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NEW TYPE EVANGELION

第拾壱話
死を見た彼女たち


「ふぅ。」

葛城ミサト、彼女は探していた。エヴァに関するデータを。

「さすがはリツコが作ったコンピュータよね、セキュリティが堅いわ。」

ミサトはエヴァに関するデータを探るため、MAGIにハッキングをかけていた。
前回の戦いで、初号機の変貌した姿を見たことにより、エヴァに対する疑問が大きくなっていた。
エヴァとは何か、碇ゲンドウの目的は何かといったことである。

「やっぱり私のアクセス権じゃぁこれが限度かな」
「そうよ。あなたのアクセス権じゃぁこれが限度ね。
 それ以上行きたかったら私か碇司令のアクセス権を使う事ね」
「リツコ・・・・・・・・」
「あなたならやりかねないと思っていたわ。こういうことをするのはね」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「あなた、真実を知りたいんでしょう?だったら私についてきて。あなたならもう知ってもいい頃だから」
「どこに行こうというの?」
「エヴァンゲリオンの元となった所よ」




「ここは?」
「セントラル・ドグマ。エヴァンゲリオンの元となったものが安置されている場所」

NERV本部の置かれるジオ・フロント。その最下層にある空間をセントラル・ドグマという。
ここにはLCLが海のように満たされていた。

「ミサト、いい?ここのことは子供達にはとりあえず内緒よ。いいわね」
「なぜ?なぜ教えてはいけないの?」
「まだ時が来ていないから・・・」
「それで納得すると思う?」
「納得してもらうわ。でなければあなたをこれ以上行かせるわけには行かない」
「・・・・・・分かったわ。納得するわよ」
「いいわね。子供達には内緒よ。・・・開けるわね」


ぷしゅーーーーーー


重々しい音と共に扉、ヘヴンズ・ドアは開かれた。
そしてそこにあったものは・・・・・・・・・・・・白い巨人だった。

「これ・・・・・・が・・・エヴァの・・・」
「そう、これがエヴァの元となったもの、第弐使徒リリスよ」
「それじゃぁわたしたちって・・・」
「あなたはこう考えているのね。敵のものを使って戦っていると。
 事実そのとうりよ。もっとも使徒というものは元々敵ではなかったらしいわ。
 そもそも敵という言い方もおかしいわね。敵と言うよりはただの生物兵器ね」
「それじゃぁ使徒って・・・」
「誰かが操っている生物兵器よ。もっとも誰が操っているかなんて私は知らないわ。
 知っているのはおそらく・・・・碇司令だけね」
「もう一つ聞いてもいいかしら」
「何?」
「前回の戦いでの初号機のあの変貌は一体何?エネルギーもほとんどないのに動いて、
 異次元から脱出するなんて」
「分からないわ。もしかすると・・・」
「もしかすると、何?」
「S2機関が働いたのかも」
「えっ?!エヴァってS2機関を搭載していないんじゃぁないの?」
「初号機だけは別よ」
「初号機だけは別って?」
「この第弐使徒リリスの肉片から私たちはエヴァンゲリオン初号機を作ったわ。
 零号機などは初号機を模して作ったの。つまり初号機だけはオリジナルというわけ。
 だから初号機にS2機関が眠っていても不思議じゃぁないわ」

ミサトは真実を知った。
そしてこのことはまだ子供達に話してはいけない理由も悟っていた。









シンジ達が通う中学校のある部屋。
ここの扉には『写真部』と書いてある。
そう、ケンスケの所属している部の部室である。
もっとも部員は二人しかいないが・・・。
まぁそれはおいといて、ケンスケは今、部室である作業をしていた。

