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この想いが恋だと気づいたのはいつだっただろう。
君はいつも僕の隣にいた。
くじけそうな僕をいつも励ましてくれた。
そして僕も君を見つめていたんだ。
あの日、君が僕に言った言葉。
「何があっても二人は出会ったと思うから。」
僕もそう思えるのはどうしてなんだろう。
運命なんて言葉で片付けられない何か。
それが、二人の間にあった。


「二人の絆」


Written by "TIme is like a dream to ME" 97/12/23
This story dedicate to all visitor in Maison EVA.


惣流・アスカ・ラングレーは待ち合わせの場所に
向かって、ゆっくり歩いていた、
せっかくのクリスマスであるから、
街の雰囲気を楽しみたいと思い、
少し早く出かけたからである。
街はまさにクリスマス一色であった。
街全体にクリスマスの飾りつけが行なわれている。
年を追うごとにエスカレートしているのは気のせいだろうか?
ゆっくりと歩いていたアスカはふと、
とある雑貨店のディスプレイの前で立ち止まった。
そこには天使が時計の回りを飛んでいる置き時計や、
ピアノ型やツリー型のオルゴールなどが展示されていた。
熱心に見つめるアスカ。
どうやらアスカはディスプレイの奥に展示されている
天球儀が気になるようである。
さまざまな星座がイラストつきで描かれており、
少し暗いところに展示されていたが、
自身が発光しているようだった。
しばらくそれを見つめていたアスカだったが、
そこから離れ、通りをゆっくりと歩いていく。
さらに、三十分ほどかけて、
アスカは待ち合わせの場所にやってきた。
時計を確認するアスカ。
待ち合わせまで、あと二十分ほどあるようだ。
きょろきょろ周りを見渡して、
手頃なベンチに腰かける。
ちょうど、少し離れた所に噴水があり、
定期的に水を吹きだしたりしている。
アスカはため息をつき、あたりを見渡す。
まだ、シンジは来ていないようだった。
もしかすると遅くなるかもしれないから、
もし何かあったら携帯に連絡するということだったけど・・・
アスカはバッグから携帯を取り出すが、
メッセージは入ってはいないようだ。
「シンジ、間に合うのかしら。」
いままで、待ち合わせにシンジが遅れてきたことはまずなかった。
シンジはまずアスカのことを考えて自分の行動を決めてくれた。
アスカがシンジと一緒にいたいと言えば、いてくれたし、
友人と遊ぶ時もまずアスカのことを考えてくれて、
アスカにどうするか聞いてくれた。
つき合い始めてからもう一年になるが、
二人のお互いを思う気持ちは
つき合い始めた時よりもより強くなっている。
もちろんこの一年間二人の関係が平穏無事であったわけではない。
しかし、それが二人の絆を強くしたようだった


碇シンジは人通りの多い道を人をかき分けて歩いている。
街路樹の電飾が幻想的な雰囲気を出している。
シンジはあせっていた。
途中で、寄り道しないといけないので、
なるべく急いだ方がいい。
こんな日に遅刻するわけにはいかない。
今日のために前からいろいろ準備をしたんだ。
ここでしくじるわけにはいかない。
通りはクリスマス・イブということもあり、
かなりの人がいるようだ。
さらに五分ほど歩き、やっと目的の店の前ににたどりつき、
ため息をつくシンジ。
そして、時計を見て慌てる。
「うわっ、早くしないと遅れちゃうよ。」
シンジは店のドアを開けて中に入っていた。
その店は・・・


