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この想いが恋だと気づいたのはいつだっただろう。
君はいつも僕の隣にいた。
くじけそうな僕をいつも励ましてくれた。
そして僕も君を見つめていたんだ。
あの日、君が僕に言った言葉。
「何があっても二人は出会ったと思うから。」
僕もそう思えるのはどうしてなんだろう。
運命なんて言葉で片付けられない何か。
それが二人の間にあった。
でも、この恋はどうなるのだろう。
二人はどこへ行くのだろう。
今はまだ目的地は見えない。
でもいつかは・・・
 
「愛するココロ」
"Lovers Dream"
Written by "TIme is like a dream to ME".98/1/2
This story dedicate to Nori, Miki, R&R, and all visitor in Maison EVA.
 
窓を叩く雨の音が聞こえる。
その音は大きくなったり、
聞こえなくなったりしている。
外を車が走り去っていく。
その車が、雨を跳ねあげる音で、
かなりの雨が降っているのがわかる。
惣流・アスカ・ラングレーは目を覚まし、
起き上がり、眠そうに目をこする。
すると、彼女の背中に何かが当たる。
アスカの右隣で眠っていたはずの青年が、
腕枕をしていた左腕で、アスカを探している。
そして、その青年、碇シンジも片目を眠そうに開け、
アスカを見てうっすら微笑む。
「起こしちゃった?シンジ。」
こくん。とうなずくシンジ。
「眠いならもう少し寝たら?」
そして壁にかけられている時計を見る。
「まだ、十時だし。」
シンジ口元に笑みを浮かべ、アスカの背中に指で文字を書く。
「そ、う、す、る?そうする、ね。」
こくん。とシンジはうなずき目を閉じる。
アスカはそれを見て、ベッドの下に落ちている下着を探す。
それを見につけ、ブラウスを着て、
バンダナで髪をまとめておいて、部屋を出ていく。
すでにシンジは安らかに寝息を立てていた。
 
アスカはポットに火をかけて、小さくあくびをする。
昨日寝たの何時だっけ?
確か、二時ぐらいまでは記憶があるから、
とりあえず、八時間ぐらいは寝てるのね。
この部屋はアスカの部屋である。
二人とも大学生であり、
昨日、講義が終った後、ライブに行って、
その帰りにシンジはアスカを部屋まで送っていって、
そのまま泊まっていったのである。
「うーん、まだ眠いよ。」
アスカは大きく背伸びをする。
ポットの口から蒸気が出て来るのを、
ぼーっと眺めるアスカ。
外はしとしとと雨が降っている。
・・・平和ね。
アスカはちらりそう考える。
お湯が沸いたのを見はらからって、火を止める。
棚から、アップルティーが入っているビンを取り出し、
小さなティーバックにひとすくい葉を入れる。
それをカップに入れ、お湯を注ぐ、
湯気が立ち、同時にいい香りが立ち込める。
しばらくティーバッグをそのままにして待つ。
そして、ティーバックをカップから出して、
コップを持ち上げ、アスカは香りを楽しむ。
そして少し飲んで、小さくため息をつく。
「暖かい。」
アスカはカップを持ったまま、キッチンを出る。
部屋の窓から外を見る。
雨は昨日の夜からずっと降っているようだ。
しばらく外を見ていたアスカ。
「うーん。服を着替えないとね。」
と、自分の格好を見て、つぶやく。
「でも、その前にシャワー浴びようっと。」
アップルティーを飲み干して、カップを置いて、
アスカはバスルームに行く。
バスルームに入り、シャワーを浴び始める。
頭から、シャワーを浴びながらアスカは考える。
今日は何もないから一日シンジと一緒にいれるわね。
でもアタシ、こんなに幸せでいいのかな?
アタシはシンジのことすごく愛してて、
シンジはアタシのことすごく愛してくれてて。
シンジはアタシのこと大切にしてくれる。
この幸せはいつまで続くんだろ?
アタシはずっとシンジを愛していたいけど・・
ううん。そんなことない。
シンジもずっとアタシを愛してくれるはず。
 