「ここは・・・こうした方がいいかな。・・・ここは・・・こうだな。・・・」

何か端末を使って作業をしているようであった。
ケンスケはここのところ、写真のことを忘れてこのような作業ばかりしていた。
そこへ・・・。

ガラガラガラ

一人の少女が部室に入ってきた。

「あらぁ?ケンスケ様ぁ、何をやっていらっしゃるのですかぁ?」

入ってきた少女はもちろん、写真部唯一の部員、桐野マイコである。

「な、なんだ・・・桐野か、驚かすなよ」
「すみませぇん、ケンスケ様ぁ」
「いや、いいよ。別に怒ってないから」
「そうですかぁ?それよりケンスケ様は何をやってらっしゃるのですかぁ?」
「・・・あまり知られたくないけど・・・・・・桐野ならいいか」
「わぁ、わたくしだけ特別ですかぁ?嬉しいですぅ」
「そうだよ、それより今からする約束だけは守ってくれよ、守ってくれるなら教えられるから」
「約束ですかぁ?守りますぅ、ケンスケ様との約束なら守っちゃいますぅ」
「それじゃぁこの事は絶対に誰にも言わないというのが約束だ」
「わぁ、それでは私とケンスケ様との二人だけのヒ・ミ・ツ ということなんですねぇ」
「・・・・・・・・・・少し違うかもしれないが(汗)・・・・・・まぁいいか」
「なんですの?なんですの?ケンスケ様がやってらっしゃる事って」
「・・・NERV侵入計画だよ」
「NERV侵入計画?ケンスケ様NERVの中に入りたいんですの?」
「そうだよ、俺だけがNERVには入れないからね。だから無理矢理はいってやろうと思っているのさ」
「そうなんですかぁ」
「秘密だぞ、桐野」
「はいですぅ」

ケンスケは自分だけがNERVにはいることが出来ないことをねたんでいた。
だから無理矢理入ろうと決意したのである。
エヴァンゲリオンのことを知りたいという欲求のためだけに。
だが、それが後にシンジ達の窮地を救うことのきっかけになることをケンスケは知る由もなかった。
ずっと後の窮地ではあるが。









時間は変わって昼。
もちろん場所は屋上、お決まりのお弁当シーンである。
ネタがないんでこれをやっているという噂もあるが・・・(^^;)
それはまぁおいといて、本編に戻りましょう。

「なんや、ケンスケはおらんのか」
「そう言えばいないね、トウジは知らないの?」
「確かあいつ、部室でなんや訳わからん事やっとるらしいで」
「相田の行動はいつもわけわかんないわよ」
「アスカぁ」
「な、何よ・・・ホントの事じゃないの」
「分かってても口にして言うもんじゃないよ」
「わ、分かったわよ・・・シンジがそう言うならそうするわよ」

シンジ達の会話にヒカリはあきれと驚きの両方の表情を見せていた。

「アスカって・・・変わったわね。なんか・・・碇君のこととなると凄く優しい顔してる」
「な、何よぉ、ヒカリ。そんなにアタシ変わった?」
「うん、凄く丸くなった感じがする」
「そう言うヒカリも変わったわね。
「う、うそ・・・私も?!」
「鈴原とのことよ・・・この、にくいわね。ねぇシンジ」
「そうだね。アスカ」
「わ、私と鈴原は、そ、その、な、なんでもないんだから!」
「何言ってんの、あの鈍感なシンジでさえ知ってることなのよ、もっとはっきりしなさいよ」
「・・・・・・・(真っ赤)」

トウジとヒカリ、自分たちでは何でもないといっている。
が、その進行速度はすさまじい。
あのシンジとアスカを追い抜こうという状況にさえなっている。
恋は盲目・・・かな?(ふ、古い・・・(^^;))

「もりあがってるわねぇ」

一人取り残されたレイは不満そうにそう呟いた。

「あ、レイ。居たの?」
「居たの?じゃないわよ。もう、みんなして盛り上がっちゃってさ。なんかいいなぁ」
「いいなって、レイ。アンタにはいい人はいないの?」
「うーん、片思いね、私は」
「へぇ、レイにもそういう人いるんだ。で、誰なの?教えなさいよ、レイ」
「うーん、どうしようかなぁ、教えちゃおうかなぁ」
「私も知りたいなぁ、綾波さんの好きな人」
「ほらぁ、ヒカリもそういっているんだから教えなさいよ」
「うーん・・・・・・分かったわ、教えちゃいましょう!」
「で、だれだれ?」
「シンちゃんよ」

