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NEW TYPE EVANGELION
第伍話
漆黒のエヴァ


部屋にいた人間すべては固唾をのんでいた。
いや、すべての人間ではなく、碇ゲンドウをのぞく全ての人間が。
その部屋は異常に冷たい空気が流れているような雰囲気であった。
そこで、一人の人間が口を開く。

「ニュー・エヴァとは」

キトが口を開くと『ごくり』という音が流れた。

・・・・・

「ニュー・エヴァとは俺が作ったエヴァンゲリオンのことだ」
 
 
 

驚愕していた。
特に赤木リツコに至っては信じられないといった雰囲気であった。

「やはり驚いたようだな。そう、なぜ俺がEVAを作ることができたか、
 なぜEVAの機密が漏れたかといったところか」

もはやそこに言葉はなかった。
キト自身も雰囲気で疑問に答えているにすぎなかった。

「ゲンさんの許可があるから俺が答えられる範囲で説明をしよう」

沈黙が流れた。
誰もがその沈黙を何時間にも感じただろう。
それほどまでの雰囲気だった。

「まず俺がEVAの機密を知り得た訳だ。これは俺の身上を調べれば一目瞭然かもしれないな。
 俺の弟、山崎アキヒロはハッカーとしてでなくクラッカーとしても有名だからな。
 そうだ、弟はMAGIにハッキングをかけ、EVAに関する機密をコピーしたんだ」

このことにも驚きが当然のごとくあった。
MAGIといえば世界最大のスーパーコンピュータといわれている。
それにハックするだけでも無謀といわれ続けていた。
ましてやMAGIからデータをコピーすることなど100%無理といわれていたからだ。

「そ、そういえば先輩。一年くらい前にMAGIにハッキングがかけられましたね」

ここでようやくキト以外の人間が口を開いた。

「ええ、そうね。確かあのときはMAGIが作られて以来の事件だったわ。
 被害は何もなかったと思ったのに・・・・・・EVAの機密がコピーされていたとは・・・。」
「リツコ、そのとき犯人は分からなかったの?」
「特定はできなかったわ。ただ新名古屋市からとしか分からなかったの」
「ふーん。でもその山崎アキヒロって人、すごいわね」
「山崎博士、弟さんは今どこに?できればネルフに迎えたいですわ」

赤木リツコの質問には。
 
 
 

答えなかった。
 
 
 

答えられなかった。キトにとっては。
 
 
 

「アキヒロは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・死んだよ、ニュー・エヴァが完成したときに」
「「え!?」」

リツコとマヤのユニゾンでの驚きだ。

「そう、亡くなっていたの・・・・・・」

リツコは聞いてはいけなかったことを聞いてしまった顔をしていた。

「ごめんなさい」
「いや、いい。気にしないでくれ」

部屋には重苦しい雰囲気が漂っていた。
この雰囲気を打開しようとキトは口を開いた。

「で、ニュー・エヴァのことだったな。俺は一年前に冷凍から目覚めたんだ、アキヒロによって。
 そこで俺はアキヒロから得たエヴァの情報と俺の研究していた永久機関を利用して
 新たなエヴァンゲリオンを作ることを要請されたんだ。
 そして1年してできたのが俺の乗ってきたニュー・エヴァ、
 正式名称 NEW TYPE EVANGELION 初号機、通称NEW-EVA-01 だ。
 訳すと新しい型のエヴァンゲリオン、まぁ俺の乗ってきたのを見れば分かると思うが、
 今までのエヴァンゲリオンとは形状が異なる。というわけでこの名前を付けたんだ」
 
 
 

新たな驚き。
だが、この場にいる人間にとってはもはや驚きはなかった。

「も、もう一つ質問はいいですか?」

マヤが口を開いたが、それはすでに驚きが先行していて日本語にはなっていなかった。

「かまわないよ」

それでもキトは微笑んだまま質問に答えた。

「あ、あの・・・・・・。永久機関とか申されましたよね・・・・・・。
 その永久機関について説明していただけませんか」

その返答にキトは困った様子であった。

「ゲンさん、いいかな」
「かまわない。どのみちNERVの人間には知ってもらわなければいけないことだ」

キトとゲンドウだけは永久機関について知っている様子であった。

「NERVではS2機関という永久機関について研究をしているんだったね」
「そうです、我々NERVでは永久機関として葛城博士の提唱したS2機関
 を研究しています」