アスカはお昼の支度をしていた。
ブラウンのワンピースに紺のエプロンをつけている。
髪は料理の邪魔にならないように軽く三つ編みにしている。
そこに起きたばかりのシンジが現れる。
白の綿シャツにジーンズといういでたちだ。
寝起きでぼーとしていたシンジだが、
アスカを見て、嬉しそうに後ろから抱きつく。
「あすかぁ。」
「っ!!びっくりするじゃない。
包丁使ってたらどうするつもり?」
胸に手を当てて、ほっ、とため息をつくアスカ。
「ちゃんと確認したから。」
にっこり微笑み、アスカの耳元に囁やくシンジ。
「もう、これじゃ、料理できないじゃない。」
後ろから抱きすくめられて、アスカは身動きできない。
シンジはきつくもなく緩くもない、
アスカが一番好きな強さで抱きしめている。
どーして、シンジに抱かれると、
こんなにいい気持ちなんだろ?
アスカはふとそう考えた。
「エプロンだね。」
当たり前のことを聞く、シンジ。
「そうよ。」
不思議そうに答えるアスカ。
「まぁ、いいや。」
シンジは抱きつくのをやめて、アスカの隣に立つ。
「お昼だよね。手伝うよ。」
シンジはアスカににっこり微笑む。
「・・うん。」
二人は料理を再開した。
 
朝から降っている雨はやみそうもなかった。
シンジは窓から外を眺めていた。
今は少し弱く雨が降っている。
下の道を小学生の一団が仲良く傘をさして通り過ぎていく。
道をはさんだ向う側の家に植えられている
紫陽花があざやかな紫色をしていて、シンジの目を引く。
「シンジ、どうしたの?」
洗いものを終え、三つ編みをほどいて、
髪をかきあげながら、アスカが部屋に入ってきた、
そして、ラブソファに腰かける。
「ううん、なんでもないよ。」
シンジはソファまで歩いていき、
アスカの隣に座り、アスカを抱きよせる。
「ねぇ、聞きたいことがあるんだけど。」
アスカがシンジを上目使いで見る。
「うん?」
シンジは微笑む。
「さっき、何が言いたかったの?」
「・・・」
シンジは黙ったままだ。
「エプロンだねって言った後。」
首をかしげてアスカは聞く。
「知りたい?」
少し考えながらシンジは聞く。
「うん。知りたい。」
「それはね・・」
突然シンジはアスカをソファに押し倒した。
アスカは驚いて目を見開く。
アスカの髪がふわりと広がる。
「こうしたかったんだ。」
シンジはアスカの唇に自分の唇を重ねる。
雨の音が部屋を満たす。
その音以外何も聞こえない。
唇を離して、少し間をおいてから、アスカは聞く。
「・・するの?」
語尾はかすれている。
少し、瞳をうるませてアスカは聞く。
「したいな。」
シンジは簡潔に答える。
そして、少し強くアスカを抱きしめる。
アスカが小さく吐息をもらす。
「でも、こんなところで?」
声が少し震えていたのはどきどきしていたせいだ。
「アスカは嫌?」
「シンジを拒めないよ。」
そしてシンジの瞳をじっと見つめるアスカ。
両手は胸元できゅっと握っている。
すこし恥ずかしいのか
頬はほんのり赤くなっている。
そのアスカにやさしくキスをするシンジ。
「恥ずかしいの?」
「・・・少し。」
視線を少し迷わせてから、答えるアスカ。
「嫌だったら、やめてもいいよ。」
やさしく諭すように聞くシンジ。
雨が少し強くなり、窓に当たって音を立てる。
また小学生が道を通っていくのであろう
元気な話し声が聞こえる。
少し迷ってから、アスカは決心したように答える。
「・・ううん。シンジだからいいの。」
シンジはアスカの瞳を見つめる。
その瞳にシンジの影が映っている。
アスカがゆっくりと目を閉じる。
シンジとアスカは唇を重ねた。
アスカは全てをシンジに委ねた。
雨が一段と強く降り始めた。
 