ぶぼっ

飲み物を飲んでいたシンジは思わず吹き出した。
まぁこれを聞いて吹き出さない方がおかしい状況だったからである。

「な、な、な、な、ぬぁんですってぇ!」
「いけない?」
「いけないも何もないわよっ!シンジはアタシのものなんだからねっ!誰にも渡さないわよっ!」
「アスカ・・・アタシのものって・・・」
「いいじゃないのよ、それにシンちゃんはアスカだけのものじゃないわよ」
「な、何言ってんのよっ!シンジはアタシのものよっ!ほら、シンジも何とかいいなさいよっ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

シンジの方はというと・・・・・・、
固まっていた。
完全にかちこちに固まっていた。
まぁ、状況が状況だけに無理もないが・・・。

「あ、う、ああ、うあ、うう・・・・・・・・・」
「何してんのよっ!しっかりしなさいっ!」
「大丈夫?シンちゃん」
「あーっ!何シンジの腕とってんのよっ!それもアタシのものよっ!」
「やーよ」
「離しなさいってばぁ!」

このときより、アスカ、レイによるシンジ争奪戦が開始される。
今のところアスカの方がかなり有利ではあるが、この先はどうなるか分からない。
ちなみにこの争奪戦にシンジのことは無視されている。
シンジにとっては苦難の道の始まりである。









NERV本部では訓練が行われていた。
シンジ達、エヴァパイロットの訓練である。
といってもエヴァでの訓練ではなく、自分自身の訓練である。
パイロット達の訓練は主に格闘技を加持が、専門知識の方をキトが担当していた。

「たぁぁぁ!」
「ふっ」
「はぁはぁはぁ・・・」
「だいぶ良くなってきたね、シンジ君」
「そ、そうですか・・・どうも・・・ありがとう・・・ご・・・ざいます・・・」
「シンジ君?どうかしたのかい?」
「い・・・え・・・なんでも・・・ない・・・で・・・す」
「おい!シンジ君!」

ドサッ

シンジは急に倒れた。
そしてシンジはNERVの病院へと運ばれ、検査を受けた。




「加持さん!シンジは?!」
「アスカちゃん・・・今検査が終わったところだよ」

がらがらがら

「先生!シンジは大丈夫なんですか?!」

医師がでてくると同時にアスカはシンジの容態を聞いた。
その慌てぶりは尋常ではなかった。
まさに取って食わんばかりの慌てぶりであった。

「お、落ち着きたまえ・・・碇君は大丈夫だよ。今眠っている。ただの過労だね」
「そ、そうですか・・・良かった・・・」
「良かったね、アスカちゃん」

シンジは過度の戦闘により、過労となっていた。
これまで倒してきた使徒の大半はシンジが倒したものである。
そして極めつけは先の使徒に異世界に飲み込まれ、そして尋常でない方法で脱出したことにある。
このため、シンジは過労となり、先ほど倒れてしまったというわけである。
少し前から疲れは感じていたのだが、シンジはそれをアスカに心配させたくないと思い、
内緒にしていた結果、倒れてしまったのである。




シンジが倒れて2時間後。
戦略自衛隊はその力の大半をつぎ込んでいた。
第拾四の使徒、ゼルエルの襲来である。

NERVではエヴァの起動の準備に取りかかっていた。
だが、このときすでにゼルエルは強羅絶対防衛線を突破しようとしていた。
ゼルエル自身、急に現れ、そしてかなり早い速さで第三新東京市に向かってきていた。

「エヴァの起動の方は?」
「遅いわよ、ミサト」
「言い訳はしないわ。パイロットの搭乗の方は?」
「エヴァの起動は後少し、パイロットはすでに搭乗済みです」
「少しまずいわね・・・エヴァはジオフロント内に配置して。侵入と同時に迎撃、いいわね」


ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!


ゼルエルが光線を放つ。
その光線は第三新東京市に巨大な十字架を作り出した。

「ジオフロントの特殊装甲が13枚全て貫かれました!」
「なんて強力な光線なの・・・特殊装甲が全て貫かれるなんて・・・」


ドゥゥゥン!ドゥゥゥン!ドゥゥゥン!


