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  (力が欲しいか・・・)



 どこからともなく発せられたその波動は、声という形をとって少年のもとへと響いてきた。

 機械的な雰囲気を漂わせる、錆を含んだ重たい声だ。

 だが、力強い響きであるにもかかわらず、少年の耳には微かにしか届かなかった。



  (力が欲しいか!!)



 声はさらに圧倒的な響きで迫ってきた。

 質問ではない。確認でもない。

 抗いがたい強烈な意志だ。

 魂を直接に揺さぶるような波動は、朦朧とした少年の意識に覚醒を促した。

 やがて少年の視界が闇から光へとゆっくり反転する。





 (・・・あれ・・・体が動かない・・・・・・)



 最初に目に入ってきたのは、右手だった。

 赤黒く染まった指先だけが少年の目に映る。

 ぼんやりとしていて、はっきりとは見えないが、自分の手であることは間違いなさそうだ。

 だが、動かすことは一切できなかった。

 どれだけ必死になっても、指一本動かすことができない。



 (・・・何が!?・・・・・・)



 少年は狼狽した。

 幼い意識にも、何か異常なことが起きたことだけは理解できる。

 少年は必死になって記憶を辿った。



 (・・・そうだ・・・ぼく・・・たしか・・・・・・)



 混乱した意識に白い閃光がほとばしった。

 徐々によみがえる記憶の断片。



 (・・・工場前の空き地で・・・アスカたちとかくれんぼしてた・・・・・・)



 崩れ落ちてくる廃材。

 救け出そうとする工場の大人たち。

 けたたましい救急車のサイレン。

 少年にすがりつき泣き叫んでいる幼馴染みの少女、アスカ。



 (・・・そうか・・・ぼく・・・怪我したんだ・・・・・・)



 『緊急治療室を開けろ!!

  A型血液の輸血準備、急げ!!』



 (・・・死んじゃうのかな・・・ぼく・・・・・・)



 『内臓数か所の損傷、右腕複雑骨折、肋骨数本の骨折!!』



 緊迫した空気が医師たちを包んでいた。



 『だめだ・・・右腕は修復不可能だ・・・・・・』



 (・・・夢じゃ・・・ないよね・・・・・・

  ・・・やっぱり、死んじゃうのかな・・・・・・)



 『心拍が弱まってるぞ。キシロカイン静注!!』



 アスカの姿が脳裡に浮かんだ。泣いていた。

 母親の姿が脳裡に浮かんだ。優しく微笑んでいた。

 父親の姿が脳裡に浮かんだ。力強く頷いていた。



 (・・・いやだ・・・死にたくない・・・・・・)



 そのとき、再び声が響いてきた。



  (力が欲しいのならくれてやろう!!)



 神の慈悲か、悪魔の囁きか・・・・・・

 少年にはどちらでもよかった。



 (・・・力が・・・・・・)





力が欲しい!!