アスカは目を覚ました。
右側に手を伸ばすが、何もない。
慌てて、起き上がり右隣を見るアスカ。
しかし、誰もいなかった。
シンジどうしちゃったんだろ?
アスカはベッドから出て、声をかける。
「シンジ。」
返事はない。
アスカはシンジを探したが、どこにも行かなかった。
もしかして帰ったのかな?
そう、アスカは考えた。
それならそうと言ってくれればいいのに。
書き置きも探してみたが、どこにもない。
急に一人になってしまい戸惑うアスカ。
「・・もう、シンジのバカ。」
うつむいて、ぽつりつぶやくアスカ。
ぽとり、ぽとりと床に落ちる涙。
アスカは自分が泣いているのに気づき驚いた。
あれ?どーして泣いてるんだろ、アタシ。
どーして、こんなに悲しいんだろ。
しかし、すぐにその思いを訂正する。
ううん。悲しいんじゃなくて、寂しいのね。
・・・寂しい。
そう、シンジがいてくれなくてとても寂しい。
アタシってこんなに弱かったんだ。
もっと強いと思ってたのに、こんなに弱かったんだ。
シンジがいなくなっただけでこんな気持ちになるなんて。
どうすればいいんだろ。
涙が止まらないよ。
助けてシンジ。
助けてよ。
アスカはソファに座り込む。
声を押し殺して泣くアスカ。
聞こえるのは雨の音だけ。
シンジに会いたい。
どこにいるの?
ほんとに帰っちゃたの?
部屋に電話すればいるのかな?
ふいにアスカの胸をきゅっと締め付ける感覚が襲う。
まさか、もうアタシのこと嫌になっちゃったとか。
急にいなくなるなんて、もしかすると・・
そんなの嫌だよ。
どうしよう。
シンジがアタシから離れていくなんて。
アタシはシンジしか愛せないよ。
どうすればいいの?
そうアスカが考えた瞬間。
誰かが部屋に入ってくる音が聞こえる。
アスカは慌てて立ち上がり、玄関に行く。
そこにはスーパーの買いもの袋を持ち、
傘をたたんでいるシンジがいた。
シンジはアスカを見てにっこり微笑む。
「起きてたんだ。ちょっと夕飯の材料を
買いだしに行ってたんだけど。」
その言葉を聞き終えるとアスカはシンジに抱きついた。
慌てるシンジ。傘が床に落ちて倒れる。
雨水がそこから広がる。
「ど、どうしたのアスカ。濡れちゃうよ。」
アスカはシンジの腕の中で首をふるふる振って答える。
「シンジ。アタシを一人にしないで。お願い。」
「えっ、どういうこと?」
「シンジ、アタシはシンジしか愛せないの。
シンジじゃないとダメなの。
お願い。アタシを一人にしないで。」
シンジはやさしくアスカを抱きしめて、
アスカの耳元で囁やく。
「僕が愛してるのはこの世界でアスカだけだよ。
ずっとそばにいるから安心して。」
シンジを見つめるアスカの瞳から涙がこぼれる。
見つめ合い唇を重ねる二人。
雨の音だけが二人を包んでいた。
 

ver.-1.00 1998+01/09公開
ご意見・ご感想は sugimori@muj.biglobe.ne.jpまで!!

あとがき

ども、作者のTIMEです。
めぞん45万ヒット記念の「愛するココロ」は
いかがだったでしょうか。

読んでいただけば分かると思いますが、
この作品は「幸せな恋」と似た展開です。
「幸せな恋」はシンジとレイのお話ですが、
これをシンジとアスカに置き換えてみたのがこの作品です。
#何人かの方からアスカも書いて欲しいと
#mailをいただいたのが書くきっかけでした。
 
さて次は50万ヒットですね。
余裕があれば書こうと思ってます。
 
では連載でお会いしましょう。


 TIMEさんの『愛する心』、公開です。
 

 

 アスカだ〜(^^)

 TIMEさんの様に
 ”アスカ物”と”レイ物”を書かれる方からの投稿がくると、

 結構ドキドキします(^^;
 

 今回の記念SSは”アスカ物”でした〜♪
 

 それも、
 アスカの可愛いところを描いてくれた作品で♪♪♪です(^^)
 

 
   レイ物を冷たく扱うなんて事はしませんよ(^^;
 

 「何があっても二人は出会ったと思うから。」
 「シンジだけしか愛せない」
 姿が見えなくなり涙を流す。
 嫌われたのかと心を痛める。

 アスカの壊れやすい、本当は弱い心・・・

 しっかり支えるシンジ・・・
 

 ラブですね〜
 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 記念作をお送り下さったTIMEさんに感想メールを送りましょう!


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