葛城博士という言葉に、ミサトはくらい影を落とした。
葛城博士とはミサトの父親のことである。
だが、ミサト自身は父親のことを慕ってはいなかった。
むしろ嫌っていた方であった。

「S2機関は謎が多い。そこで俺は別の永久機関を考えた。そして思いついたのが・・・・・。」

再び”ごくり”という音がした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「ブラック・ホール・エネルギーだ。
 ブラック・ホールといわれているものは陽子ほどの大きさで
 6000メガワットの出力を誇る。俺はこのエネルギー出力に目を付けた。
 だが、ブラック・ホールを制御するには問題点が多すぎる。特異点もその一つだ。
 そこで俺は1999年に研究所を設立し、ブラック・ホールの研究をしていた。
 が、すぐブラック・ホールが暴走してしまった。幸い研究所だけに暴走はくい止めたが、
 そのときに研究所に勤めていた人を何人をも死に追いやってしまった。
 そのため俺は冷凍刑になってしまったのだ。
 だが2013年に弟の手によって冷凍から目覚めた俺はその当時の技術によって
 ブラック・ホールの制御に成功した。そのときだ、碇ゲンドウという人にあったのは。
 ゲンさんは俺に協力的だった。そこで俺はブラック・ホールエネルギーの研究のための援助金
 を得る代わりにそのブラック・ホールを利用したエヴァを作ることを要請された。
 S2機関が間に合わなかったときのために。
 俺は快く応じた。
 自分が死に追いやってしまった人たちの償いとして。
 そして現在、俺は完成させた。
 ミニ・ブラック・ホールを利用した永久機関、BH機関。
 BH機関を搭載したしたエヴァ、 NEW TYPE EVANGELION を」
 
 
 

驚愕。
何度目の驚愕だろう。
もはや驚きとは別のものかもしれない。
そこに残ったのはただ数秒間の静寂しかなかった。

「そういえば山崎、ATフィールドはどうしたんだ?」

碇ゲンドウ。山崎キトの話には全く驚かなかった唯一の人間。
ゲンドウだけは全てを知っていた。

「ATフィールドか・・・。俺の力ではどうにもならなかったな、あれだけは。
 だがエヴァを作っているときの副産物として偶然手に入れた。
 本当に全くの偶然だ。無かったらNERVで教えてもらおうと思っていたんだがな」

ニュー・エヴァは外見はロボットにしか見えない。
だが生体部分はその装甲に隠されているので外から見えることはない。
つまり、簡単にいえば人間がぶ厚い鎧を着ているようなものである。
そのため、ニュー・エヴァはロボットに、無機質に見えてしまうのである。
 
 
 

「あ、あのぅ、いいですか?」

突如口を開いたのはシンジだった。

「山崎さんはNERVに入るんですよね」
「そうなると思うが」
「じゃぁぼくはもう戦わなくてもいいんですよね」
「戦うって?」

シンジはキトがNERVにはいることによって戦わなくても済むんだという気持ちでいっぱいだった。

「この子、シンジ君はエヴァンゲリオン初号機の専属パイロットなんです」

答えたのはシンジではなく変わりにミサトが答えた。

「そうか、君があのエヴァのパイロットか。で、君には済まないがまだ戦ってもらうかもしれないな」
「そんな!?」

シンジの表情はいかにもそんなバカなといった顔だった。

「なぜなんですか?!なぜ僕がまだ戦わなきゃいけないんですか!」
「それはな、ニュー・エヴァはまだ本当の完成体じゃないんだ。稼働時間がまだ極端に短くてね。
 もって2,3分なんだ。あまりにも強力すぎるための代償かな。
 一応エネルギーは半永久的に得られるんだが、それを制御するために少しだが別のエネルギーが必要でね、
 そのエネルギーをBH機関から得られればいいんだがまだそれができていないんだ。
 つまり、それができるようになればシンジ君に戦ってもらわなくてもいいかもしれないな」
「そうですか、で、それはいつくらいにできるようになるんですか?
 1週間後ですか?それとも1ヶ月後ですか?」
「分からない。もしかすると1年かかるかもしれない」
「と、いうことは僕はまだ戦わなきゃいけないんですね」