The Peace or The Nightmare
Chapter.01

予兆











 私立第三新東京高等学校の西の一角、グラウンド整備用具を収めた倉庫の脇に赤いレン

ガ造りの花壇がある。

 高校二年生新学期の始業式を終えた碇シンジは、陽当たりのよいその花壇の前にしゃが

みこみ植物の世話にいそしんでいた。

 柔らかな春の陽射しの中、土の香りが心地よく鼻孔をくすぐる。四月とはいえ朝はまだまだ

冷えるが、昼近くにもなれば穏やかな陽気に包まれる。始業式は午前十時ごろに終わってし

まったので、家に帰ってから昼食を食べるにしても時間は充分にあった。

 そこで、新学期早々ではあるが、シンジは帰宅前に花壇に寄ることにしたのだ。

 クロッカス、ヒヤシンス、パンジー、すいせん、チューリップなど、春の花々が精一杯にその美

しさを競い合っている。すべてシンジが植えて育てたものだ。

 これらの花々を眺めているだけで、なんとものどかな気分になってくる。『年寄りくさい』とい

われることも多いが、好きなのだから仕方がない。春休みの間に学校に来られなかったぶん、

シンジには余計に愛しく感じられた。手塩にかけて育ててきただけに、可愛さもいや増すのだ。

 シンジは右手を握ったり開いたりしながら――幼い頃からの癖である。意識してやっている

わけではない。なくて七癖、というやつだ――、ぼんやりと一人きりの時間を楽しんでいた。

 だが、シンジの至福のときは、そう長くは続かなかった。

 彼を呼ぶ声が背後から聞こえてきたのだ。

「シンジ! こら、ばかシンジ!!」

 溜息をついて振り返ると、栗色の髪の少女が両手を腰に当てて立っていた。

「新学期早々、なにボケボケッと日向ぼっこなんかしてるのよ。ジジくさいわね」

 すぱぱんとマシンガンのように言い放つ。

 内心でもう一度溜息をつきながら、わかってないな、とシンジは思う。

 アスカも少しくらい花を愛でる心を身に付ければいいのにと考えることもある。

 だが以前そう言ったところ、返ってきたのはビンタと

『あんたバカぁ!? あたしは自分が美しいから、花なんか相手にする必要がないのよ』

といういかにもアスカらしい台詞だったのだ。

 以来、シンジはアスカに対して、こういった方面での感受性は求めないことにしていた。



 惣流・アスカ・ラングレー、日独のクォーター。

 確かに美しい少女だ。

 さらさらの明るい栗色の髪。

 澄みきったカルデラ湖のようなサファイアの瞳。

 口紅など必要ないほどに微妙な色合いを保っているすっきりとした唇。

 九頭身くらいあるのではと思わせる抜群のプロポーション。

 まさにヴィーナスの寵愛を一身に受けているとしか思えない。

 幼馴染みでなかったら、ぼくなんか相手にもしてもらえないんだろうな・・・シンジは自嘲的

にそう考える。

 だがアスカはシンジのそんな内心などお構いなしに続けた。

「ほら、いつまでボケッとしてんのよ。まったく・・・いくら春だからって、もう少しシャキッとしなさ

いよ、シャキッと」

「うん、わかったよ・・・・・・で、ぼくに何か用事でもあったの?」

 邪魔をされた不快感を声と表情に出さないように注意しながら――そんなことをすれば、す

ぐさま百倍になって返ってきてしまう――、シンジは尋ねた。

「決まってるじゃない! 新入生の勧誘よ!!」

 そう言って、アスカはニヤリと笑う。

 その表情をみた瞬間、シンジは今学期最初の悪い予感に襲われたのだった。











 ・・・・・・なんで、ぼくはこんな事をやっているんだろう?

 目隠しをされて木製の板の前に立ちながら、シンジは自問した。

 もちろん答えはない。答えられるくらいなら、そもそもこんな所に立ってはいないだろう。多く

の新入生に囲まれながら、シンジは釈然としないものを自分自身に感じていた。

「さぁて、お立ち会い! 取り出したる十本のナイフ、投擲するのは我が校一の美少女、惣

流・アスカ・ラングレー!! さあ、標的の運命や如何に!!」

 眼鏡をかけた、そばかすの目立つ少年が、見事な口上で観客の新入生を盛り上げている。

 標的とは、いうまでもなくシンジのことだ。

 校庭の真ん中で見世物を催しているのは大西流古武術同好会――アスカが昨年つくった

クラブだ。先日すでに入学式を済ませている新入生を勧誘するためのパフォーマンスの一環

である。

 シンジやアスカの通うこの学校、私立第三新東京高等学校では、自由闊達な校風のため、

クラブ活動も盛んである。生徒の自主性を重んじるという姿勢のもと、クラブの新規設立も簡

単におこなえる。その結果、部や同好会が乱立し、今では全校で500人ほどの生徒数に対し

て150を超えるクラブ数を誇っているのだ。

 当然、新入部員の獲得はたいへんであり、四月はどこのクラブも必死になる。

 今日から二年生になったアスカも、新入部員獲得のための活動をおこなうことにし、普段は

出てこないものの部員登録だけはしてある(いわゆる幽霊部員である)シンジを引っぱり出し

てきたのだ。

『強くなりたい貴方、護身術を身につけたい貴女、もちろん美容・健康にもばっちり。クラブに

入るなら我が大西流古武術同好会へ!!』

 このような売り込み文句のもと、主将のアスカがシンジを相手にいろいろな技を実演してみ

せるのだ。なぜだかナイフ投げもそのひとつである。

 アスカがナイフを手に観客の前に歩み出た。

「さあ、いくわよ、シンジ! 動いたら承知しないからね!!」

 シンジは覚悟を決め、息を止めた。アスカの腕はわかっているが、怖いものは怖いのだ。

「はっ!!」

 気合いとともに、アスカからシンジに向かって銀色の光が走った。

 カカカッ!!

