIT(^^)

 LASの力の強い【めぞんEVA】
 それは大家がLAS人だから(^^;

 その【めぞんEVA】の40万HIT記念に
 LRSを送ってくるとは・・・

 やられた〜〜(笑)
 

 

 LAS人は、
 シンジもしくはアスカが
 この組み合わせ以外とカップルを作っているとダメージを受けるんです(^^;

 いい雰囲気であればあるほどそのダメージは大きくなっていきます。
 

 この作品を読んだ私は・・・

  ダメージ・・・

   甚大(N2{ジオフロントの隔壁を吹き飛ばしたクラスのN2}爆)
 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 大家殺しTIMEさんに感想メールを送りましょう!


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