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『EVANGELION SIN』

4.ANGEL ATTACK

第三新東京市

「俺は何をしている」
シンジはバイクを走らせていた。その向かう先は『戦場』。紫色の巨人と正体不明の怪物の戦う場所。
「俺がいったところで何ができる」
その怪物に通常兵器は通用していない。あのN2地雷も足止めにしかなっていない。そして満を持して現れた紫色の巨人。これも旗色が悪い。シンジ一人に何ができるというのか。
『SIN、おまえは機械じゃない。自分が感じたとおりに動いてみろ。おまえにとってはそれが正しい行為なんだ』
シンジの頭の中に、かつて自分を鍛えてくれた男の言葉が浮かぶ。
「そうだったな。俺は行く。あの場所へ。すべてはそれからだ!」
シンジは自分の駆るバイクのアクセルを全開にする。
『グオオオオオン!』
バイクは轟きををあげて、爆走する。
「待っていろ!」
誰に向かってか、シンジはつぶやく。

 

時に西暦2015年

−西暦2000年
有史以来未曾有の大災害
『セカンドインパクト』は起こった。

水位の上昇、
天変地異
疫病の流行
経済の崩壊
民族紛争、内戦
世界人口は半分に激減

そしてそれから15年……。

 

相模湾沿岸

セカンドインパクト後、復興計画すらなく捨てられた街。水の底にかつての繁栄を見せていた。
その都市跡を囲むように海岸線に配置されたUN(国連)マークの戦車部隊。砲身はすべて海中へ向けられている。
「隊長、第3護衛艦隊、全滅との報告が」
戦車部隊司令車にて通信士が隊長に報告する。
「そうか」
隊長はその報告を椅子に座り瞑想しながら聞いていた。
「隊長!、目標補足しました。あと3分で射程距離内に到達します」
「よし、全車に通達!目標を海面に確認後一斉射撃。遠慮は要らん。壊れるまでぶっぱなせ!」
「了解しました!」
水没した都市のビル街の中を 巨大な影が移動していく。それは明らかに異形な姿であった。

NERV本部、指令塔第一発令所

ここは緊迫したムードに包まれていた。はじめての実戦なのだ。誰もが緊張している。
「目標、海面に姿をあらわしました」
「目標を映像で確認」
「メインモニターにまわします」
メインモニターには人型の異形の怪物が映し出されていた。
「……15年ぶりだね」
白髪の初老の男がモニターを見ていった。冬月コウゾウ、特務機関ネルフ副司令である。
「ああ、まちがいない。使徒だ」
眼鏡の髭面な男が表情も変えずにいった。碇ゲンドウ、特務機関ネルフ総司令である。
モニターには使徒と国連軍の戦いが映し出されていた。猛攻を加える重戦闘機部隊。しかし使徒には攻撃が効いている様子はない。使徒の腕から伸びる光が次々と重戦闘機をおとしていく。
「目標依然健在。現在も第三進東京市に向けて進攻中」
オペレーターの声が発令所に響く。
「総力戦だ。厚木と入間も全部挙げろ」
「出し惜しみは無しだ。何としても目標を潰せ!!」
司令席に陣取る国連軍の高官たち。
しかし事態は好転しない。
大型ミサイルが使徒に対して投下される。が、使徒は片手でミサイルを受け止めた。その瞬間、光る壁みたいなものが使徒とミサイルの間に形成される。使徒は受け止めたミサイルをバラバラに切り裂く。その隙を突いて次々と巡航ミサイルが使徒に命中していった。使徒は爆煙に包まれる。
「よし」
軍高官たちは安堵の声を上げる。が、次には驚愕の声に変わっていた。
爆煙の中から使徒が無傷で姿をあらわしたのだ。
「なぜだ。直撃のはずだ!」
高官の一人がどこかに連絡をしている。
「やはりATフィールドか?」
「ああ、使徒に対し通常兵器は効かんよ」
ゲンドウと冬月は、慌てる軍高官たちを尻目に会話を交わす。
「………かまわん。やりたまえ」
その軍高官の言葉とともに使徒周辺の国連軍が撤退していく。
「N2地雷を使うのね」
オペレーター席の傍らにいた赤木リツコはその様子を見てつぶやく。

芦ノ湖 沿岸

ミサトは愛車アルピーヌルノーA310(改)をひたすら全速力で飛ばしていた。
「二人ともしっかりつかまってなさい!!」
同乗者の二人はその言葉を聞いてなかった…。シンジはミサトのナビを左腕の超小型端末で平然と行っているし、レイは……峠の段階で気絶していた。
「ミサト、左後方より巡航ミサイル。着弾まで5秒」
「なんですって! そういうことはもっとはやくいいなさい!!」
とシンジの流れ弾情報に文句をつけながら、見事なドライビングで躱していく。もっとも爆風で飛んでくる細かい破片までは避けようがなく、ミサトの愛車は傷だらけであった。
「ミサト、軍はあれを使うみたいだ」
「あれって、……まさか」
「N2兵器」
その瞬間、閃光と衝撃波があたりを包む。車は衝撃波で煽られ、横転した。
「まったく、無茶するわね。ああ車、ぼこぼこ。まだローン残っているのに!」
ミサトは運転席からを出て車を見る。あたりは根こそぎ衝撃波で飛ばされるか、なぎ倒されていた。
「ミサト、俺はここでいい」
シンジは助手席から這い出ると自分の荷物を取り出す。二人は車を元の体制に戻す。
「でも危ないわよ」
「仲間が近くにいる。そこに合流する」
「う、うーん」
レイが目を覚ましたようだ。
「あらあら、眠り姫のお目覚めね」
ミサトはその様子を見て微笑む。
「綾波、じゃあな」
そういうと、シンジは道から外れ山の方へ走っていく。
「SIN?」
レイはきょろきょろとあたりを見渡す。
「レイ、SINはもういったわよ」
ミサトは車に乗り込みながら、レイに話し掛ける。
「え、でも」
レイは無表情ではあるが心配そうな目をしている。この子は目で表情を変える。
「大丈夫よ、彼ならね。無茶はするけど無理はしないわ」
愛車を再び走らせながら、そう言い放つ。
「そう…」