 小気味よい音をたててナイフが板に突き刺さる。

 観客からは拍手と歓声が起きたが、シンジは生きた心地がしなかった。なにしろ頭髪や皮

膚をかすめてナイフが後ろの板に突き刺さるのだ。だがアスカの腕はやはり確かだったよう

だ。大きく溜息をつくと、全身の力が抜けてきた。

 その瞬間、ナイフがもう一本、今度は正確に顔の真ん中を狙って飛んできた。

「油断は禁物よ・・・」

 ぼそりとつぶやくアスカの声とともに。

 観客から悲鳴が起きる。

 目隠しをされていて目が見えなくても、襲い掛かってくる本物の殺気は感知できた。シンジ

は自分の意識が硬直するのを感じた。そこから後は、完全に意識外の行動である。体が勝

手に反応したのだ。

 シンジの顔の50センチほど手前で忽然とナイフが消えた。神速で蹴り上げられたシンジの

左足が弾き飛ばしたのだと見破ったのは、アスカと眼鏡の少年だけだった。

 観客たちには何が起きたのか、まったく理解できていないようだ。

「さて、それでは、わたくし相田ケンスケがただいまの実演について解説いたしましょう」

 眼鏡の少年、相田ケンスケが観客の新入生たちに解説をした。

「・・・というように、幽霊部員でもこのような芸当ができるようになるのです。どうです、素晴ら

しいでしょう!!」

 新入生たちは皆、感心したような表情をしているが、ケンスケの言葉は嘘ではないものの、

事実のすべてを伝えきってはいなかった。

 確かにシンジは幽霊部員であるが、稽古はこれまでずっと重ねてきているのだ。ただしクラ

ブではなく、自分の家の隣、つまりアスカの家の道場で、である。物心ついたころから師範で

あるアスカの父親を相手に組み手をおこなってきたのだ。

 おまけに休日となると自分の父親が『実戦訓練だ!』などと言い始め、山に連れていかれて

は『本格的』サバイバルゲームをやる羽目になるのだ。

 戦うすべは身に染み着いている。

 アスカでさえ、シンジからは五本に一本しか取れない。しかも、シンジは本気にはなっていな

いのだ。シンジが本気になれば、アスカは手も足も出ないだろう。それがわかっているから、

アスカは平然とシンジにナイフを投げつけられる。もっとも、予告もなしにいきなり投げつけら

れる方は、たまったものではないが。

 それに、シンジは性格の方が腕力についていっていない。そもそも人と争うということがあま

り好きではないのだ。そのうえ、他人とのコミュニケーションも苦手なので、どうしてもクラブ活

動からは遠ざかってしまう。

 かわりと言ってはなんだが、学校にいる間は一人で花壇に向かっていることが多くなってし

まうのだ。アスカに『年寄りくさい』と言われるゆえんである。

 しかし、シンジのそんな性格とは関係なく、今のパフォーマンスは新入生にたいそう感銘を

与えたようだった。

 アスカがシンジの目隠しを外すと、憧憬の視線が降り注いでいることに気がついた。

 ただでさえ、アスカの美貌で人が集まってくるのに、シンジまでがかなり派手なパフォーマン

スをしてみせたのだ。効果は抜群であった。興味を持ってくれた新入生も多いことだろう。

「・・・・・・では、みなさん。大西流古武術同好会をよろしく!」

 今日の所は、勧誘は大成功に終わった。