「へぇ、雪が降ってきたのね。」
ふと、視線をあげて外を見たアスカがつぶやく。
「なんかできすぎてるわね。クリスマスに雪だなんて。」
アスカは立ち上がり、通りの方へ歩いていく。
雪はゆっくりと舞い降りるように降ってきていた。
それを見あげるアスカ。
「この調子じゃ積もりそうね。」
アスカは通りの店の壁にもたれて、
舞い降りてくる雪を見つめていた。
ふと、シンジが言っていたことを思い出す。
「アスカはどうして僕を選んでくれたの?」
その時アスカはうまく答えられなかった。
「人を好きになるって、言葉では言い表せないから。」
そう答えた。
でも今は分かる気がする。
シンジといると心が暖かくなるの。
抱かれると、なにもかも全て忘れそうなくらいに幸せなの。
シンジがアタシを大切に思ってくれてるって
考えるだけでとても嬉しいの。
シンジに出会うために生まれてきたって思えるの。
その想いをシンジにも感じて欲しい。
そう思った。それが、答えになるのかな?
目の前を雪が舞っていく。
一年か、結構長かったような気もするし、短かったような気もする。
なんかいろいろあったってのは事実だけど。
アタシってばそそっかしいから、
シンジにいっぱい迷惑かけたよね。
こんなアタシでも、いいのかしら。
アスカは首を軽く振って考え直す。
ううん。いいんだよね。
シンジはアタシのそういう所も含めて全部好きだって
言ってくれてるんだし。
アタシって幸せなんだよね。
アタシの一番好きな人が、
アタシだけを見ていてくれるんだから。
でも、ほんとにアタシでいいのかな?
シンジはアタシのこと愛してるって言ってくれる。
でも、アタシはそれだけじゃ、不安なの。
シンジを信じているはずなのに何か不安になるの。
この気持ちって一体何なんだろ?
じっとうつむくアスカ。
「アスカ、どうしたの?こんな所で。」
アスカははっと顔をあげる。
そこには肩で息をしているシンジがいた。
「ううん。雪を見てたんだけど。」
「それにしてはうつむいてなかった?何かあったの。」
心配そうにレイの顔を見るシンジ。
「なんでもない。」
首をふるふる振って答えるアスカ。
「そう。ならいいんだけど。でも、雪が積もっちゃってるよ。」
シンジはにっこり微笑み、アスカの肩に積もっていた雪を払う。
「あれ、そんなに雪を見てたのかな?」
アスカはびっくりして、雪を払い落す。
時計を見る。十分ほどここにいたらしい。 「寒くない?」
「ううん。だいじょうぶ。」
「じゃあ、いこうか。」
シンジはアスカの右手をとる。
アスカはにっこりシンジに微笑みかけた。


シンジはとあるお店にアスカを連れてきた、
アスカは初めて来る店だった。
「ここ?」
「うん。アスカは初めてだよね。雰囲気がいいんだこのお店。
冬は暖炉を使ったりするんだ。」

そうシンジは答えドアを開ける。
カウンターに立っていた男性が二人の方に来て
シンジとアスカを暖炉の前に案内する。
そのテーブルにはreservedという紙が置いてあった。
「もしかして、予約してたの?」
席に座って、暖炉を珍しそうに見て、レイが聞く。
「うん。ここのオーナーと父さんが知合いで、
それで、お願いしたんだ、」

「そうなんだ。」
「うん。内装とか凝ってるでしょ。」
「うん。」
アスカはうなずいて、店の中を見る。
照明はシャンデリア風で、今は少し暗くなっている。
要所にキャンドルが立っていて、淡い光を投げかけている。
クリスマスツリーは店の中央部に二メートル程のものが置いてあり、
それぞれのテーブルにも小さいツリーと
キャンドルが飾られている。
もちろんリースも店中に飾られている。
店の中には十人ほどお客がいるようだが、
混雑しているという感じではない。
「ねぇ、オーダーしなくていいの?」
「うん。まかせてあるから。」
「そうなんだ。」
シンジは小さくため息をつくと、
ポケットから何かを取り出す。
「で、今年のプレゼントなんだけど。」
シンジはそう言い、ちいさな包みをアスカに渡す。
アスカはそれを見て、びっくりして聞く。
「これって、もしかして・・」
シンジはにっこりと微笑む。
「そーいうこと、開けてみて。」
アスカはうなずき、ラッピングと開けてみると、
想像していた通りに紺のちいさな箱が出てくる、
それを開けて、中におさまっているものを見る。
それは一つの石が飾られているシンプルな指輪であった。
しかし、この石は・・
「シンジ、これって、ダイヤ?」
「そうだよ、普通給料三ヶ月分とかいうけど、
僕はバイト六ヶ月分だったよ。」