NERV本部 指令塔第一発令所

閃光が走り巨大な爆発が使徒を包み込む。最終兵器N2地雷の使用である。その様子がモニターに映し出されていた。
「やった!」
軍高官たちは勝利を確信していた。
「見たかね。これが我々のN2地雷の威力だよ。君の新兵器(おもちゃ)の出番は2度とないというわけだ」
高官の一人はゲンドウと冬月に勝ち誇ったように言い放つ。
その言葉にゲンドウは冬月は無表情で何の反応も示さない。
「くっ」
「電波障害のため目標確認まで今しばらくお待ちください」
「あの爆発だ。もうケリはついているよ」
日向マコトは懸命に目標確認作業を急いでいた。光学映像を映し出していたモニターは今は何も映し出していない。サブモニターの一つがエネルギー反応の3Dグラフパターンを映し出していた。そのグラフの中央が高エネルギーを示すように跳ね上がる。
「爆心地に高エネルギー反応!!」
「何だと!」
軍高官たちは驚愕の声を上げる。
「モニター回復します」
モニターに映し出されていたのは、爆心地で依然健在な使徒の姿であった。
「我々の切り札が!」
「街一つ犠牲にしたんだぞ」
「なってこった!」某艦長風に
高官の一人が机にこぶしを叩き付ける。
「化け物めっ!」
焦土と化している地上で使徒は受けた傷の修復をしていた。脚部にあるエラ状の部分を呼吸するかのように動かす。そして頭部のしたから前の部分を押しのけるように新しい頭部が顔を見せる。
「予想どおり自己修復中か」
冬月はモニターを見ていう。
「そうでなければ単独兵器として役に立たんよ」
ゲンドウはそれに答える。
その時、使徒の頭部より放たれた光線で、映像を送信していた無人の大型ヘリが落とされる。
「ほう、たいしたものだ。機能増幅まで可能なのか」
「おまけに知恵もついたようだ」
「この分では再度進攻は時間の問題だな」
冬月とゲンドウは会話を交わす。
「――はっわかっております」
「はいっ――では失礼いたしますっ」『ピッ』
軍高官たちは連絡を終え、一階層下のオペレーター席の後ろにいる、碇ゲンドウと冬月コウゾウを見る。
「……碇君、本部から通達だよ」
その言葉を聞き、ゲンドウはパイプ椅子から立ち上がり、司令席の方へ振り向く。
「今から本作戦の指揮権は君に移った。お手並みを拝見させてもらおう」
その言葉を聞き、オペレーター席の3人、日向マコト、青葉シゲル、伊吹マヤと傍らの赤木リツコ博士は自信に満ちた表情を見せる。冬月はやれやれという表情をみせ、ゲンドウは不敵な笑みをうかべる。
「我々国連軍の所有兵器が目標に対し無効であったことは素直に認めよう。だが碇君!! …君なら勝てるのかね?」
高官は皮肉っぽく、ゲンドウにたずねる。
「ご心配なく、そのためのネルフです」
ゲンドウは眼鏡を片手で押し上げながら、不敵な笑みをうかべ言い放った。

ジオフロント行き、カートレイン

ミサトは愛車をカートレインにのせ、一息つく。ハンドルに全身を預けながらつぶやく。
「ふう、ここまで来れば安心ね」
ミサトは助手席のレイを見る。無表情ではあるが、握り締められた両手がかすかに震えているのにミサトは気づいた。
『無理もないわ。この子にとってはじめての実戦ですもの』
ミサトは苦渋に満ちた表情を浮かべてしまう。
「ミサトさん、私は問題ありません。これが私の役目ですから」
レイはミサトの表情を見て、ミサトを安心させるように言葉を出す。
ミサトはその言葉を聞くと、レイを抱き寄せる。
「……ミサトさん?」
レイの感触を確かめるようにギュッと抱しめるミサト。人の温かさ、心地よさを受け入れるレイ。
「いいレイ。絶対に生きてかえってくるのよ」
「………」
「たとえ敵に勝っても、あなたが生きてなければ何の意味もないの」
「ミサトさん……」
「どんなことがあっても、自分の命を最優先に守りなさい」
ミサとは知っていた。この少女が自分の命よりも他人の命を優先させることを。そう育てられたことを。自分の意志ではなく他人の意志で決められていることを。
「……はい」
レイは自分の返事がうそであることを自覚していた。
『私は人の命を守るための道具だもの』

