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〜Lost Imitation〜





その時アタシは・・・シンジに覆い被されていた。


「・・・気持ち悪い」


アタシの言った言葉。


アタシがようやく口にできた言葉。


体が動かないにもかかわらず、動いた右手。


アタシの顔に流れてくる暖かいもの。


絞まるアタシの首。


そして・・・・言葉。


アタシが心の中で思った言葉。


「あんたが全部アタシのものにならないなら・・・アタシ何も要らない」


真実の言葉。


心のうちに秘めていた言葉。


つまり・・・・独占欲。








そのころのアタシは自分が嫌いだった。
嫌い・・・嫌悪していた。

誰もアタシを見てくれない。
誰もアタシを欲してくれない。
誰も・・・・エヴァもアタシを認めてくれなくなっていた。

でもそんなアタシに声をかけてきた人がいる。

碇シンジ。

加地さんでもない、ミサトでもない、リツコやマヤでもない。
シンジだけがアタシの心を触ろうとしてきた。

一時はそれが気持ち良いものだとも思ったりした。

だから・・・・キスした。

シンジと。




それもよかった。
心地よかったから。

でもアタシはシンジに対しては・・・・嫌悪の形を見せてしまった。

何故か。

それはアタシが・・・・








そしてサード・インパクトが起こった。
起こしたのはシンジらしかった。
後で聞いた話だけど、
シンジの精神・・・心・・・が欠けていたため、起こったインパクトだと言う話だった。

結果・・・・・

サード・インパクトが発生。
人類の半分が再び犠牲と・・・LCLへと帰っていった。

シンジはインパクトを起こし、アタシの首を絞めそこなったところで・・・・・精神を閉ざした。

精神崩壊。
過度の出来事による精神崩壊。
医者の見立てではこうだった。








アタシとシンジはその後、やはりNERVに保護される。
シンジが望んだため、司令を除く全員が生き残って・・・・LCLから帰ってきた、

アタシはその後、手当てを受け、しばらく入院していた。
そして一ヶ月が過ぎ、アタシも回復してきたところで退院を言い渡された。

シンジと共に。

「アスカ君。君はもうここにくる必要もないだろう。普通の学生としてすごしなさい」

「副司令・・・でも・・・」

「もうエヴァも人類補完計画も無いのだ。これ以上は大人の仕事だよ」

「分かりました・・・それでアタシ達はどこで住めば良いのでしょうか?」

「その辺は葛城君と相談してくれ。あまり優秀ではないが一応君たちの保護者だ。
 相談すべきじゃないのかな?」

「・・・分かりました。ミサトと相談して決めます。それで・・・・当のミサトは・・」

「あぁ、彼女なら今さっき外に出ていったよ。何でも花が気になるとか言っていたが・・・」

「花?花って何かしら・・・」

「私は今は彼女を追いかけるべきではないと思うよ。少ししたらもう一度探すと良い。
 分からなければ伊吹君に頼んでMAGIを使ってもかまわないよ」

「分かりました。では失礼します」

「うむ。元気でな」

「副司令も」


アタシは生き残った。
シンジと共に。
でも当のシンジは・・・・

シャー・・・・

303病室。
シンジはそこにいる。
何も言わない、何も感じない、何も考えない・・・心を閉ざした人間として。

あたしはシンジを見ると涙が出てくる。
自分と同じ・・・・そんな感じがするからだ。

だからあたしはシンジの介護を名乗り出た。
償い・・・・・それは違う。

シンジの面倒を見るのは・・・アタシが思ったから。


「シンジ・・・・ほら、アタシはもう大丈夫なのよ・・・・怪我もよくなったし精神崩壊も治った」

アタシはこうしてシンジに話し掛ける。

「シンジ・・・・んっ・・・」

アタシはそしてシンジにキスをする。
シンジの心を取り戻すためじゃなく、アタシのしたいことだから。
それでシンジが目覚めるならそれも良い。
でもこんな事でシンジには目覚めて欲しくないのもアタシは心の中で思っていた。

「シンジ、アタシ達退院するのよ。アタシはまたミサトと住もうと思う。シンジも一緒にね」

ミサトにはまだ言っていない。
話しても、会ってもいない。

「また一緒に・・・・学校に行きたいな・・・・アタシ」

ちゅ・・・・

今度は軽く、キスをする。
シンジがよくなるように、おまじないをして。

でもシンジは何も言ってくれない。

ぽた・・・

アタシはいつしか、泣いていた。

シンジが目覚めて・・・・・心を開いてくれないから・・・

でもアタシはシンジがいつか心を開いてくれると信じている。
アタシがシンジに対して心を開いたから。


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ver.-1.00 1998-07/14公開
ご意見・ご感想・「君はこういう物も書くのかい?」等は y-mick@japan-net.ne.jpまで!!
あとがき

1時間。
書き上げた時間です(爆)

思い立ったが吉日。何の構想(妄想)もしないで、インスピレーションで書き上げたものです。
そのため、変な文法とか混じっているかもしてません。
その辺はご了承を。

と言うことで書いたSSですが、タイトルの「A」はもちろん、アスカちゃんの「A」です。
ぢつはこれ以前に「R」と言う作品(LRS)も書いていたりします(^^;
これに関してはここにありますので、一度見てやってください。

それとこの作品、一応三部作となる予定です。
ですが、いつ完結するか分かりません(笑)
思い付きで書いているもんですから(^^;;;
うまく行けば連続で、うまく行かなければ何ヶ月もかかるかもしれません。
気長に待っててくらはい(^^)

今回はこの辺にて。
そりではっ!(^^)/~~





 Y-MICKさんの『A 〜Lost Imitation〜』公開です。




 いままでのモノと大きく異なる作風〜


 シンジだけが壊れたままなんだね。


 アスカとミサトの家族の力の見せ所。

 上手く行って欲しいよね。


 せっかく生きているんだし・




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