 ただしアスカとしては、シンジに注がれる女の子の視線の何割かが、ピンク色に染まってい

るようなのが気に入らなかったが・・・・・・











「おっかしいわねぇ、確かにこっちの方だったと思うんだけど・・・・・・」

 繁みの中をがさごそとやりながらアスカがぼやいた。先ほどシンジが蹴り飛ばしたナイフを

探しているのだが、どういうわけか一向に見つからないのだ。

 目隠しをされていたシンジはともかく、アスカとケンスケは確かに繁みに吸い込まれるナイフ

を目にしていたはずなのだ。それがまったく見つからない。

「まったく・・・・・・蹴り飛ばすんなら、方向くらいちゃんと確認しときなさいよ。きょうび、ナイフ

の一本だって馬鹿にならないんだから」

「そんな・・・・・・無茶言わないでよ・・・・・・」

 目隠しをされているところに突然、殺気を込めたナイフが投げつけられたのだ。冷静に対応

しろというほうが無茶な話である。だが、その無茶な話をさも当然のように言うアスカに対して、

シンジの反論は弱々しい。

「お〜い、やっぱ、どこにも見当たらないぜ」

 そこにケンスケが戻ってきた。

「なぁ、誰かが拾って持ってっちゃったんじゃないか?」

「しょうがないわね。じゃあ、新入生にプレゼントでもしたと思ってあきらめるわ」

 そう言ってアスカは、肩をすくめるジェスチャーをしてみせた。

「そうそう。それよりも早く帰ろうよ。ぼく、もうお腹ぺこぺこだよ」

 無理矢理につき合わされる格好になったシンジが情けない声を上げる。

「そうね、おばさまを待たせるのも悪いしね。帰りましょ。じゃあ、あたし鞄を取ってくるから、シ

ンジ、ちょっと待ってて」

 アスカが軽やかに身をひるがえすと、

「へえへえ、相変わらず仲のよろしいこって・・・・・・」

とケンスケがアスカの態度にあてられたようにつっこんできた。

「うっるさいわねえ。しょうがないじゃない、うちの両親、一人娘をほっぽらかしてアメリカに行

っちゃってるんだから。世話をしてくれているユイおばさまに気を使うのは当然でしょ」

 ケンスケのほうへと振り返り、アスカはムキになって反論してきた。

「ま、そりゃそうだ」

 意外にあっさりとケンスケは引き下がった。というよりも、このネタでアスカをからかうと後で

ろくなことがないことを、経験的にわかっているのだ。

「わかればよろしい。じゃ、シンジ、ちょっと待っててね」

 そう言って背を向けて教室へと走り出そうとした瞬間だった。

 先ほどまでアスカがナイフを探していた繁みから、一条の銀光がその背中をめがけて飛ん

できたのだ。

 殺気は完全に消されていた。いや、そもそも殺気など抱いていなかったのだろう。

 なぜ反応できたのかはシンジ自身にもわからない。幼い頃より鍛えられた戦闘の勘が働い

たのかもしれない。とにかく、アスカに迫る危険を察知した瞬間、シンジは考えるよりも早く動

いていた。

「アスカぁ!!」

 ほとんど瞬間移動とも思えるスピードで、シンジはアスカと凶刃の間に入り込もうとした。

( くっ・・・・・・蹴り飛ばすのは間に合わないか・・・)

 どんなに速く見えても、蹴りのスピードは手の動きよりかは劣ってしまう。

(・・・・・・構うもんか!!)

ざしゅっ!!