NERV本部内通路

『総員第一種戦闘配置。繰り返す総員第一種戦闘配置。対地迎撃戦初号機起動用意!!』
NERV本部内に警報が鳴り響き、放送が状況を伝えている。
レイとミサトは分岐点にいる。レイはケイジへ、ミサトは指揮塔へ行かなくてはならない。
「レイ、さっきいったこと、忘れないでね」
ミサトは心配そうにレイを見る。
「はい」
レイはミサトに心配かけまいと返事をする。
「じゃあ終わったら、おいしいもの食べにいきましょ
ミサトはにっこりとレイに微笑む。
「はい、約束ですね」
レイも目で微笑みを返す。
「じゃ、がんばってね」
「はい」
二人は同時に背を向けた。各々がやるべきことをするために。

NERV本部 指令塔第一発令所

「おそいですね、葛城一尉」
伊吹マヤは傍らに立っている赤木リツコに話し掛ける。起動準備の作業は行ったまま。
「……そうね」
リツコは使徒の映し出されているモニターを見ながら答える。
「やっぱり、つらいんでしょうか」
マヤはちょっとつらそうな表情を見せる。
「つらいのはみんな同じよ。でもあの子に頼るしか道はないわ」
リツコは表情を変えずに答える。
「でも、私にはできません。死地に送ってしまうかもしれない子といっしょに暮らすなんて…」
「……私にもできないわね」
「それが葛城一尉の強さなんでしょうか?」
マヤは作業を止め、リツコの方へ振り向く。
「……さあ」
リツコは厳しい表情したままモニターの方を見ている。
『使徒前進!強羅最終防衛線を突破!!』
『進行ベクトル5度修正。なおも進行中』
『予想目的地、我が第三新東京市』
使徒の状況が細かく伝えられてきている。
「冬月、後を頼む」
「ああ」
そう言うとゲンドウは指令塔から出て行く
『碇、今更、あの子の心配か』
冬月はゲンドウの出ていったドアを見ながら思った。
『プシュー』
自動ドアの開く音が響く。入ってきたのはミサトである。
「遅いわよ」
親友のその言葉を無視して、ミサトは日向の後ろに立つ。その表情は真剣そのものである。
「状況は?」
「使徒なおも前進中。目標はここですね」
日向はそれに答える。
「初号機、起動準備整いました」
マヤはサブモニターを確認後、報告する。
「パイロット、エントリープラグ内コクピット位置につきました」
青葉も報告をする。ミサトは3人の報告に肯く。
「エヴァンゲリオン初号機、起動!」
ミサトの号令が指令塔に響く
「了解、エントリープラグ挿入!!」

NERV本部 ケイジ

ここには紫色の巨人が拘束されていた。これがエヴァンゲリオン初号機である。
レイはプラグスーツに着替え、初号機のコントロールユニットであるエントリープラグに乗り込もうとしていた。
「レイ、わかっているな」
ゲンドウはいつのまにかケイジに来ていた。そして無表情のままレイにたずねる。
「はい、これが私の役目ですから」
レイは無表情で答える。ミサトに見せた目での表情をゲンドウに対しては見せない。
「そうか、ならいい」
レイはその言葉を聞きおわらないうちにエントリープラグに乗り込む。そしてプラグ内のコクピット位置につく。
『………私は道具。人の命を守るモノ』
自己暗示をかけるように、心でつぶやくレイ。その表情はますます人形になっていく。
『エヴァンゲリオン初号機、起動!!』
ミサトの声がプラグ内に響く。
『了解。エントリープラグ挿入!!』
『がごごごごん』
『バシュッ』
エントリープラグがEVA初号機の中に挿入される。装甲板が閉じられる。
『プラグ固定終了!! 第一次接続開始!!』
『エントリープラグ注水!!』
「………」
レイは目を閉じてシートに身を預けていた。プラグ内にLCLが注水されていく。全身が漬かるまで、レイは息を止めている。そして肺の中の空気を全部はき出す。
「ごぼごぼぼぼぼ」
空気が上と逃げていく。
『LCL、血の味がする。これは嫌い』
一瞬だけ、普段のレイに戻るがまた人形へと変わる。
『主電源接続、全回路動力伝達!! 起動スタート!!』
プラグ内周囲モニターに『START CONTACT』の文字が、前から後ろへと何本も流れていく。
レイに自分の体がもう一つある感覚が湧き起こってくる。自分の体はここに在る。でも別の体、すさまじい力を秘めた体、これも自分の体なんだという感覚が。
『A10神経接続異常なし、初期コンタクトすべて問題無し』
レイは閉じていた目を開ける。一瞬、目に映った映像は初号機の目で見たものであったが、自分本来の目に映った映像に戻る。 
『双方向回線開きます!』
『レイ、いいわね』
ミサトが最後の確認の通信を送ってきた。
「はい、問題ありません」