そしてゼルエルは次々と光線を放つ。
その光線の一つ一つが特殊装甲を全て貫き、
そして巨大な十字架を作り上げていった。

ゼルエルが光線を十何発はなったとき、ジオフロントの上部には穴があいていた。
ゼルエル自身が通れるくらいに。




ゼルエルは何かを目指してジオフロントに侵入してきた。
目指しているものは分からない。
だが、侵入してきたことには変わりなかった。

『レイ!鈴原!侵入と同時に一斉射撃するわよ!』

『分かったわ!』

『こっちはええで!』

『来たわよっ!』

ゼルエルはゆっくりとジオフロントに侵入してきた。
そしてそれを見るなりアスカ、レイ、トウジは持っている武器を使い尽くす勢いで一斉射撃に移った。


ズガガガガガ!
ドゥゥゥゥゥン!ドゥゥゥゥゥン!
ババババババババババ!


一斉射撃という名前に等しい、それだけ勢いのある攻撃が繰り出されていた。
弾幕に邪魔されてよく見えはしないが、確実にゼルエルのATフィールドは中和されており、
そして確実に弾丸はゼルエル自身に当たっていた。

だが、そのような攻撃にも関わらず、致命傷どころか、ゼルエルには傷一つついてはいなかった。

『ATフィールドは中和されているのになんでダメージがないのっ!』

『なんやぁ!こいつむちゃくちゃ強いやんけ!』

『何で効いてないのぉ!』

アスカ達は次々と攻撃を繰り出していた。
だがゼルエルには全く聞いてはいなかった。

そしてアスカ達の攻撃の間をぬってゼルエルが行動を起こした。
折り畳まれていたゼルエルの腕が開かれる。
その腕はまるで紙のようである。
腕は伸びていき、参号機へと向かっていった。


ズシャ!


『がぁぁぁぁ!』

ゼルエルの攻撃により、参号機の腕は切り落とされていた。
元々シンクロ率の低かったトウジはさほどダメージがフィードバックされなかったものの、
痛みはすさまじいものを感じていた。

『鈴原!』

『トウジ君!』

『き、きいつけぇや、あいつの腕、よぉ切れるようやで』

『わ、わかったわ』

ゼルエルの腕、これの切れ味は抜群である。
さしもの特殊装甲を持つエヴァでさえ、一刀両断にされていた。
そしてATフィールドを中和されていても傷一つつかないボディ。
最強の名を冠するにふさわしい使徒といえよう。

なおもゼルエルの攻撃は続いた。


ズシャ!ズシャ!ズシャ!


『きゃぁぁぁぁ!』

『ぐわぁぁぁぁぁぁ!』

ゼルエルの攻撃は意を反してすさまじく、エヴァは次々と傷ついていった。
零号機と参号機の損傷度は特にひどく、すでに中破にまで至っていた。

『ぐ・・・が・・・こ、こいつ・・・強い・・・』

『なんて・・・なんてやつや・・・・ワシらが全く手がだせん』

『あ・・・・あぅ・・・・・かはっ・・・・・』

三者三様に傷ついていた。
レイに至っては吐血するほどに。

そしてなおもゼルエルの攻撃は続く。
もはや一方的な”いじめ”に等しかった。




「葛城さん!ニュー・エヴァが発進を求めてます!」

ニュー・エヴァは前にブラック・ホール・キャノンを放った影響でしばらく修理をしていたのだ。
だが、完全に修理できているわけではないのに、キトは搭乗して発進しようとしていた。

「山崎博士!ニュー・エヴァはまだ完全に・・・」

『だがそうも言ってられないだろう。子供達が危険な目にあっているときに
 一人のうのうと見ていられる人間ではないからな』

「ですが・・・」

『そんなこといっている場合でもないだろう。早く俺を出せ』

「了解・・・しました・・・」




キトはニュー・エヴァを駆り、ゼルエルへ立ち向かっていった。
ニュー・エヴァはプログレッシブ・ブレードを構え、ゼルエルと対面する。

『はぁぁぁぁぁぁ!』


シィィィィィィィン!!