『そうか、シンジ君はまだ戦う理由を見つけていないんだな、
 見つかれば自分から戦うと思うんだがな・・・』

シンジが戦う理由を見つけていないのは本当であった。
今のシンジはなぜ子供の僕が戦わなきゃいけないんだろうと疑問を持つだけであった。
だが、大人たちはそんなシンジの気持ちに気づくはずはなかった。
 
 
 

「山崎さんはこれからどうなさるんですか?」

今度はユイさんが口を開いた。

「どうっていわれましてもねぇ、NERVに入ることにはなると思うんですが」
「そうなの?あなた」
「ああ、山崎君にはNERVの特別顧問兼ニュー・エヴァ専属パイロットとして在籍してもらうつもりだ。
 階級は中佐待遇でな」

ちなみに伊吹マヤ、日向マコト、青葉シゲルの3人は少尉。
葛城ミサトは准佐。
赤木リツコは大尉。
碇ユイは少佐。
冬月コウゾウは少将。
碇ゲンドウは大将というそれぞれの待遇である。
すなわち、山崎キトは事実上のナンバー3になったわけである。

ちなみにこの階級は私の独断です。このことに関しては何も言わないでください。m(_ _)m

「そうですか、で、住むところなんかはどうなさるんですか?」
「どこかに部屋を借りて住もうかと思っているんですが」
「それならうちに来てくださらない?うちでしたら家賃などが節約できますよ。
 ついでにシンジの勉強のほうも見ていただけたら嬉しいんですけど」
「いいんですか?俺としては願ったりかなったりなんですが」
「ええ、私はかまいませんよ、あなたもいいですね」

ユイさんの今の目には殺気があったかもしれない。
ゲンドウは許可するほか無かっただろう。

「ああ、許可する」
 
 
 

このときから山崎キトは碇家の居候兼碇シンジの家庭教師となったのである。


NEXT
ver.-1.10 1998-04/12訂正
ver.-1.00 1997-11/10公開
ご意見・ご感想は y-mick@japan-net.ne.jpまで!! 
次回予告

つかの間の平和な日々。シンジとアスカはこのときを待ったとばかりに・・・・・・・・・・。

次回、
NEW TYPE EVANGELION 第六話 休日

次回はLAS



あとがき

どーも、Y-MICKです。 NEW TYPE EVANGELION 第伍話の公開です。

済みません、済みません、済みません、済みません、済みません、済みません・・・・・・・・・m(_ _)m
私の独断でやってしまいました・・・・・m(_ _)m
全て私が悪いんですぅ・・・・・・・・・・・・・・・・m(_ _)m

と、いうことでだいぶ裏設定も出してしまいました。
でもまだまだ裏設定はあります。

ニュー・エヴァに関してですが、実はモデルがあります。
それは、第四次スー〇ーロボット〇戦のヒュッ〇バインがモデルなんです。
(ヒュッ〇バインもブラック・ホールをエネルギーとしている)
これを元にしてニュー・エヴァを作ったというわけです。

そして・・・・・・・・・・。
ここでストックがつきてしまいました!
そうです、更新が早かったのはすでに書いてあるのを送っていただけなんです!
さらに次回は全く雰囲気が変わってしまうので苦しいです。
それに私は大学四年生、そう、卒業研究できゅうきゅうしているんです!
だから更新が遅くなったとかいっても勘弁してくださいね。m(_ _)m

次回ですが、ばりばりのLASにします。
果たしてLAS度は何%まで上がるのでしょうか?
(LAS度100%がkiss、400%になると18禁ということにしときます。
 あくまで私の中の設定ですから文句は言わないでくださいね。)
最低でも100%は越します。(あくまで予定。Y-MICKが恥ずかしがらない事が前提。)
おたのしみに!


 Y-MICKさんの『NEW TYPE EVANGELION』第五話、公開です。
 

 キトが話す驚愕の事実。

 個人でエヴァを作った・・・
 

 材料は?
 工作機器は?
 エネルギーは?
 場所は?

 色々疑問は出ますが、
 そんな事はいいんです。

 某マジンガーも個人手作りだったんですから(^^;
 

 天才にかかれば何でもあり!
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 ストックが尽きたY-MICKさんにおうえんめーるをおくりましょう!


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