NERV本部 指令塔第一発令所

『はい、問題ありません』
レイの人形のような声が発令所に響く。ここにいるほとんどの人間が、ミサトと暮らしはじめたレイが変わってきたことを知っていた。そのレイが元に戻ってしまった。その重みに絶えられそうにないと感じていた。
「ミサト、これしかないのよ」
リツコは無表情に親友に話し掛ける。
「エヴァンゲリオン初号機! 発進準備!!」
ミサトは感傷を払いのけるように命令を出す。
『第一次ロックボルト解除』
初号機の肩部分を拘束してあるロックボルトが解除される。
『解除確認、アンビリカルブリッジ移動』
初号機の上半身部分にかかっていたアンビリカルブリッジが移動されていく。
『第一、第二拘束具除去』
『1番から15番までの安全装置解除』
『内部電源充電完了、外部電源コンセント異常なし!!』
『EVA初号機射出口へ』
初号機は射出口下へ移動していく。
『5番ゲートスタンバイ!』
射出口のゲートが次々に開いていく。ガイドライトも次々と点灯していく。
『進路クリア、オールグリーン』
『発進準備完了』
「了解!!」
ミサトはいつも身につけている十字架のペンダントを握り締めていた。
「……ミサト」
「わかってる。………発進!!」
初号機はミサトの命令で地上へと打ち出される

第三新東京市郊外

シンジとトウジとケンスケの3人は第三新東京市郊外の山すそにある小屋に、その時いた。
「いったいどうなっとんのや」
トウジがケンスケにたずねる。ケンスケは軍事用通信機器(ふつう一般には出回ってない)、パソコン(ハンドメイド)を駆使して情報を集めていた。
「だめだね、N2兵器でも目標を撃破できていないよ。よけい強くしたみたいだ」
頭を左右にふりながらケンスケは答える。
「アルバイトどころじゃないってことかいな」
「いや、その目標はそろそろ出てくるみたいだ。指揮権がNERVに移った」
ケンスケはヘッドホンに耳を傾けながら話す
「でもこんなとこから、何が得られるちゅうんじゃ?」
トウジは首をかしげる。
「まかせてくれ、超望遠カメラもセットしてあるし、空の目も確保してある」
「空の目? まさか?」
「そうそのまさかさ、偵察衛星の一つを分捕ってある」
自信満々な笑みを浮かべケンスケは答える。
「はあ、毎度すごいやっちゃなあ。おまえは」
感心したため息をつくトウジ。
「俺にはこれしかできないからね」
別に得意がるわけでもないケンスケ。
「それにトウジ、本当にすごい奴ってのはあいつのことだろ」
小屋の外にいるシンジを指差す。
「まあな、あいつがおらんかったら、わいも妹もおとんとおじんのように殺されとった」
トウジは拳を握り締める。その時を思い出したようだ。
「親父が殺されたときに、俺も助けられた」
ケンスケも真剣な表情になる。
「しかし、わいらも物好きやな。こんな危ない仕事せんかて、生きて行けるさかいになあ」
「そうだね。でも後悔はしてない」
「ああ、わいもや。あいつを助けたらなあかん」
肯きあう二人。
「出てきたぞ!」
小屋の外からシンジの声が聞えてくる。
「これがEVAか」
「なんや恐い面しとんなあ」
二人はモニターに映ったEVA初号機を見て、二人はつぶやく。トウジの言葉にケンスケは苦笑をもらす。

第三新東京市

『ズウウウン、ズウウウン』
使徒は第三新東京市中心へとゆっくりと進行していた。
『ガシャアアアアン』
道路に作られたハッチが開き、EVA初号機が姿をあらわす。
使徒は立ち止まり、様子を見ている。
『最終安全装置解除!! エヴァンゲリオン初号機リフト・オフ!!』
ミサトの命令で両腕を固定がとかれる。
「目標確認、攻撃に移ります」
レイは使徒を確認後、すかさず攻撃にはいる。
まずは様子見の右ストレート。だがこれは使徒の左腕でブロックされる。
そのあと、左ハイキック。これは使徒のスウェーバックで回避される。すかさずその回転力を生かして右後ろまわし蹴り。これも使徒はブロック。カウンターで頭部からの光線を浴びてしまう! 吹き飛ばされ、ビルに激突する初号機。
「あっ、くうううう」
自身にフィードバックされる痛みに悲鳴を上げてしまうレイ。
「被害軽微。まだいける」
すぐに立ち上がり、ダッシュをかける初号機。使徒は「待ちガイル」のように次々に光線を放つ。それを回避するしかない初号機。容易に近づくことができない。
『レイ、パレットライフルを出すわ。受け取って!』
そのミサトの通信とともに、初号機の横にビルがせり出す。シャッターが開き、その中から姿を見せるEVAのサイズに合わせたアサルトライフルがみえる。初号機はそれをつかみ、飛びのく。使徒の放った光線がそのビルを破壊する。パレットライフルを構え発射する。
『ガン、ガガガガガン』
使徒の前に作られた八角形の光の壁に遮られる銃弾。
「……A.T.フィールド」