ニュー・エヴァの攻撃はゼルエルのATフィールドに阻まれる。

『くっ!やはりATフィールドの威力の差がでてしまったか!』

ニュー・エヴァとゼルエルのATフィールドを比べた場合、ゼルエルはニュー・エヴァの約10倍の威力を持つ。
当然、ニュー・エヴァにそのATフィールドを破る術はなかった。

『くそっ!駄目かっ!』

子供達のエヴァと違ってニュー・エヴァはゼルエルのボディに攻撃を当てることもできないでいた。
これでは事態はいっこうに好転しなかった。




「こ・・・ここは・・・」

「葛城さん!シンジ君が気がつきました!」
「良かった・・・早くシンジ君をケイジに連れてって!もうシンジ君にすがるしかないわ!」

もはやNERVにはシンジしかいなかった。
シンジの駆る初号機しか。




『ミサトさん、アスカ達は無事なんですか』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

『どうしたんですか?!何とか言って下さいよ!』

「エヴァンゲリオン初号機・・・発進」

ミサトはここでシンジが暴走しないよう、何も言わずに初号機を発進させた。
全て見れば分かると言わんばかりの行動である。

シンジは何も告げられないまま、第十四使徒ゼルエルのいると思われる所にでてきた。
そこでシンジが見たものは・・・・・・・・・・。

「アスカ・・・・・・綾波・・・・・・トウジ・・・・・・山崎さん・・・・・・・」

シンジが見たそれとは・・・・・・・・・・
、そして漆黒・・・・・それぞれの、

残骸だけだった。


『う、ううう、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
 アスカ!アスカ!アスカぁ!!』


シンジは暴走した。
彼の頭には何もなかった。
ただ、空白だけが残っていた。




『み、ミサトさん・・・アスカは・・・生きているんですか?』

シンジは何とか少しだけ平静を取り戻し、まずアスカの安否を気遣った。

「残念だけど・・・・・・・・・生死不明よ。モニターできないの」

ミサトは事務的に、感情を込めないでシンジにそういい放った。

『は、ははははは、貴様か。・・・・・・・・貴様がこんなことしたんだな』

シンジはゼルエルの方を向くとそういった。
憎しみを込めて。

『ははははははははは。殺してやるよ。アスカをこんなんにした貴様には死を与えてやるよ。
 やらなきゃ良かったと思うほどのね』

完全にシンジは切れていた。
心の力を具現化する力を持つエヴァンゲリオン。
今はシンジの憎しみという力を具現化していた。

『ははははははははははは。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。
 殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやるよっ!!!!!』



その時、NERV本部には誰も言葉を発するものはいなかった。
あのゲンドウでさえも。
シンジのこの豹変を見たら、誰も言葉を発することなど出来ないだろう。

初号機はまさに鬼神の風貌をきたしていた。
だが、元々電力で動いているもの。
その時の限界が来た。


ピーーーーーーーーーー


初号機は止まった。
いや、止まるべくして止まったと言った方がいい。
内部電源が限界まで来たのだ。

『おい、なんで止まるんだよ。まだあいつに死を与えていないじゃないか』

シンジの暴走は止まらない。
だが、それでもゼルエルが殲滅したわけではなかった。

『おい、動け。俺の言うことを聞け、エヴァンゲリオン』


フォォォォォォォォォォォォ!!!


シンジの呼びかけに応じたのか。
定かではないが、初号機は再び活動を開始した。

「まさか・・・・・S2機関が働いたというの?!」
「なんですって!それじゃぁやっぱり初号機にはS2機関があるっていうの?そうでしょう!リツコ!」

無いとされているものが実際に存在した。
そのことを知ると人間というものは怒りに駆られる。
ミサトも例外ではなかった。

「やっぱりあるのね初号機には・・・リリスの・・・S2機関が」

エヴァンゲリオン初号機。それはリリスのコピー、もしくは分身、子供である。
他のエヴァは初号機のコピーにしかすぎないが、初号機だけは別物である。
すなわち、初号機こそが”オリジナル・エヴァンゲリオン”なのである。
今回、初号機にはリリスから流れ得たS2機関が働いた。
シンジの憎しみという負の感情によってである。

「そう・・・これが・・・エヴァ本来の力」




「シンジ君のシンクロ率・・・400%を越えています!」
「えっ!まずいわ!シンクロ率をこっちで下げて!」
「駄目です!受け付けません!」
「なんて事・・・S2機関が働いたのはいいけど・・・400%なんて・・・」
「説明・・・出来るわよね・・・リツコ」