 異様な音とともに時間が止まったような気がした。

 うずくまるシンジを目にし、硬直していたアスカが我に返った。

「シンジぃ!!」

 アスカの悲鳴が再び時間を動かし始めた。

 シンジの右手は、その甲から平へと銀色の鋼が貫き通していた。手の骨を砕いて貫通した

のだから、相当なスピードで射出されたものらしい。アスカに命中したらどうなっていたことか。

シンジの右手はアスカの心臓の真上をカバーしていたのだ。

「お、おい、シンジ! 大丈夫か!!」

 ケンスケが慌てて駆け寄ってくる。大丈夫でなさそうに見えても、『大丈夫か』と聞いてしま

うのが、人間の悲しい性である。そして、大丈夫かと聞かれれば、『駄目』とは答えられない

のも同じである。シンジも多数の例にもれなかった。

「だ、だいじょうぶ・・・だと思う・・・・・・いや、小丈夫くらいかな・・・?」

「ばかっ、なにつまらない駄じゃれ言ってんのよ! ナイフが貫通してんのよ。大丈夫なわけ

ないじゃない!!」

 アスカが殴り掛からんばかりの勢いで怒った。本気で怒っているらしく、目には涙さえ浮か

べている。

「ご、ごめん・・・でも、ほら、『右手』だから・・・・・・」

 そう言いながら、左手で無造作にナイフを引き抜いた。傷口から血が吹き出し、一瞬だけ顔

をしかめる。

 だが、それだけだった。

 ハンカチで血をぬぐった後の右手には、ナイフが貫通していた痕跡はもはや何一つ見つけ

ることができなかった。

「そっか、右手だったのか・・・まったく、びっくりさせないでよね・・・・・・」

 安心して力の抜けたアスカは、ぺたんと地面に座り込んでしまった。

「シ、シンジ・・・・・・おまえ、その右手・・・・・・!?」

 かえって動揺してしまったのがケンスケだった。無理もない。あれだけの傷が一瞬で消えて

しまったのだ。

「うん・・・どういうわけか、右手の傷だけはすぐに治っちゃうんだ。昔からこうなんだよね」

「・・・・・・肉体構造まで人間離れしてたか」

「なんだよ、それ。人を物の怪みたいに・・・・・・それに肉体構造『まで』って何さ?」

「いや、まあ・・・あまり、気にするな」

 ケンスケとしては言いたいことはいくつもある。天才と呼べるほどの格闘技の腕の持ち主の

趣味が花の世話であること。校内一の美少女アスカと一つ屋根の下で同居しながら、何も感

じていないように見受けられること。数学の成績は抜群のくせに、なぜか物理は赤点すれす

れなこと・・・・・・。だが・・・・・・

「ま、便利でいいじゃないか」

 お気楽がケンスケの身上であった。

「でも、なんでそんな風になったんだ?」

「ぼくもよくわからないんだけど・・・・・・」

「あれじゃないの? シンジ、幼稚園くらいのときに大怪我したじゃない。あたし、もう少しで右

腕を切断するところだったって聞いたけど」

「そうなんだ。治ったのが奇跡みたいだって」

「へえ〜、じゃあ、その時に右手に神様でも宿ったのかもな」

 そう言ってケンスケは、あははと笑った。

「・・・・・・神様か」

 シンジは右手をじっと見つめながら、握ったり開いたりした。

 その頭をアスカが軽くはたいた。

「さ、とにかく帰りましょ」

 ナイフをケンスケに預けると、アスカはあらためて教室へと鞄を取りに戻った。そして三人し

て一緒に校門をくぐったのだ。

 だが、シンジたちは皆、いちばん大切なことを忘れていた。

 誰にも怪我がなかったことと、あまりにも異常な展開のために、失念したことを責めるわけに

はいかないが、ナイフはひとりでに飛んでくるものではないのだ。誰かがアスカを狙って投げ

つけたに違いないのだが、三人ともがすっかりそのことを忘れ去っていた。







「ふふっ、碇シンジ君。少しは楽しませてくれそうだね・・・・・・」

 アスカを狙ったナイフが飛んできた繁みの奥で嬉しそうにつぶやく声があった。

 声の持ち主は、銀髪と紅い瞳の少年だった。

 『左手』を強く握りしめながら、声はさらに続けた。

「シンジ君、君にも僕と同じになってもらうよ・・・・・・」










ver.-1.00 1998+9/26公開
ご意見等は リョウ@F01号室まで



・・・・・・お久しぶりでございやす。

っていうか、はじめましてのほうがいいかしらん? 誰も覚えてないだろうな・・・・・・

めぞん投稿ほぼ9ヶ月ぶりのリョウです(^^;;;

いやあ、しばらくインターネットから遠ざかってたんですが、最近戻ってまいりました。

で、めぞんを訪れてみたところ、おお! 盛況じゃありませんか。

ホント、エヴァって愛されてるよなあ(しみじみと)。ちょっち感激してしまいました。

そうすると、悪い虫がまたうずき出すんですな。

というわけで書いちゃいました♪♪

お察しのとおり、ARMSとエヴァがいちおう元ネタになってます。

暇な方はどうか読んでやってください。

いや、ここを読んでるってことは、本文も読んでるんだろうけどさ・・・・・・(^^;;;







 リョウさんの『The Peace or The Nightmare』Chapter.01、公開です。



 アームズ、ア−ムズ・・・・


 週刊サンデーで連載しているやつかな?


 しばらく読んでいなかった時期があったんですよ、サンデー。

 その間に連載が始まって、かなり進んで、

   ・
   ・
   ・

 筋が全然分からないので、飛ばしています(^^;



 元ネタを知らないけど、
 その方がかえって楽しめるかな?

 ね(^^)




 平和な学園に迫る闇の手  ってかんじでドキドキ☆






 さあ、訪問者の皆さん。
 復帰&新連載のリョウさんに感想メールを送りましょう!





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