NERV本部 指令塔第一発令所

「「A.T.フィールド(絶対領域)!?」」
2人同じに驚愕の声を出してしまうミサトとリツコ。
「使徒も持っていたんだわ! フィールドをはってるかぎり使徒には近づけないし飛び道具も無効よ!」
リツコはちょっとだけ興奮した声で話す。
「…………」
ミサトは無言で考え込んでいる。
「使徒、動きます!」
日向の報告どおり、使徒が動いた。それも今までのようにゆっくりとじゃなく、EVA以上の機敏さで。後ろ左右を次々と、とられなすすべもなく攻撃を受けていく初号機。
『くうううう! はっはあはあはあ』
苦しげにそれに耐えるレイの呼吸音が発令所に響く。
『何もできないの、私は……』
唇をかみ締め、じっとモニターを見ているミサト。
モニターにはあごを蹴り上げられ、吹き飛んでいく初号機の姿が映し出されていく。そして吹き飛んだ初号機は仰向けに落ちる。
「えっ、プラグ、開放されます!」
ショックで、故障したのか背部装甲が開きエントリープラグが出てきてしまう。
「レイ!!」
ミサトはレイに通信を送る。
「だめです! パイロット気絶しています」
マヤが沈痛な声を上げる。
「……葛城一尉! 外部から通信です。「ケルベロス」と名乗っています。
青葉がミサトに報告する。
「今は戦闘中よ。ほっときなさい!」
リツコが代わりにこたえる。
「ですが、時間稼ぎの方法があるといっています」
青葉が再度ミサトの顔を見る。
「かして!」
ミサトは青葉のつけていたヘッドセットを奪うとマイクに怒鳴る。
「葛城よ! 用件は何!」
『時間稼ぎの方法があります。そっちにメールを送ります』
マシンボイスが用件だけ伝えて、通信をきってしまう。
「メール受信しました。モニターに出します!」
日向はサブモニターにそのメールを映し出す。
「……落とし穴!工作班、大至急で準備して」
ミサトはそれを見てすかさず、命令を出す。それは使徒の進行途中の第一装甲板を自ら爆破し、そこに使徒を落とし込み、身動き取れなくするプランだ。所詮、時間稼ぎでしかないが、今のNERVには、その時間が一番ほしいものであった。
メインモニターには、動かなくなった初号機に止めを刺そうと、ゆっくりと近寄ってくる使徒の姿が映し出されていた。
『レイ、約束したんだからね』
モニターを凝視しながらじっと待っているミサト。
「葛城一尉! 準備完了しました」
青葉が報告を告げる。
「爆破!!」
その命令とともに、使徒の足元で爆発が起こり、使徒の体が沈み込む。そして下半身が瓦礫にうもり身動きができなくなっていた。何とか這い上がろうとしているが、なかなかそれができないでいる。時間は作れたのだ。
「よし! 急いで初号機回収して、仕切り直しよ」
ミサトは回収命令を出す。
「待ってください! 初号機に接近物を確認! モニター出します!!」
日向はコンソールを操作しモニターに映像を映す。
「バイク? ……SIN!」
ミサトは接近物がバイクに乗ったシンジの姿を確認する。
『………やってみるか。これでうまくいったら本当に奇跡ね』
ミサトは考え込み、結論を出すとマヤに話し掛ける。
「伊吹二尉、再起動は可能?」
「は、ハイ。可能ですが、パイロットはまだ……」
「パイロットなら、来てくれたわ」
ミサトは自身たっぷりにこたえる。
「葛城一尉!! あなた何を言ってるの! EVAのパイロットは適格者でなければ動かないのよ。それに許可のない民間人をあれに乗せるのは越権行為よ!!」
リツコはミサトの肩をつかんで振り向かせる。
「彼の本名は「碇シンジ」よ」
ミサトは切り札ともいうべき名前を出す。
「ま、まさか……」
「葛城君! それは本当かね」
冬月は司令席の横から乗り出し、下にいるミサトに問い掛ける。
「ハイ。詳しいことはあとで報告します。時間がありません」
ミサトは冬月の横で無表情で座っているゲンドウを見る。
「よかろう、好きにしたまえ。使徒を倒さぬかぎり我々に未来はない」
その鶴の一声で、すべては決定した。
シンジはちょうど、初号機の体を上って、エントリープラグにたどり着こうとしていた。
ミサトはマイクをつかむとEVAの外部スピーカーをつかって話し掛ける。
「SIN! 君がEVAに乗って!!」