もはやミサトには何も分からなかった。
そのため、全ての説明をリツコに求めた。
ミサト自身が知りたいために。

「シンクロ率・・・エヴァと人間とがどれだけ1つになっているかどうかの値。
 100%イコールエヴァと1つになるということ。元々100%以下だから
 エヴァのダメージは直接人間には伝わらない。痛みだけは伝わるけど・・・。
 けど100%を越えると・・・そのダメージは直接人間に行ってしまうわ。
 つまり、エヴァの腕が落とされると中にいる人間の腕も落とされてしまうということ」
「それって・・・もしかして!」
「そう、シンジ君は今まさにその状態よ。そんな状態でエヴァが傷ついたりしたら・・・」
「シンジ君自身の命の危険があるということ?」
「そうよ」

もはやシンジを止めるものは何もない。
S2機間の活動。
さらにシンクロ率400%。
まさに無敵である。




それからの戦闘はあっけなかった。
シンジの初号機がゼルエルを一撃の下、葬り去ったのだ。
人間が蟻を踏みつけるように。

『ははははは・・・・・・・・・・・。アスカぁ、アスカぁ』

泣いていた。
アスカを失ったと感じたシンジは泣いていた。
喪失感、そしてゼルエルを倒したことのむなしさに。

『アスカぁ、アスカぁ、アスカぁ・・・・・・・・・』


『シ・・・・・・シンジ・・・・・・・・・・』


初号機のモニターに声だけが響いた。


『アスカ?アスカなんだろっ!無事?!アスカッ!』


『あたしは・・・無事よ。レイも、鈴原も、山崎さんも』


『良かった・・・良かった・・・良かった・・・』


泣いていた。
今度は悲しくて泣いていたのではない。
嬉しくて、歓喜のあまり、泣いていたのだ。




NERVはエヴァンゲリオン弐号機、零号機、参号機及びニュー・タイプ・エヴァンゲリオンを失った。
だが、奇跡的にパイロットは全員無事であった。
レイとキトはかすり傷。
トウジは両足の骨にヒビ。
こういう傷は負ったものの、命は無事であったことに変わりはない。
アスカはというと・・・。

「アスカ、大丈夫?」
「平気よぉ、右足の骨にヒビが入っているだけだってば」
「でも・・・」
「デモもストライキもないの。アタシが大丈夫っていってるんだから大丈夫なの!」
「そ、そう?」
「そうなの!・・・それより肩貸して。いたいことはいたいんだから」
「分かったよ、アスカ」

物質的な被害は多かった。
だが命は助かった。
もう、NERVに危機は去った。


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ver.-1.10 1998-04/12訂正
ver.-1.00 1998-01/22公開
ご意見・ご感想・あんまし暗くねぇぞぉ!y-mick@japan-net.ne.jpまで!!
次回予告

シンジは怪我を負ったアスカを連れて温泉に湯治へと出かける。
そこではアスカが計画を立てていた。
その計画、LAS補完計画は発動するのか?!

次回、
NEW TYPE EVANGELION 第拾弐話 甘い旅

次回は LASまーくU


あとがき

ちわ、Y-MICKです。
NEW TYPE EVANGELION 第拾壱話 死を見た彼女たち を公開します。

前回、ダークっていってましたが、あんましダークになりませんでしたね。(^^;)
まぁ私の実力がこの程度だって事です。(^^;)

とりあえず使徒の方もようやくゼルエルまで出せました。
あと2体。あと少しです。

それから次回ですが、久しぶりにLASオンリーをやります。
暗くないです。
すんごく明るいLASにします。
舞台は・・・・・・・・・・・・・・温泉

「見え見えでべたべたの展開やな」ってとこです(^^;)

それでは今回はこの辺で。
そりではぁ(^^)/~~


 Y-MICKさんの『NEW TYPE EVANGELION』第拾壱話、公開です。
 

 

 あぶなかったぁ〜

 ほんに、あぶなかったぁ〜

 全員危機一髪でしたよね。
 

 

 EVA隠された謎も
  少しずつ明らかに、
  少しずつ白日の下へ。
 

 

 生死の淵を歩く緊迫感! です(^^)/
 

 次回は温泉・・・ぐふふふふぅですぅ
 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 メリ・ハリ Y-MICKさんに感想メールを送りましょう!


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