そう答え、その指輪を手にとり、アスカの左手を握る。
そして、シンジはその指輪をアスカの左手のくすり指にはめる。
「受けとってくれるかな。」
二人のテーブルに置かれていたキャンドルの灯りが揺らぐ。
シンジはアスカの瞳を見つめそう言う。
アスカは自分の左手のくすり指におさまっている指輪を
しげしげと見つめた。
どうして左手に?アスカは信じられないという表情で、シンジを見る。
「えっ、どうして。」
アスカの瞳を見つめて、シンジは答える。
「結婚しよう。アスカ。」
暖炉のマキがぱちぱちはぜる音が聞こえる。
それ以外の音は二人には聞こえなかった。
「・・・」
アスカは無言だ。シンジの顔と指輪を交互に見ている。
「この指輪は、僕がアスカだけを愛してるって証だよ。」
シンジが言った言葉がアスカの心に染み通っていく。
アスカの瞳がたちまちうるんで、涙があふれる。
その涙はほほをつったって、テーブルの上に落ちる。
シンジがやさしくもう一度言う。
「アスカ。僕と一緒になってくれる?」
アスカはこくりとうなずく。
そして自分の不安の原因を知った。
「・・ありがと、すごく嬉しい。シンジはアタシのことを
大切な人だと言ってくれてたけど、アタシはすごく不安だったの。
それってアタシとシンジの間にはっきりとした絆が欲しかったんだね。」

アスカの涙を拭きながらシンジは答える。
「そうだね、愛してるよって言えるけど、
それはカタチとしてはっきりしないから。」

「そう、だから、すごく嬉しいの。」
「もう、不安じゃない?」
こくこくうなずくアスカ。
「うん。これが二人の絆になるのね。」
「そう、忘れないで、例えどんなに離れていても、
僕はアスカのこと想ってるから。これがその証だから。」

二人は見つめ合いそして唇を重ねる。
暖炉のあたたかい光が二人を包み込んでいった。


ver.-1.00 1997-12/24公開
ご意見・ご感想は sugimori@muj.biglobe.ne.jpまで!!

あとがき

作者のTIMEです。

さて、クリスマス記念で書いたこの作品ですが、
いかがだったでしょうか。

同様にクリスマス記念で公開した「離したくない」が
あまりクリスマスの雰囲気を出していなかったので、
こっちは雰囲気をだそうとしてみました。

内容は完全なLASです。
アスカと指輪ってネタは今回で二度目なんですが、
別に意識してるわけではありません。
なんとなくそーいう話になるだけで。(^^;;

さて、SSの方はもう今年は書く予定はありません。
#ってもうあと十日切ってますが。
ですが、連載の方はS.Dの第七章と第八章が残ってます。
近日公開予定なのでお楽しみに。

では、連載の方でお会いしましょう。


 TIMEさんの『二人の絆』公開です。
 

 

 二つ目のクリスマスもの(^^)

 今度はアスカもの(^^)/
 

 レイちゃんものに負けず劣らずのいい雰囲気ですが、
 LAS人の私にはこちらの方が何倍も嬉しいのら〜♪
 

 

 出会ってから1年目の、
 聖なる夜の、
 ムードある場所での、
 愛する人からの、
 最高の、
 一生の、

 プレゼント(^^)/
 

 二人とも、幸せそうですね・・・
 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 2つのクリスマスものを公開したTIMEさんに感想メールを送りましょう!


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