第三新東京市郊外

トウジとケンスケの2人はモニターに映ったEVAと使徒との戦いを見ていた。
「なんやえらい旗色が悪いで」
「……トウジ、あれのパイロットは綾波だ」
ケンスケはヘッドセットに耳を傾けていた。NERVの通信を傍受していた。
「なんやと」
「間違いない! レイって言ってる」
『ブロロロン!ブオオオオン!!』
外からエンジン音が響く。
「SIN!!」
トウジは急いで小屋から出る。すでにシンジは中心部へバイクを走らせていた。
「いったい何、考えとんのやSIN!!」
トウジはその背に叫ぶ。
「トウジ!」
中からケンスケがトウジを呼ぶ。
「なんやケンスケ!」
「ここを引き払う。撤退の準備はじめといてくれ」
ケンスケはキーボードを打ってなにか入力している。
「それはええけど、どうしたんや?」
機材に何かとりつけているトウジ
「SINのバックアップが必要だろ。NERVに話しつける」
「そら撤退せなあかんな」
ケンスケは必死で何か作成している。
「よしできた」
「何を作ったんや? ……落とし穴?」
トウジはモニターを見て、首をかしげる。
「古典的ではあるけど、一番時間稼ぎに有効な手だとおもう。綾波を助ける時間ぐらいできるだろ」
ケンスケは通信機器を操作する。もっともこのあとSINがEVAに乗り込むとは夢にも思っていない二人であった。
「NERV応答願う。NERV応答願う。こちら「ケルベロス」。聞えているなら返事してくれ」
ケンスケは全周波数を使ってNERVに呼びかける。逆探知のことなんか考えていない様子だ。
『こちらNERV本部。ただいま戦闘中だ。用件は手短に頼む!』
NERV本部が通信をキャッチした。
「こちら「ケルベロス」。時間稼ぎの方法がある。そちらの指揮官につないでくれ!」
『ちょっと待て………』
『葛城よ、用件は何!』
若い女性の声がヘッドセットに響く。
「時間稼ぎの方法があります。そっちにメール送ります」
そう伝えるとケンスケは通信を切り、メールを送信する。
「よし、トウジ!!」
「ああこっちもOKや」
ケンスケはハンドメイドのノートパソコンをつかみ、トウジは二つのデイバックをつかむと小屋を飛び出す。外に止めてあったもう一台のバイクにタンデムして、小屋から離れる。
「トウジ、時間は?」
バイクを運転しているトウジに話しかけるケンスケ。
「あと3分や。証拠も何も残らへん! もったいないけどな」
トウジはひたすら小屋から離れていく。
『SIN、時間は作った。あとはおまえしだいだぞ』
ケンスケは中心部に見える使徒の姿を見て、思いをはせる。
その3分後、小屋は何も残さず吹き飛んだ。

第三新東京市

『SIN! 君がEVAに乗って!!』
シンジが初号機のエントリープラグまでたどり着いたとき、ミサトの声がEVAより聞えてくる。
「ミサト! 俺にこれに乗れというのか……」
シンジはEVAを見渡しそうつぶやく。
『迷っている暇はないわ。君が乗って、動かなければ、人類滅亡よ』
さらにミサトがシンジをけしかける。
「相変わらず、博打打ちのようだな。ミサトは」
そういうとシンジはエントリープラグに飛び込む。そこはLCLに満たされていた。
「なに!」
『心配しないで、肺までLCLを入れれば、直接酸素を取り込んでくれます』
リツコの声がプラグ内に響く。その言葉に半信半疑ながら肺までLCLをいれるシンジ。
「……なるほどな」
シンジはコクピット位置で気絶しているレイの方までLCLを泳いでいく。
「綾波!」
シンジはレイの外傷をチェックする。これといった外傷はない。ただショックで気絶しているだけであろう。いずれ目を覚ます。
『SIN、君がこれを動かすのよ。動かなければ、みんな死ぬわ。さっきもいったけど人類滅亡よ』
ミサトの声が再び聞える。
「人類の未来なんか、俺のしったことではない」
シンジはミサトの言葉に反論する。
『君なら、そういうと思ったわ。だったらレイを助けて。それで十分よ』
『な、何を言ってるの。葛城一尉!!』
『赤木博士は黙ってて!』
通信の向うで言い争いが聞えてくる。
「ふう、ミサト、どうすればいい?」
シンジはため息をつくと、ミサトにたずねる。
『ありがと。じゃあレイの頭についてるヘッドセットをつけて、、シートに座って』
シンジは言葉どおり、ヘッドセットを頭につける。レイの体をのけ、シートに座り込む。そしてレイを自分のひざに乗せ、体全体で支える。
「俺は綾波を助けたい、ただそれだけだ」

NERV本部 指令塔第一発令所

『俺は綾波を助けたい。ただそれだけだ』
シンジの声が発令所に響き渡る。
「碇、間違いない。彼はおまえとユイ君の子だ」
冬月はモニターに映るシンジの顔を見て、ゲンドウに話しかける。
「………」
ゲンドウはそれには応えない。何も言わずモニターを見ている。
『……10年ぶりの息子との再会か』
冬月はゲンドウの様子を見ながら、そう思う。
「それだけで十分よ、SIN。伊吹二尉、はじめて」
ミサトはマヤに命令を出す。
「ミサト、彼がシンクロしなかったら、どうするの?」
リツコはミサトにたずねる。
「決まってんでしょ。全員死ぬだけよ」
真剣な面持ちでモニターを見ているミサト。
「エントリープラグ再挿入!!」
初号機はなかなか反応しない。幾度かの実行でようやく、プラグは挿入されていく。
「プラグ固定終了!!」
「第一次接続開始! ミサト、これで失敗したら怨むわよ」
リツコはマヤに指示を出しながら、ミサトに怨み言を言う。もっともその顔は覚悟ができているようだ。
「怨み言なら、いくらでも言ってよ。地獄には持っていけないから」
ミサトも軽く返す。
「まったく。マヤ、主電源コンタクト!」
リツコはその応えに、舌打ちながらマヤに指示を出す。
「はい。稼動電圧臨界点を突破!!」
「了解! 初号機との接続開始!」
「はい、接続開始します。パルス及びハーモニクス正常。シンクロ問題無し。すごいです。シンクロに必要な条件、ないに等しいのに」
マヤがシンジの数値を見て驚愕の声を上げる。
「まったくだわ。でもこれからよ。マヤ、A10神経に接続して」
リツコも驚きの声を上げる。
その頃、使徒は落とし穴から這い上がろうとしていた。
「目標、PITから抜け出ます」
日向がミサトに報告をする。
「国連軍に連絡して、何でもいいから時間稼いで!!」
ミサトはマヤとリツコの作業を横目で見ながら、指示を出していく。
「了解、第3方面軍の巡航ミサイル来ます」
「リツコ! 急いで、時間がないわ!」
「急かさないで、ここで失敗すればすべてが終わるの」
「A10神経接続異常なし!! シンクロ率45.7%!! 起動しました!!」
「SIN!!]

第三新東京市

『SIN!!』
ミサトの声と同時に、落とし穴から這い出た使徒の攻撃が初号機を襲う。
シンジは自分に起こった、新しい感覚に戸惑いながら、とっさに腕だけの力で飛び上がる動作を行う。その瞬間、初号機は仰向けの状態からバク転にはいり、1回転した後、きちんと立ち上がる。
「俺の思ったとおりに動く!?」
『そうよ、碇シンジ君。君の思ったとおりにEVAは動くわ』
リツコの説明が入る。
『SIN、あなたの好きに戦いなさい』
ミサトの戦闘指示だ。
「好きに戦えか。……よし」
シンジは初号機を使徒より離れさせる。そして、初号機の動きを試す。
「おい、反応がちょっと鈍いぞ!」
『まだシンクロ率が低いからよ。シンクロ率が上がれば、反応も早くなるはずよ』
リツコはシンジの文句に応える。
「扱えきれてないってとこか。それもそうだな」
そうつぶやくと、シンジは初号機を使徒に向けてダッシュさせる。使徒は光線を放つ。初号機は紙一重でそれを躱す。使徒は懐に飛び込んだ初号機に掌底を繰り出してくる。光の槍を使おうとするのか。初号機は右腕でそれを受け流しつつ、そのまま交差法で肘打ちを入れる。
『ゴオオン』
鈍い音が当たりに響く。初号機の攻撃で使徒は後退する。だがまだまだダメージは低いようだ。さらに攻撃を加えようと、使徒に近寄る初号機。
『ガアアアアン』
使徒の作り出したA.T.フィールドにはばまれる。
「なに!?」
シンジはいったん初号機を後退させる。
『A.T.フィールドよ! それがはってある限り、使徒には近づけないわ』
「手はあるのか?」
使徒の放つ光線をよけつつ、通信を入れる。
『攻撃する瞬間は、A.T.フィールドもはってはいないわ』
「攻撃する瞬間か……。わかった、何とかする」
初号機は使徒に近寄ろうとするが、その攻撃とA.T.フィールドに阻まれる。
そういうことを何回か、繰り返しているとシンジに異変が起きる。
「ぐっ、何だ……」
シンジは何かが自分の中に入ってくる感覚に襲われる。そして意識が途切れた。

NERV本部 指令塔第一発令所

発令所はシンジの異変に慌ただしくなる。
「どうしたの!?」
ミサトはマヤの後ろに駆け寄る。
「制御神経断線、シンクログラフ反転!! パルス、逆流していきます!!」
「回路遮断、せき止めて!!」
「だめです。信号拒絶! 受信しません!!」
『グオオオオオオオオオオオ!!』
モニターに自ら顎部拘束具を引き千切り、咆哮をあげる初号機が映し出されていた。
「シンクログラフはマイナスのままなのよ! 動けるはず……まさか暴走!?」
リツコは呆然とつぶやく。
初号機はそのまま使徒に向かって、突進する。やはりA.T.フィールドに阻まれる。が……
「初号機、A.T.フィールド展開! 位相空間を中和していきます!!」
初号機は使徒のA.T.フィールドを無理矢理こじ開けていく。
「す…すごい!!」
ミサトはその様子を呆然と見ていた。
初号機はA.T.フィールドをこじ開けると、使徒に対し右前蹴りを放つ。左肩口に初号機の爪先がはいった使徒は吹き飛ぶ。そして左腕が使用不可能となったようだ。追い討ちをかけ、さらに攻撃を仕掛ける初号機。それに負けじと攻撃する使徒。五分の戦いをしている。

エントリープラグ内

初号機と使徒が五分の戦いをしている頃、プラグ内ではレイが目を覚ましていた。
「わ…わたし…」
レイはあたりを見渡す。
「SIN!?」
自分がシンジのひざの上にいることに気づく。
「なぜ、あなたが?」
レイはシンジに問い掛ける。答えは返ってこない。
「ん…。いけない。取り込まれ…」
目を開けたまま意識を失っているシンジの姿にすべてを悟ったレイ。
『SIN!』
レイはシンジの胸に顔を当て、心の中で呼びかける。
その瞬間……。
『……綾波。……気がついたのか?』
『SIN、しっかりして。EVAに取り込まれる』
二人の心は一つにつながっていた。。

NERV本部 指令塔第一発令所

「先輩!」
マヤがリツコを呼ぶ。
「どうしたの!?」
「シンクログラフが正常に戻っていきます! これはレイです」
「レイが目覚めたの?」
サブモニターを覗き込むリツコ。
「ですが、彼のシンクロもつながったままです!!」
「えっ! そんな馬鹿な」
サブモニターには二つのシンクログラフが存在していた。そして一つに融合していった。
「これは同時シンクロ!?」
リツコは驚愕の声を出す。
「リツコ、どうしたの」
ミサトはリツコにたずねる。
「彼とレイの同時のシンクロよ」
リツコは頭を振ってミサトの問いに応える。
「本来なら異物として扱われるお互いの意識が融合していっているの。自我境界線の崩壊、記憶の共有。なにが起こっても不思議じゃない状態よ」
「どういうこと?」
「つまり、彼とレイ。お互いが他人じゃなくなっているの。EVAをとおして。二人で一人の人間になってるのよ」
「それって、やばいじゃない」
「そうね。でも、使徒を倒すまでどうしようもないわ」
モニターの使徒と初号機の戦いを見ながら、リツコはつぶやく。
「どうもできないわ。今の状態じゃあ……」

エントリープラグ内

SINとレイは文字どおり心が一つになっていた。
『綾波』
『SIN』
二人の間には何もなかった。お互いがここにいるのは自分だと認識しはじめていた。
『SIN、あなたはこんなつらい日々を送っていたの?』
『綾波も……。大丈夫、君は人形じゃない』
お互いの過去も自分のものとして理解していっていた。
『でも、過去よりも今を。今を生きなければ未来は見えてこない!』
『そうね、今を生きなくてはいけない』
二人は使徒に攻撃を開始した。お互い考えることは一つ。今は二人で一人の人間なのだ。
『『A.T.フィールド全開』』
暴走状態の初号機よりも強いA.T.フィールドを展開する二人。使徒のA.T.フィールドは簡単に中和され、放ってくる光線も跳ね返す。自分の攻撃で傷つく使徒。たまらず接近戦を仕掛けてくる。
『『遅い!!』』
突き出してきた右腕を掴むと、そのまま引き千切る初号機。圧倒的な強さを見せる。よろよろと後退する使徒。左ハイキック、右ストレート、そして右足の踵落とし。面白いように攻撃が決まる。そして、止めの一撃、よろけたところを左貫手が使徒のコアを貫通する。
「ぐあああああああ」
使徒は断末魔をあげると、そのまま初号機に取り付く。
『『無駄なことを』』
使徒は初号機を巻き込んで自爆した……。二人の意識は再び途絶えた。

NERV本部 指令塔第一発令所

「す、すごい!」
ほぼ発令所にいる全員が同じ感想をもらしていた。今の初号機と使徒の戦い。圧倒的に初号機が強いのだ。今までの苦戦がうそのようだ。
「先輩、シンクロ率が200%に到達しました!!」
マヤはその驚異的なシンクロ率に驚いている。
「それぐらいなければ、説明つかないわよ。あの動き!」
そして、最後の攻撃が使徒に叩き込まれる。断末魔をあげながら使徒は初号機に取り付く。
「自爆する気?」
ミサトはその様子を見て、叫んだ。
その言葉どおり使徒は初号機を巻き込んで自爆した。それはあたりのビルを吹き飛ばし、十字の火柱を上げる。その爆炎のなかから無傷で初号機は姿をあらわす。
「「「「「やったああああ!!」」」」」
オペレーター達が歓声を上げる。
「パイロットの生存確認急いで!!」
ミサトは冷静に命令を出す。パイロットが生きてなくては意味がないのだ。
「パイロット両名とも生存確認」
「回収班出動! 救急隊に伝達――」

「終わったな、碇」
「いや、すべては始まったばかりだ……」
ゲンドウと冬月はモニターに映る炎をバックに立つ初号機を見ながら会話を交わす。 

To be continued

5.Cerberos


NEXT
ver.-1.00 1997-11/13公開
ご意見・ご感想は takasan@mail.interq.or.jpまで!!


後書き兼用座談会

タカ:疲れた。もう寝る
シンジ:あの、タカさん? 寝ちゃったよ、どうする綾波?
レイ3:私たちだけで進めても仕方ないわ
シンジ:そうだね。じゃあ綾波
レイ3:うん。じゃあ寝てしまった作者に代わりまして、お礼を申し上げます。秋月さん、HP情報ありがとうございます。さっそくDLして作者は読んだみたいです。MEGURUさん、貴重なご意見ありがとうございます。全然進歩していない作者ですけど、またご意見ございましたら送ってあげてください。yanaさん、感想ありがとうございます。作者はとても喜んでおりました。砂漠谷 麗馬さん、SINのコードネームありがとうございます。4.で使うといいながら、結局使わなかったみたいです。5.で使うといってました。ではお互いがんばりましょう。
シンジ:最後に大家さん。毎度毎度ありがとうございます。こんな駄文を送り付ける作者ではありますが、見捨てないでください。
レイ3、シンジ:では次回5.Cerberosをお楽しみに
アスカ:全然、座談会じゃないじゃない!!

 


 タカさんの『EVANGELION SIN』4.公開です。
 

 初戦無事突破(^^)
 

 初陣のレイも
 それを送り出すミサトを初めとするネルフの面々も、

 一息と言ったところでしょうか。
 

 SIN・・EVAに乗りましたね

 ゲンドウのシナリオにこれは入っていたのでしょうか。
 

 人形に戻ろうとしていたレイ、
 この初戦・SINの行動がどの様な影響を・・。

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 タカさんへの感想をメールで送りましょう!


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